JP2023154630A - 高耐摩耗性シリコチタネート成形体およびその製造方法 - Google Patents

高耐摩耗性シリコチタネート成形体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来のシリコチタネート成形体よりも優れた高耐摩耗性を有する高耐摩耗性シリコチタネート成形体及びその製造方法を提供する。【解決手段】 シリコチタネート100重量部に対して、無機酸化物を5重量部以上30重量部以下含み、当該無機酸化物の平均粒径が1nm以上15nm以下である高耐摩耗性シリコチタネート成形体、及びその高耐摩耗性シリコチタネート成形体の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、シチナカイト構造を有するシリコチタネートと酸化物を含む成形体、より詳細には小粒径無機酸化物バインダーを使用した高耐摩耗性成形体、該成形体の製造方法、及び該成形体を用いた吸着剤に関する。本発明の成形体は、例えば海水、地下水中のセシウム、ストロンチウムの吸着除去処理の用途に有用である。
2011年福島第一原子力発電所で発生した事故により、放射性核種を含む放射性廃液が大量に発生している。日々流入する地下水等により汚染水が発生し続けており、放射性核種を選択的に捕捉することのできる吸着剤が必要となっている。その中でも汚染水に高濃度に含まれるCsとSrを同時吸着可能な吸着剤としてシリコチタネートが注目されている。汚染水処理を吸着する設備として現在利用されているサリー(SARRY, Simplified Active Water Retrieve and Recovery System(単純型汚染水処理システム)セシウム除去装置)やアルプス(ALPS,多核種除去装置)などと呼ばれる処理設備では粉状のシリコチタネートは使用できないため、成形されたシリコチタネート吸着剤をカラムに充填して汚染水を通水する方法がとられている。一般的にシリコチタネートは強熱することで吸着能が低下することがしられており、ゼオライト成形体等で行われるような高温での焼成による成形体作成ができないため、吸着材の強度が問題となっている。
非特許文献1には、結晶化シリコチタネートのペレット成形体を用いた、セシウムを含む廃液からのセシウムの除去が開示されている。しかしながら、当該ペレット成形体は、これを充填したカラムにセシウムを含む廃液を流すと、成形体の一部が溶解又は摩耗しカラムに詰まる。そのため、非特許文献1で開示された成形体では、セシウムを含む廃液の処理能力が低下することが課題であった。カラムの詰まりを防ぐためには、成形体をあらかじめアルカリ溶液で処理するなどして、溶出や摩耗する成分を除去する方法が開示されている。
特許文献1には無機結合剤としてシリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化タングステンの群から選ばれる一つ以上の酸化物と、シチナカイト構造を有するシリコチタネートを含む粉末を乾燥させた後に成形して得られる、海水、地下水中のセシウム、ストロンチウムの吸着除去処理に有用なシリコチタネート成形体が提案されている。
特許文献2には体積基準で90%以上の粒子が粒径1μm~10μmの範囲に存在する粒度分布を有する、一般式:ATi(SiO)・nHO(式中、Aは、Na及びKから選ばれる1種又は2種のアルカリ金属元素を示す。nは0~2の数を示す。)で表される結晶性シリコチタネート粒子と、アルミニウム、ジルコニウム、鉄、及びセリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素の酸化物と、を含有することを特徴とする、シリコチタネート成形体が提案されている。
特許文献3にはシチナカイト構造の結晶と、2θ=8.7±0.5°、2θ=10.0±0.5°、2θ=27.8±0.5°又は2θ=29.4±0.5°の少なくとも1つにピークを有し、2θ=21.8±0.5°にピークを有する結晶を含み、NaO含有量が1.0重量%以上、12.0重量%以下であり、Na/Tiモル比が0.1以上、1.0以下であることを特徴とするシリコチタネート組成物を酸性水溶液で処理することを特徴とするシリコチタネート組成物の製造方法が提案されている。
非特許文献1に記載の方法では吸着剤をあらかじめ前処理しなければ処理能力が低下する。特許文献1および2および3に記載の方法では、通水時の摩耗には耐えられる吸着剤ではあるものの、吸着材の充填や回収時に生じる機械的摩耗に耐えられる吸着剤ではない。
特開2016-102053号公報 特開2019-014613号公報 特開2019-189516号公報
May Nyman,et al,"Characterization of UOP IONSIV IE-911",SANDIA REPORT,SAND2001-0999,Printed june 2001,Sandia National Laboratories
本発明は、小粒径シリカ粒子をバインダーに使用することで吸着塔への充填時等に生じる機械的衝撃に対して耐えられる耐摩耗性を有し、なおかつ、高いセシウム及びストロンチウムの選択吸着特性を有するシリコチタネート成形体、当該成形体を製造する方法、当該成形体を含む吸着剤を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の課題に対し鋭意検討した。その結果、小粒径バインダーを使用した成形体であって、シチナカイト構造を有するシリコチタネートの成形体であって、特定の酸化物を含有する成形体が、吸着塔への充填時等に生じる機械的衝撃を受けたときの成形体の摩耗が著しく抑制されること、さらには被処理水溶液を大きい流速で流す条件下での吸着処理に用いても、成形体の摩耗が著しく抑制されること、さらには、海水又は地下水などの水溶液中のセシウム及びストロンチウムの選択吸着特性が高いことを見出した。すなわち、本発明は、シリコチタネート100重量部に対して、無機酸化物を5重量部以上30重量部以下含み、当該無機酸化物の平均粒径が1nm以上15nm以下である高耐摩耗性シリコチタネート成形体、該成形体の製造方法、及び該成形体を用いた吸着方法である。
詳細に述べると、本発明は、以下のとおりである。
[1]シリコチタネート100重量部に対して、無機酸化物を5重量部以上30重量部以下含み、当該無機酸化物の平均粒径が1nm以上15nm以下である高耐摩耗性シリコチタネート成形体。
[2]当該シリコチタネートがシチナカイト構造の結晶と、2θ=8.7±0.5°、2θ=10.0±0.5°、2θ=27.8±0.5°又は2θ=29.4±0.5°の少なくとも1つにピークを有し、2θ=21.8±0.5°にピークを有する結晶を含む上記[1]に記載の高耐摩耗性シリコチタネート成形体。
[3]当該無機酸化物が酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化タングステンの少なくとも1種を含む上記[1]又は[2]に記載の高耐摩性シリコチタネート成形体。
[4]セシウム吸着に対する分配係数が800,000mL/g以上である上記[1]~[3]のいずれかの項に記載の高耐摩耗性シリコチタネート成形体。
[5]ストロンチウム吸着に対する分配係数が4,000mL/g以上である上記[1]~[4]のいずれかの項に記載の高耐摩耗性シリコチタネート成形体。
[6]シリコチタネート100重量部に対して、無機酸化物5重量部以上30重量部以下を含む無機酸化物ゾル、成形助剤1重量部以上10重量部以下、水40重量部以上100重量部以下を混合した後に混錬して、これらを含む混練物を得て、この混練物を成形した後に乾燥したものであり、当該無機酸化物の平均粒径が1nm以上15nm以下である上記[1]~[5]のいずれかの項に記載の高耐摩耗性シリコチタネート成形体の製造方法。
[7]上記[1]~[5]のいずれかの項に記載の高耐摩耗シリコチタネート成形体を用いたセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法。
以下、本発明のシリコチタネート成形体について詳細に説明する。
本発明のシリコチタネート成形体は無機バインダーとして無機酸化物を含有する。無機酸化物は、酸化ケイ素(例えば、シリカ<二酸化ケイ素>)、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化タングステンの群から選ばれる少なくとも1種があげられ、更に好ましくは酸化ケイ素又は酸化ジルコニウムの少なくともいずれかであり、特に好ましくは酸化ケイ素である。
本発明のシリコチタネート成形体は、シリコチタネート100重量部に対して、無機酸化物が5重量部以上30重量部以下を含むものであり、5重量部以上20重量部以下であることが好ましく、更には5重量部以上15重量部以下であることが好ましい。無機酸化物が5重量部未満であると結合力が大きくなり、成形体の強度が低くなる。無機酸化物が30重量部を超えると成形体の単位重量当たり、又は単位体積当たりの吸着能力が低くなる。
本発明のシリコチタネート成形体に含有される無機酸化物の平均粒径が1nm以上15nm以下であり、3nm以上13nm以下が好ましい。1nm未満であれば押し出し成形性が著しく悪化するため製造上好ましくなく、15nmを超えると成形体の強度は著しく悪化する。
本発明のシリコチタネート成形体に含有されるシリコチタネートは、シチナカイト構造を有する。これにより、本発明のシリコチタネート成形体がセシウム及びストロンチウムに対する高い選択吸着性を有する。ここでシチカナイト構造とは結晶構造の一つであり、E.V.Sokolova他,Sov.Phys.Dokl.34,583(1989)(以下、「参考文献1」とする。)、又は、M.J.Buerger他,W.A.DollAse,Z.KRISTALLOGR.,125,92(1967)(以下、「参考文献2」とする。)、又はAmerican Mineralogist Crystal Structure Database(http://ruff.geo arizona.edu./AMS/amcsd.php、検索日:2014年7月1日、以下、「参照HP1」とする。)におけるsitinakite、のいずれかに記載された粉末X線回折(以下、「XRD」とする。)パターンにおいて示される特徴的なピークに帰属される結晶構造である。本発明の成形体は当該ピークを有していれば、含有するシリコチタネートとして、シチナカイト構造のシリコチタネート単独、又は、後述するシリコチタネート組成物のいずれであってもよい。
本発明のシリコチタネート成形体に含有されるシリコチタネートは、ニオブを含有してもよい。これにより本発明のシリコチタネート成形体が、より高いセシウム及びストロンチウムの選択吸着性を有する。
本発明のシリコチタネート成形体のNb/Tiモル比は0.1以上であることが好ましく、更に好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.4以上である。これにより本発明のシリコチタネート成形体がより高いセシウム、及びストロンチウム、特ストロンチウムに対する吸着性能を有する。通常、Nb/Tiモル比は1.5以下であれば十分な吸着性能を示す。
本発明のシリコチタネート成形体のNa/Tiモル比は0.1以上1.0以下であることが好ましく、更に好ましくは0.3以上1.0以下、特に好ましくは0.5以上1.0以下である。これによりSr吸着性能は高くなる。
本発明のシリコチタネート成形体のNaO含有量は1.0重量%以上12.0重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは3.0重量%以上12.0重量%以下、特に好ましくは5.0重量%以上12.0重量%以下である。これによりSr吸着性能は高くなる。
本発明のシリコチタネート成形体の形状は、例えば、円柱状、円板状、中空状、多面体状、球状、略球状、三つ葉状及び塊状からなる群の少なくとも1種であり、更に好ましくは円柱状、球状、三つ葉状からなる群の少なくとも1種であり、特に好ましくは球状、円柱状である。成形体の長さは特に制限はないが0.1mm以上5mm以下が好ましい。
本発明のシリコチタネート成形体は、セシウム吸着の選択性が高い。そのため、本発明のシリコチタネート成形体は、セシウム吸着に対する分配係数が800,000mL/g以上が好ましく、更には1,000,000mL/g以上が好ましく、特に2,000,000mL/g以上が好ましい。セシウム吸着に対する分配係数が800,000mL/g以上であれば、処理溶液中のセシウム以外の共存成分、たとえば、海水中であればカルシウムやマグネシウム等が吸着されにくくなり、セシウム吸着をより効率的に行うことができる。
本発明のシリコチタネート成形体は、ストロンチウム吸着の選択性が高い。そのため、本発明のシリコチタネート成形体は、ストロンチウム吸着に対する分配係数が4,000mL/g以上が好ましく、更には10,000mL/g以上が好ましく、特に20,000mL/g以上が好ましい。ストロンチウム吸着に対する分配係数が4,000mL/g以上であれば、処理溶液中のストロンチウム以外の共存成分、たとえば、海水中であればカルシウムやマグネシウム等が吸着されにくくなり、ストロンチウム吸着をより効率的に行うことできる。
本発明のシリコチタネート成形体の摩耗試験後の濁度は200以下であることが好ましく、更には150以下であることが好ましく、特に100以下であることが好ましい。摩耗試験後の濁度が200以下であることで、本発明のシリコチタネート成形体を吸着剤として使用するにあたりカラム等に充填する際に、浄化装置底部や配管のつまりの原因となる吸着剤の破砕物が生じにくくなる。摩耗試験は、剤2gを純水100mlとともに容器に入れ、容器をミックスローターで40rpmで4h回転させることで処理する。その後、濁度は高感度濁度計(TR-55,笠原理化工業株式会社製)を使用して測定する。
本発明のシリコチタネート成形体は、かさ密度が0.5g/cm以上であることが好ましく、更には0.55g/cm以上であることが好ましく、特に0.60g/cm以上であることが好ましい。かさ密度が0.5g/cm以上であることで、より少量の吸着剤でセシウム及びストロンチウムを吸着することができる。これにより、カラム等の充填層の体積を減らすことができ、処理装置の小型化が可能となる。一方、かさ密度は0.95g/cm以下であることが好ましい。かさ密度が0.95g/cm以下であることで、カラム内における被処理水溶液の流通に偏りが生じにくく、カラムとしての吸着性能の低下を抑制できる。
本発明のシリコチタネート成形体のシリコチタネートは、結晶化度の高いシチナカイト構造を有するシリコチタネートであることが好ましい。結晶化度が高いと、セシウム及びストロンチウムに対してより高い選択性での吸着処理が可能となる。金属塩を原料として用いる中和法により得られるシリコチタネート、又は金属アルコキシドを原料として用いる加水分解法により得られるシリコチタネートが好ましく、中和法により得られるシリコチタネートが好ましい。中和法により得られるシリコチタネートは、特に高い結晶化度を有するため、より高い選択的な吸着能力を有する。
本発明のシリコチタネート成形体は、少なくともシチナカイト構造を有するシリコチタネート(以下、「S型シリコチタネート」ともいう。)を含んでいればよい。しかし、シチナカイト構造以外の結晶構造のシリコチタネート、またはシリコチタネート以外の物質を含む組成物であってもよい。具体的には、S型シリコチタネート、及びニオブを含有し、なおかつ、少なくとも2θ=8.7±0.5°、2θ=10.0±0.5°、2θ=27.8±0.5°又は2θ=29.4±0.5°に回折ピークを有するシリコチタネート組成物、あるいは、S型シリコチタネート、及びニオブを含有し、なおかつ、2θ=8.7±0.5°、2θ=10.0±0.5°、2θ=27.8±0.5°又は2θ=29.4±0.5°の少なくともいずれかにピークを有し、2θ=21.8±0.5°に回折ピークを有するシリコチタネート組成物の少なくともいずれかを挙げることができる。当該組成物を含むことにより、本発明のシリコチタネート成形体が、より高いストロンチウムの吸着特性を有する。
本明細書において、2θは、CuKα線(波長λ=1.5405Å)を線源としたXRDパターンにおけるX線回折角の値(°)である。
本発明のシリコチタネート成形体が含む組成物は、当該組成物中にニオブを含有していれば、ニオブの状態は特に限定されない。例えば、ニオブはニオブ含有化合物、更にはニオブ酸塩、ニオブシリケート、ニオブチタネート及びNb-Si-Ti系酸化物からなる群のいずれかであってもよい。また、S型シリコチタネートにニオブが含まれていてもよい。
本発明のシリコチタネート成形体が含む組成物は、2θ=27.8±0.5°及び2θ=29.4±0.5°に回折ピークを有する結晶性物質(以下、単に「結晶性物質A」ともいう。)と、S型シリコチタネートを含むシリコチタネート組成物であることが好ましい。ここで、結晶性物質Aとして、S型シリコチタネート以外の結晶性シリコチタネート、チタン酸塩、ニオブ酸塩、ケイ酸塩、ニオブシリケート、ニオブチタネート、及びNb-Si-Ti系酸化物からなる群の少なくとも1種を挙げることができ、好ましくは、S型シリコチタネート以外の結晶性シリコチタネート、更に好ましくはヴィノグラドバイト構造を有するシリコチタネート(以下、「V型シリコチタネート」ともいう。)を挙げることができる。
なお、V型シリコチタネートは、American Mineralogist Crystal Structure Database(http://ruff.geo.arizona.edu./AMS/amcsd.php、検索日:2015年3月20日、以下「参照HP2」とする。)におけるvinogradoviteに相当するXRDピークを有する結晶性シリコチタネートである。V型シリコチタネートは、少なくとも2θ=27.8±0.5°及び2θ=29.4±0.5°に特徴的なXRDピークを有する。
本発明のシリコチタネート成形体が含む組成物がS型シリコチタネートと、S型シリコチタネート以外の結晶性シリコチタネート(以下、「非S型シリコチタネート」ともいう。)を含む場合、シリコチタネート組成物は、S型シリコチタネートと非S型シリコチタネートを含んでいればよく、S型シリコチタネートと非S型シリコチタネートとの混合物、又は、S型シリコチタネートと非S型シリコチタネートの混晶からなるシリコチタネートの少なくともいずれかであればよい。
本発明のシリコチタネート成形体が含む組成物は、2θ=8.7±0.5°、2θ=10.0±0.5°、2θ=27.8±0.5°又は2θ=29.4±0.5°の少なくともいずれかにピークを有し、2θ=21.8±0.5°に回折ピークを有する結晶性物質(以下、単に「結晶性物質B」ともいう。)と、S型シリコチタネートとを含むシリコチタネート組成物であることが好ましい。ここで、結晶性物質Bとして、S型シリコチタネート以外の結晶性シリコチタネート、チタン酸塩、ニオブ酸塩、ケイ酸塩、ニオブシリケート、ニオブチタネート、及びNb-Si-Ti系酸化物からなる群の少なくとも1種を挙げることができ、好ましくは、ニオブ酸塩又はケイ酸塩の少なくともいずれか、更に好ましくはニオブ酸塩を挙げることができる。
ここで、前記のXRDピークを有していれば、結晶性物質Bは2以上の化合物であってもよく、2以上のニオブ酸塩であることが好ましい。
結晶性物質Bがニオブ酸塩を含む場合、シリコチタネート組成物に含まれるニオブ酸塩の組成は、NaxNbyOz・nHO(ここでx=1~20,y=1~30、z=5~80、n=10~100)が挙げられる。
本発明のシリコチタネート成形体が含む組成物は、S型シリコチタネートと、結晶性物質Aと、結晶性物質Bを含む組成物であってもよい。
次に、本発明のシリコチタネート成形体の製造方法について説明する。
(混合工程)
混合工程では、無機酸化物ゾル、シリコチタネート及び水を混合する。
混合工程では、得られたシリコチタネート、無機酸化物ゾル、水を混合して混合物を得る。
無機酸化物ゾルは、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、及び、酸化タングステンゾルから選ばれる1種以上のゾルを用いることができる。特にシリカゾル及び又はジルコニアゾルの少なくともいずれかが好ましく、更にはシリカゾルが好ましい。シリカゾル、又はジルコニアゾルの少なくともいずれか、更にはシリカゾルを用いることで焼成工程における焼成温度を250℃以下まで下げることができる。
無機酸化物ゾル中の、無機酸化物の平均粒径が1nm以上15nm以下であり、3nm以上13nm以下が好ましい。1nm未満であれば押し出し成形性が著しく悪化するため製造上好ましくなく、15nmを超えると成形体の強度は悪化する。
シリコチタネート100重量部に対して無機酸化物ゾル中の無機酸化物は5重量部以上30重量部以下であり、更には5重量部以上20重量部以下であることが好ましく、特に5重量部以上15重量部以下であることが好ましい。無機酸化物が5重量部未満であると成形体の強度が著しく悪化する。無機酸化物が30重量部を超えると成形体の単位重量あたりの吸着能力が低下する。
シリコチタネート100重量部に対して、水(ゾル由来の水を含む)は、40重量部以上100重量部以下であり、50重量部以上90重量部以下であることが好ましい。40重量部未満の場合も、100重量部を超えても成形が困難になる場合がある。
混合工程では、まず、上記のシリコチタネート、無機酸化物ゾルを混合し、混合しながら水を添加することが好ましい。最終的に以下の組成となる混合物が得られれば任意の混合方法であればよい。混合工程では、必要に応じて成形助剤やpH調整剤を添加することができ、混合開始前に加える、又は水を加える際に同時に加えることができる。
シリコチタネート:100重量部
無機酸化物 :5重量部以上30重量部以下
水 :40重量部以上100重量部以下、更に好ましくは60重量部以上80重量部以下
成形助剤は混合物の粘度を高くする機能を有する化合物であればよい。カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びトリポリりん酸ナトリウムの群から選ばれる1種以上を挙げることができる。特に好ましい成形助剤としてカルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」とする。)を挙げることができる。成形助剤の量としては、シリコチタネート100重量部(無水換算)に対して、1重量部以上10重量部以下であり、好ましくは2重量部以上8重量部以下である。1重量部未満の場合は成形性が低下し、10重量部を超える場合は耐圧強度が低下する。
pH調整剤は混合物の粘度を調整する化合物であればよい。硝酸、硫酸、酢酸、水酸化ナトリウム、アンモニアの群から選ばれる1種以上を挙げることができる。特に好ましいpH調整剤として、酢酸又はアンモニアの少なくともいずれか、更には酢酸を挙げることができる。
混合方法として、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ニーダー、ナウターミキサー、又はミックスマラーいずれか一つの方法で行うことができる。
(成形工程)
成形工程では、混合工程で得られた混合物を任意の成形方法により成形する。成形方法は、円柱状や三つ葉状をはじめ多角形状に成形するのであれば、例えば、押し出し成形法が挙げられる。さらに、押し出し成形体を破砕・整粒し、任意の大きさの成形体を得ることができる。また、ビーズ状に成形するのであれば転動造粒法が挙げられる。転動造粒法には、例えば、ブレード型、パン型、ドラム型、羽根撹拌式による転動造粒が挙げられる。
(焼成工程)
成形工程で得られた成形体を焼成することでシリコチタネート成形体を得ることができる。成形体を焼成することにより、得られるシリコチタネート成形体の耐圧強度が高くなる。焼成温度は、80℃以上500℃以下で焼成することが好ましく、更には100℃以上300℃以下で焼成することが好ましく、また更には110℃以上200℃以下で焼成することが好ましい。無機結合剤として酸化物ゾルを用いたことで、80℃以上500℃以下という低温で焼成しても、機械的強度が向上し、十分な摩耗度を有するシリコチタネート成形体を得ることができる。焼成保持時間は、0.5時間以上、更には1時間以上を挙げることができる。焼成雰囲気は酸化雰囲気下であればよく、例えば大気中を挙げることができる。更には、好ましい焼成雰囲気としては5L/min以上、更には20L/min以上の大気気流中で焼成することを挙げることができる。これにより、成形体の焼結性がより向上する傾向にある。
(酸性溶液での処理)
焼成工程で得られたシリコチタネート成形体を酸性溶液で処理することで得られたシリコチタネート成形体の性能の向上が可能である。適量な処理液を用いて酸性水溶液での処理を容易に行うため、酸性水溶液のpHは1以上6.5以下が好ましく、1.5以上6.5以下がより好ましく、2以上6.5以下がさらに好ましい。
酸性水溶液は塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、炭酸塩のうち少なくとも1種を含むものであればよく、pHは1以上6.5以下の緩衝溶液も使用可能である。
酸性水溶液での処理温度は30℃以上90℃以下、更には30℃以上80℃以下、また更には30℃以上70℃以下であればよい。酸性水溶液で処理するシリコチタネート組成物は、粉末、成形体のいずれでも可能である。酸性水溶液での処理は、バッチ法、カラム法のいずれでも可能であり、処理時間は0.5時間以上24時間以下で可能である。
酸性水溶液の液量は、酸性溶液のpH、温度などによっても変化するが、酸処理前のシリコチタネート組成物に対して、1倍以上、50倍以下とすることができる。
カラム法では酸性水溶液をワンパスで流通させても、カラム出口から排出された溶液をカラム入口に戻して循環させてもよく、アップフロー、ダウンフローのいずれでもよい。酸性水溶液の流量はカラムの形状にも依存するが、空塔線速として5cm/分以上50cm/分以下であればよい。
以下に、シリコチタネート組成物の製造方法を説明する。
酸処理前シリコチタネート組成物は、シチナカイト構造を含んでいることが必要である。シチナカイト構造を含むことでSr吸着性能が発現する。酸処理前シリコチタネート組成物は、Sr吸着性能がより高いため、シチナカイト構造の結晶と、2θ=8.7±0.5°、2θ=10.0±0.5°、2θ=27.8±0.5°又は2θ=29.4±0.5°の少なくとも1つにピークを有する結晶を含むことが好ましい。酸処理前シリコチタネート組成物のNaO、Na/Tiモル比は、特に限定するものではない。
酸処理前のシリコチタネート組成物は、ドープ金属(ニオブ、タンタル、バナジウム、アンチモン、マンガン、銅、及び、鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種)を含有するものである。ドープ金属のうち、ニオブ(Nb)が好ましい。Sr吸着性能がより高くなるため、ドープ金属/Tiモル比が0.01以上1.5以下が好ましく、0.3以上1.5以下がより好ましく、0.5以上1.0以下がさらに好ましい。
酸処理前シリコチタネート組成物の製造方法は、無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、及び、アルカリ金属水酸化物を混合してシリコチタネートゲルを得るゲル工程、当該シリコチタネートゲルを結晶化する結晶化工程、結晶化工程で得られたシリコチタネート組成物を成形する成形工程、を含む。
ゲル工程では、無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、及び、アルカリ金属水酸化物を混合して無定形のシリコチタネートゲルを得る。ゲル工程では、チタン源として無機系チタン化合物、及び、ケイ素源として無機系ケイ素化合物を使用する。これらのチタン源及びケイ素源は、有機系アルコキシ金属化合物をはじめとする、危険物又は劇物のいずれも含まない。さらに、無機系チタン化合物、及び、無機系ケイ素化合物は、アルカリ金属水酸化物水溶液に可溶である。また、無機系チタン化合物と無機系ケイ素化合物とを混合しても、アルコール等の有機物は発生しない。そのため、チタン源及びケイ素源は、有機系アルコキシチタン化合物又は有機系アルコキシケイ素化合物などの有機系アルコキシ金属化合物に比べてハンドリングが容易である。更には安価であることから、無機系チタン塩及び無機系ケイ素化合物はより工業的な使用に適している。
無機系チタン化合物として、硫酸チタン、オキシ硫酸チタン、メタチタン酸ソーダ、及び、塩化チタンからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。より好ましい無機系チタン化合物として、硫酸チタン又はオキシ硫酸チタンの少なくともいずれか、更にはオキシ硫酸チタンを挙げることができる。
無機系ケイ素化合物として、珪酸ソーダ、シリカゾル、ヒュームドシリカ、及びホワイトカーボンからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。アルカリ金属水酸化物の水溶液に溶解させることが比較的容易であるため、無機系ケイ素化合物は珪酸ソーダ、又はシリカゾルの少なくともいずれかであることが好ましく、珪酸ソーダであることが更に好ましい。
アルカリ金属水酸化物として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。安価であるため、アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムの少なくともいずれかであることが好ましく、水酸化ナトリウムであることが好ましい。
水は、各原料を水溶液とした場合に含まれる水分であってもよく、各原料とは別に水を混合してもよい。
ゲル工程では、無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、およびアルカリ金属水酸化物を混合することにより、無定形のシリコチタネートゲル(以下、単に「シリコチタネートゲル」ともいう。)が生じる。無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、および、アルカリ金属水酸化物は、以下の混合モル比となるように混合することが好ましい。
Si/Tiモル比 0.5以上2.0以下
O/Tiモル比 20以上150以下
M/Tiモル比 1.0以上5.0以下
(Mは、Li,Na、及びKの群から選ばれる1種のアルカリ金属であり、MはNaであることが好ましい)
更に混合モル比は以下の割合であることがより好ましい。
Si/Tiモル比 1.0以上2.0以下
O/Tiモル比 20以上150以下
M/Tiモル比 1.0以上5.0以下
(Mは、Li,Na、及びKの群から選ばれる1種のアルカリ金属であり、MはNaであることが好ましい)
Si/Tiモル比は、0.5以上2.0以下であればよく、好ましくは0.8以上1.8以下、より好ましくは1.0以上1.7以下である。Si/Tiモル比が0.5以上、2.0以下であることで、酸処理前シリコチタネート組成物が効率よく得られる。HO/Tiモル比は、20以上150以下、更には40以上100以下であることが好ましい。HO/Tiモル比が20以上であることで、得られるシリコチタネートゲルの粘度が下がり撹拌しやすくなる。HO/Tiモル比が150以下であることで、酸処理前シリコチタネート組成物の収率が高くなりやすい。
M/Tiモル比は、1.0以上5.0以下、更には1.5以上4.5以下、特に2.5以上4.5以下であることが好ましい。混合物のM/Tiモル比が1.0以上5.0以下であることで、酸処理前シリコチタネート組成物が効率よく得られる。
シリコチタネートゲルは、ドープ金属(ニオブ、タンタル、バナジウム、アンチモン、マンガン、銅、及び、鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種)を含むものである。ドープ金属を含むシリコチタネートゲルから得られる酸処理前シリコチタネート組成物は、Cs及びSrの吸着特性がより高くなる。得られる酸処理前シリコチタネート組成物のCs及びSrの吸着特性がより高くなるため、特に好ましいドープ金属として、ニオブを挙げることができる。
ドープ金属を含むシリコチタネートゲルは、無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、アルカリ金属水酸化物及びドープ金属源を混合する方法、又は、シリコチタネートゲルにドープ金属源を添加する方法、の少なくともいずれかの方法で得られる。
ドープ金属源は、ドープ金属を含む金属、合金及び化合物からなる群の少なくとも一種であることが好ましい。ドープ金属を含む化合物として、ドープ金属を含む水酸化物、塩化物、硝酸塩及び硫酸塩からなる群の少なくとも一種が挙げられる。シリコチタネート組成物のCs及びSrの吸着特性がより向上するため、ドープ金属源は、ドープ金属を含む化合物、更にはドープ金属を含む水酸化物又は硝酸塩の少なくともいずれか、また更にはドープ金属の水酸化物を挙げることができる。
シリコチタネートゲルに含まれるドープ金属は、ドープ金属のチタンに対するモル比(以下、「Mdope/Tiモル比」ともいう。)で、0.01以上1.5以下であることが好ましい。Mdope/Tiモル比がこの範囲であることで、Cs及びSrの吸着に寄与しない副生物の生成が低減され、Cs及びSrの吸着特性が向上する。
シリコチタネートゲルに種晶を混合することもできる。シリコチタネートゲルに種晶を混合することで、より短時間でシリコチタネートゲルが結晶化する。種晶は結晶性シリコチタネートであればよく、例えば、シチナカイト構造のシリコチタネートを挙げることができる。シリコチタネートゲルに対する種晶の量は、0.5重量%以上10重量%以下、更には0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
当該シリコチタネートゲルを結晶化することでシリコチタネート組成物が得られる。
結晶化工程では、無機系チタン化合物、無機系ケイ素化合物、水、およびアルカリ金属水酸化物、ドープ金属源を混合することにより得られるシリコチタネートゲルを結晶化する。すなわち、酸処理前シリコチタネート組成物の製造方法では、危険物又は劇物に該当しないケイ素源及びチタン源を使用するだけでなく、構造指向剤を使用しない。構造指向剤は、通常、高価な化合物である。構造指向剤を使用しない酸処理前シリコチタネート組成物の製造方法により、より安価にシリコチタネート組成物を製造することができる。結晶化工程ではシリコチタネートゲルを撹拌しながら結晶化してもよい。撹拌しないで結晶化も可能であるが、撹拌した方が結晶化時間は短くできる。
結晶化温度は150℃以上230℃以下であればよく、好ましくは160℃以上220℃以下、より好ましくは170℃以上200℃以下である。結晶化温度が150℃以上であれば、得られるシリコチタネートの結晶性が高くなりやすい。230℃以下であれば汎用の反応容器等を使用するのに十分な温度となる。
結晶化時間は12時間以上120時間以下であればよい。結晶化時間が12時間以上であれば得られるシリコチタネート組成物に含まれるシリコチタネートの結晶性が高くなりやすい。一方、120時間以下であれば、十分なCs又はSrの吸着特性を有するシリコチタネート組成物が得られる。
結晶化工程において、シリコチタネートゲルを結晶化することで、酸処理前シリコチタネート組成物を得ることができる。さらに結晶化で得られた酸処理前のシリコチタネート組成物を冷却、固液分離、洗浄、及び乾燥する各工程をいずれか1種以上を含んでいてもよい。
結晶化したシリコチタネート組成物を冷却する場合は、特に限定する冷却条件は無い。
結晶化したシリコチタネート組成物をろ過する場合は、任意の固液分離方法で行うことができる。例えば、真空を使用した減圧固液分離方法、膜分離などの方法を挙げることができる。
結晶化した酸処理前シリコチタネート組成物を洗浄する場合は、当該シリコチタネート組成物に対して2倍以上10倍以下の重量の純水を洗浄水として用いることができる。また更には、当該純水を60℃以上90℃以下の温水とし、これを洗浄水として用いることができる。洗浄方法は、前述の固液分離と同じ方法で行うことができる。
結晶化した酸処理前シリコチタネート組成物を乾燥する場合は、当該シリコチタネート組成物を大気中で、50℃以上200℃以下、更には70℃以上150℃以下で乾燥することが挙げられる。乾燥後、シリコチタネート組成物が凝集している場合は乳鉢、粉砕機などで適宜解砕することができる。
結晶化後にこれらの工程を経ることで、酸処理前シリコチタネート組成物を粉末とすることができる。
本発明のシリコチタネートの成形体は、小粒径シリカ粒子をバインダーに使用することで高い耐摩耗性を有し、吸着塔への充填時等に生じる機械的衝撃を受けても微粉が発生しにくいため、微粉による吸着塔の閉塞が起こりにくい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
<粉末X線回折測定>
一般的なX線回折装置(商品名:UltimaIV、RIGAKU社製)を使用して試料のXRDパターンを測定した。測定条件は以下のとおりとした。
線源: CuKα線(λ=1.5405Å)
スキャン条件: 毎秒0.1°
発散スリット: 1.00deg
散乱スリット: 1.00deg
受光スリット: 0.30mm
測定範囲: 2θ=5.0°~60.0°
得られたXRDパターンと、参照HPに記載されたシチナカイト構造のシリコチタネートのXRDピークとを比較することで、シチナカイト構造の同定を行った。
<シリコチタネート組成物の組成分析、及びCs、Sr濃度の分析>
シリコチタネート組成物の組成分析、及びCs、Sr濃度の分析は一般的なICP法により測定した。測定には、一般的なICP-AES(装置名:OPTIMA7300DV、PERKINELMER社製)を使用した。
<無機酸化物ゾルの平均粒径測定>
乾燥した無機酸化物ゾルのガス吸着法(BET法)により比表面積を測定し、球状粒子として換算した粒子径(BET法換算粒子径)を平均粒子径とした。乾燥した無機酸化物ゾルを110℃で2時間、真空下で前処理を行った。定容法ガス吸着測定装置(商品名:ベルソープミニII、マイクロトラック・ベル社製)により、液体窒素温度(77K)で窒素吸着等温線を測定した。得られた吸着等温線から相対圧力0.1以下の範囲でBET表面積を算出した。その後球状粒子として換算した粒子径(BET法換算粒子径)を計算し、平均粒子径とした。
<摩耗試験>
成形体2gを純水100mlとともに容器にいれ、容器をミックスローターで40rpmで4h、回転させることで処理した。
<Sr吸着特性の評価>
ジャケットの付いた内径8mm、長さ25cmのガラス製のカラムの下半分にガラスビーズを高さ約10cm充填する。その上にシリコチタネート組成物の成形体を4.5mL図り取って充填する。ジャケットには30℃に調整した水を流して温度調整を行った。充填は成形体の粒子間に空気を含まないようにカラム内に純水を入れた状態で充填する。充填後、純水を150mL流通する。被検液は市販のマリンアートSF-1(富田製薬製)を用いて、Cs(1mg/L)、Sr(1.6mg/L)、Na(1992mg/L)、K(64mg/L)、Mg(236mg/L)、Ca(82mg/L)の濃度になる様に調製した。なお、マリンアートSF-1にはCsが含まれないため、原子吸光用の標準液(1000mg/L)を用いて、Cs(1mg/L)となる様に添加して濃度調整を行った。
被検液を0.181L/hrで流通して、ガラスカラムから流出する溶液を分取してSr濃度およびCs濃度を分析した。流出液のSr濃度が0.2ppmに到達した時もしくは通液から7日後を終点とし、その時までに流すことができた流通液量で吸着特性を評価した。流通液量の多い方が吸着性能は高いことを表す。
合成例1
シリコチタネート粉末の調整
純水1743g、水酸化ナトリウム48%水溶液406g、水酸化ニオブ171g、及び、無定形シリコチタネートゲル286g(固形分として)を加え、よく混合して原料組成物を得た。原料組成物の組成は、TiOを1とした場合のモル比として、SiO:1.4、Nb:0.3、NaO:1.75、HO:109であった。
この原料組成物を4Lのステンレス製オートクレーブ(商品名:TAS-4型、耐圧工業硝子製)に密閉し、196rpmで回転させながら180℃で24時間加熱した。加熱後の生成物を固液分離し、得られた固相を十分量の純水で洗浄し、100℃で乾燥して粉末生成物を得た。粉末生成物の組成は、TiOを1とした場合のモル比として、SiO:0.94、Nb:0.28、NaO:0.75であった。
実施例1
得られた粉末生成物100重量部に対して、シリカゾル(商品名:ST-30、日産化学製)12重量部、カルボキシメチルセルロース(商品名:F-20LC、日本製紙製)6重量部、水76重量部(ゾル由来の水を含む)を用いて成形体とした。成形体の形状は直径0.4mm、長さ0.4~2mmの円柱状とした。使用したシリカゾルに含まれるシリカの平均粒径は12nmであった。得られた円柱状の成形体を用いて酸性水溶液で処理を行った。酸性水溶液としては、0.1mol/Lの塩酸水溶液を使用した。シリコチタネート成形体550mLをガラスカラムに充填して、0.1mol/Lの塩酸水溶液(pH=1)3300mLを線速13.5cm/minで循環流通した。この時、塩酸水溶液の温度は40℃に調整した。塩酸水溶液の流通時間は18時間とした。酸性水溶液で処理した後は純水で洗浄して150℃で乾燥した。得られた成形体の摩耗試験後の濁度は58であった。
得られた成形体は、シリコチタネート100重量部に対してシリカを12重量部含み、シリカの平均粒径は12nmであった。
実施例2
得られた粉末生成物100重量部に対して、シリカゾル(商品名:ST-XS、日産化学製)12重量部、カルボキシメチルセルロース(商品名:F-20LC、日本製紙製)6重量部、水76重量部(ゾル由来の水を含む)を用いて成形体とした。使用したシリカゾルに含まれるシリカの平均粒径は5nmであった。成形体の形状は直径0.4mm、長さ0.4~2mmの円柱状とした。得られた円柱状の成形体を用いて酸性水溶液で処理を行った。酸性水溶液としては、0.1mol/Lの塩酸水溶液を使用した。シリコチタネート成形体550mLをガラスカラムに充填して、0.1mol/Lの塩酸水溶液(pH=1)3300mLを線速13.5cm/minで循環流通した。この時、塩酸水溶液の温度は40℃に調整した。塩酸水溶液の流通時間は18時間とした。酸性水溶液で処理した後は純水で洗浄して110℃で乾燥した。得られた成形体の摩耗試験後の濁度は52であった。
得られた成形体は、シリコチタネート100重量部に対してシリカを12重量部含み、シリカの平均粒径は5nmであった。
比較例1
得られた粉末生成物100重量部に対して、シリカゾル(商品名:ST-ZL(日産化学製)12重量部、カルボキシメチルセルロース(商品名:F-20HC、日本製紙製)6重量部、水76重量部(ゾル由来の水を含む)を用いて成形体とした。成形体の形状は直径0.4mm、長さ0.4~2mmの円柱状とした。使用したシリカゾルに含まれるシリカの平均粒径は80nmであった。得られた円柱状の成形体を用いて酸性水溶液で処理を行った。酸性水溶液としては、0.1mol/Lの塩酸水溶液を使用した。シリコチタネート成形体550mLをガラスカラムに充填して、0.1mol/Lの塩酸水溶液(pH=1)3300mLを線速13.5cm/minで循環流通した。この時、塩酸水溶液の温度は40℃に調整した。塩酸水溶液の流通時間は18時間とした。酸性水溶液で処理した後は純水で洗浄して110℃で乾燥した。得られた成形体の摩耗試験後の濁度は252であった。
得られた成形体は、シリコチタネート100重量部に対してシリカを12重量部含み、シリカの平均粒径は80nmであった。
比較例2
得られた粉末生成物100重量部に対して、シリカゾル(商品名:ST-30L、日産化学製)12重量部、カルボキシメチルセルロース(商品名:F-20HC、日本製紙製)6重量部、水76重量部(ゾル由来の水を含む)を用いて成形体とした。成形体の形状は直径0.4mm、長さ0.4~2mmの円柱状とした。使用したシリカゾルに含まれるシリカの平均粒径は45nmであった。得られた円柱状の成形体を用いて酸性水溶液で処理を行った。酸性水溶液としては、0.1mol/Lの塩酸水溶液を使用した。シリコチタネート成形体550mLをガラスカラムに充填して、0.1mol/Lの塩酸水溶液(pH=1)3300mLを線速13.5cm/minで循環流通した。この時、塩酸水溶液の温度は40℃に調整した。塩酸水溶液の流通時間は18時間とした。酸性水溶液で処理した後は純水で洗浄して110℃で乾燥した。得られた成形体の摩耗試験後の濁度は178であった。
得られた成形体は、シリコチタネート100重量部に対してシリカを12重量部含み、シリカの平均粒径は45nmであった。
比較例3
得られた粉末生成物100重量部に対して、スメクタイト系粘土(商品名:LAPONITE-RD、BYK製)12重量部、カルボキシメチルセルロース(商品名:F-20LC、日本製紙製)6重量部、水76重量部(ゾル由来の水を含む)を用いて成形体とした。成形体の形状は直径0.4mm、長さ0.4~2mmの円柱状とした。得られた円柱状の成形体を用いて酸性水溶液で処理を行った。酸性水溶液としては、0.1mol/Lの塩酸水溶液を使用した。シリコチタネート成形体550mLをガラスカラムに充填して、0.1mol/Lの塩酸水溶液(pH=1)3300mLを線速13.5cm/minで循環流通した。この時、塩酸水溶液の温度は40℃に調整した。塩酸水溶液の流通時間は18時間とした。酸性水溶液で処理した後は純水で洗浄して150℃で乾燥した。得られた成形体の摩耗試験後の濁度は169であった。
得られた成形体は、シリコチタネート100重量部に対する無機酸化物は0重量部であった。
本発明は、小粒径シリカ粒子をバインダーに使用することで吸着塔への充填時等に生じる機械的衝撃に対して耐えられる耐摩耗性を有し、なおかつ、高いセシウム及びストロンチウムの選択吸着特性を有するシリコチタネート成形体、該成形体の製造方法、及び該成形体を用いた吸着剤を提供するものである。得られたシリコタネート成形体は、カラム充填時及び被処理液の通水時において成形体からの微粉発生によるカラム性能の低下を抑制でき、なおかつ、海水、地下水に共存するセシウムまたはストロンチウムなどの有害イオンを効率よく処理できる。

Claims (7)

  1. シリコチタネート100重量部に対して、無機酸化物を5重量部以上30重量部以下含み、当該無機酸化物の平均粒径が1nm以上15nm以下である高耐摩耗性シリコチタネート成形体。
  2. 当該シリコチタネートがシチナカイト構造の結晶と、2θ=8.7±0.5°、2θ=10.0±0.5°、2θ=27.8±0.5°又は2θ=29.4±0.5°の少なくとも1つにピークを有し、2θ=21.8±0.5°にピークを有する結晶を含む請求項1に記載の高耐摩耗性シリコチタネート成形体。
  3. 当該無機酸化物が酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化タングステンの少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載の高耐摩性シリコチタネート成形体。
  4. セシウム吸着に対する分配係数が800,000mL/g以上である請求項1又は請求項2に記載の高耐摩耗性シリコチタネート成形体。
  5. ストロンチウム吸着に対する分配係数が4,000mL/g以上である請求項1又は請求項2に記載の高耐摩耗性シリコチタネート成形体。
  6. シリコチタネート100重量部に対して、無機酸化物5重量部以上30重量部以下を含む無機酸化物ゾル、成形助剤1重量部以上10重量部以下、水40重量部以上100重量部以下を混合した後に混錬して、これらを含む混練物を得て、この混練物を成形した後に乾燥したものであり、当該無機酸化物の平均粒径が1nm以上15nm以下である請求項1又は請求項2に記載の高耐摩耗性シリコチタネート成形体の製造方法。
  7. 請求項1又は請求項2に記載の高耐摩耗シリコチタネート成形体を用いたセシウム又はストロンチウムの少なくともいずれかの吸着方法。
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