JP2019098264A - 金属吸着剤並びにそれを用いた金属吸着用加工品、金属吸着用設備及び金属除去方法 - Google Patents

金属吸着剤並びにそれを用いた金属吸着用加工品、金属吸着用設備及び金属除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナトリウム等を含む海水等の液体中であっても、当該液体中に存在する金属、とりわけ、ストロンチウムの吸着能に優れ、且つ生産性が高い金属吸着剤並びにそれを用いた金属吸着用加工品、金属吸着用設備及び金属除去方法を提供する。【解決手段】液体中に含まれる金属を吸着する金属吸着材であって、Na2Mn3O7からなる金属吸着剤である。【選択図】図1

Description

本発明は、金属吸着剤並びにそれを用いた金属吸着用加工品、金属吸着用設備及び金属除去方法に関する。
原子力発電所の事故等によって環境中(例えば、海水及び地下水等)に拡散した放射性金属、あるいは、発電所内に貯蔵されている冷却水及び処理水等に含まれる放射性金属は重篤な健康被害に繋がるものである。
放射性金属の中でもストロンチウム90は、汚染水中に含まれる量が多く、さらに半減期が約30年と長いため、長期間に亘って甚大な影響を人体に及ぼす可能性があり非常に危険である。
そのため、その除染(除去)作業に適した金属吸着剤の実用化が早急に求められており、種々の化学成分及び構造を有する金属吸着剤が検討されている。
例えば、特許文献1には、金属吸着剤としてゼオライトを利用した金属除去方法が記載されており、平均粒径5.0μm以下のモルデナイトからなる天然ゼオライト微粒子を分散手段によって水中に分散してスラリー分散微粒子を生成するスラリー分散微粒子生成工程を有する放射性物質処理剤の製造方法が開示されている。
特許文献2には、金属吸着剤としてチタン酸カリウムを利用した金属除去方法が記載されており、MTi(M:一価カチオン)で表されるチタン酸塩を含む放射性物質吸着材が開示されている。
特許文献3には、金属吸着剤として結晶性シリコチタネートを利用した金属除去方法が記載されており、所定の化学成分組成を有する結晶性シリコチタネートとチタン酸塩とを含むセシウム又はストロンチウムの吸着材が開示されている。
特許文献4には、金属吸着剤として結晶性シリコチタネートを利用した金属除去方法が開示されており、所定の式で示されるセシウムの分配係数が100,000mL/g以上であるシチナカイト構造を有するシリコチタネートが開示されている。
特開2012−247405号公報 特開2013−246145号公報 特開2015−188782号公報 特開2016−164110号公報
しかしながら、上述の特許文献に開示されている技術では、いずれの金属吸着剤(吸着材)も、機能面(金属吸着能)及び生産面(供給及び価格)等の観点から短所があり、これらのバランスに優れた金属吸着剤が得られているとは言い難い。
例えば、ゼオライトは、安価であるため供給面での問題はないが、ナトリウム等の金属を含む海水中ではストロンチウム吸着能が低い。大量のゼオライトを用いることにより、放射性ストロンチウムの吸着量の増加を図ることは可能であるが、大量のゼオライトを用いることは、吸着後の廃棄物の減容化という観点から好ましくない。
チタン酸カリウムも海水中のストロンチウムに対しては吸着能が不十分である。
結晶性シリコチタネートは、海水中でも高いストロンチウム吸着能を示すが、その製造の際、オートクレーブを使用して高温高圧の水熱処理を行う必要があるため、簡素な設備で製造することが困難である。よって価格面及び供給面に問題がある。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、ナトリウム等を含む海水等の液体中であっても、当該液体中に存在する金属、とりわけ、ストロンチウムの吸着能に優れ、且つ生産性が高い金属吸着剤並びにそれを用いた金属吸着用加工品、金属吸着用設備及び金属除去方法を提供することである。
本発明の態様1は、液体中に含まれる金属を吸着する金属吸着材であって、NaMnからなる金属吸着剤である。
本発明の態様2は、NaMnが結晶質である態様1に記載の金属吸着剤である。
本発明の態様3は、NaMnが非晶質である態様1に記載の金属吸着剤である。
本発明の態様4は、NaMnのBET比表面積が3〜40m/gである態様1〜3のいずれかに記載の金属吸着剤である。
本発明の態様5は、バインダーと、当該バインダーに分散した態様1〜4のいずれかに記載の金属吸着剤とを含む金属吸着用加工品である。
本発明の態様6は、態様5に記載の金属吸着用加工品と、当該金属吸着用加工品を保持し、且つ金属を含む液体が流入する容器とを含む金属吸着用設備である。
本発明の態様7は、態様1〜4のいずれかに記載の金属吸着剤又は態様5に記載の金属吸着用加工品を準備する工程と、
前記金属吸着剤又は前記金属吸着用加工品に金属を含む液体を接触させることにより、前記金属吸着剤又は前記金属吸着用加工品に金属を吸着させて、当該液体から当該金属を除去する工程と、
を含む金属除去方法である。
本発明の態様8は、態様5に記載の金属吸着設備を準備する工程と、
前記金属吸着設備の前記容器に金属を含む液体を流入させ、前記金属吸着用加工品に金属を吸着させて、当該液体から当該金属を除去する工程と、
を含む、金属除去方法である。
本発明の態様9は、前記液体に含まれる前記金属がストロンチウムである態様7又は8に記載の金属除去方法である。
本発明の態様10は、前記液体に含まれる前記金属が放射性である態様7〜9のいずれかに記載の金属除去方法である。
本発明により、ナトリウム等を含む海水等の液体中であっても、当該液体中に存在する金属、とりわけ、ストロンチウムの吸着能に優れ、且つ生産性が高い金属吸着剤並びにそれを用いた金属吸着用加工品、金属吸着用設備及び金属除去方法が提供される。
図1は、実施例3のNaMnの粉末X線回折パターンである。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。その結果、NaMnからなる金属吸着剤は、ナトリウム等の金属を含む海水等の液体中であっても、ナトリウム等の影響を受にくく、ストロンチウム等の金属に対する高い吸着能を発揮できることを見出すと共に、NaMnは短時間で生産可能であるため、低コストで製造することができ、生産性が高いことを知見し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明の実施形態に係る金属吸着剤並びにそれを用いた金属吸着用加工品、金属吸着用設備及び金属除去方法の詳細を説明する。
1.金属吸着剤
本発明の実施形態に係る金属吸着剤は、NaMnからなる。本発明の実施形態に係る金属吸着剤は、例えば、金属を含む海水中に浸漬した際、NaMnを構成するNaと海水に含まれる金属とが交換されて、当該金属がNaMn内に取り込まれることにより、金属吸着能を発揮する。本発明の実施形態に係る金属吸着剤は、海水等に含まれる種々の金属の吸着に用いることが可能であり、とりわけ、ストロンチウムの吸着能に優れている。
ここで、本発明の実施形態に係る金属吸着剤の金属吸着能について具体的に説明する。例えば、ストロンチウムが海水に混入した際、通常、ストロンチウムを海水から除去するために、炭酸塩を海水に投入して炭酸ストロンチウムを形成させ、ストロンチウムの大部分を炭酸ストロンチウムとして沈殿させることにより、沈殿物を除去するという方法が採られる。しかし、炭酸ストロンチウムは微量ながらも水に溶解するため(溶解度は、18℃で約0.01g/L)、微量の炭酸ストロンチウムは除去されないまま海水中に残存してしまう。これに対して、本発明の実施形態に係る金属吸着剤は、ppbオーダーの微量の金属を吸着することが可能であるため、炭酸ストロンチウムを除去した後の海水に投入することにより、微量のストロンチウムをさらに除去することができる。
また、従来の金属吸着剤では、海水中に含まれるナトリウム等により、除染ターゲットであるストロンチウムの吸着が阻害されやすく、海水中ではストロンチウム吸着能を発揮できないか、あるいは、ストロンチウム吸着能が非常に低い。これに対して、本発明の実施形態に係る金属吸着剤は、海水中においても高いストロンチウム吸着能発揮することができる。
そのため、本発明の実施形態に係る金属吸着剤は、人体に甚大な悪影響を及ぼす放射性のストロンチウム90の除去に極めて有効である。
以上、ストロンチウムが海水に混入した場合を例に本発明の実施形態に係る金属吸着剤の吸着能を説明したが、本発明の効果はストロンチウム及び海水に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る金属吸着剤において、NaMnは、結晶質であってよく、あるいは、非晶質であってもよい。後述するように、NaMnは、その合成の際の焼成条件により、結晶質及び非晶質のどちらの構造もとることができるため、例えば、生産設備の状況、製造条件及び生産効率等を考慮して、適当な構造を有するNaMnを合成し、本発明の実施形態に係る金属吸着剤を製造してよい。
本発明の実施形態に係る金属吸着剤において、NaMnは、その合成の際に生じる不純物を含み得る。当該不純物は、通常、100質量%のNaMnに対して10質量%程度以下である。
NaMnが結晶質の場合、不純物の量は、例えば、粉末X線回折又はICP発光分析により測定することができる。また、NaMnが非晶質の場合、不純物の量は、例えば、ICP発光分析により測定することができる。
本発明の実施形態に係る金属吸着剤において、NaMnのBET比表面積は、3〜40m/gであることが好ましい。BET比表面積を3〜40m/gにすることにより、金属吸着能がさらに向上する。BET比表面積は、JIS−Z−8830(2013)に規定された方法に従い、N吸着法により求めてよい。
金属吸着剤の形態は特に限定されず、例えば、粉状のNaMnであってよく、あるいは、粉状のNaMnを成形又は造粒して所望の形状としたものであってよい。
2.金属吸着剤の製造方法
以下、本発明の実施形態に係る金属吸着剤の製造方法を説明する。
NaMnの合成において、出発原料として使用するナトリウム源としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム等を用いることができる。出発原料として使用するマンガン源としては、三二酸化マンガン(III)、二酸化マンガン(IV)、炭酸マンガン(II)等を用いることができる。これらの出発原料の粉末を所定の割合で配合して、アルコール等の溶媒中で混合し、当該溶媒を乾燥した後、400〜800℃、好ましくは500〜700℃の温度範囲で焼成することで、Na及びMnを含む複合酸化物、すなわち、NaMnを得ることができる。
NaMnは、その合成の際の焼成条件により、結晶質及び非晶質のどちらの構造もとることができるため、例えば、生産設備の状況、製造条件及び生産効率等を考慮して、適当な構造を有するNaMnを合成し、本発明の実施形態に係る金属吸着剤を製造してよい。
なお、NaMnの合成に用いる手法は固相法に限るものではなく、他の合成法、たとえば、水熱法、ゾルゲル法など、周知の合成法のいずれを用いてもよい。
合成したNaMnの最終形態は粉状でもよく、その利用用途に応じて適宜選択してよい。
上述のように、金属吸着剤の形態は特に限定されず、例えば、粉状のNaMnであってよく、あるいは、粉状のNaMnを成形または造粒して所望の形状にすることにより、金属吸着剤を製造してよい。
3.金属吸着用加工品
本発明の実施形態に係る金属吸着用加工品は、バインダーと、当該バインダーに分散した上述の金属吸着剤とを含む。具体的には、例えば、粉状のNaMnである金属吸着剤をバインダーと混合して成形加工し、フィルター、シート、ペレット等のような金属吸着用加工品とすることができる。バインダーとしては、例えば、シリカゾル及びアルミナセメント等の無機バインダー、並びにポリビニルアルコール及びポリビニルブチラール等の有機バインダーが挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてよく、あるいは、2種以上を併用してもよい。
4.金属吸着用設備
本発明の実施形態に係る金属吸着用設備は、上述の金属吸着用加工品を用いて金属吸着処理、とりわけ、海水等の液体の処理(金属除去、除染)に供するための設備であり、当該金属吸着用加工品と、当該金属吸着用加工品を保持し、且つ金属を含む液体が流入する容器とを含む。具体的には、例えば、ペレット等の金属吸着加工品を充填したカラム、当該カラムを連結した海水処理システム等が挙げられる。
5.金属除去方法
本発明の実施形態に係る金属除去方法は、(1)上述の金属吸着剤又は金属吸着用加工品を準備する工程と、(2)金属吸着剤又は金属吸着用加工品に金属を含む液体を接触させることにより、金属吸着剤又は金属吸着用加工品に金属を吸着させて、液体から金属を除去する工程と、を含む。
金属吸着剤又は金属吸着用加工品に金属を含む液体を接触させる態様は特に限定されず、例えば、金属吸着剤又は金属吸着用加工品を海水に投入することが挙げられる。
また、本発明の別の実施形態に係る金属除去方法は、(1)上述の金属吸着設備を準備する工程と、(2)金属吸着設備の容器に金属を含む液体を流入させ、金属吸着用加工品に金属を吸着させて、液体から金属を除去する工程と、を含む。
金属吸着設備の容器に金属を含む液体を流入させる態様は特に限定されず、例えば、金属吸着加工品を充填したカラムに海水を通すことが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
キシダ化学株式会社製の無水炭酸ナトリウムとキシダ化学株式会社製の炭酸マンガン(II)をNa/Mnのモル比が2/3となるように秤量し、乳鉢にて混合した。この混合粉体を電気炉にて400℃で3時間焼成し、Na及びMnを含む複合酸化物を得た。 得られた複合酸化物について、株式会社リガク製のX線回折装置「MiniFlex」(線源:Cu−Kα)を用いて粉末X線回折パターンを測定したところ、回折パターンが見られなかった。そのため、得られた複合酸化物は、原料と同じくNa/Mnのモル比が2/3の非晶質のNaMnであると判定した。
(実施例2)
キシダ化学株式会社製の無水炭酸ナトリウムとキシダ化学株式会社製の炭酸マンガン(II)をNa/Mnのモル比が2/3となるように秤量し、乳鉢にて混合した。この混合粉体を電気炉にて500℃で3時間焼成し、Na及びMnを含む複合酸化物を得た。 得られた複合酸化物について、株式会社リガク製のX線回折装置「MiniFlex」(線源:Cu−Kα)を用いて粉末X線回折パターンを測定し、NaMnの結晶構造を確認した。
(実施例3)
キシダ化学株式会社製の無水炭酸ナトリウムとキシダ化学株式会社製の炭酸マンガン(II)をNa/Mnのモル比が2/3となるように秤量し、乳鉢にて混合した。この混合粉体を電気炉にて600℃で3時間焼成し、Na及びMnを含む複合酸化物を得た。Na/Mnのモル比は、原料のモル比と同じであった。得られた複合酸化物について、実施例2と同様にして粉末X線回折パターンを測定し、NaMnの結晶構造を確認した。得られた粉末X線回折パターンを図1に示す。
(実施例4)
キシダ化学株式会社製の無水炭酸ナトリウムとキシダ化学株式会社製の炭酸マンガン(II)をNa/Mnのモル比が2/3となるように秤量し、乳鉢にて混合した。この混合粉体を電気炉にて700℃で3時間焼成し、Na及びMnを含む複合酸化物を得た。得られた複合酸化物について、実施例2と同様にして粉末X線回折パターンを測定し、NaMnの結晶構造を確認した。
(実施例5)
キシダ化学株式会社製の無水炭酸ナトリウムとキシダ化学株式会社製の炭酸マンガン(II)をNa/Mnのモル比が2/3となるように秤量し、乳鉢にて混合した。この混合粉体を電気炉にて800℃で3時間焼成し、Na及びMnを含む複合酸化物を得た。Na/Mnのモル比は、原料のモル比と同じであった。得られた複合酸化物について、実施例2と同様にして、NaMnの結晶構造を確認した。
(比較例1)
和光純薬工業株式会社製の合成ゼオライトA−4をそのまま用いた。合成ゼオライトA−4について、実施例2と同様にして粉末X線回折パターンを測定し、NaO・Al・2SiOの結晶構造を確認した。
(比較例2)
キシダ化学株式会社製の無水炭酸カリウムと富士チタン工業株式会社製の酸化チタンをK/Tiのモル比が1/1となるように秤量し、乳鉢にて混合した。この混合粉体を電気炉にて800℃で3時間焼成してハンマーミルで粉状に粉砕し、チタン酸カリウムを得た。得られたチタン酸カリウムについて、実施例2と同様にして粉末X線回折パターンを測定し、KTiの結晶構造を確認した。
(比較例3)
水酸化ナトリウム水溶液中にキシダ化学株式会社製のチタン(IV)イソプロポキシドとキシダ化学株式会社製のテトラエトキシシランをSi/Tiのモル比が1/2となるように添加し、170℃で7日間撹拌して反応させた。この懸濁液をpH12.5以下まで濾過による水洗を行い、120℃で乾燥してハンマーミルで粉状に粉砕し、結晶性シリコチタネートを得た。得られた結晶性シリコチタネートについて、実施例2と同様にして粉末X線回折パターンを測定し、NaO・SiO・2TiO結晶構造を確認した。
(BET比表面積測定)
実施例1〜5及び比較例1〜3に記載の粉体試料について、株式会社島津製作所製の前処理装置「デソーブ2300A」及び比表面積計「FlowSorb III 2305」を用いて、JIS−Z8830(2013)に規定された方法に従って、窒素吸着法一点法によりBET比表面積を測定した。
(ストロンチウム吸着能の評価)
まず、富田製薬株式会社の人工海水製造用薬品であるマリンアートSF−1をイオン交換水に溶かし、塩化ナトリウム22.1g/L、塩化マグネシウム六水和物9.9g/L、塩化カルシウム二水和物1.5g/L、無水硫酸ナトリウム3.9g/L、塩化カリウム0.61g/L、炭酸水素ナトリウム0.19g/L、臭化カリウム96mg/L、ホウ砂78mg/L、無水塩化ストロンチウム13mg/L、フッ化ナトリム3mg/L、塩化リチウム1mg/L、ヨウ化カリウム81μg/L、塩化マンガン四水和物0.6μg/L、塩化コバルト六水和物2μg/L、塩化アルミニウム六水和物8μg/L、塩化第二鉄六水和物5μg/L、タングステン酸ナトリム二水和物2μg/L、モリブデン酸アンモニウム四水和物18μg/Lの試験原水を作製した。試験原水の一部を採取して、アジレント・テクノロジー・インターナショナル株式会社製のICP質量分析計(ICP−MS)「Agilent 7700x」により分析したところ、試験原水のストロンチウム濃度は7.3mg/Lであった。次に、ビーカーに粉体試料を0.1g秤量し、試験原水を100ml加えた。撹拌機を用いて48時間撹拌した後、25℃で1時間静置し、その後、5Cの濾紙を用いて濾過した。濾液中のストロンチウム濃度をICP−MSで測定し、ストロンチウム除去率を下記(1)式で算出し、それを粉体試料のストロンチウム吸着能(吸着率)とした。

ストロンチウム除去率(ストロンチウム吸着能[%]
=(試験原水のストロンチウム濃度[mg/L]−濾液のストロンチウム濃度[m/L])/試験原水のストロンチウム濃度[mg/L]×100 (1)
各測定結果を表1に示す。
Figure 2019098264
実施例1〜5は、ストロンチウム除去率が30.1〜54.8%と高く、ストロンチウム吸着能に優れており、また、電気炉で3時間の焼成で合成することができ、生産性が高かった。
400℃で焼成した実施例1は、結晶化が進まず非晶質のNaMnが得られており、焼結が進まずBET比表面積が比較的高かったが、ストロンチウム除去率が34.2%と高く、ストロンチウム吸着能に優れていた。
800℃で焼成した実施例5は、焼結の進行によりBET比表面積が比較的低かったが、ストロンチウム除去率が30.1%と高く、ストロンチウム吸着能に優れていた。
500〜700℃で焼成した実施例2〜4は、BET比表面積が3〜40m/gの範囲に制御されているため、ストロンチウム除去率が41.1%以上と非常に高く、特にストロンチウム吸着能に優れていた。
一方、比較例1(合成ゼオライト)及び比較例2(チタン酸カリウム)は、ストロンチウム除去率がそれぞれ、19.2%、6.8%と低く、ストロンチウム吸着能が劣っていた。
比較例3(結晶性シリコチタネート)は、ストロンチウム除去率は54.8%と高いものの、合成の際、170℃で7日との非常に長い熱処理を要するため、コストが高く、生産性が低かった。
本発明の実施形態に係るNaMnからなる金属吸着剤は、ナトリウム等を含む海水中であっても、ストロンチウム等の金属の吸着が阻害されにくく、優れた金属吸着能を有しているため、例えば、海水中に含まれる金属、とりわけ、ストロンチウムの除去に有効である。そのため、本発明の実施形態に係るNaMnからなる金属吸着剤は、例えば、放射性金属の除染による水質改善や土壌改善等の分野で特に有効である。
また、本発明の実施形態に係るNaMnからなる金属吸着剤は、短時間で製造することができるため、低コストで製造することができ、また、単位時間当たりに大量に製造することができるため、生産性が高い。
このように、本発明の実施形態に係るNaMnからなる金属吸着剤は、機能面(金属吸着能)及び生産面(供給及び価格)等のバランスに優れており、除染のような技術分野のみならず、金属吸着に関する様々な技術分野での利用及び応用も期待できる。

Claims (10)

  1. 液体中に含まれる金属を吸着する金属吸着材であって、NaMnからなる金属吸着剤。
  2. NaMnが結晶質である請求項1に記載の金属吸着剤。
  3. NaMnが非晶質である請求項1に記載の金属吸着剤。
  4. NaMnのBET比表面積が3〜40m/gである請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属吸着剤。
  5. バインダーと、当該バインダーに分散した請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属吸着剤とを含む金属吸着用加工品。
  6. 請求項5に記載の金属吸着用加工品と、当該金属吸着用加工品を保持し、且つ金属を含む液体が流入する容器とを含む金属吸着用設備。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属吸着剤又は請求項5に記載の金属吸着用加工品を準備する工程と、
    前記金属吸着剤又は前記金属吸着用加工品に金属を含む液体を接触させることにより、前記金属吸着剤又は前記金属吸着用加工品に金属を吸着させて、当該液体から当該金属を除去する工程と、
    を含む金属除去方法。
  8. 請求項5に記載の金属吸着設備を準備する工程と、
    前記金属吸着設備の前記容器に金属を含む液体を流入させ、前記金属吸着用加工品に金属を吸着させて、当該液体から当該金属を除去する工程と、
    を含む、金属除去方法。
  9. 前記液体に含まれる前記金属がストロンチウムである請求項7又は8に記載の金属除去方法。
  10. 前記液体に含まれる前記金属が放射性である請求項7〜9のいずれか1項に記載の金属除去方法。
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