JP6664631B2 - リン吸着剤、吸着剤の製造方法および吸着剤を用いた吸着方法 - Google Patents

リン吸着剤、吸着剤の製造方法および吸着剤を用いた吸着方法 Download PDF

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Description

本発明は、層状複水酸化物を含む吸着剤に関する。
現在、発展途上国では、リンによる閉鎖性水域の富栄養化が深刻化している。一方、世界のリン鉱石資源は数十年で枯渇する可能性がある。そのため、リンの有効な回収方法や、簡易な方法でリンを除去する技術が求められている。リン回収材としては、各種のイオン交換樹脂が知られているが、高価であり、発展途上国で使用することは難しい。
また、リン酸イオン等の陰イオンを除去するその他の材料として、層状複水酸化物が知られている。例えば、水溶液から硝酸イオン、リンおよびヒ素を同時かつ選択的に吸着できる吸着剤として、Mg−Al系ハイドロタルサイトを有する吸着剤が考案されている(特許文献1参照)。
特開2009−178682号公報
しかしながら、一般的に用いられるMg−Al系層状複水酸化物は、酸性・中性付近の溶液と接触することにより一部が溶解する。そのため、Mg−Al系層状複水酸化物を吸着剤として利用するためには更なる改善の余地がある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、所望の吸着性能を維持しつつ溶出しにくい吸着剤の技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のリン吸着剤は、2価の金属イオンとしてMg 2+ を有し、3価の金属イオンとしてAl 3+ を有する層状複水酸化物を含有し、層状複水酸化物のAlサイトの一部がジルコニウムまたはセリウムで置換されている
この態様によると、リン酸等を吸着しつつ、溶出しにくい吸着剤を実現できる。
吸着剤は、層状複水酸化物とは異なる化合物であって、ジルコニウムと酸素を含む化合物を更に含有してもよい。これにより、より溶出しにくい吸着剤を実現できる。
化合物は、4価のジルコニウムを含む化合物であり、吸着剤全体に対して1〜85重量%含有されていてもよい。
吸着剤は、層状複水酸化物とは異なる化合物であって、セリウムと酸素を含む化合物を更に含有してもよい。これにより、より溶出しにくい吸着剤を実現できる。
化合物は、4価のセリウムを含む化合物であり、吸着剤全体に対して1〜85重量%含有されていてもよい。
本発明の別の態様は、吸着剤の製造方法である。この方法は、塩化マグネシウムと、塩化アルミニウムと、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムと、を混合して混合溶液を作成し、該混合溶液をアルカリ状態に保ちながら層状複水酸化物を形成する。
この態様によると、リン酸等を吸着しつつ、溶出しにくい吸着剤を簡易に製造できる。
混合溶液に加える前記塩化マグネシウムをAモル、塩化アルミニウムをBモル、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムをCモルとする場合、
A>B+C・・・式(2)
式(2)を満たしてもよい。
前記混合溶液に加える塩化アルミニウムをBモル、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムをCモルとする場合、
4<B/C≦9・・・式(3)
式(3)を満たしてもよい。
混合溶液に加える塩化アルミニウムをBモル、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムをCモルとする場合、
0<B/C<2・・・式(4)
式(4)を満たしてもよい。
本発明の更に別の態様は、吸着剤を用いた吸着方法である。この吸着方法は、上述の吸着剤と、リン酸を含む水溶液とを混合する。
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
本発明によれば、所望の吸着性能を維持しつつ溶出しにくい吸着剤の技術を提供することができる。
比較例に係る共沈法(a)、水熱法(b)、尿素法(c)で生成した生成物の粉末X線回折(XRD)パターンを示す図である。 本実施の形態に係る共沈法(d)、水熱法(e)、尿素法(f)で生成した生成物(Ce含有LDH)の粉末X線回折(XRD)パターンを示す図である。 本実施の形態に係る共沈法(g)、水熱法(h)、尿素法(i)で生成した生成物(Zr含有LDH)の粉末X線回折(XRD)パターンを示す図である。 図4(a)は、比較例の尿素法で製造したLDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図4(b)は、比較例の水熱法で製造したLDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図4(c)は、比較例の共沈法で製造したLDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図5(a)は、本実施の形態の尿素法で製造したCe含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図5(b)は、本実施の形態の水熱法で製造したCe含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図5(c)は、本実施の形態の共沈法で製造したCe含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図6(a)は、本実施の形態の尿素法で製造したZr含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図6(b)は、本実施の形態の水熱法で製造したZr含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図6(c)は、本実施の形態の共沈法で製造したZr含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 図7(a)は、比較例に係るLDHのリン吸着率を示す図、図7(b)は、比較例に係るLDHのマグネシウム溶出量を示す図である。 図8(a)は、本実施の形態に係るCe含有LDHのリン吸着率を示す図、図8(b)は、本実施の形態に係るCe含有LDHのマグネシウム溶出量を示す図である。 図9(a)は、本実施の形態に係るZr含有LDHのリン吸着率を示す図、図9(b)は、本実施の形態に係るZr含有LDHのマグネシウム溶出量を示す図である。 各LDHにおけるリン吸着率とマグネシウム溶出率を比較するための図である。 Al/Zrのモル比が2〜9の場合のX線回折パターンを示す図である。 AlとZrとのモル比を変化させてそれぞれ製造したLDHのマグネシウム溶出率を比較した図である。 共沈法と水熱法で製造したLDHのマグネシウム溶出率を比較した図である。
はじめに、本発明者が本願発明をなすに至った経緯について説明する。上述のような状況の下、本発明者らが鋭意検討した結果、層状複水酸化物を構成する一部の元素を置換することで、溶液安定性つまり溶液に溶けにくい吸着剤を実現できることに想到した。このような吸着剤によれば、例えば、所望の物質を吸着した層状複水酸化物が水溶液に溶出するといった状況を抑制することが期待される。
本願発明はその成果であり、以下に実施の形態として、リン酸等を吸着しつつ、水溶液に溶出しにくい、Mg−Al系の層状複水酸化物を含む吸着剤、その製造方法、および吸着剤を用いた吸着方法について説明する。
具体的には、Mg−Al系の層状複水酸化物に、高い溶液安定性を有するジルコニウム(Zr(IV))やセリウム(Ce(IV))を含有させた層状複水酸化物またはジルコニウムやセリウムを含む化合物と層状複水酸化物との複合体を合成し、水溶液中で安定なリン吸着剤を実現する技術である。
(層状複水酸化物)
以下、本実施の形態の構成をさらに詳細に説明する。本実施の形態において好適に用いられる層状複水酸化物は、例えば共沈法、水熱法、尿素法などの方法により得ることができる。
層状複水酸化物は、例えば、下記一般式
[M2+ 1−x3+ (OH)x+・[An− x/n・mHO]x−
で表される2価−3価の金属イオンの組合せで基本層を構成する不定比化合物が知られている。M2+は、Mg,Ca,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn等に代表される2価の金属の少なくとも1種、M3+は、Al,Fe,Cr,Ga,In等に代表される3価の金属の少なくとも1種、An−は、OH-,Cl,Br,CO 2−,NO 2−,SO 2−,Fe(CN) 4−,酒石酸イオンで表されるn価のイオン交換性アニオンの少なくとも1種である。2価−3価系では、一般式に示される不定比化合物であり(0<x≦0.4)、多様な組合せ、組成比の化合物を合成することが可能である。
結晶構造の概略は、2価金属M2+の一部を3価金属M3+が置換することによりプラス電荷を持ったBrucite Mg(OH)に類似の基本層ができることから、電気的中性を保つためにマイナス荷電の中間層からなる層状構造をとる。
ここで、層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide:LDH)とは、以下に述べるハイドロタルサイト(Hydrotalcite)およびハイドロタルサイト類を含む総称である。
ハイドロタルサイトは元々天然鉱物MgAl(OH)16CO・4〜5HOに与えられた名称であるが、その後これと同じ結晶構造をもつ鉱物が多数発見され、合成もされた。そして、上記一般式でM2+がMg2+、M3+がAl3+である化合物がハイドロタルサイトと呼ばれ、それ以外の一般式の化合物は通称ハイドロタルサイト類と呼ばれている。これらのハイドロタルサイトおよびハイドロタルサイト類はプラスに電荷した基本層と、そのプラスを電気的に中和するアニオンと結晶水を持つ中間層からなる構造単位を有し、構造破壊温度に違いがある他はほとんど似た性質を示すことが知られており、固体塩基性及び陰イオン交換能をもち、インターカレーション反応・再生反応といった特異的な反応を示す。
本実施の形態に係る吸着剤は、上述の一般式で表された層状複水酸化物のうち、2価の金属イオンとしてMg2+を有し、3価の金属イオンとしてAl3+を有する層状複水酸化物を含むものである。具体的には、以下の式(1)で表される層状複水酸化物を含む。
[Mg2+ 1−x(Al3+ x−y3+ )(OH)x+・[An− x/n・mHO]x−・・・式(1)
(ここで、0<x≦0.4、0<y<0.4、0<m、nは1から4の自然数、M3+は3価の金属イオンからなる群より選択される少なくともジルコニウムまたはセリウムを含む1種以上の金属イオン、An−は、n価のイオン交換性アニオンの少なくとも1種である。)
(層状複水酸化物の製造方法)
[共沈法によるZrまたはCe含有塩素型Mg−Al系LDHの合成]
次に、ZrまたはCe含有する層状複水酸化物の製造方法について説明する。はじめに、塩化マグネシウム(MgCl)と塩化アルミニウム(AlCl)の混合溶液に、オキシ塩化ジルコニウム(ジクロロオキソジルコニウム:ClOZr)または塩化セリウム(CeCl)の溶液を加えてMg:Al:Zr またはMg:Al:Ceが6:1:1となるように調製した。その混合溶液を、水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ状態(例えば、pH10)に保ちながら純水中に滴下することによりLDHを合成した。なおLDH層間への炭酸イオンの混入を最小限にするため、純水を窒素ガスでバブリングしながら合成した。
滴下された混合溶液は、その後30分熟成され、蒸留水で十分ろ過洗浄された後、凍結乾燥器を用いて生成物が得られる。この場合、乾燥法は乾燥器による乾燥、スプレードライ法、真空乾燥法などいかなる乾燥法でもよい。
[水熱法によるZrまたはCe含有塩素型Mg−Al系LDHの合成]
上述の共沈法で得たLDH0.5gと純水30mLをテフロン(登録商標)容器に封入し、80℃の恒温器で24時間反応させた。その後、蒸留水でろ過洗浄を行い、凍結乾燥を用いて生成物を得た。
[尿素法によるZrまたはCe含有塩素型Mg−Al系LDHの合成]
はじめに、塩化マグネシウム(MgCl)と塩化アルミニウム(AlCl)の混合溶液に、オキシ塩化ジルコニウム(ジクロロオキソジルコニウム:ClOZr)または塩化セリウム(CeCl)の溶液を加えてMg:Al:Zr またはMg:Al:Ceのモル比が6:1:1となるように調製した。この混合溶液と尿素をテフロン容器に入れ、80℃の恒温器で1週間反応させた。その後、蒸留水でろ過洗浄を行い、凍結乾燥を用いて生成物を得た。なお、混合溶液に加える塩化マグネシウムをAモル、塩化アルミニウムをBモル、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムをCモルとする場合、A>B+Cを満たすとよく、より好ましくは、A>(B+C)×2.9であるとよい。
[比較例の製造方法]
上述の共沈法、水熱法および尿素法において、Mg:Alが2:1となるように混合溶液を調整した以外は製造方法は同様である。なお、比較例に係るLDHではZrやCeは含まれていない。
図1は、比較例に係る共沈法(a)、水熱法(b)、尿素法(c)で生成した生成物の粉末X線回折(XRD)パターンを示す図である。図2は、本実施の形態に係る共沈法(d)、水熱法(e)、尿素法(f)で生成した生成物(Ce含有LDH)の粉末X線回折(XRD)パターンを示す図である。図3は、本実施の形態に係る共沈法(g)、水熱法(h)、尿素法(i)で生成した生成物(Zr含有LDH)の粉末X線回折(XRD)パターンを示す図である。
図1〜図3のいずれのパターンにおいてもLDHのピーク(●)が見られており、LDHが生成されていることがわかる。また、図2の共沈法(d)や水熱法(e)で生成した生成物では、LDH以外にCeOのピーク(△)が見られており、尿素法(f)で生成した生成物では更にCeCOOHのピーク(□)も見られている。Ce含有LDHの場合、CeOやCeCOOHの回折線が確認できたことから、LDH自体の生成量が低いことがわかる。また、水熱法、尿素法で合成した生成物ではLDHの回折線が強く現れており、結晶性の向上が見られた。
また、図3のいずれのパターンにおいても、LDHのピーク以外に2θ=30度付近にブロードな回折線が見られ、酸化ジルコニウムが存在することが示唆される。
図4(a)は、比較例の尿素法で製造したLDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図4(b)は、比較例の水熱法で製造したLDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図4(c)は、比較例の共沈法で製造したLDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。図5(a)は、本実施の形態の尿素法で製造したCe含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図5(b)は、本実施の形態の水熱法で製造したCe含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図5(c)は、本実施の形態の共沈法で製造したCe含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。図6(a)は、本実施の形態の尿素法で製造したZr含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図6(b)は、本実施の形態の水熱法で製造したZr含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図、図6(c)は、本実施の形態の共沈法で製造したZr含有LDHの走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
図4(a)や図6(a)に示すように、尿素法で合成した比較例に係るLDHや、Zr含有LDHでは、六角板状結晶が観察された。また、図4(b)、図4(c)、図5(b)、図5(c)、図6(b)、図6(c)に示す共沈法や水熱法で生成した各LDHにおいては、層状の結晶が観察された。特にZrやCeを含有するLDHにおいて、はっきり観察された。
比較例に係るLDHや、ZrまたはCe含有LDHにおけるMg、Zr、Ceの含有率を表1に示す。このように、LDHを含む生成物は、LDHとは異なる化合物であって、ジルコニウムやセリウムと酸素とを含む化合物を更に含有している場合がある。これにより、より溶出しにくい吸着剤を実現できる。
表1に示すように、化合物は、4価のジルコニウムを含む化合物(ZrO)や4価のセリウムを含む化合物(CeO)であり、吸着剤全体に対して1〜85重量%含有されているとよい。4価のジルコニウムを含む化合物の場合、好ましくは、40〜60%程度であるとよい。また、4価のセリウムを含む化合物の場合、好ましくは、30〜85%程度、更に好ましくは、20〜40%程度であるとよい。
(吸着剤を用いた吸着方法)
次に、各LDHのリン吸着率およびMg溶出率について説明する。各LDHをスピッチ管に取り、リン酸水素二ナトリウム水溶液(P:30ppm)30mLを加え、24時間固液接触させた。接触後ろ過分離し、液相中のP及びMg2+濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−OES)により測定した。
図7(a)は、比較例に係るLDHのリン吸着率を示す図、図7(b)は、比較例に係るLDHのマグネシウム溶出量を示す図である。図8(a)は、本実施の形態に係るCe含有LDHのリン吸着率を示す図、図8(b)は、本実施の形態に係るCe含有LDHのマグネシウム溶出量を示す図である。図9(a)は、本実施の形態に係るZr含有LDHのリン吸着率を示す図、図9(b)は、本実施の形態に係るZr含有LDHのマグネシウム溶出量を示す図である。
例えば、共沈法で得られたZr含有LDHでは、リンの吸着率は96.1%、LDHの主成分であるマグネシウムの溶出率は0.91%であった。ここで、溶出率とは、
(溶出量(ppm)/試料中のMg量(ppm))×100(%)
で定義される。
一方、比較例の共沈法で得られたLDHでは、リンの吸着率は99.9%と高かったが、マグネシウムの溶出率は3.37%と1%を超えていた。
また、水熱法で得られたZr含有LDHでは、リンの吸着率は98.2%、マグネシウムの溶出率は0.30%であった。
また、水熱法で得られたCe含有LDHでは、リンの吸着率は99.3%、マグネシウムの溶出率は0.17%であった。
また、比較例の水熱法で得られたLDHでは、リンの吸着率は99.6%と高かったが、マグネシウムの溶出率は2.40%と1%を超えていた。
図10は、各LDHにおけるリン吸着率とマグネシウム溶出率を比較するための図である。図10に示すように、水熱法で製造したCe含有LDHやZr含有LDH、尿素法で製造したZr含有LDHは、リンの吸着率が非常に高く、マグネシウムの溶出率が非常に低い(1%未満)ことがわかる。したがって、これらのLDHを用いることで、リン酸等を吸着しつつ、溶出しにくい吸着剤を実現できる。
次に、ZrやCeがLDHのどこに存在するか考察する。表2は、混合溶液を調整する際に加える3価の金属であるAlとZrとのモル比を変化させたときの、Mg/(Al+Zr)のモル比を示したものである。表2に示すように、Al/Zrのモル比を変化させても、Mg/(Al+Zr)のモル比は2.97〜3.31程度と大きく変わっていないことがわかる。図11は、Al/Zrのモル比が2〜9の場合のX線回折パターンを示す図である。図11に示す各パターンでは、LDHのピーク(●)は見られるものの、酸化ジルコニウム等のピークは見られない。つまり、各LDHにおいてAlのサイトがZrで置換されていることが示唆されている。
図12は、AlとZrとのモル比を変化させてそれぞれ製造したLDHのマグネシウム溶出率を比較した図である。図12に示すように、Al/Zrが5〜9の場合、比較例に係るLDH(Zrを含有せず)よりマグネシウムの溶出率が低下する。つまり、混合溶液に加える塩化アルミニウムをBモル、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムをCモルとする場合、
4<B/C≦9・・・式(3)
を満たすとよい。
ZrがLDHの基本層のAlの一部と置換することでMgの溶出が抑えられたと推察される。一方、Al/Zrが小さい場合、過剰なZrが酸化ジルコニウム等となってLDH自体を被覆し、マグネシウムの溶出率が低下すると推察される。したがって、混合溶液に加える塩化アルミニウムをBモル、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムをCモルとする場合、
0<B/C<2・・・式(4)
を満たすとよい。
図13は、共沈法と水熱法で製造したLDHのマグネシウム溶出率を比較した図である。図13に示すように、Al/Zrのモル比が2〜4の場合、水熱法により製造したLDHは、共沈法で製造したLEDと比較して、マグネシウムの溶出を更に抑制できる。また、Al/Zrのモル比が5〜9の場合、水熱法により製造したLDHは、共沈法で製造したLEDとほぼ同程度に、マグネシウムの溶出を抑制できる。
(ゼオライト粒子との複合化)
上述のZrまたはCe含有LDHとゼオライト粒子(粒径2.36〜4.75mm)とを混合して吸着剤とすることで、水溶液中の陰イオンと陽イオン両方を吸着除去することができる。また、ゼオライト粒子と本実施の形態に係るLDHとを複合化することで、カラム法に利用できる吸着剤を実現することもできる。
以上、本発明を上述の実施の形態や実施例を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態や各実施例に限定されるものではなく、実施の形態や各実施例の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態や各実施の形態における組合せや工程の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態や各実施例も本発明の範囲に含まれうる。

Claims (11)

  1. 2価の金属イオンとしてMg2+を有し、3価の金属イオンとしてAl3+を有する層状複水酸化物を含有し、
    前記層状複水酸化物のAlサイトの一部がジルコニウムで置換されているリン吸着剤であって
    塩化マグネシウムと、塩化アルミニウムと、ジクロロオキソジルコニウムと、を混合して混合溶液を作成し、
    該混合溶液をアルカリ状態に保ちながら水中に滴下することにより層状複水酸化物を形成し、
    前記層状複水酸化物を形成した後、該層状複水酸化物をろ過して乾燥させることで吸着剤を形成し、
    前記吸着剤を水と混合した状態とし、50〜100℃の範囲で所定時間反応させることで得られるリン吸着剤。
  2. 前記層状複水酸化物とは異なる化合物であって、ジルコニウムと酸素を含む化合物を更に含有することを特徴とする請求項1に記載のリン吸着剤。
  3. 前記化合物は、4価のジルコニウムを含む化合物であり、吸着剤全体に対して1〜85重量%含有されていることを特徴とする請求項2に記載のリン吸着剤。
  4. 2価の金属イオンとしてMg2+を有し、3価の金属イオンとしてAl3+を有する層状複水酸化物を含有し、
    前記層状複水酸化物のAlサイトの一部がセリウムで置換されているリン吸着剤であって、
    塩化マグネシウムと、塩化アルミニウムと、塩化セリウムと、を混合して混合溶液を作成し、
    該混合溶液をアルカリ状態に保ちながら水中に滴下することにより層状複水酸化物を形成し、
    前記層状複水酸化物を形成した後、該層状複水酸化物をろ過して乾燥させることで吸着剤を形成し、
    前記吸着剤を水と混合した状態とし、50〜100℃の範囲で所定時間反応させることで得られるリン吸着剤
  5. 前記層状複水酸化物とは異なる化合物であって、セリウムと酸素を含む化合物を更に含有することを特徴とする請求項に記載のリン吸着剤。
  6. 前記化合物は、4価のセリウムを含む化合物であり、吸着剤全体に対して1〜85重量%含有されていることを特徴とする請求項に記載のリン吸着剤。
  7. 塩化マグネシウムと、塩化アルミニウムと、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムと、を混合して混合溶液を作成し、
    該混合溶液をアルカリ状態に保ちながら水中に滴下することにより層状複水酸化物を形成し、
    前記層状複水酸化物を形成した後、該層状複水酸化物をろ過して乾燥させることで吸着剤を形成し、
    前記吸着剤を水と混合した状態とし、50〜100℃の範囲で所定時間反応させることを特徴とする吸着剤の製造方法。
  8. 前記混合溶液に加える前記塩化マグネシウムをAモル、塩化アルミニウムをBモル、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムをCモルとする場合、
    A>B+C・・・式(2)
    式(2)を満たすことを特徴とする請求項に記載の吸着剤の製造方法。
  9. 前記混合溶液に加える塩化アルミニウムをBモル、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムをCモルとする場合、
    4<B/C≦9・・・式(3)
    式(3)を満たすことを特徴とする請求項またはに記載の吸着剤の製造方法。
  10. 前記混合溶液に加える塩化アルミニウムをBモル、塩化セリウムまたはジクロロオキソジルコニウムをCモルとする場合、
    0<B/C<2・・・式(4)
    式(4)を満たすことを特徴とする請求項またはに記載の吸着剤の製造方法。
  11. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のリン吸着剤と、リン酸を含む水溶液とを混合することを特徴とする吸着剤を用いた吸着方法。
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