JP4015212B2 - イオン交換剤 - Google Patents

イオン交換剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4015212B2
JP4015212B2 JP22031196A JP22031196A JP4015212B2 JP 4015212 B2 JP4015212 B2 JP 4015212B2 JP 22031196 A JP22031196 A JP 22031196A JP 22031196 A JP22031196 A JP 22031196A JP 4015212 B2 JP4015212 B2 JP 4015212B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
titanate
alkali metal
ion exchange
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP22031196A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1043609A (ja
Inventor
徳雄 吹田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Original Assignee
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ishihara Sangyo Kaisha Ltd filed Critical Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Priority to JP22031196A priority Critical patent/JP4015212B2/ja
Publication of JPH1043609A publication Critical patent/JPH1043609A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4015212B2 publication Critical patent/JP4015212B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた陽イオン交換能を有する無機質イオン交換剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機質イオン交換剤は、地下かん水や海水からのリチウムイオンの回収、海水からのウランの回収、放射性廃液中のストロンチウムイオン、銅イオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオンなどの固定、あるいは銀イオンを含有した廃液からの銀イオンの回収などに有用なものである。さらに、無機質イオン交換剤は、特定の分子のみをその層間に吸着できる、いわゆる選択吸着性を有する分子ふるいとしての利用も期待されている。このような無機質イオン交換剤として、チタン酸アルカリ金属塩が主に研究の対象にされてきた。このチタン酸アルカリ金属塩は、チタン酸イオン層の酸素とアルカリ金属イオンとの結合が比較的弱いために、アルカリ金属イオンが他の陽イオンと交換しやすいことを利用したものである。また、前記のチタン酸アルカリ金属塩を脱アルカリして得られたチタン酸化合物は、水素イオンが他の陽イオンと交換しやすいことを利用したものであり、しかも、チタン酸イオン層が作る層間に、各種の陽イオンを効率よく取り込むことができるものである(特開昭59─150543号公報、特開昭61─72623号公報、特開昭61─129041号公報、特開昭61─256922号公報、特開平1─249138号公報、特開平2─102705号公報などを参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記のチタン酸アルカリ金属塩は、専ら、酸化チタン、チタン酸化合物などのチタン源とアルカリ金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などのアルカリ源とを混合し、次いで、600〜1300℃で加熱溶融することにより得られたものを用いている。この方法で得られたチタン酸アルカリ金属塩は、加熱の影響でチタン酸イオンの層間がくずれやすいなどのために、イオン交換能が低いという問題がある。また、前記の方法で得られたチタン酸アルカリ金属塩を脱アルカリしても、アルカリが多く残存しやすいなどのために、イオン交換能が低いという問題がある。しかも、高温度で加熱溶融した後、湿式で脱アルカリする工程を経るなど製造工程が煩雑であるために、廉価に製造できないという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、優れたイオン交換能を有するイオン交換剤を得るために、チタン酸アルカリ金属塩または該チタン酸アルカリ金属塩を脱アルカリして得られたチタン酸化合物のイオン交換能をより一層改善すべく種々検討した結果、(1)チタン化合物とアンモニウム化合物とを水中で反応させてチタン酸化合物を得る第一の工程と、該チタン酸化合物とアルカリ金属化合物とを水中で反応させる第二の工程とを経て得られたチタン酸アルカリ金属塩が優れたイオン交換能を有すること、また、(2)前記の第一の工程、第二の工程を経て得られたチタン酸アルカリ金属塩よりアルカリ金属を除去する第三の工程を経て得られたチタン酸化合物が優れたイオン交換能を有すること、さらに、(3)前記の第三の工程を経て得られたチタン酸化合物とアルカリ化合物とを水中で反応させる第四の工程を経て得られたチタン酸塩が優れたイオン交換能を有することなどを見出し、その後さらに検討して、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、優れたイオン交換能を有するイオン交換剤を提供することにある。
【0006】
本発明のイオン交換剤は、その粒子形状は板状に制御することができる。板状形状とは、薄片状、鱗片状、雲母状といわれる形状を包含し、厚み(粒子の最も短い軸の長さ)に対する、最長径(粒子の最も長い軸の長さ)の比(アスペクト比)と、粒子幅(粒子の最も長い軸と最も短い軸の両方と直角に交わる軸の長さ)の比が、いずれも2以上のものである。また、最長径に対する粒子幅の比は0.5〜1程度である。このような粒子形状は電子顕微鏡観察により確認することができる。また、本発明のイオン交換剤は、微粒子状に大きさが制御することができる。粒子の最長径および粒子幅は0.005〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜1μmの範囲、もっとも好ましくは0.05〜0.5μmの範囲である。イオン交換剤の粒子径が前記上限範囲より大きいと、イオン交換能の特性が低下しやすいため好ましくない。また、本発明のイオン交換剤は、粒子の厚みを薄く制御することができ、前記の特性の点から好ましくは2〜200nmの範囲、より好ましくは4〜100nmの範囲、もっとも好ましくは4〜50nmの範囲とすることができる。本発明のイオン交換剤は微粒子であるため、1〜300m2 /g程度の大きい比表面積を有したものであり、イオン交換剤に好適であり、より好適な比表面積は5〜150m2 /gの範囲である。また、本発明のイオン交換剤は、粒子内に空隙を有するものとすることができる。その空隙内に物質やイオンを捕捉することができ、イオン交換剤に用いる際の特性に優れているため、好ましいものである。空隙量は0.01〜1ml/g程度であり、より好ましくは0.05〜0.7ml/gの範囲である。
【0007】
本発明の第一は、チタン化合物とアンモニウム化合物とを水中で反応させてチタン酸化合物を得る第一の工程と、該チタン酸化合物とアルカリ金属化合物とを水中で反応させる第二の工程とを経て得られたチタン酸アルカリ金属塩からなることを特徴とするイオン交換剤である。まず、第一の工程はチタン酸化合物を得る工程であって、それに用いるチタン化合物としては、硫酸チタン、硫酸チタニル、塩化チタンなどの水溶性無機チタン化合物やチタンアルコキシドなどの有機チタン化合物の1種または2種以上を用いることができ、特に、チタン酸化合物内の不純物残量を少なくできることから塩化チタンが好ましいものである。アンモニウム化合物としては、アンモニア水、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどを用いることができる。このアンモニウム化合物に代えて、ナトリウム化合物、カリウム化合物などのアルカリ金属化合物を用いると、得られるチタン酸化合物内にナトリウムやカリウムの元素が残留しやすく、その後のアルカリ金属化合物との反応が進みにくいため好ましくない。前記のチタン化合物とアンモニウム化合物とを水中で混合することにより反応が進み、オルトチタン酸(H4 TiO4 )またはその水素イオンがアンモニウムイオンに置換されたH4-n (NH4 n TiO4 で表される化合物であるチタン酸化合物が得られる。H4-n (NH4 n TiO4 のアンモニウムイオンの置換量は、反応の際のアンモニウムイオン濃度、遊離水酸基濃度、水素イオン濃度や反応温度などの条件を調整することにより任意に変えられる。得られるチタン酸化合物の粒子径は、その後の工程で得られるチタン酸アルカリ金属塩などの粒子径に影響を及ぼすため、前記の反応温度を0〜50℃の範囲に設定して行うと微粒子状のチタン酸化合物が得られ、さらには、微粒子状のチタン酸アルカリ金属塩やチタン酸塩が得られるため好ましく、より好ましい温度範囲は5〜40℃であり、もっとも好ましい温度範囲は10〜30℃である。このようにして得られたチタン酸化合物を必要に応じて、濾過したり、洗浄したり、酸洗浄したり、乾燥したり、あるいは焼成したりしてもよい。乾燥の温度は、適宜設定することができ、30〜200℃程度の温度が適当である。焼成の温度は、適宜設定することができ、200〜600℃程度の温度が適当である。
【0008】
次の第二の工程は、前記第一の工程で得られたチタン酸化合物を用いてチタン酸アルカリ金属塩を得る工程であって、該チタン酸化合物とアルカリ金属化合物とを水中で反応させる工程である。前記のアルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムのアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物などの水可溶性化合物の1種または2種以上を用いることができる。チタン酸化合物との反応性がよいことから、リチウム化合物を用いるのが好ましい。このアルカリ金属化合物とチタン酸化合物とを水中で混合することにより反応が進む。この反応の温度を50℃以上にすると、結晶性の優れたチタン酸アルカリ金属塩が得られるため好ましい。より好ましい温度範囲は100℃以上であり、さらに好ましい温度範囲は100〜250℃であり、もっとも好ましい温度範囲は130〜200℃である。100℃以上の温度で反応を行う場合には、アルカリ金属化合物とチタン酸化合物とをオートクレーブに入れ、飽和蒸気圧下または加圧下で水熱処理するのが好ましい。チタン/アルカリ金属塩のモル比は1/3〜3/1の範囲が適当である。このようにして得られたチタン酸アルカリ金属塩を、必要に応じて、濾過したり、洗浄したり、乾燥したり、あるいは焼成したりすることもできる。乾燥の温度は、適宜設定することができ、30〜200℃程度の温度が適当である。焼成の温度は、適宜設定することができ、200〜600℃程度の温度が適当である。このようにして得られたチタン酸アルカリ金属塩をそのままの状態、あるいは、造粒体または成形体にしてイオン交換剤として使用することができる。前記のチタン酸アルカリ金属塩を造粒体または成形体にするには、一般に用いられる造粒機や成形機を用いることができる。造粒や成形の際には、種々の添加剤、たとえば、バインダ、充填剤、他のイオン交換剤などを添加することができる。なお、この第二の工程において、リチウム化合物が好ましいこと、あるいは、水熱処理が好ましいことは、後述する本発明の第二、第三においても同様のことである。
【0009】
本発明の第二は、前記の第一の工程、第二の工程を経て得られたチタン酸アルカリ金属塩よりアルカリ金属を除去する第三の工程を経て得られたチタン酸化合物からなることを特徴とするイオン交換剤である。この第三の工程は、チタン酸アルカリ金属塩よりアルカリ金属を除去する工程であって、チタン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属の一部あるいは全部を除去することができ、水素イオンに置換する。アルカリ金属を除去する方法としては、チタン酸アルカリ金属塩と酸とを水中で反応させる方法、チタン酸アルカリ金属塩を洗浄する方法、チタン酸アルカリ金属塩をイオン交換樹脂に接触させる方法などを用いることができる。本発明では、チタン酸アルカリ金属塩と酸とを水中で反応させる方法で除去するのが効率よく行えるので好ましい方法である。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸などの無機酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸などの有機酸を用いることができる。この酸とチタン酸アルカリ金属塩とを水中で混合することにより反応が進み、脱アルカリが行われる。この反応は室温または冷却下で進むが、加熱して反応温度を上げてもよい。このようにして得られたチタン酸化合物を、必要に応じて、濾過したり、洗浄したり、乾燥したりしてもよい。乾燥の温度は、適宜設定することができ、30〜200℃程度の温度が適当である。焼成の温度は、適宜設定することができ、200〜600℃程度の温度が適当である。このようにして得られたチタン酸化合物を、そのままの状態、あるいは、造粒体または成形体にしてイオン交換剤として使用することができる。前記のチタン酸化合物を造粒体または成形体とするには、一般に用いられる造粒機や成形機を用いることができる。造粒や成形の際には、種々の添加剤、たとえば、バインダ、充填剤、他のイオン交換剤などを添加することができる。
【0010】
本発明の第三は、前記の第三の工程を経て得られたチタン酸化合物とアルカリ化合物とを水中で反応させる第四の工程とを経て得られたチタン酸塩を含有してなることを特徴とするイオン交換剤である。この第四の工程は、前記第三の工程で得られたチタン酸化合物の水素イオンをアルカリイオンに置換する工程であって、チタン酸化合物の水素イオンの一部あるいは全部をアルカリイオンに置換する。前記のアルカリ化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、アンモニア水、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの水可溶性化合物の1種または2種以上を用いることができる。このアルカリ化合物とチタン酸化合物とを水中で混合することにより反応が進む。この反応は室温または冷却下で進むが、加熱して反応温度を上げてもよい。このようにして得られたチタン酸塩を、必要に応じて、濾過したり、洗浄したり、乾燥したり、あるいは焼成したりすることもできる。乾燥の温度は、適宜設定することができ、30〜200℃程度の温度が適当である。焼成の温度は、適宜設定することができ、200〜600℃程度の温度が適当である。このようにして得られたチタン酸塩をそのままの状態、あるいは、造粒体または成形体にしてイオン交換剤として使用することができる。前記のチタン酸塩を造粒体または成形体とするには、一般に用いられる造粒機や成形機を用いることができる。造粒や成形の際には、種々の添加剤、たとえば、バインダ、充填剤、他のイオン交換剤などを添加することができる。
【0011】
本発明のイオン交換剤は、通常のイオン交換の方法において用いることができる。たとえば、本発明のイオン交換剤を、陽イオンを含む溶液に接触させて、陽イオンを捕捉して回収、固定化したり、陽イオンを捕捉したイオン交換剤を酸性溶液に接触させて、陽イオンを溶出して回収したり、さらには、溶出した陽イオンの溶液に酸またはアルカリを添加して沈殿させ回収、固定化したりすることができる。
【0012】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0013】
試験例
(1)チタン酸化合物の合成
5リットル4ツ口フラスコに、28重量%のアンモニア水869mlと純水871mlとを入れ、攪拌下、溶液の温度が10〜15℃になるように氷冷しながら、1.25モル/lの濃度の四塩化チタン水溶液2126mlを1時間かけて加え、その後、1時間熟成して沈殿物を得た。この時点でのTiO2 濃度は50g/lであり、遊離水酸基濃度は0.5モル/リットルであった。
【0014】
次に、前記の沈殿物のスラリーに、35重量%の塩酸188mlを純水188mlで希釈した塩酸水溶液を1時間かけて添加してpHを5.50に調整した後、そのpHを保持しながら1時間熟成した。その後、沈殿物を濾過し、洗浄して、アンモニア、塩素イオンを除去した後、得られた濾過ケーキをリパルプしてTiO2 換算濃度50g/lのスラリーにした。次いで、氷冷しながら、このスラリーに、希釈した塩酸水溶液を添加してpHを5.50に調整した後、そのpHを保持しながら1時間熟成し、次いで、沈殿物を濾過し、洗浄して、チタン酸化合物を得た。
【0015】
(2)チタン酸アルカリ金属塩の合成
前記(1)で得られたチタン酸化合物をリパルプしてTiO2 換算濃度42.92g/lのスラリーを得た。このスラリー1.5リットルを3リットル4ツ口フラスコに仕込み、27.37gの水酸化リチウム一水塩を純水647mlに溶解した水溶液を1時間かけて加え、その後、1時間熟成した。リチウム化合物の添加量は、Li/Tiモル比で0.8であった。次に、このようにして得られたスラリーをオートクレーブに仕込み、100℃の温度で2時間、引続き、190℃の温度で2時間水熱処理した。水熱処理後のスラリーは、ペースト状に増粘しており、pHは13であり、アンモニア臭がした。次いで、水熱処理後のスラリーを濾過して、チタン酸リチウム塩(試料A)を得た。
【0016】
このようにして得られた試料Aを50℃の温度で乾燥したものの物性を調べた。その結果、このチタン酸リチウム塩は、電子顕微鏡観察により、長径が1μm、短径が0.8μm、厚さ16nm程度の極薄い板状形状を有する微粒子であって、厚み方向に4層程度重なった積層構造を有し、その層間隔はおよそ4nmであることがわかった。比表面積は105.2m2 /gであり、空隙量は0.386ml/gであった。なお、空隙量の測定には、日本ベル社製、ベルソープ−28を用いた。また、X線回折の回折パターンから、結晶性に優れていることがわかった。さらに、化学分析によると、その成分割合は、Ti45.6重量%、Li5.37重量%、NH4 <0.01重量%、Cl<0.005重量%であり、その組成は熱処理による減量からLi1.33Ti1.674 ・H2 Oであると推定される。さらに、DSC分析によると、75℃で付着水が脱離し、215℃で結晶水を放出してLi1.33Ti1.674 に相転移し、337℃で結晶化することがわかった。
【0017】
(3)チタン酸化合物の合成
前記(2)で得られたチタン酸リチウム塩(試料A)をリパルプしてTiO2 換算濃度20g/lのスラリーを得た。このスラリーに、室温下、リチウムが塩化リチウムになるのに必要な塩酸を1時間かけて加え、その後、スラリーのpHを1.5に保持しながら1時間熟成し、次いで、濾過し、洗浄した後、得られた濾過ケーキをリパルプしてTiO2 換算濃度20g/lのスラリーにした。さらに、このスラリーに希塩酸を添加して、室温下、スラリーのpHを1.5に保持しながら1時間熟成し、次いで、濾過し、洗浄して、チタン酸化合物(試料B)を得た。
【0018】
このようにして得られた試料Bを180℃の温度で乾燥したものの物性を調べた。その結果、このチタン酸化合物は、電子顕微鏡写真より、最長径が0.5μm、粒子幅が0.4μm、厚さ25nm程度の極薄い板状形状を有する微粒子であることがわかった。比表面積は98.7m2 /gであり、空隙量は0.46ml/gであり、比表面積が大きく、また、多くの空隙を有していることがわかった。なお、空隙量の測定には、ベルソープ−28(日本ベル社製)を用いた。また、X線回折の回折パターンから、アナタース型結晶であること、さらに、化学分析によると、その成分割合は、Ti59.4重量%、Li<0.05重量%であることがわかった。
【0019】
また、前記(2)で得られたチタン酸リチウム塩(試料A)をリパルプして固形分濃度20g/lのスラリー(pH=12.2)を得た。このスラリーに、室温下、pHが10.0になるまで硝酸を添加し、次いで、濾過し、50℃の温度で乾燥して、試料Aのチタン酸リチウム塩のリチウムイオンの一部を水素イオンで置換した、チタン酸化合物(試料C)を得た。
【0020】
(4)チタン酸塩の合成
前記(3)で得られたチタン酸化合物(試料B)500gをリパルプしてTiO2 換算濃度20g/lのスラリーを得た。このスラリーに水酸化ナトリウム水溶液を添加してスラリーpHを7.0に調整し、1時間反応させて、チタン酸化合物中の水素イオンの一部をナトリウムイオンで置換し、次いで、濾過し、洗浄し、50℃の温度で乾燥して、チタン酸塩(試料D)を得た。
【0021】
実施例1〜5
前記の試験例で得た試料Aを50℃の温度で乾燥して、本発明のイオン交換剤(試料O)を得た。また、前記の試験例で得た試料Bを180℃の温度で乾燥して、本発明のイオン交換剤(試料P)を得た。また、前記の試験例で得た試料CおよびDを、本発明のイオン交換剤(試料Q、R)として用いた。さらに、前記の試料Qを大気中550℃の温度で2時間焼成して、本発明のイオン交換剤(試料S)を得た。
【0022】
比較例1
市販の球状超微粒子酸化チタン(石原産業社製、ST─01、X線粒径7nm、比表面積300m2 /g)を比較試料(試料T)として用いた。
【0023】
比較例2
市販の無機イオン交換体IXE−400(東亜合成化学工業社製)を比較試料(試料U)として用いた。
【0024】
実施例1〜5および比較例1〜2で得られた試料O、P、Q、R、S、T、Uの各々の陽イオン交換能を以下に示す方法により評価した。
10000、5000、1000、500、100、50、10ppmの濃度に調整した塩化ストロンチウム溶液100mlを各々用意し、これら溶液に前記の試料5gをそれぞれ添加し、室温下で攪拌して、イオン交換させた。その後、イオン交換後の溶液を遠心分離して得た上澄み液のpHとストロンチウム濃度とを測定し、イオン交換剤1g当たりのストロンチウム交換量(mg/g)を算出した。得られた結果を表1、表2、表3、表4、表5、表6、表7に示した。これらの表から明らかなように、本発明のイオン交換剤はストロンチウムイオンに対する陽イオン交換能に優れていることがわかった。さらに、ストロンチウム溶液に代えて、銅イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、鉄イオン、銀イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン等の溶液を用いて同様の評価を行ったところ、本発明のイオン交換剤は、いずれの金属イオンに対する陽イオン交換能にも優れていることがわかった。
【0025】
【表1】
Figure 0004015212
【0026】
【表2】
Figure 0004015212
【0027】
【表3】
Figure 0004015212
【0028】
【表4】
Figure 0004015212
【0029】
【表5】
Figure 0004015212
【0030】
【表6】
Figure 0004015212
【0031】
【表7】
Figure 0004015212
【0032】
【発明の効果】
本発明は、(1)チタン化合物とアンモニウム化合物とを水中で反応させてチタン酸化合物を得る第一の工程と、該チタン酸化合物とアルカリ金属化合物とを水中で反応させる第二の工程とを経て得られたチタン酸アルカリ金属塩からなることを特徴とするイオン交換剤、また、(2)請求項1に記載のチタン酸アルカリ金属塩よりアルカリ金属を除去する第三の工程を経て得られたチタン酸化合物からなることを特徴とするイオン交換剤、さらに、(3)請求項2に記載の第三の工程を経て得られたチタン酸化合物とアルカリ化合物とを水中で反応させる第四の工程を経て得られたチタン酸塩からなることを特徴とするイオン交換剤であって、優れたイオン交換能を有するものであり、しかも、廉価に製造することができるものである。

Claims (3)

  1. チタン化合物とアンモニウム化合物とを水中で反応させてチタン酸化合物を得る第一の工程と、該チタン酸化合物とリチウム化合物とを水中で水熱処理する第二の工程とを経て得られたチタン酸リチウム塩からなることを特徴とするイオン交換剤。
  2. 請求項1に記載のチタン酸リチウム塩よりリチウムを除去する第三の工程を経て得られたチタン酸化合物からなることを特徴とするイオン交換剤。
  3. 請求項2に記載の第三の工程を経て得られたチタン酸化合物とアルカリ化合物とを水中で反応させる第四の工程を経て得られたチタン酸塩からなることを特徴とするイオン交換剤。
JP22031196A 1996-08-02 1996-08-02 イオン交換剤 Expired - Lifetime JP4015212B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22031196A JP4015212B2 (ja) 1996-08-02 1996-08-02 イオン交換剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22031196A JP4015212B2 (ja) 1996-08-02 1996-08-02 イオン交換剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1043609A JPH1043609A (ja) 1998-02-17
JP4015212B2 true JP4015212B2 (ja) 2007-11-28

Family

ID=16749161

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22031196A Expired - Lifetime JP4015212B2 (ja) 1996-08-02 1996-08-02 イオン交換剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4015212B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4597546B2 (ja) * 2004-02-25 2010-12-15 石原産業株式会社 チタン酸リチウムの製造方法及びリチウム電池の製造方法
JP6053325B2 (ja) * 2012-05-22 2016-12-27 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 焼成物、金属イオン吸着材、金属イオンの除去方法、及び金属イオン除去設備
JP6531305B2 (ja) * 2014-08-25 2019-06-19 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 チタン酸塩イオン交換体の製造方法
JP6445332B2 (ja) * 2015-01-13 2018-12-26 大塚化学株式会社 レピドクロサイト型チタン酸塩及びその製造方法、それを含有する無機複合材、樹脂組成物並びに摩擦材

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1043609A (ja) 1998-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4958293B2 (ja) 臭素酸イオン用吸着剤
JP5744940B2 (ja) 放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法
JP6682613B2 (ja) セシウム又は/及びストロンチウム吸着剤
US5858081A (en) Kaolin derivatives
JP5653408B2 (ja) 放射性Cs吸着剤及びその製造方法
JP4015212B2 (ja) イオン交換剤
EP0094983A1 (en) Process for removing transition metal ions from an aqueous solution with a reticular ion exchange resin containing a crystalline transition metal aluminate
JP2020033215A (ja) セリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子及びその製造方法
JPH06305724A (ja) 合成多孔質材料及びその製造方法
JP5992646B2 (ja) アルカリ金属の9チタン酸塩の製造方法
JP4228077B2 (ja) ハイドロタルサイトの脱炭酸イオンによる、イオン交換性のある陰イオンを有する層状水酸化物の製造方法
JP5890568B1 (ja) 吸着剤及びその製造方法
WO2016052610A1 (ja) 結晶性シリコチタネートの製造方法
JP6526511B2 (ja) 吸着剤及びその製造方法
JP2015007634A (ja) 放射性Cs吸着剤及びその製造方法
JP6898744B2 (ja) 重金属イオン吸着剤
JP7419952B2 (ja) 新規シリコチタネート組成物及びその製造方法
JPWO2016056530A1 (ja) 吸着材
KR20080024733A (ko) 이온쌍 전구체를 이용한 양이온 치환 망간 산화물나노구조체의 제조방법
JPH01203039A (ja) 新規なリチウム選択性を示す吸着剤及びその製造方法
JP2017136521A (ja) ストロンチウム吸着剤
KR20220073730A (ko) 층상 복수산화물 결정, 음이온 흡착제 및 그 층상 복수산화물 결정의 제조 방법
JPS5940767B2 (ja) 非晶質チタニヤの製造法
JPS61245845A (ja) 二酸化マンガン系一酸化炭素酸化触媒の製造法
JP2022127770A (ja) ストロンチウム吸着剤およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050815

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070522

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070622

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070904

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070913

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110921

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120921

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120921

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130921

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130921

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140921

Year of fee payment: 7

EXPY Cancellation because of completion of term