JPH1043609A - イオン交換剤 - Google Patents

イオン交換剤

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JPH1043609A
JPH1043609A JP8220311A JP22031196A JPH1043609A JP H1043609 A JPH1043609 A JP H1043609A JP 8220311 A JP8220311 A JP 8220311A JP 22031196 A JP22031196 A JP 22031196A JP H1043609 A JPH1043609 A JP H1043609A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ストロンチウム、銅、コバルト、ニッケル、マ
ンガン、鉄、銀、マグネシウム、カルシウム、バリウム
等の金属のイオンに対する、優れた陽イオン交換能を有
するイオン交換剤を提供する。 【構成】(1)チタン化合物とアンモニウム化合物とを
水中で反応させてチタン酸化合物を得る第一の工程と、
該チタン酸化合物とアルカリ金属化合物とを水中で反応
させる第二の工程とを経て得られたチタン酸アルカリ金
属塩からなることを特徴とするイオン交換剤、(2)前
記のチタン酸アルカリ金属塩よりアルカリ金属を除去す
る第三の工程を経て得られたチタン酸化合物からなるこ
とを特徴とするイオン交換剤、さらに、(3)前記の第
三の工程を経て得られたチタン酸化合物とアルカリ化合
物とを水中で反応させる第四の工程を経て得られたチタ
ン酸塩からなることを特徴とするイオン交換剤である。 【効果】従来のイオン交換剤に比べ、優れたイオン交換
能を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた陽イオン交
換能を有する無機質イオン交換剤に関する。
【0002】
【従来の技術】無機質イオン交換剤は、地下かん水や海
水からのリチウムイオンの回収、海水からのウランの回
収、放射性廃液中のストロンチウムイオン、銅イオン、
亜鉛イオン、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケ
ルイオンなどの固定、あるいは銀イオンを含有した廃液
からの銀イオンの回収などに有用なものである。さら
に、無機質イオン交換剤は、特定の分子のみをその層間
に吸着できる、いわゆる選択吸着性を有する分子ふるい
としての利用も期待されている。このような無機質イオ
ン交換剤として、チタン酸アルカリ金属塩が主に研究の
対象にされてきた。このチタン酸アルカリ金属塩は、チ
タン酸イオン層の酸素とアルカリ金属イオンとの結合が
比較的弱いために、アルカリ金属イオンが他の陽イオン
と交換しやすいことを利用したものである。また、前記
のチタン酸アルカリ金属塩を脱アルカリして得られたチ
タン酸化合物は、水素イオンが他の陽イオンと交換しや
すいことを利用したものであり、しかも、チタン酸イオ
ン層が作る層間に、各種の陽イオンを効率よく取り込む
ことができるものである(特開昭59─150543号
公報、特開昭61─72623号公報、特開昭61─1
29041号公報、特開昭61─256922号公報、
特開平1─249138号公報、特開平2─10270
5号公報などを参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のチタン酸アルカ
リ金属塩は、専ら、酸化チタン、チタン酸化合物などの
チタン源とアルカリ金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、
炭酸水素塩などのアルカリ源とを混合し、次いで、60
0〜1300℃で加熱溶融することにより得られたもの
を用いている。この方法で得られたチタン酸アルカリ金
属塩は、加熱の影響でチタン酸イオンの層間がくずれや
すいなどのために、イオン交換能が低いという問題があ
る。また、前記の方法で得られたチタン酸アルカリ金属
塩を脱アルカリしても、アルカリが多く残存しやすいな
どのために、イオン交換能が低いという問題がある。し
かも、高温度で加熱溶融した後、湿式で脱アルカリする
工程を経るなど製造工程が煩雑であるために、廉価に製
造できないという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、優れたイオ
ン交換能を有するイオン交換剤を得るために、チタン酸
アルカリ金属塩または該チタン酸アルカリ金属塩を脱ア
ルカリして得られたチタン酸化合物のイオン交換能をよ
り一層改善すべく種々検討した結果、(1)チタン化合
物とアンモニウム化合物とを水中で反応させてチタン酸
化合物を得る第一の工程と、該チタン酸化合物とアルカ
リ金属化合物とを水中で反応させる第二の工程とを経て
得られたチタン酸アルカリ金属塩が優れたイオン交換能
を有すること、また、(2)前記の第一の工程、第二の
工程を経て得られたチタン酸アルカリ金属塩よりアルカ
リ金属を除去する第三の工程を経て得られたチタン酸化
合物が優れたイオン交換能を有すること、さらに、
(3)前記の第三の工程を経て得られたチタン酸化合物
とアルカリ化合物とを水中で反応させる第四の工程を経
て得られたチタン酸塩が優れたイオン交換能を有するこ
となどを見出し、その後さらに検討して、本発明を完成
した。
【0005】すなわち、本発明は、優れたイオン交換能
を有するイオン交換剤を提供することにある。
【0006】本発明のイオン交換剤は、その粒子形状は
板状に制御することができる。板状形状とは、薄片状、
鱗片状、雲母状といわれる形状を包含し、厚み(粒子の
最も短い軸の長さ)に対する、最長径(粒子の最も長い
軸の長さ)の比(アスペクト比)と、粒子幅(粒子の最
も長い軸と最も短い軸の両方と直角に交わる軸の長さ)
の比が、いずれも2以上のものである。また、最長径に
対する粒子幅の比は0.5〜1程度である。このような
粒子形状は電子顕微鏡観察により確認することができ
る。また、本発明のイオン交換剤は、微粒子状に大きさ
が制御することができる。粒子の最長径および粒子幅は
0.005〜10μmの範囲が好ましく、より好ましく
は0.01〜1μmの範囲、もっとも好ましくは0.0
5〜0.5μmの範囲である。イオン交換剤の粒子径が
前記上限範囲より大きいと、イオン交換能の特性が低下
しやすいため好ましくない。また、本発明のイオン交換
剤は、粒子の厚みを薄く制御することができ、前記の特
性の点から好ましくは2〜200nmの範囲、より好ま
しくは4〜100nmの範囲、もっとも好ましくは4〜
50nmの範囲とすることができる。本発明のイオン交
換剤は微粒子であるため、1〜300m2 /g程度の大
きい比表面積を有したものであり、イオン交換剤に好適
であり、より好適な比表面積は5〜150m2 /gの範
囲である。また、本発明のイオン交換剤は、粒子内に空
隙を有するものとすることができる。その空隙内に物質
やイオンを捕捉することができ、イオン交換剤に用いる
際の特性に優れているため、好ましいものである。空隙
量は0.01〜1ml/g程度であり、より好ましくは
0.05〜0.7ml/gの範囲である。
【0007】本発明の第一は、チタン化合物とアンモニ
ウム化合物とを水中で反応させてチタン酸化合物を得る
第一の工程と、該チタン酸化合物とアルカリ金属化合物
とを水中で反応させる第二の工程とを経て得られたチタ
ン酸アルカリ金属塩からなることを特徴とするイオン交
換剤である。まず、第一の工程はチタン酸化合物を得る
工程であって、それに用いるチタン化合物としては、硫
酸チタン、硫酸チタニル、塩化チタンなどの水溶性無機
チタン化合物やチタンアルコキシドなどの有機チタン化
合物の1種または2種以上を用いることができ、特に、
チタン酸化合物内の不純物残量を少なくできることから
塩化チタンが好ましいものである。アンモニウム化合物
としては、アンモニア水、炭酸アンモニウム、硫酸アン
モニウム、硝酸アンモニウムなどを用いることができ
る。このアンモニウム化合物に代えて、ナトリウム化合
物、カリウム化合物などのアルカリ金属化合物を用いる
と、得られるチタン酸化合物内にナトリウムやカリウム
の元素が残留しやすく、その後のアルカリ金属化合物と
の反応が進みにくいため好ましくない。前記のチタン化
合物とアンモニウム化合物とを水中で混合することによ
り反応が進み、オルトチタン酸(H4 TiO4 )または
その水素イオンがアンモニウムイオンに置換されたH
4-n (NH4 n TiO4 で表される化合物であるチタ
ン酸化合物が得られる。H4-n (NH4 n TiO4
アンモニウムイオンの置換量は、反応の際のアンモニウ
ムイオン濃度、遊離水酸基濃度、水素イオン濃度や反応
温度などの条件を調整することにより任意に変えられ
る。得られるチタン酸化合物の粒子径は、その後の工程
で得られるチタン酸アルカリ金属塩などの粒子径に影響
を及ぼすため、前記の反応温度を0〜50℃の範囲に設
定して行うと微粒子状のチタン酸化合物が得られ、さら
には、微粒子状のチタン酸アルカリ金属塩やチタン酸塩
が得られるため好ましく、より好ましい温度範囲は5〜
40℃であり、もっとも好ましい温度範囲は10〜30
℃である。このようにして得られたチタン酸化合物を必
要に応じて、濾過したり、洗浄したり、酸洗浄したり、
乾燥したり、あるいは焼成したりしてもよい。乾燥の温
度は、適宜設定することができ、30〜200℃程度の
温度が適当である。焼成の温度は、適宜設定することが
でき、200〜600℃程度の温度が適当である。
【0008】次の第二の工程は、前記第一の工程で得ら
れたチタン酸化合物を用いてチタン酸アルカリ金属塩を
得る工程であって、該チタン酸化合物とアルカリ金属化
合物とを水中で反応させる工程である。前記のアルカリ
金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム、セシウムのアルカリ金属の水酸化物、
炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物などの水可溶性化合物
の1種または2種以上を用いることができる。チタン酸
化合物との反応性がよいことから、リチウム化合物を用
いるのが好ましい。このアルカリ金属化合物とチタン酸
化合物とを水中で混合することにより反応が進む。この
反応の温度を50℃以上にすると、結晶性の優れたチタ
ン酸アルカリ金属塩が得られるため好ましい。より好ま
しい温度範囲は100℃以上であり、さらに好ましい温
度範囲は100〜250℃であり、もっとも好ましい温
度範囲は130〜200℃である。100℃以上の温度
で反応を行う場合には、アルカリ金属化合物とチタン酸
化合物とをオートクレーブに入れ、飽和蒸気圧下または
加圧下で水熱処理するのが好ましい。チタン/アルカリ
金属塩のモル比は1/3〜3/1の範囲が適当である。
このようにして得られたチタン酸アルカリ金属塩を、必
要に応じて、濾過したり、洗浄したり、乾燥したり、あ
るいは焼成したりすることもできる。乾燥の温度は、適
宜設定することができ、30〜200℃程度の温度が適
当である。焼成の温度は、適宜設定することができ、2
00〜600℃程度の温度が適当である。このようにし
て得られたチタン酸アルカリ金属塩をそのままの状態、
あるいは、造粒体または成形体にしてイオン交換剤とし
て使用することができる。前記のチタン酸アルカリ金属
塩を造粒体または成形体にするには、一般に用いられる
造粒機や成形機を用いることができる。造粒や成形の際
には、種々の添加剤、たとえば、バインダ、充填剤、他
のイオン交換剤などを添加することができる。なお、こ
の第二の工程において、リチウム化合物が好ましいこ
と、あるいは、水熱処理が好ましいことは、後述する本
発明の第二、第三においても同様のことである。
【0009】本発明の第二は、前記の第一の工程、第二
の工程を経て得られたチタン酸アルカリ金属塩よりアル
カリ金属を除去する第三の工程を経て得られたチタン酸
化合物からなることを特徴とするイオン交換剤である。
この第三の工程は、チタン酸アルカリ金属塩よりアルカ
リ金属を除去する工程であって、チタン酸アルカリ金属
塩中のアルカリ金属の一部あるいは全部を除去すること
ができ、水素イオンに置換する。アルカリ金属を除去す
る方法としては、チタン酸アルカリ金属塩と酸とを水中
で反応させる方法、チタン酸アルカリ金属塩を洗浄する
方法、チタン酸アルカリ金属塩をイオン交換樹脂に接触
させる方法などを用いることができる。本発明では、チ
タン酸アルカリ金属塩と酸とを水中で反応させる方法で
除去するのが効率よく行えるので好ましい方法である。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸などの無
機酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸などの有機酸を用いる
ことができる。この酸とチタン酸アルカリ金属塩とを水
中で混合することにより反応が進み、脱アルカリが行わ
れる。この反応は室温または冷却下で進むが、加熱して
反応温度を上げてもよい。このようにして得られたチタ
ン酸化合物を、必要に応じて、濾過したり、洗浄した
り、乾燥したりしてもよい。乾燥の温度は、適宜設定す
ることができ、30〜200℃程度の温度が適当であ
る。焼成の温度は、適宜設定することができ、200〜
600℃程度の温度が適当である。このようにして得ら
れたチタン酸化合物を、そのままの状態、あるいは、造
粒体または成形体にしてイオン交換剤として使用するこ
とができる。前記のチタン酸化合物を造粒体または成形
体とするには、一般に用いられる造粒機や成形機を用い
ることができる。造粒や成形の際には、種々の添加剤、
たとえば、バインダ、充填剤、他のイオン交換剤などを
添加することができる。
【0010】本発明の第三は、前記の第三の工程を経て
得られたチタン酸化合物とアルカリ化合物とを水中で反
応させる第四の工程とを経て得られたチタン酸塩を含有
してなることを特徴とするイオン交換剤である。この第
四の工程は、前記第三の工程で得られたチタン酸化合物
の水素イオンをアルカリイオンに置換する工程であっ
て、チタン酸化合物の水素イオンの一部あるいは全部を
アルカリイオンに置換する。前記のアルカリ化合物とし
ては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ
金属の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、ア
ンモニア水、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝
酸アンモニウムなどの水可溶性化合物の1種または2種
以上を用いることができる。このアルカリ化合物とチタ
ン酸化合物とを水中で混合することにより反応が進む。
この反応は室温または冷却下で進むが、加熱して反応温
度を上げてもよい。このようにして得られたチタン酸塩
を、必要に応じて、濾過したり、洗浄したり、乾燥した
り、あるいは焼成したりすることもできる。乾燥の温度
は、適宜設定することができ、30〜200℃程度の温
度が適当である。焼成の温度は、適宜設定することがで
き、200〜600℃程度の温度が適当である。このよ
うにして得られたチタン酸塩をそのままの状態、あるい
は、造粒体または成形体にしてイオン交換剤として使用
することができる。前記のチタン酸塩を造粒体または成
形体とするには、一般に用いられる造粒機や成形機を用
いることができる。造粒や成形の際には、種々の添加
剤、たとえば、バインダ、充填剤、他のイオン交換剤な
どを添加することができる。
【0011】本発明のイオン交換剤は、通常のイオン交
換の方法において用いることができる。たとえば、本発
明のイオン交換剤を、陽イオンを含む溶液に接触させ
て、陽イオンを捕捉して回収、固定化したり、陽イオン
を捕捉したイオン交換剤を酸性溶液に接触させて、陽イ
オンを溶出して回収したり、さらには、溶出した陽イオ
ンの溶液に酸またはアルカリを添加して沈殿させ回収、
固定化したりすることができる。
【0012】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0013】試験例 (1)チタン酸化合物の合成 5リットル4ツ口フラスコに、28重量%のアンモニア
水869mlと純水871mlとを入れ、攪拌下、溶液
の温度が10〜15℃になるように氷冷しながら、1.
25モル/lの濃度の四塩化チタン水溶液2126ml
を1時間かけて加え、その後、1時間熟成して沈殿物を
得た。この時点でのTiO2 濃度は50g/lであり、
遊離水酸基濃度は0.5モル/リットルであった。
【0014】次に、前記の沈殿物のスラリーに、35重
量%の塩酸188mlを純水188mlで希釈した塩酸
水溶液を1時間かけて添加してpHを5.50に調整し
た後、そのpHを保持しながら1時間熟成した。その
後、沈殿物を濾過し、洗浄して、アンモニア、塩素イオ
ンを除去した後、得られた濾過ケーキをリパルプしてT
iO2 換算濃度50g/lのスラリーにした。次いで、
氷冷しながら、このスラリーに、希釈した塩酸水溶液を
添加してpHを5.50に調整した後、そのpHを保持
しながら1時間熟成し、次いで、沈殿物を濾過し、洗浄
して、チタン酸化合物を得た。
【0015】(2)チタン酸アルカリ金属塩の合成 前記(1)で得られたチタン酸化合物をリパルプしてT
iO2 換算濃度42.92g/lのスラリーを得た。こ
のスラリー1.5リットルを3リットル4ツ口フラスコ
に仕込み、27.37gの水酸化リチウム一水塩を純水
647mlに溶解した水溶液を1時間かけて加え、その
後、1時間熟成した。リチウム化合物の添加量は、Li
/Tiモル比で0.8であった。次に、このようにして
得られたスラリーをオートクレーブに仕込み、100℃
の温度で2時間、引続き、190℃の温度で2時間水熱
処理した。水熱処理後のスラリーは、ペースト状に増粘
しており、pHは13であり、アンモニア臭がした。次
いで、水熱処理後のスラリーを濾過して、チタン酸リチ
ウム塩(試料A)を得た。
【0016】このようにして得られた試料Aを50℃の
温度で乾燥したものの物性を調べた。その結果、このチ
タン酸リチウム塩は、電子顕微鏡観察により、長径が1
μm、短径が0.8μm、厚さ16nm程度の極薄い板
状形状を有する微粒子であって、厚み方向に4層程度重
なった積層構造を有し、その層間隔はおよそ4nmであ
ることがわかった。比表面積は105.2m2 /gであ
り、空隙量は0.386ml/gであった。なお、空隙
量の測定には、日本ベル社製、ベルソープ−28を用い
た。また、X線回折の回折パターンから、結晶性に優れ
ていることがわかった。さらに、化学分析によると、そ
の成分割合は、Ti45.6重量%、Li5.37重量
%、NH4 <0.01重量%、Cl<0.005重量%
であり、その組成は熱処理による減量からLi1.33Ti
1.674 ・H2 Oであると推定される。さらに、DSC
分析によると、75℃で付着水が脱離し、215℃で結
晶水を放出してLi1.33Ti1.674 に相転移し、33
7℃で結晶化することがわかった。
【0017】(3)チタン酸化合物の合成 前記(2)で得られたチタン酸リチウム塩(試料A)を
リパルプしてTiO2換算濃度20g/lのスラリーを
得た。このスラリーに、室温下、リチウムが塩化リチウ
ムになるのに必要な塩酸を1時間かけて加え、その後、
スラリーのpHを1.5に保持しながら1時間熟成し、
次いで、濾過し、洗浄した後、得られた濾過ケーキをリ
パルプしてTiO2 換算濃度20g/lのスラリーにし
た。さらに、このスラリーに希塩酸を添加して、室温
下、スラリーのpHを1.5に保持しながら1時間熟成
し、次いで、濾過し、洗浄して、チタン酸化合物(試料
B)を得た。
【0018】このようにして得られた試料Bを180℃
の温度で乾燥したものの物性を調べた。その結果、この
チタン酸化合物は、電子顕微鏡写真より、最長径が0.
5μm、粒子幅が0.4μm、厚さ25nm程度の極薄
い板状形状を有する微粒子であることがわかった。比表
面積は98.7m2 /gであり、空隙量は0.46ml
/gであり、比表面積が大きく、また、多くの空隙を有
していることがわかった。なお、空隙量の測定には、ベ
ルソープ−28(日本ベル社製)を用いた。また、X線
回折の回折パターンから、アナタース型結晶であるこ
と、さらに、化学分析によると、その成分割合は、Ti
59.4重量%、Li<0.05重量%であることがわ
かった。
【0019】また、前記(2)で得られたチタン酸リチ
ウム塩(試料A)をリパルプして固形分濃度20g/l
のスラリー(pH=12.2)を得た。このスラリー
に、室温下、pHが10.0になるまで硝酸を添加し、
次いで、濾過し、50℃の温度で乾燥して、試料Aのチ
タン酸リチウム塩のリチウムイオンの一部を水素イオン
で置換した、チタン酸化合物(試料C)を得た。
【0020】(4)チタン酸塩の合成 前記(3)で得られたチタン酸化合物(試料B)500
gをリパルプしてTiO2 換算濃度20g/lのスラリ
ーを得た。このスラリーに水酸化ナトリウム水溶液を添
加してスラリーpHを7.0に調整し、1時間反応させ
て、チタン酸化合物中の水素イオンの一部をナトリウム
イオンで置換し、次いで、濾過し、洗浄し、50℃の温
度で乾燥して、チタン酸塩(試料D)を得た。
【0021】実施例1〜5 前記の試験例で得た試料Aを50℃の温度で乾燥して、
本発明のイオン交換剤(試料O)を得た。また、前記の
試験例で得た試料Bを180℃の温度で乾燥して、本発
明のイオン交換剤(試料P)を得た。また、前記の試験
例で得た試料CおよびDを、本発明のイオン交換剤(試
料Q、R)として用いた。さらに、前記の試料Qを大気
中550℃の温度で2時間焼成して、本発明のイオン交
換剤(試料S)を得た。
【0022】比較例1 市販の球状超微粒子酸化チタン(石原産業社製、ST─
01、X線粒径7nm、比表面積300m2 /g)を比
較試料(試料T)として用いた。
【0023】比較例2 市販の無機イオン交換体IXE−400(東亜合成化学
工業社製)を比較試料(試料U)として用いた。
【0024】実施例1〜5および比較例1〜2で得られ
た試料O、P、Q、R、S、T、Uの各々の陽イオン交
換能を以下に示す方法により評価した。10000、5
000、1000、500、100、50、10ppm
の濃度に調整した塩化ストロンチウム溶液100mlを
各々用意し、これら溶液に前記の試料5gをそれぞれ添
加し、室温下で攪拌して、イオン交換させた。その後、
イオン交換後の溶液を遠心分離して得た上澄み液のpH
とストロンチウム濃度とを測定し、イオン交換剤1g当
たりのストロンチウム交換量(mg/g)を算出した。
得られた結果を表1、表2、表3、表4、表5、表6、
表7に示した。これらの表から明らかなように、本発明
のイオン交換剤はストロンチウムイオンに対する陽イオ
ン交換能に優れていることがわかった。さらに、ストロ
ンチウム溶液に代えて、銅イオン、コバルトイオン、ニ
ッケルイオン、マンガンイオン、鉄イオン、銀イオン、
マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオ
ン等の溶液を用いて同様の評価を行ったところ、本発明
のイオン交換剤は、いずれの金属イオンに対する陽イオ
ン交換能にも優れていることがわかった。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】
【表7】
【0032】
【発明の効果】本発明は、(1)チタン化合物とアンモ
ニウム化合物とを水中で反応させてチタン酸化合物を得
る第一の工程と、該チタン酸化合物とアルカリ金属化合
物とを水中で反応させる第二の工程とを経て得られたチ
タン酸アルカリ金属塩からなることを特徴とするイオン
交換剤、また、(2)請求項1に記載のチタン酸アルカ
リ金属塩よりアルカリ金属を除去する第三の工程を経て
得られたチタン酸化合物からなることを特徴とするイオ
ン交換剤、さらに、(3)請求項2に記載の第三の工程
を経て得られたチタン酸化合物とアルカリ化合物とを水
中で反応させる第四の工程を経て得られたチタン酸塩か
らなることを特徴とするイオン交換剤であって、優れた
イオン交換能を有するものであり、しかも、廉価に製造
することができるものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン化合物とアンモニウム化合物とを水
    中で反応させてチタン酸化合物を得る第一の工程と、該
    チタン酸化合物とアルカリ金属化合物とを水中で反応さ
    せる第二の工程とを経て得られたチタン酸アルカリ金属
    塩からなることを特徴とするイオン交換剤。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のチタン酸アルカリ金属塩
    よりアルカリ金属を除去する第三の工程を経て得られた
    チタン酸化合物からなることを特徴とするイオン交換
    剤。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の第三の工程を経て得られ
    たチタン酸化合物とアルカリ化合物とを水中で反応させ
    る第四の工程を経て得られたチタン酸塩からなることを
    特徴とするイオン交換剤。
  4. 【請求項4】第二の工程で用いるアルカリ金属化合物が
    リチウム化合物であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか一項に記載のイオン交換剤。
  5. 【請求項5】第二の工程がチタン酸化合物とアルカリ金
    属化合物とを水中で水熱処理する工程であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン交換
    剤。
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