JP5744940B2 - 放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法に関し、詳しくは、放射性Csイオンで汚染された汚染水中のCsイオンを吸着除去して無害化すると同時に処理液の全シアン濃度を排水基準値以下にするのに好適な放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法に関する。
2011年3月11日の福島第1原発の爆発により大量の放射性セシウムCsが環境中に放出され、東日本の広域に亘り甚大な被害を齎した。特に、半減期がそれぞれ2年、30年と永い放射性Cs134とCs137による環境汚染は深刻であり、それらを除去するため、様々な技術が使用されてきた。例えば、放射性Cs汚染水のCsイオンの除去にゼオライトやプルシアンブルー色素顔料などの吸着剤が使用されている。
ゼオライトは多孔質の吸着剤で比較的大きな比表面積を有し、該表面のシリケート基Si−O-による陽イオン交換作用によりCsイオンを捕捉するのであるが、汚染水にNaイオンやKイオン、Caイオン、Mgイオンなどが高濃度に存在すると、これら陽イオンとの平衡作用によって捕捉したCsイオンが脱離するなど、Csイオンを選択的に吸着できないという問題があった。
一方、プルシアンブルー色素顔料は、Csイオンを選択的に吸着することができ、海水のようにNaイオン、Kイオン、Mgイオンなどの陽イオンを含む汚染水を処理する場合であっても、これらの陽イオンによる阻害作用の影響はゼオライトと比較して小さい。
しかし、プルシアンブルー色素顔料を吸着剤として用いる場合、99%以上のCs除去率を得るためには24時間以上の時間が必要であるという問題があった。
また、プルシアンブルー色素顔料は微粉体の状態で用いられるため、Csイオンを吸着させても濾過によって取り除くことが困難である(篩目を通過してしまう)。そのため、沈殿・濾過工程では硫酸バンドなどの凝集剤の併用が必須であった。また、凝集剤処理によっても処理液には可溶性プルシアンブルー分子が残存し、そのため全シアン濃度が排水基準値を越える問題があった。
このように、ゼオライトなど多孔質の吸着剤は比表面積が大きくカチオン吸着速度に優れるが、Csイオン選択性に問題があり、他方、プルシアンブルーはCsイオン選択性に優れるが、遅い吸着速度に欠点があった。
この点、大きな比表面積を有し、吸着特性、Csイオン選択性ともに優れた吸着剤の開発も行われており、例えば、メソポーラスシリカ粒子表面にアンカー分子を介して、銅―鉄シアン化錯体を担持させ優れたCsイオン吸着性能を有する吸着剤が開発されている(非特許文献1参照)。
しかし、銅−鉄シアン錯体をシリカ表面に繋ぐアンカーに高価なシリル化剤を使用するため、大量のCs汚染水を処理するにはコスト面で問題があった。
また、近年プルシアンブルー類似体による放射性Csの高い除去率の処理法が発明されているが(非特許文献2参照)、処理後液の全シアン濃度が排水基準値を大きく超えるため、該処理後液をそのまま放流できないと云った問題がある。
Thanapon Sangvani et.al J Hazard mater. 2010 October 15; 182(1-3): 225-231 Ayako Omura et.al, ''Cs+ Trapping in Size-Controlled Nanospaces of Hexacyanoferrates'', Applied Physics Express 5, 057101, published online April 13, 2012
そこで、本発明は、放射性Cs汚染水のCsイオンを低コストで高効率、かつ迅速に吸着除去することのできると同時に処理後液の全シアン濃度を放流可能な排水基準値以下にすることのできる放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、プルシアンブルーを用いた放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法などについて様々な観点からの実験、検討を行い、これらの成果について、既に複数の出願を行っている(特願2012−159709号、特願2012−268019号。何れも未公開)。
本発明では、プルシアンブルー類似体の利用にまで視野を拡大し、さらに検討を深めたものである。
具体的には、本発明者らは、プルシアンブルー類似体について上記課題を解決するために、以下の如き検討・考察を行った。
すなわち、まず、フェロシアンイオンFe(II)(CN)6 4-やフェリシアンイオンFe(III)(CN)6 3-と2価の遷移金属塩化合物とを反応させることによりプルシアンブルー類似体が生成し、このプルシアンブルー類似体がCsイオンを捕捉して不溶化するとともに、水可溶性、不溶性プルシアンブルー類似体分子、及び該プルシアンブルー類似体分子、数分子が会合したナノスケールのものが副生することが分かった。
そのため、プルシアンブルー類似体によってCsイオンを捕捉するだけでは、Cs汚染水処理後、凝集沈殿−濾過工程により得られる処理液に可溶性のプルシアンブルー類似体分子やナノレベルの微粒子が含まれることになり、全シアン濃度が排水基準値を越えるので、そのままでは処理液を河川など環境水中に放流できず、また、従来から使用されている硫酸バンド、塩化第二鉄のような沈殿剤や高分子凝集剤による処理によっても上記可溶性プルシアンブルー類似体分子や微粒子は除去できないことが分かった。
以上の点を踏まえてさらに鋭意検討を重ねた結果、Cs汚染水の処理工程でプルシアンブルー類似体に六方晶の結晶構造をとるMc(II)(OH)2(但し、Mc(II)は2価の遷移金属である)で表される水酸化物を共存させてプルシアンブルー類似体との複合体を生成させ凝集沈殿させることが、本発明の上記課題を解決するにおいて重要であることを見出した。
さらに、放射性Cs汚染水中で水酸化物とプルシアンブルー類似体との複合体を形成して放射性Csイオンを除去する処理方法とは別に、まず、放射性Csを含まない水中で放射性Cs吸着剤を製造した後に、この放射性Cs吸着剤をCs汚染水に添加するようにしても、同様の効果が得られることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいて完成されるに至った。
すなわち、本発明にかかる放射性Cs汚染水の処理方法は、水中で、M(I)4Fe(II)(CN)6及び/又はM(I)3Fe(III)(CN)6で表される鉄シアノ錯体(但し、M(I)は1価のカチオンである)と、2価の遷移金属塩化合物とを反応させることにより、M(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6](但し、xは0又は1であり、Ma(II)は2価の遷移金属であって、そのうち、xが0でかつMa(II)がZn(II)である場合は除く)及び/又はM(I)Mb(II)[Fe(III)(CN)6](但し、Mb(II)は鉄を除く2価の遷移金属である)で表されるプルシアンブルー類似体の分子及び/又はそのクラスターの含有液を得る工程(A)と、前記工程(A)を放射性Cs汚染水中で行うか、及び/又は、前記工程(A)でプルシアンブルー類似体含有液を得た後に放射性Cs汚染水と混合することにより、前記プルシアンブルー類似体の分子及び/又はそのクラスターにCsイオンを吸着させる工程(B)と、六方晶の結晶構造をとるMc(II)(OH)2(但し、Mc(II)は2価の遷移金属である)で表される水酸化物を前記工程(B)を経た処理液中に含有させるための工程(C)と、を含み、前記工程(C)において、前記プルシアンブルー類似体の量をα(mol)とし、前記Mc(II)(OH) 2 で表される水酸化物の量をβ(mol)とするとき、αとβの比(α/β)が0.1〜2.0の範囲であることを特徴とする。
本発明にかかる放射性Cs吸着剤は、M(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6](但し、xは0又は1であり、Ma(II)は2価の遷移金属であって、そのうち、xが0でかつMa(II)がZn(II)である場合は除く)及び/又はM(I)Mb(II)[Fe(III)(CN)6](但し、Mb(II)は鉄を除く2価の遷移金属である)で表されるプルシアンブルー類似体の分子及び/又はそのクラスターと、Mc(II)(OH)2で表される水酸化物又はその部分酸化物(但し、Mc(II)は2価の遷移金属である)との複合体を有効成分とし、未だCsが吸着されていない
本発明にかかる放射性Cs吸着剤の製造方法は、Csを含まない水中で、M(I)4Fe(II)(CN)6及び/又はM(I)3Fe(III)(CN)6で表される鉄シアノ錯体(但し、M(I)は1価のカチオンである)と、2価の遷移金属塩化合物とを反応させることにより、M(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6](但し、xは0又は1であり、Ma(II)は2価の遷移金属であって、そのうち、xが0でかつMa(II)がZn(II)である場合は除く)及び/又はM(I)Mb(II)[Fe(III)(CN)6](但し、Mb(II)は鉄を除く2価の遷移金属である)で表されるプルシアンブルー類似体の分子及び/又はそのクラスターの含有液を得る工程と、前記水中に、六方晶の結晶構造をとるMc(II)(OH)2(但し、Mc(II)は2価の遷移金属である)で表される水酸化物を含有させる工程と、を含むことを特徴とする。
なお、以下では、「プルシアンブルー」を「PB」と略記することがある。
本発明によれば、放射性Cs汚染水のCsイオンを低コストで迅速かつ効率的に吸着除去すると共に処理液の全シアン濃度を排水基準値以下に低減することができる。
Csを捕捉したPB類似体分子を、層状結晶構造を有する2価の遷移金属水酸化物及び該酸化物の層間にインターカレートした模式図である。
以下、本発明にかかる放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
なお、本発明において、各種薬剤の添加方法は、粒剤、粉末、水溶液、分散液など、いずれの形態で使用しても良く、特に限定されない。
〔放射性Cs汚染水の処理方法〕
本発明の放射性Cs汚染水の処理方法は、下記工程(A)〜(C)を必須に備えているものである。以下の説明から分かるように、工程(A)〜(C)は順次行われる必要はなく、同時、或いは工程(A)〜(C)の順番を変えて行ってもよい。
<工程(A)>
工程(A)は、水中で、M(I)4Fe(II)(CN)6及び/又はM(I)3Fe(III)(CN)6で表される鉄シアノ錯体と、2価の遷移金属塩化合物とを反応させることにより、M(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6]及び/又はM(I)Mb(II)[Fe(III)(CN)6]で表されるPB類似体の分子及び/又はそのクラスターの含有液を得る工程である。
ここで、M(I)は1価のカチオンであり、例えば、Li+、Na+、K+、NH4 +などが挙げられるが、好ましくは、Na+及び/又はK+である。
2価の遷移金属塩化合物の形としては、特に限定するわけではないが、水可溶性である塩化物、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩、リン酸塩などが好ましく挙げられる。
2価の遷移金属塩化合物における2価の遷移金属は、具体的にはMa(II)又はMb(II)であるが、用いる鉄シアノ錯体の種類に応じて、上記PB類似体を得るのに適切なものを選択すればよい(後述する反応式(1)〜(3)参照。)。
また、M(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6]におけるxは0又は1である。
PB類似体におけるMa(II)は、2価の遷移金属であり、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウムなどが好ましく挙げられる。
PB類似体におけるMb(II)は、鉄を除く2価の遷移金属であり、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウムなどが好ましく挙げられる。
なお、「鉄を除く」としたのは、仮にMb(II)が鉄である場合は、PBであってPB類似体ではないからであり、このことを記載上明確にしたに過ぎない。すなわち、PB類似体が生成せずにPBのみが生成する態様を本発明の対象外とする趣旨である(PB類似体の生成と同時にPBが生成する態様まで本発明の対象外とする趣旨ではない)。
工程(A)におけるPB類似体の合成反応は、M(I)4Fe(II)(CN)6で表される鉄シアノ錯体(フェロシアン化合物)及び/又はM(I)3Fe(III)(CN)6で表される鉄シアノ錯体(フェリシアン化合物)と、2価の遷移金属塩化合物との反応によって実施されるものであり、具体的には以下に説明するとおりである。
すなわち、まず、フェロシアン化合物からの合成は、下記反応式(1)、(2)に示すとおりである。
Figure 0005744940
Figure 0005744940
また、フェリシアン化合物からの合成は、下記反応式(3)に示すとおりである。
Figure 0005744940
反応式(1)、(2)からは2種類のCsイオンを捕捉する活物質であるPB類似体1とPB類似体2がそれぞれ生成し、反応式(3)からはPB類似体3が生成する。
Csイオンの捕捉には水可溶性のPB類似体1及び3が重要である。
<工程(B)>
工程(B)は、工程(A)を放射性Cs汚染水中で行うか、及び/又は、工程(A)でPB類似体含有液を得た後に放射性Cs汚染水と混合することにより、PB類似体分子及び/又はそのクラスターにCsイオンを吸着させる工程である。
すなわち、工程(B)は、工程(A)を放射性Cs汚染水中で行うことによって工程(A)と同時に行っても良いし、工程(A)の後に放射性Cs汚染水と混合して行っても良く、その両方であってもよい。
このように、本発明の処理方法では、上記反応(1)〜(3)で生成する上記(PB類似体1)及び/又は上記(PB類似体2、PB類似体3)を水溶液から分離することなくCsイオンに作用させるので、微粉末のPBを添加する従来法と異なり、Csイオンの吸着が短時間(例えば、1時間以内)で平衡に達する。
例えば、PB類似体1分子がCsイオンを捕捉する反応を式(4)に示す。
Figure 0005744940
上式(4)において、xは1又は2を表す。
ここで、PB類似体分子が、Naイオン、Kイオンなどの他のアルカリ金属イオンや、Mgイオン、Caイオンなどのアルカリ土類金属イオンよりも、Csイオンと優先的に結合する機構は、R.G.Pearsonが提唱したHSAB規則により説明することができる(Pearson, Ralph G. (1963)."Hard and Soft Acids and Bases". J. Am. Chem. Soc.85 (22): 3533-3539.を参照)。
すなわち、HSAB規則によると、Csは主量子数6のアルカリ金属であり、Csイオンの最低空原子軌道LUAOは6s軌道となり、それぞれ3s、4s軌道がLUAOであるNaイオン、Kイオン、Caイオンに比較して、分極し易く軟らかい酸に分類される。つまり、アルカリイオンの酸としての硬さ、軟らかさの順は次のようになる。
軟らかい Cs+≫K+>Na+〜Mg2+〜Ca2+ 硬い
一方、PB類似体陰イオンMa(II)Fe(II)(CN)6 2-、及びMb(II)Fe(III)(CN)6 -は軟らかい塩基に分類される。HSAB規則によれば、硬い酸は硬い塩基と強く結合し、軟らかい酸は軟らかい塩基と強く結合するが、硬い酸と軟らかい塩基の間又は軟らかい酸と硬い塩基の間で形成される結合は弱い。従って、Csイオンは他のアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンよりもPB類似体イオンと強く結合する。
HSAB規則は量子化学で説明されている(G.Klopman (1968). "Chemical Reactivity and Concept of Charge- and Frontier-Controlled Reactions" J. Am. Chem. Soc. 90(2):223-234.を参照)。
それによると、酸と塩基の結合形成による安定化エネルギー(−ΔE)は式(5)で表される。
Figure 0005744940
a:M(I)イオンの電荷 qb:PB類似体イオンbの電荷
ε:反応場の誘電率 rab:M(I)とPB類似体の結合距離
Γab:クーロン反発項
m *:PB類似体イオンbの最高占有分子軌道(HOMO)エネルギー
n *:陽イオンaの最低非占有原子軌道(LUAO)エネルギー
m:PB類似体イオンのHOMOを構成する原子軌道関数の係数の最大値
n:M(I)イオンのLUAO関数の係数
β:M(I)のLUAOとPB類似体イオンのHOMOの共鳴積分項
式(5)の左辺−ΔEの値が大きいほど酸と塩基の結合は安定化する。右辺の第1項と第2項はそれぞれM(I)イオンの正電荷とPB類似体イオンの負電荷のクーロン相互作用と溶媒和によるエネルギーの安定化を意味し、硬い酸と硬い塩基の相互作用には第1項と第2項が寄与する。
例えば、電荷密度が小さいCsイオンとPB類似体1イオンの場合、第1項及び第2項の−ΔE値への寄与は小さい。一方、第3項は軟らかい酸と軟らかい塩基の相互作用を意味しており、軟らかい酸CsイオンのLUAOと軟らかい塩基のPB類似体1イオンMa(II)Fe(II)(CN)6 2-の最高占有分子軌道(LUMO)間の強い相互作用が−ΔE値の増加に大きく寄与するのである。つまり、この場合、第3項の|Em *−En *|が小さくβ2が大きくなるので、第3項が−ΔE値の増加に寄与することになる。
硬い酸であるNaイオン,Kイオン,Mgイオン,Caイオンと軟らかい塩基であるPB類似体イオンとの相互作用では式(5)の第1項〜第3項による−ΔE増加への寄与は小さい。つまり、これらのカチオンとPB類似体イオンは強い結合を形成しない。
従って、下式(6)、(7)において、平衡反応は以下の順で右側に傾斜する。
M(I)+: Cs+≫K+>Na+
Figure 0005744940
Figure 0005744940
次に、PB類似体によるCsイオンの迅速な吸着という本発明の処理方法に特有の機構については、次のように説明される。
すなわち、工程(A)において生成したPB類似体は、生成直後では分子の状態であるか及び/又は数分子が集合した微小な集合体(クラスター)の状態にある。
そして、生成したPB類似体分子とCsイオンとの接触表面が水溶液中で絶えず更新される結果、CsイオンとPB類似体分子及び/又はそのクラスターとの接触が効率的に行われ、短時間で吸着平衡が達成されるものと考えられる。撹拌条件下においては、特に迅速な吸着が可能である。
これに対して、従来のように、成長した結晶構造を有する微粉末のPBを添加する場合、Csイオンの吸着速度はCsイオンのPB結晶格子内での拡散が律速となるため、吸着平衡に達するまでに1日以上を要していたものと考えられる。
<工程(C)>
工程(C)は、工程(B)を経た処理液中に、六方晶の結晶構造をとるMc(II)(OH)2(但し、Mc(II)は2価の遷移金属である)で表される水酸化物(以下、単に、「Mc(II)水酸化物」ということがある)を含有させる工程である。
Mc(II)としては、水酸化物が六方晶の結晶構造をとる2価の遷移金属であれば特に限定されないが、例えば、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウムなどが挙げられる。
工程(B)を経た処理液中に、Mc(II)水酸化物を含有させる方法としては、例えば、処理液中で2価の遷移金属塩化合物を加水分解する方法が挙げられる。
この場合、2価の遷移金属塩化合物としては、工程(A)において、鉄シアノ錯体と反応させる2価の遷移金属塩化合物を過剰に使用して余剰分を利用したり、別途新たに処理液中に添加したりすることで処理液中に存在させることができる。
また、3価の遷移金属塩化合物、例えば塩化鉄(III)を処理液に含有させておいてこれを還元剤で塩化鉄(II)に還元したり、あるいは、1価の遷移金属塩化合物、例えば塩化銅(I)を処理液に含有させておいてこれを塩化銅(II)に酸化したりすることによって、2価の遷移金属塩化合物を含有させるようにする方法も本発明の範疇に入る。
このような2価の遷移金属塩化合物としては、例えば、2価の遷移金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、有機酸塩などが好ましく挙げられる。
本発明でPB類似体の凝集/不溶化にFe(II)化合物を用いる場合、水溶液の溶存酸素濃度を0ppmにすることが好ましい。水溶液の溶存酸素によりFe(II)がFe(III)に酸化され加水分解で生成した水酸化鉄(III)は非晶質であり層状の結晶構造を取ることができないため、PB類似体の凝集/不溶化が十全でなくなる。
水溶液中の溶存酸素を除去するには、例えば、還元剤を処理工程で加えるか、窒素ガスを処理液に通す方法が好適に挙げられる。還元剤としては、例えば、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、鉄粉、金属亜鉛粉、蓚酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
2価の遷移金属化合物の加水分解によるMc(II)水酸化物への変換は、下記反応式(8)で表される。
Figure 0005744940
ここで、Mc(II)2+は、上述のように、工程(A)において鉄シアノ錯体と反応させる2価の遷移金属塩化合物の過剰分、別途新たに添加する2価の遷移金属塩化合物、3価の遷移金属塩化合物を還元したもの、1価の遷移金属塩化合物を酸化したものなどに由来する処理液中の2価の遷移金属イオンである。
このような加水分解は、水溶液のpHを調整することによって容易に進行させることができる。
本発明でCsイオンを捕捉する活物質は、PB類似体とMc(II)(OH)2の複合体、すなわち、各モル量をα、βとすると、α[PB類似体]・β[Mc(II)(OH)2]であると考えられる。
ここで、Csイオンを吸着するPB類似体分子及び/又はそのクラスターの実体は、主に、上式(1)〜(3)における(PB類似体1)又は(PB類似体3)であること、また、工程(A)では、鉄シアン錯体と2価の遷移金属塩化合物との反応によりPB類似体が速やかに生成することから、Csイオンを吸着するPB類似体分子の分子数は鉄シアノ錯体の分子数に関係する。
従って、PB類似体の量α(mol)は、鉄シアノ錯体の量(mol)で代表される。
また、Mc(II)(OH)2の量β(mol)は、上述のように、工程(A)において鉄シアノ錯体と反応させる2価の遷移金属塩化合物の過剰分、別途新たに添加する2価の遷移金属塩化合物、3価の遷移金属塩化合物を還元したもの、1価の遷移金属塩化合物を酸化したものなどの総量(mol)で代表される。
なお、工程(A)において鉄シアノ錯体と反応させる2価の遷移金属塩化合物の過剰分については、工程(A)で用いた2価の遷移金属塩化合物のモル数と鉄シアノ錯体のモル数(上述のとおりこの値はαに等しい)との差から容易に算出できる。
本発明では、パラメーターα/βの範囲は0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.0であることがより好ましい。
Csイオンを吸着したPB類似体分子の不溶化や凝集の効果を得る上では、α/βを0.1より小さくしてもそれ以上の改善効果は期待できず、むしろ、過剰の遷移金属化合物によって処理液の水質を損なうおそれがある。一方、α/βが2.0を超えると、Mc(II)水酸化物によるPB類似体分子の不溶化、凝集効果が不十分となり、濾過工程において、Csイオンを結合していない、及び/又はCsイオンを結合したPB類似体分子及び/又はそのクラスターがフィルターの篩目を透過するおそれがある。
更に、処理液の全シアン濃度が排水基準値を越えるために全シアン濃度を低減するための複雑な処理工程が必要となる。
工程(C)において処理液中で2価の遷移金属塩化合物を加水分解する場合、水溶液のpHは4〜9の範囲であることが好ましく、pH6〜8であることがより好ましい。
pHが4未満であると、2価の遷移金属塩化合物の加水分解が進まずに意図した効果が得られないおそれがある。一方、加水分解のpHが高すぎると、PB類似体分子及び/またはそのクラスターの分解が起こり、処理液の全シアン濃度が環境基準値もしくは排水基準値を超えるおそれがあるとともに、凝集構造が壊れ、凝集/不溶化したCs吸着PB類似体分子が再溶解したり、そのクラスターを再生したりするおそれがある。
工程(B)を経た処理液中に、Mc(II)水酸化物を含有させるための別の方法として、前記工程(B)の後に、2価の遷移金属水酸化物及び/又はその酸化物を添加することにより、Mc(II)水酸化物を処理液中に含有させるようにするにしてもよい。
また、鉄粉や亜鉛粉などを処理液に含有させておいて、これを空気や腐食などで酸化することによって、Fe(OH)2やZn(OH)2などのMc(II)水酸化物を含有させるようにする方法も本発明の範疇に入る。
以上のような方法により処理液中にMc(II)水酸化物を共存させることによってPB類似体分子及び/又はそのクラスターが不溶化、凝集し、粗大粒子化(通常、粒径1μm以上)する機構については、詳細は定かでないが、本発明者らは以下のように考察した。
すなわち、PB類似体分子及び/又はそのクラスターの凝集や沈殿のために2価の遷移金属塩化合物を用いる場合(工程(A)でMa(II)塩化合物やMb(II)塩化合物を過剰量添加する場合や、これらとは別に新たに処理液中に添加する場合など)、Csイオンを吸着したPB類似体分子やそのクラスターの凝集・不溶化は、2価の遷移金属塩化合物分子の遷移金属(II)のd軌道とPB類似体分子及び/又はそのクラスターのシアノ基のπ電子との相互作用により、2価の遷移金属塩化合物がPB類似体分子と架橋結合を形成して不溶化する。さらに、処理液のpHを弱酸〜弱アルカリに調整するなどして2価の遷移金属塩化合物を加水分解するとMc(II)水酸化物が生成し、結晶構造を形成する。なお、このMc(II)水酸化物の溶解度積は10-12以下と小さい。
そして、本発明のMc(II)水酸化物は六方晶の結晶構造を取るので、PB類似体分子及び/又はそのクラスターのシアノ基を介して架橋構造を形成しながら、該結晶のc軸方向に層状に結晶成長し、1μm以上の粗大粒子を形成する。
以上の結果、該粗大粒子は、Csと結合したPB類似体分子及び/又はそのクラスターがMc(II)水酸化物の層状構造の層間にインターカレートした構造を有していると考えられる。その構造の模式図を図1に示した。図1(a)はM(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6]と水酸化物の複合体にCsが吸着されたCs2Ma(II)Fe(II)(CN)6・Mc(II)(OH)2を示し、図1(b)はM(I)Mb(II)[Fe(III)(CN)6]と水酸化物の複合体にCsが吸着されたCsMb(II)Fe(III)(CN)6・Mc(II)(OH)2を示す。
一方、PB類似体分子及び/又はそのクラスターの凝集や沈殿のために2価の遷移金属水酸化物や該酸化物を添加して処理液中にMc(II)水酸化物を含有させる場合、前記d−π相互作用により、水難溶性のMc(II)水酸化物の結晶表面でPB類似体分子及び/又はそのクラスターと架橋結合が形成される。Mc(II)水酸化物は六方晶で層状構造を取っているので、処理工程の攪拌によりPB類似体分子及び/又はそのクラスターと架橋結合をしたMc(II)水酸化物の結晶面が剥離する。
そして、剥離した該結晶面はPB類似体分子及び/又はそのクラスターを層間にインターカレートした形で層状に結晶成長して、粒子径1μm以上の粗大粒子が形成されるものと考えられる。
或いは、水中ではMc(II)(OH)2の層状構造の層内に水分子が浸入しMc(II)(OH)2の層状構造の層間隔が広がるため、分子容の大きなPB類似体分子、及び/又はそのクラスターでも容易に層間内に拡散し、層間にインターカレートすることにより不溶化する機構も考えられる。
Mc(II)水酸化物には不安定なものが多く、乾燥状態では容易に脱水縮合して該酸化物Mc(II)Oに変換される。Mc(II)Oは水溶液では水和反応によりMc(II)水酸化物に変換されるので、本発明においてはMc(II)OとMc(II)水酸化物は同等と考えることができる。
一般に水処理工程では微粒子を凝集させるために硫酸バンドAl2(SO43や塩鉄Fe(III)などを添加する方法が汎用されている。また、廃液中の重金属類の不溶化にマグネシウム塩MgSO4などを添加する方法が採られている。しかし、本発明では2価の遷移金属塩化合物の代わりに前記凝集剤や不溶化剤を適用しても効果は得られない。これはAl(III)、Fe(III)、Mg(II)は硬い酸に属し、軟らかい塩基のPB類似体分子のシアノ基との相互作用による安定な結合形成が出来ないためと考えられる。
ただし、本発明において、前記凝集物の沈殿速度や濾過速度を促進するために、無機及び/又は有機の凝集剤を用いることを排除するものではない。例えば、アニオン系の高分子凝集剤を微量添加することで、Csイオン捕捉凝集物の沈殿速度を格段に速めることも可能である。
PB類似体分子及び/又はそのクラスターをゲストとしてインターカレートしたホストのMc(II)水酸化物の一部は脱水して酸化物Mc(II)Oを形成するので、Cs吸着剤の構造としては、例えば(9)式で示すことができる。
Figure 0005744940
上式(10)において、x+y=1であり、m、nは正数である。
<その他の工程>
工程(C)でMc(II)水酸化物によりPB類似体分子及び/又はそのクラスターを凝集・沈殿させた後は、通常、濾過による沈殿物の除去を行う。
この場合、濾過する際の処理液についてもpH調整を行うことが好ましい。その範囲はpH4〜9であり、更にpH6〜8であることが好ましい。
〔放射性Cs吸着剤〕
本発明の放射性Cs吸着剤は、M(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6]及び/又はM(I)Mb(II)[Fe(III)(CN)6]で表されるPB類似体の分子及び/又はそのクラスターと、Mc(II)(OH)2又はその部分酸化物との複合体を有効成分とする。
以下では、上述の放射性Cs汚染水の処理方法と重複する説明(PB類似体、M(I)、Ma(II)、Mb(II)、Mc(II)についての説明など)は割愛する。
上記Mc(II)(OH)2の部分酸化物とは、複合体を構成するMc(II)(OH)2の一部が縮合してMc(II)Oとなっているものである。例えば、乾燥状態では、Mc(II)(OH)2の一部がMc(II)Oの状態となっていることが多いが、この場合でも、水中では、水和によりMc(II)(OH)2の状態になるため、結局、放射性Cs吸着剤の有効成分としての作用という観点から見たとき、六方晶の結晶構造が維持される限度において、Mc(II)(OH)2とMc(II)Oとは同等と評価できる。そのため、本発明の放射性Cs吸着剤では、このような部分酸化物をも包含するのである。
本発明の放射性Cs吸着剤は、前記PB類似体の分子及び/またはそのクラスターとMc(II)(OH)2又はその部分酸化物との複合体を有効成分とするが、前記PB類似体とMc(II)(OH)2又はその部分酸化物との割合は、前記PB類似体の当量をαモルとし、Mc(II)(OH)2又はその部分酸化物を構成するMc(II)の当量をβモルとするとき、αとβの比(α/β)が0.1〜2.0となる割合であることが好ましく、0.2〜1.0となる割合であることがより好ましい。これらの範囲内では、特に処理液の全シアン濃度の低減効果が大きい。
本発明の放射性Cs吸着剤の性状は、特に限定されず、分散液、含水物、乾燥物など、いずれでも良い。
具体的には、本発明の放射性Cs吸着剤は、例えば、後述する本発明の放射性Cs吸着剤の製造方法によって製造することができるが、後述の製造方法においては、上記PB類似体の分子及び/又はそのクラスターと上記Mc(II)(OH)2との複合体を含有する分散液が得られるのであり、これを濾過すれば含水物が、また、乾燥すれば乾燥物が得られる。
なお、上記乾燥物などの性状においては、上記Mc(II)(OH)2の一部が脱水縮合してMc(II)Oの状態(つまり、Mc(II)(OH)2の部分酸化物)となる場合もある。
また、本発明の放射性Cs吸着剤は、本発明の効果を害しない範囲であれば、上記有効成分以外の成分を含有していても良い。例えば、放射性Cs吸着剤の製造過程で含有される成分や目的に応じた任意の添加剤などが含まれていても良い。
本発明の放射性Cs吸着剤を放射性Csと共存させることで放射性Csの吸着除去ができる。具体的には、放射性Cs吸着剤の分散液、含水物又は乾燥物を放射性Cs汚染水中に添加する方法や、逆に放射性Cs吸着剤の分散液に放射性Cs汚染水を添加する方法などが挙げられる。放射性Cs吸着剤の分散液としては、下記の如き製造方法で得られたものをそのまま用いても良い。
〔放射性Cs吸着剤の製造方法〕
本発明の放射性Cs吸着剤の製造方法は、水中で、M(I)4Fe(II)(CN)6及び/又はM(I)3Fe(III)(CN)6で表される鉄シアノ錯体と、2価の遷移金属塩化合物とを反応させることにより、M(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6]及び/又はM(I)Mb(II)[Fe(III)(CN)6]で表されるプルシアンブルー類似体の分子及び/又はそのクラスターの含有液を得る工程と、前記水中に、六方晶の結晶構造をとるMc(II)(OH)2で表される水酸化物を含有させる工程と、を含む。
基本的には、上述の放射性Cs汚染水の処理方法において、工程(B)を行わないようにすれば、本発明の放射性Cs吸着剤の製造方法と同等となる。
従って、基本的な説明は上述の放射性Cs汚染水の処理方法と重複するので、説明を割愛する。
以下、実施例を用いて、本発明にかかる放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法について詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、放射性Cs汚染水の入手には制約があるため、実施例の多くを入手可能な安定同位体133Csで代用して実施した。
しかし、以下で観察される化学的、物理的な事象は、133Csの放射性同位体である137Cs、134Csのそれと完全に一致する。
従って、133Csを含む模擬汚染水、模擬海水及び放射性Cs汚染水からCsを除去した以下の実施例は、同時に、放射性同位体である137Cs、134Csについての効果も実証するものである。
以下の実施例及び比較例で用いた薬品のうち、フェロシアン化ナトリウム10水和物以外の薬品は全てキシダ化学社製のものを使用した。
〔実施例1〕
蒸留水に塩化セシウムCsClを溶解させて調製したCsイオン濃度100mg/Lの模擬Cs汚染水1Lにフェリシアン化カリウム1.15g(3.5mmol)を加え、続いて、硫酸マンガン(II)1水和物0.59g(3.5mmol)を加えてPB類似体を生成させた。
上記PB類似体の合成工程の後、PB類似体を不溶化するため、攪拌下、硫酸マンガン(II)1水和物1.18g(7.0mmol)を添加し、α/β=0.5とした。5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.0に調整しながら攪拌を続けた。処理開始から1時間後、攪拌を止めて静置した。
上記PB類似体の凝集/不溶化工程の後、篩目1μm、5Cの濾紙を用いて、処理液を濾過し、濾液を得た。
濾液のCsイオン濃度はアジレント社の誘導結合型プラズマ質量分析装置(ICP−MS)7000xで測定を行った。また、濾液の全シアン濃度はJIS K0102 38.1.2及び38.2に準拠して実施した。
濾液のCsイオン濃度は0.018mg/L(定量下限値0.001mg/L)であり、除去率は99.982%であった。また、全シアン濃度は0.20mg/Lであった。
(定量下限0.01mg/L)。
〔実施例2〕
実施例1で、PB類似体を合成した後、硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸銅(II)無水物1.12g(7.0mmol)を添加したほかは実施例1と同じ方法で実施した。
濾液のCsイオン濃度は0.031mg/Lであり、除去率は99.969%であった。濾液の全シアン濃度は0.02mg/Lであった。
〔実施例3〕
10mLの蒸留水にフェロシアン化カリウム3水和物1.27g(3.0mmol)と硫酸鉄(II)7水和物0.83g(3.0mmol)、亜硫酸ナトリウム1.26gを加えPB類似体であるプルシアンホワイトを合成した。
上記PB類似体の合成工程の後、α/βが0.5になるように、上で得られた水溶液全量と、硫酸マンガン(II)1水和物1.0g(6mmol)とを、Csイオン濃度100mg/Lの模擬Cs汚染水1Lに加え、処理液のpHを7.0に調整しながら攪拌を行なった。
上記PB類似体の凝集/不溶化工程の後、処理開始から30分後、攪拌を止めて静置した。篩目1μm、5Cの濾紙を用いて、処理液を濾過し、濾液を得た。
濾液のCsイオン濃度は0.020mg/Lであり、除去率は99.980%であった。また、全シアン濃度は検出されなかった(定量下限0.01mg/L)。
〔実施例4〕
Csイオン10mg/Lを含み、塩化ナトリウム3.0%、塩化マグネシウム0.5%、塩化カリウム0.05%からなるCs汚染模擬海水1Lにフェロシアン化ナトリウム10水和物1.45g(3mmol)、硫酸マンガン(II)1水和物0.5g(3mmol)を加えてPB類似体を合成した。
上記PB類似体の合成工程の後、硫酸マンガン(II)1水和物1.0g(6.0mmol)を加え、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.0〜7.5に調整しながら攪拌を続けた。処理開始から1時間後、攪拌を止めて静置した。
上記PB類似体の凝集/不溶化工程の後、篩目1μm、5Cの濾紙を用いて、処理液を濾過し、濾液を得た。実施例1と同様にして濾液のCs濃度、全シアン濃度を測定した。
〔実施例5〕
実施例4のPB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸亜鉛(II)無水物0.86g(3mmol)を加えたほかは実施例4と同様に実施した。
〔実施例6〕
実施例4のPB類似体の合成工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに塩化コバルト(II)無水物0.39g(3mmol)を、また、PB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに塩化コバルト(II)無水物0.8g(6mmol)を加えたほかは実施例4と同様に実施した。
〔実施例7〕
実施例4のPB類似体の合成工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに塩化コバルト(II)無水物0.4g(3mmol)を、また、PB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸亜鉛(II)無水物0.73g(6mmol)を加えたほかは実施例4と同様に実施した。
〔実施例8〕
実施例4のPB類似体の合成工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに塩化ニッケル(II)無水物0.2g(1.5mmol)を、また、PB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸銅(II)無水物0.48g(3mmol)を加えたほかは実施例4と同様に実施した。
〔実施例9〕
実施例4のPB類似体の合成工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸銅(II)無水物0.24g(1.5mmol)を、また、PB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸銅(II)無水物0.48g(3mmol)を加えたほかは実施例4と同様に実施した。
〔実施例10〕
実施例4のPB類似体の合成工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸亜鉛(II)無水物0.43g(1.5mmol)を、また、PB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに塩化ニッケル(II)無水物0.39g(3mmol)を加えたほかは実施例4と同様に実施した。
〔実施例11〕
実施例10でPB類似体の凝集/不溶化工程で塩化ニッケル(II)の代わりに硫酸銅(II)0.48g(3mmol)を加えたほかは実施例10と同様に実施した。
実施例4〜11の処理後濾液のCsイオン濃度、全シアン濃度を表1に示した。
Figure 0005744940
〔実施例12〕
実施例4のCs汚染模擬海水1Lにフェロシアン化カリウム3水和物1.27g(3mmol)と硫酸マンガン(II)1水和物0.51g(3mmol)を加えて攪拌しPB類似体を合成した。
上記PB類似体の合成工程の後、α/βが1になるように硫酸マンガン(II)1水和物を0.51g(3mmol)添加し、攪拌下、5moL/L水酸化ナトリウム水溶液を加え処理液のpHを7.0に調整した。処理開始から30分後、攪拌を止めて静置した。
上記PB類似体の凝集/不溶化工程の後、篩目1μm、5Cの濾紙を用いて、処理液を濾過し、濾液を得た。
濾液のCsイオン濃度は0.008mg/L(Cs除去率:99.92%)であり、全シアン濃度は0.22mg/Lであった。
〔実施例13〕
実施例12でPB類似体の凝集/不溶化工程でα/βが2になるように硫酸マンガン1水和物0.26g(1.5mmol)を添加したほかは実施例12と同様に実施した。濾液のCsイオン濃度は0.018mg/L(Cs除去率:99.82%)であり、全シアン濃度は0.42mg/Lであった。
〔実施例14〕
実施例4のCs汚染模擬海水1Lにフェロシアン化ナトリウム10水和物3mmol(1.45g)と硫酸マンガン(II)1水和物3mol(0.51g)を添加してPB類似体を合成した。
上記PB類似体の合成工程の後、α/βが1になるように硫酸銅(II)無水和物0.48g(3mmol)を添加し、pHを調整しながら加水分解を行った(PB類似体の凝集/不溶化工程)。
pHを4.1、5.0、6.2、7.0、8.0、8.8、10に調整したそれぞれの処理液を5Cのろ紙で濾過し濾液を得た。濾液のCs、及び全シアン濃度を表2に示す。
Figure 0005744940
〔実施例15〕
実施例4のCs汚染模擬海水1Lに亜硫酸ナトリウム0.74g(6mmol)を加え水溶液の溶存酸素0ppmに調整した。次にフェロシアン化ナトリウム10水和物3mmol(1.45g)と、硫酸鉄(II)7水和物3mmol(0.84g)を添加してPB類似体であるプルシアンホワイトを合成した。
上記PB類似体の合成工程の後、α/βが1になるように硫酸マンガン(II)1水和物0.51g(3mmol)を添加し、pHを7に調整しながら加水分解を行った。
上記PB類似体の凝集/不溶化工程の後、5Cのろ紙で処理液をろ過して濾液を得た。
〔実施例16〕
実施例15のPB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物の添加量を1.0g(6mmol)に代えたほかは実施例15と同様に実施した。
〔実施例17〕
実施例15のPB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸銅(II)無水和物0.96g(6mmol)を加えたほかは実施例15と同様に実施した。
〔実施例18〕
実施例15のPB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸鉄(II)7水和物0.83g(3mmol)を加えたほかは実施例15と同様に実施した。
〔実施例19〕
実施例15のPB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸鉄(II)7水和物1.7g(6mmol)を加えたほかは実施例15と同様に実施した。
実施例15〜19で得られた濾液についてCsイオン及び全シアン濃度測定結果を表3
に示した。
Figure 0005744940
〔実施例20〕
実施例4のCs汚染模擬海水1Lに亜硫酸ナトリウム0.74g(6mmol)を加え水溶液の溶存酸素0ppmに調整した。次にフェロシアン化ナトリウム10水和物3mmol(1.45g)と、硫酸鉄(II)7水和物2.5g(9mmol)を添加してPB類似体であるプルシアンホワイトを合成した。
上記PB類似体の合成工程の後、攪拌下5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え処理液のpHを7.0〜7.7に調整し未反応の硫酸鉄(II)を加水分解した。攪拌終了後、処理液の酸素濃度を測定したところ0ppmであった。
上記PB類似体の凝集/不溶化工程の後、5Cのろ紙で処理液をろ過して濾液を得た。濾液はCsイオン濃度0.002mg/L、全シアン濃度は0.01mg/L未満であった。
〔実施例21〕
実施例4のCs汚染模擬海水に1Lに亜硫酸ナトリウム0.74g(6mmol)を加え水溶液の溶存酸素0ppmに調整した。次にフェロシアン化ナトリウム10水和物3mmol(1.45g)と、硫酸鉄(II)7水和物0.84g(3mmol)を添加してPB類似体であるプルシアンホワイトを合成した。
上記PB類似体の合成工程の後、水酸化銅(II)0.59g(6mmol)を加えてpHを7.5に調整しながら0.5時間攪拌した。
上記PB類似体の凝集/不溶化工程における攪拌終了後、5Cのろ紙で処理液をろ過して濾液を得た。濾液はCsイオン濃度0.008mg/L、全シアン濃度は0.06mg/Lであった。
〔実施例22〕
100mLの蒸留水にフェロシアン化ナトリウム10水和物(Alfa Aesar社製)1.45g(3mmol)を溶解し、次に攪拌下、硫酸マンガン(II)1水和物0.5g(3mmol)を加えてPB類似体を合成した。
上記PB類似体の合成工程の後、α/β=0.5になるよう硫酸マンガン(II)1水和物1.0g(6mmol)を攪拌下に該合成液に添加した。添加終了後pHを7.5に調整しながら0.5時間攪拌した。
上記PB類似体の凝集/不溶化工程における攪拌終了後、ガラスフィルターで吸引濾過を行った。蒸留水で濾物を洗浄後40℃で1晩真空乾燥を行なった。
該真空乾燥物全量を実施例4のCs汚染模擬海水1Lに添加し、攪拌を1時間行なった。攪拌終了後、処理液を5Cのろ紙で濾過を行った。濾液のCsイオン濃度は0.010mg/L、全シアン濃度は0.05mg/Lであった。
〔実施例23〕
実施例22のPB類似体の凝集/不溶化工程で、硫酸マンガン(II)1水和物1.0g(6mmol)の代わりに硫酸銅(II)無水和物0.96g(6mmol)をPB類似体合成液に加えたほかは実施例22と同様に実施した。得られた濾液のCsイオンは0.032mg/L、全シアン濃度は0.01mg/L未満であった。
〔比較例1〕
実施例1で用いたCsイオン濃度100mg/Lの模擬Cs汚染水1LにPB(大日精化工業社製:NH4Fe(III)Fe(II)(CN)6)4gを加えて2時間攪拌を行った。硫酸バンドAl2(SO43を1g添加し、攪拌しながら5mol/L水酸化ナトリウム水溶液で処理液のpHを9.0に調整した。続いて、アニオン系高分子凝集剤(MTアクアポリマー社製のアコフロックA115)の0.1%水溶液を1mL添加し、フロックを形成させた後、処理液を5Cの濾紙で濾過した。
濾液についてCsイオン濃度の測定を実施例1と同様にして実施した。
濾液のCsイオン濃度は55.6mg/Lであり、除去率は44.4%であった。
〔比較例2〕
実施例4で用いたCs汚染模擬海水1Lについて、比較例1と同様、大日精化工業製のPB1gを添加し、pHを8に調整して攪拌を24時間実施した。PB添加から1時間、6時間、8時間経過の処理液100mLをそれぞれ採取した。採取した処理液それぞれに比較例1と同様のアニオン系高分子凝集剤を添加した後、5Cの濾紙で濾過を行い、濾液についてCsイオン濃度を比較例1と同様にして測定した。24時間経過については残処理液について、凝集剤を添加して沈殿形成後、同様に濾過を行ないCsイオン濃度の測定を実施した。各経過時間採取試料の濾液のCsイオン濃度を表4に示した。
Figure 0005744940
〔比較例3〕
実施例1で用いたCsイオン濃度100mg/Lの模擬Cs汚染水1Lに大日精化工業社製PB:NH4Fe(III)Fe(II)(CN)6を4g加えて1時間攪拌を行った。
攪拌終了後、処理液を5Cの濾紙で濾過したところ、PBも濾紙を通過してしまい、紺青の濾液が得られた。
〔比較例4〕
実施例1で用いたCsイオン濃度100mg/Lの模擬Cs汚染水1LにPB(大日精化工業社製:NH4Fe(III)Fe(II)(CN)6)1g(3mmol)を加え、続いて硫酸マンガン(II)1水和物1.0g(6mmol)を加えて攪拌を2時間行った。その間、処理液のpHを5mol/L水酸化ナトリウム水溶液により9.0に調整した。攪拌終了後、処理液を5Cの濾紙で濾過を実施した。
濾液についてCsイオン濃度、全シアン濃度の測定を実施例1と同様にして実施した。
濾液のCsイオン濃度は64.5mg/Lであり、除去率は35.5%であった。
〔比較例5〕
実施例4で用いたCs汚染模擬海水1Lにフェロシアン化ナトリウム10水和物1.45g(3mmol)、硫酸マンガン(II)1水和物0.5g(3mmol)を加えてPB類似体を合成した。PB類似体の凝集/不溶化剤は加えずpHを7.0に調整しながら30分間攪拌を続けた。攪拌を止め、篩目1μm、5Cの濾紙を用いて、処理液を濾過し、濾液を得た。実施例1と同様にして濾液のCs濃度、全シアン濃度を測定した。
〔比較例6〕
比較例5で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに塩化コバルト(II)無水和物0.39g(3mmol)を加えてPB類似体合成したほかは比較例5と同様に実施した。
〔比較例7〕
比較例5で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに塩化ニッケル(II)無水和物0.39g(3mmol)を加えてPB類似体合成したほかは比較例5と同様に実施した。
〔比較例8〕
比較例5で硫酸マンガン(II)1水和物の代わりに硫酸亜鉛(II)7水和物0.86g(3mmol)を加えてPB類似体合成したほかは比較例5と同様に実施した。
〔比較例9〕
比較例5でフェロシアン化ナトリウム10水和物1.45g(3mmol)の代わりにフェリシアン化カリウム1g(3mmol)を加えたほかは比較例5と同様に実施した。
〔比較例10〕
比較例5でフェロシアン化ナトリウム10水和物1.45g(3mmol)の代わりにフェロシアン化カリウム3無水和物1.27g(3mmol)を加えたほかは比較例5と同様に実施した。
〔比較例11〕
実施例4のPB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物0.2g(1.2mmol)を加えα/βを2.5としたほかは実施例4と同様に実施した。
〔比較例12〕
実施例22のPB類似体の凝集/不溶化工程で硫酸マンガン(II)1水和物0.17g(1mmol)を加え、α/βを3に代えたほかは実施例22と同様に実施した。
比較例5〜12で得られた濾液のCsイオン濃度、全シアン濃度の測定値を表5に示した。
Figure 0005744940
いずれの比較例においても、全シアン濃度が排水基準値(1mg/L)を大きく超えた。
本発明の放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法は、Csイオンで汚染された水から、Csイオンを迅速かつ効率的に吸着除去すると同時に処理後液の全シアン濃度を排水基準値以下にするための処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法として、好適に利用することができる。

Claims (11)

  1. 水中で、M(I)4Fe(II)(CN)6及び/又はM(I)3Fe(III)(CN)6で表される鉄シアノ錯体(但し、M(I)は1価のカチオンである)と、2価の遷移金属塩化合物とを反応させることにより、M(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6](但し、xは0又は1であり、Ma(II)は2価の遷移金属であって、そのうち、xが0でかつMa(II)がZn(II)である場合は除く)及び/又はM(I)Mb(II)[Fe(III)(CN)6](但し、Mb(II)は鉄を除く2価の遷移金属である)で表されるプルシアンブルー類似体の分子及び/又はそのクラスターの含有液を得る工程(A)と、
    前記工程(A)を放射性Cs汚染水中で行うか、及び/又は、前記工程(A)でプルシアンブルー類似体含有液を得た後に放射性Cs汚染水と混合することにより、前記プルシアンブルー類似体の分子及び/又はそのクラスターにCsイオンを吸着させる工程(B)と、
    六方晶の結晶構造をとるMc(II)(OH)2(但し、Mc(II)は2価の遷移金属である)で表される水酸化物を前記工程(B)を経た処理液中に含有させるための工程(C)と、
    を含み、
    前記工程(C)において、前記プルシアンブルー類似体の量をα(mol)とし、前記Mc(II)(OH) 2 で表される水酸化物の量をβ(mol)とするとき、αとβの比(α/β)が0.1〜2.0の範囲である、
    放射性Cs汚染水の処理方法。
  2. 前記M(I)がNa+及び/又はK+である、請求項1に記載の放射性Cs汚染水の処理方法。
  3. 鉄シアノ錯体と反応させる前記2価の遷移金属塩化合物が、塩化物、硝酸塩、硫酸塩及び有機酸塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の放射性Cs汚染水の処理方法。
  4. 前記Ma(II)及びMc(II)が、それぞれ独立して、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛及びカドミウムから選ばれる少なくとも1種であり、前記Mb(II)がマンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛及びカドミウムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1から3までのいずれかに記載の放射性Cs汚染水の処理方法。
  5. 前記工程(C)において前記Mc(II)(OH)2で表される水酸化物を処理液中に含有させるために、処理液中で2価の遷移金属塩化合物を加水分解するようにする、請求項1からまでのいずれかに記載の放射性Cs汚染水の処理方法。
  6. 前記工程(C)における加水分解はpHを4〜11に調整することにより行う、請求項に記載の放射性Cs汚染水の処理方法。
  7. 前記工程(C)において前記Mc(II)(OH)2で表される水酸化物を処理液中に含有させるために、前記工程(A)から前記工程(B)の間及び/又は後に、2価の遷移金属水酸化物及び/又はその酸化物を添加するようにする、請求項1からまでのいずれかに記載の放射性Cs汚染水の処理方法。
  8. 前記工程(C)では処理液のpHを4〜9の範囲とする、請求項1からまでのいずれかに記載の放射性Cs汚染水の処理方法。
  9. 処理後液の全シアン濃度が排水基準値(1mg/L)を満足する、請求項1からまでのいずれかに記載の放射性Cs汚染水の処理方法。
  10. M(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6](但し、xは0又は1であり、Ma(II)は2価の遷移金属であって、そのうち、xが0でかつMa(II)がZn(II)である場合は除く)及び/又はM(I)Mb(II)[Fe(III)(CN)6](但し、Mb(II)は鉄を除く2価の遷移金属である)で表されるプルシアンブルー類似体の分子及び/又はそのクラスターと、Mc(II)(OH)2で表される水酸化物又はその部分酸化物(但し、Mc(II)は2価の遷移金属である)との複合体を有効成分とし、未だCsが吸着されていない、放射性Cs吸着剤。
  11. Csを含まない水中で、M(I)4Fe(II)(CN)6及び/又はM(I)3Fe(III)(CN)6で表される鉄シアノ錯体(但し、M(I)は1価のカチオンである)と、2価の遷移金属塩化合物とを反応させることにより、M(I)2xMa(II)2-x[Fe(II)(CN)6](但し、xは0又は1であり、Ma(II)は2価の遷移金属であって、そのうち、xが0でかつMa(II)がZn(II)である場合は除く)及び/又はM(I)Mb(II)[Fe(III)(CN)6](但し、Mb(II)は鉄を除く2価の遷移金属である)で表されるプルシアンブルー類似体の分子及び/又はそのクラスターの含有液を得る工程と、
    前記水中に、六方晶の結晶構造をとるMc(II)(OH)2(但し、Mc(II)は2価の遷移金属である)で表される水酸化物を含有させる工程と、
    を含む、放射性Cs吸着剤の製造方法。
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