JP6349479B1 - アルミナ粉体 - Google Patents

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Abstract

本発明に係るアルミナ粉体は、ヒドロキシカルボン酸及びアルカリ成分を含有し、上記アルミナの結晶構造が、非晶質、擬ベーマイト又はベーマイトであり、かつ、以下の(1)〜(4)をすべて有する。(1)Al2O3として2.5質量%となるように上記アルミナ粉体と蒸留水とを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(A)が得られ、当該コロイド分散液(A)を波長500nm、光路長10mmの条件で測定したときの光透過率が80%以上である。(2)Al2O3として15質量%となるように上記アルミナ粉体と蒸留水とを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(B)が得られる。(3)上記コロイド分散液(A)及び上記コロイド分散液(B)のpHの範囲が5〜8である。(4)Al2O3として2.5質量%となるように上記アルミナ粉体とメタノールとを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(C)が得られ、当該コロイド分散液(C)を上記条件で測定したときの光透過率が80%以上である。

Description

本発明は、アルミナ粉体に関する。
アルミナはその特性を活かして各種用途に幅広く使われている。アルミナ粉体に係る技術には種々の技術が知られており、その中でもアルミナ粉体を水に分散させたときに液の透明性を特徴とするものがある。
例えば、特許文献1にはアルミナ水和物微粒子粉末に関する技術が開示されており、実施例1〜10によれば、当該粉末を純水にAl2O3として2.2重量%となるように分散させた液を分光光度計で測定したとき(測定波長:500nm)、光透過率が30〜32%の範囲となったことが示されている(特許文献1の表2)。なお、当該粉末を得る噴霧乾燥前のゲルのpHは3.5〜4.1の範囲である(特許文献1の表1)。
特開2014−133687号
本発明は、アルミナ粉体を液体に分散させたときに、沈殿を生じることなく、アルミナのコロイド粒子が分散した液(以下「コロイド分散液」という。)が得られるアルミナ粉体の開発を課題とする。当該アルミナ粉体の特徴は、水に分散させたときに、中性付近のpH値を示すこと、また、高濃度のコロイド分散液が得られることである。さらに、当該アルミナ粉体の特徴は、水又はメタノールに分散させたときに、高い透明性を有するコロイド分散液が得られることである。
本発明に係るアルミナ粉体は以下のとおりである。
[1]ヒドロキシカルボン酸及びアルカリ成分を含有し、上記アルミナの結晶構造が、非晶質、擬ベーマイト又はベーマイトであり、かつ、以下の(1)〜(4)の特性すべてを有する。
(1) Al2O3として2.5質量%となるように上記アルミナ粉体と蒸留水とを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(A)が得られ、当該コロイド分散液(A)を波長500nm、光路長10mmの条件で測定したときの光透過率が80%以上であること。
(2) Al2O3として15質量%となるように上記アルミナ粉体と蒸留水とを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(B)が得られること。
(3) 上記コロイド分散液(A)及び上記コロイド分散液(B)のpHの範囲が5〜8であること。
(4) Al2O3として2.5質量%となるように上記アルミナ粉体とメタノールとを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(C)が得られ、当該コロイド分散液(C)を波長500nm、光路長10mmの条件で測定したときの光透過率が80%以上であること。
[2]ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、クエン酸及び酒石酸からなる群から選択される1種又は2種以上である、上記[1]に記載のアルミナ粉体。
[3]アルカリ成分が、アルカリ金属、アンモニア及び水溶性アミン化合物からなる群から選択される1種又は2種以上である、上記[1]又は[2]に記載のアルミナ粉体。
[4]さらに、以下の(5)〜(7)の特性のうち、いずれか1つ以上を有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のアルミナ粉体。
(5) 25℃で1ヶ月間保存後も、上記コロイド分散液(A)及び上記コロイド分散液(B)に、沈殿の発生が認められないこと。
(6) 上記コロイド分散液(A)の作製直後の光透過率に対する、25℃で1ヶ月間保存後の光透過率の変化率が±5%以内であること。
(7) 上記コロイド分散液(A)の作製直後の粘度に対する、25℃で1ヶ月間保存後の粘度の変化率が±25%以内であること。
[5]さらに、以下の(8)の特性を有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載のアルミナ粉体。
(8) 上記コロイド分散液(A)の作製直後の粘度が20mPa・s以下であること。
[6]さらに、以下の(9)〜(10)の特性のうち、いずれか一方又は双方を有する、上記[5]に記載のアルミナ粉体。
(9) 上記コロイド分散液(A)の作製直後に、10質量%硝酸水溶液を添加してpHを1に設定したとき、その粘度が20mPa・s以下であること。
(10) 上記コロイド分散液(A)の作製直後に、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを14に設定したとき、その粘度が20mPa・s以下であること。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のアルミナ粉体が液体に分散したコロイド分散液。
本発明のアルミナ粉体は、これを水又はメタノールに分散させたときのコロイド分散液が高い透明性を有するものであり、また、水に分散させたときには高濃度のコロイド分散液が得られ、中性付近のpH値を示すものである。このため、さまざまな材料との混合に適しており、とりわけ透明性が要求される用途に適したものである。
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
なお、本発明において、数値範囲に関する「数値1〜数値2」という表記は、数値1を下限値とし数値2を上限値とする、両端の数値1及び数値2を含む数値範囲を意味し、「数値1以上数値2以下」と同義である。
本発明のアルミナ粉体は、ヒドロキシカルボン酸及びアルカリ成分を含有し、アルミナの結晶構造が、非晶質、擬ベーマイト又はベーマイトであり、かつ、以下の(1)〜(4)の特性すべてを有するものである。
(1) Al2O3として2.5質量%となるように上記アルミナ粉体と蒸留水とを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(A)が得られ、当該コロイド分散液(A)を波長500nm、光路長10mmの条件で測定したときの光透過率が80%以上であること。
(2) Al2O3として15質量%となるように上記アルミナ粉体と蒸留水とを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(B)が得られること。
(3) 上記コロイド分散液(A)及び上記コロイド分散液(B)のpHの範囲が5〜8であること。
(4) Al2O3として2.5質量%となるように上記アルミナ粉体とメタノールとを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(C)が得られ、当該コロイド分散液(C)を波長500nm、光路長10mmの条件で測定したときの光透過率が80%以上であること。
特性(1)は、本発明のアルミナ粉体を蒸留水と混合して得られる、Al2O3として2.5質量%のコロイド分散液に関するものである。本明細書では、当該コロイド分散液をコロイド分散液(A)と称する。コロイド分散液(A)は、沈殿を生じるものではなく、かつ、その光透過率が80%以上を示すものである。このコロイド分散液(A)の光透過率は、特許文献1に開示されたアルミナ粉体により得られる分散液の光透過率と比べて非常に高いものである。本発明のアルミナ粉体によれば、このように高い光透過率を有するコロイド分散液(A)を得ることができるため、意匠性が要求される用途にも好適に用いることができる。特性(1)における光透過率は、85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
本発明のアルミナ粉体であれば、高濃度のコロイド分散液が得られることを示したのが特性(2)である。即ち、特性(2)は、本発明のアルミナ粉体を蒸留水と混合して得られる、Al2O3として15質量%のコロイド分散液に関するものである。本明細書では、当該コロイド分散液をコロイド分散液(B)と称する。コロイド分散液(B)のように、Al2O3として15質量%という高濃度であっても沈殿を生じないという特性(2)は、従来のアルミナ粉体に関する技術に比すると特筆すべき特性と認識され得るものである。また、コロイド分散液(B)の光透過率については、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上である。
特性(3)は、コロイド分散液(A)及びコロイド分散液(B)のpHが中性領域を包含した5〜8の範囲であることを示したものである。
特性(4)は、本発明のアルミナ粉体をメタノールと混合して得られる、Al2O3として2.5質量%のコロイド分散液に関するものである。本明細書では、当該コロイド分散液をコロイド分散液(C)と称する。コロイド分散液(C)は、沈殿を生じるものではなく、かつ、その光透過率が80%以上を示すものである。特性(4)における光透過率は、85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。なお、コロイド分散液(A)、コロイド分散液(B)及びコロイド分散液(C)において、イオン性アルミニウムの共存を排除するものではない。
本発明のアルミナ粉体のアルミナの結晶構造は、非晶質、擬ベーマイト又はベーマイトである。アルミナの結晶構造が非晶質又は擬ベーマイトの場合、本発明の効果がより顕著に得られる。アルミナの結晶構造は、常法によって分析すればよく、好例は粉末X線回折による分析である。
ヒドロキシカルボン酸の種類は、特に限定されることはなく、例えば、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸等を例示することができる。ヒドロキシカルボン酸は、1種類だけ含有してもよいし、2種類以上含有してもよい。カルボキシル基数とヒドロキシル基数の合計が少ないヒドロキシカルボン酸を含有するアルミナ粉体の方が、水又はメタノールに分散させたときのコロイド分散液の安定性が高くなる傾向にある。好適なヒドロキシカルボン酸は、カルボキシル基数とヒドロキシル基数の合計が3以下となるものである。上記例示したヒドロキシカルボン酸において、乳酸(カルボキシル基数:1、ヒドロキシル基数:1)、リンゴ酸(カルボキシル基数:2、ヒドロキシル基数:1)、グリコール酸(カルボキシル基数:1、ヒドロキシル基数:1)、クエン酸(カルボキシル基数:3、ヒドロキシル基数:1)、酒石酸(カルボキシル基数:2、ヒドロキシル基数:2)である。これらのうちカルボキシル基数とヒドロキシル基数の合計が3以下となるものは、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸である。ヒドロキシカルボン酸を2種類以上含有する場合であって、いずれのヒドロキシカルボン酸においてもカルボキシル基数とヒドロキシル基数の合計が3以下のときは、組合せに特に制限はないが、乳酸とリンゴ酸の組合せ、乳酸とグリコール酸の組合せ、乳酸とリンゴ酸とグリコール酸の組合せが特に好ましい。また、ヒドロキシカルボン酸を2種類以上含有する場合であって、少なくとも1種類のヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基数とヒドロキシル基数の合計が3超のときは、カルボキシル基数とヒドロキシル基数の合計が3超のヒドロキシカルボン酸量の、全ヒドロキシカルボン酸量に対する割合が、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることがさらにより好ましい。
アルカリ成分は、特に限定されることはないが、好例として、アルカリ金属、アンモニア、水溶性アミン化合物等を例示することができる。アルカリ成分は、1種類だけ含有してもよいし、2種類以上含有してもよい。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が好例である。水溶性アミン化合物としては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、水酸化第四級アンモニウム等が挙げられる。第一級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン等が挙げられる。第二級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等が挙げられる。第三級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。水酸化第四級アンモニウムとしては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、水酸化トリメチルプロピルアンモニウム、水酸化ジメチルジエチルアンモニウム、コリン等が挙げられる。この中でも水酸化第四級アンモニウムとアンモニアが分散安定性の点から好適に使用できる。上記水酸化第四級アンモニウムの中でも、特に分散安定化に効果的であることと入手の容易性の点から水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンを推奨することができる。なお、本発明のアルミナ粉体には、その製造時に原料として用いるアルカリ成分含有化合物に由来する副成分が含有されていても構わない。副成分の一例として、アルカリ成分含有化合物が、アルカリ金属又はアンモニアの炭酸塩又は炭酸水素塩であれば、炭酸根、炭酸水素根が該当することがある。また、アルカリ成分含有化合物として尿素を用いるときは、尿素の分解によって生じるアンモニア以外の成分が該当することがある。
本発明のアルミナ粉体の好適な一形態においては、上記特性(1)〜(4)に加えて、以下の特性(5)〜(7)のうちのいずれか1つ以上を有する。
特性(5):25℃で1ヶ月間保存後も、コロイド分散液(A)及びコロイド分散液(B)に沈殿の発生が認められないこと。
特性(6):コロイド分散液(A)の、作製直後の光透過率に対する、25℃で1ヶ月間保存後の光透過率の変化率が±5%以内であること。
特性(7):コロイド分散液(A)の、作製直後の粘度に対する、25℃で1ヶ月間保存後の粘度の変化率が±25%以内であること。
上記特性(5)は、コロイド分散液(A)とコロイド分散液(B)のいずれであっても保存安定性に優れることを沈殿発生の有無の観点から示したものである。さらには、本発明に係るアルミナ粉体によれば、Al2O3として2.5〜15質量%の場合に、保存安定性に優れたコロイド分散液が得られることを示すものである。
上記特性(6)と(7)は、コロイド分散液(A)における保存安定性を光透過率と粘度の観点から示したものである。ここで、光透過率の変化率は、コロイド分散液(A)の作製直後の光透過率をt0(%)、25℃で1ヶ月間保存後の光透過率をt1(%)としたときに、光透過率の変化率=|t1-t0|÷t0×100の計算式によって求められるものである。なお、「| |」は絶対値記号である。また、粘度の変化率は、コロイド分散液(A)の作製直後の粘度をv0(mPa・s)、25℃で1ヶ月間保存後の粘度をv1(mPa・s)としたときに、粘度の変化率=|v1-v0|÷v0×100の計算式によって求められるものである。なお、粘度の測定方法は、特性(8)、(9)及び(10)でも同様であるが、液温を25℃に設定し、円錐平板形粘度計によって測定する。また、本発明において、「作製直後」とは、作製後3時間以内の期間と解釈すればよい。
ところで、特許文献1の表2には、実施例1〜10のアルミナ水和物微粒子粉末を純水にAl2O3として2.2重量%となるように分散させた液の光透過率について、分散液作製直後の最小値が30%、最大値が33%であり、24時間後の最小値が37%、最大値が42%であることが記載されている。そして、当該実施例1〜10について、分散液作製直後の光透過率をt0(%)、24時間後の光透過率をt1(%)として各実施例の光透過率の変化率を計算すると、最小値が23.3%、最大値31.3%となる。これに比較すると、上記特性(6)を有するコロイド分散液(A)は、25℃で1ヶ月間保存後の光透過率の変化率が±5%以内であるため、非常に高い分散安定性を有するものと云える。
本発明のアルミナ粉体の別の好適な一形態においては、上記特性(1)〜(4)又は上記特性(5)〜(7)に加えて、さらに、以下の特性(8)を有する。
特性(8):コロイド分散液(A)の作製直後の粘度が20mPa・s以下であること。
上記特性(8)は、コロイド分散液(A)の作製直後の粘度を規定したものであり、低粘度であることが理解される。粘度の値は、好ましくは10mPa・s以下である。
本発明のアルミナ粉体のさらに別の好適な一形態においては、上記特性(8)に加えて、以下の特性(9)〜(10)のうちいずれか一方又は双方を有する。
特性(9):コロイド分散液(A)の作製直後に10質量%硝酸水溶液を添加してpHを1に設定したとき、その粘度が20mPa・s以下であること。
特性(10):コロイド分散液(A)の作製直後に10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを14に設定したとき、その粘度が20mPa・s以下であること。
上記特性(8)に加えて上記特性(9)又は(10)を有することは、コロイド分散液(A)が、酸やアルカリを添加してもゲル化することなく、低粘度に保たれることを示したものである。上記特性(9)と(10)における各粘度は、好ましくは10mPa・s以下である。これに対し、市販のアルミナ粉体の中には、これを用いて調製した分散液が酸又はアルカリの添加によって増粘しゲル化する性状を示すものがある。
本発明のアルミナ粉体中のヒドロキシカルボン酸とアルカリ成分の含有割合については、少なくとも上記特性(1)〜(4)のすべてを有するように設計されていれば特に限定されるものではない。好適な一形態は、ヒドロキシカルボン酸の含有割合=[ヒドロキシカルボン酸のモル数]×[ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基数]÷[アルミナ粉体中のAl2O3のモル数]の計算式において、ヒドロキシカルボン酸の含有割合が1以上となるように設定し、当該含有割合に対応して、アルカリ成分の含有割合を特性(3)のpH範囲内に入るように設定するものである。ヒドロキシカルボン酸が多量に存在しても上記特性(1)〜(4)にはほとんど影響しないため、ヒドロキシカルボン酸の含有割合の上限値に制限はない。ただし、経済的観点から、多量のヒドロキシカルボン酸の含有は不経済であるため、ヒドロキシカルボン酸の含有割合の上限値は好ましくは3である。ヒドロキシカルボン酸の含有割合が1〜3の範囲内であれば、ヒドロキシカルボン酸量が経済的でありながら上記特性(1)〜(4)のすべてを有することができる。なお、ヒドロキシカルボン酸の含有割合の上限値は、より好ましくは2である。
アルカリ成分の含有割合は、上述のようにヒドロキシカルボン酸の含有割合に対応して、コロイド分散液(A)及びコロイド分散液(B)が特性(3)のpH範囲内に入るように設定されれば特に限定されるものではない。目安は、アルカリ成分の含有割合=[アルカリ成分のモル数]÷([ヒドロキシカルボン酸のモル数]×[ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基数])の計算式において、アルカリ成分の含有割合が0.1〜1の範囲であることが好ましく、0.2〜0.8の範囲がより好ましく、0.3〜0.7の範囲がさらに好ましい。
上記ヒドロキシカルボン酸の含有割合及びアルカリ成分の含有割合の計算式において、[ヒドロキシカルボン酸のモル数]×[ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基数]の部分は、ヒドロキシカルボン酸の種類が2種類以上のときは、各種類のヒドロキシカルボン酸について[ヒドロキシカルボン酸のモル数]×[ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基数]を計算し、その合計を用いる。
本発明のアルミナ粉体は、多数の粒子からなる。それぞれの粒子の大きさは、粉状である限りにおいて特に制限されないが、1000μm以下であることが好ましい。コロイド分散液(A)、コロイド分散液(B)及びコロイド分散液(C)を容易に得る観点から、粒子の大きさは小さい方が好ましく、より好ましくは、上限値は、例えば100μmであり、更に好ましくは50μmである。下限値については特に限定されないが、例えば0.1μmが好ましいが、1μmであっても構わない。粒子の大きさの好ましい範囲は、例えば、0.1〜100μmである。ここで、粒子の大きさの上限値の求め方は、走査電子顕微鏡(SEM)によるSEM画像において観察される粒子のうち、最大長さを有する粒子の最大長さを上限値とする。また、粒子の大きさの下限値の求め方は、SEM画像において観察される粒子のうち、最大長さが最小である粒子における最大長さを下限値とする。SEM画像の観察においては、粒子の大きさを測定できるように、倍率を適宜設定することが好ましく、例えば、100〜20000倍の範囲で上限値と下限値を求めることができる。なお、本発明のアルミナ粉体を液体に分散させる際に、粒子の大きさに起因して良好な分散性が得られない場合は、必要に応じて、撹拌処理、超音波処理等を行って分散させてもよい。
本発明のアルミナ粉体中には、ヒドロキシカルボン酸とアルカリ成分以外の成分は極力含有されていないことが望ましいが、原料中の副成分や不純物に由来する成分、製造工程で除去しきれない成分等の含有を許容するものである。即ち、本発明のアルミナ粉体は、実質的にヒドロキシカルボン酸及びアルカリ成分のみを含有するものであることが望ましい。
本発明の好適な一形態は、以上説明したアルミナ粉体を液体に分散させることによって得られるコロイド分散液である。当該コロイド分散液中のAl2O3濃度は、コロイド分散液が得られる限りにおいて特に制限されないが、0.01〜25質量%の範囲が好ましい。また、上記液体の種類は、コロイド分散液が得られる限りにおいて特に制限されないが、Hansenの三次元溶解性パラメーター値(HSP値)が13(cal/cm3)1/2以上の液体であることが好ましい。ここで、いくつかの液体について、HSP値を次に例示する。なお、以下において単位の表記は省略するが、単位は(cal/cm3)1/2である。水:23.50、グリセリン:21.10、エチレングリコール:16.30、モノエタノールアミン:15.48、ジプロピレングリコール:15.52、プロピレングリコール:14.80、ジエチレングリコール:14.60、メタノール:14.28、エタノール:12.92、1-プロパノール:11.97、アセトニトリル:11.90、酢酸:10.50、酢酸エチル:9.10、トルエン:8.91、ヘキサン:7.24。以上例示した液体において、HSP値が13以上の液体は、水、グリセリン、エチレングリコール、モノエタノールアミン、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びメタノールである。これら例示した液体以外であってもHSP値が13以上の液体であれば、HSP値が13以上の液体に含まれる。また、単独でHSP値が13未満の液体であっても、他の液体と混合したときに混合液のHSP値が13以上となる場合、HSP値が13以上の液体に含まれる。なお、上記液体のHSP値は13.5以上であることがより好ましく、さらに好ましくは14以上である。
以上の各種特性を有することによって、本発明のアルミナ粉体は、光学材料、電子材料、各種バインダー、コーティング剤、触媒担体等のさまざまな用途に適用することが可能である。
本発明のアルミナ粉体の製造方法は、ヒドロキシカルボン酸及びアルカリ成分を含有し、かつ、少なくとも上記特性(1)〜(4)のすべてを有するものが得られるのであれば特に限定されることはなく、原料の混合割合、製造条件等を適宜設定することが好ましい。特に原料の混合割合については、採用する製造工程において揮散、除去等により除外される成分量を勘案し、前述の本発明のアルミナ粉体中の各成分の含有割合も考慮して、本発明のアルミナ粉体が得られるように設計することが望ましい。製造方法の一例として、アルミニウム塩の水溶液に適当な量のヒドロキシカルボン酸とアルカリ成分含有化合物を添加し、次に加熱によってアルミナゾルを得て、これを乾燥する方法が挙げられる。別の一例として、ヒドロキシカルボン酸のアルミニウム塩の水溶液に適当な量のアルカリ成分含有化合物を添加し、次に加熱によってアルミナゾルを得て、これを乾燥する方法が挙げられる。また、別の一例として、水酸化アルミニウムに適当な量のヒドロキシカルボン酸とアルカリ成分含有化合物を添加し、次に加熱によってアルミナゾルを得て、これを乾燥する方法が挙げられる。
上記例示した製造方法においては、アルミナゾルが得られるように、水分量を適宜調節することが好ましい。加熱は、コロイド粒子を得るために実施するが、加熱するほど粒子の大きさが大きくなるので、本発明のアルミナ粉体が得られるように加熱条件を適宜設定することが望ましい。例えば、加熱温度は50〜200℃が好ましく、より好ましくは70〜150℃であり、加熱時間は加熱温度に応じて適宜設定すればよいが、一例としては0.5〜12時間である。加熱方法に特に制限はなく、通常の加熱方法や水熱処理等を例示できる。乾燥は、本発明のアルミナ粉体が得られるのであれば特に限定されることはなく、常法により実施すればよい。乾燥方法として、例えば、噴霧乾燥、静置乾燥、凍結乾燥等を挙げることができる。これらのうち、粒子の大きさが小さい粉体を得る観点からは、噴霧乾燥が好ましい。また、乾燥条件(温度、時間)は、適宜設定することが好ましい。なお、乾燥工程までに、任意の工程として、余分な成分を可能な限り除去するために、洗浄工程を設けてもよい。洗浄は、限外洗浄、ろ過洗浄等の常法により実施すればよい。特に、アルミニウム塩の水溶液において無機酸を含有するときやアルカリ成分含有化合物として金属塩を用いるときには、洗浄工程を設けて余分な無機酸や金属成分を除去することは好適な態様である。
上記例示した製造方法における原料のうち、アルミニウム塩と水酸化アルミニウムは市販のものを用いてもよいし、公知の製法で作製したものを用いても構わない。アルカリ成分含有化合物として、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、尿素、水溶性アミン化合物等を例示することができる。アルカリ金属と水溶性アミン化合物の例として、前記アルカリ成分の説明において例示したものと同様のものを挙げることができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
〔実施例1〕
アルミニウム塩の水溶液(Al2O3=8.6質量%、乳酸=12.2質量%、pH4.5)にアンモニア水を添加した後90℃で3h加熱し、アルミナゾル(Al2O3=2.5質量%、乳酸=3.5質量%、アンモニア=0.4質量%、pH8.3)を得た。このアルミナゾルを、100℃/12hの条件で通風乾燥機にて乾燥し、0.1〜数百μmの不定形粒子からなるアルミナ粉体(Al2O3=38.0質量%、乳酸=52.0質量%、アンモニア=3.4質量%)を得た。
〔実施例2〕
アルミニウム塩の水溶液(Al2O3=8.6質量%、リンゴ酸=1.6質量%、乳酸=10.6質量%、pH4.1)にアンモニア水を添加した後140℃で3h水熱処理し、アルミナゾル(Al2O3=2.5質量%、リンゴ酸=0.4質量%、乳酸=3.0質量%、アンモニア=0.4質量%、pH8.3)を得た。このアルミナゾルを、ヤマト科学(株)製スプレードライヤADL310(入口温度:200℃、出口温度:100℃)にて乾燥し、1〜10μmの球状粒子からなるアルミナ粉体(Al2O3=37.2質量%、リンゴ酸=6.1質量%、乳酸=44.8質量%、アンモニア=4.3質量%)を得た。
〔実施例3〕
アルミニウム塩の水溶液(Al2O3=6.0質量%、乳酸=5.3質量%、pH5.6)にアンモニア水を添加した後100℃で3h加熱し、アルミナゾル(Al2O3=5.0質量%、乳酸=4.4質量%、アンモニア=0.5質量%、pH7.8)を得た。このアルミナゾルを、大川原化工機製スプレードライヤBDP-15(入口温度:210℃、出口温度:110℃、アトマイザ回転数:20000回転)にて乾燥し、10〜50μmの球状粒子からなるアルミナ粉体(Al2O3=47.4質量%、乳酸=41.9質量%、アンモニア=3.2質量%)を得た。
〔実施例4〕
アルミニウム塩の水溶液(Al2O3=6.0質量%、乳酸=14.3質量%、pH4.0)にアンモニア水を添加した後130℃で10h水熱処理し、アルミナゾル(Al2O3=2.0質量%、乳酸=4.8質量%、アンモニア=0.7質量%、pH6.5)を得た。このアルミナゾルを、ヤマト科学(株)製スプレードライヤADL310(入口温度:200℃、出口温度:100℃)にて乾燥し、1〜10μmの球状粒子からなるアルミナ粉体(Al2O3=26.4質量%、乳酸=63.0質量%、アンモニア=6.2質量%)を得た。
〔実施例5〕
アルミニウム塩の水溶液(Al2O3=8.4質量%、乳酸=11.9質量%、pH4.7)に水酸化ナトリウム溶液を添加した後140℃で5h水熱処理し、アルミナゾル(Al2O3=2.5質量%、乳酸=3.5質量%、Na=0.6質量%、pH8.3)を得た。このアルミナゾルを、100℃/12hの条件で通風乾燥機にて乾燥し、0.1〜数百μmの不定形粒子からなるアルミナ粉体(Al2O3=35.6質量%、乳酸=50.3質量%、Na=8.0質量%)を得た。
〔実施例6〕
アルミニウム塩の水溶液(Al2O3=8.4質量%、乳酸=11.9質量%、pH4.7)にテトラエチルアンモニウム水溶液を添加した後140℃で5h水熱処理し、アルミナゾル(Al2O3=2.5質量%、乳酸=3.5質量%、TEAH=3.2質量%、pH8.4)を得た。このアルミナゾルを、100℃/12hの条件で通風乾燥機にて乾燥し、0.1〜数百μmの不定形粒子からなるアルミナ粉体(Al2O3=24.6質量%、乳酸=34.8質量%、TEAH=32.0質量%)を得た。
〔実施例7〕
アルミニウム塩の水溶液(Al2O3=8.4質量%、乳酸=11.9質量%、pH4.7)にコリン水溶液を添加した後140℃で5h水熱処理し、アルミナゾル(Al2O3=2.5質量%、乳酸=3.5質量%、コリン=2.4質量%、pH8.2)を得た。このアルミナゾルを、100℃/12hの条件で通風乾燥機にて乾燥し、0.1〜数百μmの不定形粒子からなるアルミナ粉体(Al2O3=26.8質量%、乳酸=37.9質量%、コリン=25.5質量%)を得た。
〔実施例8〕
アルミニウム塩の水溶液(Al2O3=8.0質量%、グリコール酸=11.3質量%、pH4.4)にアンモニア水を添加した後90℃で3h加熱し、アルミナゾル(Al2O3=2.5質量%、グリコール酸=3.5質量%、アンモニア=0.4質量%、pH8.3)を得た。このアルミナゾルを、100℃/12hの条件で通風乾燥機にて乾燥し、0.1〜数百μmの不定形粒子からなるアルミナ粉体(Al2O3=38.1質量%、グリコール酸=54.0質量%、アンモニア=3.8質量%)を得た。
〔実施例9〕
アルミニウム塩の水溶液(Al2O3=8.1質量%、クエン酸=0.5質量%、乳酸=12.2質量%、pH4.1)にアンモニア水を添加した後140℃で3h水熱処理し、アルミナゾル(Al2O3=2.5質量%、クエン酸=0.1質量%、乳酸=3.8質量%、アンモニア=0.5質量%、pH8.3)を得た。このアルミナゾルを、ヤマト科学(株)製スプレードライヤADL310(入口温度:200℃、出口温度:100℃)にて乾燥し、1〜10μmの球状粒子からなるアルミナ粉体(Al2O3=34.9質量%、クエン酸=2.0質量%、乳酸=52.4質量%、アンモニア=4.7質量%)を得た。
[コロイド分散液の調製]
実施例1のアルミナ粉体に、Al2O3として2.5質量%になるように蒸留水を混合した後撹拌し、コロイド分散液A1を得た。また、実施例1のアルミナ粉体に、Al2O3として15質量%になるように蒸留水を混合した後撹拌し、コロイド分散液B1を得た。さらに、実施例1のアルミナ粉体に、Al2O3として2.5質量%になるようにメタノールを混合した後撹拌し、コロイド分散液C1を得た。
実施例2〜9の各アルミナ粉体についても実施例1と同様にして、それぞれコロイド分散液A2〜A9(分散媒:水、Al2O3濃度:2.5質量%)、コロイド分散液B2〜B9(分散媒:水、Al2O3濃度:15質量%)、及びコロイド分散液C2〜C9(分散媒:メタノール、Al2O3濃度:2.5質量%)を得た。
[特性試験]
各アルミナ粉体及び各コロイド溶液の評価・測定は以下の方法により実施した。
・粒子の形状と大きさ
日本電子(株)製 走査電子顕微鏡 JSM-6010LA型によって得られたSEM画像を用いて、粒子の形状を観察した。また、粒子の大きさの範囲の求め方は、SEM画像において観察される粒子のうち、最大長さを有する粒子の最大長さを上限値とし、最大長さが最小である粒子における最大長さを下限値とした。
・アルミナの結晶構造
実施例1〜9で得られた各アルミナ粉体を、島津製作所(株)製 X線回折装置 XRD-7000で測定し、結晶構造を解析した。その結果、実施例1〜3及び5〜9の各アルミナ粉体はいずれも擬ベーマイトの結晶構造を有し、実施例4のアルミナ粉体は非晶質であることが確認された。
・沈殿発生の有無
目視で確認した。
・光透過率の測定
測定装置として、日本分光(株)製 紫外可視近赤外分光光度計「V-670」を用い、波長500nm、光路長10mmの条件で測定した。
・粘度の測定
液温を25℃に調節したコロイド分散液を円錐平板形粘度計(東機産業(株)製 TVE-25形粘度計)で測定した。
各コロイド分散液について、作製直後と25℃で1ヶ月間保存後の結果を表1に示した。
Figure 0006349479
表1に示したように、作製直後のコロイド分散液A1〜A9、B1〜B9、及びC1〜C9について、(i)沈殿発生が無かったこと、(ii)A1〜A9及びC1〜C9は光透過率が80%以上であったこと、(iii)A1〜A9及びB1〜B9はpHが5〜8の範囲に入っていたこと、が分かった。したがって、実施例1〜9で得られた各アルミナ粉体は、特性(1)〜(4)を有するものであることが確認された。
また、表1より、コロイド分散液A1〜A9及びB1〜B9について、いずれも25℃で1ヶ月間保存後も沈殿の発生が認められなかった。コロイド分散液A1〜A9のそれぞれについて、作製直後の光透過率に対する25℃で1ヶ月間保存後の光透過率の変化率を計算した結果、A1は0.2%、A2は0.4%、A3は0.2%、A4は0.1%、A5は0.1%、A6は0.2%、A7は0.1%、A8は0.3%、A9は0.8%であった。また、コロイド分散液A1〜A9のそれぞれについて、作製直後の粘度に対する25℃で1ヶ月間保存後の粘度の変化率を計算した結果、A1は0%、A2は8.3%、A3は18.8%、A4は0%、A5は6.7%、A6は18.8%、A7は12.5%、A8は0%、A9は0%であった。これらのことから、実施例1〜9で得られた各アルミナ粉体は、特性(5)〜(7)も有するものであることが確認された。
さらに、作製直後の粘度から、コロイド分散液A1〜A9が特性(8)を有するものであることが確認された。
また、コロイド分散液A1とA2のそれぞれについて、10質量%硝酸水溶液を添加してpHを1に設定した後の粘度がそれぞれ2.0mPa・sと2.5mPa・sであり、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを14に設定した後の粘度がそれぞれ1.4mPa・sと1.3mPa・sであったことから、特性(9)及び(10)も有するものであることが確認された。
実施例1、実施例3、及び実施例4で得られた各アルミナ粉体を、プロピレングリコール(HSP:14.80)、モノエタノールアミン(HSP:15.48)、エチレングリコール(HSP:16.30)及びグリセリン(HSP: 21.10)の各液体に対し、Al2O3として2.5質量%になるように混合した後撹拌することによって、沈殿を生じることなく、コロイド分散液が得られた。
実施例1で得られたアルミナ粉体に、分散媒として水を添加し、超音波(東京超音波技研(株)製 卓上型超音波洗浄機UCT-1331)で1h処理した後、24h撹拌を行うことによって、Al2O3濃度が24質量%のコロイド分散液を得た。上記において水の代わりに分散媒としてエチレングリコールを用いて、Al2O3濃度が20質量%のコロイド分散液を得た。また、上記において水の代わりに分散媒としてメタノールを用いて、Al2O3濃度が18質量%のコロイド分散液を得た。いずれのコロイド分散液においても、沈殿は生じなかった。

Claims (7)

  1. ヒドロキシカルボン酸及びアルカリ成分を含有するアルミナ粉体であって、
    上記アルミナの結晶構造が、非晶質、擬ベーマイト又はベーマイトであり、かつ、以下の(1)〜(4)の特性すべてを有する、
    アルミナ粉体。
    (1) Al2O3として2.5質量%となるように上記アルミナ粉体と蒸留水とを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(A)が得られ、当該コロイド分散液(A)を波長500nm、光路長10mmの条件で測定したときの光透過率が80%以上であること。
    (2) Al2O3として15質量%となるように上記アルミナ粉体と蒸留水とを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(B)が得られること。
    (3) 上記コロイド分散液(A)及び上記コロイド分散液(B)のpHの範囲が5〜8であること。
    (4) Al2O3として2.5質量%となるように上記アルミナ粉体とメタノールとを混合したときに、沈殿を生じることなく、コロイド分散液(C)が得られ、当該コロイド分散液(C)を波長500nm、光路長10mmの条件で測定したときの光透過率が80%以上であること。
  2. 上記ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、クエン酸及び酒石酸からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載のアルミナ粉体。
  3. 上記アルカリ成分が、アルカリ金属、アンモニア及び水溶性アミン化合物からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載のアルミナ粉体。
  4. さらに、以下の(5)〜(7)の特性のうち、いずれか1つ以上を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミナ粉体。
    (5) 25℃で1ヶ月間保存後も、上記コロイド分散液(A)及び上記コロイド分散液(B)に沈殿の発生が認められないこと。
    (6) 上記コロイド分散液(A)の、作製直後の光透過率に対する、25℃で1ヶ月間保存後の光透過率の変化率が±5%以内であること。
    (7) 上記コロイド分散液(A)の、作製直後の粘度に対する、25℃で1ヶ月間保存後の粘度の変化率が±25%以内であること。
  5. さらに、以下の(8)の特性を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミナ粉体。
    (8) 上記コロイド分散液(A)の、作製直後の粘度が20mPa・s以下であること。
  6. さらに、以下の(9)〜(10)の特性のうち、いずれか一方又は双方を有する、請求項5に記載のアルミナ粉体。
    (9) 上記コロイド分散液(A)の作製直後に、10質量%硝酸水溶液を添加してpHを1に設定したときその粘度が20mPa・s以下であること。
    (10) 上記コロイド分散液(A)の作製直後に、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを14に設定したとき、その粘度が20mPa・s以下であること。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミナ粉体が液体に分散したコロイド分散液。
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