JP6030025B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、蒸発燃料処理装置に関する。
従来、自動車の燃料タンク等からの蒸発燃料が大気に放出されるのを防止するために、蒸発燃料中の燃料成分を一時的に吸着する蒸発燃料処理装置(以下、キャニスタともいう)が用いられている。
このようなキャニスタとして、タンクポートとパージポートと大気ポートを形成したケースを有し、該ケース内に、活性炭を充填した4つの吸着層を直列に配設し、隣接する吸着層の間に前記活性炭を充填しない空間を形成したキャニスタが知られている(特許文献1参照)。
特開2007−146793号公報
キャニスタにおいては、パージの際に、大気ポートに近い吸着層では、その充填された活性炭から燃料成分が脱離する際の温度低下が大きい。前記従来技術のキャニスタでは、隣接する吸着層間の離間距離が不十分であるため、パージに際に、大気ポートに近い吸着層内で低下した気体の温度が、活性炭が充填されていない空間でほとんど上昇することなく、次の吸着層に流入してしまう。そのため、この次の吸着層での脱離性能が低下し、燃料成分の脱離が不十分になり、パージ後の活性炭における燃料成分の残存量が多くなり、大気への吹き抜けが生じる恐れがある。
そこで、本発明は、前記従来のキャニスタよりもパージ後の、吸着材における燃料成分の残存量を減少させ、大気ポートから外部への燃料成分の吹き抜けを低減する蒸発燃料処理装置を提供することを目的とするものである。
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、内部に流体が流通できる通路を形成し、該通路の一端側にはタンクポート及びパージポートを形成し、前記通路の他端側には大気ポートを形成し、前記通路内には、燃料成分を吸着できる吸着材を充填した4つ以上の吸着層を設けた蒸発燃料処理装置であって、
主吸着層と、該主吸着層の大気ポート側に設けた領域を有し、
該領域には、該主吸着層とは異なる3つ以上の吸着層と、この隣り合う吸着層を離間させる離間部を設け、
前記領域内の少なくとも2つの離間部において、その通路の流通方向と直交する断面積を、真円の断面積に置き換えた際の直径の平均値よりも、隣り合う吸着層の離間距離を大きくしたことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記領域において、隣り合う吸着層の離間距離を、大気ポートに近い離間部ほど長くなるように形成したことを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記領域において、最も大気ポート側に位置する吸着層を、ASTM D5228によるブタンワーキングキャパシティーが14.5g/dL以上の活性炭で構成したことを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の発明において、前記蒸発燃料処理装置において、最もタンクポート側に設けた吸着層を、破砕炭で構成したことを特徴とするものである。
請求項記載の発明は、請求項1乃至の何れか1項に記載の発明において、前記領域内の吸着層における通路の流通方向と直交する断面積と、前記主吸着層における通路の流通方向と直交する断面積との比が、1:2.5〜1:4.5の範囲に含まれることを特徴とするものである。
本発明は、主吸着層の大気ポート側に領域を設け、該領域内に設けた少なくとも2つの離間部を、その通路の流通方向と直交する断面積を、真円の断面積に置き換えた際の直径の平均値よりも、隣り合う吸着層の離間距離が大きくなるように形成したことにより、この離間部内における滞留時間を、前記従来のキャニスタよりも長くすることができ、脱離による低下した気体の温度上昇(回復)量を大きくすることができる。これにより、パージに際に、本発明の蒸発燃料処理装置内における気体の温度を、従来のキャニスタよりも高く維持するができるため、吸着材の脱離性能を向上することができ、パージ後の燃料成分の残存量を、前記従来のキャニスタよりも減少させて、大気への吹き抜け量を低減し、吹き抜け性能を向上できる。
本発明の実施例1に係る蒸発燃料処理装置を説明するための概略図。 本発明の実施例2に係る蒸発燃料処理装置を説明するための概略図。 本発明の実施例3に係る蒸発燃料処理装置を説明するための概略図。 本発明の実施例4に係る蒸発燃料処理装置を説明するための概略図。 本発明の実施例5に係る蒸発燃料処理装置を説明するための概略図。
本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1を示す。
本発明の蒸発燃料処理装置1は、図1に示すように、ケース2を有し、該ケース2の内部には流体が流通できる通路3が形成され、前記ケース2における通路3の一端側端部にはタンクポート4とパージポート5が、他端側端部には大気ポート6が形成されている。
前記通路3には、蒸発した燃料成分を吸着できる吸着材が充填された4つの吸着層、すなわち、第1吸着層11,第2吸着層12,第3吸着層13,第4吸着層14が、直列に配置されている。本実施例では、前記吸着材として活性炭を用いた。
前記ケース2内には、図1に示すように、前記タンクポート4とパージポート5に連通する第1領域21と、大気ポート6に連通する第2領域22が形成され、第1領域21と第2領域22は、大気ポート6側と反対側のケース2内に形成された空間23により連通し、流体が通路3内を流れる際には、空間23で折り返して略U字状に流れるようになっている。
前記タンクポート4は、図示しない燃料タンクの上部気室に連通し、前記パージポート5は、図示しないパージ制御弁(VSV)を介してエンジンの吸気通路へ接続されている。このパージ制御弁の開度は、電子制御ユニット(ECU)により制御され、エンジン運転中に、A/Fセンサ等の測定値等を基にしてパージ制御が行われる。前記大気ポート6は、図示しない通路を介して外部と連通している。
前記第1領域21内には、前記吸着材である活性炭が所定密度で充填されて、前記4つの吸着11〜14のうち最も容積の大きな主吸着層である第1吸着層11が形成されている。この活性炭としては、造粒炭や破砕炭を用いることができるが、本実施例においては破砕炭を用いた。なお、図においては、第1吸着層11が活性炭で構成されていることが分かりやすいように、造粒炭を用いて記載した。
前記ケース2におけるタンクポート4とパージポート5との間には、ケース2における内側面から、前記第1吸着層11の一部にまで達する邪魔板15が設けられている。該邪魔板15により、タンクポート4とパージポート5間を流れる流体が、第1吸着層11を通って流通するようになっている。
前記第1吸着層11は、そのタンクポート4側が不織布等からなるフィルタ16で、パージポート5側が不織布等からなるフィルタ17で夫々覆われている。また、第1吸着層11の空間23側面には、その面全体を覆うウレタン等からなるフィルタ18が設けられ、該フィルタ18の空間23側には多数の連通穴を有するプレート19が設けられている。該プレート19は、スプリング等の付勢手段20によりタンクポート4側へ付勢されている。
前記第2領域22の空間23側には、前記吸着材である活性炭が所定密度で充填された第2吸着層12が形成されている。この活性炭としては、造粒炭や破砕炭を用いることができるが、本実施例においては造粒炭を用いた。
第2吸着層12の空間23側には、その全体を覆うウレタン等からなるフィルタ26が設けられている。前記フィルタ26の空間23側には多数の連通穴を全面に略均等に設けたプレート27が設けられている。該プレート27は、スプリング等の付勢部材28により大気ポート6側へ付勢されている。
前記プレート19,27とケース2の蓋板30との間に前記空間23が形成され、該空間23により、前記第1吸着層11と第2吸着層12とが連通している。
前記第2領域22における第2吸着層12の大気ポート6側には、前記吸着材である活性炭を所定密度で充填した第3吸着層13が形成されている。この活性炭としては、造粒炭や破砕炭を用いることができるが、本実施例においては造粒炭を用いた。
前記第2吸着層12の大気ポート6側端面と、第3吸着層13の空間23側端面との間には、吸着層12と13とを所定距離L1、離間させる第1離間部31が設けられている。第1離間部31の形状は任意に設定するが、本実施例では、大気ポート6側ほどその内径が小さくなるように設定した。
該第1離間部31の第2吸着層12側端部と、第3吸着層13側端部には、その全体を覆うウレタン等からなるフィルタ35,36が設けられている。このフィルタ35と36の間には、フィルタ35,36を所定距離、離間することができる空間形成部材37が設けられている。
前記第2領域22における第3吸着層13の大気ポート6側には、前記吸着材である活性炭が所定密度で充填された第4吸着層14が形成されている。この活性炭としては、造粒炭や破砕炭を用いることができるが、本実施例においてはASTM D5228によるブタンワーキングキャパシティー(BWC)が、14.5g/dL以上の高性能活性炭を用いた。なお、第4吸着層14を構成する活性炭として、第2吸着層12や第3吸着層13を構成する活性炭と同様の活性炭を用いてもよい。第4吸着層14の大気ポート6側には、その端面全体を覆う不織布等からなるフィルタ34が設けられている。
前記第3吸着層13の大気ポート6側端面と、第4吸着層14の空間23側端面との間には、吸着層13と14とを所定距離L2離間させる第2離間部32が設けられている。第2離間部32の形状は任意に設定するが、本実施例では、大気ポート6側ほどその内径が小さくなるように設定した。
該第2離間部32の第3吸着層13側端部と、第4吸着層14側端部には、その全体を覆うウレタン等からなるフィルタ38,39が設けられている。このフィルタ38と39の間には、フィルタ38,39を所定距離、離間することができる空間形成部材40が設けられている。
前記離間部31,32には、吸着材は設けられていない。
なお、離間部31,32は、隣り合う吸着層が所定距離離間することができればよく、例えば、ウレタン等のフィルタのみで形成してもよいし、空間形成部材37、40のみで構成しても良い。
前記第1離間部31において、その通路3の流通方向と直交する方向の断面を、その断面積と同じ断面積となる真円に置き換えた場合における直径D1(図1ではD1の方向が分かるように例示的に図示する)の第1離間部31の前記流通方向全体での平均値(以下、直径D1の平均値という)よりも、前記第2吸着層12と第3吸着層13の離間距離L1が大きくなるように設定した。本実施例においては、離間距離L1を90mm、直径D1の平均値を50.3mmとした。
また、前記第2離間部32において、その通路3の流通方向と直交する方向の断面を、その断面積と同じ断面積となる真円に置き換えた場合における直径D2(図1ではD2の方向が分かるように例示的に図示する)の第2離間部32の前記流通方向全体での平均値(以下、直径D2の平均値という)よりも、前記第3吸着層13と第4吸着層14の離間距離L2が大きくなるように設定し、更に、前記距離L2を、直径D2の平均値の2倍以上に設定することが好ましい。本実施例においては、離間距離L2を140mm、直径D2の平均値を45.3mmとした。
また、前記第2吸着層12と第3吸着層13との離間距離L1よりも、第3吸着層13と第4吸着層14との離間距離L2のほうが長く設定されている。すなわち、第2領域22内において、隣り合う吸着層間の離間距離は、大気ポート6側の離間部ほど長くなるように設定し、更に、前記距離L2を、距離L1の1.5倍以上にすることが好ましい。
更に、前記第2領域22内の吸着層12,13,14の容積の合計は、蒸発燃料処理装置1内における全ての吸着層の容積の合計の12%以下に設定されている。
また、前記第2領域22内の吸着層12,13,14における通路3の流通方向と直交する夫々の断面積と、前記第1吸着層11における通路3の流通方向と直交する断面積との比が、1:2.5〜1:4.5の範囲となるように設定されている。
更に、第2吸着層12と第3吸着層13と第4吸着層14において、通路3の流通方向と直交する方向の夫々の断面積を、通路3の流通方向の全体に亘って同じにしてもよいし、大気ポート6側に向かうほど小さくなるようにしてもよい。
前記の構成により、タンクポート4から蒸発燃料処理装置1内へ流入した蒸発燃料を含有する気体は、各吸着層11〜14内の吸着材で燃料成分が吸着された後、大気ポート6から大気へと放出される。
一方、エンジン運転中のパージ制御の際には、電子制御ユニット(ECU)によりパージ制御弁が開放され、吸気通路内の負圧により大気ポートから蒸発燃料処理装置1内に吸入された空気が、前記とは逆方向に流れて、パージポート5からエンジンの吸気通路へ供給される。その際、各吸着層11〜14内の吸着材に吸着されていた燃料成分が脱離し、空気と共にエンジンへ供給される。
本発明の蒸発燃料処理装置1は、上記構造・構成を有することにより、以下の作用・効果を奏する。
前記離間部31(32)における通路3の流通方向と直交する方向の断面を、その断面積と同じ断面積となる真円に置き換えた場合における直径の離間部31(32)の前記流通方向全体での平均値よりも、前記隣接する吸着層12と13(13と14)の離間距離L1(L2)が大きくなるようにしたことにより、離間部31,32内における滞留時間を、前記従来のキャニスタよりも長くすることができ、吸着層で脱離により低下した気体の温度の上昇(回復)量を多くすることができる。これにより、隣接する吸着層に流入する気体の温度を、従来のキャニスタよりも高くすることができ、その吸着材の燃料成分の脱離性能を高く保つことができる。これにより、パージ後の蒸発燃料処理装置1内の燃料成分の残存量を、前記従来のキャニスタよりも減少させて、燃料成分の大気への吹き抜け量を低減し、吹き抜け性能を向上できる。
また、パージの際には、大気ポート6に近い吸着層ほど、その吸着層への入口と出口とでの気体の温度差が大きい。そのため、温度低下が大きい大気ポート側に位置する離間部ほど、滞留時間を長くして、低下した気体の温度の回復量(上昇量)を大きくすることができれば、吸着材の脱離性能を高く維持することができ、離間部のタンクポート4側の吸着層での吸着材からの燃料成分の脱離効率を向上させることができる。
そこで、本発明では、離間部31,32の流通方向の長さL1,L2を、大気ポート6側の離間部ほど長くすることで、大気ポート6に近いほど、離間部における滞留時間を長くし、低下した気体の温度の上昇量を多くし、蒸発燃料処理装置1の脱離性能を向上させることができた。
[実施例2]
前記実施例1においては、ケース2内に、空間23で1回折り返すU字状の通路3を形成したが、例えば図2に示すように、ケース2内において、2回折り返すN字状に形成した通路41としてもよい。
本実施例2の第1領域21の構造は、前記実施例1の第1領域21と同様である。本実施例2において、第2領域42は、空間43において折り返すU字状に形成され、第2領域42の一端は空間23に連通し、他端には大気ポート6が設けられている。
第2領域42における空間23と43の間には、前記実施例1と同様の第2吸着層12、第3吸着層13が設けられ、第2吸着層12と第3吸着層13の間には第1離間部31が設けられている。また、空間43の大気ポート6側には、前記実施例1の第4吸着層14と同様の第4吸着層14が設けられている。第4吸着層14と第3吸着層13との間には第2離間部32が設けられている。
吸着層11,12,13,14と離間部31,32の相互の関係は、前記実施例1と同様に設定されている。すなわち、前記実施例1と同様に、第2領域42内の前記離間部31(32)において、その通路3の流通方向と直交する断面を、その断面積と同じ断面積となる真円に置き換えた場合における直径の離間部31(32)の前記流通方向全体での平均値よりも、前記隣接する吸着層12と13(13と14)の離間距離L1(L2)が大きくなるようにするとともに、前記第2吸着層12と第3吸着層13の離間距離L1よりも、第3吸着層13と第4吸着層14の離間距離L2のほうが長くように設定されている。
前記実施例1における第3吸着層13と第4吸着層14の離間距離L2に相当する離間距離は、本実施例2においては、第3吸着層13の大気ポート6側端面と第4吸着層14のタンクポート4側端面との軸方向の離間距離である。すなわち、図2に示すように、第3吸着層13の大気ポート6側端面と空間43のタンクポート4側端面入口端との距離L2’と空間43の大気ポート6側端面と第4吸着層14のタンクポート4側端面との距離L2”との合計(L2’+L2”)である。
その他の部材は、前記実施例1と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
また、本実施例2においても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
[実施例3]
本実施例3は、前記実施例1、2の通路3、41と通路の形状が異なり、例えば図3に示すように、ケース2内において、3回折り返すW字状に形成した通路51としてもよい。
本実施例3の第1領域21の構造は、前記実施例1の第1領域21と同様である。本実施例3において、第2領域52は、空間53、54において2回折り返すN字状に形成され、第2領域52の一端は空間23に連通し、他端には大気ポート6が設けられている。
第2領域52における空間23と53の間には、前記実施例1と同様の第2吸着層12、第3吸着層13が設けられ、第2吸着層12と第3吸着層13の間には第1離間部31が設けられている。また、空間53と54の間には、前記実施例1の第4吸着層14と同様の第4吸着層14が設けられている。第4吸着層14と第3吸着層13との間には第2離間部32が設けられている。
吸着層11,12,13,14と離間部31,32の相互の関係は、前記実施例1,2と同様に設定されている。
その他の部材は、前記実施例1,2と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
また、本実施例3においても、前記実施例1,2と同様の作用、効果を奏する。
[実施例4]
前記実施例1においては、ケース2内の通路3を、空間23で1回折り返すU字状に形成したが、例えば、図4に示すように、ケース内の通路を、折り返しのないI字状に形成してもよい。
本実施例4は、例えば図4に示すように、第1領域21と第2領域22とが、空間で折り返すことなく、直線状に配列された蒸発燃料処理装置である。
本実施例4においても、3つの吸着層と、この隣り合う吸着層を離間させる離間部を有し、前記吸着層の容積が、大気ポート6に近い吸着層ほど小さくなるようにし、前記離間部の容積が、大気ポートに近い離間部ほど大きくなるようにし、最もタンクポート側に位置する離間部の容積は、最も大気ポート側に位置する吸着層の容積よりも大きくなるようにした領域である第2領域が、大気ポート6側に設けられている。
吸着層11,12,13,14と離間部31,32の相互の関係は、前記実施例1,2と同様に設定されている。
その他の部材は、前記実施例1,2と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
また、本実施例4においても、前記実施例1,2と同様の作用、効果を奏する。
[実施例5]
図5は、本発明の実施例5の一例を示す。
本実施例5の蒸発燃料処理装置61は、本体キャニスタ62と、サブキャニスタ63とを有し、本体キャニスタ62とサブキャニスタ63とは連通管64により連通されている。
本体キャニスタ62内には、前記実施例1と同様に第1領域21と第2領域22が形成され、第1領域21内には第1吸着層11が、第2領域22内には、前記実施例1と同様の第2吸着層12、第3吸着層13が設けられ、第2吸着層12と第3吸着層13の間には第1離間部31が設けられている。また、サブキャニスタ63内には、前記実施例1と同様の第4吸着層14が設けられている。第3吸着層13と第4吸着層14との間には、第2領域22とサブキャニスタ63に亘って第2離間部66が形成されている。
請求項1の領域とは、本実施例5においては、本体キャニスタ62内の第2領域22とサブキャニスタ63が該当する。
吸着層11,12,13,14と離間部31,66の相互の関係は、前記実施例1,2と同様に設定されている。
本実施例5においては、流路断面積の小さい連通管64では、その部分で流速が増し、その部分での滞留時間は短くなる。そのため、本実施例5においては、前記実施例1の第3吸着層13と第4吸着層14との離間距離L2に相当する距離は、前記連通管64を除いた空間の距離、すなわち、図5のL6+L7が該当し、このL6+L7を用いて、前記実施例1,2の相互の関係が成立するように吸着層11,12,13,14と離間部31,66が形成することが好ましい。
その他の部材は、前記実施例1,2と同様であるので、前記と同様の符号を付して説明を省略する。
また、本実施例5においても、前記実施例1,2と同様の作用、効果を奏する。
[その他の実施例]
なお、前記実施例1〜5では、第1領域21内には、主吸着層である第1吸着層11のみ設けたが、第1領域21内に複数の吸着層を設けるとともに、その隣り合う吸着層の間に、それらを離間する離間部を設けるようにしてもよい。
また、第2領域22,42,52内に、4個以上の吸着層を直列に設け、その隣り合う吸着層の間に、それらを夫々離間する離間部を設けてもよい。その場合、少なくとも2つの離間部において、その通路の流通方向と直交する方向の断面を、その断面積と同じ断面積となる真円に置き換えた場合における直径の離間部の前記流通方向全体での平均値よりも、前記隣接する吸着層の離間距離が大きくなるようにする。
更に、好ましくは、大気ポート6側に設けた少なくとも2つの離間部において、通路の流通方向と直交する方向の断面を、その断面積と同じ断面積となる真円に置き換えた場合における直径の離間部の前記流通方向全体での平均値よりも、前記隣接する吸着層の離間距離が大きくなるようにする。
また、隣接する吸着層12の離間距離は、大気ポート6に近いほど、長くすることが好ましい。
また、主吸着層とは異なる3つ以上の吸着層と、この隣り合う吸着層を離間させる離間部を有し、少なくとも2つの離間部において、その通路の流通方向と直交する方向の断面を、その断面積と同じ断面積となる真円に置き換えた場合における直径の離間部の前記流通方向全体での平均値よりも、前記隣接する吸着層の離間距離が大きくなる領域が、主吸着層の大気ポート6側に設けられていれば、蒸発燃料処理装置全体の形状や、吸着層、離間部、空間等の数及び形状、配列等は任意に設定することができる。
1,61 蒸発燃料処理装置
3,41,51 通路
4 タンクポート
5 パージポート
6 大気ポート
11,12,13 吸着層
31,32,66 離間部

Claims (5)

  1. 内部に流体が流通できる通路を形成し、該通路の一端側にはタンクポート及びパージポートを形成し、前記通路の他端側には大気ポートを形成し、前記通路内には、燃料成分を吸着できる吸着材を充填した4つ以上の吸着層を設けた蒸発燃料処理装置であって、
    主吸着層と、該主吸着層の大気ポート側に設けた領域を有し、
    該領域には、該主吸着層とは異なる3つ以上の吸着層と、この隣り合う吸着層を離間させる離間部を設け、
    前記領域内の少なくとも2つの離間部において、その通路の流通方向と直交する断面積を、真円の断面積に置き換えた際の直径の平均値よりも、隣り合う吸着層の離間距離を大きくしたことを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  2. 前記領域において、隣り合う吸着層の離間距離を、大気ポートに近い離間部ほど長くなるように形成したことを特徴とする請求項1記載の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記領域において、最も大気ポート側に位置する吸着層を、ASTM D5228によるブタンワーキングキャパシティーが14.5g/dL以上の活性炭で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の蒸発燃料処理装置。
  4. 前記蒸発燃料処理装置において、最もタンクポート側に設けた吸着層を、破砕炭で構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の蒸発燃料処理装置。
  5. 前記領域内の吸着層における通路の流通方向と直交する断面積と、前記主吸着層における通路の流通方向と直交する断面積との比が、1:2.5〜1:4.5の範囲に含まれることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の蒸発燃料処理装置。
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