JP6029787B1 - めっき特性に優れる無電解めっき触媒用分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、塗料の安定性及びめっき反応性により、基材に対して外観光沢により優れたものにする無電解めっき触媒用分散液を提供する。【解決手段】(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含む無電解めっき触媒用分散液であって、前記(1)コロイド粒子に含まれる貴金属粒子は、Pd及びPtからなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8wt%以上含有するものであり、前記(2)分散媒は、NMP、DMAc及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、無電解めっき触媒用分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、めっき特性に優れる無電解めっき触媒用分散液に関する。
ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂)等からなる非導電性基材に対して金属めっき(以下、単に「めっき」とも記す)を形成する技術は、自動車の意匠性部品に広く適用されている。例えばABS樹脂等からなる樹脂成形品に対してめっきを形成する場合、樹脂成形品とめっきとの間に優れた密着性が要求される。
非導電性基材は、めっきとの界面に金属結合を得ることができない。そのため、非導電性基材とめっきとの間に優れた密着性を得るためには、非導電性基材の表面にエッチングを行ったり、粗化したりして、表面に微細な凹凸を形成することが必要である。これにより、その表面にアンカー効果(投錨効果)を付与することができる。
本出願人は、Pd粒子と分散剤との複合体、溶媒及びバインダー樹脂を含有する無電解めっき用塗料組成物を用いて、基材に無電解めっきを施す方法を提案している(特許文献1)。この方法では、Pd粒子と樹脂の複合体からなる塗膜にアンカー効果を生じさせ、エッチングと同等の効果を得ることができる。この方法により、非導電性基材に対してエッチングを行うことなく、高いめっき密着性を得ることができる。この方法では、Pd粒子と分散剤との複合体を有機溶剤に溶媒置換することで、様々な樹脂との複合を可能にしている。
無機ナノ粒子の分散液において、分散媒を水から有機溶媒へと置換させる技術が提案されている(特許文献2)。しかし、この技術では、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶媒置換する際に別の溶媒を介在させる必要があり、この処理は煩雑である。また、この技術では、得られた分散液を、めっき触媒として用いることについては不明である。また、金属微粒子分散液を調製して、回路形成用塗料を作製し、これを用いて回路を形成させる技術が提案されている(特許文献3)。しかし、この技術では、溶媒(N-メチルピロリドン(NMP)、DMAc等)の使用は不明である。
また、高分子分散剤と1〜100nmの貴金属微粒子からなる複合体の製造法が提案されている(特許文献4)。しかし、この技術では、貴金属微粒子のサイズに関して1〜100nmと規定されているが、複合体の粒子径が及ぼす効果に関しては特に言及されていない。
特許5422812号 特開2010-42369号公報 特開2006-173408号公報 特開2012-196666号公報
本発明は、塗料の安定性及びめっき反応性により、基材に対して外観光沢により優れたものにする無電解めっき触媒用分散液を提供する。本発明の無電解めっき触媒用分散液を用いると、良好に非導電性基材に対して無電解めっきを施し、外観光沢の優れた無電解めっき物を製造する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の平均粒子径を有する貴金属コロイド粒子を含む無電解めっき触媒用分散液は、基材に対する無電解めっきにおいて上記目的を達成し得ることを見出した。
即ち、本発明は、次の組成物及び製造方法である。
項1.
(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含む無電解めっき触媒用分散液であって、
前記(1)コロイド粒子に含まれる貴金属粒子は、パラジウム及び白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%(wt%)以上含有するものであり、
前記(2)分散媒は、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、
無電解めっき触媒用分散液。
項2.
前記(2)分散媒が、N-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、前記項1に記載の無電解めっき触媒用分散液。
項3.
塗料用である、前記項1又は2に記載の無電解めっき触媒用分散液。
項4.
前記項1〜3のいずれかに記載の無電解めっき触媒用分散液、及び(3)樹脂を含む、無電解めっき触媒用組成物。
項5.
塗料用である、前記項4に記載の無電解めっき触媒用組成物。
項6.
(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含む無電解めっき触媒用分散液の製造方法であって、
前記(1)コロイド粒子に含まれる貴金属粒子は、パラジウム及び白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%(wt%)以上含有するものであり、
前記(2)分散媒は、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、
(1)分散媒中で、貴金属イオンを分散剤の存在下で還元処理を行い、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を調製する工程、及び
(2)得られた貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するように分離して、回収する工程、
を順に含む、無電解めっき触媒用分散液の製造方法。
項7.
(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含む無電解めっき触媒用分散液の製造方法であって、
前記(1)コロイド粒子に含まれる貴金属粒子は、パラジウム及び白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%(wt%)以上含有するものであり、
前記(2)分散媒は、N-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、
(1)水分散媒中で、貴金属イオンを分散剤の存在下で還元処理を行い、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を調製する工程、
(2)得られた貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するように分離して、回収する工程、及び
(3)前記水分散媒をN-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒に置換する工程、
を順に含む、無電解めっき触媒用分散液の製造方法。
無電解めっき触媒用分散液の製造方法では、溶媒置換前の分散溶媒として水溶媒を用い、その後、水溶媒をNMP、DMAc等の溶媒に置換することが好ましい。
無電解めっき触媒用分散液を製造する際には、第一段階で、溶媒置換前の溶媒として、水、NMP及びDMAcの中でも、水溶媒を用いることが好ましい。溶媒置換前の溶媒(分散媒)として、基本的に水を使用することが好ましい。
その後、第二段階で、溶媒置換後の溶媒として、水、NMP及びDMAcの中でも、NMP又はDMAcが好ましい。溶媒置換後の溶媒として、NMP、DMAc等を使用することで、混合できる樹脂の種類が増え、表面張力を抑えることができ、塗装し易くすることができる。溶媒置換後の溶媒として、水、NMP及びDMAcの中でも、NMP溶媒が好ましい。
本発明の特定の平均粒子径を有する貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を含む無電解めっき触媒用分散液を用いて、基材に対して無電解めっきを施すと、塗料は安定であり、めっき反応性が優れている。
本発明の無電解めっき触媒用分散液を用いると、良好に非導電性基材に対して無電解めっきを施し(外観皮膜を形成し)、外観光沢の優れた無電解めっき物を製造することができる。
本発明の無電解めっき触媒用分散液を用いると、得られる無電解めっき物では非導電性基材とめっきとの間の密着性が優れている。
貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を示す図である。写真には、平均粒子径が23.1nm以下の複合体のコロイド粒子が示されている。 貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を示す図である。写真には、平均粒子径が23.1nm以上の複合体のコロイド粒子が示されている。
以下に本発明を詳細に説明する。但し、この実施の形態は、発明の趣旨をよく理解させため具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、発明内容を限定するものではない。
(1) 無電解めっき触媒用分散液
本発明の無電解めっき触媒用分散液は、
(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含み、
前記(1)コロイド粒子に含まれる貴金属粒子は、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%(wt%)以上含有するものであり、
前記(2)分散媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、
ことを特徴とする。
本発明の無電解めっき触媒用分散液(使用サンプル)では、前記(2)分散媒が、NMP及びDMAcからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であることが好ましい。
本発明の電解めっき触媒用分散液は塗料用であることが好ましい。
貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子
無電解めっき触媒用分散液は、(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含み、(1)コロイド粒子に含まれる貴金属粒子は、Pd及びPtからなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、全複合体(貴金属粒子と分散剤との複合体)のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体(貴金属粒子と分散剤との複合体)のコロイド粒子を8重量%(wt%)以上含有する。
本明細書では、「貴金属粒子と分散剤との複合体」を単に「複合体」と記すことがあり。
貴金属粒子(Pd及び/又はPt)と分散剤との複合体のコロイド粒子の調製方法
無電解めっき触媒用分散液には、貴金属粒子(Pd粒子及び/又はPt粒子)と分散剤との複合体のコロイド粒子が含まれる。貴金属粒子は、Pd粒子及び/又はPt粒子である。その貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を、パラジウム複合体コロイド粒子(Pd複合体コロイド粒子)及び/又は白金複合体コロイド粒子(Pt複合体コロイド粒子)と記す。
複合体は、貴金属粒子と分散剤とで構成されており、分散剤の存在下、貴金属イオンを還元することによって得ることができる。
分散剤
前記分散剤として、ポリカルボン酸系分散剤、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤等を用いることが好ましい。分散剤は、市販品を使用することもできる。
ポリカルボン酸系高分子分散剤として、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸トリエチルアミン塩、ポリカルボン酸トリエタノールアミン塩等を使用することが好ましい。例えば、サンノプコ(株)製ノプコサントK,R,RFA、ノプコスパース44-C、SNディスパーサント5020, 5027, 5029, 5034, 5045, 5468、花王(株)製デモールP, EP, ポイズ520, 521, 530, 532A等を使用することができる。
ヒドロキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルヒドロキシエーテルカルボン酸塩等を使用することが好ましい。例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製DISPERBYK190, 2010等を使用することができる。
カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤として、アクリル酸−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸−スルホン酸共重合体等を使用することが好ましい。例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製 DISPERBYK180, 187, 191, 194、(株)日本触媒製アクアリックTL, GL, LSを使用することができる。
分散剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。分散剤の中でも、カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤が好ましい。分散剤は、カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤が好ましい。分散剤は、ポリカルボン酸系高分子等のカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤が好ましい。
分散剤の存在下、塩化パラジウム等のパラジウム化合物(Pd化合物、貴金属化合物)から供給されるパラジウムイオン(Pdイオン)を、ヒドラジンヒドラート等の2級又は3級アミン類で還元することによって得ることができる。複合体は、分散剤の存在下、Pdイオンを還元することによって得られるものが好ましい。
分散剤の存在下、塩化白金(IV)等の白金化合物(Pt化合物、貴金属化合物)から供給される白金イオン(Ptイオン)を、ヒドラジンヒドラート等の2級又は3級アミン類で還元することによって得ることができる。複合体は、分散剤の存在下、Ptイオンを還元することによって得られるものが好ましい。
Pdイオンを供給するPd化合物(貴金属化合物)として、塩化パラジウム(塩化Pd)、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、安息香酸パラジウム、サリチル酸パラジウム、パラトルエンスルホン酸パラジウム、過塩素酸パラジウム、ベンゼンスルホン酸パラジウム等を用いることが好ましい。
Ptイオンを供給するPt化合物(貴金属化合物)として、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロリド白金(IV)酸、テトラクロリド白金(II)酸、ヘキサクロリド白金(IV)酸カリウム、テトラクロリド白金(II)酸カリウム、ヘキサクロリド白金(IV)酸アンモニウム、酸化白金(IV)、臭化白金(II)、臭化白金(IV)、水酸化白金(II)、フッ化白金(VI)等を用いることが好ましい。
貴金属化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
還元剤としては、N,N-ジアルキルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン系化合物類;N,N-ジアルキルヒドラジン等のヒドラジン系化合物類;ハイドロキノン、アミノフェノール等のフェノール類、及びフェニレンジアミン類;2-ヒドロキシアセトン、2-ヒドロキシヘキサン-1,3-ジオン、クエン酸、リンゴ酸等のヒドロキシケトン類やヒドロキシカルボン酸類;アスコルビン酸や2,3-ジヒドロキシマレイン酸等のエンジオール類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコール類;1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類等の各種アミン類;等を用いることが好ましい。
還元剤として、ヒドラジンヒドラート(ヒドラジン1水和物)、水素化ホウ素ナトリウム、N,Nジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の1級、2級又は3級アミン類、アスコルビン酸、2,3-ジヒドロキシマレイン酸等のエンジオール類を用いることが好ましい。
還元する際に使用される溶媒は、分散剤及び貴金属イオンを存在させるための溶媒であり、水、各種溶媒を使用することができる。溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶媒としては特に水が好ましい。貴金属イオンを還元する方法としては、溶媒中に分散剤及び貴金属イオンを存在させた後、還元剤を前記溶媒中に加える方法が挙げられる。これにより貴金属イオンと還元剤とが接触し、貴金属イオンを還元することができる。
貴金属化合物は貴金属イオンを供給する。貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子は、分散剤の存在下、その貴金属化合物から供給される貴金属イオンを、還元剤を用いて還元することによって得ることができる。貴金属イオンが還元剤によって還元されると、貴金属粒子(Pd粒子及び/又はPt粒子)が生成される。そして、貴金属粒子と分散剤との複合体(Pd複合体及び/又はPt複合体)のコロイド粒子(Pd複合体のコロイド粒子及び/又はPt複合体のコロイド粒子)を得ることができる。
貴金属粒子は、その多くが分散剤の外側に付着して、複合体を形成していると考えられる。例えば、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子(分散剤全体の形状)が密集した球状である場合、貴金属粒子の多くは当該球状の表面側(外側)に付着していると考えられる。
コロイド粒子を形成する複合体中の貴金属粒子と分散剤との重量比は、貴金属粒子:分散剤=50:50〜95:5程度が好ましく、貴金属粒子:分散剤=65:35〜85:15程度がより好ましい。
例えば、精製水(89重量部程度)に塩化Pd(1重量部程度)を溶解し、更にクエン酸三ナトリウム(10重量部程度)を溶解して均一に攪拌する。次いで、水素化ホウ素ナトリウム(0.01重量部程度)を添加して、塩化Pdを還元させることで、クエン酸で安定し、保護コロイド化されたPdコロイド粒子を得ることができる。その後、限外濾過により濃縮脱塩を行い、Pd(0.5重量部程度)を含有するPdコロイド粒子を得ることができる。
貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子の平均粒子径
貴金属粒子(Pd粒子及び/又はPt粒子)と分散剤との複合体のコロイド粒子は、Pd及びPtからなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子を含み、全複合体(貴金属粒子と分散剤との複合体)のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%(wt%)以上含有する。
貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子の平均粒子径は、粒径アナライザー(例えば大塚電子株式会社製のFPAR-1000)を用いて、重量換算分布に従って、測定する値である。
無電解めっき触媒用分散液に含まれる貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子の平均粒子径が1〜23.1nmであることで、分散性向上により、めっき皮膜が均一化され、光沢に優れるめっき皮膜が得られるという利点が有る。貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子は、球形状の構造を有していることが好ましい。
また、複合体に含まれる貴金属粒子単独の平均粒子径は、特に限定されない。貴金属粒子単独の平均粒子径は、2〜10nmが好ましい。なお、本明細書では、貴金属粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡で測定している。また、本明細書では、貴金属粒子の平均粒子径は、貴金属粒子をランダムに10点選択し、その貴金属粒子の粒子径を上記透過型電子顕微鏡で測定して、個数平均することで算出される(個数基準平均径)。
本発明の無電解めっき触媒用分散液では、全複合体のコロイド粒子中、その平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%(wt%)以上含有することが特徴である。
貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子の含有量(重量%濃度)
本発明の無電解めっき触媒用分散液では、貴金属コロイド粒子は、全コロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの貴金属コロイド粒子が8重量%(wt%)以上を占める。
平均粒子径が1〜23.1nmの複合体(貴金属粒子と分散剤との複合体)のコロイド粒子の含有量は、粒径の大きさにより分画された2種類の分散液を、任意の割合で混合することに従って調節することができる。
その後、前述の通り、粒径アナライザーを用いて、重量換算分布に従って、無電解めっき触媒用分散液中の平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子の含有量を測定することができる。
無電解めっき触媒用分散液では、1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子の含有量が8重量%(wt%)以上を占めることで、塗膜上の貴金属表面積が増加することにより、無電解めっきの反応性が向上するという利点が有る。無電解めっき触媒用分散液では、1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子の含有量は、8.0重量%以上であることが好ましく、8.4重量%以上であることがより好ましく、9.3重量%以上であることが更に好ましい。また、12.6重量%以上がより好ましく、18.5重量%が更に好ましい。
分散媒
無電解めっき触媒用分散液は、(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含み、(2)分散媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である。
無電解めっき触媒用分散液の製造において、溶媒置換前の分散媒は水が好ましい。
分散媒として、水は貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を分散させることができ、他の成分との親和性に優れている。水は、無電解めっき触媒用分散液中の貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子に分散性を付与できる。
水(分散媒)は、貴金属粒子のイオンの還元反応後に変換することが可能である。例えば、溶媒を水からNMPやDMAcに変換することが可能である。
分散媒は、更に、無電解めっき触媒用分散液や後述する樹脂を含む無電解めっき触媒用組成物に含まれる貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子の分散性、水との親和性等を考慮する。無電解めっき触媒用分散液や触媒用組成物の粘度、触媒用組成物と非導電性基材(ABS樹脂、ガラス板等)との濡れ性、密着性の観点で選択する。これらの観点を満足させるため、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子の分散を目的として、分散媒を使用する。更に別種の溶媒を追加して用いることができる。
その後、最終産物である無電解めっき触媒用分散液の(2)分散媒は、NMP及びDMAcからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であることが好ましい。
分散媒として、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を分散させることができ、他の成分との親和性に優れていることから、非プロトン性極性溶媒(NMP、DMAc)や水を用いる。分散媒は、無電解めっき触媒用分散液中の貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子に分散性を付与できる。
その他の分散媒として、非プロトン性極性溶媒として、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO);γ-ブチロラクトン等を用いることができる。
その他の分散媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、1-ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、シクロヘキサノン等のケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル等のグリコールエーテル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル、サリチル酸メチル等の芳香族カルボン酸エステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n-へキサン、n-へプタン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のグリコールエーテルエステル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のアルカノールエステル類等を追加で用いても良い。
水との親和性が高く、基材の濡れ性向上に寄与するアルコール類、グリコールエーテル類の溶媒が好ましく、その中でもIPA、エチレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。印刷性及び塗装性、印刷・塗装後のレベリング過程を考慮して、蒸発速度が遅い溶媒の使用が好ましい。蒸発速度が遅い溶媒として、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート及び2-フェノキシエタノールが例示される。
分散媒を追加する場合、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
分散媒は、貴金属コロイド粒子(貴金属複合体)を分散させることができる。また、溶媒は樹脂(バインダー)との親和性に優れている。
分散媒は、貴金属コロイド粒子や貴金属複合体の分散性、樹脂(バインダー)の溶解性等を考慮する。更に無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物の粘度、蒸発速度等の観点で選択する。また、無電解めっき触媒用組成物が、非導電性基材(成形品、成型品(ABS樹脂等のプラスチック材料、ガラス板等)と良好に密着する点を満足させることを考慮する。
無電解めっき触媒用分散液の組成
無電解めっき触媒用分散液中の各成分の含有量は、本発明の効果を満たす範囲で特に制限されない。
無電解めっき触媒用分散液では、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子(割合)は、全複合体(貴金属粒子と分散剤との複合体)のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子が8wt%(重量%)以上を占める。
無電解めっき触媒用分散液では、貴金属粒子の含有量(総合含有量)は、0.005〜20重量%程度含まれることが好ましく、0.01〜10重量%程度含まれることがより好ましい。この無電解めっき触媒用分散液を用いて、非導電性基材に対して無電解めっきを施し、無電解めっき物を製造することができる。
NMP、DMAc、水等の分散媒の含有量は、無電解めっき触媒用分散液中に80〜99.995重量%程度が好ましく、90〜99.99重量%程度がより好ましい。分散媒は、貴金属コロイド粒子(貴金属複合体)を分散させることができ、他の成分との親和性に優れている。
貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子と分散媒(NMP、DMAc、水等)との配合比は、貴金属コロイド粒子(貴金属複合体)100重量部に対して、分散媒は1×102〜1×107重量部程度が好ましく、2×102〜5×106重量部がより好ましく、5×102〜1×106重量部が更に好ましい。
本発明の無電解めっき触媒用分散液を用いて、非導電性基材に対して、無電解めっきを良好に施すことができる。
本発明の無電解めっき触媒用分散液は、塗料として用い、パターンめっきを施すことに適している。このパターンめっき用塗料組成物を用いて、無電解めっき処理を行うことで、基材上にパターンめっきを形成することができる。この処理により、無電解めっき皮膜を形成することができる。その無電解めっき皮膜を成形品に形成することができる。
(2) 無電解めっき触媒用分散液の製造方法
貴金属粒子(Pd粒子及び/又はPt粒子)と分散剤との複合体のコロイド粒子は、分散剤の存在下、貴金属化合物(Pd化合物及び/又はPt化合物)から供給される貴金属イオン(Pdイオン及び/又はPtイオン)を、還元剤を用いて還元することによって得ることができる。
前記還元剤として、ヒドラジンヒドラート(ヒドラジン1水和物)、水素化ホウ素ナトリウム、N,Nジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の1級、2級又は3級アミン類、アスコルビン酸、2,3-ジヒドロキシマレイン酸等のエンジオール類を用いることが好ましい。
無電解めっき触媒用分散液やこれを含む無電解めっき触媒用組成物を用いて、非導電性基材に触媒層(触媒組成物)、つまり無電解めっき用皮膜を形成(露出)させることができる。その無電解めっき用皮膜層(触媒)が形成された非導電性基材に対して無電解めっきを行うことで、非導電性基材に滑らかな無電解めっき皮膜を形成させることができる。
本発明の触媒組成物は、無電解めっきの反応性が高く、めっきとの密着性が良好であり、良好な平滑性を発現できるめっき皮膜が形成することが可能である。
無電解めっき触媒用分散液やこれを含む無電解めっき触媒用組成物により、更に、非導電性基材(成形品、成型品(ABS樹脂等のプラスチック材料、ガラス板等)上にパターンの拡がりを抑えつつ、部分めっきを形成することが可能である。前記触媒組成物を用いると、更に、有害な物質によるエッチング工程、煩雑な触媒付与工程等を必要としない。
<製造方法1>
本発明の無電解めっき触媒用分散液の製造方法では、
無電解めっき触媒用分散液は(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含み、
前記(1)コロイド粒子の複合体に含まれる貴金属粒子は、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属のコロイド粒子であり、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%(wt%)以上含有するものであり、
前記(2)分散媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、
(1)分散媒中で、貴金属イオンを分散剤の存在下で還元処理を行い、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を調製する工程、及び
(2)得られた貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8wt%以上含有するように分離して、回収する工程、を順に含むことを特徴とする。
製造方法1の工程(1)
無電解めっき触媒用分散液の製造方法1の工程(1)では、分散媒中で、貴金属イオンを分散剤の存在下で還元処理を行い、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を調製する。
溶媒中に、貴金属イオンと分散剤とを存在させ、還元剤を用いてその貴金属イオンを還元し、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を作製する。
先ず、貴金属イオン(Pdイオン及び/又はPtイオン)と分散剤とを溶媒(分散媒)中に存在させる。金属イオンを供給する貴金属化合物(Pd化合物及び/又はPt化合物)を使用することができる。
各成分の使用量(重量部)は「貴金属化合物」基準とする。
分散剤として、前記分散剤を使用することができる。貴金属イオンと分散剤との使用比率(重量比)は、貴金属化合物100重量部に対して、分散剤を10〜200重量部程度使用することが好ましく、30〜150重量部程度がより好ましく、50〜100重量部程度が更に好ましい。
分散媒(溶媒)として、前記分散媒を使用することができる。分散媒の使用量は、貴金属イオンと分散剤を均一に存在させることができれば特に限定されない。分散媒の使用量は、貴金属化合物100重量部に対して、1×104〜3×105重量部程度が好ましく、1×104〜1×105重量部程度がより好ましい。
次に、貴金属イオンと還元剤とを反応させることにより、貴金属イオンが還元剤によって還元される。貴金属イオンが還元されると、結果として貴金属粒子(Pd粒子及び/又はPt粒子)と分散剤との複合体(Pd複合体及び/又はPt複合体)のコロイド粒子(Pd複合体のコロイド粒子及び/又はPt複合体のコロイド粒子)を得ることができる。還元剤として、前記貴金属複合体を作製するために使用される還元剤を使用することができる。
還元剤の使用量は、特に限定されず、貴金属化合物100重量部に対して、100〜800重量部程度が好ましく、200〜600重量部程度がより好ましい。
還元剤を用いる反応は、35〜45℃程度の温度で行うことが好ましく、50〜60℃程度まで昇温することが好ましい。反応時間は、特に限定されず、1〜5時間程度とすることが好ましい。
反応の際の圧力及び雰囲気は、特に限定されず、大気圧下又は大気(空気)雰囲気下で行うことが好ましい。反応はビーカー等の開放系で行うことができる。反応方法として、貴金属イオン(貴金属化合物)、分散剤及び還元剤を含有する溶液を羽根付き撹拌棒で撹拌することが好ましい。
貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子(Pd複合体のコロイド粒子及び/又はPt複合体のコロイド粒子)を含む混合物(複合体コロイド粒子含有液)を限外濾過し、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を分離して回収することができる。この操作により、複合体コロイド粒子含有液に含まれる無機塩や過剰の分散剤等を除去することができる。例えば、複合体コロイド粒子含有液に対して濾過処理を行い、分散溶媒を補填することが可能である。この処理は、操作を繰り返すことができる。
貴金属イオンの還元反応後に分散媒(溶媒)を変換することが可能である。例えば、還元反応では溶媒(分散媒)として水を使用し、その後、溶媒(分散媒)をNMP等に変換することにより、NMP及び貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子の混合物を作製することが可能である。
製造方法1の工程(2)
無電解めっき触媒用分散液の製造方法1の工程(2)では、工程(1)で得られた貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するように分離して、回収する。
その複合体のコロイド粒子を8重量%となる回収方法や調整方法は、粒径の大きさにより分画された2種類の分散液を、任意の割合で混合することにより達成できる。
貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を含む溶液を、例えば遠心分離に供して、その沈殿画分と上澄み画分とに分ける。
遠心分離の条件は、例えば重力加速度13,000G×24時間に設定することが好ましい。
その上澄み画分は、平均粒子径が比較的小さい(貴金属粒子と分散剤との複合体の)コロイド粒子、つまり平均粒子径が10〜20nm程度のナノサイズのコロイド粒子を多く含む画分である。その上澄み画分は、平均粒子径が1〜23.1nmのコロイド粒子を、比較的多い割合で含む画分である。
その沈殿画分は、平均粒子径が比較的大きい(貴金属粒子と分散剤との複合体の)コロイド粒子、つまり平均粒子径が20nm程度を超える、或いは30nm程度以上のナノサイズのコロイド粒子を多く含む画分である。その沈殿画分は、平均粒子径が1〜23.1nmのコロイド粒子を、比較的少ない割合で含む画分である。
上澄み画分及び沈殿画分に夫々存在する平均粒子径が1〜23.1nmのコロイド粒子の含有量は、粒径アナライザーの重量換算分布を用いて、測定することができる。
本発明では、平均粒子径が1〜23.1nmの(貴金属粒子と分散剤との複合体の)コロイド粒子を比較的多い割合で含む上澄み画分と、平均粒子径が1〜23.1nmのコロイド粒子を比較的少ない割合で含む沈殿画分とを、適宜組み合わせることで、無電解めっき触媒用分散液に含まれる複合体のコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するように調整することが可能となる。
この考えに従えば、本発明の無電解めっき触媒用分散液では、含まれる(貴金属粒子と分散剤との複合体の)コロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有することが重要である。つまり、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8wt%以上含有する無電解めっき触媒用分散液を調製できれば良く、その調製方法は限定されない。
例えば、平均粒子径が1〜23.1nmの(貴金属粒子と分散剤との複合体の)コロイド粒子を直接添加して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体の貴金属コロイド粒子が8重量%以上含有される様に無電解めっき触媒用分散液を調製することも可能である。
例えば、無電解めっき触媒用分散液を減圧蒸留に供して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体の貴金属コロイド粒子が8重量%以上含有される減圧蒸留画分を得ることも可能である。
減圧蒸留の条件は、0.1MPa×110℃に設定することが好ましい。
製造方法1を経ることで、(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含み、前記(1)貴金属粒子は、Pd及びPtからなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するものであり、前記(2)分散媒は、NMP、DMAc及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、無電解めっき触媒用分散液を得ることができる。
<製造方法2>
本発明の無電解めっき触媒用分散液の製造方法では、
無電解めっき触媒用分散液は(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含み、
前記(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子は、Pd及びPtからなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属のコロイド粒子であり、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%(wt%)以上含有するものであり、
前記(2)分散媒は、NMP及びDMAcからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、
(1)水分散媒中で、貴金属イオンを分散剤の存在下で還元処理を行い、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を調製する工程、
(2)得られた貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するように分離して、回収する工程、及び
(3)前記水分散媒をNMP及びDMAcからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒に置換する工程、を順に含むことを特徴とする。
製造方法2の工程(1)
無電解めっき触媒用分散液の製造方法2の工程(1)では、水分散媒中で、貴金属イオンを分散剤の存在下で還元処理を行い、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を調製する。
前記製造方法1の工程(1)の中でも、分散媒として水分散媒を使用する。
無電解めっき触媒用分散液の製造方法では、工程(1)の溶媒置換前の溶媒は、水溶媒が好ましい。貴金属イオンの還元反応後に、溶媒を、水からNMP及び/又はDMAcに変換する。
その他の点では、前記製造方法1の工程(1)と同じである。
製造方法2の工程(2)
無電解めっき触媒用分散液の製造方法2の工程(2)では、工程(1)で得られた貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するように分離して、回収する。
前記製造方法1の工程(2)と同じである。
製造方法2の工程(3)
無電解めっき触媒用分散液の製造方法2の工程(3)では、工程(2)の後、前記水分散媒をNMP及びDMAcからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒に置換(変換)する。
工程(1)では、分散媒として水分散媒を使用することから、溶媒置換後の溶媒は、NMP又はDMAcが好ましい。貴金属イオンの還元反応後に、溶媒を、水からNMP及び/又はDMAcに変換する。
無電解めっき触媒用分散液を製造する際には、第一段階の分散媒(工程(1))として、基本的に水を使用することが好ましい。無電解めっき触媒用分散液の製造方法では、言い換えると、溶媒置換前の溶媒は、水、NMP及びDMAcの中でも、水溶媒が好ましい。
その後、最終産物の無電解めっき触媒用分散液では、分散媒(工程(3))として、NMP及びDMAcからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であることが好ましい。無電解めっき触媒用分散液を製造方法では、言い換えると、溶媒置換後の溶媒は、水、NMP及びDMAcの中でも、NMP又はDMAcが好ましい。
溶媒置換後の溶媒として、NMP、DMAc等を使用することで、混合できる樹脂の種類が増え、表面張力を抑えることができ、塗装し易くすることができる。無電解めっき触媒用分散液の製造方法では、溶媒置換後の溶媒として、水、NMP及びDMAcの中でも、NMP溶媒が好ましい。
分散媒を、水分散媒をNMP及び/又はDMAcに置換(変換)する方法は、特に限定されないが、好ましくは常圧蒸留法、減圧蒸留法、限外ろ過法、遠心分離法等である。
製造方法2を経ることで、(1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含み、前記(1)貴金属粒子は、Pd及びPtからなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8wt%以上含有するものであり、前記(2)分散媒は、NMP及びDMAcからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、無電解めっき触媒用分散液を得ることができる。
(3) 無電解めっき触媒用組成物
本発明の無電解めっき触媒用組成物は、前記無電解めっき触媒用分散液及び(3)樹脂を含むことを特徴とする。
本発明の無電解めっき触媒用組成物は塗料用であることが好ましい。
樹脂(バインダー)
樹脂(バインダー)は、無電解めっき触媒用組成物の粘度、触媒組成物と非導電性基材(成形品、成型品(ABS樹脂等のプラスチック材料、ガラス板等))との密着性、硬化条件等の観点から、良好に無電解めっきの反応性が得られるものを選択することが好ましい。バインダーは、前記分散媒(溶媒)に分散又は溶解するものである。
アセタール樹脂(POM)、エポキシ樹脂、エステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂(PA、ポリアミド、ナイロン)、イミド樹脂(ポリイミド)、アミドイミド樹脂(PAI、ポリアミドイミド)、シェラック樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、オレフィン樹脂(ポリオレフィン)、塩ビ-酢ビ共重合体(塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂)等を用いることが好ましい。
塩ビ−酢ビ共重合体(塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂)とは、塩化ビニルと酢酸ビニル等との共重合樹脂である。
アセタール樹脂(POM)は、ポリビニルアセタール等を用いることが好ましい。ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化した樹脂である。アルデヒドとしてホルマリン(ホルムアルデヒド37%水溶液)を用いてアセタール化したものがポリビニルホルマールである。アルデヒドとしてブタノール(ブチルアルコール)でアセタール化したものがポリビニルブチラール(ブチラール樹脂、PVB)である。
アミド樹脂は、ナイロン6(ε-カプロラクタム)、ナイロン11(ウンデカンラクタム)、ナイロン12(ラウリルラクタム)、ナイロン66(ヘキサメチレンジアミン+アジピン酸)、ナイロン610(ヘキサメチレンジアミン+セバシン酸)、ナイロン6T(ヘキサメチレンジアミン+テレフタル酸)、ナイロン6I(ヘキサメチレンジアミン+イソフタル酸)、ナイロン9T(ノナンジアミン+テレフタル酸)、ナイロンM5T(メチルペンタジアミン+テレフタル酸)、ナイロン612(カプロラクタムとラウリルラクタムとのωアミノ酸同士の共縮重合体)等を用いることが好ましい。
アミドイミド樹脂とは、ポリイミド主鎖にアミド結合を導入した樹脂であり、無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応や無水トリメリット酸クロライドとジアミンとの反応等で得られる樹脂を用いることが好ましい。
樹脂は、アミド樹脂、アミドイミド樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂及び塩ビ−酢ビ共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
樹脂の固形分比は、1〜50重量%程度であることが好ましい。
無電解めっき触媒用組成物の組成
無電解めっき触媒用組成物中の各成分の含有量は、本発明の効果を満たす範囲で特に制限されない。
無電解めっき触媒用分散液の含有量は、無電解めっき触媒用組成物中に1〜50重量%程度が好ましく、5〜30重量%程度含まれることがより好ましい。この無電解めっき触媒用組成物を用いて、非導電性基材に対して無電解めっきを施し、無電解めっき物を製造することができる。
樹脂の含有量は、無電解めっき触媒用組成物中に0.01〜50重量%程度が好ましく、0.1〜25重量%程度含まれることがより好ましい。樹脂は、無電解めっき触媒用分散液やそれに含まれる貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を分散させることができ、他の成分との親和性に優れている。
樹脂の含有量は、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子100重量部に対して、1〜1×105重量部程度が好ましく、50〜5×104重量部程度がより好ましい。
本発明の電解めっき触媒用組成物を用いて、非導電性基材に対して、無電解めっきを良好に施すことができる。
本発明の無電解めっき触媒用組成物は、塗料として用い、パターンめっきを施すことに適している。この無電解めっき触媒用組成物を用いて、無電解めっき処理を行うことで、基材上にパターンめっきを形成することができる。この処理により、無電解めっき皮膜を形成することができる。その無電解めっき皮膜を成形品に形成することができる。
(4) 無電解めっき触媒用組成物の製造方法
無電解めっき触媒用組成物の製造方法では、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び分散媒を含む無電解めっき触媒用分散液に樹脂(バインダー)を混合して混合物を作製する。
無電解めっき触媒用組成物を用いて、非導電性基材に触媒層(無電解めっき触媒用組成物)、つまり無電解めっき用皮膜を形成(露出)させることができる。その無電解めっき用皮膜層(触媒)が形成された非導電性基材に対して無電解めっきを行うことで、非導電性基材に滑らかな無電解めっき皮膜を形成させることができる。
本発明の無電解めっき触媒用組成物は、無電解めっきの反応性が高く、めっきとの密着性が良好であり、良好な平滑性を発現できるめっき皮膜が形成することが可能である。
前記触媒組成物により、更に、非導電性基材(成形品、成型品(ABS樹脂等のプラスチック材料、ガラス板等)上にパターンの拡がりを抑えつつ、部分めっきを形成することが可能である。前記触媒組成物を用いると、更に、有害な物質によるエッチング工程、煩雑な触媒付与工程等を必要としない。
無電解めっき触媒用分散液に樹脂を混合して混合物を作製する。樹脂は、溶媒を混合して使用することができる。2-フェノキシエタノール、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の溶媒を使用することができる。溶媒の使用量は特に限定されない。
樹脂の使用量は、無電解めっき触媒用組成物の粘度を考慮することが好ましい。また、無電解めっき触媒用組成物と非導電性基材(ABS樹脂、ガラス板等)との密着性、硬化条件等を考慮する。
混合は、特に限定されず、大気圧下又は大気(空気)雰囲気下で行うことが好ましい。混合はビーカー等の開放系で行うことができる。混合方法として、溶媒及び樹脂を含有する混合物を羽根付き撹拌棒で撹拌することが好ましい。
無電解めっき触媒用分散液に、樹脂(或いは樹脂と溶媒との混合物)を混合する。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いると、無電解めっきの反応性が高く、装飾用めっきとの密着性が優れ、優れた平滑性を発現できる皮膜形成することが可能である。本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いると、非導電性基材上にパターンの拡がりを抑えつつ、部分めっきを形成することが可能である。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いると、無電解めっきの反応性を向上させる目的で、無電解めっきの還元剤濃度を高めたり、反応温度を上げたりする等の処理を必要としない。本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いると、有害な物質によるエッチング工程、煩雑な触媒付与工程等を必要としない。
(5) めっきを形成する方法
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物は、パターンめっき用塗料組成物として適している。本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物は、パターンめっき又は部分めっき処理をするために、無電解めっきの前処理で使用される。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いて、無電解めっき処理を行うことで、基材上にパターンめっきを形成することができる。この処理により、無電解めっき皮膜を形成することができる。その無電解めっき皮膜を成形品に形成することができる。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いて、非導電性基材に対して、塗布処理、乾燥処理、及び無電解めっき処理を行うことで、非導電性基材上に無電解めっき(パターンめっき)を形成することができる。この処理により、成形品に無電解めっき皮膜を形成することができる。
非導電性基材
基材は非導電性であり、非導電性基材を用いる。基材の材料として、プラスチック(樹脂)、ガラス、金属、セラミックス等を用いることが好ましい。
プラスチック(樹脂)として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン等のポリオレフィン等を用いることが好ましい。
プラスチック(樹脂)として、また、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合合成樹脂)等を用いることが好ましい。
プラスチック(樹脂)として、更に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN);シクロオレフィンポリマー(COP);ポリ乳酸エステル等のポリエステル;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂;ポリカーボネート(PC);PC/ABS;ポリ塩化ビニル;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリエーテルイミド;ポリエーテルスルホン(PES);ポリアセタール;ポリエーテルエーテルケトン;ノルボルネン骨格を有する環状ポリオレフィン;ポリフェニレンスルファイド(PPS);液晶ポリマー(LCP);変性ポリフェニルエーテル;ポリスルホン;フェノール;ポリフタルアミド(PPA);ポリアリレート等を用いることが好ましい。
セラミックスとしては、ガラス、アルミナ等が挙げられる。また、基材として不織布を使用する場合、木質繊維、ガラス繊維、石綿、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、ポリオレフィン繊維等の不織布が挙げられる。
基材の形状としては、特に限定されない。例えば、板状(又はフィルム状)、不織布状(又は織布状)、糸状、金型で成形された各種形状、等のいずれであってもよい。
基材は、主成分以外の成分を含有していてもよい。主成分以外の成分としては、粘土鉱物(例えばタルク、マイカ等)、無機充填剤(例えばカーボン、炭酸カルシウム、酸化チタン等)、ゴム(例えばエチレン-プロピレン共重合体)等が挙げられる。
基材によって、無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物に含まれる分散剤(溶媒)等を適宜調整することができる。
基材(非導電性基材)上にパターンめっきを形成するには、基材上に無電解めっき触媒用組成物(無電解めっき触媒用分散液)をパターン印刷することで可能である。
塗布方法
基材上に、本発明の無電解めっき触媒用組成物(無電解めっき触媒用分散液)を塗布し、その無電解めっき触媒用組成物(無電解めっき触媒用分散液)に含まれる分散媒(溶媒)を揮発及び/又は乾燥させ、その基材を無電解めっきすることが好ましい。これにより、無電解めっき触媒用組成物(無電解めっき触媒用分散液)に含まれる貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子が基材に十分に吸着し、めっきを十分に析出させることができる。
無電解めっき触媒用組成物(無電解めっき触媒用分散液)中には、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子が0.001〜2.0重量%程度含まれることが好ましい。
基材に無電解めっき触媒用組成物(無電解めっき触媒用分散液)を塗布することが好ましい。塗布方法として、バーコーター、グラビア印刷機(グラビアオフセット)、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、ディッピング、スプレー、ディスペンサー、スピンコーター、ロールコーター、リバースコーター、スクリーン印刷機等を用いる塗布方法がある。マスキングレスや生産効率の観点ではグラビアオフセット印刷やパッド印刷が好ましい。
基材の表面に無電解めっき触媒用組成物(無電解めっき触媒用分散液)をパターン印刷する場合は、インクジェット印刷若しくはフレキソ印刷が好ましい。
乾燥前の無電解めっき触媒用組成物(無電解めっき触媒用分散液)の膜厚は、使用用途によって適宜選択することができる。無電解めっき触媒用組成物(無電解めっき触媒用分散液)の粘度に依存する。その膜厚は、無電解めっき触媒用組成物(無電解めっき触媒用分散液)を良好に塗布できる観点から、1〜50μm程度が好ましい。
硬化処理
無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を、基材に塗布した後、溶媒(水、溶剤等)を揮発及び/又は乾燥させ、次いで硬化処理を行う。
硬化処理により、無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物が樹脂(バインダー)を含む場合、その樹脂が硬化される。
基材に無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を塗布した後、乾燥処理を行うことができる。乾燥処理によって、無電解めっきを行う際に不必要な溶媒(水、NMP、DMAc等)を効率的に除去すると共に、塗膜と基材との密着性及び塗膜の表面強度を向上させることができる。
乾燥処理の温度は、60〜400℃程度が好ましく、80〜120℃程度がより好ましい。乾燥処理の時間は、乾燥温度に合わせて、6秒〜60分程度が好ましく、1分〜30分程度がより好ましい。
硬化処理の温度は適宜調整することができる。硬化処理の温度は40〜500℃程度が好ましい。また、基材としてプラスチックを用いる場合、プラスチック素材の軟化温度を考慮し、硬化処理の温度を40〜250℃程度に設定することが好ましい。
乾燥及び硬化後の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物の膜厚は、それらの固形分濃度に依存する。
その膜厚は、無電解めっきを効率良く行うことができ、十分なめっき密着性が発揮されるという点から、0.05〜5μm程度が好ましい。その膜厚が0.05μm未満であっても、無電解めっきの反応性を得ることができる。めっき密着性や無電解めっきの反応速度を考慮すると、膜厚は0.05〜5μm程度が好ましい。
無電解めっきを行う工程
塗料膜(無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物の膜)を無電解めっきを行うことで、基材の上にめっきを形成することができる。
塗料膜が形成された基材は、金属を析出させるためのめっき液と接触し、これにより無電解めっき皮膜が形成される。本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を塗布して、形成された塗料膜は無電解めっきの反応性がよく、得られた無電解めっき皮膜はむらがなく、密着性及び外観性に優れる。
めっき液は、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば特に限定されない。めっき液として、例えば、銅、金、銀、ニッケル、クロム等を用いることが好ましい。めっき液として、塗料組成物によって形成された塗料膜との関係から、銅又はニッケルを含むめっき液を用いることが好ましい。
めっき条件は、常法に従うことができる。本発明の塗料膜は無電解めっきの反応性が非常に良好であるため、めっき液の還元剤濃度やアルカリ成分濃度を高める必要がない。そのため、めっき液の寿命が長持ちするだけでなく、塗料のパターン通りにめっきが選択的に析出される。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を塗布した後に形成される塗料膜は、パターン形成能に優れる。
無電解めっき処理で、無電解銅めっき浴を用いる場合、その処理温度は25〜65℃程度が好ましく、その処理時間は10〜20分程度が好ましい。この無電解めっき処理により、0.3〜1.0μm程度の析出膜厚を形成することができる。
無電解めっき処理で、無電解ニッケルボロン浴を用いる場合、その処理温度は55〜70℃程度が好ましい。その析出速度は5μm/hr(60℃)程度が好ましい。
無電解めっき処理で、無電解ニッケルリン浴を用いる場合、その処理温度は30〜95℃程度が好ましい。その析出速度は浴温30℃においては3μm/hr程度、90℃においては20μm/hr程度が好ましい。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いて基材上にめっきを形成する技術は、パターンめっきを対象とすることが好ましい。
加飾を目的とする場合、無電解めっきの後、電解銅めっき、半光沢ニッケル、光沢ニッケル、クロムめっき等の一般的なプロセスを用いることが好ましい。
加飾処理で、電解銅(Cu)めっき浴を用いる場合、その処理温度は20〜60℃程度が好ましい。その電流密度は1〜10A/m2程度が好ましい。その処理時間は10〜60分程度が好ましい。この加飾処理により、5〜40μm程度の析出膜厚を形成することができる。
加飾処理で、半光沢ニッケル(Ni)めっき浴を用いる場合、その処理温度は45〜55℃程度が好ましい。その電流密度は1〜10A/m2程度が好ましい。その処理時間は10〜60分程度が好ましい。この加飾処理により、5〜20μm程度の析出膜厚となる。
加飾処理で、光沢ニッケル(Ni)めっき浴を用いる場合、その処理温度は45〜55℃程度が好ましい。その電流密度は1〜10A/m2程度が好ましい。その処理時間は10〜60分程度が好ましい。この加飾処理により、5〜20μm程度の析出膜厚となる。
加飾処理で、クロム(Cr)めっき浴を用いる場合、その処理温度は40〜60℃程度が好ましい。その電流密度は10〜60A/m2程度が好ましい。その処理時間は1〜5分程度が好ましい。この加飾処理により、0.1〜0.3μm程度の析出膜厚となる。
(6) 無電解めっき皮膜を載せた成形品
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を、基材に塗布して、塗料膜を形成し、無電解めっきを行う。これにより、パターンめっき又は部分めっき処理をするために、電解めっきの前処理で使用される無電解めっき皮膜を形成することができる。無電解めっき皮膜を載せた成形品(被めっき物)は、めっき皮膜の密着性に優れる。
無電解めっき皮膜を載せた成形品は、例えば、携帯電話、パソコン、冷蔵庫等の電化製品の筐体;エンブレム、スイッチベース、ラジエータグリル、ドアハンドル、ホイールカバー等の自動車用部品等に使用することができる。
基材(プラスチック(樹脂等)等)上に、パターンめっきを行う無電解めっきにおいて、無電解めっきの反応性が高く、クロムめっきまでの多層めっきに耐え得る優れた密着性と装飾用めっきに耐え得る優れた平滑性を発現することができる。その無電解めっきでは、パターンの拡がりを抑え、良好に部分めっきをすることが可能である。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いると、無電解めっきの反応性を向上させる目的で、無電解めっきにおける還元剤の濃度を高める必要が無く、また無電解めっきの反応温度を上げる必要もない。更に、また有害な物質によるエッチング工程、煩雑な触媒付与工程等を必要としない。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物が、無電解めっきの反応性が高く、クロムめっきまでの多層めっきに耐え得る良好な密着性を実現できる理由は、次の原理によるものと考えられる。
無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物は、基材表面に吸着し易くなっている。また、Pd-分散剤複合体は表面にカルボキシル基等のアニオン性官能基を有する。
更に無電解めっき液中の金属イオンが還元された際、基材表面や、Pd-分散剤複合体表面には多数のカルボキシル基が存在し、これらは無電解めっきにより析出する金属と強固に結合すると考えられる。この様に基材、Pd-分散剤複合体、めっき皮膜の間には多数のイオン結合が形成され、強固な密着性を付与していると考えられる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例及び比較例
(1) 実施例A(Pd複合体のコロイド粒子)
Pd分散液の配合比を変えて、平均粒子径が1〜23.1nmのPdコロイド粒子の含有量を調整した。Pdコロイド粒子の含有量とめっき反応性との関係を評価した。
インク配合
Pd:0.2wt%
ポリアミド樹脂:1.0wt%
NMP:4.8wt%
エタノール:9.0wt%
ジアセトンアルコール、その他:85wt%
基材:PETフィルム(ルミラーT60)
塗布方法:バーコート
乾燥条件:120℃×10分
めっき:無電解Cu
(1-1) Pdコロイド粒子と分散剤との複合体の作製
3リットルフラスコにイオン交換水944.5gを入れ、次いでそのイオン交換水中に硝酸パラジウム5.0gを加えて、撹拌した。これにより、硝酸パラジウム(硫酸Pd)を水に溶解させ、硝酸Pd水溶液を作製した。
この水溶液に、カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤(DISPERBYK194、ビックケミー・ジャパン社製、不揮発分53wt%)3.8gを加えて、水溶液中で溶解させた。
この溶液を42℃になるまで加熱した後、撹拌しながらヒドラジン1水和物10.0gを加えた。この後、この溶液を、室温下(23℃)で1時間撹拌した。溶液の温度は、ヒドラジン1水和物の添加後に53℃まで上昇したが、1時間撹拌した後の溶液の温度は40℃であった。この操作により、水溶液中のパラジウムイオン(Pdイオン)が還元された。
この溶液を限外濾過フィルターAHP-1010(旭化成株式会社製)を用いて、還元されたPd複合体含有液と、無機塩含有液とを分離して、Pd複合体(Pd粒子と分散剤との複合体)含有液を得た。この操作により得られたPd複合体含有液に対して、上記分離した無機塩含有液(硝酸Pd水溶液)と同じ質量分のイオン交換水を加えて、再度限外濾過フィルターで分離操作を行った。このイオン交換水補填操作及び分離操作を5回繰り返した。
この操作後に得られたPd複合体含有液の電気伝導率(導電率)は、28μS・cm-1であった。即ち、電気伝導率は30μS・cm-1以下であったので、このPd複合体含有液から無機塩を除去できたことが確認できた。
得られたPd複合体含有液に関して、TG/DTA分析でPd複合体含有率を調べると、550℃での残固形分から、Pd複合体含有率は1.0wt%であることが確認できた。
Pd複合体含有液のPd粒子の平均粒子径は2〜10nmの範囲内であり、Pd複合体中のPd粒子と分散剤との質量比は、Pd粒子:分散剤=75:25であった。
調製した無電解めっき触媒用分散液(表1、表3)の説明
Pd分散液として、遠心分離後の上澄み画分、遠心分離後の沈殿画分、及び減圧蒸留画分を調製した。夫々の画分に存在する平均粒子径が1〜23.1nmのPd複合体コロイド粒子の含有量は、粒径アナライザーの重量換算分布を用いて、測定した。得られたPd分散液を表A1〜A10の配合比に従って混合した。混合後の粒子径の含有率は配合比から計算した。
Pd分散液1(遠心分離の沈殿画分)
前記調製した無電解めっき触媒用分散液を遠心分離に供して、その沈殿画分を得た。
遠心分離の条件:13,000G×24時間
この沈殿画分は、平均粒子径が比較的大きい粒子、つまり平均粒子径が30nm程度以上のナノサイズのPd複合体コロイド粒子を多く含む画分である。この沈殿画分は、Pd複合体コロイド粒子を含むが、全コロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmのPd複合体コロイド粒子を含まない画分である。この沈殿画分は、30nm程度以上のナノサイズの貴金属Pd複合体コロイド粒子を多く含む画分である。
この沈殿画分にNMPを加え分散させることで、Pd分散液1を得た。このPd分散液中のPd濃度をICP発光分光分析装置(SPS7800、SIIナノテクノロジー社製)で測定したところ、10wt%であった。
Pd分散液2(遠心分離の上澄み画分)
前記調製した無電解めっき触媒用分散液を遠心分離に供して、その上澄み画分を得た。
遠心分離の条件:13,000G×24時間
この上澄み画分は、平均粒子径が比較的小さい粒子、つまり平均粒子径が10〜20nm程度のナノサイズのPd複合体コロイド粒子を多く含む画分である。この上澄み画分は、Pd複合体コロイド粒子を含み、全コロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmのPd複合体コロイド粒子を92.6重量%(wt%)含む画分である。
この上澄み画分から減圧蒸留で水を除去し、NMPを加えることで、Pd分散液2を得た。このPd分散液中のPd濃度をICP発光分光分析装置(SPS7800、SIIナノテクノロジー社製)で測定したところ、10wt%であった。
Pd分散液3(減圧蒸留画分)
前記調製した無電解めっき触媒用分散液を減圧蒸留に供して、その減圧蒸留画分を得た。
減圧蒸留の条件:0.1MPa、110℃
この上澄み画分は、平均粒子径が比較的小さい粒子、つまり平均粒子径が10〜20nm程度のナノサイズのPd複合体コロイド粒子を多く含む画分である。この上澄み画分は、Pd複合体コロイド粒子を含み、全コロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmのPd複合体コロイド粒子を64.7重量%(wt%)含む画分である。
このPd分散液中のPd濃度をICP発光分光分析装置(SPS7800、SIIナノテクノロジー社製)で測定したところ、10wt%であった。
無電解めっき触媒用分散液の調製
平均粒子径が1〜23.1nmの(Pd粒子と分散剤との複合体の)コロイド粒子を多い割合で含む上澄み画分と、平均粒子径が1〜23.1nmのPdコロイド粒子を含まない沈殿画分とを、適宜組み合わせて、無電解めっき触媒用分散液に含まれるコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を表1のA1〜A10の割合で混合することで調整した。
(1-2) 無電解めっきを施すための塗料組成物の作製
無電解めっき触媒用分散液を含む無電解めっき触媒用組成物、つまり塗料組成物の各成分の使用量(重量部)は「Pd化合物」基準である。
Pd:0.001〜1.0重量%含む。
塗料組成物1の作製方法
ジアセトンアルコール85重量部にポリアミド樹脂のエタノール分散液(固形分10wt%)10重量部、Pd分散液1、2及び3を表1のA2〜A10の割合で5重量部を加えた。これを振とう撹拌させ、塗料組成物1(無電解めっき前処理インキ組成物)を作製した。
(1-3) 塗料組成物の使用方法
バーコーターによりPETフィルム(ルミラーT60)上に、塗料組成物1を塗布膜厚4μmで塗布し、120℃で10分乾燥した。その後、無電解Cuめっきを行った。
(2) 実施例B(Pdコロイド粒子、印刷、無電解Ni及び無電解Cu)
インク配合
Pd:1.0wt%
塩ビ酢ビ樹脂:27wt%
NMP:9wt%
シクロヘキサノン、その他:63wt%
基材:PETフィルム(ルミラーT60)
塗布方法:グラビアオフセット
乾燥条件:120℃×10分
めっき:無電解Ni、無電解Cu
(2-1) Pdコロイド粒子と分散剤との複合体の作製
上記(1−1)と同様にPdコロイド粒子と分散剤との複合体を作製した。
(2-2) 無電解めっきを施すための塗料組成物の作製
無電解めっき触媒用分散液を含む無電解めっき触媒用組成物、つまり塗料組成物の各成分の使用量(重量部)は「Pd化合物」基準である。
Pd:0.001〜1.0重量%含む。
塗料組成物2の作製方法
酢酸ビニル塩化ビニル共重合樹脂のシクロヘキサノン分散液(固形分30wt%)90重量部にPd分散液1、2及び3を10重量部、加えた。これを振とう撹拌させ、塗料組成物2(無電解めっき前処理インキ組成物)を作製した。
(2-3) 塗料組成物の使用方法
グラビアオフセット印刷によりPETフィルム(ルミラーT60)上に、塗料組成物を深さ25μmの金属版を用いて印刷し、120℃で10分乾燥した。その後、無電解Ni、及び無電解Cuめっきを行った。
(3) 実施例C(Ptコロイド粒子)
インク配合
Pt:0.4wt%
ブチラール樹脂:0.4wt%
NMP:3.6wt%
シクロヘキサノン:3.6wt%
MIBK、その他:92wt%
基材:PETフィルム(ルミラーT60)
塗布方法:バーコート
乾燥条件:120℃×10分
めっき:無電解Cu
(3-1) Ptコロイド粒子と分散剤との複合体の作製
3Lフラスコにイオン交換水1,189.1gを入れ、当該イオン交換水にヘキサクロリド白金(IV)酸・6水和物を5.0g加えて、撹拌した。これにより、ヘキサクロリド白金(IV)酸・6水和物を水に溶解させた。
この水溶液に、カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤(DISPERBYK190、ビックケミー・ジャパン社製、不揮発分40wt%)4.65gを加えて、水溶液に溶解させた。
この溶液を60℃になるまで加熱した後、撹拌しながらアスコルビン酸51.0gを加えた。この後、この溶液を、60℃で3時間撹拌した。溶液の温度は、アスコルビン酸添加前後で変化がなく、1時間撹拌した後の溶液の温度は60℃であった。この操作により、水溶液中の白金イオンが還元された。
この溶液を限外濾過フィルターAHP-1010(旭化成株式会社製)を用いて、還元されたPt複合体含有液と、無機塩含有液とを分離した。この操作により得られたPt複合体含有液に対して、上記分離した無機塩含有液と同じ質量分のイオン交換水を加えて、再度限外濾過フィルターで分離操作を行った。このイオン交換水補填操作及び分離操作を5回繰り返した。
この操作後に得られたPt複合体含有液の電気伝導率(導電率)は、50μS・cm-1であった。即ち、当該電気伝導率は100μS・cm-1以下であったので、この結果によって当該Pt複合体含有液から無機塩を除去できたことを確認した。
得られたPt複合体含有液Aに関して、TG/DTA分析でPt複合体含有率を調べたところ、550℃での残固形分から、Pt複合体含有率は0.8wt%であることが確認できた。また、Pd複合体含有液のPd粒子の平均粒子径は20〜50nmの範囲内であり、Pt複合体中のPt粒子と分散剤との質量比は、Pt粒子:分散剤=75:25であった。
調製した無電解めっき触媒用分散液(表5)の説明
Pt分散液として、遠心分離後の上澄み画分、遠心分離後の沈殿画分、及び減圧蒸留画分を調製した。夫々の画分に存在する平均粒子径が1〜23.1nmのPt複合体コロイド粒子の含有量は、粒径アナライザーの重量換算分布を用いて、測定した。得られたPt分散液を表5のC1〜C6の配合比に従って混合した。混合後の粒子径の含有率は配合比から計算した。
Pt分散液1(遠心分離の沈殿画分)
前記調製した無電解めっき触媒用分散液を遠心分離に供して、その沈殿画分を得た。
遠心分離の条件:13,000G×24時間
この沈殿画分は、平均粒子径が比較的大きい粒子、つまり平均粒子径が30nm程度以上のナノサイズのPt複合体コロイド粒子を多く含む画分である。この沈殿画分は、Pt複合体コロイド粒子を含むが、全コロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmのPt複合体コロイド粒子を含まない画分である。この沈殿画分は、30nm程度以上のナノサイズのPt複合体コロイド粒子を多く含む画分である。
この沈殿画分にNMPを加え分散させることで、Pt分散液1を得た。このPt分散液中のPt濃度をICP発光分光分析装置(SPS7800、SIIナノテクノロジー社製)で測定したところ、10wt%であった。
Pt分散液2(遠心分離の上澄み画分)
前記調製した無電解めっき触媒用分散液を遠心分離に供して、その上澄み画分を得た。
遠心分離の条件:13,000G×24時間
この上澄み画分は、平均粒子径が比較的小さい粒子、つまり平均粒子径が10〜20nm程度のナノサイズのPt複合体コロイド粒子を多く含む画分である。この上澄み画分は、Pt複合体コロイド粒子を含み、全コロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmのPt複合体コロイド粒子を84.1重量%(wt%)含む画分である。
この上澄み画分から減圧蒸留で水を除去し、NMPを加えることで、Pt分散液2を得た。このPt分散液中のPt濃度をICP発光分光分析装置(SPS7800、SIIナノテクノロジー社製)で測定したところ、10wt%であった。
無電解めっき触媒用分散液の調製
平均粒子径が1〜23.1nmの(Pt粒子と分散剤との複合体の)コロイド粒子を多い割合で含む上澄み画分と、平均粒子径が1〜23.1nmのPtコロイド粒子を含まない沈殿画分とを、適宜組み合わせて、無電解めっき触媒用分散液に含まれるコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を表1のC-1〜C-6の割合で混合することで、調整した。
(3-2) 無電解めっきを施すための塗料組成物の作製
無電解めっき触媒用分散液を含む無電解めっき触媒用組成物、つまり塗料組成物の各成分の使用量(重量部)は「Pt化合物」基準である。
Pt:0.001〜1.0重量%含む。
塗料組成物3の作製方法
メチルイソブチルケトン(MIBK)92重量部にブチラール樹脂のシクロヘキサノン分散液(固形分10wt%)4重量部、Pt分散液1及び2を表1のC1〜C6の割合で4重量部を加えた。
これを振とう撹拌させ、塗料組成物3 (無電解めっき前処理インキ組成物)を作製した。
(3-3) 塗料組成物の使用方法
バーコーターによりPETフィルム(ルミラーT60)上に、塗料組成物3を塗布膜厚4μmで塗布し、120℃で10分乾燥した。その後、無電解Cuめっきを行った。
(4) 評価試験
評価試験1:無電解めっき反応性の評価
塗膜含有物品を無電解めっき浴に浸漬させることにより、無電解めっき性(無電解銅めっき性及び無電解ニッケルめっき性)を確認した。
無電解銅めっき浴は、上村工業株式会社製 スルカップPSY(浴容積 1000mL、33℃、15分)を使用した。
無電解ニッケルめっき浴は奥野製薬工業製ICPニコロンFPF(浴容積 1000ml、75℃、3分)を使用した。
無電解めっき反応性の評価基準は次の通りである。
◎:1分以内にめっき反応が開始し、所定のめっき時間で、めっき皮膜が得られ、且つ、剥離が見られなかった。
○:1分以内にめっき反応は開始しなかったが、所定のめっき時間で、めっき皮膜が得られ、且つ、剥離が見られなかった。
△:めっき皮膜が得られたものの、一部めっきの薄い個所が見られた。
×:めっき皮膜の得られない個所が見られた。
「◎」及び「○」評価が、製品として合格である。
評価試験2:外観光沢の評価
外観光沢を確認した。
実施例の各塗膜含有物品に対して、銅又はニッケルめっき皮膜を得た。
そのめっき皮膜の外観光沢を目視により評価した。
外観光沢の評価基準は次の通りである。
◎:光沢があった。
○:光沢はあるが、めっき被膜表面に歪みが見られた。
△:光沢がなかった。
×:めっき皮膜が薄く、光沢の確認ができなかった。
「◎」及び「○」評価が、製品として合格である。
評価試験3:シート抵抗値(Ω/□)の測定
シート抵抗値を確認した。
実施例の各塗膜含有物品に対して、銅又はニッケルめっき皮膜を得た。
低抵抗率系(ロレスタ-GP、(株)三菱化学アナリテック社製)にてめっき皮膜のシート抵抗値を測定した。
シート抵抗値の評価基準は次の通りである。
○:1Ω/□以下であった。
×:1Ω/□以上であった。
「○」評価が、製品として合格である。
評価試験4:電気めっきの評価
電気めっきを確認した。
実施例の各塗膜含有物品に対して、銅又はニッケルめっき皮膜を得た。
得られた無電解めっき皮膜に電解Cuめっきを行い、被膜全体に通電可能かを評価した。
電気めっきの評価基準は次の通りである。
可:電気Cuめっき皮膜が得られた。
不可:電気Cuめっき皮膜が得られなかった。
「可」評価が、製品として合格である。
Pd分散液2は、平均粒子径23.1nm以下のPd粒子を含む複合体のコロイド粒子を92.6wt%含む。このPd分散液2の配合量を調整して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有することが必要である。実施例A6では、そのコロイド粒子を9.3wt%含有している。
(5) 評価結果
無電解めっき触媒用分散液(NMP、DMAc又は水)に含まれる貴金属粒子(Pd及び/又はPt)と分散剤との複合体のコロイド粒子では、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有することが必要である。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を、非導電性基材に対して塗布することにより、非導電性基材に貴金属触媒が十分に吸着し、無電解めっきの析出が良好であった。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を、非導電性基材に塗布すると、その無電解めっき物では非導電性基材とめっきとの間の密着性は優れており、その無電解めっき物は良好な外観皮膜を形成するめっき物であった。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いると、環境に対する負荷が小さく、安全に、非導電性基材(樹脂成形品等)に対して無電解めっきを施すことができ、無電解めっき物を製造することができる。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いると、無電解めっき物を製造する上で、エッチングが不要であり、貴金属(PdやPt)の使用量を少なくすることができる。また、本発明によれば、効率良く触媒反応が起こり、無電解めっき物の製造方法においてその工程数を短縮することも可能である。
本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物を用いて、無電解めっき処理を行うことで、基材上にパターンめっきを形成することができた。この処理により、成形品に無電解めっき皮膜を形成することができた。本発明の無電解めっき触媒用分散液や無電解めっき触媒用組成物は、パターンめっき用塗料組成物として適している。本発明の塗料組成物は、パターンめっき又は部分めっき処理をするために、無電解めっきの前処理で使用されることが好ましい。

Claims (7)

  1. (1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含む無電解めっき触媒用分散液であって、
    前記(1)コロイド粒子に含まれる貴金属粒子は、パラジウム及び白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、粒径アナライザー(大塚電子株式会社製のFPAR-1000)を用いて、重量換算分布に従って、測定する場合、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するものであり、
    前記(2)分散媒は、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、
    無電解めっき触媒用分散液。
  2. 前記(2)分散媒が、N-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、請求項1に記載の無電解めっき触媒用分散液。
  3. 塗料用である、請求項1又は2に記載の無電解めっき触媒用分散液。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の無電解めっき触媒用分散液、及び(3)樹脂を含む、無電解めっき触媒用組成物。
  5. 塗料用である、請求項4に記載の無電解めっき触媒用組成物。
  6. (1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含む無電解めっき触媒用分散液の製造方法であって、
    前記(1)コロイド粒子に含まれる貴金属粒子は、パラジウム及び白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、粒径アナライザー(大塚電子株式会社製のFPAR-1000)を用いて、重量換算分布に従って、測定する場合、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するものであり、
    前記(2)分散媒は、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、
    (1)分散媒中で、貴金属イオンを分散剤の存在下で還元処理を行い、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を調製する工程、及び
    (2)得られた貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するように分離して、回収する工程、
    を順に含む、無電解めっき触媒用分散液の製造方法。
  7. (1)貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子及び(2)分散媒を含む無電解めっき触媒用分散液の製造方法であって、
    前記(1)コロイド粒子に含まれる貴金属粒子は、パラジウム及び白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属粒子であり、粒径アナライザー(大塚電子株式会社製のFPAR-1000)を用いて、重量換算分布に従って、測定する場合、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するものであり、
    前記(2)分散媒は、N-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であり、
    (1)水分散媒中で、貴金属イオンを分散剤の存在下で還元処理を行い、貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子を調製する工程、
    (2)得られた貴金属粒子と分散剤との複合体のコロイド粒子に対して、全複合体のコロイド粒子中、平均粒子径が1〜23.1nmの複合体のコロイド粒子を8重量%以上含有するように分離して、回収する工程、及び
    (3)前記水分散媒をN-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒に置換する工程、
    を順に含む、無電解めっき触媒用分散液の製造方法。
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