JP2014065909A - 無電解めっき用塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、簡単に無電解めっき処理を行うことを可能にする塗料組成物であって、環境に対する悪影響が少なく、安全性が高いとともに、優れためっき密着性を付与することができる塗料組成物を提供する。
【解決手段】以下の(1)〜(3):
(1)パラジウム粒子と分散剤との複合体、
(2)溶媒、及び
(3)バインダー樹脂
を含有する無電解めっき用塗料組成物であって、
前記複合体は、分散剤の存在下、パラジウムイオンを還元することによって得られ、
前記溶媒は、水を含み、
前記バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である
ことを特徴とする、無電解めっき用塗料組成物。
【選択図】なし
【解決手段】以下の(1)〜(3):
(1)パラジウム粒子と分散剤との複合体、
(2)溶媒、及び
(3)バインダー樹脂
を含有する無電解めっき用塗料組成物であって、
前記複合体は、分散剤の存在下、パラジウムイオンを還元することによって得られ、
前記溶媒は、水を含み、
前記バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である
ことを特徴とする、無電解めっき用塗料組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、無電解めっき用塗料組成物に関する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等の非導電性基材に対して金属めっき(以下、単にめっきともいう)を形成する技術は、電磁波シール等の導電性フィルム;意匠性を付与することを目的とした装飾めっき;集積回路、抵抗器等の電子部品;などを作製する際に利用されている。特に、電子部品を作製する場合は、非導電性基材に対して導電性配線パターンを形成する際に、当該めっきを形成する技術が利用される。
非導電性基材は、めっきとの界面に金属結合を得ることができない。そのため、当該非導電性基材とめっきとの間に優れた密着性を得るためには、当該非導電性基材の表面に微細な凹凸を形成するエッチングを行う(粗化する)ことにより、アンカー効果(投錨効果)を付与する必要がある。このエッチングは、工程が煩雑である上、クロム酸等の環境負荷の高い薬品を使用しなければならないという問題がある。
これに対して、特許文献1〜4では、クロム酸を使用せずにエッチングと同等の効果を狙った処理を行うことにより、非導電性基材上にめっきを形成する技術が記載されている。特許文献1及び2には、いずれも、基材上に触媒との結合性を持った接着層を形成することにより、基材、接着層及び触媒との間でそれぞれ化学結合を生じさせる手法が記載されている。特許文献3には、基材に対して、UV又はオゾンによってエッチングを行うことにより、アンカー効果を付与する手法が記載されている。特許文献4には、無電解めっき触媒を有するインクを基材上に塗布することによって、無電解めっきの下地層を形成する手法が記載されている。
しかしながら、特許文献1〜3は、いずれも、密着性を付与するための前処理工程と、無電解めっき工程との間に、触媒付与工程及び触媒活性化工程が必要である。即ち、工程数は従来のクロム酸によるエッチングと変わらず、工程が煩雑であるという問題がある。また、特許文献4では、無電解めっきを施す前に活性化工程と称して、ホウ素系化合物による還元工程及び当該ホウ素系化合物を除去する洗浄工程を必要とする。かかるインクの使用をした場合、工程が煩雑化し、しかもホウ素系化合物による環境負荷の問題点もある。
従って、簡単に無電解めっき処理を行うことを可能にする塗料組成物であって、環境に対する悪影響が少なく、安全性が高いとともに、優れためっき密着性を付与することができる塗料組成物の開発が望まれている。
本発明は、簡単に無電解めっき処理を行うことを可能にする塗料組成物であって、環境に対する悪影響が少なく、安全性が高いとともに、優れためっき密着性を付与することができる塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、特定の成分を使用することによって、上記目的を達成し得る塗料組成物が得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の無電解めっき用塗料組成物に関する。
1. 以下の(1)〜(2):
(1)パラジウム粒子と分散剤との複合体、及び
(2)溶媒
を含有する無電解めっき用塗料組成物であって、
前記複合体は、分散剤の存在下、パラジウムイオンを還元することによって得られる、
ことを特徴とする、無電解めっき用塗料組成物。
2. 前記分散剤が、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤である、上記項1に記載の無電解めっき用塗料組成物。
3. 前記溶媒が、水及び/又は非プロトン性極性溶媒を含む、上記項1又は2に記載の無電解めっき用塗料組成物。
4. さらに(3)バインダー樹脂を含有する、上記項1〜3のいずれかに記載の無電解めっき用塗料組成物。
5. 前記(3)バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である、上記項4に記載の無電解めっき用塗料組成物。
6. 上記項1〜5のいずれかに記載の無電解めっき用塗料組成物を基板に対して塗布した後、無電解めっきを施すことによって得られる、被めっき物。
7. 前記塗布が、インクジェット印刷方式、グラビアオフセット印刷方式又はフレキソ印刷方式によるパターン印刷である、上記項6に記載の被めっき物。
1. 以下の(1)〜(2):
(1)パラジウム粒子と分散剤との複合体、及び
(2)溶媒
を含有する無電解めっき用塗料組成物であって、
前記複合体は、分散剤の存在下、パラジウムイオンを還元することによって得られる、
ことを特徴とする、無電解めっき用塗料組成物。
2. 前記分散剤が、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤である、上記項1に記載の無電解めっき用塗料組成物。
3. 前記溶媒が、水及び/又は非プロトン性極性溶媒を含む、上記項1又は2に記載の無電解めっき用塗料組成物。
4. さらに(3)バインダー樹脂を含有する、上記項1〜3のいずれかに記載の無電解めっき用塗料組成物。
5. 前記(3)バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である、上記項4に記載の無電解めっき用塗料組成物。
6. 上記項1〜5のいずれかに記載の無電解めっき用塗料組成物を基板に対して塗布した後、無電解めっきを施すことによって得られる、被めっき物。
7. 前記塗布が、インクジェット印刷方式、グラビアオフセット印刷方式又はフレキソ印刷方式によるパターン印刷である、上記項6に記載の被めっき物。
≪本発明の無電解めっき用塗料組成物≫
本発明の無電解めっき用塗料組成物は、以下の(1)〜(2):
(1)パラジウム粒子と分散剤との複合体、及び
(2)溶媒
を含有する無電解めっき用塗料組成物であって、前記複合体は、分散剤の存在下、パラジウムイオンを還元することによって得られることを特徴とする。本発明の無電解めっき用塗料組成物(以下、本発明の塗料組成物ともいう)は、従来の方法よりも簡便にかつ効率的に無電解めっき用塗膜を形成することが可能であり、しかも環境に対する悪影響が少なく、安全性が高い。また、上記無電解めっき用塗膜は、密着性及び外観皮膜に優れた無電解めっき皮膜を形成することができ、当該無電解めっき皮膜の析出速度にも優れる。
本発明の無電解めっき用塗料組成物は、以下の(1)〜(2):
(1)パラジウム粒子と分散剤との複合体、及び
(2)溶媒
を含有する無電解めっき用塗料組成物であって、前記複合体は、分散剤の存在下、パラジウムイオンを還元することによって得られることを特徴とする。本発明の無電解めっき用塗料組成物(以下、本発明の塗料組成物ともいう)は、従来の方法よりも簡便にかつ効率的に無電解めっき用塗膜を形成することが可能であり、しかも環境に対する悪影響が少なく、安全性が高い。また、上記無電解めっき用塗膜は、密着性及び外観皮膜に優れた無電解めっき皮膜を形成することができ、当該無電解めっき皮膜の析出速度にも優れる。
以下、本発明の無電解めっき用塗料組成物の各成分について説明する。なお、本発明では、部、%等の表示を使用するが、特に断りがない限り、質量部又は質量%(wt%)を表す。
(1)パラジウム粒子と分散剤との複合体
本発明の無電解めっき用塗料組成物は、パラジウム粒子(Pd粒子)と、分散剤との複合体を含有する(以下、この複合体をPd複合体ともいう)。
本発明の無電解めっき用塗料組成物は、パラジウム粒子(Pd粒子)と、分散剤との複合体を含有する(以下、この複合体をPd複合体ともいう)。
Pd複合体は、以下のように製造することができる。即ち、分散剤の存在下、パラジウムイオン(Pdイオン)を還元することによって得られる。例えば、溶媒中に分散剤及びパラジウムイオンを存在させた後、当該パラジウムイオンを還元することにより得ることができる。
分散剤としては、Pd複合体の形状が、(i)分散剤が互いに絡み合った外観を呈し、(ii)少なくとも一部の分散剤どうしの接点で両者が接合している、という条件を満たすものが好ましい。例えば、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸トリエチルアミン塩、ポリカルボン酸トリエタノールアミン塩等のポリカルボン酸系高分子分散剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルヒドロキシエーテルカルボン酸塩等のヒドロキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤;アクリル酸−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸−スルホン酸共重合体等のカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤;などを使用することができる。分散剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。分散剤の中でも、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤が好ましい。
ポリカルボン酸系高分子分散剤は、サンノプコ(株)製ノプコサントK,R,RFA, ノプコスパース44-C, SNディスパーサント5020,5027,5029,5034,5045,5468 、花王(株)製デモールP,EP, ポイズ520,521,530,532A,等として販売されている。カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤は、ビックケミー・ジャパン(株) DISPERBYK180,187,191,194、 (株)日本触媒製アクアリックTL,GL,LSとして販売されている。また、ヒドロキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤としては、ビックケミー・ジャパン(株)製DISPERBYK190,2010等として販売されている。
ポリカルボン酸系高分子分散剤は、サンノプコ(株)製ノプコサントK,R,RFA, ノプコスパース44-C, SNディスパーサント5020,5027,5029,5034,5045,5468 、花王(株)製デモールP,EP, ポイズ520,521,530,532A,等として販売されている。カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤は、ビックケミー・ジャパン(株) DISPERBYK180,187,191,194、 (株)日本触媒製アクアリックTL,GL,LSとして販売されている。また、ヒドロキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤としては、ビックケミー・ジャパン(株)製DISPERBYK190,2010等として販売されている。
パラジウムイオンを供給する化合物としては、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、安息香酸パラジウム、サリチル酸パラジウム、パラトルエンスルホン酸パラジウム、過塩素酸パラジウム、ベンゼンスルホン酸パラジウム等が挙げられる。パラジウムイオンを供給する化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Pdイオンを還元する方法としては、溶媒中に分散剤及びPdイオンを存在させた後、還元剤を前記溶媒中に加える方法が挙げられる。これによりPdイオンと還元剤とが接触し、反応する。還元剤としては、ヒドラジンヒドラート(ヒドラジン1水和物)、水素化ホウ素ナトリウム、N,Nジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの2級又は3級アミン類が挙げられる。
還元する際に使用される溶媒(分散剤及びPdイオンを存在させるための溶媒)は、以下の(2)で説明される溶媒と、同様の溶媒を使用することができる。溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Pd複合体の形状は、図2のように、(i)分散剤が互いに絡み合った外観を呈し、(ii)少なくとも一部の分散剤どうしの接点で両者が接合しており、(iii)前記分散剤にPd粒子が付着している、構造であると考えられる。具体的に、Pd複合体の形状は、ランダムコイル状、密集した球状又は球形構造のいずれであってもよい。
Pd粒子の多くは、分散剤の外側に付着していると考えられる。例えば、Pd複合体の形状(分散剤の形状)が密集した球状である場合、Pd粒子の多くは当該球状の表面側(外側)に付着していると考えられる。
Pd複合体中のPd粒子と分散剤との質量比は、Pd粒子:分散剤=50:50〜95:5程度であり、Pd粒子:分散剤=65:35〜85:15が好ましい。
Pd粒子単独の平均粒子径は、特に限定されないが、2〜10nmが好ましい。なお、本明細書では、Pd粒子の粒子径は、後述する透過型電子顕微鏡で測定している。また、本明細書では、Pd粒子の平均粒子径は、Pd粒子をランダムに10点選択し、そのPd粒子の粒子径を上記透過型電子顕微鏡で測定して、個数平均することで算出される(個数基準平均径)。
一方、Pd複合体の平均粒子径は、特に限定されないが、全体としては平均粒子径40〜300nm程度の球形状(本明細書図2)の構造を有していることが好ましい。本明細書において、Pd複合体の平均粒子径は、粒径アナライザー(大塚電子株式会社、FPAR−1000)で測定されたものである(質量基準平均径)。なお、走査型電子顕微鏡で測定することもできる。
本発明の無電解めっき用塗膜が、密着性及び外観皮膜に優れた無電解めっき皮膜を形成することができ、当該無電解めっき皮膜の析出速度にも優れる理由は、以下のような原理によるものと考えられる。
(原理) Pd複合体が形成する構造の内部は、溶媒を吸着するように包含している。このPd複合体の内部の溶媒は、本発明の塗料組成物中の溶媒よりも、乾燥速度が小さい。そのため、本発明の塗料組成物を基板に塗布すると、まず塗料組成物中の溶媒が乾燥することにより塗膜全体が形成され、その後に塗膜中に存在するPd複合体の内部の溶媒が乾燥することにより塗膜表面にクレーター状の凹凸を形成する。これにより、無電解めっき用塗膜(以下、単に塗膜ともいう)が形成される。この凹凸表面には、Pd粒子が多く存在する。このような原理で前記塗膜は形成されるため、以下の(a)及び(b):
(a) Pd粒子が塗膜表面に密集するように多く存在しているため、当該塗膜表面と無電解めっき液との反応性に優れ、
(b) 塗膜表面には前記凹凸が形成されているため、めっき皮膜と当該塗膜との間のアンカー効果に優れる、
という効果が奏されているものと考えられる。
(原理) Pd複合体が形成する構造の内部は、溶媒を吸着するように包含している。このPd複合体の内部の溶媒は、本発明の塗料組成物中の溶媒よりも、乾燥速度が小さい。そのため、本発明の塗料組成物を基板に塗布すると、まず塗料組成物中の溶媒が乾燥することにより塗膜全体が形成され、その後に塗膜中に存在するPd複合体の内部の溶媒が乾燥することにより塗膜表面にクレーター状の凹凸を形成する。これにより、無電解めっき用塗膜(以下、単に塗膜ともいう)が形成される。この凹凸表面には、Pd粒子が多く存在する。このような原理で前記塗膜は形成されるため、以下の(a)及び(b):
(a) Pd粒子が塗膜表面に密集するように多く存在しているため、当該塗膜表面と無電解めっき液との反応性に優れ、
(b) 塗膜表面には前記凹凸が形成されているため、めっき皮膜と当該塗膜との間のアンカー効果に優れる、
という効果が奏されているものと考えられる。
(2)溶媒
本発明の塗料組成物は、溶媒(分散媒)を含有する。当該溶媒は、Pd複合体を分散させる。
本発明の塗料組成物は、溶媒(分散媒)を含有する。当該溶媒は、Pd複合体を分散させる。
Pd複合体の溶媒(分散媒)としては、Pd複合体を分散させれば特に限定されないが、無電解めっき用塗料組成物中のPd複合体の分散性を付与するという観点から、水及び/又は非プロトン性極性溶媒を含むことが好ましい。なお、溶媒は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
非プロトン性極性溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン等が挙げられる。また、溶媒は、パラジウムイオンの還元反応後に変換(例えば、溶媒を水からNMPに変換)することも可能である。
また、水及び/又は非プロトン性極性溶媒の他、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル、サリチル酸メチル等の芳香族カルボン酸エステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のグリコールエーテルエステル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のアルカノールエステル類;等を含有してもよい。これらの溶媒を使用する場合、その含有量は、水及び/又は非プロトン性極性溶媒100質量部に対して、1〜5000質量部とすることが好ましい。
溶媒の含有量は、特に限定されないが、前述のPd複合体100質量部に対して、102〜106質量部程度が好ましく、103〜105質量部がより好ましい。
(3)バインダー樹脂
本発明の塗料組成物は、バインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂を使用することにより、無電解めっき用塗膜をより強固に基材に密着させることができる。
本発明の塗料組成物は、バインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂を使用することにより、無電解めっき用塗膜をより強固に基材に密着させることができる。
バインダー樹脂としては、上記(2)溶媒に分散又は溶解する樹脂を使用することができる。具体的なバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シェラック樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、等が挙げられる。なかでも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。バインダー樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記バインダー樹脂を使用する場合、当該樹脂の含有量は、Pd複合体100質量部に対して、102〜104質量部が好ましく、500〜2000質量部がより好ましい。
≪本発明の無電解めっき用塗料組成物の製造方法≫
本発明の塗料組成物の製造方法は、
(i)溶媒中に、パラジウムイオン及び分散剤を存在させる工程1、及び
(ii)前記パラジウムイオンと還元剤とを反応させる工程2、
を含む。前記製造方法によれば、無電解めっき用塗膜を形成することが可能な無電解めっき用塗料組成物を、環境に対する悪影響が少なく簡便にかつ効率的に製造することができる。当該無電解めっき用塗料組成物は、従来の方法よりも簡便にかつ効率的に無電解めっき用塗膜を形成することが可能であり、しかも環境に対する悪影響が少なく、安全性が高い。上記無電解めっき用塗膜は、密着性及び外観皮膜に優れた無電解めっき皮膜を形成することができ、当該無電解めっき皮膜の析出速度にも優れる。
本発明の塗料組成物の製造方法は、
(i)溶媒中に、パラジウムイオン及び分散剤を存在させる工程1、及び
(ii)前記パラジウムイオンと還元剤とを反応させる工程2、
を含む。前記製造方法によれば、無電解めっき用塗膜を形成することが可能な無電解めっき用塗料組成物を、環境に対する悪影響が少なく簡便にかつ効率的に製造することができる。当該無電解めっき用塗料組成物は、従来の方法よりも簡便にかつ効率的に無電解めっき用塗膜を形成することが可能であり、しかも環境に対する悪影響が少なく、安全性が高い。上記無電解めっき用塗膜は、密着性及び外観皮膜に優れた無電解めっき皮膜を形成することができ、当該無電解めっき皮膜の析出速度にも優れる。
工程1において、パラジウムイオンと分散剤とを溶媒中に存在させる。パラジウムイオンは、供給源として前述のパラジウムイオンを供給する化合物を使用することができる。分散剤としては、前述の分散剤を使用することができる。
工程1におけるパラジウムイオンと分散剤の使用比率(質量比)は、パラジウムイオン100質量部に対して、分散剤は通常、10〜200質量部程度である。パラジウムイオン100質量部に対して、分散剤は30〜150質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜100質量部である。
工程1で使用する溶媒としては、上記(2)の溶媒と同様の溶媒を使用することができる。当該溶媒の使用量は、パラジウムイオンと分散剤を均一に存在させることができれば特に限定されないが、パラジウムイオン100質量部に対して102〜2×106質量部が好ましく、103〜2×105質量部がより好ましい。当該溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
工程2では、パラジウムイオンと還元剤とを反応させることにより、パラジウムイオンが還元剤によって還元される。即ち、工程2ではパラジウムイオンの還元反応が生じ、結果として前述の(1)のPd複合体を得ることができる。工程2における還元剤としては、前述の(1)のPd複合体を作製するために使用される還元剤を使用することができる。還元剤の使用量は、特に限定されないが、パラジウムイオン100質量部に対して、100〜800質量部程度であり、200〜600質量部が好ましい。
工程2に関して、反応温度は35〜45℃程度であり、50〜60℃程度まで昇温する。反応時間は、特に限定されないが、1〜5時間程度とすればよい。反応の際の圧力及び雰囲気は、特に限定されず、大気圧下かつ大気(空気)雰囲気下で行えばよい。反応はビーカーなどの開放系で行うことができ、反応方法としてはパラジウムイオン、分散剤及び還元剤を含有する溶液を羽根付き撹拌棒で撹拌すればよい。
本発明の無電解めっき用塗料組成物は、工程1及び工程2のみの手順でも得られるが、工程2の後に、例えば、(2)溶媒、(3)バインダー樹脂等の含有(添加);Pd複合体含有液の分離;などのその他の操作を行ってもよい。この点について、以下説明する。
工程2の後には、前述の(2)溶媒及び/又は(3)バインダー樹脂を含有することができる。なお、パラジウムイオンの還元反応後に溶媒を変換する(例えば、工程1の溶媒として水を使用し、工程2の後で上記水をNMPに変換することにより、NMPを溶媒とする無電解めっき塗料組成物とする)ことも可能である。
工程2の後に、工程2で得られたPd複合体含有液を限外濾過による分離を行うことができる。この操作により、Pd複合体含有液に含まれる無機塩や過剰の分散剤等を除去することができる。より具体的には、Pd複合体含有液に対して濾過操作及び水、溶媒等(特に水)の補填操作を繰り返すことができる。
≪本発明の被めっき物≫
本発明の被めっき物は、本発明の塗料組成物を基材に塗布した後、無電解めっきを行って無電解めっき皮膜を形成することにより得られる。被めっき物に形成される無電解めっき皮膜は、密着性に優れる。
本発明の被めっき物は、本発明の塗料組成物を基材に塗布した後、無電解めっきを行って無電解めっき皮膜を形成することにより得られる。被めっき物に形成される無電解めっき皮膜は、密着性に優れる。
基材としては、特に限定されないが、例えば樹脂、不織布(又は織布)、セラミックス等が挙げられる。具体的な樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリ乳酸エステル等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、液晶ポリマー、変性ポリフェニルエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。具体的な不織布(又は織布)としては、木質繊維、ガラス繊維、石綿、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維等からなる不織布(又は織布)が挙げられる。具体的なセラミックスとしては、ガラス、アルミナ等が挙げられる。
基材に対して上記塗料組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、例えばグラビア印刷機(グラビアオフセット)、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、ディッピング、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、リバースコーター、スクリーン印刷機等を用いて、印刷またはコーティングすることができる。
本発明の塗料組成物を塗布した後では、乾燥処理を行うことができる。当該乾燥工程によって、無電解めっきを行う際に不必要な溶媒を効率的に除去するとともに、塗膜と基材との密着性及び塗膜の表面強度を向上させることができる。
乾燥処理の温度は、好ましくは60〜400℃程度である。さらに好ましくは80〜150℃である。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常0.1分(6秒)〜60分程度である。さらに好ましくは10〜30分程度である。
無電解めっき用塗膜には、Pd複合体が含まれる。Pd複合体は、塗膜に対して均一に分散された状態で存在する。そのため、当該塗膜上に対して、より効率的に無電解めっきを行うことができる。
乾燥前における塗膜の厚みは、使用用途によって適宜選択することができる。乾燥前では通常1〜30μm程度であり、2〜20μmが好ましい。
乾燥後における塗膜の厚みは、通常0.05〜3μm程度であり、0.1〜1μmが好ましい。乾燥後における塗膜の厚みが上記範囲内であれば、基材と塗膜との密着性、および無電解めっき皮膜(金属皮膜)と塗膜との密着性のいずれにおいて特に優れる。
前記の方法によって塗膜が形成された基材は、金属を析出させるためのめっき液と接触し、これにより無電解めっき皮膜が形成される。無電解めっきは反応性がよく、得られた無電解めっき皮膜はむらがなく、密着性及び外観皮膜に優れる。
めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば特に限定されず、例えば、銅、金、銀、ニッケル、クロム等が挙げられる。特に、本発明の塗料組成物によって形成された塗膜との関係から、銅又はニッケルが好ましい。これらのめっき条件については、常法に従えばよい。
例えば、無電解めっき処理温度に関して、無電解銅めっき浴では通常25〜45℃程度であり、処理時間は10〜20分程度で、0.3〜0.4μm程度の析出膜厚となる。また、無電解ニッケルボロン浴では、処理温度は55〜70℃程度であり、析出速度は通常5μm/hr(60℃)程度である。無電解ニッケルりん浴では通常85〜95℃程度であり、析出速度は通常20μm/hr(90℃)程度である。
本発明の無電解めっき用塗料組成物は、従来の方法よりも簡便にかつ効率的に無電解めっき用塗膜を形成することが可能であり、しかも環境に対する悪影響が少なく、安全性が高い。また、上記無電解めっき用塗膜は、密着性及び外観皮膜に優れた無電解めっき皮膜を形成することができ、当該無電解めっき皮膜の析出速度にも優れる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
製造例1:Pd複合体含有液Aの作製
3リットルフラスコにイオン交換水944.5gを入れ、当該イオン交換水に硝酸パラジウム5.0gを加えて、撹拌した。これにより、硝酸パラジウムを水に溶解させた。当該水溶液に、カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤(DISPERBYK194、ビックケミー・ジャパン社製、不揮発分53wt%)3.8gをさらに加えて、当該水溶液に溶解させた。この溶液を42℃になるまで加熱した後、撹拌しながらヒドラジン1水和物10.0gを加えた。この後、当該溶液を、室温下(23℃)で1時間撹拌した。溶液の温度は、ヒドラジン1水和物の添加後に53℃まで上昇したが、1時間撹拌した後の溶液の温度は40℃であった。この操作により、水溶液中のパラジウムイオンが還元された。この溶液を限外濾過フィルターAHP-1010(旭化成株式会社製)にて、還元されたPd複合体含有液と、無機塩含有液とを分離した。この操作により得られたPd複合体含有液に対して、上記分離した無機塩含有液と同じ質量分のイオン交換水を加えて、再度限外濾過フィルターで分離操作を行った。このイオン交換水補填操作及び分離操作を5回繰り返した。当該操作後に得られたPd複合体含有液の電気伝導率(導電率)は、28μS・cm-1であった。即ち、当該電気伝導率は30μS・cm-1以下であったので、この結果によって当該Pd複合体含有液から無機塩を除去できたことを確認した。なお、得られたPd複合体含有液に関して、TG/DTA分析でPd複合体含有率を調べたところ、550℃での残固形分から、Pd複合体含有率は1.2wt%であることがわかった。また、Pd粒子の平均粒子径は2〜10nmの範囲内であり、Pd複合体中のPd粒子と分散剤との質量比は、Pd粒子:分散剤=75:25であった。
3リットルフラスコにイオン交換水944.5gを入れ、当該イオン交換水に硝酸パラジウム5.0gを加えて、撹拌した。これにより、硝酸パラジウムを水に溶解させた。当該水溶液に、カルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤(DISPERBYK194、ビックケミー・ジャパン社製、不揮発分53wt%)3.8gをさらに加えて、当該水溶液に溶解させた。この溶液を42℃になるまで加熱した後、撹拌しながらヒドラジン1水和物10.0gを加えた。この後、当該溶液を、室温下(23℃)で1時間撹拌した。溶液の温度は、ヒドラジン1水和物の添加後に53℃まで上昇したが、1時間撹拌した後の溶液の温度は40℃であった。この操作により、水溶液中のパラジウムイオンが還元された。この溶液を限外濾過フィルターAHP-1010(旭化成株式会社製)にて、還元されたPd複合体含有液と、無機塩含有液とを分離した。この操作により得られたPd複合体含有液に対して、上記分離した無機塩含有液と同じ質量分のイオン交換水を加えて、再度限外濾過フィルターで分離操作を行った。このイオン交換水補填操作及び分離操作を5回繰り返した。当該操作後に得られたPd複合体含有液の電気伝導率(導電率)は、28μS・cm-1であった。即ち、当該電気伝導率は30μS・cm-1以下であったので、この結果によって当該Pd複合体含有液から無機塩を除去できたことを確認した。なお、得られたPd複合体含有液に関して、TG/DTA分析でPd複合体含有率を調べたところ、550℃での残固形分から、Pd複合体含有率は1.2wt%であることがわかった。また、Pd粒子の平均粒子径は2〜10nmの範囲内であり、Pd複合体中のPd粒子と分散剤との質量比は、Pd粒子:分散剤=75:25であった。
製造例2:Pd複合体含有液Bの作製
DISPERBYK194に代えて、ヒドロキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤DISPERBYK2010(ビックケミー・ジャパン社製、不揮発分40wt%)を用いた以外は上記製造例1と同様にして、Pd複合体含有液Bを得た。なお、Pd複合体含有液BのPd複合体含有率は1.4wt%であった。また、Pd粒子の平均粒子径は2〜10nmの範囲内であり、Pd複合体中のPd粒子と分散剤との質量比は、Pd粒子:分散剤=75:25であった。
DISPERBYK194に代えて、ヒドロキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤DISPERBYK2010(ビックケミー・ジャパン社製、不揮発分40wt%)を用いた以外は上記製造例1と同様にして、Pd複合体含有液Bを得た。なお、Pd複合体含有液BのPd複合体含有率は1.4wt%であった。また、Pd粒子の平均粒子径は2〜10nmの範囲内であり、Pd複合体中のPd粒子と分散剤との質量比は、Pd粒子:分散剤=75:25であった。
製造例3:Pd複合体含有液Cの作製
上記Pd複合体含有液Aを遠心分離機にて、16時間、13000G荷重のかかる回転速度で回転させ、固形分を沈降させた。上澄み液をデカンテーションで除去した後、当該除去した上澄み液と同じ質量分のN-メチルピロリドンを加えた。この後、当該N-メチルピロリドン含有液を撹拌して、円沈管底部に溶け残りがないように、Pd複合体を分散させた。この液を遠心分離機にて、16時間、13000G荷重のかかる回転速度で回転させた。この操作により、固形分を沈降させるとともに、上澄み液を除去した。この操作を4回行った。この後、カールフィッシャー法にて、上記沈降させた固形分の含水率が1wt%以下になったことを確認した後、当該固形分に対してN-メチルピロリドンを加えることにより、Pd複合体含有率8wt%のPd複合体含有液C(分散媒:N-メチルピロリドン(NMP))を得た。また、Pd粒子の平均粒子径は2〜10nmの範囲内であり、Pd複合体中のPd粒子と分散剤との質量比は、Pd粒子:分散剤=80:20であった。
上記Pd複合体含有液Aを遠心分離機にて、16時間、13000G荷重のかかる回転速度で回転させ、固形分を沈降させた。上澄み液をデカンテーションで除去した後、当該除去した上澄み液と同じ質量分のN-メチルピロリドンを加えた。この後、当該N-メチルピロリドン含有液を撹拌して、円沈管底部に溶け残りがないように、Pd複合体を分散させた。この液を遠心分離機にて、16時間、13000G荷重のかかる回転速度で回転させた。この操作により、固形分を沈降させるとともに、上澄み液を除去した。この操作を4回行った。この後、カールフィッシャー法にて、上記沈降させた固形分の含水率が1wt%以下になったことを確認した後、当該固形分に対してN-メチルピロリドンを加えることにより、Pd複合体含有率8wt%のPd複合体含有液C(分散媒:N-メチルピロリドン(NMP))を得た。また、Pd粒子の平均粒子径は2〜10nmの範囲内であり、Pd複合体中のPd粒子と分散剤との質量比は、Pd粒子:分散剤=80:20であった。
製造例4:Pdイオン水溶液Dの作製
3リットルフラスコにイオン交換水936.8gを入れ、当該イオン交換水に硝酸パラジウム21.6gを加えて、撹拌した。これにより、硝酸パラジウムを水に溶解させた。当該水溶液に、DISPERBYK194(ビックケミー・ジャパン社製、不揮発分53wt%)40.0gを加えて、当該水溶液に溶解させた。この水溶液に対して、pH=9となるように水酸化ナトリウムを1.6g添加した。これにより、Pdイオン水溶液Dが得られた。なお、Pdイオンの濃度は1wt%であった。
3リットルフラスコにイオン交換水936.8gを入れ、当該イオン交換水に硝酸パラジウム21.6gを加えて、撹拌した。これにより、硝酸パラジウムを水に溶解させた。当該水溶液に、DISPERBYK194(ビックケミー・ジャパン社製、不揮発分53wt%)40.0gを加えて、当該水溶液に溶解させた。この水溶液に対して、pH=9となるように水酸化ナトリウムを1.6g添加した。これにより、Pdイオン水溶液Dが得られた。なお、Pdイオンの濃度は1wt%であった。
実施例1
以下の表1の通り、Pd複合体含有液A8.3wt%、ポリエステル樹脂水溶液(RZ-570、固形分25wt%、互応化学工業株式会社製)4.0wt%、及びイオン交換水87.7wt%を混合して無電解めっき用塗料組成物aを作製した。当該塗料組成物aをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(SL-50、帝人デュポンフィルム株式会社製)上に、バーコーター#12を用いて塗布し、乾燥用オーブン内で105℃、5分間乾燥させた。これにより、実施例1の塗料組成物塗布フィルムを得た。
以下の表1の通り、Pd複合体含有液A8.3wt%、ポリエステル樹脂水溶液(RZ-570、固形分25wt%、互応化学工業株式会社製)4.0wt%、及びイオン交換水87.7wt%を混合して無電解めっき用塗料組成物aを作製した。当該塗料組成物aをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(SL-50、帝人デュポンフィルム株式会社製)上に、バーコーター#12を用いて塗布し、乾燥用オーブン内で105℃、5分間乾燥させた。これにより、実施例1の塗料組成物塗布フィルムを得た。
実施例2
以下の表1の通り、Pd複合体含有液B7.1wt%、ポリエステル樹脂水溶液(RZ-570、固形分25wt%、互応化学工業株式会社製)4.0wt%、及びイオン交換水88.9wt%を混合して無電解めっき用塗料組成物bを作製した。その後、上記塗料組成物aに代えて、当該塗料組成物bを使用する以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2の塗料組成物塗布フィルムを得た。
以下の表1の通り、Pd複合体含有液B7.1wt%、ポリエステル樹脂水溶液(RZ-570、固形分25wt%、互応化学工業株式会社製)4.0wt%、及びイオン交換水88.9wt%を混合して無電解めっき用塗料組成物bを作製した。その後、上記塗料組成物aに代えて、当該塗料組成物bを使用する以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2の塗料組成物塗布フィルムを得た。
実施例3
以下の表1の通り、実施例1と同様にして、無電解めっき用塗料組成物aを作製した。インクジェットプリンター(PX-A550、セイコーエプソン株式会社製)の黒インク用カートリッジから当該黒インクを抜き取り、洗浄した後、上記塗料組成物aを充填した。この塗料組成物aを充填したカートリッジを上記プリンター(PX-A550)にセットして、PETフィルム(SL-50、帝人デュポンフィルム株式会社製)上に、ラインアンドスペース300μm/300μmのパターンを印刷した。この後、室温(23℃)で30分乾燥させることにより、実施例3の塗料組成物塗布フィルムを得た。
以下の表1の通り、実施例1と同様にして、無電解めっき用塗料組成物aを作製した。インクジェットプリンター(PX-A550、セイコーエプソン株式会社製)の黒インク用カートリッジから当該黒インクを抜き取り、洗浄した後、上記塗料組成物aを充填した。この塗料組成物aを充填したカートリッジを上記プリンター(PX-A550)にセットして、PETフィルム(SL-50、帝人デュポンフィルム株式会社製)上に、ラインアンドスペース300μm/300μmのパターンを印刷した。この後、室温(23℃)で30分乾燥させることにより、実施例3の塗料組成物塗布フィルムを得た。
実施例4
以下の表1の通り、Pd複合体含有液C1.25wt%、ポリイミドインク(Q-IP-X0897、株式会社ピーアイ技術研究所製、固形分32wt%)3.13wt%及びシクロヘキサノン95.62wt%を混合して無電解めっき用塗料組成物cを作製した。当該塗料組成物cをポリイミドフィルム(カプトン200H、東レ株式会社製)上に、バーコーター#12を用いて塗布し、乾燥用オーブン内で105℃、5分間乾燥させた。この後、さらに乾燥オーブン内で300℃、5分間乾燥させた。これにより、実施例4の塗料組成物塗布フィルムを得た。
以下の表1の通り、Pd複合体含有液C1.25wt%、ポリイミドインク(Q-IP-X0897、株式会社ピーアイ技術研究所製、固形分32wt%)3.13wt%及びシクロヘキサノン95.62wt%を混合して無電解めっき用塗料組成物cを作製した。当該塗料組成物cをポリイミドフィルム(カプトン200H、東レ株式会社製)上に、バーコーター#12を用いて塗布し、乾燥用オーブン内で105℃、5分間乾燥させた。この後、さらに乾燥オーブン内で300℃、5分間乾燥させた。これにより、実施例4の塗料組成物塗布フィルムを得た。
実施例5
以下の表1の通り、Pd複合体含有液C25.0wt%、ポリイミドインク(Q-IP-X0897、株式会社ピーアイ技術研究所製、固形分32wt%)46.88wt%、シクロヘキサノン14.06wt%及びブチルセロソルブアセテート14.06wt%を混合して無電解めっき用塗料組成物dを作製した。当該塗料組成物dを、ドクターブレードを用いて、100μmピッチで形成されたグラビア印刷用凹版の細孔内に充填した。当該塗料組成物dを充填した部分の上に、転写用ブランケットゴムロール(A(0.6)SP11-1、株式会社金陽社製)を密着させて、当該塗料組成物dをロール上に転写した。この後、このブランケットゴムロールをPETフィルム(SL-50、帝人デュポンフィルム株式会社製)に密着させることにより、当該塗料組成物dをPETフィルム上に転写した。これにより、実施例5の塗料組成物塗布フィルムを得た。
以下の表1の通り、Pd複合体含有液C25.0wt%、ポリイミドインク(Q-IP-X0897、株式会社ピーアイ技術研究所製、固形分32wt%)46.88wt%、シクロヘキサノン14.06wt%及びブチルセロソルブアセテート14.06wt%を混合して無電解めっき用塗料組成物dを作製した。当該塗料組成物dを、ドクターブレードを用いて、100μmピッチで形成されたグラビア印刷用凹版の細孔内に充填した。当該塗料組成物dを充填した部分の上に、転写用ブランケットゴムロール(A(0.6)SP11-1、株式会社金陽社製)を密着させて、当該塗料組成物dをロール上に転写した。この後、このブランケットゴムロールをPETフィルム(SL-50、帝人デュポンフィルム株式会社製)に密着させることにより、当該塗料組成物dをPETフィルム上に転写した。これにより、実施例5の塗料組成物塗布フィルムを得た。
実施例6
以下の表1の通り、Pd複合体含有液C25.0wt%、ポリアミド樹脂(トーマイド558、株式会社T&K TOKA社)15.0wt%、トルエン15.0wt%、イソプロパノール15.0wt%、及びシクロヘキサノン30.0wt%を混合して無電解めっき用塗料組成物eを作製した。その後、上記塗料組成物dに代えて、当該塗料組成物eを使用する以外は、上記実施例5と同様にして、実施例6の塗料組成物塗布フィルムを得た。
以下の表1の通り、Pd複合体含有液C25.0wt%、ポリアミド樹脂(トーマイド558、株式会社T&K TOKA社)15.0wt%、トルエン15.0wt%、イソプロパノール15.0wt%、及びシクロヘキサノン30.0wt%を混合して無電解めっき用塗料組成物eを作製した。その後、上記塗料組成物dに代えて、当該塗料組成物eを使用する以外は、上記実施例5と同様にして、実施例6の塗料組成物塗布フィルムを得た。
比較例1
以下の表1の通り、Pdイオン水溶液D10.0wt%、ポリエステル樹脂水溶液(RZ-570、固形分25wt%、互応化学工業株式会社製)4.0wt%、及びイオン交換水86.0wt%を混合して塗料組成物fを作製した。その後、上記塗料組成物aに代えて、当該塗料組成物fを使用する以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1の塗料組成物塗布フィルムを得た。
以下の表1の通り、Pdイオン水溶液D10.0wt%、ポリエステル樹脂水溶液(RZ-570、固形分25wt%、互応化学工業株式会社製)4.0wt%、及びイオン交換水86.0wt%を混合して塗料組成物fを作製した。その後、上記塗料組成物aに代えて、当該塗料組成物fを使用する以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1の塗料組成物塗布フィルムを得た。
試験例:無電解めっき性の評価
上記得られた実施例1〜6及び比較例1の塗料組成物塗布フィルムを、無電解めっき浴に浸漬させることにより、めっき皮膜が析出するか否かを評価した。無電解銅めっき浴は、上村工業株式会社製 スルカップPSY(初期Cu濃度2.5g/l、浴容積 500ml 30℃ 15分)、無電解ニッケルめっき浴は上村工業株式会社製BEL801(初期Ni濃度6g/l、浴容積 500ml 65℃ 15分)を用いた。
上記得られた実施例1〜6及び比較例1の塗料組成物塗布フィルムを、無電解めっき浴に浸漬させることにより、めっき皮膜が析出するか否かを評価した。無電解銅めっき浴は、上村工業株式会社製 スルカップPSY(初期Cu濃度2.5g/l、浴容積 500ml 30℃ 15分)、無電解ニッケルめっき浴は上村工業株式会社製BEL801(初期Ni濃度6g/l、浴容積 500ml 65℃ 15分)を用いた。
なお、無電解めっき性の評価は、以下のように行った。即ち、めっき浴に浸漬直後から良好な金属析出が起こり、銅またはニッケルのめっき皮膜が形成できた場合を○評価とした。金属析出反応が起こらず、めっき皮膜が形成できなかった場合を×評価とした。
結果を以下の表1に示す。なお、表1中の上段は、各塗料組成物を作成する際に使用した各試料の質量%を示し、表1中の中段は、各塗料組成物中の各成分の質量%を示し、表1中の下段は塗布方法及び試験例の結果を示す。
Claims (7)
- 以下の(1)〜(3):
(1)パラジウム粒子と分散剤との複合体、
(2)溶媒、及び
(3)バインダー樹脂
を含有する無電解めっき用塗料組成物であって、
前記複合体は、分散剤の存在下、パラジウムイオンを還元することによって得られ、
前記溶媒は、水を含み、
前記バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である
ことを特徴とする、無電解めっき用塗料組成物。 - 前記分散剤が、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有するブロック共重合体型高分子分散剤である、請求項1に記載の無電解めっき用塗料組成物。
- 溶媒及びバインダー樹脂を含有する無電解めっき用塗料組成物の製造方法であって、
前記バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
前記溶媒は、水を含み、
以下の(i)並びに(ii):
(i) 溶媒中に、パラジウムイオン及び分散剤を存在させる工程1、並びに
(ii) 前記パラジウムイオンと還元剤とを反応させることにより、前記パラジウムイオンを還元する工程2、
を順に含むことを特徴とする、無電解めっき用塗料組成物の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の無電解めっき用塗料組成物を基材に対して塗布した後、無電解めっきを施すことによって得られる、被めっき物。
- 前記塗布が、インクジェット印刷方式、グラビアオフセット印刷方式又はフレキソ印刷方式によるパターン印刷である、請求項4に記載の被めっき物。
- 請求項1又は2に記載の無電解めっき用塗料組成物を基材に塗布して塗膜を形成した後、無電解めっき液と接触させることにより、無電解めっき皮膜を形成する方法。
- 前記塗布が、グラビアオフセット印刷方式又はフレキソ印刷方式による塗布である、請求項6に記載の方法。
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