WO2020003878A1 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、絶縁性基材(A)上に、0.01~0.5g/mの範囲の銀粒子層(M1)を形成する工程1、前記銀粒子層(M1)上に回路形成部のレジストが除去されたパターンレジストを形成する工程2、めっき法により導体回路層(M2)を形成する工程3、パターンレジストを剥離し、非回路形成部の銀粒子層(M1)をエッチング液により除去する工程4を有することを特徴とする絶縁性基材上に回路パターンを有するプリント配線板の製造方法を提供する。この製造方法は、クロム酸や過マンガン酸による表面粗化、アルカリによる表面改質層形成などを必要とせず、真空装置を用いることなく、プリント配線板を得ることができ、得られたプリント配線板は、基材と導体回路との高い密着性を有し、アンダーカットの少ない、回路配線として良好な矩形の断面形状を有する。

Description

プリント配線板の製造方法
 本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
 近年、電子機器製品の小型化、軽量化要求に伴い、プリント配線板(フィルム)の薄型化及び、回路配線の高精細化が求められている。従来、回路配線を製造する方法としては、絶縁性基材上に形成された銅層の表面に、回路パターン形状のエッチングレジストを形成し、回路不要部の銅層をエッチングすることによって銅配線を形成するサブトラクティブ法が広く用いられてきた。しかしながら、サブトラクティブ法においては、配線裾部分の銅が残りやすく、回路配線の高密度化によって配線間距離が短くなると、短絡や配線間の絶縁信頼性に乏しいなどの問題があった。また、短絡を防ぐ目的や、絶縁信頼性を向上させるために、エッチングをさらに進行させると、レジスト下部にエッチング液がまわり込んで、サイドエッチングが進む結果、配線幅方向が細くなってしまうことが問題であった。特に、配線密度の異なる領域が混在する場合、配線密度の低い領域に存在する微細配線は、エッチングを進行させると、消失してしまうなどの問題もあった。さらに、サブトラクティブ法で得られる配線の断面形状は矩形とならず、台形状や三角形状の基材側に裾の広がった形状となることから、厚さ方向に幅が異なった配線となり、電気伝送路としても課題があった。
 これらの課題を解決し、微細配線回路を作製する方法として、セミアディティブ法が提案されている。セミアディティブ法においては、絶縁性基材上に導電性のシード層を形成しておき、当該シード層上の非回路形成部にめっきレジストを形成する。導電性のシード層を通じて電解めっきで配線部を形成した後、レジストを剥離し、非回路形成部のシード層を除去することによって微細配線を形成する。この方法によれば、レジストの形状に沿ってめっきを析出させるので、配線の断面形状を矩形にすることができ、また、パターンの疎密に関係なく、目的とする幅の配線を析出させることができるので、微細配線の形成に適している。
 セミアディティブ法においては、絶縁性基材上にパラジウム触媒を用いた無電解銅めっきや、無電解ニッケルめっきにより、導電性のシード層を形成する方法が知られている。これらの方法では、例えばビルドアップフィルムを用いる場合、フィルム基材と銅めっき膜の密着性を確保するために、デスミア粗化と呼ばれる過マンガン酸等の強い薬剤を用いた基材表面粗化が行われており、形成された空隙中からめっき膜を形成することによって、アンカー効果を利用し、絶縁性基材とめっき膜の密着性を確保している。しかしながら、基材表面を粗化すると、微細配線を形成することが難しくなり、また、高周波伝送特性が劣化するなどの課題がある。このため、粗化の程度を小さくすることが検討されているが、低粗化の場合には、形成された配線と基材間の必要な密着強度が得られないという問題があった。
 一方、ポリイミドフィルム上に無電解ニッケルめっきを施して導電シードを形成する技術も知られている。この場合には、ポリイミドフィルムを強アルカリに浸漬することによって、表層のイミド環を開環させてフィルム表面を親水性化すると同時に、水の浸透する改質層を形成し、当該改質層中にパラジウム触媒を浸透させて、無電解ニッケルめっきを行うことによってニッケルのシード層を形成している(例えば、特許文献1参照。)。本技術においては、ポリイミド最表層の改質層中からニッケルめっきが形成されることによって密着強度を得ているが、当該改質層は、イミド環を開環させた状態であるため、フィルム表層が物理的、化学的に弱い構造になるという問題があった。
 これに対し、表面粗化、もしくは、表層に改質層を形成しない方法として、スパッタ法によって絶縁性基材上にニッケル、もしくはチタン等の導電性シードを形成する方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。この方法は、基材表面を粗化することなくシード層を形成することが可能であるが、高価な真空装置を用いる必要があり、大きな初期投資が必要であること、基材サイズや形状に制限があること、生産性が低い煩雑な工程であることなどが問題であった。
 スパッタ法の課題を解決する方法として、金属粒子を含有する導電性インクの塗工層を導電性シード層として利用する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この技術においては、フィルムもしくはシートからなる絶縁性基材上に、1~500nmの粒子径をもつ金属粒子を分散させた導電性インクを塗工し、熱処理を行うことにより、前記塗工された導電性インク中の金属粒子を金属層として絶縁性の基材上に固着させて導電シード層を形成し、さらに当該導電シード層上にめっきを行う技術が開示されている。
 特許文献3において、セミアディティブ法によるパターン形成が提案されているが、上述の通り、この方法は導電性のシード層を通じて電解めっきで配線部を形成した後、レジストを剥離し、非回路形成部のシード層を除去することによって微細配線を形成する。その後、シード層をエッチング液により除去する際に、電気めっきで形成された導体回路も同時にエッチングされて、回路幅や配線厚が減少するという問題がある。特に、シード層の金属種と導体回路の金属種が同種の場合は、非回路形成部のシード層を除去する際に、導体回路部も同時にエッチングされ、回路幅や配線厚の減少が顕著となる。また、非回路形成部のシード層が金属粒子からなる層の場合、よりエッチングされやすい傾向があり、シード層部分がエッチングされすぎてアンダーカットが起こり、導体回路が基材から剥離する問題もあった。
国際公開第2009/004774号 特開平9-136378号公報 特開2010-272837号公報
 本発明が解決しようとする課題は、クロム酸や過マンガン酸による表面粗化、アルカリによる表面改質層形成などを必要とせず、真空装置を用いることなく、基材と導体回路との高い密着性を有し、アンダーカットの少ない、回路配線として良好な矩形の断面形状を有する配線を得ることのできるプリント配線板の製造方法を提供することである。
 本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、絶縁性基材上に、特定量の銀粒子を含有する銀粒子層を形成し、当該銀粒子層上に回路パターンレジストを形成してめっき法により導体回路を形成した後、レジストを剥離して、非回路形成部の銀粒子層をエッチング液により除去することによって、表面粗化処理を行わずに高い密着性を有する回路配線を得ることができ、真空設備を用いずに、アンダーカットの少ない矩形断面形状の良好な配線を得ることのできるプリント配線板の製造方法を見出し、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、絶縁性基材(A)上に、0.01~0.5g/mの範囲の銀粒子層(M1)を形成する工程1、前記銀粒子層(M1)上に回路形成部のレジストが除去されたパターンレジストを形成する工程2、めっき法により導体回路層(M2)を形成する工程3、パターンレジストを剥離し、非回路形成部の銀粒子層(M1)をエッチング液により除去する工程4を有することを特徴とする絶縁性基材上に回路パターンを有するプリント配線板の製造方法を提供するものである。
 また、本発明は、絶縁性基材(A)上に、プライマー層(B)を形成した後、プライマー層(B)上に、0.01~0.5g/mの範囲の銀粒子層(M1)を形成する工程1’、前記銀粒子層(M1)上に回路形成部のレジストが除去されたパターンレジストを形成する工程2、めっき法により導体回路層(M2)を形成する工程3、パターンレジストを剥離し、非回路形成部の銀粒子層(M1)をエッチング液により除去する工程4を有することを特徴とする絶縁性基材上に回路パターンを有するプリント配線板の製造方法を提供するものである。
 本発明のプリント配線板の製造方法により、真空装置を用いることなく、種々の平滑基材上に密着性の高い、良好な矩形断面形状の回路配線を有するプリント配線板を製造することが可能である。従って、本発明の技術を用いることで、種々の形状、サイズの高密度、高性能のプリント配線板を、低コストで提供することができ、プリント配線の分野におけて産業上の利用性が高い。また、本発明のプリント配線板の製造方法により製造されたプリント配線板は、通常のプリント配線板のみならず、基材表面にパターン化された金属層を有する種々の電子部材に用いることができ、例えば、コネクター、電磁波シールド、RFID等のアンテナ、フィルムコンデンサーなどにも応用できる。さらに、本発明のプリント配線板の製造方法は、種々の形状、サイズの基材上にパターン化された金属層を有する装飾めっき用途で用いることもできる。
 本発明は、絶縁性基材(A)上に、0.01~0.5g/mの範囲の銀粒子層(M1)を形成する工程1、前記銀粒子層(M1)上に回路形成部のレジストが除去されたパターンレジストを形成する工程2、めっき法により導体回路層(M2)を形成する工程3、パターンレジストを剥離し、非回路形成部の銀粒子層(M1)をエッチング液により除去する工程4を有することを特徴とする絶縁性基材上に回路パターンを有するプリント配線板の製造方法である。
 また、本発明のより好ましい態様は、絶縁性基材(A)上に、プライマー層(B)を形成した後、プライマー層(B)上に、0.01~0.5g/mの範囲の銀粒子層(M1)を形成する工程1’、前記銀粒子層(M1)上に回路形成部のレジストが除去されたパターンレジストを形成する工程2、めっき法により導体回路層(M2)を形成する工程3、パターンレジストを剥離し、非回路形成部の銀粒子層(M1)をエッチング液により除去する工程4を有することを特徴とする絶縁性基材上に回路パターンを有するプリント配線板の製造方法である。
 本発明の工程1又は工程1’で用いる前記絶縁性基材(A)の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂をグラフト共重合化した塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、セルロースナノファイバー、シリコン、シリコンカーバイド、窒化ガリウム、サファイア、セラミックス、ガラス、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、アルミナ等が挙げられる。
 また、前記絶縁性基材(A)として、熱硬化性樹脂及び無機充填材を含有する樹脂基材を好適に用いることもできる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。一方、前記無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ珪酸ガラス等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂と無機充填剤は、それぞれ1種で用いることも2種以上併用することもできる。
 前記絶縁性基材(A)の形態としては、フレキシブル材、リジッド材、リジッドフレキシブル材のいずれのものも用いることができる。より具体的には、前記絶縁性基材(A)にフィルム、シート、板状に成形された市販材料を用いてもよいし、上記した樹脂の溶液、溶融液、分散液から、任意の形状に成形した材料を用いてもよい。また、前記絶縁性基材(A)は、金属等の導電性材料の上に、上記した樹脂の材料を形成した基材であってもよい。
 また、前記絶縁性基材(A)の形態としては、フィルム、シート、板等、平面状基材の両面を貫通する貫通孔を有してもよく、基材が積層体であって、外層が貫通孔を有しており、積層体全体としては非貫通孔を有し、内層部に達する孔を持つ構造を有してもよい。前記絶縁性基材(A)が貫通孔を有している場合には、後述する本発明のプリント配線板の製造工程を経ることによって、貫通孔の両面を電気的に接続することが可能である。また、前記絶縁性基材(A)が積層体であって、非貫通孔を有し、内層部に達する孔を持つ構造を有している場合には、本発明のプリント配線板の製造工程を経ることによって、外層と内層の導電層を電気的に接続することが可能である。
 本発明のプリント配線板の製造方法の工程1は、前記絶縁性基材(A)上に、0.01~0.5g/mの範囲の銀粒子層(M1)を形成する工程である。この銀粒子層(M1)は、後述する工程3において、めっき法により導体回路層(M2)を形成する際のめっき下地層となる。前記銀粒子層(M1)は、銀粒子を含有する層であるが、銀粒子以外の金属粒子を含有していてもよい。銀粒子以外の金属粒子としては、例えば、金、白金、パラジウム、ルテニウム、スズ、銅、ニッケル、鉄、コバルト、チタン、インジウム、イリジウム等の金属粒子が挙げられる。これらの金属粒子を用いる場合は、銀粒子とともに1種以上を用いることができる。本発明において、銀粒子を必須の金属粒子とする理由としては、比較的安価であること、大気下で保存しても表面が酸化されにくいこと、後述するめっき工程での触媒活性が高いこと等が挙げられる。
 銀粒子以外の金属粒子が含有される場合、銀粒子以外の金属粒子の割合は、前記銀粒子層(M1)を形成可能であり、後述する工程3における電解めっきが問題なく実施できる限りは、特に制限はないが、後述する工程4におけるエッチング除去性をより向上できることから、銀粒子100質量部に対して5質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましい。
 前記銀粒子層(M1)を形成する方法としては、例えば、前記絶縁性基材(A)上に、銀粒子分散液を塗工する方法が挙げられる。前記銀粒子分散液の塗工方法は、前記銀粒子層(M1)が良好に形成できれば特に制限はなく、種々の塗工方法を、用いる絶縁性基材(A)の形状、サイズ、剛柔の度合いなどによって適宜選択すればよい。具体的な塗工方法としては、例えば、グラビア法、オフセット法、フレキソ法、パッド印刷法、グラビアオフセット法、凸版法、凸版反転法、スクリーン法、マイクロコンタクト法、リバース法、エアドクターコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、スクイズコーター法、含浸コーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、インクジェット法、ダイコーター法、スピンコーター法、バーコーター法、ディップコーター法等が挙げられる。
 また、フィルム、シート、板状の前記絶縁性基材(A)の両面に、銀粒子分散液を塗工する方法は、前記銀粒子層(M1)が良好に形成できれば特に制限はなく、上記で例示した塗工方法を適宜選択すればよい。この際、前記銀粒子層(M1)は、前記絶縁性基材(A)の両面に同時形成してもよいし、前記絶縁性基材(A)の片面に形成した後、他方の面に形成してもよい。さらに、前記絶縁性基材(A)が立体形状の成形体の場合は、成形体のサイズ、形状に応じて、上記で例示した塗工方法を適宜選択すればよいが、スプレーコーター法、インクジェット法、ディップコーター法等が好適である。
 前記絶縁性基材(A)は、銀粒子分散液の塗工性向上、工程3で形成する導体回路層(M2)の基材への密着性を向上させる目的で、銀粒子分散液を塗工する前に、表面処理を行ってもよい。前記絶縁性基材(A)の表面処理方法としては、表面の粗度が大きくなって、ファインピッチパターン形成性や粗面による信号伝送ロスが問題とならない限りは特に制限はなく、種々の方法を適宜選択すればよい。このような表面処理方法としては、例えば、UV処理、気相オゾン処理、液層オゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。これらの表面処理方法は、1種の方法で行うことも2種以上の方法を併用することもできる。
 前記銀粒子分散液を前記絶縁性基材(A)上に塗工した後、塗工膜を乾燥することにより、銀粒子分散液に含まれる溶媒が揮発し、前記絶縁性基材(A)上に前記銀粒子層(M1)が形成される。
 上記の乾燥の温度及び時間は、使用する基材の耐熱温度、後述する前記銀粒子分散液に使用する溶媒の種類に応じて適宜選択すればよいが、20~350℃の範囲で、時間は1~200分の範囲が好ましい。また、基材上に密着性に優れた銀粒子層(M1)を形成するために、前記乾燥の温度は0~250℃の範囲がより好ましい。
 前記銀粒子層(M1)を形成した前記絶縁性基材(A)は、必要に応じ、上記の乾燥後、前記絶縁性基材(A)と前記銀粒子層(M1)との密着性を向上させる目的で、さらにアニーリングを行ってもよい。アニーリングの温度と時間は、使用する基材の耐熱温度、必要とする生産性等に応じて適宜選択すればよく、60~350℃の範囲で30分~2週間の時間行えばよい。また、60~180℃の温度範囲では、30分~2週間の時間が好ましく、180~350℃の範囲では、30分~5時間程度とするのが好ましい。
 上記の乾燥は、送風を行ってもよいし、特に送風を行わなくてもよい。また、乾燥は、大気中で行ってもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガスの置換雰囲気下、もしくは気流下で行ってもよく、真空下で行ってもよい。
 塗工膜の乾燥は、前記絶縁性基材(A)が、枚葉のフィルム、シート、板、もしくは立体形状の成形体の場合には、塗工場所での自然乾燥の他、送風、定温乾燥器などの乾燥器内で行うことができる。また、前記絶縁性基材(A)がロールフィルムやロールシートの場合には、塗工工程に続けて、設置された非加熱または加熱空間内でロール材を連続的に移動させることにより、乾燥を行うことができる。この際の乾燥の加熱方法としては、例えば、オーブン、熱風式乾燥炉、赤外線乾燥炉、レーザー照射、マイクロウェーブ、光照射(フラッシュ照射装置)等を用いる方法が挙げられる。これらの加熱方法は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
 前記絶縁性基材(A)上に形成される前記銀粒子層(M1)の形成量は、0.01~0.5g/mである。この形成量の範囲であれば、後述する工程3におけるめっき工程による導体回路層(M2)の形成が容易となり、後述する工程4におけるエッチング液による除去工程も容易となる。
 前記絶縁性基材(A)上に形成される前記銀粒子層(M1)の形成量は、蛍光X線法、原子吸光法、ICP法等、公知慣用の分析手法を用いて確認することができる。
 また、前記銀粒子層(M1)は、基本的に非導電性の層である。非導電性の層であることは、例えば、一般に市販されているテスターを用いて、1cm離れた2点間の抵抗測定を行った際、導通が確認できず、オーバーレンジとなることで確認することができる。例えば、FLUKE社製「233リモート・ディスプレイ・デジタル・マルチメーター」を用いて、オーバーレンジを確認すると、1cmの距離で40MΩ以上の電気抵抗があることを示している。
 また、後述するレジスト層に活性光で回路パターンを露光する工程において、前記銀粒子層(M1)からの活性光の反射を抑制する目的で、前記銀粒子層(M1)を形成でき、後述する工程3におけるめっき工程が問題なく実施でき、後述する工程4におけるエッチング除去性を確保できる範囲で、前記銀粒子層(M1)中に前記活性光を吸収するグラファイトやカーボン、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等の光を吸収する顔料、又は色素を光吸収剤として含有させてもよい。これらの顔料や色素は、使用する前記活性光の波長に合わせて適宜選択すればよい。また、これらの顔料や色素は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。さらに、前記銀粒子層(M1)中にこれらの顔料や色素を含有されるためには、後述する銀粒子分散液にこれらの顔料や色素を配合すればよい。
 前記銀粒子層(M1)を形成するために用いる銀粒子分散液は、銀粒子が溶媒中に分散したものである。前記銀粒子の形状としては、前記銀粒子層(M1)を良好に形成するものであれば特に制限はなく、球状、レンズ状、多面体状、平板状、ロッド状、ワイヤー状など、種々の形状の銀粒子を用いることができる。これらの銀粒子は、単一形状の1種で用いることも、形状が異なる2種以上を併用することもできる。
 前記銀粒子の形状が球状や多面体状である場合には、その平均粒子径が1~20,000nmの範囲のものが好ましい。また、微細な回路パターンを形成する場合には、前記銀粒子層(M1)の均質性がより向上し、後述する工程4でのエッチング液による除去性もより向上できることから、その平均粒子径が1~200nmの範囲のものがより好ましく、1~50nmの範囲のものがさらに好ましい。なお、ナノメートルサイズの粒子に関する「平均粒子径」は、前記銀粒子を分散良溶媒で希釈し、動的光散乱法により測定した体積平均値である。この測定にはマイクロトラック社製「ナノトラックUPA-150」を用いることができる。
 一方、銀粒子がレンズ状、ロッド状、ワイヤー状などの形状を有する場合には、その短径が1~200nmの範囲のものが好ましく、2~100nmの範囲のものがより好ましく、5~50nmの範囲のものがさらに好ましい。
 前記銀粒子は、銀を主成分とするものであるが、後述する工程3におけるめっき工程を阻害したり、後述する工程4における前記銀粒子層(M1)のエッチング液による除去性が損なわれたりしない限りは、一部が他の金属で置換されたり、銀以外の金属成分が混合されていてもよい。
 置換又は混合される金属としては、金、白金、パラジウム、ルテニウム、スズ、銅、ニッケル、鉄、コバルト、チタン、インジウム及びイリジウムからなる群より選ばれる1種以上の金属元素が挙げられる。
 置換又は混合される金属の比率は、前記銀粒子中に5質量%以下が好ましく、前記銀粒子層(M1)のめっき性、エッチング液による除去性の観点から2質量%以下がより好ましい。
 前記銀粒子層(M1)を形成するために用いる銀粒子分散液は、銀粒子を各種溶媒中に分散したものであり、その分散液中の銀粒子の粒径分布は、単分散で揃っていてもよく、また、上記の平均粒子径の範囲である粒子の混合物であってもよい。
 前記銀粒子の分散液に用いる溶媒としては、水性媒体や有機溶剤を使用することができる。前記水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられる。また、前記有機溶剤としては、アルコール化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
 前記アルコール溶剤又はエーテル溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
 前記ケトン溶剤としては、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等が挙げられる。また、前記エステル溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、3―メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート等が挙げられる。さらに、その他の有機溶剤として、トルエン等の炭化水素溶剤、特に炭素原子数8以上の炭化水素溶剤が挙げられる。
 前記炭素原子数8以上の炭化水素溶剤としては、例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、シクロオクタン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラリン、トリメチルベンゼンシクロヘキサン等の非極性溶剤が挙げられ、他の溶媒と必要に応じて組み合わせて用いることができる。さらに、混合溶剤であるミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の溶媒を併用することもできる。
 前記溶媒は、銀粒子が安定に分散し、前記絶縁性基材(A)、もしくは、後述する前記絶縁性基材(A)上に形成されたプライマー層(B)上に、前記銀粒子層(M1)を良好に形成するものであれば特に制限はない。また、前記溶媒は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
 前記銀粒子分散液中の銀粒子の含有率は、上記の種々の塗工方法を用いて前記絶縁性基材(A)上の前記銀粒子層(M1)の形成量が0.01~0.5g/mの範囲になるように適宜調整し、上記の種々の塗工方法に応じて最適な塗工適性を有する粘度になるように調整すればよいが、0.05~30質量%の範囲が好ましく、0.2~20質量%の範囲がより好ましく、0.5~10質量%の範囲がさらに好ましい。
 前記銀粒子分散液は、前記銀粒子が、前記の各種溶媒媒中で凝集、融合、沈殿することなく、長期間の分散安定性を保つことが好ましく、銀粒子を前記の各種溶媒中に分散させるための分散剤を含有することが好ましい。このような分散剤としては、銀粒子に配位する官能基を有する分散剤が好ましく、例えば、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、アセトアセチル基、リン原子含有基、チオール基、チオシアナト基、グリシナト基等の官能基を有する分散剤が挙げられる。
 前記分散剤としては、市販、もしくは独自に合成した低分子量、又は高分子量の分散剤を用いることができ、銀粒子を分散する溶媒や、銀粒子の分散液を塗工する前記絶縁性基材(A)の種類など、目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、ドデカンチオール、1-オクタンチオール、トリフェニルホスフィン、ドデシルアミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン;ミリスチン酸、オクタン酸、ステアリン酸等の脂肪酸;コール酸、グリシルジン酸、アビンチン酸等のカルボキシル基を有する多環式炭化水素化合物などが好適に用いられる。ここで、後述するプライマー層(B)上に前記銀粒子層(M1)を形成する場合は、これら2層の密着性が良好になることから、後述するプライマー層(B)に用いる樹脂が有する反応性官能基[X]と結合を形成しうる反応性官能基[Y]を有する化合物を用いることが好ましい。
 反応性官能基[Y]を有する化合物としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルキロールアミド基、カルボキシル基、無水カルボキシル基、カルボニル基、アセトアセチル基、エポキシ基、脂環エポキシ基、オキセタン環、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(ブロック化)イソシアネート基、(アルコキシ)シリル基等を有する化合物、シルセスキオキサン化合物等が挙げられる。特に、プライマー層(B)と銀粒子層(M1)との密着性をより向上できることから、前記反応性官能基[Y]は塩基性窒素原子含有基が好ましい。前記塩基性窒素原子含有基としては、例えば、イミノ基、1級アミノ基、2級アミノ基等が挙げられる。
 前記塩基性窒素原子含有基は、分散剤1分子中に単数、もしくは複数存在してもよい。分散剤中に複数の塩基性窒素原子を含有することで、塩基性窒素原子含有基の一部は、銀粒子との相互作用により、銀粒子の分散安定性に寄与し、残りの塩基性窒素原子含有基は、前記絶縁性基材(A)との密着性向上に寄与する。また、後述するプライマー層(B)に反応性官能基[X]を有する樹脂を用いた場合には、分散剤中の塩基性窒素原子含有基は、この反応性官能基[X]との間で結合が形成でき、前記絶縁性基材(A)上への後述する導体回路層(M2)の密着性をより一層向上できるため好ましい。
 前記分散剤は、銀粒子の分散液の安定性、塗工性、及び、前記絶縁性基材(A)上に良好な密着性を示す銀粒子層(M1)を形成できることから、分散剤は、高分子分散剤が好ましく、この高分子分散剤としては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン等のポリアルキレンイミン、前記ポリアルキレンイミンにポリオキシアルキレンが付加した化合物などが好ましい。
 前記ポリアルキレンイミンにポリオキシアルキレンが付加した化合物としては、ポリエチレンイミンとポリオキシアルキレンとが、直鎖状で結合したものであってもよく、前記ポリエチレンイミンからなる主鎖に対して、その側鎖にポリオキシアルキレンがグラフトしたものであってもよい。
 前記ポリアルキレンイミンにポリオキシアルキレンが付加した化合物の具体例としては、例えば、ポリエチレンイミンとポリオキシエチレンとのブロック共重合体、ポリエチレンイミンの主鎖中に存在するイミノ基の一部にエチレンオキサイドを付加反応させてポリオキシエチレン構造を導入したもの、ポリアルキレンイミンが有するアミノ基と、ポリオキシエチレングリコールが有する水酸基と、エポキシ樹脂が有するエポキシ基とを反応させたもの等が挙げられる。
 前記ポリアルキレンイミンの市販品としては、株式会社日本触媒製の「エポミン(登録商標)PAOシリーズ」の「PAO2006W」、「PAO306」、「PAO318」、「PAO718」等が挙げられる。
 前記ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、3,000~30,000の範囲が好ましい。
 前記銀粒子を分散させるために必要な前記分散剤の使用量は、前記銀粒子100質量部に対し、0.01~50質量部の範囲が好ましく、また、前記絶縁性基材(A)上、もしくは、後述するプライマー層(B)上に、良好な密着性を示す銀粒子層(M1)を形成できることから、前記銀粒子100質量部に対し、0.1~10質量部の範囲が好ましく、さらに前記銀粒子層(M1)のめっき性を向上できることから、0.1~5質量部の範囲がより好ましい。
 前記銀粒子の分散液の製造方法としては、特に制限はなく、種々の方法を用いて製造できるが、例えば、低真空ガス中蒸発法などの気相法を用いて製造した銀粒子を、溶媒中に分散させてもよいし、液相で銀化合物を還元して直接銀粒子の分散液を調製してもよい。気相、液相法とも、適宜、必要に応じて、溶媒交換や溶媒添加により、製造時の分散液と塗工時の分散液の溶剤組成を変更することが可能である。気相、液相法のうち、分散液の安定性や製造工程の簡便さから、液相法を特に好適に用いることができる。液相法としては、例えば、前記高分子分散剤の存在下で銀イオンを還元することによって製造することができる。
 前記銀粒子の分散液には、さらに必要に応じて、界面活性剤、レベリング剤、粘度調整剤、成膜助剤、消泡剤、防腐剤などの有機化合物を配合してもよい。
 前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系界面活性剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルホネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム塩等のアニオン系界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤などが挙げられる。
 前記レベリング剤としては、一般的なレベリング剤を使用することができ、例えば、シリコーン系化合物、アセチレンジオール系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
 前記粘度調整剤としては、一般的な増粘剤を使用することができ、例えば、アルカリ性に調整することによって増粘可能なアクリル重合体、合成ゴムラテックス、分子が会合することによって増粘可能なウレタン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、水添加ヒマシ油、アマイドワックス、酸化ポリエチレン、金属石鹸、ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
 前記成膜助剤としては、一般的な成膜助剤を使用することができ、例えば、ジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩等アニオン系界面活性剤、ソルビタンモノオレエート等の疎水性ノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シロキサン、シリコーンオイルなどが挙げられる。
 前記消泡剤としては、一般的な消泡剤を使用することができ、例えば、シリコーン系消泡剤、ノニオン系界面活性剤、ポリエーテル,高級アルコール、ポリマー系界面活性剤等が挙げられる。
 前記防腐剤としては、一般的な防腐剤を使用することができ、例えば、イソチアゾリン系防腐剤、トリアジン系防腐剤、イミダゾール系防腐剤、ピリジン系防腐剤、アゾール系防腐剤、ピリチオン系防腐剤等が挙げられる。
 また、本発明のより好ましい態様として、絶縁性基材(A)上に、前記銀粒子層(M1)を形成する前に、絶縁性基材(A)上に、プライマー層(B)を形成した後、その層の上に前記銀粒子層(M1)を形成する方法がある(工程1’)。このプライマー層を設ける方法は、前記絶縁性基材(A)への導体回路層(M2)の密着性をより一層向上できることから好ましい。
 前記プライマー層(B)は、前記絶縁性基材(A)の表面の一部、又は全面にプライマーを塗工し、前記プライマー中に含まれる水性媒体、有機溶剤等の溶媒を除去することによって形成できる。ここで、プライマーとは、絶縁性基材(A)への導体回路層(M2)の密着性を向上させる目的で用いるものであり、後述する各種の樹脂を溶剤中に溶解、もしくは分散させた液状組成物である。
 前記プライマーを前記絶縁性基材(A)に塗工する方法としては、プライマー層(B)が良好に形成できれば特に制限は無く、種々の塗工方法を、使用する絶縁性基材(A)の形状、サイズ、剛柔の度合いなどによって適宜選択すればよい。具体的な塗工方法としては、例えば、グラビア法、オフセット法、フレキソ法、パッド印刷法、グラビアオフセット法、凸版法、凸版反転法、スクリーン法、マイクロコンタクト法、リバース法、エアドクターコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、スクイズコーター法、含浸コーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、インクジェット法、ダイコーター法、スピンコーター法、バーコーター法、ディップコーター法等が挙げられる。
 また、フィルム、シート、板状の前記絶縁性基材(A)の両面に、前記プライマーを塗工する方法は、プライマー層(B)が良好に形成できれば特に制限はなく、上記で例示した塗工方法を適宜選択すればよい。この際、前記プライマー層(B)は、前記絶縁性基材(A)の両面に同時形成してもよく、前記絶縁性基材(A)の片面に形成した後、他方の面に形成してもよい。さらに、前記絶縁性基材(A)が立体形状の成形体の場合は、成形体のサイズ、形状に応じて、上記で例示した塗工方法を適宜選択すればよいが、スプレーコーター法、インクジェット法、ディップコーター法等が好適である。
 前記絶縁性基材(A)は、プライマーの塗工性向上や、前記導体回路層(M2)の基材への密着性を向上させる目的で、プライマー塗工前(工程1’)に、表面処理を行ってもよい。前記絶縁性基材(A)の表面処理方法としては、上述した絶縁性基材(A)上に、前記銀粒子層(M1)を形成する場合の表面処理方法と同様の方法を用いることができる。
 前記プライマーを絶縁性基材(A)の表面に塗工した後、その塗工層に含まれる溶媒を除去してプライマー層(B)を形成する方法としては、例えば、乾燥機を用いて乾燥させ、前記溶媒を揮発させる方法が一般的である。乾燥温度としては、前記溶媒を揮発させることが可能で、かつ前記絶縁性基材(A)に悪影響を与えない範囲の温度に設定すればよく、室温乾燥でも加熱乾燥でもよい。具体的な乾燥温度は、20~350℃の範囲が好ましく、60~300℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は、1~200分の範囲が好ましく、1~60分の範囲がより好ましい。
 上記の乾燥は、送風を行ってもよいし、特に送風を行わなくてもよい。また、乾燥は、大気中で行ってもよいし、窒素、アルゴンなどの置換雰囲気、もしくは気流下で行ってもよく、真空下で行ってもよい。
 前記絶縁性基材(A)が、枚葉のフィルム、シート、板、もしくは立体形状の成形体の場合には、塗工場所での自然乾燥の他、送風、定温乾燥器などの乾燥器内で行うことができる。また、前記絶縁性基材(A)がロールフィルムやロールシートの場合には、塗工工程に続けて、設置された非加熱または加熱空間内でロール材を連続的に移動させることにより、乾燥を行うことができる。
 前記プライマー層(B)の膜厚は、本発明を用いて製造するプリント配線板の仕様、用途によって適宜選択すればよいが、前記絶縁性基材(A)と前記導体回路層(M2)との密着性を、より向上できることから、10nm~30μmの範囲が好ましく、10nm~1μmの範囲がより好ましく、10nm~500nmの範囲がさらに好ましい。
 プライマー層(B)を形成する樹脂は、前記銀粒子の分散剤に反応性官能基[Y]を有するものを用いる場合、反応性官能基[Y]に対して反応性を有する反応性官能基[X]を有する樹脂が好ましい。前記反応性官能基[X]としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルキロールアミド基、カルボキシル基、無水カルボキシル基、カルボニル基、アセトアセチル基、エポキシ基、脂環エポキシ基、オキセタン環、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(ブロック化)イソシアネート基、(アルコキシ)シリル基等が挙げられる。また、プライマー層(B)を形成する化合物として、シルセスキオキサン化合物を用いることもできる。
 特に、前記分散剤中の反応性官能基[Y]が、塩基性窒素原子含有基の場合、前記絶縁性基材(A)上での導体回路層(M2)の密着性をより向上できることから、プライマー層(B)を形成する樹脂は、反応性官能基[X]として、カルボキシル基、カルボニル基、アセトアセチル基、エポキシ基、脂環エポキシ基、アルキロールアミド基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基を有するものが好ましい。
 前記プライマー層(B)を形成する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしアクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートにフェノール等のブロック化剤を反応させて得られたブロックイソシアネートポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。なお、ウレタン樹脂をシェルとしアクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂は、例えば、ウレタン樹脂存在下でアクリル単量体を重合することにより得られる。また、これらの樹脂は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
 上記のプライマー層(B)を形成する樹脂の中でも、絶縁性基材(A)上への導体回路層(M2)の密着性をより向上できることから、加熱により還元性化合物を生成する樹脂が好ましい。前記還元性化合物としては、例えば、フェノール化合物、芳香族アミン化合物、硫黄化合物、リン酸化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。これらの還元性化合物の中でも、フェノール化合物、アルデヒド化合物が好ましい。
 加熱により還元性化合物を生成する樹脂をプライマーに用いた場合、プライマー層(B)を形成する際の加熱乾燥工程でホルムアルデヒド、フェノール等の還元性化合物を生成する。加熱により還元性化合物を生成する樹脂の具体例としては、例えば、N-アルキロール(メタ)アクリルアミドを含む単量体を重合した樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしN-アルキロール(メタ)アクリルアミドを含む単量体を重合した樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、尿素―ホルムアルデヒド-メタノール縮合物、尿素-メラミン-ホルムアルデヒド-メタノール縮合物、ポリN-アルコキシメチロール(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリルアミドのホルムアルデヒド付加物、メラミン樹脂等の加熱によりホルムアルデヒドを生成する樹脂;フェノール樹脂、フェノールブロックイソシアネート等の加熱によりフェノール化合物を生成する樹脂などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、密着性向上の観点から、ウレタン樹脂をシェルとしN-アルキロール(メタ)アクリルアミドを含む単量体を重合した樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、メラミン樹脂、フェノールブロックイソシアネートが好ましい。
 なお、本発明において、「(メタ)アクリルアミド」とは、「メタクリルアミド」及び「アクリルアミド」の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、「メタクリル酸」及び「アクリル酸」の一方又は両方をいう。
 加熱により還元性化合物を生成する樹脂は、加熱により還元性化合物を生成する官能基を有する単量体をラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の重合方法により重合することによって得られる。
 加熱により還元性化合物を生成する官能基を有する単量体としては、例えば、N-アルキロールビニル単量体が挙げられ、具体的には、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エタノール(メタ)アクリルアミド、N-プロパノール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
 また、上記の加熱により還元性化合物を生成する樹脂を製造する際には、加熱により還元性化合物を生成する官能基を有する単量体等とともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどのその他の各種単量体を共重合することもできる。
 前記ブロックイソシアネートを、前記プライマー層(B)を形成する樹脂として用いた場合は、イソシアネート基間で自己反応することでウレトジオン結合を形成し、又は、イソシアネート基と、他の成分が有する官能基とが結合を形成することによって、プライマー層(B)を形成する。この際形成される結合は、前記銀粒子分散液を塗工する前に形成されていてもよいし、前記銀粒子分散液を塗工する前には形成されておらず、前記銀粒子分散液を塗工した後に加熱によって形成されてもよい。
 前記ブロックイソシアネートとしては、イソシアネート基がブロック剤によって封鎖され形成した官能基を有するものが挙げられる。
 前記ブロックイソシアネートは、ブロックイソシアネート1モルあたり、前記官能基を350~600g/molの範囲で有するものが好ましい。
 前記官能基は、密着性向上の観点から、前記ブロックイソシアネートの1分子中に1~10個有するものが好ましく、2~5個有するものがより好ましい。
 また、前記ブロックイソシアネートの数平均分子量は、密着性向上の観点から、1,500~5,000の範囲が好ましく、1,500~3,000の範囲がより好ましい。
 さらに、前記ブロックイソシアネートとしては、密着性をさらに向上する観点から、芳香環を有するものが好ましい。前記芳香環としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
 なお、前記ブロックイソシアネートは、イソシアネート化合物が有するイソシアネート基の一部又は全部と、ブロック剤とを反応させることによって製造することができる。
 前記ブロックイソシアネートの原料となるイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香環を有するポリイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物又は脂環式構造を有するポリイソシアネート化合物などが挙げられる。また、前記したポリイソシアネート化合物のそれらのビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体等も挙げられる。
 また、前記イソシアネート化合物としては、上記で例示したポリイソシアネート化合物と、水酸基又はアミノ基を有する化合物等とを反応させて得られるものも挙げられる。
 前記ブロックイソシアネートに芳香環を導入する場合、芳香環を有するポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。また、芳香環を有するポリイソシアネート化合物の中でも、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が好ましい。
 前記ブロックイソシアネートの製造に用いるブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物;ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム等のラクタム化合物;ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物;2-ヒドロキシピリジン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、アセトアニリド、酢酸アミド、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジフェニルアニリン、アニリン、カルバゾール、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、1H-ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等が挙げられる。これらの中でも、70~200℃の範囲で加熱することによって解離してイソシアネート基を生成可能なブロック化剤が好ましく、110~180℃の範囲で加熱することによって解離するイソシアネート基を生成可能なブロック化剤がより好ましい。具体的には、フェノール化合物、ラクタム化合物、オキシム化合物が好ましく、特に、フェノール化合物は、ブロック化剤が加熱により脱離する際に還元性化合物となることからより好ましい。
 前記ブロックイソシアネートの製造方法としては、例えば、予め製造した前記イソシアネート化合物と前記ブロック化剤とを混合し反応させる方法、前記イソシアネート化合物の製造に用いる原料とともに前記ブロック化剤を混合し反応させる方法等が挙げられる。
 より具体的には、前記ブロックイソシアネートは、前記ポリイソシアネート化合物と、水酸基又はアミノ基を有する化合物とを反応させることによって末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を製造し、次いで、前記イソシアネート化合物と前記ブロック化剤とを混合し反応させることによって製造することができる。
 上記の方法で得られたブロックイソシアネートの前記プライマー層(B)を形成する樹脂中の含有比率は、50~100質量%の範囲が好ましく、70~100質量%の範囲がより好ましい。
 前記メラミン樹脂としては、例えば、メラミン1モルに対してホルムアルデヒドが1~6モル付加したモノ又はポリメチロールメラミン;トリメトキシメチロールメラミン、トリブトキシメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン等の(ポリ)メチロールメラミンのエーテル化物(エーテル化度は任意);尿素-メラミン-ホルムアルデヒド-メタノール縮合物などが挙げられる。
 また、上記のように加熱により還元性化合物を生成する樹脂を用いる方法の他に、樹脂に還元性化合物を添加する方法も挙げられる。この場合に、添加する還元性化合物としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、ビタミンC、ビタミンE、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、亜硫酸塩、次亜燐酸、次亜燐酸塩、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、フェノール等が挙げられる。
 本発明において、樹脂に還元性化合物を添加する方法は、最終的に低分子量成分やイオン性化合物が残留することで電気特性が低下する可能性があるため、加熱により還元性化合物を生成する樹脂を用いる方法がより好ましい。
 前記プライマー層(B)を形成するために用いるプライマーは、塗工性、成膜性の観点から、プライマー中に前記樹脂を1~70質量%含有するものが好ましく、1~20質量%含有するものがより好ましい。
 また、前記プライマーに使用可能な溶媒としては、各種有機溶剤、水性媒体が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、前記水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。
 前記の水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール溶剤;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム溶剤などが挙げられる。
 また、前記プライマー層(B)を形成する樹脂は、必要に応じて、例えば、アルコキシシリル基、シラノール基、水酸基、アミノ基等、架橋反応に寄与する官能基を有していてもよい。これらの官能基を利用して形成される架橋構造は、後工程の前記銀粒子層(M1)を形成する工程以前に、すでに架橋構造を形成していてもよく、また、前記銀粒子層(M1)を形成する工程以降で架橋構造を形成してもよい。前記銀粒子層(M1)を形成する工程以降で架橋構造を形成する場合、前記導体回路層(M2)を形成する前に、前記プライマー層(B)に架橋構造を形成しておいてもよく、前記導体回路層(M2)を形成した後に、例えば、エージングすることによって、前記プライマー層(B)に架橋構造を形成してもよい。
 前記プライマー層(B)には、必要に応じて、架橋剤をはじめ、pH調整剤、皮膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の公知のものを適宜添加して使用してもよい。
 前記架橋剤としては、例えば、金属キレート化合物、ポリアミン化合物、アジリジン化合物、金属塩化合物、イソシアネート化合物等が挙げられ、25~100℃程度の比較的低温で反応し架橋構造を形成する熱架橋剤、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物等の100℃以上の比較的高温で反応し架橋構造を形成する熱架橋剤や各種光架橋剤が挙げられる。
 前記架橋剤の使用量は、種類によって異なるものの、基材上への導体回路層(M2)の密着性向上の観点から、前記プライマーに含まれる樹脂の合計100質量部に対して、0.01~60質量部の範囲が好ましく、0.1~10質量部の範囲がより好ましく、0.1~5質量部の範囲がさらに好ましい。
 前記架橋剤を用いた場合、後工程の前記銀粒子層(M1)を形成する工程以前に、すでに架橋構造を形成していてもよく、また、前記銀粒子層(M1)を形成する工程以降で架橋構造を形成してもよい。前記銀粒子層(M1)を形成する工程以降で架橋構造を形成する場合、前記導体回路層(M2)を形成する前に、前記プライマー層(B)に架橋構造を形成してもよく、前記導体回路層(M2)を形成した後に、例えば、エージングすることによって、前記プライマー層(B)に架橋構造を形成してもよい。
 本発明の工程1’において、前記プライマー層(B)上に、前記銀粒子層(M1)を形成する方法は、絶縁性基材(A)上に、前記銀粒子層(M1)を形成する方法と同様である。
 また、前記プライマー層(B)は、前記絶縁性基材(A)と同様に、前記銀粒子分散液の塗工性向上や、導体回路層(M2)の基材への密着性を向上する目的で、銀粒子分散液を塗工する前に、表面処理を行ってもよい。
 本発明の工程2においては、前記銀粒子層(M1)上に回路形成部のレジストが除去されたパターンレジストを形成する。パターンレジストの形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法で行うことができ、前記銀粒子層(M1)上に液体の感光性レジストを塗工、乾燥するか、感光性ドライフィルムレジストを、ラミネーターを用いて、前記銀粒子層(M1)が形成された基材に加熱圧着することによって、レジスト層を形成する。前記銀粒子層(M1)の表面は、レジスト形成前に、レジスト層との密着性向上を目的として、酸性又はアルカリ性の洗浄液による洗浄処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、気相オゾン処理、液相オゾン処理、表面処理剤による処理等の表面処理を行ってもよい。これらの表面処理は、1種の方法で行うことも2種以上の方法を併用することもできる。
 前記の表面処理剤による処理としては、例えば、特開平7-258870号公報に記載されている、トリアゾール系化合物、シランカップリング剤および有機酸からなる防錆剤を用いて処理する方法、特開2000-286546号公報に記載されている、有機酸、ベンゾトリアゾール系防錆剤およびシランカップリング剤を用いて処理する方法、特開2002-363189号公報に記載されている、トリアゾールやチアジアゾール等の含窒素複素環と、トリメトキシシリル基やトリエトキシシリル基等のシリル基が、チオエーテル(スルフィド)結合等を有する有機基を介して結合された構造の物質を用いて処理する方法、WO2013/186941号公報に記載されている、トリアジン環とアミノ基を有するシラン化合物を用いて処理する方法、特開2015-214743号公報に記載されている、ホルミルイミダゾール化合物と、アミノプロピルシラン化合物とを反応させて得られるイミダゾールシラン化合物を用いて処理する方法、特開2016-134454号公報に記載されているアゾールシラン化合物を用いて処理する方法、特開2017-203073号公報に記載されている、一分子中にアミノ基および芳香環を有する芳香族化合物と2以上のカルボキシル基を有する多塩基酸、ならびにハロゲン化物イオンを含む溶液で処理する方法、特開2018-16865号公報に記載されているトリアゾールシラン化合物を含有する表面処理剤で処理する方法、などを用いることができる。
 次に、前記銀粒子層(M1)上に形成されたレジスト層にフォトマスクを通すか、ダイレクト露光機を用いて、活性光で回路パターンを露光する。露光量は、必要に応じて適宜設定すればよい。露光によりレジスト層に形成された潜像を、現像液を用いて除去することによって、パターンレジストを形成する。
 前記現像液としては、0.3~2質量%の炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の希薄アルカリ水溶液が挙げられる。前記希薄アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤や、現像を促進させるために、少量の有機溶剤等を添加してもよい。また、上記で露光した基材を、現像液に浸漬するか、現像液をスプレー等でレジスト上に噴霧することにより現像を行ない、この現像によって、回路形成部が除去されたパターンレジストを形成できる。
 パターンレジストを形成する際には、さらに、プラズマによるデスカム処理や、市販のレジスト残渣除去剤を用いて、硬化レジストと基板との境界部分に生じた裾引き部分や基板表面に残存したレジスト付着物などのレジスト残渣を除去してもよい。
 本発明でパターンレジストを形成するために用いるレジストとしては、市販のレジストインキ、液体レジスト、ドライフィルムレジストを用いることができ、目的とするパターンの解像度、使用する露光機の種類、後工程のめっき処理で用いる薬液の種類、pH等によって適宜選択すればよい。
 市販のレジストインキとしては、例えば、太陽インキ製造株式会社製の「めっきレジストMA-830」、「エッチングレジストX-87」;NAZDAR社のエッチングレジスト、めっきレジスト;互応化学工業株式会社製の「エッチングレジスト PLAS FINE PER」シリーズ、「めっきレジスト PLAS FINE PPR」シリーズ等が挙げられる。また、電着レジストとしては、例えば、ダウ・ケミカル・カンパニー社の「イーグルシリーズ」、「ペパーシリーズ」等が挙げられる。さらに、市販のドライフィルムとしては、例えば、日立化成株式会社製の「フォテック」シリーズ;ニッコーマテリアルズ株式会社製の「ALPHO」シリーズ;旭化成株式会社製の「サンフォート」シリーズ、デュポン社製の「リストン」シリーズ等が挙げられる。
 中性~酸性のめっき液を用いる場合には、ドライフィルムレジストを用いることが簡便で、特に微細回路を形成する場合には、セミアディティブ工法用のドライフィルムを用いればよい。この目的に用いる市販のドライフィルムとしては、例えば、ニッコーマテリアルズ株式会社製の「ALFO LDF500」、「NIT2700」;旭化成株式会社製の「サンフォート UFG―258」;日立化成株式会社製の「RDシリーズ(RD-2015、1225)」、「RYシリーズ(RY-5319、5325)」、デュポン社製の「PlateMasterシリーズ(PM200、300)」等が挙げられる。
 また、無電解銅めっき液等のアルカリ性のめっき液を用いる場合には、溶剤溶解剥離タイプのレジストを用いるか、アルカリ剥離タイプのレジストを、レジストが剥離しないpH、温度領域で用いてもよい。
 本発明の工程3においては、上記のようにして、現像により露出した前記銀粒子層(M1)上に、めっき法による処理を行うことにより、導体回路層(M2)を形成する。
 前記工程3の、めっきにより導体回路層(M2)を形成する前において、必要に応じて、前記銀粒子層(M1)表面の表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、前記銀粒子層(M1)の表面や形成したレジストパターンが損傷しない条件で、酸性又はアルカリ性の洗浄液による洗浄処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、気相オゾン処理、液相オゾン処理、表面処理剤による処理等が挙げられる。これらの表面処理は、1種の方法で行うことも2種以上の方法を併用することもできる。
 上記のめっき法による処理としては、前記銀粒子層(M1)をめっき触媒とした無電解めっき、もしくは、無電解めっきと電解めっきの組み合わせが挙げられる。
 前記導体回路層(M2)を無電解めっきで形成する場合、めっき金属としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、コバルト-タングステン、コバルトータングステン-ホウ素、スズ等が挙げられる。これらの金属の中でも、電気抵抗値が低いことから、銅が好ましい。また、本発明においては、無電解めっきの後に電解めっきを行うことで前記導体回路層(M2)を形成することもできる。電解めっきを併用すると、めっき析出速度を大きくすることができるため、製造効率が高くなり有利である。
 上記工程3において、無電解めっきと電解めっきを併用して前記導体回路層(M2)を形成する場合、無電解めっきと電解めっきの析出金属は、同じであっても、異なっていてもよい。例えば、無電解銅めっき後に電解銅めっき、無電解ニッケルめっき後に電解銅めっき、無電解ニッケルめっき後に電解ニッケルめっき、無電解コバルトめっき後に電解銅めっき等の組み合わせが挙げられる。前記導体回路層(M2)を形成する主金属としては、電気抵抗値が低いことから、銅が好ましい。また、無電解銅めっきに無電解ニッケルめっき、無電解コバルトめっき等を組み合わせると、銅の基材への拡散を抑制できることから、プリント配線板の長期信頼性を向上でき好ましい。
 また、無電解めっきと電解めっきを併用して前記導体回路層(M2)を形成する場合、無電解めっき層の厚さは、必要に応じて適宜選択すればよいが、電解めっきを適切に行うための導電性を確保できることから、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上がより好ましい。
 電解めっきにより導体回路層(M2)を形成する際に、前記銀粒子層(M1)は、銀粒子間の空隙が、導体回路層(M2)を構成する金属によって充填されていることが好ましい。銀粒子間の空隙が導体回路層(M2)を構成する金属によって充填されると、当該金属の存在によって、導体回路層(M2)の下に存在する回路形成部の銀粒子層(M1)は、後述する工程4でのエッチング液による除去が抑制される。一方、非回路形成部の銀粒子層(M1)は、銀粒子間に導体回路層(M2)を構成する金属が存在せず、空隙にエッチング液が浸透しやすいため、エッチング液により、効率良く除去することができる。このような機構によって、回路形成部のアンダーカットを抑制することができる。特に、導体回路層(M2)を構成する金属を銅とした場合、後述するように銅のエッチングを抑制するエッチング液を用いることで、回路形成部のアンダーカットをさらに抑制できるので好ましい。
 本発明のプリント配線板の製造方法においては、めっき膜の応力緩和や密着力向上を目的として、めっき後にアニーリングを行ってもよい。アニーリングは、後述する工程4のエッチングの前に行ってもよいし、エッチングの後に行ってもよく、エッチングの前後で行ってもよい。
 アニーリングの温度は、用いる基材の耐熱性や使用目的によって40~300℃の温度範囲で適宜選択すればよいが、40~250℃の範囲が好ましく、めっき膜の酸化劣化を抑制する目的から、40~200℃の範囲がより好ましい。また、アニーリングの時間は、40~200℃の温度範囲の場合には、10分~10日間、200℃を超える温度でのアニーリングは、5分~10時間程度がよい。また、めっき膜をアニーリングする際には、適宜、めっき膜表面に防錆剤を付与してもよい。
 本発明の工程4においては、パターンレジストを剥離し、非回路形成部の銀粒子層(M1)をエッチング液により除去する。パターンレジストの剥離は、使用するレジストのカタログ、仕様書等に記載されている推奨条件で行えばよい。また、パターンレジストの剥離の際に用いるレジスト剥離液としては、市販のレジスト剥離液や、45~60℃に設定した水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムの1.5~3質量%水溶液を用いることができる。レジストの剥離は、前記導体回路層(M2)を形成した基材を、剥離液に浸漬するか、剥離液をスプレー等で噴霧することによって行うことができる。
 また、非回路形成部の銀粒子層(M1)を除去する際に用いるエッチング液は、前記銀粒子層(M1)のみを選択的にエッチングし、前記導体回路層(M2)はエッチングしないものが好ましい。ここで、前記銀粒子層(M1)は、銀粒子を含有するものであることから、銀を溶解する速度の高いエッチング液が好ましい。このようなエッチング液の組成としては、例えば、希硝酸、カルボン酸と過酸化水素との混合物、アンモニア水と過酸化水素との混合物、塩酸、塩酸と硝酸との混合物、硫酸と硝酸との混合物、硫酸と硝酸と有機酸(例えば酢酸等)との混合物、リン酸と硝酸と有機酸(例えば酢酸等)との混合物等が挙げられる。
 前記導体回路層(M2)を構成する金属として銅を用いる場合は、本発明の工程4において、非回路形成部の銀粒子層(M1)を除去する際、銅はできるだけエッチングせず、銀のみを効率よく除去することができるエッチング液が好ましい。このようなエッチング液としては、カルボン酸と過酸化水素との混合物が挙げられる。
 前記カルボン酸としては、例えば、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、ピルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、アミノ酸等が挙げられる。これらのカルボン酸は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。これらのカルボン酸の中でも、エッチング液としての製造、取り扱いが容易であることから、主として酢酸を用いることが好ましい。
 エッチング液として、カルボン酸と過酸化水素との混合物を用いると、過酸化水素がカルボン酸と反応することによって、過カルボン酸(ぺルオキシカルボン酸)が生成すると考えられる。生成した過カルボン酸は、導体回路層(M2)を構成する銅の溶解を抑制しながら、前記銀粒子層(M1)を構成する銀を優先的に溶解するものと推測される。
 前記カルボン酸と過酸化水素との混合物の混合割合としては、導体回路層(M2)の溶解を抑制できることから、カルボン酸1モルに対して、過酸化水素を2~100モルの範囲が好ましく、過酸化水素2~50モルの範囲がより好ましい。
 前記カルボン酸と過酸化水素との混合物は、水で希釈された水溶液が好ましい。また、前記水溶液中の前記カルボン酸と過酸化水素との混合物の含有比率は、エッチング液の温度上昇の影響を抑制できることから、2~65質量%の範囲が好ましく、2~30質量%の範囲がより好ましい。
 上記の希釈に用いる水としては、イオン交換水、純水、超純水等のイオン性物質や不純物を除去した水を用いることが好ましい。
 前記エッチング液には、前記導体回路層(M2)を保護して、溶解を抑制するための保護剤をさらに添加してもよい。前記導体回路層(M2)を電解銅めっき層とする場合、保護剤として、アゾール化合物を用いることが好ましい。
 前記アゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキソゾール、チアゾール、セレナゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール等が挙げられる。
 前記アゾール化合物の具体例としては、例えば、2-メチルベンゾイミダゾール、アミノトリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、4-アミノベンゾトリアゾール、1-ビスアミノメチルベンゾトリアゾール、アミノテトラゾール、フェニルテトラゾール、2-フェニルチアゾール、ベンゾチアゾール等が挙げられる。これらのアゾール化合物は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
 前記アゾール化合物のエッチング液中の濃度は、0.001~2質量%の範囲が好ましく、0.01~0.2質量%の範囲がより好ましい。
 また、前記エッチング液には、前記導体回路層(M2)を電解銅めっき層とする場合、電解銅めっき層の溶解を抑制できることから、保護剤として、ポリアルキレングリコールを添加することが好ましい。
 前記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の水溶性などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレングリコールが好ましい。また、ポリアルキレングリコールの数平均分子量としては、200~20,000の範囲が好ましい。
 前記ポリアルキレングリコールのエッチング液中の濃度は、0.001~2質量%の範囲が好ましく、0.01~1質量%の範囲がより好ましい。
 前記エッチング液には、pHの変動を抑制するため、有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
 本発明の工程4における非回路形成部の銀粒子層(M1)の除去は、前記導体回路層(M2)を形成した後、レジストを剥離した基材を前記エッチング液に浸漬するか、前記基材上にエッチング液をスプレー等で噴霧することによって行うことができる。
 エッチング装置を用いて、非回路形成部の銀粒子層(M1)を除去する場合には、例えば、前記エッチング液の全成分を所定の組成になるように調製した後、エッチング装置に供給してもよく、前記エッチング液の各成分を個別にエッチング装置に供給し、装置内で、前記各成分を混合して、所定の組成になるように調製してもよい。
 前記エッチング液は、10~35℃の温度範囲で用いることが好ましく、特に過酸化水素を含有するエッチング液を使用する場合には、過酸化水素の分解を抑制できることから、30℃以下の温度範囲で用いることが好ましい。
 本発明の工程4において、非回路形成部の銀粒子層(M1)を、前記エッチング液で除去処理した後、エッチング液中に溶解した銀成分がプリント配線板上に付着、残留するのを防ぐ目的で、水洗以外に、さらに洗浄操作を行ってもよい。洗浄操作には、酸化銀、硫化銀、塩化銀を溶解するが、銀をほとんど溶解しない洗浄溶液を用いることが好ましい。具体的には、チオ硫酸塩もしくはトリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンを含有する水溶液、又は、メルカプトカルボン酸もしくはその塩を含有する水溶液を洗浄薬液として用いることが好ましい。
 前記チオ硫酸塩としては、例えば、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等が挙げられる。また、前記トリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンとしては、例えば、トリス(3-ヒドロキシメチル)ホスフィン、トリス(3-ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3-ヒドロキシプロピル)ホスフィン等が挙げられる。これらのチオ硫酸塩又はトリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンは、それぞれ1種で用いることも2種以上併用することもできる。
 チオ硫酸塩を含有する水溶液を用いる場合の濃度としては、工程時間、用いる洗浄装置の特性等によって適宜設定すればよいが、0.1~40質量%の範囲が好ましく、洗浄効率や連続使用時の薬液の安定性の観点から、1~30質量%の範囲がより好ましい。
 また、前記トリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンを含有する水溶液を用いる場合の濃度としては、工程時間、用いる洗浄装置の特性等によって適宜設定すればよいが、0.1~50質量%の範囲が好ましく、洗浄効率や連続使用時の薬液の安定性の観点から、1~40質量%の範囲がより好ましい。
 前記メルカプトカルボン酸としては、例えば、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、システイン、N―アセチルシステイン等が挙げられる。また、前記メルカプトカルボン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
 メルカプトカルボン酸又はその塩の水溶液を用いる場合の濃度としては、0.1~20質量%の範囲が好ましく、洗浄効率や大量に処理する場合のプロセスコストの観点から、0.5~15質量%の範囲がより好ましい。
 上記の洗浄操作を行う方法としては、例えば、前記工程4で得られたプリント配線板を前記洗浄溶液に浸漬する方法、前記プリント配線板にスプレー等で洗浄溶液を噴霧する方法等が挙げられる。洗浄溶液の温度は、室温(25℃)で用いることができるが、外気温に影響を受けずに安定的に洗浄処理を行えることから、例えば、30℃に温度設定して用いてもよい。
 また、前記工程4の非回路形成部の銀粒子層(M1)をエッチング液により除去する工程と洗浄操作は、必要に応じて繰り返して行うことができる。
 本発明の工程4においては、前記エッチング液で非回路形成部の銀粒子層(M1)を除去処理した後、非回路形成部の絶縁性を、さらに向上させる目的で、必要に応じて、さらに洗浄操作を行ってもよい。この洗浄操作には、例えば、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの水溶液に、過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液を用いることができる。
 前記アルカリ性過マンガン酸溶液を用いた洗浄は、20~60℃に設定したアルカリ性過マンガン酸溶液に、前記工程4で得られたプリント配線板を浸漬する方法、前記プリント配線板にスプレー等でアルカリ性過マンガン酸溶液を噴霧する方法等が挙げられる。前記プリント配線板は、アルカリ性過マンガン酸溶液の基材表面への濡れ性をよくし、洗浄効率を向上させる目的で、洗浄前に、アルコール性水酸基を有する水溶性の有機溶媒に接触させる処理を行ってもよい。前記有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
 前記アルカリ性過マンガン酸溶液の濃度は、必要に応じて適宜選択すればよいが、0.1~10質量%の水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム水溶液100質量部に、過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを0.1~10質量部溶解させたものが好ましく、洗浄効率の観点から、1~6質量%の水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム水溶液100質量部に、過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを1~6質量部溶解させたものがより好ましい。
 上記のアルカリ性過マンガン酸溶液を用いた洗浄を行う場合には、アルカリ性過マンガン酸溶液の洗浄後に、洗浄した前記プリント配線板を、中和・還元作用のある液を用いて処理することが好ましい。前記中和・還元作用のある液としては、例えば、0.5~15質量%の希硫酸、又は有機酸を含有する水溶液が挙げられる。また、前記有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、アスコルビン酸、メチオニン等が挙げられる。
 上記のアルカリ性過マンガン酸溶液による洗浄は、前記エッチング液中に溶解した銀成分がプリント配線板上に付着、残留するのを防ぐ目的で行う洗浄の後に行ってもよいし、前記エッチング液中に溶解した銀成分がプリント配線板上に付着、残留するのを防ぐ目的で、洗浄を行う代わりに、アルカリ性過マンガン酸溶液による洗浄のみを行ってもよい。
 本発明の製造方法で得られたプリント配線板は、適宜、必要に応じて、回路パターン上へのソルダーレジスト層の形成、及び、導体回路層(M2)の最終表面処理として、ニッケル/金めっき、ニッケル/パラジウム/金めっき、パラジウム/金めっきを施してもよい。
 以上に述べた本発明のプリント配線板の製造方法により、真空装置を用いることなく、種々の平滑基材上に密着性の高い、良好な矩形断面形状の回路配線を有する配線板を製造することが可能である。したがって、本発明の製造方法を用いることで、種々の形状、サイズの高密度、高性能のプリント配線板用基板、プリント配線板を、低コストで、良好に提供することができ、プリント配線板分野における産業上の利用性が高い。また、本発明の製造方法により、プリント配線板のみならず、基材表面にパターン化された金属層を有する種々の部材、例えば、コネクター、電磁波シールド、RFIDなどのアンテナ、フィルムコンデンサーなども製造できる。さらに、本発明の製造方法は、種々の形状、サイズの基材上にパターン化された金属層を有する装飾めっき用途においても好適に用いることが可能である。
 以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
[製造例1:プライマー(B-1)の製造]
 温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエステルポリオール(1,4-シクロヘキサンジメタノールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール)100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸17.6質量部、1,4-シクロヘキサンジメタノール21.7質量部及びジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート106.2質量部を、メチルエチルケトン178質量部の混合溶剤中で反応させることによって、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
 次いで、前記ウレタンプレポリマー溶液にトリエチルアミン13.3質量部を加えて、前記ウレタンプレポリマーが有するカルボキシル基を中和し、さらに水380質量部を加えて十分に攪拌することにより、ウレタンプレポリマーの水性分散液を得た。
 上記で得られたウレタンプレポリマーの水性分散液に、25質量%エチレンジアミン水溶液8.8質量部を加え、攪拌することによって、ウレタンプレポリマーを鎖伸長した。次いでエージング・脱溶剤することによって、ウレタン樹脂の水性分散液(不揮発分30質量%)を得た。前記ウレタン樹脂の重量平均分子量は53,000であった。
 次に、攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水140質量部、上記で得られたウレタン樹脂の水分散液100質量部を入れ、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。その後、攪拌しながら、メタクリル酸メチル60質量部、アクリル酸n-ブチル30質量部及びN-n-ブトキシメチルアクリルアミド10質量部からなる単量体混合物と、0.5質量%過硫酸アンモニウム水溶液20質量部とを別々の滴下漏斗から、反応容器内温度を80℃に保ちながら120分間かけて滴下した。
 滴下終了後、さらに同温度にて60分間攪拌した後、反応容器内の温度を40℃に冷却して、不揮発分が20質量%になるように脱イオン水で希釈した後、200メッシュ濾布で濾過することによって、前記ウレタン樹脂をシェル層とし、メタクリル酸メチル等を原料とするアクリル樹脂をコア層とするコア・シェル型複合樹脂であるプライマー層用樹脂組成物の水分散液を得た。次に、イソプロパノールと水の質量割合が7/3となり、不揮発分が2質量%となるように、この水分散液にイソプピルアルコールと脱イオン水を加えて混合し、プライマー(B-1)を得た。
[製造例2:プライマー(B-2)の製造]
 還流冷却器、温度計、撹拌機を備えた反応フラスコに、37質量%ホルムアルデヒドと7質量%メタノールを含むホルマリン600質量部に、水200質量部及びメタノール350質量部を加えた。次いで、この水溶液に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH10に調整した後、メラミン310質量部を加え、液温を85℃まで上げ、メチロール化反応を1時間行った。
 その後、ギ酸を加えてpH7に調整した後、60℃まで冷却し、エーテル化反応(二次反応)させた。白濁温度40℃で25質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整し、エーテル化反応を止めた(反応時間:1時間)。温度50℃の減圧下で残存するメタノールを除去(脱メタノール時間:4時間)し、不揮発分80質量%のメラミン樹脂を含むプライマー用樹脂組成物を得た。次に、この樹脂組成物にメチルエチルケトンを加えて希釈混合することで、不揮発分2質量%のプライマー(B-2)を得た。
[製造例3:プライマー(B-3)の製造]
 温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備え、窒素置換された反応容器に、2,2-ジメチロールプロピオン酸9.2質量部、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMR-200」)57.4質量部及びメチルエチルケトン233質量部を仕込み、70℃で6時間反応させ、イソシアネート化合物を得た。次いで、反応容器内にブロック化剤としてフェノール26.4質量部を供給し、70℃で6時間反応させた。その後、40℃まで冷却し、ブロックイソシアネートの溶液を得た。
 次に、上記で得られたブロックイソシアネートの溶液に、40℃でトリエチルアミン7質量部を加えて前記ブロックイソシアネートが有するカルボキシル基を中和し、水を加えて十分に攪拌した後、メチルエチルケトンを留去して、不揮発分20質量%のブロックイソシアネートと水とを含有するプライマー層用樹脂組成物を得た。次に、この樹脂組成物にメチルエチルケトンを加えて希釈混合することで、不揮発分2質量%のプライマー(B-3)を得た。
[製造例4:プライマー(B-4)の製造]
 ノボラック樹脂(DIC株式会社製「PHENOLITE TD-2131」、水酸基当量104g/当量)35質量部、エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850-S」;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ基当量188g/当量)64質量部、及び、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジン(四国化成株式会社製「VT」)1質量部を混合後、メチルエチルケトンで不揮発分が2質量%となるように希釈混合することで、プライマー(B-4)を得た。
[製造例5:プライマー(B-5)の製造]
 ノボラック樹脂(DIC株式会社製「PHENOLITE TD-2131」、水酸基当量104g/当量)35質量部、エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850-S」;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ基当量188g/当量)64質量部、及び、トリアジン環を有するシランカップリング剤(四国化成株式会社製「VD-5」)1質量部を混合後、メチルエチルケトンで不揮発分が2質量%となるように希釈混合することで、プライマー(B-5)を得た。
[製造例6:プライマー(B-6)の製造]
 温度計、冷却管、分留管、攪拌器を取り付けたフラスコに、フェノール750質量部、メラミン75質量部、41.5質量%ホルマリン346質量部、及びトリエチルアミン1.5質量部を加え、発熱に注意しながら100℃まで昇温した。還流下100℃にて2時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温した。次いで、減圧下で未反応のフェノールを除去し、アミノトリアジン変性ノボラック樹脂を得た。水酸基当量は120g/当量であった。
 上記で得られたアミノトリアジンノボラック樹脂65質量部、及びエポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850-S」;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ基当量188g/当量)35質量部を混合後、メチルエチルケトンで不揮発分が2質量%となるように希釈混合することで、プライマー組成物(B-6)を得た。
[製造例7:プライマー(B-7)の製造]
 製造例6で得られたアミノトリアジンノボラック樹脂48質量部、及びエポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850-S」;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ基当量188g/当量)52質量部を混合後、メチルエチルケトンで不揮発分が2質量%となるように希釈混合することで、プライマー組成物(B-7)を得た。
[製造例8:プライマー(B-8)の製造]
 アミノトリアジンノボラック樹脂とエポキシ樹脂の量をそれぞれ、48質量部から39質量部、52質量部から61質量部に変更した以外は、製造例7と同様にして、不揮発分2質量%のプライマー組成物(B-8)を得た。
[製造例9:プライマー(B-9)の製造]
アミノトリアジンノボラック樹脂とエポキシ樹脂の量をそれぞれ、48質量部から31質量部、52質量部から69質量部に変更した以外は、製造例8と同様にして、不揮発分2質量%のプライマー組成物(B-9)を得た。
[製造例10:プライマー(B-10)の製造]
 製造例7で得られたアミノトリアジンノボラック樹脂47質量部、及びエポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850-S」;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ基当量188g/当量)52質量部に、さらに無水トリメリット酸1質量部を混合後、メチルエチルケトンで不揮発分が2質量%となるように希釈混合することで、プライマー(B-10)を得た。
[製造例11:プライマー(B-11)の製造]
 撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水350質量部、界面活性剤(花王株式会社製「ラテムルE-118B」:有効成分25質量%)4質量部を入れ、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。
 撹拌下、反応容器中にメタクリル酸メチル47.0質量部、メタクリル酸グリシジル5.0質量部、アクリル酸n-ブチル45.0質量部、メタクリル酸3.0質量部からなるビニル単量体混合物と界面活性剤(第一工業製薬株式会社製「アクアロンKH-1025」:有効成分25質量%)4質量部と脱イオン水15質量部とを混合して得られたモノマープレエマルジョンの一部(5質量部)を添加し、続いて過硫酸カリウム0.1質量部を添加し、反応容器内温度を70℃に保ちながら60分間で重合させた。
 次いで、反応容器内の温度を70℃に保ちながら、残りのモノマープレエマルジョン(114質量部)と、過硫酸カリウムの水溶液(有効成分1.0質量%)30質量部とを、各々別の滴下漏斗を使用して、180分間かけて滴下した。滴下終了後、同温度にて60分間撹拌した。
 前記反応容器内の温度を40℃に冷却し、ついで、不揮発分が10.0質量%になるように脱イオン水を使用した後、200メッシュ濾布で濾過することによって、本発明で使用するプライマー層用樹脂組成物を得た。次に、この樹脂組成物に水を加えて希釈混合することで、不揮発分5質量%のプライマー(B-11)を得た。
[調製例1:銀粒子分散液の調製]
 エチレングリコール45質量部及びイオン交換水55質量部の混合溶媒に、分散剤としてポリエチレンイミンにポリオキシエチレンが付加した化合物を用いて平均粒径30nmの銀粒子を分散させることによって、銀粒子及び分散剤を含有する分散体を調製した。次いで、得られた分散体に、イオン交換水、エタノール及び界面活性剤を添加して、5質量%の銀粒子分散液を調製した。
[調製例2:銀用エッチング液(1)の調製]
 水47.4質量部に、酢酸2.6質量部を加え、さらに、35質量%過酸化水素水50質量部を加えて、銀用エッチング液(1)を調製した。この銀用エッチング液(1)の過酸化水素とカルボン酸とのモル比(過酸化水素/カルボン酸)は13.6であり、銀用エッチング液(1)中の過酸化水素及びカルボン酸の混合物の含有比率は22.4質量%であった。
[調製例3:銀用エッチング液(2)の調製]
 調製例2で得られた銀用エッチング液(1)100質量部に、水100質量部を加えて希釈し、銀用エッチング液(2)を調製した。この銀用エッチング液(2)の過酸化水素とカルボン酸とのモル比(過酸化水素/カルボン酸)は13.6であり、銀用エッチング液(2)中の過酸化水素及びカルボン酸の混合物の含有比率は11.2質量%であった。
[作製例1:ポリフェニレンスルフィド(PPS)基材の作製]
 リニア型ポリフェニレンスルフィド(ASTM D1238-86によるMFR:600g/10分)100質量部、チョップドガラス繊維(旭ファイバーグラス株式会社製「FT562」、繊維状無機充填剤)58.8質量部、エチレン-メタクリル酸共重合体亜鉛イオンタイプ(三井デュポンケミカル株式会社製「ハイミラン1855」)、8.4質量部及びモンタン酸複合エステルワックス(クラリアントジャパン株式会社製「リコルブWE40」)0.8質量部を均一に混合した後、35mmφの2軸押出機を用いて290~330℃で溶融混錬し、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形機で成形することにより、50mm×105mm×2mmのサイズのPPS基材を作製した。
(実施例1)
 ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN-C」;厚さ38μm)の表面に、調製例1で得られた銀粒子分散液を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて、乾燥後の塗工量が0.05g/mとなるように塗工した。次いで、熱風乾燥機を用いて80℃で5分間乾燥することによって、ポリイミドフィルムの表面に銀粒子層を形成した。
 銀粒子層の上に、ドライフィルムレジスト(日立化成株式会社製「フォテックRD-1225」;レジスト膜厚25μm)を、ロールラミネーターを用いて100℃で圧着することで、ポリイミド基材上に、銀粒子層、感光性樹脂層が積層された積層体を作製した。
 上記で得られた積層体を用い、ダイレクト露光デジタルイメージング装置(オルボッテク社製「Nuvogo1000R」)を用いて、レジスト上にL/S=50/50μmの櫛歯パターンを露光した。次いで、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像を行うことによって、銀粒子層上に櫛歯電極パターン部が除去されたパターンレジストを形成し、ポリイミドフィルム上の銀粒子層を露出させた。
 次いで、パターンレジストが形成された基材を100℃で1時間エージングした後、無電解銅めっき液(上村工業株式会社製「スルカップPEA-6」)中に36℃で、10分間浸漬し、無電解銅めっき膜(厚さ0.4μm)を形成した。次いで、上記で得られた無電解銅めっきの表面をカソードに設置し、含リン銅をアノードとして、硫酸銅を含有する電解めっき液(硫酸銅70g/L、硫酸200g/L、塩素イオン50mg/L、添加剤(奥野製薬工業(株)製「トップルチナSF-M」)を用いて電流密度2.5A/dmで20分間電解めっきを行うことによって、レジストの除去されたパターン部に電解銅めっきによる導体回路層(膜厚10μm)からなる櫛歯電極を形成した。次いで、銅による導体回路層の形成されたフィルムを、50℃に設定した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することによって、パターンレジストを剥離した。
 次いで、調製例2で得られた銀用エッチング剤(1)に、上記で得られたフィルムを、25℃で30秒間浸漬することで、櫛歯電極部以外の銀粒子層を除去し、プリント配線板を得た。作製したプリント配線板の回路形成部(櫛歯電極部)の断面形状は、アンダーカットのない矩形形状であった。
(実施例2)
 銀粒子層の乾燥後の塗工量を0.05g/mから0.3g/m変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に、銀粒子層、感光性樹脂層が積層された積層体を作製し、実施例1と同様にして、パターンレジストを剥離したフィルムを、調製例2で得られた銀用エッチング剤(1)に25℃で3分間浸漬することでポリイミドフィルム上に銅の導体回路層からなる櫛歯電極を形成し、プリント配線板を得た。作製したプリント配線板の回路形成部(櫛歯電極部)の断面形状は、アンダーカットのない矩形形状であった。
(実施例3)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN-C」、厚さ38μm)の表面に、製造例1で得られたプライマー(B-1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて、乾燥後の厚さが100nmとなるように塗工した。次いで、熱風乾燥機を用いて80℃で5分間乾燥することによって、ポリイミドフィルムの表面にプライマー層を形成した。
 次に、プライマー層の表面に、調製例1で得られた銀粒子分散液を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて、乾燥後の塗工量が0.1g/mとなるように塗工し、熱風乾燥機を用いて200℃で30分間乾燥することによって、プライマー層の表面に銀粒子を含有する銀粒子層を形成した。銀粒子層形成後は、実施例2と同様にして、プリント配線板を得た。作製したプリント配線板の回路形成部(櫛歯電極部)の断面形状は、アンダーカットのない矩形形状であった。
(実施例4~13)
 プライマー層に用いるプライマーの種類及びその乾燥条件、銀粒子層(M1)の膜厚、エッチング液を表1又は2に示したものに変更した以外は、実施例3と同様にして、プリント配線板を得た。作製したプリント配線板の回路形成部(櫛歯電極部)の断面形状は、アンダーカットのない矩形形状であった。
(実施例14)
 実施例13と同様にして、ポリイミド基材上に、プライマー層、銀粒子層、感光性樹脂層が積層された積層体を作製し、レジスト上にL/S=50/50μmの櫛歯パターン部が除去されたパターンレジストを形成した。
 パターンレジストが形成された積層体を100℃で1時間エージングした後、無電解ニッケル-ホウ素めっき液(奥野製薬工業株式会社製「トップケミアロイ66-LF」)中に、65℃で2分間浸漬して、膜厚0.2μmのニッケルーホウ素めっき層を形成した。
 次いで、上記で得られた無電解ニッケルめっきの表面をカソードに設置した後は、実施例3と同様にして、プリント配線板を得た。作製したプリント配線板の回路形成部(櫛歯電極部)の断面形状は、アンダーカットのない矩形形状であった。
(実施例15)
 実施例13と同様にして、ポリイミド基材上に、プライマー層、銀粒子、感光性樹脂層が積層された積層体を作製し、この積層体を用いて、L/S=50/50μmの櫛歯パターンレジストを形成し、プライマー層上の銀粒子層を露出させた。
 イオン交換水80質量部に、塩化パラジウム3質量部と36質量%の塩酸17質量部とを溶解して、パラジウムイオン及び酸を含有する水溶液を調製し、45℃に設定した。次に、上記で得られた銀ナノ粒子を露出させたフィルムを、このパラジウムイオン水溶液に浸漬し、銀粒子の一部をパラジウムに置換させた。
 次いで、この基材を、無電解銅めっき液(上村工業株式会社製「スルカップPEA-6」)中に36℃で8分間浸漬し、無電解銅めっき膜(厚さ0.4μm)を形成した。次いで、上記で得られた無電解銅めっきの表面をカソードに設置した後は、実施例13と同様にして、プリント配線板を得た。作製したプリント配線板の回路形成部(櫛歯電極部)の断面形状は、アンダーカットのない矩形形状であった。
(実施例16)
 実施例15と同様にして、L/S=50/50μmの櫛歯パターンレジストを形成してプライマー層上の銀粒子層を露出させた積層体を、前記パラジウムイオン水溶液に浸漬し、銀粒子の一部をパラジウムに置換させた。
 この積層体を無電解ニッケルめっき液(株式会社JCU製「エルフシード ES-500」)に、40℃で5分間浸漬して無電解ニッケルめっき膜(厚さ100nm)を形成し、150℃で10分間乾燥させた後、脱脂処理(株式会社JCU製「エルフシード ES-600」に25℃で30秒間浸漬)、酸活性処理(株式会社JCU製「エルフシード ES-PDC」に25℃で1分間浸漬)を行い、無電解ニッケルめっきの表面をカソードに設置した後は、実施例13と同様にして、プリント配線板を得た。作製したプリント配線板の回路形成部(櫛歯電極部)の断面形状は、アンダーカットのない矩形形状であった。
(実施例17)
 作製例1で得られたPPS基材を用い、製造例11で得られたプライマー(B-11)に10秒間浸漬した後、PPS基材を引き揚げ、1分間静置した後、熱風乾燥機を用いて80℃で5分間乾燥して、PPS基材上にプライマー樹脂層(厚さ130nm)を形成した。
 次いで、このプライマー層を形成したPPS基材を、調製例1で得られた銀粒子分散液をイオン交換水及びエタノールを用いて希釈し、希釈後の溶媒の質量比が水:エタノール=1:1となり、銀粒子濃度が1質量%になるように調整した液に10秒間浸漬した。その後、PPS基材を引き揚げ、1分間静置した後、熱風乾燥機を用いて80℃で5分間乾燥して、プライマー層上に0.1g/mの銀粒子層を形成した。
 銀粒子層の上に、ドライフィルムレジスト(日立化成株式会社製「フォテックRD-1225」;レジスト膜厚25μm)を、真空ラミネーターを用いて100℃で圧着することで、PPS基材上に、プライマー層、銀粒子層、感光性樹脂層が積層された積層体を作製した。
 上記で得られた積層体を用い、実施例1と同様に、レジスト上にL/S=50/50μmの櫛歯パターンを露光し、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像を行うことによって、銀粒子層上に櫛歯電極パターン部が除去されたパターンレジストを形成した。
 次いで、銀粒子層をカソードに設定し、含リン銅をアノードとして、硫酸銅を含有する電解めっき液(硫酸銅70g/L、硫酸200g/L、塩素イオン50mg/L、添加剤(奥野製薬工業株式会社製「トップルチナSF-M」)を用いて電流密度2.5A/dmで20分間電解めっきを行うことによって、レジストの除去されたパターン部に電解銅めっきによる導体回路層(膜厚10μm)からなる櫛歯電極を形成した。次いで、銅による導体回路層の形成されたPPS基材を、50℃に設定した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することによって、パターンレジストを剥離した。
 次いで、調製例2で得られた銀用エッチング剤(1)に、上記で得られたフィルムを、25℃で3分間浸漬することで、櫛歯電極部以外の銀粒子層を除去し、プリント配線板を得た。作製したプリント配線板の回路形成部(櫛歯電極部)の断面形状は、アンダーカットのない矩形形状であった。
(比較例1)
 国際公開第2014/045972号の合成例36に基づき、動的光散乱法により測定した平均粒子径が108nmである銅粒子の16質量%水分散体を得た。この水分散体にイソプロパノールを加えて、5質量%の銅粒子分散液を調製し、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムの表面に、乾燥後の平均厚さが60nmとなるように塗工した。次いで、熱風乾燥機を用いて窒素気流下200℃で30分間乾燥することによって、ポリイミドフィルムの表面に銅粒子を含有するめっき下地層を形成し、めっき下地層形成後は、実施例1の銀粒子層形成後と同様にして、めっき下地層上に銅による櫛歯電極パターンの導体回路層を形成した。
 次いで、10質量%の過硫酸ナトリウム水溶液に、上記で得られたプリント配線板を5分間浸漬したところ、櫛歯電極以外のめっき下地層と共に、櫛歯電極下部の導体回路層もエッチングが進み、アンダーカットが起こった結果、櫛歯電極の一部が剥離した。
(比較例2)
 ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN-C」、厚さ38μm)を50℃に設定したコンディショナー液(株式会社JCU製「エルフシードプロセス クリーナー ES-100」)に2分間浸漬して脱脂処理を行い、次いで表面改質処理液(株式会社JCU製「エルフシードプロセス モディファイヤー ES-200」)に浸漬して、50℃で20秒間処理することによりポリイミドフィルム表面の改質処理を行った。上記で表面改質処理したポリイミドフィルムを、アクチベーター液(株式会社JCU製「エルフシードプロセス アクチベーター ES-300」)に50℃で2分間浸漬処理することにより、触媒付与を行った後、アクセレレーター液(株式会社JCU製「エルフシードプロセス アクセレレータ ES-400」)を用いて35℃で2分間処理することで還元処理を行った。次いで、無電解銅めっき液(上村工業株式会社製「スルカップPEA-6」)中に36℃で、5分間浸漬し、無電解銅めっき膜(厚さ0.2μm)を形成し、ポリイミド上に無電解銅めっきによるめっき下地層を形成した。
 めっき下地層を形成した後は、実施例1と同様にして、櫛歯電極のパターンレジストを形成し、電解銅めっきにより、銅(膜厚10μm)の導体回路層からなる櫛歯電極を形成した後、レジストを剥離してプリント配線板を得た。
 次いで、10質量%の過硫酸ナトリウム水溶液に、上記で得られたプリント配線板を5分間浸漬したところ、櫛歯電極パターン以外の無電解銅めっきからなるめっき下地層が除去され、ポリイミドの黄色の表面が確認された。回路形成部(櫛歯電極部)の断面形状を観察すると、めっき下地層と導体回路層の界面でのエッチングが進み、櫛歯電極パターンの下部で、アンダーカットが確認された。また、回路形成部の上部もエッチングが進み、回路形成部は、矩形の断面形状を維持できなかった。
(比較例3)
 銀粒子層を形成したカプトンフィルムを用いる代わりに、めっき下地層として3μm厚の粗化銅箔を有する市販のFCCL(宇部エクシモ株式会社製「ユピセルN-BE1310YSB」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同様にして、銅箔のめっき下地層上に銅による櫛歯電極パターンの導体回路層を形成した。
 次いで、銅のシードエッチングに用いる10質量%の過硫酸ナトリウム水溶液に、上記で得られたプリント配線板を10分間浸漬したところ、櫛歯電極部の導体回路層(回路形成部)がエッチングされて、膜厚が薄くなるとともに断面形状が矩形を保持できなくなり「かまぼこ」状となった。
(比較例4)
 銀粒子層の代わりに、ニッケル/クロム(厚さ30nm、ニッケル/クロム質量比=80/20)、さらに70nmの銅をスパッタしてポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN-C」;厚さ38μm)上にめっき下地層を形成し、めっき下地層形成後は、実施例1と同様にして、めっき下地層上に銅による櫛歯電極パターンの導体回路層を形成した。
 次いで、銅のシードエッチングに用いる10質量%の過硫酸ナトリウム水溶液に、上記で得られたプリント配線板を10分間浸漬したところ、櫛歯電極部の導体回路層(回路形成部)がエッチングされて、膜厚が薄くなるとともに、ニッケル/クロム層との界面で銅のエッチングが進行してアンダーカットが起こり、断面形状が矩形を保持できなかった。櫛歯電極以外の領域では銅層のみが除去され、ニッケル/クロム層が除去されずに残留した。
(比較例5)
 銀粒子層の上にドライフィルムレジストを設けることなく、実施例14と同様にして、全面に膜厚0.2μmの無電解ニッケル-ホウ素めっき層を形成した積層体を得た。得られた積層体を調製例1で得られた銀エッチング液(1)に、25℃で10分間浸漬したが、テスターで表面に導通が確認され、ニッケル層が除去できなかったことを確認した。
 上記の実施例1~17及び比較例1~4で得られたプリント配線板について、下記の方法により、配線間のテスターによる導通確認、絶縁抵抗の測定、非回路形成部の絶縁抵抗の測定、剥離強度の測定、アンダーカットの有無及び回路形成部の断面形状の確認を行った。なお、比較例4では、櫛歯電極パターンを形成できず、配線間の導通確認のみ実施した。
[配線間の絶縁抵抗の測定]
 上記で得られたプリント配線板について、50μmスペースの対向櫛歯電極間の導通の有無をテスター(FLUKE社製「233リモート・ディスプレイ・デジタル・マルチメーター)で確認した。この結果、銀粒子層の除去が不十分で、導通が確認されたものを「短絡」とし、銀粒子層が充分に除去され、導通しなかったものを「絶縁」とした。次いで、導通しなかったものについて、日置電機株式会社製超絶縁計(SM-8213)を用いて、同様に50μmスペースの電極間の抵抗値を測定した。ここで、抵抗値が10Ωを超えるものは、配線間の絶縁が十分だといえる。
[非回路形成部の絶縁抵抗の測定]
 上記で得られたプリント配線板の非回路形成部(配線部以外の銀除去領域)について、株式会社三菱ケミカルアナリティック製のハイレスタ-UP(MCP-HT450型)を用いて、100V印加での抵抗値を測定した。なお、抵抗値が「オーバーレンジ」となった場合は、測定装置の仕様から9.99×1013Ω以上の抵抗値であることを示す。
[アンダーカットの有無及び回路形成部の断面形状の確認]
 上記で得られたプリント配線板の回路形成部の断面を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM7800」)で500~10,000倍に拡大し観察して、アンダーカットの有無及び回路形成部の断面形状を確認した。
[剥離強度の測定]
 上記の実施例1~17においては無電解めっき後、比較例1~4においてはめっき下地層を形成した後、レジストパターンを形成せずに、導体回路層全面に上記と同様の硫酸銅を用いた電解銅めっきを30分間行うことによって、導体回路層である銅めっき層の膜厚を15μmとした試験片を作製した。作成した試験片について、西進商事株式会社製「マルチボンドテスター SS-30WD」を用いて、90°方向の剥離試験を行って剥離強度を測定した。
 実施例1~17及び比較例1~4で得られたプリント配線板の測定結果をまとめたものを、表1及び2に示す。また、エッチング液に関する略号は、以下のものを示す。
 A:銀エッチング液(1)(過酸化水素及び酢酸の混合物の含有比率:22.4質量%)
 B:銀エッチング液(2)(過酸化水素及び酢酸の混合物の含有比率:11.2質量%)
 C:10質量%過硫酸ナトリウム水溶液
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003

Claims (10)

  1.  絶縁性基材(A)上に、0.01~0.5g/mの範囲の銀粒子層(M1)を形成する工程1、
     前記銀粒子層(M1)上に回路形成部のレジストが除去されたパターンレジストを形成する工程2、
     めっき法により導体回路層(M2)を形成する工程3、
     パターンレジストを剥離し、非回路形成部の銀粒子層(M1)をエッチング液により除去する工程4
    を有することを特徴とする絶縁性基材上に回路パターンを有するプリント配線板の製造方法。
  2.  絶縁性基材(A)上に、プライマー層(B)を形成した後、プライマー層(B)上に、0.01~0.5g/mの範囲の銀粒子層(M1)を形成する工程1’、
     前記銀粒子層(M1)上に回路形成部のレジストが除去されたパターンレジストを形成する工程2、
     めっき法により導体回路層(M2)を形成する工程3、
     パターンレジストを剥離し、非回路形成部の銀粒子層(M1)をエッチング液により除去する工程4
    を有することを特徴とする絶縁性基材上に回路パターンを有するプリント配線板の製造方法。
  3.  前記めっき法が、無電解めっきである請求項1又は2記載のプリント配線板の製造方法。
  4.  前記めっき法が、無電解めっきと電解めっきとの組み合わせである請求項1又は2記載のプリント配線板の製造方法。
  5.  前記エッチング液の有効成分が、カルボン酸及び過酸化水素である請求項1~4のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
  6.  前記銀粒子層(M1)を構成する銀粒子が、高分子分散剤で被覆されたものであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
  7.  請求項2記載のプリント配線板の製造方法において、前記プライマー層(B)に反応性官能基[X]を有する樹脂を用い、前記高分子分散剤に反応性官能基[Y]を有するものを用い、前記反応性官能基[X]と前記反応性官能基[Y]との間で結合を形成させる請求項6記載のプリント配線板の製造方法。
  8.  前記反応性官能基[Y]が、塩基性窒素原子含有基である請求項7記載のプリント配線板の製造方法。
  9.  前記反応性官能基[Y]を有する高分子分散剤が、ポリアルキレンイミン、及びオキシエチレン単位を含むポリオキシアルキレン構造を有するポリアルキレンイミンからなる群から選ばれる1種以上である請求項7記載のプリント配線板の製造方法。
  10.  前記反応性官能基[X]が、ケト基、アセトアセチル基、エポキシ基、カルボキシル基、N-アルキロール基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基からなる群から選ばれる1種以上である請求項7~9のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
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