JPH06215631A - 繊維状導電性物質及びこれを含有する導電性樹脂組成物 - Google Patents

繊維状導電性物質及びこれを含有する導電性樹脂組成物

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JPH06215631A
JPH06215631A JP683393A JP683393A JPH06215631A JP H06215631 A JPH06215631 A JP H06215631A JP 683393 A JP683393 A JP 683393A JP 683393 A JP683393 A JP 683393A JP H06215631 A JPH06215631 A JP H06215631A
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powder
fiber
conductive
fibrous
resin
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JP683393A
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Masako Ueda
雅子 植田
Koichiro Sagawa
幸一郎 佐川
Mitsuo Takahashi
三雄 高橋
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維状粉体表面に卑金属被覆膜さらに該被覆
膜表面に貴金属被覆膜をもって構成される多層構成の繊
維状導電性物質を開発すること及びこれを低充填させた
酸化防止性及び耐マイグレーション性に優れた高導電性
材料及び直接電気めっき可能な樹脂組成物を得ることに
ある。 【構成】 針状比(L/D=繊維長/繊維径)が5〜10,
000で長軸の長さが0.1μm〜0.6mmの繊維状粉体表面に卑
金属被覆膜さらに該被覆膜表面に貴金属被覆膜をもって
構成される多層構成の繊維状導電性物質並びにこれを含
有する樹脂組成物である。 【効果】 卑金属を繊維状粉体に被覆し、さらに該被覆
膜表面に貴金属層を設けた繊維状導電性粉体及びその樹
脂組成物を用いることにより、低充填量で、酸化防止
性、耐マイグレーション性に優れた高導電性材料及び直
接電気めっき可能な樹脂組成物を得ることが出来た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気、電子分野に使用さ
れる導電性ペースト、導電性インキ、電磁波シールド材
料などの導電性を必要とする素材及び樹脂組成物を提供
するものであって、より詳細に述べると、電子部品及び
プリント配線板に適用される導電性回路や接着剤もしく
は自動車用部品、日用品、事務機などに使用可能な直接
電気めっき用樹脂などに用いられる導電性物質及びそれ
を含有する樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年導電性材料に関するニーズの多用
化、例えば電子部品の小型化、軽量化、精密化などに伴
って導電性材料、導電性樹脂組成物等の開発が盛んに行
われている。これら導電性材料に用いられる金属粉体と
しては銀、銅、銀被覆銅粉、ニッケル、パラジウムとい
ったものが使われている。しかしながら、これら粉体を
多量に添加しないと導電性が発現しにくく、また金属粉
を多量に充填すると、塗料としての成膜性、基材への密
着性、皮膜の機械的強度の低化などを招き、硬化物の物
性と導電性の調整が困難になるという欠点を持ってい
た。
【0003】そこで、充填量が少なく、且つ、安定した
導電性のもった素材の開発が求められ、種々の心材表面
に金属を被覆した導電性粉体の開発が各種なされてい
る。例えば、特開平2−153076号公報では銀−銅
二層めっき粉体の製造法について、開示している。しか
しながら、その構成は上層が銀、下層が銅に限られ、形
状については何ら特定はなく、記載された実施例の心材
は0.5〜0.8mmの範囲のものである。板状心材及び大きな
繊維径、繊維長の繊維状粉体に対しては被覆は均一であ
るものの、小さい心材に対してこの方法で被覆できたと
いう記載はなく、細い繊維状粉体に対して銅は被覆され
ない欠点があった。すなわち、この方法は繊維長が10
0μm以下の細かい粉体には適用できず、我々の初期の
目的を達するものは得られていない。
【0004】また、特開昭57ー103204号公報は
チタン酸カリウム繊維の表面にPt、Au、Ru、R
h、Ni、Co、Cu、Cr、Sn及びAgよりなる群
から選ばれた少なくとも1種の金属の付着層を有する導
電性組成物、特開昭63−85171号公報では貴金属
及びその酸化物被覆繊維が開示している。どちらも一種
または二種以上という記載はあるものの、その構成につ
いては何等記載されていない。実施例には銀をチタン酸
カリウム繊維に被覆した後、銅を被覆する記載が見られ
るが、被覆表面が銅であるために、酸化劣化がおき、各
種樹脂と配合しても導電性は発現せず、導電性材料とし
ては不適当であった。
【0005】特開昭60ー100679号公報、特開平
2ー282401号公報では卑金属粉体自身に貴金属を
被覆しているが、心材が銅粉といった金属粉であるため
に導電性発現には高充填を必要とした。一方、針状、繊
維状の導電性粉体を得る試みとしては、金属自身を針
状、繊維状等といった形状に成形したりすることがなさ
れているものの、金属繊維ではペースト化時に折れを生
じ易く、導電性の低下が見られた。以上のように、現在
の導電性繊維として提供されている導電性材料では、特
に回路パターンを形成するといったスクリーン印刷が必
要とされる電子部品の用途に適したものが見られないの
が現状である。
【0006】ところで、近年金属製品にかわってプラス
チックにめっきを施した製品が台頭してきている。プラ
スチックにめっきを施した製品は自動車用部品、日用
品、事務機など広く使用されている。めっきの方法には
化学めっき、化学めっきと電気めっきの併用系、導電性
インキ塗布後に電気めっきといった湿式めっき、真空状
着、スパッタリング、イオンプレーティング、金属溶射
といった物理的手法による乾式めっきなどがある。多く
は、プラスチックの表面が電気不良導体であるため、電
気めっきを施す前に、導電性を表面に付与する必要があ
る。しかしながらその工程は、脱脂、エッチング、キャ
タリスト、無電解めっき、活性化電気めっきといった多
程の工程を要しており、非常に煩雑である。そこで、最
近では、ポリプロピレンなどの樹脂に導電性粉体を混入
し、導電性を付与させることで、下地の無電解めっきを
必要とせず、直接電気めっきを施し、加工工程を半分以
下に減らすことが試みられている。(『プラスチックメ
タライジング』 英一太著(株)シーエムシー 1985年
11月15日第1版発行)この導電性粉体にはカーボンブラ
ック、カーボンファイバー、金属ファイバーが現在使用
される。しかしながら、カーボンファイバーを用いた場
合には直径が7〜9μmと大きすぎるために表面の平滑
性が保たれない。
【0007】また、特開昭61−37991号公報では
酸化すず、酸化アンチモンなどをドープしたチタン酸カ
リウム及び二酸化チタンなどを開示している。だが、特
開昭61−37991号公報の導電性粉体では抵抗値が
高いため、樹脂に混入した際、目的とする導電性が得ら
れず、電気めっきした際にめっきむらが生じるという問
題点があった。
【0008】あるいは貴金属被覆粉体のみでは貴金属と
無機粉体の密着性が弱く、心材と剥離しやすいという欠
点を生じ、また銅といった卑金属系では酸化され易いと
いう欠点を有していた。その他、直径50μm、長径が
5〜6mmの銅繊維を15重量%混入したものが電磁波
シールド用導電性プラスチックとして開発されている
が、導電性は体積固有抵抗値で10ー3Ω・cmと良好で
あるものの繊維径、繊維長が長いために電気めっきを施
した際、めっきが銅繊維の部分にしかつかないため、疎
らにしかつかず、本用途には適していない。このよう
に、導電性粉体を混入した樹脂組成物は現在、要求され
ている直接電気めっきシステムを安定に供給するという
面ではまだ、満足のいくレベルのものがないのが現状で
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の諸欠点を改良さ
れた低充填量で優れた導電性を持ち、酸化されにくく、
保存安定性が良好で且つ耐マイグレーション性の良好な
繊維状導電性物質及びその製造方法、またそれを含有す
る導電性樹脂組成物を開発することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
実情を鑑み、上記の課題を解決すべく鋭意検討をした結
果、繊維状粉体の表面に卑金属及び貴金属を少なくとも
二層被覆し、多層構成することにより耐酸化性及び耐マ
イグレーション性が良好になることを見いだし、本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明は針状比(L/
D)が5〜10,000、好ましくは10〜2,000で長軸の長さが
0.1μm〜0.6mm、好ましくは1μm〜0.1mmの繊維状粉体表
面に卑金属被覆膜さらに該被覆膜表面に貴金属被覆膜を
もって多層構成される繊維状導電性物質及びこの繊維状
導電性物質の製造方法である。また、この繊維状導電性
物質を含有することを特徴とする導電性樹脂硬化物及び
直接電気めっきすることにより得られた導電性樹脂成型
物に関するものである。
【0011】本発明で用いられている針状、繊維状の導
電性粉体はアスペクト比が高いために粉体同士が接触し
易く、粒子が尖っている方がトンネル効果や熱電子照射
といった導電メカニズムが起こり易く、導電性樹脂組成
物として用いた場合には導電性球状粉体より低充填量で
安定した導電性を示す。本発明の該粉体はその表面が貴
金属で被覆されているので、酸化されにくく、耐久性が
高い。
【0012】そこで、本発明に用いられる繊維状心材の
形状としては、針状比(L/D)が5〜10,000、好まし
くは10〜2,000で長軸の長さが0.1μm〜0.6mm、好ましく
は1μm〜0.1mmの繊維状粉体であることが望ましい。
【0013】本発明に用いられる針状、繊維状心材を例
示するならば、無水ケイ酸カルシウム、二酸化チタン繊
維、リン酸カルシウム繊維、酸化亜鉛繊維、酸化銅繊
維、チタン酸アルカリ及びチタン酸アルカリ土類金属繊
維、無水硫酸カルシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊
維、ホウ素繊維、窒化珪素、炭化珪素及び炭化ホウ素繊
維、カーボン繊維、グラファイト繊維、酸化ベリリウム
繊維、マグネシウムパイロボレート繊維、石膏繊維、ゾ
ノライト、MOS繊維(MgSO4・5MgO・8H2
O)、PMF(Processed Mineral Fiber)、ガラス
繊維、シリカアルミナガラス繊維、シリカガラス繊維、
チラノ繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、セラミッ
ク繊維、ロックウール繊維、アクリル繊維等が挙げられ
るが、特にこれらに限定されるものではない。
【0014】本発明に用いられる卑金属としてはCu、
Ni、Co等及びこれらの酸化物等が挙げられる。
【0015】本発明に用いられる貴金属としてはAg,
Pd,Au,Pt,Ru等及びこれらの酸化物等が挙げ
られる。
【0016】本発明の卑金属を繊維状粉体に被覆する製
造法としては、無電解めっき法、湿式中和法、CVD
法、PVD法等の現在常用されている表面導電化方法が
適用できるが、ここでは特に無電解めっきによる方法を
例示する。あらかじめ、無電解めっきによって卑金属層
をめっきする場合には、通常活性化が必要である。すな
わち、繊維状粉体への活性化処理は錫ーパラジウム溶液
及びパラジウムコロイドにて活性化する方法を行うか、
心材にシランカップリング剤もしくは、エポキシ樹脂な
どにてアミノ基を導入し、パラジウム塩水溶液にて心材
と接触処理することで活性化処理をおこなうこと等が挙
げられる。
【0017】引続き、上記で得られた活性化処理心材を
金属塩、錯化剤、還元剤、その他の添加剤とからなる無
電解めっき浴に添加し、一定の条件下にて、反応を行う
ことで、心材に均一に卑金属を析出させる。この場合、
適正なpHにて反応を行うことは心材の凝集を防ぎ、均
一に被覆するのに貢献するものであり、反応中も滴下ロ
ートやpHコントローラーなどを用いて、pHを弱アル
カリに維持することがより望ましい。この際、めっき浴
のpHが低い場合には水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムといったアルカリを用いてpH8〜10に調製し、反
応中も適宜補充することはより均一な被覆を行う上で好
ましい方法である。一方、市販の強アルカリのめっき浴
を使用した場合、硫酸、塩酸、硝酸といった酸をもちい
てpH8〜10の弱アルカリ性にすることが望ましい。
【0018】次に、得られた卑金属被覆粉体を分散し、
貴金属層を少なくとも一層形成する方法としては、置換
めっき、もしくは無電解めっきを用いる。すなわち、上
記からなる卑金属被覆繊維状粉体を解膠剤を添加した水
溶液に均一に分散し、次いで、貴金属塩、錯化剤、その
他の添加剤とからなるめっき浴を加えて、卑金属被覆繊
維状粉体上に貴金属を析出する。しかるに、多層構成す
なわち貴金属被覆層形成の手順としては、卑金属被覆繊
維状粉体を無電解めっき液から取り上げず、直接溶液中
に解膠剤を入れた後に反応を行っても、卑金属被覆繊維
状粉体を取り上げてから再分散させ、反応を行ってもい
っこうに差し支えない。この際の卑金属被覆粉体に対す
る貴金属層の添加量は0.1重量%以上、好ましくは1
重量%以上を被覆することにより、卑金属表面に更に貴
金属層を有した繊維状導電性物質を得る。この上にさら
に貴金属を被覆しても良く、この場合被覆する貴金属が
異なっても一向に差し支えない。
【0019】繊維状心材の分散液を調製する際に用いる
解膠剤としては、ゼラチン、カゼインなどの水溶性天然
物ポリマーやポリビニルアルコール、ポリビニルピロリ
ドンなどの水溶性合成高分子化合物、またはヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メ
チルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースといったような水溶性セルロース誘導体等
が挙げられる。また、解膠剤水溶液の濃度は好ましくは
1〜50g/lがよい。
【0020】このようにして、得られた導電性物質を樹
脂と混合し、導電性樹脂組成物を調製する場合、樹脂と
のなじみをよくするために上記のようにして得られた粉
体に表面改質剤を添加してもよい。以下、表面処理剤を
例示するが、これらに限定されるわけではない。表面処
理剤としてはクエン酸、アビエチン酸、タンニン酸、没
食子酸等、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、
リノール酸等の不飽和脂肪酸等の被膜形成能を有する有
機酸及び又はこれら有機酸エステル。有機チタネート
は、脂肪酸もしくはアルキルりん酸、アルキルピロりん
酸、アルキルベンゼンスルホン酸とテトライソプロポキ
シチタネートの反応縮合物であり、具体例としては、イ
ソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピル
トリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロ
ピルトリイソステアロイルチタネート、テトライソプロ
ピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等を挙
げることができる。アミン類としては、オレイルアミ
ン、イミダゾール、ヘキサメチレンテトラミン、ジエタ
ノールアミン等、有機りん化合物としては、りん酸類、
りん酸エステル類、亜りん酸エステル類、トリチオホス
ファイト類、ホスホン酸類、ジホスホン酸類等。アミノ
酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸等。アミノ
酸誘導体としては、N−ラウロイル−L−リジン、N−
ラウロイルアスパラギン酸−β−ラウリルエステル、N
−ステアリルアスパラギン酸−β−ステアリルエステル
等。ほう素窒素複合型分散剤としては、ディスパントE
N110、120、130(東邦化学)等を挙げること
ができる。
【0021】表面処理剤の充填量は、比表面積との関係
もあるので一概にはいえないが、貴金属被覆卑金属繊維
状粉体に対して上述した表面処理剤を0.01〜20w
t%の濃度で処理することにより、ペースト化する際の
作業性、長期の保存安定性、環境試験における導電性の
維持が期待される場合がある。しかし、20wt%より
多すぎると粉体として取扱にくくなったり、導電性樹脂
組成物としての性能に悪影響を与えることがあり、好ま
しくない。また、表面改質層を形成する方法としては粉
体と表面処理剤をミキサー、ボールミル等で直接撹拌混
合する乾式法、表面処理剤を相溶性の良い溶剤に溶解し
て処理する湿式法等いかなる方法でもいっこうに差し支
えないが、均一に処理被膜を形成するためには湿式法が
効果的である。
【0022】本発明に用いられる樹脂は塗料、インキ、
シート又は成型物に加工された時の形状保持性を付与す
るものであり、固体、液体、乳化物、分散物等のいずれ
の性状でも良く、樹脂としては熱硬化性樹脂、熱可塑性
樹脂等の合成高分子、天然樹脂及びその誘導体、含金属
有機化合物等が例示され、これらの代表例としてはアミ
ノ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹
脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ
メルカプト樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ケトン樹
脂、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリブチレンテレ
フタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミンアル
キド樹脂、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリ
アセタール、ポリサルフォン、ポリビニルエーテル、ポ
リビニルブチラール樹脂、ビニルホルマール、ポリイミ
ダゾール、ポリオキサゾラン、ABS樹脂、EPDM系
樹脂、ロジン系樹脂、石油樹脂、油脂類、デンプン類の
天然樹脂及びその誘導体等が挙げられる。また、アクリ
ル/セルローズアセテートブチレート混合樹脂、エポキ
シ変性アルキド樹脂等なども挙げられる。これらは単独
または二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、こ
れらの樹脂は必要に応じ、メラミン樹脂、メラミンアル
キド樹脂、イソシアネート化合物、ポリアミン化合物な
どの硬化剤と組み合わせて用いてもよい。
【0023】特に、繊維状導電性物質含有導電性樹脂硬
化物表面を金属を用いて電気めっきする際、用いる樹脂
としては熱可塑性樹脂を用いる。例としてはABS樹脂
をはじめとし、ABS樹脂/ポリカーボネート、変性ポ
リフェニレンオキサイド、変性ポリフェニレンサルファ
イド、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール、
ポリウレタン、ポリプロピレン、DPポリプロピレン、
ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスル
ホン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ビ
ニルエステル、ビスマレイミドトリアジンなどがあげら
れ、これらを単独または二種以上組み合わせて用いても
よい。
【0024】繊維状導電性物質の充填量は使用目的及び
樹脂にもより、特定できないが、繊維状導電性物質が少
ないと導電特性が発揮できず、逆に樹脂が少なすぎると
結合力が不足して、強度、基板への密着性といった物性
が低下する。樹脂にもよるが、繊維状導電性物質の充填
量は5〜95wt%の範囲で、導電性に効果があり、表
面平滑性、密着性などの硬化物の物性を損なわないよう
に目的に応じて任意に添加することができる。特に、直
接電気めっき用途とする場合には繊維状導電性物質の充
填量は15wt%以上であることが好ましい。
【0025】また、導電性樹脂組成物の特性を損なわな
い範囲において、種々の溶剤、添加剤を加えることはい
っこうに差し支えない。ここにいう添加剤とは、バイン
ダーとしての樹脂、塗料添加剤、密着性向上剤等を意味
する。
【0026】さらに本発明では、着色剤、分散剤、可塑
剤、酸化防止剤、反応抑制剤、補強充填剤が通常用いら
れるが、各種添加剤を併用してもよく、又、本発明に記
載の繊維状導電性物質以外に銀粉、銅粉、金粉等のよう
な金属粉体や他の導電性粉体を併用してもよい。
【0027】尚、以上上記の成分を調製し、塗料化する
方法としては従来公知の混練方法が用いられ、ディスパ
ーサー、三本ロール、ホモミキサー、らいかい機などに
より混合分散することが挙げられる。また、直接電気め
っき用途といった場合の混練方法としては押し出し機、
ミキシングロール、ニーダーなど挙げられ、引続き、成
型品に成型する方法としては射出成型、プレス成型など
従来の方法が用いられる。
【0028】塗料化した樹脂組成物の硬化方法としては
熱、光及び電子いずれを利用しても良く、また、これら
の併用した方法でも構わない。
【0029】さらに、硬化物の表面に電気めっきする方
法としては従来の方法を使用することが可能であり、例
えば導電性樹脂組成物を釣り下げ型または四脚型の自動
式トロリーにより、めっきライン上のステーション間を
運搬することでめっき、洗浄、乾燥を行う方法が挙げら
れる。また、複雑な形状に電気めっきする際には電流密
度を一定にするために遮へい剤、導電性シェル、バイポ
ラ導体、補助陽極、補助陰極などの電流密度分布改善用
治具を使用してもいっこうに差し支えない。
【0030】また、電気めっきの種類としては、従来よ
り公知のものが使用でき、ニッケル、クロム、銅、金、
合金めっきなどが挙げられる。また、浴の組成としては
金属塩、錯化剤、界面活性剤、光沢剤、水平化剤など含
まれた従来公知の電気めっき用浴が使用可能である。
【0031】
【作用】本発明の導電性樹脂組成物は上記のように卑金
属を繊維状心材に被覆し、その後に貴金属層を設けた繊
維状導電性物質を使用したことにより、低充填量で優れ
た導電性を持ち、酸化されにくく、保存安定性良好且つ
耐マイグレーション性の良好な導電性樹脂組成物、また
は直接電気めっき性に優れた導電性樹脂組成物を提供す
ることが可能となる。
【0032】
【実施例】以下に参考例及び実施例を挙げて本発明を詳
しく説明するが、これらの例によって本発明の範囲が制
限されるものではない。例中において部及び%とは特に
説明がない限り重量部及び重量%を意味する。
【0033】
【製造例1】硫酸銅30gとエチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム87.5gと水酸化ナトリウム22gを純水
700mlに均一に溶解した。この溶液に塩化錫/塩酸
水溶液、塩化パラジウム/塩酸水溶液にて活性化処理し
たチタン酸カリウム繊維(大塚化学製、ティスモN)
2.5gの水分散液100mlを添加し、撹拌混合し
た。次にホルマリン15.3gを溶解した水溶液100
mlを分散液中に加え、反応温度60〜80℃に保ちな
がら撹拌下で1時間還元反応を行った。その後、この粉
体の一部を取り出し、表面をX線マイクロアナライザー
を用いて観察したところ、心材表面に銅が均一に被覆さ
れていることを確認した。続いて、この分散液中に解膠
剤水溶液をいれ、超音波をあてながら撹拌し、充分に分
散を行った。これに硝酸銀1.65gを溶解した銀溶液
50mlを添加し、1時間室温〜40℃で攪拌し、反応
をおこなった。冷却後、沈澱物をろ別、乾燥してチタン
酸カリウム繊維の表面に約31nmの金属層が被覆され
た繊維状導電性粉体Aを9.9g得た。こうして得られ
た繊維状導電性粉体の表面をX線マイクロアナライザー
を用いて観察したところ、先の銅の上に銀が被覆されて
いることを確認した。
【0034】
【製造例2】硫酸銅23.6gとエチレンジアミン四酢
酸二ナトリウム68.9gと水酸化ナトリウム22gを
純水700mlに均一に溶解した。この溶液に塩化錫/
塩酸水溶液、塩化パラジウム/塩酸水溶液にて活性化処
理した二酸化チタン繊維(石原産業製、FTL−10
0)2.5gの水分散液100mlを添加し、撹拌混合
した。次にホルマリン15.3gを溶解した水溶液10
0mlを分散液中に加え、反応温度60〜80℃に保ち
ながら撹拌下で1時間還元反応を行った。冷却後、沈澱
物をろ別、乾燥して二酸化チタン繊維の表面に銅が被覆
された褐色の繊維状導電性粉体を得た。この粉体の一部
の表面をX線マイクロアナライザーを用いて観察したと
ころ、心材表面に銅が均一に被覆されていることを確認
した。続いて、得られた繊維状導電性粉体を解膠剤水溶
液中に分散させた後、硝酸銀4.1gとエチレンジアミ
ン四酢酸四ナトリウム27.2gを溶解した銀溶液を添
加し、1時間室温中で攪拌した。沈澱物をろ別、乾燥し
て二酸化チタン繊維の表面に2種の金属が被覆された褐
色の繊維状導電性粉体Bを9.7g得た。こうして得ら
れた繊維状導電性粉体の表面をX線マイクロアナライザ
ーを用いて観察したところ、先の銅の上に銀が被覆され
ていることを確認した。
【0035】
【製造例3】クエン酸ナトリウム25gと酢酸ナトリウ
ム25gを純水700mlに溶解し、これに硫酸ニッケ
ル25gを溶解した水溶液50mlを加えた(pH4〜
5.5)。この溶液に塩化錫/塩酸水溶液、塩化パラジ
ウム/塩酸水溶液にて活性化処理したホウ酸アルミニウ
ム繊維(四国化成工業製、アルボレックスG)2.5g
の水分散液100mlを添加し、撹拌混合した。次に次
亜リン酸ナトリウム15.8gを溶解した水溶液100
mlを分散液中に加え、反応温度80℃に保ちながら撹
拌下で1時間還元反応を行った。その後、この粉体の一
部を取り出し、その表面をX線マイクロアナライザーを
用いて観察したところ、心材表面にニッケルが均一に被
覆されていることを確認した。続いて、この分散液中に
解膠剤水溶液をいれ、超音波をあてながら撹拌し、充分
に分散を行った。これに硝酸銀4.2gとエチレンジア
ミン四酢酸四ナトリウム21.7gを溶解した銀溶液10
0mlを添加し、1時間室温〜40℃で攪拌し、反応を行
なった。沈澱物をろ別、乾燥してホウ酸アルミニウム繊
維の表面に2種の金属が被覆された褐色の繊維状導電性
粉体Cを9.7g得た。こうして得られた繊維状導電性
粉体の表面をX線マイクロアナライザーを用いて観察し
たところ、先のニッケルの上に銀が被覆されていること
を確認した。
【0036】
【製造例4】硫酸銅33gとエチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム96.3gと水酸化ナトリウム22gを純水
700mlに均一に溶解した。この溶液に塩化錫/塩酸
水溶液、塩化パラジウム/塩酸水溶液にて活性化処理し
たチタン酸カリウム繊維(大塚化学製、ティスモN)
2.5gの水分散液100mlを添加し、撹拌混合し
た。次にホルマリン15.3gを溶解した水溶液100
mlを分散液中に加え、反応温度60〜80℃に保ちな
がら撹拌下で1時間還元反応を行った。冷却後、沈澱物
をろ別、乾燥してチタン酸カリウム繊維の表面に銅が被
覆された茶褐色の繊維状導電性粉体を得た。この粉体の
一部の表面をX線マイクロアナライザーを用いて観察し
たところ、心材表面に銅が均一に被覆されていることを
確認した。また、パラジウム溶液(パラジウム金属1.
25gを王水17.5mlに溶解したもの)17.5m
lに塩化アンモニウム3gを加えてだいだい色ゲル状溶
液を得た。この溶液にアンモニア水(25%水溶液)1
1mlを添加し、溶液のpHは約7となった。この溶液
を、上記茶褐色の繊維状導電性粉体を純水中に分散させ
ながら、加えたところ、黒色の繊維状微粉体が生成し
た。沈澱物をろ別、乾燥してチタン酸カリウム繊維の表
面に約47nmの金属層が被覆された繊維状導電性粉体
Dを9.7g得た。こうして得られた繊維状導電性粉体
の表面をX線マイクロアナライザーを用いて観察したと
ころ、先の銅の上にパラジウムが被覆されていることを
確認した。
【0037】
【製造例5】エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム2
7.9gと28%アンモニア水17mlを溶解した水溶
液700mlに硝酸銀12.4gを溶解した水溶液50
mlを加えて均一に混合した。この溶液に塩化錫/塩酸
水溶液、塩化パラジウム/塩酸水溶液にて活性化処理し
たチタン酸カリウム繊維(大塚化学製、ティスモN)
2.5gの水分散液100mlを添加し、撹拌混合し
た。次に80%ヒドラジンヒドラート2.5mlの10
0ml水溶液を分散液中に加え、反応温度50℃に保ち
ながら撹拌下で2時間還元反応を行った。冷却後、沈澱
物をろ別、乾燥してチタン酸カリウム繊維の表面に約3
7nmの銀が被覆された繊維状導電性粉体Eを10.0
gを得た。得られた繊維状導電性粉体の表面をX線マイ
クロアナライザーを用いて観察したところ、心材表面に
銀が均一に被覆されていることを確認した。
【0038】
【製造例6】硫酸銅34gとエチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム99.2gと水酸化ナトリウム24gを溶解
した水溶液700mlに均一に溶解した。この溶液に塩
化錫/塩酸水溶液、塩化パラジウム/塩酸水溶液にて活
性化処理したチタン酸カリウム繊維2.5gの水分散液
100mlを添加し、撹拌混合した。次にホルマリン1
5.3gを溶解した水溶液100mlを分散液中に加
え、反応温度60〜80℃に保ちながら撹拌下で1時間
還元反応を行った。冷却後、沈澱物をろ別、乾燥してチ
タン酸カリウム繊維の表面に約43nmの銅が被覆され
た繊維状導電性粉体Fを9.9gを得た。得られた繊維
状導電性粉体の表面をX線マイクロアナライザーを用い
て観察したところ、心材表面に銅が均一に被覆されてい
ることを確認した。
【0039】
【製造例7】硫酸銅23.6gとエチレンジアミン四酢
酸二ナトリウム68.9gと水酸化ナトリウム18gを
溶解を700mlに均一に混合した。この溶液に塩化錫
/塩酸水溶液、塩化パラジウム/塩酸水溶液にて活性化
処理した板状二酸化チタン(石原産業製CR−90)を
2.5gの水分散液100mlを添加し、撹拌混合し
た。次にホルマリン15.3gを溶解した水溶液100
mlを分散液中に加え、反応温度60〜80℃に保ちな
がら撹拌下で1時間還元反応を行った。冷却後、沈澱物
をろ別、乾燥して二酸化チタン繊維の表面に銅が被覆さ
れた褐色の板状導電性粉体を得た。製造法1を参照し、
続いて、この分散液中に解膠剤水溶液をいれ、超音波を
あてながら撹拌し、充分に分散を行った。続いて、得ら
れた導電性粉体を純水中に分散させた後、硝酸銀4.1
gエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム27.2gを溶
解した銀溶液100mlを添加し、1時間室温〜40℃で攪
拌し、反応を行こなった。沈澱物をろ別、乾燥して二酸
化チタンの表面に2種の金属が被覆された褐色の板状導
電性粉体Gを9.4g得た。こうして得られた板状導電
性粉体の表面をX線マイクロアナライザーを用いて観察
したところ、心材表面に銀及び銅が均一に被覆されてい
ることを確認した。
【0040】
【製造例8】製造例1の方法に準拠し、心材に長径20
0μmのポリエステル繊維を用いて、繊維状導電性粉体
Hを得た。
【0041】
【比較製造例1】公報に記載の方法に準拠し、粒径の小
さなものに対して実施し、その被覆粉体の被覆状況を電
子顕微鏡にて観察した。心材としては二酸化チタンの繊
維状(石原産業製FTL−100、繊維長:3〜6μm、
繊維径:0.05〜0.1μm)及び板状(石原産業製CR−9
0、粒径0.2〜0.5μm)のものを用いた。各々の心材に
銅を被覆した後、銀をさらに被覆し、導電性粉体I、J
を得たところ、心材が板状であるIには金属被覆が均一
に施されたが、繊維状であるJは尖端部には銅は被覆さ
れず、さらに銀を被覆すると凝集が見られた。
【0042】
【実施例1】上記製造法1及び6で得られた粉体A及び
Fを室温下で大気中、3カ月間放置した。この粉体の酸
化の度合をX線光電子分光分析装置にて表面の分析をす
ることにより確認した。以下、測定条件及び表ー1には
結果を示した。 [粉体Aの測定条件] *装置:日本電子製JPS−9000 *試料:試料台に導電性両面カーボンテープにつけて、
粉体を付着させた。 *測定条件:ターゲットにAl Ka線 (モノクロメ
ーター使用。電圧:10kV,電流30mA)を入射さ
せ、積算回数を8回にて測定した。 [粉体Fの測定条件] *装置:日本電子製JPS−9000 *試料:試料台に導電性両面カーボンテープにつけて、
粉体を付着させた。 *測定条件:ターゲットにMg Ka線 (電圧:10
kV,電流15mA)を入射させ、積算回数を8回にて
測定した。
【0043】
【表1】
【0044】未処理の銅被覆導電性粉体には、Cuのピ
ークは全く認められず、CuO、Cu2Oのいずれかで
あったのに対し、貴金属を表面に被覆した本発明の繊維
状導電性粉体は、表面は大部分銀で覆われており、銅酸
化物の存在はほとんど見られなかった。また、未処理の
銅被覆導電性粉体に比較して、貴金属を表面に被覆した
ことにより、酸化が抑制されていることが確認された。
【0045】
【実施例2〜5】フェノール樹脂(大日本インキ(株)
製 プライオーフェン5010、樹脂固形分55%含
有。)を固形分換算で11gと製造法1〜4で得られた
繊維状導電性粉体A〜D9gを各々20gとなるように
乳鉢中で予備混合後、次に三本ロールにて混練し、導電
性樹脂組成物を得た。導電性樹脂組成物をスクリーン印
刷により40μmの塗膜をPETフィルム上に印刷し、
ギヤーオーブンにて硬化させた。この導電性を測定し、
結果を表−2に示した。尚,導電性は、表面抵抗計(三
菱油化(株)製)を用いて測定した。(※OL:10E
6Ω・cm以上)
【0046】
【表2】
【0047】
【実施例6】フェノール樹脂(大日本インキ(株)製
プライオーフェン5010、樹脂固形分55%含有。)
を固形分換算で11gと繊維状導電性粉体Aの導電性物
質を9gとを各々20gとなるように乳鉢中で予備混合
後、次に三本ロールにて混練し、導電性樹脂組成物を得
た。この導電性樹脂組成物をスクリーン印刷により40
μmの塗膜をPETフィルム上に印刷し、ギヤーオーブ
ンにて硬化させ、導電性樹脂硬化物とした。この導電性
樹脂硬化物の導電性を測定し、測定結果を表−2に示し
た。
【0048】
【実施例7、8】ポリウレタン樹脂(セイコー化成
(株)製 ラックスキン)を固形分換算で5gと繊維状
導電性粉体A〜D5gとを各々10gとなるように乳鉢
中で予備混合後、次に三本ロールにて混練し、導電性樹
脂組成物7及び8を得た。導電性樹脂組成物をスクリー
ン印刷により40μmの塗膜をポリイミドフィルム上に
印刷し、ギヤーオーブンにて硬化させ、導電性樹脂硬化
物とした。この導電性樹脂硬化物の導電性を測定し、測
定結果を表−2に示した。
【0049】
【比較例1〜3】フェノール樹脂(大日本インキ(株)
製 プライオーフェン5010、樹脂固形分55%含
有。)を固形分換算で11gと製造法5〜7で得られた
繊維状粉体E〜Gの9gとを各々20gとなるように乳
鉢中で予備混合後、次に三本ロールにて混練し、比較例
1〜3を得た。この導電性樹脂組成物をスクリーン印刷
により40μmの塗膜をポリイミドフィルム上に印刷
し、ギヤーオーブンにて硬化させ、導電性樹脂硬化物を
得た。比較例1〜3の導電性樹脂硬化物の導電性を測定
し、測定結果を表−3に示した。
【0050】
【表3】
【0051】
【比較例4〜7】フェノール樹脂(大日本インキ(株)
製 プライオーフェン5010、樹脂固形分55%含
有。)を固形分換算で40%、20%と市販の銀粉(福
田金属箔粉工業製AgC−B)及び銀被覆銅粉(昭和電
工(株)製 ファインエース)60%、80%を各々2
0gとなるように乳鉢中で予備混合後、次に三本ロール
にて混練し、比較例4〜7を得た。導電性樹脂組成物を
スクリーン印刷により40μmの塗膜をポリイミドフィ
ルム上に印刷し、ギヤーオーブンにて硬化させ、導電性
樹脂硬化物を得る。比較例4〜7の導電性樹脂硬化物の
導電性を測定した。測定結果を表−3に示した。
【0052】
【比較例8】フェノール樹脂(大日本インキ(株)製
プライオーフェン5010、樹脂固形分55%含有。)
を固形分換算で11gと製造法8で得られた繊維状粉体
Hの9gとを各々20gとなるように乳鉢中で予備混合
後、次に三本ロールにて混練し、導電性樹脂組成物を得
て、スクリーン印刷により40μmの塗膜をポリイミド
フィルム上に印刷を試みた。しかしながら、スクリーン
メッシュ上に導電性繊維状粉体が残り、目詰まりを起こ
し、印刷できなかった。
【0053】
【比較例9】ポリウレタン樹脂(セイコー化成(株)製
ラックスキン)と繊維状微粉体の粉体F50%とを乳
鉢中で予備混合後、次に三本ロールにて混練し、比較例
9を得た。導電性樹脂組成物をスクリーン印刷により4
0μmの塗膜をポリイミドフィルム上に印刷し、ギヤー
オーブンにて硬化させ、導電性樹脂硬化物を得る。比較
例9の導電性樹脂硬化物の導電性を測定した。測定結果
を表−3に示した。
【0054】
【比較例10】比較製造法1で得られた被覆粉体9gと
フェノール樹脂(大日本インキ(株)製 プライオーフ
ェン5010、樹脂固形分55%含有。)を固形分換算
で11gとを各々20gとなるように乳鉢中で予備混合
後、次に三本ロールにて混練し、導電性樹脂組成物を得
た。導電性樹脂組成物をスクリーン印刷により40μm
の塗膜をポリイミドフィルム上に印刷し、ギヤーオーブ
ンにて硬化させた。その結果、心材に板状粉を用いた粉
体Iの場合、45重量%の低充填では導電性が得られな
かった。また、繊維状粉体Jを用いた場合、80重量%
以上の高充填では導電性はどうにか発現するものの、4
5重量%の低充填では未被覆部分があり、被覆が良好で
ないため、導電性が得られなかった。しかるに従来の方
法では粒径の非常に小さな繊維状粉を心材として使用し
た粉体は被覆が均一に施されにくいために接触以外の導
電メカニズムは起こりにくく、充填量がある値を越える
と粉体同士の接触が始まり急激に導電性を発現するため
に導電性のコントロールが困難であり、満足いくレベル
のものが得られなかった。
【0055】これら表2、3の実施例2〜8及び比較例
1〜9の導電性の結果より以下のことが判明した。ま
ず、実施例2と比較例3の結果より、心材が同じ二酸化
チタンであり、被覆する金属が同一の銀及び銅であって
も、形状が板状の場合には40%といった低充填量では
導電性が発現しないが、本発明の繊維状導電性粉体では
高導電性を維持するのが確認された。次に実施例2、3
と比較例4、5及び比較例6、7の結果より、通常の銀
粉及び銀被覆銅粉では80%の高充填量にしないと導電
性は発現しないが、本発明の繊維状導電性粉体では45
%の低充填量でも高導電性を維持するのが確認された。
さらに実施例7、8と比較例9の結果では、銅被覆繊維
状粉体では樹脂系が非還元性樹脂であるポリウレタン樹
脂系では導電性が発現しないが、本発明の繊維状導電性
粉体を用いた場合は非還元性のポリウレタン樹脂でも高
導電性を維持するのが確認された。また、比較例の結果
から心材に長軸が0.7mm以上の大きな繊維を用いた場合
には、スクリーンのメッシュが目詰まりを起こし、本発
明の目的のひとつである導電性インキ用途には使用不可
能であった。
【0056】
【実施例9】実施例2、3、4で得られた導電性硬化物
及び比較例1、2、5で得られた導電性硬化物をそれぞ
れ、60℃、95%湿度下で500時間保持し、耐湿性
試験をおこった。試験前後の抵抗値を測定し、結果を表
−4に示した。
【0057】
【表4】
【0058】
【実施例10】実施例2、3、4導電性樹脂組成物及び
比較例1、2、5の導電性樹脂組成物をスクリーン印刷
により線幅0.25mm、ピッチ0.4mmの交差指型
電極をポリイミドフィルム上に印刷し、硬化させた。次
に、この印刷面をUV絶縁ペースト((株)アサヒ化学
研究所製、UVF10G)で被覆し、硬化させてから、
初期の絶縁抵抗値を測定した。その後、エレクトロマイ
グレーション試験を行った。エレクトロマイグレーショ
ン試験は60℃、95%の恒温恒湿雰囲気下で30Vの
電圧を印可し、300時間行なった。このときの絶縁抵
抗値を測定し、結果を表−5に示した。
【0059】
【表5】
【0060】実施例9の結果より、比較例3の銅被覆繊
維状粉体を未処理で用いた場合には保存安定性が悪い結
果が得られたが、本発明の繊維状導電性粉体では保存安
定性試験後も高導電性を維持するのが確認された。ま
た、実施例10の結果より、比較例5のように銀粉を用
いた場合にはマイグレーション試験後、絶縁抵抗値の低
下が見られたが、本発明の繊維状導電性粉体では耐マイ
グレーション性に優れていることが確認された。以上、
これらの結果より、耐湿試験後、耐マイグレーション試
験後も本発明の導電性物質を含有した導電性樹脂組成物
は優れた物性を有することが判った。すなわち、表−1
〜5の結果より、本発明の導電性樹脂組成物及び硬化物
は比較例に比べて、低充填量での導電性及び長期間の保
存安定性に優れ、またエレクトロマイグレーション性に
も優れていることが判った。
【0061】
【実施例11】ポリプロピレン樹脂(旭化成工業(株)
製 サンファイン)PPチップをラボプラストミルに4
0g入れて、175℃、1分間混練し、ゲル状とした
後、粉体A及びGを60g加え、3分間混練した後、取
り出した。その後、熱二本ロールで、板状にし、ホット
プレスにて成形した。180℃に設定したホットプレス
は試料を入れてから、1分間加圧し、予熱後100kg
/cm2で1分間、150kg/cm2で、2分後に取り
出した。その後、3×7cm大きさに切り出して、試験
片とした。この試験片を市販の電気めっき浴に浸漬し、
電流密度1A/dm2にて電気めっきを行った。試験片
の導電性の結果を表−6に示した。尚、各試験片の導電
性は表面抵抗計(三菱油化(株)製)を用いて測定し
た。電気めっきした結果、粉体Aを用いた場合、表面が
平滑で密着性の良好な金属被覆プラスチックがえられた
が、粉体Gを用いた場合では発熱が生じ、金属被覆がう
まくいかなかった。
【0062】
【表6】
【0063】この実施例11及び比較例9、10の結果
より、本発明の導電性樹脂組成物は比較例に比べて、導
電性が良好であり、且つ電気めっき性に優れていること
が判った。
【0064】
【発明の効果】 開発した卑金属を繊維状粉体に
被覆し、さらにその表面に貴金属層を設けた酸化防止性
及び耐マイグレーション性に優れた二層構成の繊維状導
電性粉体を開発したことにより、これの少量充填で、高
導電性材料及び直接電気めっき可能な樹脂組成物を提供
することが出来た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 1/22 Z 7244−5G

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針状比(L/D=繊維長/繊維径)が5
    〜10,000で長軸の長さが0.1μm〜0.6mmの繊維状粉体表
    面に卑金属被覆膜さらに該被覆膜表面に貴金属被覆膜を
    もって構成される多層構成の繊維状導電性物質。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の繊維状導電性物質を含有
    する導電性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の繊維状導電性物質を含有
    する導電性樹脂硬化物。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の導電性樹脂硬化物の表面
    を金属を用いて、直接的に電気めっきされた樹脂成型
    物。
  5. 【請求項5】 表面に貴金属を補足した針状比(L/D
    =繊維長/繊維径)が5〜10,000、長軸の長さが0.1μm
    〜0.6mmの繊維状粉体を卑金属イオン、アルカリ、錯化
    剤及び還元剤を含有する卑金属めっき浴に浸漬して撹拌
    しつつ、粉体の卑金属めっきを施した後、このめっき液
    に解膠剤を添加し撹拌しながら、さらに貴金属イオンま
    たは貴金属錯イオンを添加し、引続き卑金属被覆粉体に
    貴金属めっきを施すことを特徴とする多層構成の繊維状
    導電性物質の製造方法。
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