JP2013129877A - 無電解メッキ用シート状物及びこれにメッキ被膜を形成した被メッキ物 - Google Patents
無電解メッキ用シート状物及びこれにメッキ被膜を形成した被メッキ物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、基材に導電性フィラーを充填することなくスポット溶接の際に大電流を通電することを容易にするシート状物、及びその中間体を提供する。
【解決手段】以下の(1)〜(3)を有する、無電解メッキ用シート状物:
(1)熱可塑性樹脂製多孔質基材、
(2)パラジウム粒子、及び
(3)バインダー樹脂。
【選択図】なし
【解決手段】以下の(1)〜(3)を有する、無電解メッキ用シート状物:
(1)熱可塑性樹脂製多孔質基材、
(2)パラジウム粒子、及び
(3)バインダー樹脂。
【選択図】なし
Description
本発明は、無電解メッキ用シート状物及びこれにメッキ被膜を形成した被メッキ物に関する。
スポット溶接は、ア−ク溶接などのように溶接棒やフラックスを必要としないことや、加熱が局部的に限られること、被溶接物の母材や金属板そのものが傷められないことなどもあって、自動車産業、家具、家電製品などの分野で広く利用されている。
2枚の金属板をスポット溶接する場合、溶接部の熱応力によって2枚の金属板間に微小な間隙が生じる場合がある。この間隙によって漏水、当該漏水に起因する腐食等が発生する問題がある。このような問題を解決する方法として、各種粘着テープ状物を2枚の金属板間のスポット溶接すべき部分に挟み込んで仮止めし、スポット溶接を行う方法が挙げられる。このような粘着テープ状物は、スポット溶接を行うための導電性と、上記仮止めを行うための粘着性が要求される。
特許文献1には、ゴム、合成樹脂発泡体に金属粉やカーボンブラック粉等の導電性フィラーを含浸させて導電性を付与する電気溶接用シール材が記載されている。
特許文献2には、テープ状の導電性多孔質体と導電性フィラーを含む導電性接着剤からなる導電性テープ状シール材が記載されている。
しかしながら、特許文献1の電気溶接用シール材及び特許文献2の導電性テープ状シール材は、いずれもゴム、多孔質体等の基材に導電性フィラーが含まれているため、十分な導電性及び粘着性を兼ね備えるための調整が困難である。しかも、上記各シール材は、スポット溶接の際に再現性良く通電できないという問題もある。
本発明は、スポット溶接の仮止めに好適であって、基材に導電性フィラーを充填することなくスポット溶接の際に大電流を通電することを容易にするシート状物を提供すること目的とする。
そこで、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の基材及び成分を含む場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の被メッキ物(粘着性被メッキ物を含む)及びその中間体である無電解メッキ用シート状物に関する。
1. 以下の(1)〜(3)を有する、無電解メッキ用シート状物:
(1)熱可塑性樹脂製多孔質基材、
(2)パラジウム粒子、及び
(3)バインダー樹脂。
2. 上記項1に記載の無電解メッキ用シート状物に対して無電解メッキを行うことによってメッキ被膜が形成された、被メッキ物。
3. 上記項2に記載の被メッキ物に対し、粘着剤を含浸させる又は粘着剤層を形成することにより得られる、粘着性被メッキ物。
4. スポット溶接をする2つの金属間に挟み込んで仮止め用として使用される、上記項3に記載の粘着性被メッキ物。
1. 以下の(1)〜(3)を有する、無電解メッキ用シート状物:
(1)熱可塑性樹脂製多孔質基材、
(2)パラジウム粒子、及び
(3)バインダー樹脂。
2. 上記項1に記載の無電解メッキ用シート状物に対して無電解メッキを行うことによってメッキ被膜が形成された、被メッキ物。
3. 上記項2に記載の被メッキ物に対し、粘着剤を含浸させる又は粘着剤層を形成することにより得られる、粘着性被メッキ物。
4. スポット溶接をする2つの金属間に挟み込んで仮止め用として使用される、上記項3に記載の粘着性被メッキ物。
以下、本発明の無電解メッキ用シート状物及びこれにメッキ被膜を形成した被メッキ物について詳細に説明する。
≪無電解メッキ用シート状物≫
本発明の無電解メッキ用シート状物は、以下の(1)〜(3):
(1)熱可塑性樹脂製多孔質基材、
(2)パラジウム粒子、及び
(3)バインダー樹脂
を含む。当該無電解メッキ用シート状物は、熱可塑性樹脂製多孔質基材の微細な表面に、パラジウム粒子がバインダー樹脂を介して均一に担持された形態を有する。このため、スポット溶接の仮止めに好適であって、かつ、基材に導電性フィラーを充填することなくスポット溶接の際に大電流を通電することを容易にする粘着性被メッキ物の中間体として、有用である。
本発明の無電解メッキ用シート状物は、以下の(1)〜(3):
(1)熱可塑性樹脂製多孔質基材、
(2)パラジウム粒子、及び
(3)バインダー樹脂
を含む。当該無電解メッキ用シート状物は、熱可塑性樹脂製多孔質基材の微細な表面に、パラジウム粒子がバインダー樹脂を介して均一に担持された形態を有する。このため、スポット溶接の仮止めに好適であって、かつ、基材に導電性フィラーを充填することなくスポット溶接の際に大電流を通電することを容易にする粘着性被メッキ物の中間体として、有用である。
(1)熱可塑性樹脂製多孔質基材
本発明の無電解メッキ用シート状物は、熱可塑性樹脂製多孔質基材を使用する。多孔質基材とは、多数の細孔を有する基材である。
本発明の無電解メッキ用シート状物は、熱可塑性樹脂製多孔質基材を使用する。多孔質基材とは、多数の細孔を有する基材である。
熱可塑性樹脂製多孔質基材の具体例としては、(i)熱可塑性樹脂製の繊維質基材、(ii)熱可塑性樹脂製基材に対して、(a)無数の細孔をあける、(b)表面を粗く削る等により得られる基材、などが挙げられる。
繊維質基材としては、織布、不織布等が挙げられる。織布としては、熱可塑性樹脂糸を織った布等が挙げられる。不織布としては、熱可塑性樹脂短繊維からニードルパンチング方式で生成した乾式不織布、高圧水流で生成した湿式不織布、湿式不織布に加熱して熱融着性繊維が相互に接着した不織布、等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド(アラミド含む)、ポリビニルアルコール、アクリル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
好ましい熱可塑性樹脂製多孔質基材としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維、アクリル繊維等の基材が挙げられる。
熱可塑性樹脂製多孔質基材の孔の大きさ(及び織布・不織布の粗さ)は、特に限定されず、本願発明の効果が奏される範囲内で適宜設定することができる。
(2)パラジウム粒子
本発明の無電解メッキ用シート状物は、パラジウム粒子を含む。
本発明の無電解メッキ用シート状物は、パラジウム粒子を含む。
パラジウム粒子は、後述するバインダー樹脂を介して、熱可塑性樹脂製多孔質基材の表面に担持されている。特に、パラジウム粒子は、均一に分散されて熱可塑性樹脂製多孔質基材の表面に担持されているので、無電解メッキを行った場合に、密着性、均一性、メッキ被膜析出速度等に優れた被メッキ物を得ることができる。
パラジウム粒子の含有量は、特に限定されないが、後述するバインダー樹脂100質量部に対して、0.1〜1000質量部であることが好ましい。
パラジウム粒子の平均粒子径は、0.01〜1.0μmが好ましい。パラジウムの粒径は、例えば透過型電子顕微鏡による粒子観察、動的光散乱による粒径アナライザー等によって測定することができる。
(3)バインダー樹脂
本発明の無電解メッキ用シート状物は、バインダー樹脂を含む。
本発明の無電解メッキ用シート状物は、バインダー樹脂を含む。
バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂製多孔質基材の表面(多孔質の表面も含む)に付着している。
バインダー樹脂としては、有機溶媒、水等に分散又は溶解する樹脂を使用することができる。具体的なバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シェラック樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、等が挙げられる。なかでも、ポリエステル樹脂が好ましい。バインダー樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
バインダー樹脂の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂製多孔質基材100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましい。
(4)その他の成分
本発明の無電解メッキ用シート状物は、本発明の効果が奏される範囲内で、その他の成分、例えば分散安定剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、顔料、加水分解防止剤等を適宜含んでいてもよい。
本発明の無電解メッキ用シート状物は、本発明の効果が奏される範囲内で、その他の成分、例えば分散安定剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、顔料、加水分解防止剤等を適宜含んでいてもよい。
≪無電解メッキ用シート状物の製造方法≫
本発明の無電解メッキ用シート状物は、熱可塑性樹脂製多孔質基材と、パラジウムナノコロイド(Pdナノコロイド)及びバインダー樹脂を含有するパラジウム触媒液(Pd触媒液)とを接触させることにより得られる。上記Pd触媒液は、Pdナノコロイド分散液とバインダー樹脂を混合することにより得られる。
本発明の無電解メッキ用シート状物は、熱可塑性樹脂製多孔質基材と、パラジウムナノコロイド(Pdナノコロイド)及びバインダー樹脂を含有するパラジウム触媒液(Pd触媒液)とを接触させることにより得られる。上記Pd触媒液は、Pdナノコロイド分散液とバインダー樹脂を混合することにより得られる。
Pdナノコロイド分散液は、例えば、溶媒及び分散剤の存在下、パラジウム化合物を還元剤で還元することにより得られる。この場合、上記還元工程後において、パラジウムコロイドの安定性を阻害したり、無電解めっきの形成を阻害したりする原材料、副産物等については、半透膜、遠心分離、感熱ゲル化等の手段により、除去することが好ましい。
Pdナノコロイド分散液は、市販品のもの(例えば、株式会社イオックス製、メタロイドPP1000、メタロイドPP2000等)を使用することができる。当該パラジウムコロイドは、平均粒径D50=56.2nm、平均粒径D90=102.9nmであるため、粒径に均一性がある(測定は粒径アナライザー(動的光散乱)で行ったものである)。そのため、塗膜表面に均一にかつ高密度でパラジウムコロイドを分散させることができるから、好ましい。なお、50%粒子径D50とは、粉末中の全粒子の積算体積の50%に達するまで粒子径の小さい粒子から順に粒子の体積を積算したときに最後に積算される粒子の粒子径で表わされる。90%粒子径D90とは、粉末中の全粒子の積算体積の90%以上に達するまで粒子径の小さい粒子から順に粒子の体積を積算したときに最後に積算される粒子の粒子径で表わされる。
本発明において、パラジウムコロイドの粒径は、粒径アナライザー測定器(例えば、大塚電子株式会社、FPAR−1000)等によって測定することができる。
Pdナノコロイドの原料(パラジウム化合物)としては、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、パラトルエンスルホン酸パラジウム、蟻酸パラジウム、安息香酸パラジウム、サリチル酸パラジウム、過塩素酸パラジウム、ベンゼンスルホン酸パラジウム、等が挙げられる。
Pdナノコロイド分散液に使用される分散剤としては、ポリカルボン酸系分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸トリエチルアミン塩、ポリカルボン酸トリエタノールアミン塩等)、イソシアネート変性ポリオール系分散剤、ポリビニルアルコール系分散剤、芳香族スルホン酸系分散剤、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールリン酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合体等が挙げられる。これらのものとしてはサンノプコ(株)製ノプコサントK,R,RFA, ノプコスパース44-C,5600,6100,6110, SNディスパーサント2010,2060,5020,5023,5027,5029,5033,5034,5041,5045,5468 ビックケミー・ジャパン(株)製DISPERBYK180,183,184,185,187,190,191,194等として販売されている。
PdイオンをPd粒子に還元するために使用される還元剤としては、ヒドラジンヒドラート、水素化ホウ素ナトリウム、N,Nジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの2,3級アミン類が挙げられる。
Pdナノコロイド分散液の分散媒としては、水;N−メチルピロリドン(NMP);メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;等が挙げられる。分散媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、分散媒は、還元反応後に変換(例えば、分散媒を水からNMPに変換)することも可能である。
Pd触媒液中におけるPd(Pdナノコロイド)の含有量は、特に限定されないが、通常100〜10000質量ppm程度であり、500〜5000質量ppmが好ましい。
Pd触媒液中におけるバインダー樹脂の含有量は、特に限定されないが、0.1〜10質量%程度が好ましい。
Pdナノコロイド分散液とバインダー樹脂を混合するに際し、上述のPdナノコロイド分散液の分散媒で例示された溶媒を併せて混合することもできる。
熱可塑性樹脂製多孔質基材とPd触媒液との接触方法としては、Pd触媒液中に熱可塑性樹脂製多孔質基材を浸漬させる方法、熱可塑性樹脂製多孔質基材にパラジウム触媒液を塗布する方法、等が挙げられる。塗布する方法としては、マイクログラビア、バーコーター、スクリーン印刷等による方法が挙げられる。
熱可塑性樹脂製多孔質基材とPd触媒液とを接触させた後は、当該基材を絞ってPd触媒液を出す、乾燥する等を行うことが好ましい。熱可塑性樹脂製多孔質基材を絞る方法としては、ニップロールで当該基材を挟む、当該基材をプレス機で押しつける、等が挙げられる。乾燥する方法としては、乾燥機を使用することにより、Pd触媒液と接触した後の基材を100〜150℃程度で乾燥させることが挙げられる。なお、上記絞ること及び乾燥することを併用することも可能である。
≪無電解メッキ用シート状物にメッキ被膜を形成した被メッキ物及びその製造方法≫
本発明の被メッキ物は、無電解メッキ用シート状物に対して無電解メッキを行うことにより得られる。無電解メッキ前には、無電解メッキ用シート状物表面を水洗してもよい。
本発明の被メッキ物は、無電解メッキ用シート状物に対して無電解メッキを行うことにより得られる。無電解メッキ前には、無電解メッキ用シート状物表面を水洗してもよい。
無電解メッキは、常法に従って行うことができる。具体的には、無電解メッキ液中に無電解メッキ用シート状物を浸漬させることにより、被メッキ物が得られる。
無電解メッキを行う金属としては、銅、ニッケル等が挙げられる。
無電解銅メッキを行う場合、無電解銅メッキ液としては、特に限定的ではなく、公知の各種無電解銅メッキ液を用いることができる。この様な無電解銅メッキ液としては、例えば、銅化合物、還元剤としてのホルムアルデヒド、グリオキシル酸、ジメチルアミンボラン、次亜リン酸ソーダ等、錯化剤としてのエチレンジアミン四酢酸、酒石酸、これらの塩等の他に、必要に応じて、pH調整剤、安定剤、その他の添加剤(シアン化合物、ジピリジル、チオ尿素等)等を含有する水溶液からなる自己触媒型の無電解銅メッキ液を挙げることができる。銅メッキの条件(濃度、温度、時間等)については、使用するメッキ液の種類に応じて、一般的なメッキ条件を適宜採用すればよい。
形成される無電解メッキ被膜の膜厚については、通常、0.1〜1.0μm程度とすればよい。
無電解メッキ後の被メッキ物は、無電解メッキ液を洗い流すために、水洗してもよい。
本発明の被メッキ物は、粘着剤を含浸させるか、又は粘着剤層を形成することによって、粘着性を付与することができる(粘着性被メッキ物の形成)。粘着剤を含浸させる方法としては、粘着剤を含有する液中に被メッキ物を浸漬させる方法、被メッキ物に粘着剤を塗布する方法、等が挙げられる。粘着剤層を形成する方法としては、離型処理基材に粘着剤を塗付したテープ状物を被メッキ物に接触させる方法、被メッキ物に粘着剤を塗布する方法等が挙げられる。なお、粘着性は、スポット溶接をする際に2つの金属間に挟み込んで仮止めができる程度に付与すればよい。
粘着剤としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、合成ゴム系を使用することができる。なかでも、アクリル樹脂が好ましい。
粘着剤を含浸させるか又は粘着剤層を形成することにより得られた粘着性被メッキ物は、スポット溶接の仮止めに好適である。例えば、重ねて固定したい2枚の金属板の間に挟み込んで位置ずれしないように仮止めできる。当該粘着性被メッキ物は十分な導電性があるので、この2枚の金属板をスポット溶接により強固に固定できる。
本発明の無電解メッキ用シート状物は、特定の基材及び成分を含むため、スポット溶接の仮止めに好適であって、基材に導電性フィラーを充填することなくスポット溶接の際に大電流を通電することを容易にする粘着性被メッキ物の中間体として有用である。当該無電解メッキ用シート状物に対して無電解メッキを行い、さらに粘着剤を含浸させる又は粘着剤層を形成することにより得られる粘着性被メッキ物は、スポット溶接の仮止め用として好適であるとともに、スポット溶接の際に大電流を通電することが容易である。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
製造例1(Pdナノコロイド及びバインダー樹脂からなる水性触媒液の製造方法)
Pdナノコロイド分散液(株式会社イオックス製、製品名:メタロイドPP1000、Pd濃度:1質量%、分散媒:水)を、Pd濃度が1000質量ppmとなるようにイオン交換水で希釈した。バインダー樹脂(互応化学工業株式会社製水溶性ポリエステル樹脂、製品名:RZ-570)をイオン交換水で1質量%となるように希釈した。上記イオン交換水で希釈したPdナノコロイド分散液と、上記イオン交換水で希釈したバインダー樹脂分散液を50:50(質量比)で混合した。これにより、Pd触媒液を得た。
Pdナノコロイド分散液(株式会社イオックス製、製品名:メタロイドPP1000、Pd濃度:1質量%、分散媒:水)を、Pd濃度が1000質量ppmとなるようにイオン交換水で希釈した。バインダー樹脂(互応化学工業株式会社製水溶性ポリエステル樹脂、製品名:RZ-570)をイオン交換水で1質量%となるように希釈した。上記イオン交換水で希釈したPdナノコロイド分散液と、上記イオン交換水で希釈したバインダー樹脂分散液を50:50(質量比)で混合した。これにより、Pd触媒液を得た。
製造例2(Pdナノコロイド及びバインダー樹脂からなる有機溶剤触媒液の製造方法)
Pdナノコロイド分散液(株式会社イオックス製、製品名:メタロイドPP2000 Pd濃度:1質量%、分散媒:N-メチルピロリドン(以下NMPともいう))を、Pd濃度が1000質量ppmとなるようにNMPで希釈した。バインダー樹脂(高松油脂株式会社製ポリエステル樹脂、製品名:ペスレジンS-250)をNMPで1質量%となるように希釈した。上記NMPで希釈したPdナノコロイド分散液と、上記NMPで希釈したバインダー樹脂分散液を50:50(質量比)で混合した。これにより、Pd触媒液を得た。
Pdナノコロイド分散液(株式会社イオックス製、製品名:メタロイドPP2000 Pd濃度:1質量%、分散媒:N-メチルピロリドン(以下NMPともいう))を、Pd濃度が1000質量ppmとなるようにNMPで希釈した。バインダー樹脂(高松油脂株式会社製ポリエステル樹脂、製品名:ペスレジンS-250)をNMPで1質量%となるように希釈した。上記NMPで希釈したPdナノコロイド分散液と、上記NMPで希釈したバインダー樹脂分散液を50:50(質量比)で混合した。これにより、Pd触媒液を得た。
実施例1
≪無電解メッキ用シート状物の作製≫
製造例1で得られたPd触媒液を容器に入れた。熱可塑性樹脂製多孔質基材(ポリエステル繊維)を上記Pd触媒液に浸漬させることにより、熱可塑性樹脂製多孔質基材に上記Pd触媒液を含浸させた。十分に熱可塑性樹脂製多孔質基材中の空気が除去されたことを確認した後、ゴムロール(ピンチロール)/SUSロールからなるニップロールで熱可塑性樹脂製多孔質基材:Pd触媒液が100:100(質量比)になるように当該基材中のPd触媒液を絞りきった。その後、110℃で上記Pd触媒液を含浸した熱可塑性樹脂製多孔質基材を乾燥し、無電解メッキ用シート状物を得た。無電解メッキ用シート状物の寸法は、5cm×10cmである。
≪被メッキ物の作製≫
上記得られた無電解メッキ用シート状物を、以下のメッキ浴に6分浸漬させることにより、銅メッキ被膜が形成された被メッキ物(Cu付着量10wt%(対繊維基材重量比))を得た。メッキ浴は、上村工業株式会社製 スルカップPSY(初期Cu濃度2.5g/l、浴容積 500ml 30℃)を用いた。
≪粘着性被メッキ物の作製≫
離型処理基材にアクリル樹脂系粘着剤を塗付したテープ(株式会社トンボ鉛筆製ピットテープ、PN-MSF8.4)を用意した。当該テープを被メッキ物に圧着することによって、粘着剤層を転写した。これにより、粘着性被メッキ物を得た。
≪無電解メッキ用シート状物の作製≫
製造例1で得られたPd触媒液を容器に入れた。熱可塑性樹脂製多孔質基材(ポリエステル繊維)を上記Pd触媒液に浸漬させることにより、熱可塑性樹脂製多孔質基材に上記Pd触媒液を含浸させた。十分に熱可塑性樹脂製多孔質基材中の空気が除去されたことを確認した後、ゴムロール(ピンチロール)/SUSロールからなるニップロールで熱可塑性樹脂製多孔質基材:Pd触媒液が100:100(質量比)になるように当該基材中のPd触媒液を絞りきった。その後、110℃で上記Pd触媒液を含浸した熱可塑性樹脂製多孔質基材を乾燥し、無電解メッキ用シート状物を得た。無電解メッキ用シート状物の寸法は、5cm×10cmである。
≪被メッキ物の作製≫
上記得られた無電解メッキ用シート状物を、以下のメッキ浴に6分浸漬させることにより、銅メッキ被膜が形成された被メッキ物(Cu付着量10wt%(対繊維基材重量比))を得た。メッキ浴は、上村工業株式会社製 スルカップPSY(初期Cu濃度2.5g/l、浴容積 500ml 30℃)を用いた。
≪粘着性被メッキ物の作製≫
離型処理基材にアクリル樹脂系粘着剤を塗付したテープ(株式会社トンボ鉛筆製ピットテープ、PN-MSF8.4)を用意した。当該テープを被メッキ物に圧着することによって、粘着剤層を転写した。これにより、粘着性被メッキ物を得た。
実施例2
≪被メッキ物の作製≫
実施例1で得られた無電解メッキ用シート状物に対して、メッキ浴への浸漬時間を6分に代えて10分とする以外は、実施例1と同様にして、被メッキ物(Cu付着量20wt%(対繊維基材重量比))を得た。
≪粘着性被メッキ物の作製≫
上記実施例2の被メッキ物を用いる以外は、実施例1と同様にして、粘着性被メッキ物を得た。
≪被メッキ物の作製≫
実施例1で得られた無電解メッキ用シート状物に対して、メッキ浴への浸漬時間を6分に代えて10分とする以外は、実施例1と同様にして、被メッキ物(Cu付着量20wt%(対繊維基材重量比))を得た。
≪粘着性被メッキ物の作製≫
上記実施例2の被メッキ物を用いる以外は、実施例1と同様にして、粘着性被メッキ物を得た。
実施例3
≪無電解メッキ用シート状物の作製≫
製造例1で得られたPd触媒液に代えて製造例2で得られたPd触媒液を使用する以外は、実施例1と同様にして、無電解メッキ用シート状物を得た。
≪被メッキ物の作製≫
上記実施例3の無電解メッキ用シート状物を用いる以外は、実施例1と同様にして、銅メッキ被膜が形成された被メッキ物(Cu付着量10wt%(対繊維基材重量比))を得た。
≪粘着性被メッキ物の作製≫
上記実施例3の被メッキ物を用いる以外は、実施例1と同様にして、粘着性被メッキ物を得た。
≪無電解メッキ用シート状物の作製≫
製造例1で得られたPd触媒液に代えて製造例2で得られたPd触媒液を使用する以外は、実施例1と同様にして、無電解メッキ用シート状物を得た。
≪被メッキ物の作製≫
上記実施例3の無電解メッキ用シート状物を用いる以外は、実施例1と同様にして、銅メッキ被膜が形成された被メッキ物(Cu付着量10wt%(対繊維基材重量比))を得た。
≪粘着性被メッキ物の作製≫
上記実施例3の被メッキ物を用いる以外は、実施例1と同様にして、粘着性被メッキ物を得た。
実施例4
≪被メッキ物の作製≫
実施例3で得られた無電解メッキ用シート状物に対して、メッキ浴への浸漬時間を6分に代えて10分とする以外は、実施例1と同様にして、被メッキ物(Cu付着量20wt%(対繊維基材重量比))を得た。
≪粘着性被メッキ物の作製≫
上記実施例4の被メッキ物を用いる以外は、実施例1と同様にして、粘着性被メッキ物を得た。
≪被メッキ物の作製≫
実施例3で得られた無電解メッキ用シート状物に対して、メッキ浴への浸漬時間を6分に代えて10分とする以外は、実施例1と同様にして、被メッキ物(Cu付着量20wt%(対繊維基材重量比))を得た。
≪粘着性被メッキ物の作製≫
上記実施例4の被メッキ物を用いる以外は、実施例1と同様にして、粘着性被メッキ物を得た。
比較例1
≪粘着性シート状物の作製≫
離型処理基材にアクリル樹脂系粘着剤を塗付したテープ(株式会社トンボ鉛筆製ピットテープ、PN-MSF8.4)を用意した。当該テープを、実施例1の無電解メッキ用シート状物に圧着することによって、粘着剤層を転写した。これにより、粘着性シート状物を得た。
≪粘着性シート状物の作製≫
離型処理基材にアクリル樹脂系粘着剤を塗付したテープ(株式会社トンボ鉛筆製ピットテープ、PN-MSF8.4)を用意した。当該テープを、実施例1の無電解メッキ用シート状物に圧着することによって、粘着剤層を転写した。これにより、粘着性シート状物を得た。
評価方法1(導電性の測定)
実施例1〜2で得られた粘着性被メッキ物又は比較例1で得られた粘着性シート状物の表又は裏に導電テスター電極を接触させることにより、抵抗値を測定した。結果を以下の表1に示す。
実施例1〜2で得られた粘着性被メッキ物又は比較例1で得られた粘着性シート状物の表又は裏に導電テスター電極を接触させることにより、抵抗値を測定した。結果を以下の表1に示す。
評価方法2(スポット溶接の可否)
2枚のSPCC鋼板で、実施例1〜2で得られた粘着性被メッキ物又は比較例1で得られた粘着性シート状物を挟み、当該SPCC鋼板同士をスポット溶接した。当該スポット溶接の可否について、以下の表1に示す。なお、スポット溶接の条件は、以下の通りである。
機種 :スポットウェルダー 株式会社日昭電機製作所製
電流値 :3200A
通電時間 :0.1秒
圧着条件 :8kg加圧
2枚のSPCC鋼板で、実施例1〜2で得られた粘着性被メッキ物又は比較例1で得られた粘着性シート状物を挟み、当該SPCC鋼板同士をスポット溶接した。当該スポット溶接の可否について、以下の表1に示す。なお、スポット溶接の条件は、以下の通りである。
機種 :スポットウェルダー 株式会社日昭電機製作所製
電流値 :3200A
通電時間 :0.1秒
圧着条件 :8kg加圧
Claims (4)
- 以下の(1)〜(3)を有する、無電解メッキ用シート状物:
(1)熱可塑性樹脂製多孔質基材、
(2)パラジウム粒子、及び
(3)バインダー樹脂。 - 請求項1に記載の無電解メッキ用シート状物に対して無電解メッキを行うことによってメッキ被膜が形成された、被メッキ物。
- 請求項2に記載の被メッキ物に対し、粘着剤を含浸させる又は粘着剤層を形成することにより得られる、粘着性被メッキ物。
- スポット溶接をする2つの金属間に挟み込んで仮止め用として使用される、請求項3に記載の粘着性被メッキ物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2011280152A JP2013129877A (ja) | 2011-12-21 | 2011-12-21 | 無電解メッキ用シート状物及びこれにメッキ被膜を形成した被メッキ物 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015067624A (ja) * | 2013-09-26 | 2015-04-13 | 株式会社イオックス | 塗料組成物及びその製造方法 |
JP2015067625A (ja) * | 2013-09-26 | 2015-04-13 | 株式会社イオックス | 塗料組成物及びその製造方法 |
JP6029787B1 (ja) * | 2016-03-31 | 2016-11-24 | 株式会社イオックス | めっき特性に優れる無電解めっき触媒用分散液 |
EP3498884A4 (en) * | 2016-08-10 | 2020-04-01 | C. Uyemura & Co., Ltd. | PRE-TREATMENT OF A FLOW-FREE PLATING FOR USE IN REDUCTION TREATMENT AND METHOD FOR PRODUCING A CIRCUIT BOARD |
-
2011
- 2011-12-21 JP JP2011280152A patent/JP2013129877A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10927463B2 (en) | 2016-08-10 | 2021-02-23 | C. Uyemura & Co., Ltd. | Pretreating liquid for electroless plating to be used during reduction treatment, and process for producing printed wiring board |
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