JP6029777B2 - エレベータ制御装置、エレベータシステム、およびエレベータ制御方法 - Google Patents

エレベータ制御装置、エレベータシステム、およびエレベータ制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、エレベータ用巻上機ブレーキの制動力を診断するエレベータ制御装置、エレベータシステム、およびエレベータ制御方法に関する。
一般的なエレベータでは、昇降路内に配置されたかごは、巻上機のシーブに巻き掛けられた主索により、他端側の釣合おもりとともにつるべ式に吊持されており、巻上機モータによって昇降駆動される。
ブレーキドラムは、巻上機モータとシーブとを結合する軸上に配置されている。そして、ばねの付勢力によって可動部をブレーキドラムに押付け、制動力を作用させ、電磁吸引力で可動部を吸引して制動を解除するブレーキコイルを有する制動装置が設けられている。また、巻上機には、ブレーキドラムの回転数を検出して出力するエンコーダが設けられている。
このようなエレベータにおいては、かごの停止時は、制動装置によりブレーキドラムを保持し、かごを停止位置に静止保持する。しかしながら、制動装置の制動能力が低下すると、停止時に正常にかごを静止保持することができなくなる可能性がある。そのため、制動装置の制動能力は、適正な値に設定されるとともに、定期的な保守点検を実施し、制動能力が異常になっていないかを確認する必要がある。
このような課題に対して、かご内の乗客の有無を確認し、かご内に乗客がいないときに制動能力確認モードに切替るとともに、以下のような動作を行うことで、制動能力の異常を判定するエレベータ装置が知られている(例えば特許文献1)。
(手順1)かご側と釣合おもり側との間に重量の不均衡がある状態で、制動装置によりかごを停止させる。
(手順2)ブレーキコイルへの吸引電流を制御して制動装置による制動を徐々に解除し、エンコーダを介してかごの移動開始を検知する。
(手順3)かごの移動開始時点における吸引電流の値から吸引力を算出し、吸引力と重量不均衡の大きさを用いて、制動装置の制動能力を測定する。
WO2011/101978号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1に示されたエレベータ装置においては、計測したかごの移動開始時の電流から吸引力を計算するときに、予め測定しておいた吸引電流と吸引力の関係を用いて、吸引力を求めている。
しかしながら、実際の吸引力は、ブレーキコイルの電流だけでなく、ブレーキコイルとブレーキシューの間のギャップによっても変動する。そのため、予め測定した吸引電流と吸引力の関係を用いている特許文献1の方法では、ブレーキのギャップが変化すると、吸引力を正確に求めることができない。このため、制動力を精度よく求めることができないという課題がある。
したがって、安全性を考えると、制動能力を判定する基準値に、制動力の検出誤差を考慮して、大きな裕度をもたせる必要がでてくる。この結果、本来なら十分サービスを継続可能な領域でも、サービスを停止させることになってしまう。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ブレーキのギャップが変動した場合にもブレーキの制動力を高精度に測定できるエレベータ制御装置、エレベータシステム、およびエレベータ制御方法を得ることを目的とする。
本発明に係るエレベータ制御装置は、エレベータの昇降路内に配置されたかごおよび釣合おもりと、かごおよび釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで制動力を発生するばねおよび電流を流すことによってばねの付勢力に抗して可動部を吸引し制動を解除するブレーキコイルを有して巻上機のモータを制動するブレーキ装置と、モータの回転数を検出する回転検出器とを備えたエレベータ装置を制御するエレベータ制御装置であって、ブレーキ装置の制動能力を検出する状態監視部をさらに備え、状態監視部は、ブレーキコイルへの電流を制御することで、ブレーキ装置の制動力を制御するブレーキ制御部と、かご側と釣合おもり側との間の重量不均衡によってモータに作用するアンバランストルクをアンバランストルク情報として検出するアンバランストルク検出器と、かごがブレーキ装置による制動力で停止され、かご側と釣合おもり側との間に重量不均衡がある状態で、ブレーキ制御部ブレーキコイルへの電流を制御させてブレーキ装置による制動を開放させていき、制動の開放開始から回転検出器モータの回転を検出し始める回転開始時までの第1の経過時間計測し、開放開始からの経過時間電磁吸引力の対応関係から第1の経過時間でのブレーキコイルの第1の電磁吸引力を算出し、アンバランストルク情報および第1の電磁吸引力から回転開始時のブレーキ装置の力の釣合関係によって、ブレーキ装置の制動能力を検出する検出部とを含むものである。
また、本発明に係るエレベータ制御装置は、エレベータの昇降路内に配置されたかごおよび釣合おもりと、かごおよび釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで制動力を発生するばねおよび電流を流すことによってばねの付勢力に抗して可動部を吸引し制動を解除するブレーキコイルを有して巻上機のモータを制動するブレーキ装置と、モータの回転数を検出する回転検出器とを備えたエレベータ装置を制御するエレベータ制御装置であって、ブレーキ装置の制動能力を検出する状態監視部をさらに備え、状態監視部は、ブレーキコイルへの電流を制御することで、ブレーキ装置の制動力を制御するブレーキ制御部と、かご側と釣合おもり側との間の重量不均衡によってモータに作用するアンバランストルクをアンバランストルク情報として検出するアンバランストルク検出器と、ブレーキ装置における可動部とブレーキコイルとの間のギャップをギャップ情報として検出するギャップ検出器と、かごがブレーキ装置による制動力で停止され、かご側と釣合おもり側との間に重量不均衡がある状態で、ブレーキ制御部ブレーキコイルへの電流を制御させてブレーキ装置による制動を開放させていき、回転検出器モータの回転を検出し始める回転開始時のブレーキコイルの第1の電流情報をブレーキ制御部より取得、ブレーキコイルの電流情報およびギャップ情報と電磁吸引力との対応関係より第1の電流情報に対するブレーキコイルの第1の電磁吸引力を算出し、アンバランストルク情報および第1の電磁吸引力から回転開始時のブレーキ装置の力の釣合関係によって、ブレーキ装置の制動能力を検出する検出部とを含むものである。
本発明によれば、ブレーキ装置による制動を徐々に開放させていき、モータが回転を始めた際にブレーキコイルに流れる電流、あるいは開放開始からモータが回転を始めるまでの経過時間のいずれか一方と、アンバランストルクとの関係からブレーキ装置の制動能力を測定する構成を備えることで、ギャップ変動に応じた電磁吸引力を高精度に算出でき、ブレーキのギャップが変動した場合にもブレーキの制動力を高精度に測定できるエレベータ制御装置、エレベータシステム、およびエレベータ制御方法を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係るエレベータ制御装置を含むエレベータシステム全体を示す構成図である。 本発明の実施の形態1に係るエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係るエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係るエレベータ制御装置を含むエレベータシステム全体を示す構成図である。 本発明の実施の形態3に係るエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3におけるブレーキコイルに電圧を印加したときの電圧、電流、および電磁吸引力FCのそれぞれの応答波形の関係を示す図である。 本発明の実施の形態4に係るエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態5に係るエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明のエレベータ制御装置、エレベータシステム、およびエレベータ制御方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るエレベータ制御装置を含むエレベータシステム全体を示す構成図である。図1において、エレベータのかご1は、昇降路内に配置されている。そして、かご1は、巻上機2に備えられたシーブ3に巻き掛けられたロープ4により、他端側の釣合おもり5とともにつるべ式に吊持されている。さらに、かご1は、巻上機2に備えられたモータによって昇降駆動され、ブレーキ装置6によって制動される。ここで、釣合おもり5の重量は、例えば、かご1内に定格負荷50%が積載されたときのかご1側の重量と釣合うように設定されている。
ブレーキ装置6は、巻上機2のモータとシーブ3とを結合する軸上に設置されたブレーキドラムと、ブレーキドラムに対向するように配置されたブレーキと、が備えられている(図示省略)。ブレーキは、ばねの付勢力によってブレーキドラムに押付けられたときの摩擦力により制動力を発生させる可動部と、電流を流して付勢することで可動部をばねによる付勢力に逆らって吸引し制動を解除するブレーキコイルと、を備えている。また、巻上機2には、モータの回転数を検出する回転検出器7が設けられている。
状態監視部8は、ブレーキ制御部9と、モータ制御部10と、ギャップ検出器11と、アンバランストルク検出器12と、検出部13と、を備えて構成されている。ここで、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6を制御する。モータ制御部10は、巻上機2のモータを制御する。ギャップ検出器11は、ブレーキ装置6の可動部とブレーキコイルとの間のギャップを検出する。
アンバランストルク検出器12は、かご1と釣合おもり5の重量差によるアンバランストルクTAを検出する。さらに、検出部13は、ブレーキ制御部9、回転検出器7、ギャップ検出器11、およびアンバランストルク検出器12からの情報に基づいて、ブレーキ機構部の制動能力を診断する。
次に、本実施の形態1におけるエレベータ制御装置の動作について、フローチャートに基づいて説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係るエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。この図2のフローチャートは、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である。
ここで、戸閉停止状態とは、戸閉状態であるとともに、巻上機2にはかご1側の重量と釣合おもり5側の重量差によるアンバランストルクTAが発生し、ブレーキ装置6による制動トルクTBがアンバランストルクTAを上回る状態でかご1が停止保持されているかご停止状態であることを意味している。
この戸閉停止状態から、かご走行に移行する状態において、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させ(ステップS1)、ブレーキ装置6を徐々に開放していき、ブレーキ装置6による制動トルクTB(すなわち、ブレーキドラムに対するブレーキの制動力)を徐々に小さくしていく。
ブレーキ装置6による制動トルクTBが低減していくと、ある時点で、制動トルクTBとアンバランストルクTAとが等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流を大きくし、制動トルクTBがアンバランストルクTAをわずかでも下回ると、巻上機2のモータが回転を始める。
状態監視部8の検出部13は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングを検知し、このモータが回転を始めたとき(つまり、制動トルクTBとアンバランストルクTAが釣合ったときに相当)に、ブレーキ装置6のブレーキコイルに供給されている電流値を測定し、これを記録する(ステップS2)。
モータが回転を始めると同時に、モータ制御部10は、モータの回転を停止させるように、モータを制御し、モータトルクによってアンバランストルクTAを打ち消すことで、モータを停止させ、かご1を静止保持する(ステップS3)。
また、検出部13は、ギャップ検出器11よりブレーキ装置6の可動部がドラムに接触しているときの可動部とブレーキコイルの間のギャップを計測する(ステップS4)。ここで、ギャップ検出器11は、変位センサを用いてギャップを計測してもよいし、ブレーキコイルの電流波形やブレーキモデルを用いてギャップを推定してもよい。
ブレーキ制御部9は、モータの回転検出後も、ブレーキコイルへ供給する電流を増加させ、可動部をばねによる付勢力に逆らって吸引し、保持する(ステップS5)。
そして、検出部13は、アンバランストルク検出器12より、巻上機2に作用しているアンバランストルクTAを計測する(ステップS6)。ここで、アンバランストルク検出器12は、かご1の重量を秤装置で計測し、かご1の停止階情報から求まるロープのアンバランスおよび釣合おもりの重量よりアンバランストルクTAを検出してもよいし、モータ制御部10で、モータを静止保持するために必要なモータトルクをモータ電流から推定することで、アンバランストルクTAを推定してもよい。
以上のステップを受けて、ステップS7において、検出部13は、ブレーキ装置6のブレーキドラムと可動部との間の摩擦係数μを算出する。この検出部13による摩擦係数μの算出は、次のようにして行われる。
モータが回転を始めたときのブレーキ装置6による制動トルクTBは、アンバランストルクTAと等しく釣合っている。また、モータが回転を始めたときの制動トルクTBは、ばねによるブレーキの付勢力FB、ブレーキコイルの電磁吸引力FC、およびブレーキドラムの回転半径rを用いて、下式(1)で表される。
TA=TB=μ(FB−FC)r (1)
モータが回転を始めたときの電磁吸引力FCは、可動部とブレーキドラムの間のギャップx、および回転開始時のコイル電流iを用い、関数FC(x、i)より計算される。ブレーキ装置6のギャップは、装置の小型化のために、非常に小さく設定される。電磁吸引力は、ギャップの2乗に反比例して増大していくため、ギャップによって値が大きく変動する。そのため、電磁吸引力は、ギャップを考慮して計算する必要がある。
電磁吸引力を算出する関数FC(x、i)としては、例えば、下式(2)が用いられる。
FC=FC(x、i)=p{i/(x+Xm)}2 (2)
ここで、pは、吸引力係数で既知の値であり、Xmは、コイルの漏れ磁束などから決まる既知の値である。
ばねによるブレーキの付勢力FBは、電磁吸引力FCとは違い、ギャップxの影響は小さい。そのため、事前に記憶させておいた付勢力FBの設定値を用いてもよいし、計測したギャップxを用いてギャップxと付勢力FBの関係を示す関数FB(x)より計算してもよい。付勢力を算出する関数FB(x)としては、例えば、下式(3)が用いられる。
FB=FB(x)=−kx+Fh (3)
ここで、kは、ばねのばね定数で既知の値であり、Fhは、ばねの自然長などから決まる既知の値である。
また、その他にも、ステップS5において、ブレーキ装置6の可動部が吸引を開始するときは、電磁吸引力FCと付勢力FBが釣合っているタイミングであることから、可動部が吸引を開始するときのブレーキコイルの電流iを記録し、電磁吸引力を算出する関数FC(x、i)より、付勢力FBを算出してもよい。
以上より、摩擦係数μは、モータが回転を始めたときのブレーキコイルの電流i、およびブレーキ装置6の可動部とブレーキコイルの間のギャップxを用いて、下式(4)より求める。
μ=TA/{(FB(x)−FC(x、i))r} (4)
ステップS7で摩擦係数μを計算した後は、ステップS8に進む。状態監視部8の検出部13は、ブレーキコイルの電流値x、およびギャップiから求めた摩擦係数μに基づいて、ブレーキ装置6の制動能力を確認する。
このとき、検出部13は、ブレーキ装置6がかご1を保持するために必要な摩擦係数μの基準範囲を予め記憶しておき、算出した摩擦係数μが、基準範囲内にあるか否かを判定する。そして、算出した摩擦係数μが基準範囲内の場合には、検出部13は、ブレーキ装置6の制動能力が正常であると判断し(ステップS9)、かご走行に移行する(ステップS10)。
一方、算出した摩擦係数μが基準範囲外の場合には、検出部13は、ブレーキ装置6の制動能力が異常であると判断し(ステップS11)、エレベータの運転を休止させ(ステップS12)、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを、保守会社等の所定の場所に向けて発報する。
このように、モータ制御によりモータの回転を保持する(ステップS3)ことで、モータ滑り出し時のかご1内への衝撃を抑えるとともに、かご1の動作を防ぐことができる。このため、エレベータの通常運転中、かご1内に乗客がいる状態でも、ブレーキ装置6の制動能力を確認できる。すなわち、通常サービス内での監視が可能となるので、診断のためにサービスを停止させる必要がなくなる。
また、乗客の有無によらず診断可能なため、診断の頻度を向上させることができる。なお、本発明は、通常サービス内でブレーキ装置6の制動能力を検出することができるが、動作を通常サービス中のみに限定するものではなく、制動能力確認モードといったモードに切替えて、サービスを停止させて実施してもよい。
また、ギャップ検出器11から得られるブレーキ装置6の可動部とブレーキコイルの間のギャップxを考慮して電磁吸引力FC(x、i)を計算することで、電磁吸引力FCを精度よく求めることができる。このため、ブレーキ装置6の制動能力を正確に計測することができるようになる。
制動能力の測定精度が悪い場合には、制動能力の健全性を担保するために、閾値に大きな裕度を持たせる必要があり、実際は正常に使用できる領域でも、サービスを停止させる必要が出てきてしまい、過剰検出になってしまうことが考えられる。これに対して、本実施の形態1では、制動能力を正確に計測することで、制動能力を正確に測定でき、過剰検出を抑制することで、サービス性の低下を抑えることが可能となる。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、ギャップ検出器11として変位センサを用いてギャップxを計測し、計測したギャップxとモータが回転を開始した電流iを用いて、電磁吸引力の関数FC(x、i)より電磁吸引力を計算し、求めた電磁吸引力を用いて、摩擦係数μを計算し、ブレーキ装置6の制動能力を検出した。これに対して、本実施の形態2では、先の実施の形態1とは異なる手順で、ブレーキの制動能力を検出する方法について説明する。
図3は、本発明の実施の形態2に係るエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。この図3のフローチャートは、先の実施の形態1における図2のフローチャートと同様に、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である。
この戸閉停止状態から、かご走行に移行する状態において、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させ(ステップS1a)、ブレーキ装置6を徐々に開放していき、ブレーキ装置6による制動トルクTBを徐々に小さくしていく。
ブレーキ装置6による制動トルクTBが低減していくと、ある時点で、制動トルクTBとアンバランストルクTAとが等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流を大きくし、制動トルクTBがアンバランストルクTAをわずかでも下回ると、巻上機2のモータが回転を始める。
状態監視部8の検出部13は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングを検知し、このモータが回転を始めたとき(つまり、制動トルクTBとアンバランストルクTAが釣合ったときに相当)に、ブレーキ装置6のブレーキコイルに供給されている電流値を測定し、これを記録する(ステップS2a)。
モータが回転を始めると同時に、モータ制御部10は、モータの回転を停止させるように、モータを制御し、モータトルクによってアンバランストルクTAを打ち消すことで、モータを停止させ、かご1を静止保持する(ステップS3a)。
ブレーキ制御部9は、モータの回転検出後も、ブレーキコイルへ供給する電流を増加させ、可動部をばねによる付勢力に逆らって吸引し、保持する(ステップS4a)。
そして、検出部13は、アンバランストルク検出器12より、巻上機2に作用しているアンバランストルクTAを計測する(ステップS5a)。
ステップS6aにおいて、状態監視部8の検出部13は、ギャップ検出器11による、ブレーキ装置6の可動部とブレーキコイルの間のギャップxを計測する。さらに、検出部13は、測定結果に基づいて、ギャップxに対応するブレーキコイルの電流iと電磁吸引力FCとを関係付けたデータテーブルと、ギャップxに対するブレーキ装置6の付勢力FBの値を選択する。
具体的には、このステップS6aの動作は、次のようにして行われる。
まず、予め、複数のギャップx対してブレーキコイルに電流iを与えたときに、可動部に作用する電磁吸引力FCの関係およびそのギャップxに対する付勢力FBをそれぞれ測定しておく。そして、この測定結果から、電流iと電磁吸引力FCの関係および付勢力FBをそれぞれのギャップxに対しデータテーブル化し、検出部13に記録しておく。例えば、ギャップxの変動範囲を3分割し、それぞれの領域の中心ギャップに対し、データテーブルを作成し、記録しておく。
そして、ギャップ検出器11は、ブレーキ保持時に、ブレーキコイルに流れている電流iとブレーキ制御部9の印加電圧uより、ブレーキコイルの抵抗Rを、次式(5)を用いて計算する。
R=u/i (5)
温度が上がると、ブレーキ装置6の取付部が熱で膨張するため、制動付加時におけるブレーキ装置6の可動部とブレーキコイルの間のギャップxは、増大する。逆に、温度が下がると、ブレーキ装置6の取付部が熱で収縮するため、ギャップxは、減少することになる。
つまり、温度によって、制動付加時の可動部とブレーキコイルの間のギャップxは、変化する。温度が変化すると、ブレーキコイルの抵抗Rも変化するため、ギャップ検出器11は、ブレーキコイルの抵抗Rを計測することで、温度変化による増減を考慮したギャップxを検出することができる。
検出部13は、ギャップ検出器11で計測されたブレーキコイルの抵抗Rより、ギャップxと抵抗Rの関係から対応するブレーキコイルの電流iと電磁吸引力FCを関係付けたデータテーブルと、ブレーキ装置6の付勢力FBの値を選択する。
その後、ステップS7aにおいて、検出部13は、ブレーキ装置6のブレーキドラムと可動部との間の摩擦係数μを算出する。
検出部13は、ステップS6aで選択したブレーキコイルの電流iと電磁吸引力FCを関係付けたデータテーブルを用いてモータが回転を開始した電流iより電磁吸引力FCを算出し、これと選択した付勢力FBの値を用いて、下式(6)より、摩擦係数μを算出する。
μ=TA/{(FB−FC)r} (6)
ステップS7aで摩擦係数μを計算した後は、ステップS8aに進む。状態監視部8の検出部13は、求めた摩擦係数μに基づいて、ブレーキ装置6の制動能力を確認する。
このとき、検出部13は、ブレーキ装置6がかご1を保持するために必要な摩擦係数μの基準範囲を予め記憶しておく。さらに、検出部13は、直前の複数回の測定結果と今回の測定結果の平均をとり、平均摩擦係数μが基準範囲内にあるか否かを判定する。そして、平均摩擦係数μが基準範囲内の場合には、検出部13は、ブレーキ装置6の制動能力が正常であると判断し(ステップS9a)、かご走行に移行する(ステップS10a)。
一方、平均摩擦係数μが基準範囲外の場合には、検出部13は、ブレーキ装置6の制動能力が異常であると判断し(ステップS11a)、エレベータの運転を休止させ(ステップS12a)、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを保守会社等の所定の場所に向けて発報する。
本実施の形態2では、ギャップ検出器11を用いて、温度を検出するために、ブレーキコイルの抵抗Rを算出したが、これに限定されない。ギャップ検出器11として、温度センサを配置し、温度そのものを計測してもよい。
また、その他にも、本実施の形態2では、温度とギャップxの関係に注目したが、ギャップxは、エレベータの軸荷重でも変化する。そのため、ギャップ検出器11は、かご1内の負荷を計測する秤装置を備え、秤装置によって計測されたかご1内の負荷を利用することも考えられる。
この場合には、計測されたかご内の負荷、および釣合おもり5とロープ4の重量から、軸荷重を算出し、検出部13は、ギャップ検出器11で計測した軸荷重に応じたギャップxに対するブレーキコイルの電流iと電磁吸引力FCを関係付けたデータテーブルと、ブレーキ装置6の付勢力FBの値を選択してもよい。
さらに、本実施の形態2では、温度とギャップxの関係を使用したが、ギャップ検出器11は、変位センサを備え瘻孔性としてもよい。この場合には、変位センサによりそのままギャップxを計測し、検出部13は、ギャップ検出器11で計測したギャップxに対するブレーキコイルの電流iと電磁吸引力FCを関係付けたデータテーブルと、ブレーキ装置6の付勢力FBの値を選択してもよい。
このように、ギャップxに対するブレーキコイルの電流iと電磁吸引力FCを関係付けたデータテーブルや、ギャップxと対応する付勢力FBの値を記録しておくことで、非線形で複雑な計算式を用いることなく、ギャップxの変動に対応することができる。そのため、ブレーキ装置6の制動能力を、簡単にかつ精度よく検出することができるようになる。
実施の形態3.
先の実施の形態1、2では、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ供給する電流を徐々に増加させていき、モータがアンバランストルクTAで回転を始めるときのブレーキコイルの電流i、およびギャップ検出器11から検出されるブレーキ装置6の可動部とブレーキコイルとの間のギャップxを用いて、電磁吸引力の関数FC(x、i)より電磁吸引力を計算した。
これに対して、本実施の形態3では、ギャップ検出器11を用いずに、モータがアンバランストルクTAで回転を始めるまでの時間を用いて、電磁吸引力の関数FC(t)より電磁吸引力FCを計算し、ブレーキ装置6の制動能力を検出する場合について説明する。
図4は、本発明の実施の形態3に係るエレベータ制御装置を含むエレベータシステム全体を示す構成図であり、先の実施の形態1における図1と同様の構成については、同一符号を付すか、あるいは符号の後に「b」を付しており、詳述を省略する。
状態監視部8bは、ブレーキ制御部9と、モータ制御部10と、アンバランストルク検出器12と、検出部13と、を備えて構成されている。本実施の形態3における図4に示した構成は、先の実施の形態1における図1の構成と比較すると、ギャップ検出器11を備えていない点が異なっている。
次に、本実施の形態3におけるエレベータ制御装置の動作について、フローチャートのい基づいて説明する。図5は、本発明の実施の形態3に係るエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。この図3のフローチャートは、先の実施の形態1における図2のフローチャート、および先の実施の形態2における図3のフローチャートと同様に、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である。
この戸閉停止状態から、かご走行に移行する状態において、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させるように制御するとともに、検出部13は、ブレーキコイルに電流が供給されてからの時間の計測を開始する(ステップS1b)。ブレーキコイルの電流が増加することで、ブレーキ装置6は、徐々に開放され、ブレーキ装置6による制動トルクTBは、徐々に減少していく。
ブレーキ装置6による制動トルクTBが低減していくと、ある時点で、制動トルクTBとアンバランストルクTAとが等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流iを大きくし、制動トルクTBがアンバランストルクTAをわずかでも下回ると、巻上機2のモータが回転を始める。
状態監視部8bの検出部13は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングを検知し、ブレーキ制御部9がブレーキコイルへの電流供給を開始してから、モータが回転を始めたときまでの時間(つまり、制動トルクTBとアンバランストルクTAとが釣合うまでの時間)tmを測定し、これを記録する(ステップS2b)。
モータが回転を始めると同時に、モータ制御部10は、モータの回転を停止させるように、モータを制御し、モータトルクによってアンバランストルクTAを打ち消すことで、モータを停止させ、かご1を静止保持する(ステップS3b)。
ブレーキ制御部9は、モータの回転検出後も、ブレーキコイルへ供給する電流を増加させていく。コイル電流が増加することで電磁吸引力が増大していくと、電磁吸引力とばねによる付勢力が等しくなり、この状態からブレーキコイルの電流が増加し、電磁吸引力が付勢力をわずかでも超えると、ブレーキ装置6の可動部は、ブレーキコイルに吸引される。
検出部13は、ブレーキ制御部9がブレーキコイルへの電流供給を開始してから、この電磁吸引力が付勢力に打ち勝って可動部を吸引し始めるまでの時間thを記録する。なお、可動部が吸引を開始するタイミングは、ブレーキコイルの電流から検出する。可動部が移動を開始すると、ブレーキコイルに逆起電力が発生するため、ブレーキコイルに流れる電流は、減少することになる。
そこで、検出部13は、ブレーキコイルの電流を監視し、電流が逆起電力によって低下を開始したタイミングから可動部の移動を検出する。可動部吸引完了後は、吸引状態を保持しておく(ステップS4b)。
なお、ここでは、可動部の吸引開始のタイミングをコイル電流から検出する方法を示したが、これに限定されず、変位センサや機械的なスイッチなどを取付け、それらの出力から動き出しを検出してもよい。
可動部を吸引保持した後、検出部13は、アンバランストルク検出器12より、巻上機2に作用しているアンバランストルクTAを計測する(ステップS5b)。
そして、ステップS6bにおいて、検出部13は、ブレーキ装置6のブレーキドラムと可動部との間の摩擦係数μを算出する。
検出部13は、ブレーキ制御部9が印加するブレーキコイルへの電圧波形に対する時間tと電磁吸引力FCの関係式FC(t)、または、ブレーキコイルに電圧を印加したときの時間tと可動部に作用する電磁吸引力FCの関係を測定しデータテーブル化したものを記録しておく。
そして、検出部13は、ステップS2b記録したモータが回転を開始するまでの時間tmと、ステップS4bで記録した可動部が吸引し始めるまでの時間thより、アンバランストルクTAと制動トルクTBが釣合っているときの電磁吸引力FCと付勢力FBを算出する。
図6は、本発明の実施の形態3におけるブレーキコイルに電圧を印加したときの電圧、電流、および電磁吸引力FCのそれぞれの応答波形の関係を示す図である。また、図6では、可動部とブレーキコイルの間のギャップxが、x=xaとx=xb(xa<xb)のときの2つの波形を示している。
図6において、横軸は、時間を示し、(a)は、ブレーキコイルに印加される電圧の波形、(b)は、電圧が印加されたときのブレーキコイルの電流iの波形、(c)は、ブレーキコイルの電流iによる電磁吸引力FCの波形、をそれぞれ示している。
ブレーキコイルに電圧が印加されると、ブレーキコイルの抵抗値およびインダクタンス値によって定まる時定数に応じて、ブレーキコイルの電流iが増加する。このときの電流iの増加は、時定数によって変化し、時定数が大きくなると、電流iの立ち上がりは遅くなり、逆に、時定数が小さいと、電流iの立ち上がりは早くなる。
ブレーキ装置6のギャップxが変化すると、インダクタンスが変化するため、時定数が変動する。ギャップxが小さくなるにつれて、ブレーキコイルのインダクタンスは、増加していくため、ギャップxが小さくなることで、時定数は大きくなっていく。そのため、図6に示すように、印加した電圧に対する電流iの立ち上がりは、ギャップxが小さくなると(x=xaのとき)遅くなる。
また、電流iと電磁吸引力FCの関係もギャップxで変化し、ギャップxが小さくなるにつれて、電流iに対する電磁吸引力FCは大きくなり、逆に、ギャップxが大きくなるにつれて、電流iに対する電磁吸引力FCは減少する。
そのため、ギャップxが小さいとき(x=xa)は、電流iの立ち上がりが早いため、時間tに対する電流値iは高くなるが、ギャップxが大きい分、電磁吸引力FCは低下する。逆に、ギャップxが大きいとき(x=xb)は、電流iの立ち上がりが遅いため、時間tに対する電流値iは低くなるが、ギャップxが小さい分、電磁吸引力FCは増加する。
よって、時間tと電磁吸引力FCの関係でみると、ギャップxに対する電流iの立ち上がり速度と電磁吸引力FCの大きさの影響は、ギャップxの影響を互いに打ち消す方向に作用するため、図6に示すように、印加した電圧に対する、電磁吸引力FCの時間波形は、ギャップxの変化による変動が小さい。
以上のことから、電磁吸引力FCを時間tから求めることで、ギャップxの変化の影響を抑えることができる。このため、ギャップxを用いずとも、電磁吸引力FCを精度よく求めることができるようになる。
次に、図5のフローチャートの説明に戻り、ステップS6bの動作は、次のようにして行われる。まず、アンバランストルクTAと制動トルクTBとが釣合ったときの電磁吸引力FCは、モータが回転を開始するまでの時間tmでの電磁吸引力FCである。したがって、時間tと電磁吸引力FCの関係式FC(t)を用いて、下式(7)により求まる。
FC=FC(tm) (7)
次に、付勢力FBに関しては、ブレーキ装置6の可動部が吸引を開始するときは、電磁吸引力FCと付勢力FBが釣合っているタイミングであることから、可動部が吸引動作を開始するまでの時間thでの電磁吸引力FCより、下式(8)により求まる。
FB=FC(th) (8)
よって、検出部13は、計測した時間tmとthを用いて、下式(9)より、摩擦係数μを算出する。
μ=TA/{(FB−FC)r}
=TA/{(FC(th)−FC(tm))r} (9)
ステップS6bで摩擦係数μを計算した後は、ステップS7bに進む。そして、状態監視部8bの検出部13は、求めた摩擦係数μに基づいて、ブレーキ装置6の制動能力が、基準範囲をはずれるまでの正常日数を計算する。
このとき、検出部13は、ブレーキ装置6がかご1を保持するために必要な摩擦係数μの基準範囲、および保守会社による定期点検の時期を予め記憶しておく。また、状態監視部8bで計測した過去数回分の結果と計測日時を、計測時に記録しておく。
そして、検出部13は、今回の計測結果と、過去数回分の計測結果より、例えば、最小二乗法などを用いて摩擦係数μの変化率を算出し、算出した変化率で摩擦係数μが変化したときに、記憶した基準範囲を超えるまでの日数である正常日数を推定する。
次に、ステップS8bにおいて、検出部13は、正常日数と次回の保守の点検日とを比較する。正常日数が次の保守点検日よりも短い場合には、保守点検日までブレーキ装置6の制動能力がもたないことを意味する。この場合には、状態監視ぶ8bは、エレベータの保守会社に、推定した正常日数以内に保守を実施するように発報する(ステップS11b)。
一方、正常日数が次回の保守の点検日より長い場合には、検出部13は、正常日数が次回の保守の点検日より所定値内か否かを判定する。所定値内の場合には、次回の保守点検後、すぐにブレーキ装置6の制動能力が不足することを意味する。そこで、この場合には、次回の保守点検日に、制動能力の保守点検を実施するように、保守会社に発報する(ステップS12b)。
また、先のステップS9bにおいて、正常日数が次回の保守の点検日から所定値内でない場合には、検出部13は、ブレーキ装置6の制動能力は、正常であると判断する(ステップS10b)。
そして、正常日数の範囲内ならば、ブレーキ装置6が十分な制動能力を有していることとなり、正常動作が可能なため、診断後、エレベータは、かご走行に移行する(ステップS13b)。
ここでは、ブレーキ装置6の制動能力に余裕があり、正常日数がある場合を考えている。ただし、ステップS6bで求めた摩擦係数μが基準範囲内にない場合には、ブレーキ装置6の異常と判断し、そのままエレベータの運転を休止させ、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを保守会社等の所定の場所へと発報する。
このように、時間tを用いて電磁吸引力FCと付勢力FBを算出することで、ブレーキ装置6の可動部とブレーキコイルの間のギャップxの影響を抑え、精度よく電磁吸引力FCを算出できるようになる。このため、ギャップ検出器を用いることなく、ブレーキ装置6の制動能力を検出できることとなる。
また、ブレーキ装置6の制動能力が正常な期間を予測することで、異常状態に陥る前に保守を実施できるとともに、保守を実施するタイミングを調整できる。このため、エレベータのサービスを継続しながら、サービス停止中や利用者の少ないタイミングで保守を行うことが可能となる。よって、サービス性を保ちながら、適切なタイミングで保守点検を実施することが可能となる。
実施の形態4.
先の実施の形態3では、モータがアンバランストルクTAで回転を始めるまでの時間を用いて、電磁吸引力の関数FC(t)より電磁吸引力FCを計算し、ブレーキ装置6の制動能力を検出する場合について説明した。これに対して、本実施の形態4では、温度変動も考慮して電磁吸引力FCを計算し、ブレーキ装置6の制動能力を検出する場合について説明する。
なお、先の実施の形態1では、エレベータ制御装置の備えるブレーキ装置6が、1つであったが、本実施の形態4では、エレベータ制御装置に互いに独立して制動動作可能な2つのブレーキ装置6が備えられている場合を考えることとする。
図7は、本発明の実施の形態4に係るエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。この図7のフローチャートは、先の実施の形態1における図2のフローチャート、先の実施の形態2における図3のフローチャート、および先の実施の形態3における図5のフローチャートと同様に、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である。
この戸閉停止状態から、かご走行に移行する状態において、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させるように制御するとともに、検出部13は、ブレーキコイルに電流iが供給されてからの時間の計測を開始する(ステップS1c)。
このとき、2つのブレーキ装置6に同時に電圧を印加すると、ブレーキ装置6の個体差から、どちらか一方のブレーキコイルの電流iの増加が遅れるため、電流iの増加が遅い方のブレーキ装置6の制動能力ばかりを測定することになってしまう。そこで、ブレーキ制御部9は、2つのブレーキ装置6へタイミングをずらして、ブレーキコイルに電流iを供給する。
このとき、ブレーキ制御部9は、電流iの供給を遅らせる方のブレーキ装置6を、診断のたびに交互に交代させる。こうすることにより、診断のたびに開放が遅れるブレーキ装置6が変化するため、2回の診断で、両方のブレーキ装置6の制動能力を検出できるようになる。
ブレーキコイルの電流が増加することで、ブレーキ装置6は、徐々に開放され、ブレーキ装置6による制動トルクTBは、徐々に減少していく。ブレーキ装置6による制動トルクTBが低減していくと、ある時点で、制動トルクTBとアンバランストルクTAとが等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流iを大きくし、制動トルクTBがアンバランストルクTAをわずかでも下回ると、巻上機2のモータが回転を始める。
状態監視部8bの検出部13は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングを検知し、ブレーキ制御部9がブレーキコイルへの電流供給を開始してから、モータが回転を始めたときまでの時間(つまり、制動トルクTBとアンバランストルクTAとが釣合までの時間)tmを測定し、これを記録する(ステップS2c)。
モータが回転を始めると同時に、モータ制御部10は、モータの回転を停止させるように、モータを制御し、モータトルクによってアンバランストルクTAを打ち消すことで、モータを停止させ、かご1を静止保持する(ステップS3c)。
ブレーキ制御部9は、モータの回転検出後も、ブレーキコイルへ供給する電流を増加させていく。コイル電流が増加することで電磁吸引力が増大していくと、電磁吸引力とばねによる付勢力が等しくなり、この状態からブレーキコイルの電流が増加し、電磁吸引力が付勢力をわずかでも超えると、ブレーキ装置6の可動部は、ブレーキコイルに吸引される。
検出部13は、ブレーキ制御部9がブレーキコイルへの電流供給を開始してから、この電磁吸引力が付勢力に打ち勝って可動部を吸引し始めるまでの時間thを記録する。なお、可動部が吸引を開始するタイミングは、ブレーキコイルの電流iが逆起電力によって変化するタイミングから検出する。可動部吸引完了後は、吸引状態を保持しておく(ステップS4c)。
可動部を吸引保持した後、検出部13は、アンバランストルク検出器12より、巻上機2に作用しているアンバランストルクTAを計測する(ステップS5c)。
そして、ステップS6cにおいて、状態監視部8の検出部13は、ブレーキ装置6の温度を計測する。ここで、ステップS6cの動作は、次のように行われる。
ブレーキ装置6の温度が変化すると、ブレーキコイルの抵抗Rが変化する。このことから、検出部13は、ブレーキコイルの抵抗Rを算出することで、温度の検出を行う。ブレーキコイルの抵抗Rは、ブレーキ保持時にブレーキコイルに流れる電流iと、そのときのブレーキ制御部9の印加電圧uより、次式(10)を用いて計算をおこなう。
R=u/i (10)
なお、ここでは、温度を検出するためにブレーキコイルの抵抗Rを算出したが、これに限定されず、温度センサを配置し、実際の温度を計測してもよい。
次に、ステップS7cにおいて、検出部13は、ブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBを算出する。
印加電圧に対する電流iの立ち上がりは、時定数によって変化するが、時定数は、ブレーキコイルのインダクタンスの値によって決まる。そのため、ブレーキ装置6の温度変化に伴ってブレーキコイルの抵抗が変化すると、時定数が変化する。そうすると、電流iの時間tに対する挙動が変化するため、時間tに対する電磁吸引力FCの波形も変化することになる。
そこで、温度変動が生じても正確に電磁吸引力FCを算出するために、ステップS6cで計測した温度変動によって変化したブレーキコイルの抵抗値Rを用いて、ステップS7cで、時間tに対する電磁吸引力FCの関係を補正し、関数FCt(t、R)を用いて電磁吸引力FCを算出する。
関数FCt(t、R)としては、例えば、次のような式が挙げられる。
印加電圧に対する電流iの立ち上がりは、時定数L/Rによって変化する。よって、抵抗Rが変化すると、抵抗Rの変化割合の逆数で電流iの立ち上がりが変化する。電流iと電磁吸引力FCの関係より、電流iの立ち上がりが変化すると、変化分だけ電磁吸引力FCの時間tに対する波形も変化する。よって、電磁吸引力FCは、次式(11)より求まる。
FC=FCt(t、R)=FC(t・Ro/R) (11)
ここで、既知のRoは、通常温度でのコイル抵抗の値であり、FC(t)は、通常温度環境での印加した電圧に対する時間tと電磁吸引力FCの関係式である。
このように、時間tと電磁吸引力FCの関係式を、抵抗Rの変化による時定数の変化割合分だけ変化させることで、温度が変化しても、正確な電磁吸引力FCを算出できるようになる。
そこで、ステップS7cにおいて、ブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBの算出は、次のようにして行われる。まず、アンバランストルクTAと制動トルクTBが釣合ったときの電磁吸引力FCを、モータが回転を開始するまでの時間tmとコイル抵抗Rを用いて、下式(12)により求める。
FC=FCt(tm、R) (12)
次に、ブレーキ装置6の可動部が吸引を開始するときには、付勢力FBは、電磁吸引力FCと一致する。このことから、付勢力FBは、可動部が吸引動作を開始するまでの時間thとコイル抵抗Rを用いて、下式(13)により求まる。
FB=FCt(th、R) (13)
よって、計測した時間tmとth、およびコイル抵抗Rを用いて、下式(14)より、摩擦係数μを算出する。
μ=TA/{(FB−FC)r}
=TA/{(FCt(th、R)−FCt(tm、R))r}
(14)
そして、算出した摩擦係数μと付勢力FBを用いて、下式(15)より、ブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBを算出する。
TB=rμFB
=rTA/{(FCt(th、R)−FCt(tm、R))r}FCt(th、R) (15)
ステップS7cでブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBを計算した後は、ステップS8cに進む。状態監視部8bの検出部13は、求めたブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBに基づいて、ブレーキ装置6の制動能力を確認する。
このとき、検出部13は、ブレーキ装置6がかご1を保持するために必要な制動トルクTBの基準範囲を予め記憶しておき、算出したブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBが、基準範囲内にあるか否かを判定する。そして、算出したブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBが基準範囲内の場合には、検出部13は、ブレーキ装置6の制動能力が正常であると判断し(ステップS9c)、かご走行に移行する(ステップS10c)。
一方、算出したブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBが基準範囲外の場合には、検出部13は、ブレーキ装置6の制動能力が異常であると判断し(ステップS11c)、エレベータの運転を休止させ(ステップS12c)、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを、保守会社等の所定の場所に向けて発報する。
このように、ブレーキコイルを用いて時間tと電磁吸引力FCの関係式を補正してブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBを求めることで、温度変動に対応したブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBを算出できる。このため、温度変化がある場合にも、正確にブレーキ装置6の制動能力を検出できる。
また、2つのブレーキ装置6への電流iの供給を交互にずらすことで、一方のブレーキ装置6ばかりを診断することを防ぎ、2回の診断で、両方のブレーキ装置6の制動能力を検出可能となる。
なお、本実施の形態4では、時間t、コイル抵抗Rと電磁吸引力FCの関係式FCt(t、R)を用いて電磁吸引力FCを算出したが、これに限定されない。複数の温度に対する時間tと電磁吸引力FCの関係を記録したデータテーブルを記憶しておき、検出した抵抗Rから対応する温度のデータテーブルを選択し、時間tとデータテーブルを用いて電磁吸引力FCを算出してもよい。
また、本実施の形態4では、ブレーキドラムを保持している時の制動トルクTBを用いてブレーキ装置6の制動能力を検出したが、これに限定されるわけではなく、上式(14)で求めた摩擦係数μを用いてブレーキ装置6の制動能力を検出してもよい。
また、本実施の形態4では、2つのブレーキ装置6を有する場合を説明したが、ブレーキ装置6の数は、2つに限定されるわけではなく、3つ以上のブレーキ装置6を有する場合にも、同様の手法を適用することができる。
実施の形態5.
先の実施の形態3では、モータがアンバランストルクTAによって回転を始めるまでの時間tmと、ブレーキ装置6の可動部が吸引動作を開始するまでの時間thとを用いて、電磁吸引力の関数FC(t)よりそれぞれの時間での電磁力を算出し、ブレーキ装置6の制動能力を検出する場合について説明した。これに対して、本実施の形態5では、モータがアンバランストルクTAによって回転を始めるまでの時間tmのみを用いて、ブレーキ装置6の制動能力を検出する場合について説明する。
図8は、本発明の実施の形態5に係るエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。この図8のフローチャートは、先の実施の形態1における図2のフローチャート、先の実施の形態2における図3のフローチャート、先の実施の形態3における図5のフローチャート、および先の実施の形態4における図7のフローチャートと同様に、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である。
この戸閉停止状態から、かご走行に移行する状態において、ブレーキ制御9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルに流れる電流を増加させるように制御するとともに、検出部13は、ブレーキコイルに電流iが供給されてからの時間の計測を開始する(ステップS1d)。
ブレーキコイルの電流が増加することで、ブレーキ装置6は、徐々に開放され、ブレーキ装置6による制動トルクTBは、徐々に減少していく。ブレーキ装置6による制動トルクTBが減少していくと、ある時点で、制動トルクTBとアンバランストルクTAとが等しくなり、釣り合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流iを大きくし、制動トルクTBがアンバランストルクTAをわずかでも下回ると、巻上機2のモータが回転を始める。
状態監視部8bの検出部13は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングを検知し、ブレーキ制御部9がブレーキコイルへの電流供給を開始してから、モータが回転を始めたときまでの時間(つまり、制動トルクTBとアンバランストルクTAとが釣合うまでの時間)tmを測定し、これを記録する(ステップS2d)。
モータが回転を開始すると同時に、モータ制御部10は、モータの回転を停止させるように、モータを制御し、モータトルクによってアンバランストルクTAを打ち消すことで、モータを停止させ、かご1を静止保持する(ステップS3d)。
ブレーキ制御部9は、モータの回転検出後も、ブレーキコイルへ供給する電流を増加させていく。コイル電流が増加することで電磁吸引力が増大していくと、電磁吸引力がばねの付勢力よりも大きくなり、ブレーキ装置6の可動部は、ブレーキコイルに吸引される。可動部吸引完了後は、吸引状態を保持しておく。そして、可動部を吸引保持した後、検出部13は、アンバランス検出器12により、巻上機2に作用しているアンバランストルクTAを計測する(ステップS4d)。
そして、検出部13は、ブレーキ装置6のブレーキドラムと可動部との間の摩擦係数μを算出する(ステップS5d)。
検出部13は、ブレーキ制御部9が印加するブレーキコイルへの電圧波形に対する時間tと電磁吸引力FCとの関係式FC(t)を記録しておく。そして、検出部13は、ステップS2dで記録したモータが回転を開始するまでの時間tmより、アンバランストルクTAと制動トルクTBが釣合っているときの電磁吸引力FCを算出する。すなわち、電磁吸引力FCは、時間tと電磁吸引力FCの関係式FC(t)を用いて、下式(16)により求まる。
FC=FC(tm) (16)
また、検出部13は、ばねによる付勢力FBに関して、付勢力FBの設定値を事前に記憶しておき、計測した時間tmを用いて、下式(17)より、摩擦係数μを算出する。
μ=TA/{(FB−FC)r}
=TA/{(FB−FC(tm))r} (17)
ステップS5dで摩擦係数μを計算した後は、ステップS6dに進む。そして、検出部13は、求めた摩擦係数μに基づいて、ブレーキ装置6の制動能力を確認する。
検出部13は、ブレーキ装置6がかご1を保持するために必要な摩擦係数μの基準範囲をあらかじめ記憶しておき、算出した摩擦係数μが、基準範囲内にあるか否かを判定する。そして、算出した摩擦係数μが基準範囲内の場合には、検出部13は、ブレーキ装置6の制動能力が正常であると判断し(ステップS7d)、かご走行に移行する(ステップS8d)。
一方、算出した摩擦係数μが基準範囲外の場合には、検出部13は、ブレーキ装置6の制動能力が異常であると判断し(ステップS9d)、エレベータの運行を休止させ(ステップS10d)、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを、保守会社等の所定の場所に向けて発報する。
このように、モータがアンバランストルクTAで回転を始めるまでの時間tmのみからブレーキ装置6の制動能力を検出することもできる。このため、ブレーキ装置6の可動部が吸引動作を開始するまでの時間thの計測が必要なく、モータが回転を開始するまでの時間tmを計測するだけでよく、容易にブレーキ装置6の制動能力を検出できることとなる。

Claims (10)

  1. エレベータの昇降路内に配置されたかごおよび釣合おもりと、
    前記かごおよび前記釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、
    付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで制動力を発生するばねおよび電流を流すことによって前記ばねの付勢力に抗して前記可動部を吸引し制動を解除するブレーキコイルを有して前記巻上機のモータを制動するブレーキ装置と、
    前記モータの回転数を検出する回転検出器と
    を備えたエレベータ装置を制御するエレベータ制御装置であって、
    前記ブレーキ装置の制動能力を検出する状態監視部をさらに備え、
    前記状態監視部は、
    前記ブレーキコイルへの電流を制御することで、前記ブレーキ装置の制動力を制御するブレーキ制御部と、
    前記かご側と前記釣合おもり側との間の重量不均衡によって前記モータに作用するアンバランストルクをアンバランストルク情報として検出するアンバランストルク検出器と、
    前記かごが前記ブレーキ装置による制動力で停止され、前記かご側と前記釣合おもり側との間に重量不均衡がある状態で、前記ブレーキ制御部前記ブレーキコイルへの電流を制御させて前記ブレーキ装置による制動を開放させていき、前記制動の開放開始から前記回転検出器前記モータ回転を検出し始める回転開始時までの第1の経過時間計測、前記開放開始からの経過時間と電磁吸引力の対応関係から前記第1の経過時間での前記ブレーキコイルの第1の電磁吸引力を算出し、前記アンバランストルク情報および前記第1の電磁吸引力から前記回転開始時の前記ブレーキ装置の力の釣合関係によって、前記ブレーキ装置の制動能力を検出する検出部と
    を含むエレベータ制御装置。
  2. 前記検出部は、前記開放開始から前記ブレーキ装置の前記可動部の吸引が開始されるまでの第2の経過時間計測するとともに、前記対応関係から前記第2の経過時間での前記ブレーキコイルの第2の電磁吸引力を算出し、前記アンバランストルク情報、前記第1の電磁吸引力、および前記第2の電磁吸引力から前記回転開始時の前記ブレーキ装置の力の釣合関係によって、前記ブレーキ装置の制動能力を検出する
    請求項1に記載のエレベータ制御装置。
  3. 前記検出部は、前記ブレーキ制御部が前記ブレーキコイルに印加した電圧と前記ブレーキコイルに流れる電流から前記ブレーキコイルの抵抗値を検出し、検出した前記ブレーキコイルの抵抗値によって、事前に記憶した前記対応関係を補正する
    請求項1または2に記載のエレベータ制御装置。
  4. エレベータの昇降路内に配置されたかごおよび釣合おもりと、
    前記かごおよび前記釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、
    付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで制動力を発生するばねおよび電流を流すことによって前記ばねの付勢力に抗して前記可動部を吸引し制動を解除するブレーキコイルを有して前記巻上機のモータを制動するブレーキ装置と、
    前記モータの回転数を検出する回転検出器と
    を備えたエレベータ装置を制御するエレベータ制御装置であって、
    前記ブレーキ装置の制動能力を検出する状態監視部をさらに備え、
    前記状態監視部は、
    前記ブレーキコイルへの電流を制御することで、前記ブレーキ装置の制動力を制御するブレーキ制御部と、
    前記かご側と前記釣合おもり側との間の重量不均衡によって前記モータに作用するアンバランストルクをアンバランストルク情報として検出するアンバランストルク検出器と、
    前記ブレーキ装置における前記可動部と前記ブレーキコイルとの間のギャップをギャップ情報として検出するギャップ検出器と、
    前記かごが前記ブレーキ装置による制動力で停止され、前記かご側と前記釣合おもり側との間に重量不均衡がある状態で、前記ブレーキ制御部前記ブレーキコイルへの電流を制御させて前記ブレーキ装置による制動を開放させていき、前記回転検出器前記モータ回転を検出し始める回転開始時の前記ブレーキコイルの第1の電流情報を前記ブレーキ制御部より取得、前記ブレーキコイルの電流情報および前記ギャップ情報と電磁吸引力との対応関係より前記第1の電流情報に対する前記ブレーキコイルの第1の電磁吸引力を算出し、前記アンバランストルク情報および前記第1の電磁吸引力から前記回転開始時の前記ブレーキ装置の力の釣合関係によって、前記ブレーキ装置の制動能力を検出する検出部と
    を含むエレベータ制御装置。
  5. 前記検出部は、前記ブレーキ装置の前記可動部が吸引を開始した吸引開始時の前記ブレーキコイルの第2の電流情報を前記ブレーキ制御部より取得するとともに、前記対応関係から前記第2の電流情報に対する前記ブレーキコイルの第2の電磁吸引力を算出し、前記アンバランストルク情報、前記第1の電磁吸引力、および前記第2の電磁吸引力から前記回転開始時の前記ブレーキ装置の力の釣合関係によって、前記ブレーキ装置の制動能力を検出する
    請求項4に記載のエレベータ制御装置。
  6. 前記ギャップ検出器は、前記ブレーキ制御部が前記ブレーキコイルに印加した電圧と前記ブレーキコイルに流れる電流から前記ブレーキコイルの抵抗値を検出し、検出した前記ブレーキコイルの抵抗値から前記ブレーキ装置が前記モータを制動しているときの前記ギャップを検出する
    請求項4または5に記載のエレベータ制御装置。
  7. 前記状態監視部は、前記回転開始時の後に、前記モータの回転を停止保持するように制御するモータ制御部をさらに含む
    請求項1から6のいずれか1項に記載のエレベータ制御装置。
  8. 請求項1または4に記載のエレベータ制御装置と、このエレベータ制御装置によって制御される前記エレベータ装置とを備えたエレベータシステム。
  9. エレベータの昇降路内に配置されたかごおよび釣合おもりと、
    前記かごおよび前記釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、
    付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで制動力を発生するばねおよび電流を流すことによって前記ばねの付勢力に抗して前記可動部を吸引し制動を解除するブレーキコイルを有して前記巻上機のモータを制動するブレーキ装置と、
    前記モータの回転数を検出する回転検出器と
    を備えたエレベータ装置を制御するエレベータ制御方法であって、
    前記かご側と前記釣合おもり側との間の重量不均衡によって前記モータに作用するアンバランストルクを、アンバランストルク検出器を介してアンバランストルク情報として検出するアンバランストルク検出ステップと、
    前記かごが前記ブレーキ装置による制動力で停止され、前記かご側と前記釣合おもり側との間に重量不均衡がある状態で、前記ブレーキコイルへの電流を制御して前記ブレーキ装置による制動を開放ていき、前記制動の開放開始から前記回転検出器回転を検出し始める回転開始時までの経過時間を計測、前記開放開始からの経過時間と電磁吸引力の対応関係から前記回転開始時までの経過時間での前記ブレーキコイルの電磁吸引力を算出し、前記アンバランストルク情報および前記電磁吸引力から前記回転開始時の前記ブレーキ装置の力の釣合関係によって、前記ブレーキ装置の制動能力を検出する検出ステップと
    を含むエレベータ制御方法。
  10. エレベータの昇降路内に配置されたかごおよび釣合おもりと、
    前記かごおよび釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、
    付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで制動力を発生するばねおよび電流を流すことによって前記ばねの付勢力に抗して前記可動部を吸引し制動を解除するブレーキコイルを有して前記巻上機のモータを制動するブレーキ装置と、
    前記モータの回転数を検出する回転検出器と
    を備えたエレベータ装置を制御するエレベータ制御方法であって、
    前記かご側と前記釣合おもり側との間の重量不均衡によって前記モータに作用するアンバランストルクを、アンバランストルク検出器を介してアンバランストルク情報として検出するアンバランストルク検出ステップと、
    前記ブレーキ装置における前記可動部と前記ブレーキコイルとの間のギャップを、ギャップ検出器を介してギャップ情報として検出するギャップ検出ステップと、
    前記かごが前記ブレーキ装置による制動力で停止され、前記かご側と前記釣合おもり側との間に重量不均衡がある状態で、前記ブレーキコイルへの電流を制御して前記ブレーキ装置による制動を開放ていき、前記回転検出器が回転を検出し始める回転開始時の前記ブレーキコイルの電流情報を取得し、前記ブレーキコイルの電流情報および前記ギャップ情報と電磁吸引力との対応関係から前記回転開始時の前記電流情報に対する前記ブレーキコイルの電磁吸引力を算出し、前記アンバランストルク情報および前記電磁吸引力から前記回転開始時の前記ブレーキ装置の力の釣合関係によって、前記ブレーキ装置の制動能力を検出する検出ステップと
    を含むエレベータ制御方法。
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