JP6537458B2 - エレベータ制御装置、エレベータ監視システム、及びエレベータ制御方法 - Google Patents

エレベータ制御装置、エレベータ監視システム、及びエレベータ制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、エレベータ用巻上機の制動能力を診断するエレベータ制御装置、エレベータ監視システム、及びエレベータ制御方法に関する。
一般的なエレベータでは、昇降路内に配置されたかごは、巻上機のシーブに巻き掛けられた主索、すなわちロープにより、他端側の釣合おもりとともにつるべ式に吊持されており、巻上機のモータによって昇降駆動される。
ブレーキドラムは、巻上機のモータとシーブとを結合する軸上に配置されている。そして、ばねの付勢力によって可動部をブレーキドラムに押付けて巻上機モータの回転に制動を掛けるとともに、ブレーキコイルに電流を流すことによって発生する電磁力で可動部をブレーキドラムから吸引・離反させて制動を解除するブレーキ装置が設けられている。また、巻上機には、巻上機モータの回転数を検出して出力するエンコーダが設けられている。
かごの停止中は、ブレーキ装置により巻上機モータの静止状態が保持され、かごが停止位置に保持される。一方、かごの走行中に何等かの異常が検出され、かごを非常停止させる場合も、ブレーキ装置が働いて巻上機モータが減速停止され、これによりかごが即座に停止される。
このように、ブレーキ装置はかごを非常停止させるためにも用いられるため、ブレーキ装置は、巻上機モータを静止保持するための保持能力だけでなく巻上機モータを減速停止させるための制動能力も、適切に設定しておく必要がある。
例えば、制動能力が大き過ぎると、非常停止時の減速度が過大となり、乗り心地が悪くなる恐れがある。このため、制動能力は、非常停止時の減速度が1G以下となるように設定される。また、制動能力が小さ過ぎると、非常停止時の減速度が小さくなり、制動距離が長くなり、例えば安全装置が動作した場合などの緊急の場合にも、かごを即座に停止させることができなくなってしまう。
上記のような理由から、ブレーキ装置の制動能力は適切な値に設定しておく必要があるが、初期段階で適正に設定したとしても、経年的な変化等により制動能力が異常となる可能性もあるため、制動能力の定期的な保守点検を実施し、制動能力が異常になっていないかを確認する必要がある。
このような課題に対して、ブレーキ装置を開放し、巻上機モータを所定速度で駆動させた状態で、ブレーキ装置を動作させることにより巻上機モータに制動力を作用させ、かごを停止させるとともに、このときの巻上機の制動距離と閾値を比較することによって制動力の正常・異常を判定するエレベータのブレーキ点検装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2002−46952号公報
しかしながら、従来技術では所定速度まで巻上機を増速させた状態で、ブレーキ装置を動作させるため、急激な減速によって衝撃が発生してしまう。この衝撃によって騒音が発生してしまうため、静粛性が要求されるような場所又は時間帯には点検を実施することができないという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ブレーキ装置の制動能力診断時の騒音を抑えたエレベータ制御装置及びエレベータ制御方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係るエレベータ制御装置は、エレベータの昇降路に配置されたかご及び釣合おもりと、前記かご及び釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで摩擦力を発生させ前記巻上機のモータを制動させるブレーキ装置と、前記モータの回転数を検出する回転検出器と、前記ブレーキ装置の制動能力を判定する状態監視部とを備えたエレベータ制御装置であって、前記状態監視部は、前記付勢力を制御することで、前記ブレーキ装置の摩擦力を制御するブレーキ制御部と、前記ブレーキ制御部を介して、前記かごが前記ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させるとき、前記回転検出器の出力に基づき前記モータが前記かごと前記釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出するとともに、前記第一の設定タイミングを検出した後、前記モータが設定した状態量になる第二の設定タイミングを検出し、前記第一の設定タイミングを検出した時から前記第二の設定タイミングに達した時までの時間を判定閾値と比較することにより前記ブレーキ装置の制動能力を判定する判定部とを備えたものである。
また、本発明に係るエレベータ制御装置は、エレベータの昇降路に配置されたかご及び釣合おもりと、前記かご及び釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで摩擦力を発生させ前記巻上機のモータを制動させるブレーキ装置と、前記モータの回転数を検出する回転検出器と、前記ブレーキ装置の制動能力を判定する状態監視部とを備えたエレベータ制御装置であって、前記状態監視部は、前記付勢力を制御することで、前記ブレーキ装置の摩擦力を制御するブレーキ制御部と、前記ブレーキ制御部を介して、前記かごが前記ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させるとき、前記回転検出器の出力に基づき前記モータが前記かごと前記釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出するとともに、前記第一の設定タイミングを検出してから事前に規定された設定時間経過時の第二の設定タイミングを検出し、前記第一の設定タイミングを検出した時から前記第二の設定タイミングに達した時までの間の前記モータの状態量の変化量を判定閾値と比較することにより前記ブレーキ装置の制動能力を判定する判定部とを備えたものである。
さらに、本発明に係るエレベータ制御装置は、エレベータの昇降路に配置されたかご及び釣合おもりと、前記かご及び釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで摩擦力を発生させ前記巻上機のモータを制動させるブレーキ装置と、前記モータの回転数及び回転角を検出する回転検出器と、前記ブレーキ装置の制動能力を判定する状態監視部とを備えたエレベータ制御装置であって、前記状態監視部は、前記付勢力を制御することで、前記ブレーキ装置の摩擦力を制御するブレーキ制御部と、前記ブレーキ制御部を介して、前記かごが前記ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させるとき、前記回転検出器の出力に基づき前記モータが、前記かごと前記釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出するとともに、前記第一の設定タイミングを検出した後、前記モータが所定の状態量になる第二の設定タイミングを検出し、前記第二の設定タイミングに達した時点の前記モータの状態量と前記ブレーキ装置の付勢力と検出されたアンバランストルクとに基づき、前記モータにおける前記アンバランストルクと前記ブレーキ装置の制動能力と前記モータの状態量との関係式から前記ブレーキ装置の制動能力を算出する判定部とを備えたものである。
さらに、本発明では、上記の各エレベータ制御装置と、エレベータ制御装置から送信された前記判定結果を受信する判定結果監視装置とを備えたエレベータ監視システムが提供される。
さらに、本発明では、エレベータの昇降路内に配置されたかごを、ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させることにより、巻上機のモータが、前記かごと釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出し、前記第一の設定タイミングから、前記モータが所定の状態量になる第二の設定タイミングに達するまでの時間を検出し、前記時間を判定閾値と比較することにより前記ブレーキ装置の制動能力を判定するエレベータ制御方法が提供される。
さらに、本発明では、エレベータの昇降路内に配置されたかごを、ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させることにより、巻上機のモータが、前記かごと釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出し、前記第一の設定タイミングから、事前に規定された設定時間経過後の第二の設定タイミングに達するまでの間の前記モータの状態量の変化量を検出し、前記状態量の変化量を判定閾値と比較することにより前記ブレーキ装置の制動能力を判定するエレベータ制御方法が提供される。
さらに、本発明では、エレベータの昇降路内に配置されたかごを、ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させることにより、巻上機のモータが、前記かごと釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出し、前記第一の設定タイミングを検出した後、前記モータが所定の状態量になる第二の設定タイミングを検出し、前記第二の設定タイミングに達した時点の前記モータの状態量と前記ブレーキ装置の付勢力と検出されたアンバランストルクとに基づき、前記モータにおける前記アンバランストルクと前記ブレーキ装置の制動能力と前記モータの状態量との関係式から前記ブレーキ装置の制動能力を算出するエレベータ制御方法が提供される。
本発明によれば、ブレーキ装置により停止保持された状態から、ブレーキ装置による保持を徐々に開放させて行き、モータが回転を始めてからの回転挙動からブレーキ装置の制動能力を診断する構成を備えることで、モータ停止状態からブレーキを開放しながら徐々にモータを増速させて行くように構成したので、診断時の衝撃が抑えられ、以て騒音を抑制しながらブレーキ装置の制動能力を診断することができる。
本発明の各実施の形態に共通のエレベータ制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1におけるエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1におけるブレーキコイルに電圧を印加したときの電圧、電流、力、トルク、及びモータ回転角のそれぞれの応答波形図である。 本発明の実施の形態2におけるエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3におけるエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3におけるブレーキコイルに電圧を印加したときの電圧、電流、力、トルク、及びモータ回転角のそれぞれの応答波形図である。 本発明の実施の形態4におけるエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態4におけるブレーキコイルに電圧を印加したときの電圧、電流、力、トルク、及びモータ回転角のそれぞれの応答波形図である。 本発明の実施の形態5におけるエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態6におけるエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態6におけるブレーキコイルに電圧を印加したときの電圧、電流、力、トルク、及びモータ回転角加速度のそれぞれの応答波形図である。 本発明に係るエレベータ監視システムを示すブロック図である。 本発明の実施の形態7におけるエレベータ制御装置の一連の流れを示すフローチャートである。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるエレベータ制御装置の全体を示す構成図である。図1において、エレベータのかご1は、昇降路内に配置されている。そして、かご1は、巻上機2に備えられたシーブ3に巻き掛けられたロープ4により、他端側の釣合おもり5とともにつるべ式に吊持されている。さらに、かご1は、巻上機2に備えられたモータによって昇降駆動され、ブレーキ装置6によって制動される。ここで、釣合おもり5の重量は、例えば、かご1内に定格負荷50%が積載されたときのかご1側の重量と釣合うように設定されている。
ブレーキ装置6は、巻上機2の、図示しないモータとシーブ3とを結合する軸上に設置された、図示しないブレーキドラムと、このブレーキドラムに対向するように配置された、図示しないブレーキと、が備えられている。なお、巻上機のモータは、以下、単に巻上機モータ又はモータと称することがある。
ブレーキは、ばねの弾性力である付勢力FBによってブレーキドラムに押し付けられたときに摩擦力を発生させる、図示しない可動部と、電流を流して付勢することで可動部をばねによる付勢力FBに逆らって吸引し摩擦力を解除する、図示しないブレーキコイルと、を備えている。また、巻上機2には、モータの回転数を検出する回転検出器7が設けられている。
状態監視部8は、ブレーキ制御部9と、モータ制御部10と、アンバランストルク検出器11と、判定部12とで構成されている。ここで、判定部12は、ブレーキ制御部9を介してブレーキ装置6を制御し、モータ制御部10を介して巻上機2のモータを制御する。アンバランストルク検出器11は、かご1と釣合おもり5の重量差によるアンバランストルクTAを検出する。さらに、判定部12は、回転検出器7及びアンバランストルク検出器11からの情報に基づいて、ブレーキ装置6の制動能力を診断する。
次に、本実施の形態1におけるエレベータ制御装置の診断動作について、図2に示すフローチャート及び図3に示す波形図に基づいて説明する。なお、図2のフローチャートは、エレベータが走行前であり、かつ戸閉停止状態にあるときに起動可能である(ステップS0)。
ここで、戸閉停止状態とは、戸閉状態であるとともに、巻上機2にはかご1側の重量と釣合おもり5側の重量差によるアンバランストルクTAが発生しつつも、ブレーキ装置6によってかご1が停止保持されているかご停止状態であることを意味している。このかご1が停止保持されているときに、ブレーキ装置6の可動部とブレーキドラムとの間に作用する静摩擦力よるトルクを保持トルクTHと呼ぶ。つまり、かご停止状態とはブレーキ装置6による保持トルクTHがアンバランストルクTAを上回っている状態となる。
この戸閉停止状態から、かご走行に移行する状態において、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させる(ステップS1)。
ここで、図3は、本発明の実施の形態1におけるブレーキコイルへ電圧を印加した時の電圧、電流、力、トルク、及びモータ回転角のそれぞれの応答波形の関係を示す図である。また、図3では、ブレーキ装置6の制動トルクTBが大きい場合と小さい場合の2つの波形例を示している。
図3において、横軸は時間を示し、(a)は、ブレーキコイルに印加される電圧の波形、(b)は、電圧が印加されたときのブレーキコイルの電流iの波形、(c)は、ばね付勢力FB及びブレーキコイルの電流iによる電磁力FCの波形、(d)は、保持トルクTH及び電磁力FCによるブレーキの制動トルクTBの波形、(e)は、巻上機2のモータの回転角の波形をそれぞれ示している。
図3(a)に示すように、ブレーキコイルに電圧を印加し、同図(b)に示すようにブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させると、同図(c)に示すように電磁力FCが徐々に増大し、同図(d)に示すようにブレーキ装置6による保持トルクTHが徐々に小さくなって行く。
ブレーキ装置6による保持トルクTHが低減して行くと、同図(d)に示すように或る時刻tsで保持トルクTHとアンバランストルクTAとが等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流を大きくし、保持トルクTHがアンバランストルクTAを僅かでも下回ると、同図(e)に示すように巻上機2のモータが回転を始める。
状態監視部8の判定部12は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングTsを検知するとともに、モータが回転を開始してからの時間の計測を開始する(ステップS2)。
時刻tsにおいてモータが回転を開始すると、ブレーキ装置6の可動部とブレーキドラムの間に作用する力は静摩擦力から動摩擦力に切り替わる。この動摩擦力によるトルクを「制動トルク」と呼ぶ。
図3に示すように、モータが回転を開始しても電磁力FCは、ばねによる付勢力FBよりも小さいため、可動部はブレーキドラムに押圧された状態を継続し、ブレーキドラムには制動トルクTBが作用する。従って、巻上機2のモータはアンバランストルクTAと制動トルクTBの差によって回転することになり、制動トルクTBの大きさによってモータの回転挙動は変化する。
そのため、図3(d)及び(e)に示すように制動トルクが大きいTB1の場合は、アンバランストルクTAと制動トルクTB1との差が小さいため、モータの回転量、すなわち回転角θ1の立ち上がりは小さくなり、逆に制動トルクが小さいTB2の場合はアンバランストルクTAと制動トルクTB2との差が大きくなる。このため、モータの回転量、すなわち回転角θ2の立ち上がりは大きくなる。このことから、時刻tsにおいてモータが滑り出してからの回転角θからブレーキ装置6の制動トルクTBを検出できる。
状態監視部8の判定部12は、ステップS3において、回転検出器7からの出力を監視することにより、事前に規定した所定の、すなわち設定回転角Δθだけモータが回転したタイミングを検出し、モータが時刻tsで回転を開始してから、設定回転角Δθだけ回転するのに要した時間tpを測定し、これを記録する(ステップS3)。図3(e)の例では、制動トルクがTB1のときは、時間tp1であり、制動トルクがTB2のときは、時間tp2となる。
モータが設定回転角Δθだけ回転するのに要した時間tpを記録すると同時に、モータ制御部10は、モータの回転を停止させるように、すなわちモータにモータトルクTMを与えることによってアンバランストルクTAを打消すことで、モータを停止させ、かご1を静止保持する(ステップS4)。
これにより、このまま、かご1の走行に移行できるため、通常運転中での制動能力診断が可能となる。
一方、ブレーキ制御部9は、モータが回転を開始した後も、ブレーキコイルへ供給する電流を増加させる。図3に示すように、ブレーキコイルの電流増大に伴い、電磁力FCが増大するため、或る時刻tmで電磁力FCとばねによる付勢力FBが等しくなる。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流を大きくし、電磁力FCが付勢力FBを上回ると、ブレーキの可動部が付勢力FBに逆らって吸引され、ブレーキドラムから離反する。そして、ブレーキ制御部9は、可動部の吸引状態を保持する(ステップS5)。
なお、上記のステップS4及びS5は本実施の形態に不可欠のものではない。
判定部12は、アンバランストルク検出器11より、巻上機2に作用しているアンバランストルクTAを計測する(ステップS6)。ここで、アンバランストルク検出器11は、かご1の重量を秤装置で計測し、かご1の停止階情報から求まるロープ4のアンバランス及び釣合おもり5の重量からアンバランストルクTAを検出してもよいし、秤装置ではなく、かご1内にカメラを設置し、かご1内の乗客数からかご1の重量を算出してもよい。その他にも、モータ制御部10で、モータを静止保持するために必要なモータトルクTMをモータ電流から推定することで、アンバランストルクTAを推定してもよい。
ステップ7において判定部12は、アンバランストルク検出器11による、アンバランストルクTAの測定結果に基づいて、ブレーキ装置6の制動能力を診断するための閾値の補正を行う(ステップS7)。
これは、図3で示すように、時刻tsでモータが滑り出すと、モータはアンバランストルクTAと制動トルクTBの差によって回転するので、アンバランストルクTAの大きさによって、制動トルクTBの値によるモータの回転挙動が変化してしまうからである。
そのため、予め、複数のアンバランストルクTAに対し、ステップS1と同様の電圧印加を行った場合のモータの回転挙動をブレーキの制動トルクTBを変化させながら測定しておく。そして、この測定結果を基に、付勢力FBによる制動トルクTBがブレーキ装置6でかご1を安全に停止させるために必要な範囲内に入るような閾値L1とL2をアンバランストルクTAに対してテーブル化するとともに、事前に判定部12にこの閾値のテーブルL1とL2を記録しておく(L1<L2)。
このテーブル例を下記の表1に示す。
Figure 0006537458
この表1から、判定部12は、アンバランストルク検出器11で計測されたアンバランストルクTAが、例えばTA1であれば、付勢力FBによる制動トルクTBが適切な範囲内に収まる閾値L1=L1aとL2=L2aを算出する。
ブレーキ装置6の制動トルクTBを診断するための閾値L1、L2の補正を行った後、判定部12はモータが設定回転角Δθだけ回転するのに要した時間tpと閾値L1、L2との比較を行い、検出した時間tpが閾値L1とL2の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS8)。
そして、検出した時間tpが閾値L1とL2の範囲内の場合には、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力が正常であると判断し(ステップS9)、かご走行に移行する(ステップS10)。
一方、検出した時間tpが閾値L1よりも小さいときはブレーキ装置6の制動トルクTBが小さ過ぎ、閾値L2よりも大きいときはブレーキ装置6の制動トルクTBが大き過ぎるため、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力が異常であると判断し(ステップS11)、エレベータの運転を休止させ(ステップS12)、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを、保守会社等の所定の場所に向けて発報する。
なお、この場合の「制動能力」とは、停止している巻上機モータを回転させて行くので、特許文献1などの通常の制動方向とは逆方向であるが、その絶対値も同様に制動能力を測ることができる。
このように、ブレーキ装置6で巻上機2のモータを静止保持した状態から、ブレーキコイルの電流を制御し、ブレーキによる保持を徐々に開放させて行くことで、モータを停止状態から徐々に増速させて行くため、制動能力診断時の衝撃を抑えることができる。従って、診断時の騒音を抑えられるため、静粛性が求められるような場所や時間帯でもブレーキ装置6の制動能力を診断することが可能となる。
また、巻上機2のモータを停止した状態から診断を開始するため、診断のために事前に所定速度まで増速させるようなスペースは必要ない。また、事前に規定した回転角Δθだけモータが回転する時間を計測するため、診断に必要な昇降路スペースを設定でき、昇降路内の任意の場所で診断を行うことができる。
また、ブレーキ装置6を開放しながら制動能力の診断を行い、診断後にモータ制御によってモータの回転を保持することで、かご1内への衝撃を抑えるとともにかご1の動作を防ぐことができる。このため、エレベータのかご1内に乗客がいる状態でも、ブレーキ装置6の制動能力を確認できる。すなわち、エレベータの通常サービス内での監視が可能となるため、診断のためにサービスを停止させる必要が無くなる。
また、乗客の有無によらず診断可能なため、診断の頻度を向上させることができる。
なお、本実施の形態1は、通常サービス内でブレーキ装置6の制動能力を検出することができるが、動作を通常サービス中のみに限定するものではなく、制動能力確認モードといったモードに切替えて、サービスを停止させて実施してもよいことは言うまでもない。
実施の形態2.
上記の実施の形態1では、ブレーキ装置6の開放動作時にモータのアンバランストルクTAによって、モータが停止状態から所定の角度Δθだけ回転するのに要する時間tpを用いて、ブレーキ装置6の制動能力を診断した。
これに対し、本実施の形態2では、主として、時間tpの代わりに、モータが停止状態から設定時間Δt経過後のモータ回転角θpを用いてブレーキの制動能力を診断する方法について説明する。
なお、本発明の実施の形態2におけるエレベータ制御装置を含むエレベータシステム全体の構成は、実施の形態1と同様に図1に示すものである。
図4は、本発明の実施の形態2におけるエレベータ制御装置の一連動作の流れを示すフローチャートである。この図4のフローチャートは、先の実施の形態1における図2のフローチャートと同様に、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である。なお、以下の説明は実施の形態1と部分的に同様のものであり、従って応答波形図も図3に類似しているため、ここでは説明を省略する。
この戸閉停止状態からかご走行に移行する状態において、モータ制御部10は巻上機2に作用しているアンバランストルクTAと同じ方向に、事前に規定したモータトルクTMを印加する(ステップS1a)。なお、このモータトルクTMは、静止保持してあるモータが回転しない程度、つまりアンバランストルクTAとモータトルクTMの和がブレーキの保持トルクTHを超えない程度に設定する。また、このステップS1aは、上記の実施の形態1においても付加できる処理である。
次に、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させる(ステップS2a)。
ブレーキコイルに電圧を印加し、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させると、電磁力FCが徐々に増大し、ブレーキ装置6による保持トルクTHが徐々に小さくなって行く。そして、或る時刻tsでアンバランストルクTAと印加したモータトルクTMとの和によるトルクが保持トルクTHと等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流を大きくし、保持トルクTHがアンバランストルクTAとモータトルクTMの和を僅かでも下回ると、巻上機2のモータが回転を始める。
状態監視部8の判定部12は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングtsを検知するとともに、モータが回転を開始してからの時間の計測を開始する(ステップS3a)。
時刻tsにおいてモータが回転を開始すると、ブレーキ装置6からブレーキドラムへ作用するトルクが保持トルクTHから制動トルクTBに切り替わる。
判定部12は、ステップS4aにおいて、モータが回転を開始した時刻tsから事前に規定した設定時間Δtだけ経過した時刻でのモータの回転角θpを回転検出器7によって測定し、これを記録する。
設定時間Δtでのモータの回転角θpを記録すると同時に、モータ制御部10は、モータの回転を停止させるように、モータを制御し、モータトルクTMによってアンバランストルクTAを打消すことで、モータを停止させ、かご1を静止保持する(ステップS5a)。
ブレーキ制御部9は、モータが回転を開始した後も、ブレーキコイルへ供給する電流を増加させる。ブレーキコイルへの電流増大によって、電磁力FCが増大するため、或る時刻tmで電磁力FCと、ばねによる付勢力FBとが等しくなる。さらに、この状態からブレーキコイルの電流が増加し、電磁力FCが付勢力FBを上回ると、ブレーキの可動部が付勢力FBに逆らって吸引される。
判定部12は、この電磁力FCが付勢力FBに打ち勝って可動部を吸引し始める時刻tmを記録する(ステップS6a)。なお、可動部が吸引を開始するタイミングは、ブレーキコイルの電流値を検出すればよい。すなわち、可動部が吸引を開始すると、ブレーキコイルに逆起電力が発生するため、ブレーキコイルに流れる電流は、減少することになる。この時の電流値を検出すればよい。
そこで、判定部12は、ブレーキコイルの電流を監視し、電流が逆起電力によって低下を開始した吸引開始タイミングから可動部の移動を検出する。可動部吸引完了後、ブレーキ制御部9は可動部の吸引状態を保持しておく。
本実施の形態2では、ステップS1aで示したように、ブレーキコイルへの電圧印加の前にモータトルクTMを印加する。これにより、巻上機2にアンバランストルクTAだけが作用しているときと比べて、印加したモータトルクTMの分だけ、モータが回転を開始する時刻tsを早めることができる。
これは、上述のように、実施の形態1にも適用可能である。
印加した電圧に対し、ブレーキコイルの電流が増大すると、時刻tmにて電磁力FCがばねの付勢力FBに打ち勝って可動部が吸引を開始するため、モータが回転を開始する時刻tsが早まると、その分だけ制動トルクTBが作用している時間を長くすることができる。
これにより、モータの回転角θpを測定するモータが回転を開始してからの時間Δtの設定値を大きくできる。図3に示すようにモータが回転を開始してから時間Δtが経つにつれて制動能力による回転角θpの差は増大して行くため、回転角θpを測定するまでの時間Δtを延ばせばその分だけ制動能力による差が広がり、より正確に制動能力を診断できるようになる。
ステップS7aにおいて、判定部12はモータの回転角θpを計測した時刻が吸引開始時刻tm以下かどうかを比較する。つまり、モータが回転を開始した時刻tsと事前に規定した所定の時間Δtとの和が吸引開始時刻tmより小さいかどうかを判定する。
モータの回転角θpを計測した時刻が吸引開始時間tmより大きい場合は、モータの回転角θpを計測した時には、既に可動部がブレーキドラムから離れており、制動トルクTBが作用していない区間があるため、診断に失敗したと判断し(ステップS9a)、ブレーキ診断を終了する(ステップS10a)。
なお、これらのステップは、本実施の形態に不可欠のものではない。
一方、モータの回転角θpを計測した時刻が吸引開始時間tmより小さい場合は、可動部がブレーキドラムから離れる前、制動トルクTBが作用している間に、きちんとモータの回転角θpを計測できていると判断し、ステップS8aへと進み、ブレーキ装置6の診断を継続する。
ステップ8aでは、判定部12は、アンバランストルク検出器11より、巻上機2に作用しているアンバランストルクTAを計測する。
次いで、ステップ11aにて、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力を診断するための閾値の補正を行う。
すなわち、時刻tsでモータが滑り出すと、モータはアンバランストルクTA及びステップS1aで印加したモータトルクTMの和と制動トルクTBとの差=TA+TM−TBによって回転する。そのため、アンバランストルクTAと印加したモータトルクTMとの和の大きさによって、制動トルクTBの値によるモータの回転挙動が変化してしまう。このとき、ステップS1aで印加するモータトルクTMは規定されているため、アンバランストルクTAの大きさによってモータの回転挙動は変化することになる。
また、同時にモータが回転しているときにブレーキドラムに作用する制動トルクTBはばねによる付勢力FBと電磁力FCの差によって可動部がブレーキドラムに押し付けられることによって発生する。そのため、ばねによる付勢力FBの大きさによっても、モータの回転挙動が変化する。
よって、判定部12はアンバランストルクTAとばねによる付勢力FBによって閾値L3とL4を補正する。
判定部12は、ブレーキ制御部9が印加するブレーキコイルへの電圧波形に対する時間tと電磁力FCの関係式FC(t)、又はブレーキコイルに電圧を印加したときの時間tと可動部に作用する電磁力FCの関係を測定しテーブル化したものを記録しておく。そして、ステップS6aで記録したばねによる付勢力FBと電磁力FCが釣合う吸引開始時間tmより、付勢力FB=FC(tm)を算出する。
その他にもブレーキコイルに流れる電流iと電磁力FCの関係式FC(i)を記録しておき、ステップS6aで吸引開始時間tmでのブレーキコイルに流れる電流iを記録しておき、FB=FC(i)より付勢力FBを算出してもよい。
さらに、予め、アンバランストルクTAと付勢力FBと制動トルクTBを変更して、ブレーキコイルに電圧印加を行った場合のモータの回転挙動を測定しておき、この測定結果を基に、付勢力FBによる制動トルクTBがブレーキ装置6でかご1を安全に停止させるために必要な範囲に入るような閾値L3とL4をアンバランストルクTAと付勢力FBに対してテーブル化する。そして、判定部12に事前にこの閾値のテーブルL3(TA,FB)とL4(TA,FB)を記録しておく(L3<L4)。このテーブル例を下記の表2に示す。
Figure 0006537458
その上で、判定部12は、計測されたアンバランストルクTAと算出した付勢力FBから、制動トルクTBが適切な範囲内に収まる閾値L3=L3(TA,FB)と、L4=L2(TA,TB)を算出する。
ブレーキ装置6の制動トルクTBを診断するための閾値L3、L4の補正を行った後、判定部12はモータが時刻tsで回転を開始してから所定の時間Δt経過後のモータの回転角θpと閾値L3、L4との比較を行い、検出した回転角θpが閾値L3とL4の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS12a)。
そして、検出した回転角θpが閾値L3とL4の範囲内にある場合は、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力が正常であると判断し(ステップS13a)、かご走行に移行する(ステップS14a)。
一方、検出した回転角θpが閾値L3よりも小さいときはブレーキ装置6の制動トルクTBが大き過ぎ、閾値L4よりも大きいときはブレーキ装置6の制動トルクTBは小さ過ぎるため、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力が異常であると判断し(ステップS15a)、エレベータの運転を休止させ(ステップS16a)、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを、保守会社等の所定の場所に向けて発報する。
このように、モータ制御部10によりアンバランストルクTAと同じ方向に規定のモータトルクTMを作用させた状態で、ブレーキ開放動作を行うことで、モータが滑り出す時刻tsが早まるため、モータが時刻tsで回転を開始してから可動部が吸引を開始する時刻tmの区間を長くすることができる。これにより、モータの回転角θpを記録するまでの時間Δtを長く設定できるようになるため、制動能力の診断精度を向上させることができる。
また、アンバランストルクTAとばねの付勢力FBを用いて閾値L3、L4を補正することで更に精度良く制動トルクTBを診断できるようになる。なお、本実施の形態2ではアンバランストルクTAとばねの付勢力FBの両方を用いて閾値L3、L4の補正を行ったが、これに限定されるわけではなく、アンバランストルクTA若しくはばねの付勢力FBのどちらか一方のみを用いて、閾値L3、L4を補正してもよい。
また、本実施の形態2では、上記の実施の形態1と同様に回転開始時点tsから設定角度Δθ回転するまでの時間tpを用いて同様の制御を行ってもよい。
実施の形態3.
上記の実施の形態2では、モータ制御部10によってアンバランストルクTAと同じ方向に規定のモータトルクTMを作用させた状態で、ブレーキ開放動作を行い、ブレーキ装置6の制動能力を診断する場合について説明した。
これに対し、本実施の形態3では、一定の診断トルクという概念を考えてブレーキの制動能力を診断する方法について説明する。
なお、本発明の実施の形態3におけるエレベータ制御装置を含むエレベータシステム全体の構成は、上記の実施の形態1及び2と同様に図1に示す例を用いることができる。
図5は、本発明の実施の形態3におけるエレベータ制御装置の一連の動作の流れを示すフローチャートである。この図5のフローチャートは、実施の形態1における図2のフローチャートと同様に、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である(ステップS1b)。これは、実施の形態2も同様に適用可能である。
この戸閉停止状態からかご走行に移行する状態において、モータ制御部10は巻上機2に作用しているアンバランストルクTAの値をアンバランストルク検出器11より計測する。そして、モータ制御部10はモータ制御を行い、巻上機2に作用するアンバランストルクTAとモータトルクTMとの和が、事前に設定した診断トルクTD=TA+TMになるようなモータトルクTMを印加する(ステップS1b)。
なお、この診断トルクTDは、静止保持してあるモータが回転しない程度、つまりブレーキ保持トルクTHを超えない程度に設定する。
次に、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させる(ステップS2b)。
ここで、図6は、本発明の実施の形態3におけるブレーキコイルへ電圧を印加した時の電圧、電流、力、トルク、及びモータ回転角のそれぞれの応答波形の関係を示す図である。すなわち、図6において、横軸は時間を示し、(a)は、ブレーキコイルに印加される電圧の波形、(b)は、電圧が印加されたときのブレーキコイルの電流iの波形、(c)は、ばね付勢力FB及びブレーキコイルの電流iによる電磁力FCの波形、(d)は、保持トルクTH及び電磁力FCによるブレーキの制動トルクTBの波形、(e)は、巻上機2のモータの回転角の波形を、それぞれ示している。
図6(a)に示すように、ブレーキ制御部9は、ブレーキコイルへ緩やかな傾きを持ったランプ状の電圧を印加し、同図(b)に示すようにブレーキコイルへ流れる電流を徐々に増加させる。なお、ここではランプ状の電圧を与えた場合に対して説明を行うが、ランプ状の電圧に限定するわけではなく、徐々に電流を増加させられるならば、別の電圧パターンを与えても問題ない。
ブレーキコイルへ流れる電流を徐々に増加させると、同図(c)に示すように電磁力FCが徐々に増大し、同図(d)に示すようにブレーキ装置6による保持トルクTHが徐々に小さくなって行く。
ブレーキ装置6による保持トルクTHが低減して行くと、或る時刻tsで保持トルクTHと作用している診断トルクTDが等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流を大きくし、保持トルクTHが診断トルクTDを僅かでも下回ると、同図(e)に示すように巻上機2のモータが回転を始める。
判定部12は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングtsを検知するとともに、モータが回転を開始してからの時間の計測を開始する(ステップS3b)。
時刻tsにおいてモータが回転を開始すると、ブレーキ装置6からブレーキドラムへ作用するトルクが保持トルクTHから制動トルクTBに切り替わる。
回転検出器7によってモータの回転が検出されるとブレーキ制御部9は、ブレーキコイルへ流れる電流を保持するように印加する電圧を制御する(ステップS4b)。
ブレーキコイルへ流れる電流を保持することで、電磁力FCの値を保持できるため、ブレーキドラムへ制動トルクTBが作用する状態を一定値に維持できるようになる。従って、ブレーキ装置6の診断を行うための値を計測する前に、可動部の吸引が開始してしまうことを防ぐことができる。
図6では、ブレーキコイルに流れる電流を、モータが回転を開始した時刻tsでの電流に保持しているが、保持する電流はこれに限定される訳でなく、ばねによる付勢力FBよりも電磁力FCが低く、かつモータの回転が停止しないような電磁力FCが得られる電流に保持すればよい。
判定部12は、ステップS5bにおいて、モータが時刻tsにて回転を開始してから、診断トルクTDとブレーキ装置6の制動トルクTBの差分によって増速して行くモータの回転角速度、すなわち図6(e)の回転角の傾きが、事前に規定した所定の回転角速度vpになるまでの時間tpを回転検出器7からの出力を監視することで測定し、これを記録する。
モータは診断トルクTDと制動トルクTBの差によって増速して行くため、制動トルクTBの大きさによって加速度が変化する。よって、制動トルクTBによって所定の回転角速度vpになるまでの時間tpが変化することになる。
モータ制御部10は、時間tpを計測すると同時に、モータの回転を停止させるように、モータを制御し、かご1を静止保持する(ステップS6b)。
その後、ブレーキ制御部9は、保持していたブレーキコイルに流れる電流を増加させ、電磁力FCをばねによる付勢力FBよりも大きくして行き(ステップS7b)、可動部を吸引させるとともに、可動部の吸引状態を保持する。
次いで、ステップS8bにおいて、判定部12は、モータが時刻tsで回転を開始してから所定の回転角速度vpになるまでの時間tpと閾値L5、L6の比較を行い、検出した時間tpが閾値L5とL6の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS8b)。
なお、閾値L5とL6は、予め、設定した診断トルクTDにおいて制動トルクTBを変更してブレーキコイルに電圧印加を行った場合のモータ回転挙動を測定しておく。そして、この測定結果を基に、付勢力FBによる制動トルクTBがブレーキ装置6でかご1を安全に停止させるために必要な範囲に入るための閾値L5とL6を求めるとともに、事前に判定部12に導出したL5とL6を記録しておく(L5<L6)。
そして、検出した時間tpが閾値L5とL6の範囲内にある場合は、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力は正常であると判断し(ステップS9b)、かご走行に移行する(ステップS10b)。
一方、検出した時間tpが閾値L5よりも小さいときはブレーキ装置6の制動トルクTBが小さ過ぎ、閾値L6よりも大きいときはブレーキ装置6の制動トルクTBが小さ過ぎるため、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力が異常であると判断し(ステップS11b)、エレベータの運転を休止させ(ステップS12b)、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを、保守会社等の所定の場所に向けて発報する。
このように、モータ制御部10により作用するトルクを規定の診断トルクTDに調整した状態で、ブレーキ装置6の制動トルクTBを診断することで、かご内重量の変動などによってアンバランストルクTAが変化しても、一定の診断トルクTDで診断できるため、診断条件のばらつきを抑えられるとともに、閾値L5とL6の補正を行わなくとも、精度よく制動能力の診断を行うことができる。
また、時刻tsにてモータが回転を開始した後に、ブレーキコイルの電流増加を止めて、一定電流に一定期間保持することによって、可動部の吸引を防ぐことができるため、任意の時間だけブレーキドラムへ制動トルクTBが作用する状態を維持できるようになる。制動トルクTBの診断に用いる時間tp計測後に可動部を吸引すればよいため、時間tpを計測する回転角速度vpも任意に設定することができる。
また、実施の形態3では、上記実施の形態1と同様に、回転開始時点tsから設定角度Δθ回転するまでの時間tpを用いて同様の制御を行ってもよいし、上記実施の形態2と同様に、設定時間Δt経過後のモータの回転角θpを用いて同様の制御を行ってもよい。
実施の形態4.
上記の実施の形態3では、一定の診断トルクTDが作用するようにモータ制御部10によってモータトルクTMを与えた状態で、ブレーキ開放動作を行い、ブレーキ装置6の制動能力を診断する場合について説明した。
これに対し、本実施の形態4では、実施の形態3とは異なり、ブレーキ電圧・電流の印加の仕方を異ならせた形で、ブレーキの制動能力を診断する方法について説明する。
なお、本発明の実施の形態4におけるエレベータ制御装置を含むエレベータシステム全体の構成は、上記の実施の形態1〜3と同様に図1に示す例を用いることができる。
図7は、本発明の実施の形態4におけるエレベータ制御装置の一連の動作の流れを示すフローチャートである。この図7のフローチャートは、実施の形態1における図2のフローチャートと同様に、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である(ステップS0c)。
この戸閉停止状態において、状態監視部8の判定部12はアンバランストルク検出器11より得られるアンバランストルクTAの値よりかご1内の負荷を検出する(ステップS1c)。そして、検出したかご1内の負荷情報に基づき、かご1内の乗客の有無を判断する(ステップS2c)。
このとき、かご1内に乗客がいる状態の場合には、ブレーキ装置6の制動トルクTBの診断は行わず、通常運転モードを継続させる(ステップS4c)。
一方、ステップS2cにおいて、かご1内に乗客がいない状態と判断された場合は、ブレーキ装置6の制動トルクTBの診断に移行し、ステップS3cへと進む。
ステップS3cにおいて、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させる。
ここで、図8は、本発明の実施の形態4におけるブレーキコイルへ電圧を印加した時の電圧、電流、力、トルク、及びモータ回転角のそれぞれの応答波形の関係を示す図である。すなわち、図8において、横軸は時間を示し、(a)は、ブレーキコイルに印加される電圧の波形、(b)は、電圧が印加されたときのブレーキコイルの電流iの波形、(c)は、ばね付勢力FB及びブレーキコイルの電流iによる電磁力FCの波形、(d)は、保持トルクTH及び電磁力FCによるブレーキの制動トルクTBの波形、(e)は、巻上機2のモータの回転角の波形を、それぞれ示している。
ここでは、図8(a)に示すようにブレーキ制御部9がブレーキコイルへ緩やかなランプ状の電圧を印加することで、同図(b)に示すようにブレーキコイルへ流れる電流を徐々に増加させる場合に関して説明を行うが、電圧入力をランプ形状に限定するわけではなく、電圧を徐々に増加させるような、別の電圧パターンを与えても問題はない。
ブレーキコイルへ流れる電流を徐々に増加させると、同図(c)に示すように電磁力FCが徐々に増大し、同図(d)に示すようにブレーキ装置6による保持トルクTHが徐々に小さくなって行く。
ブレーキ装置6による保持トルクTHが低減して行くと、或る時刻tsで保持トルクTHと作用しているアンバランストルクTAが等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流を大きくし、保持トルクTHがアンバランストルクTAを僅かでも下回る時点tsにおいて、同図(e)に示すように巻上機2のモータが回転を始める。
判定部12は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングtsを検知するとともに、モータが回転を開始してからの時間の計測を開始する(ステップS5c)。
時刻tsにおいてモータが回転を開始すると、ブレーキ装置6からブレーキドラムへ作用するトルクが保持トルクTHから制動トルクTBに切り替わる。
モータは回転を開始すると、アンバランストルクTAと制動トルクTBの差分によって増速して行き、同図(e)に示すように回転角及び回転角速度が増加して行く。
判定部12は、ステップS6cにおいて、モータが時刻tsにて回転を開始してから、事前に規定しておいた時間Δt経過後のモータの回転角θp及び回転角速度vpを、回転検出器7からの出力を監視することで測定し、これを記録する。
ブレーキ制御部9は、回転角θp及び回転角速度vpを計測すると同時に、ブレーキコイルに印加する電圧を制御し、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に減少させる(ステップS7c)。ブレーキコイルの電流が減少すると、電磁力FCが低下して行くため、ブレーキドラムへ作用する制動トルクTBが増加して行く。そして、制動トルクTBがアンバランストルクTAを上回ると、モータの回転が減速して行き、最終的にはモータが停止する。モータの回転が停止すると、ブレーキの保持トルクTHによって、モータは静止保持される。
その後、ステップS8cにて、ブレーキ制御部9は、モータが時刻tsで回転を開始してから時間Δt経過後のモータの回転角θp及び回転角速度vpとそれぞれに対応する閾値L7、L8及びL9、L10との比較を行い、検出した回転角θp及び回転角速度vpが対応する閾値で規定された範囲内にあるか否かを判定する。このとき、回転角θpに対応する閾値がL7、L8(L7<L8)であり、回転角速度vpに対応する閾値がL9、L10(L9<L10)となる。
なお、それぞれの閾値L7〜L10は、予め、かご1内に乗客がいない状態で、ブレーキコイルに電圧印加を行った場合のモータの回転挙動を制動トルクTBを変更して測定しておく。そして、この測定結果を基に、付勢力FBによる制動トルクTBがブレーキ装置6でかご1を安全に停止させるために必要な範囲に入るためのそれぞれの閾値L7〜L10を求めるとともに、事前に判定部12に記録しておく。
そして、検出した回転角θpが閾値L7〜L8の範囲内にあり、かつ回転角速度vpが閾値L9〜L10の範囲内にある場合は、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力は正常であると判断し(ステップS9c)、通常運転モードを継続する(ステップS10c)。
一方、検出した回転角θpが閾値L7〜L8の範囲外又は回転角速度vpが閾値L9〜L10の範囲外となった場合は、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力が異常であると判断し(ステップS11c)、エレベータの運転を休止させ(ステップS12c)、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを、保守会社等の所定の場所に向けて発報する。
このように、モータが回転を開始してから時間Δt経過後のモータの回転角θp及び回転角速度vpを計測した後、ブレーキコイルに流れる電流を徐々に減少させることで、徐々にモータを減速させて行くため、モータ停止時の衝撃を抑えることができる。このため、減速時の衝撃による騒音を抑えられるため、静粛性が求められるような状況下でもブレーキ装置6の制動能力を診断することが可能となる。
また、かご1内に乗客がいない状況に診断を行うことで、かご1と釣合おもり5の重量差によるアンバランストルクTAの大きさが決まるため、閾値を補正することなく、ブレーキ装置6の制動能力を精度よく求めることができる。
また、モータが回転を開始してから時間Δt経過後のモータの回転角θp及び回転角速度vpの両方を用いて、ブレーキ装置6の制動能力を判定することで、制動能力判定の信頼性を向上させることができる。
実施の形態5.
上記の実施の形態4では、かご1内に乗客がいない状態で、ブレーキコイルに電流を通電し、ブレーキ装置6の制動能力を診断する場合について説明した。
これに対し、本実施の形態5では、制動トルクを演算によって求めることで、ブレーキの制動能力を診断する方法について説明する。
なお、本発明の実施の形態5におけるエレベータ制御装置を含むエレベータシステム全体の構成は、上記の実施の形態1〜4と同様に図1の例を使用することができる。
図9は本実施の形態5におけるエレベータ制御装置の一連の流れを示すフローチャートである。図9のフローチャートは、上記の実施の形態1における図2のフローチャートと同様に、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である(ステップS0d)。
なお、このフローチャートにおいても、図3の応答波形図を一部参照することができる。
この戸閉停止状態からかご走行に移行する状態において、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルへ流れる電流を徐々に増加させる(ステップS1d)。
ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させると、電磁力FCが徐々に増大し、ブレーキ装置6による保持トルクTHが徐々に小さくなって行く。そして、或る時刻tsでアンバランストルクTAと保持トルクTHが等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流を大きくし、保持トルクTHがアンバランストルクTAを僅かでも下回ると、巻上機2のモータが回転を始める。
判定部12は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングtsを検知するとともに、検知した時刻tsを記録する。そして、モータが回転を開始してからの時間の計測を開始する(ステップS2d)。
時刻tsにおいてモータが回転を開始すると、ブレーキ装置6からブレーキドラムへ作用するトルクが保持トルクTHから制動トルクTBに切り替わる。
判定部12はステップS3dにおいて、モータが回転を開始した時刻tsから事前に規定した所定の時間Δtだけ経過した時刻でのモータの回転角θpを回転検出器7によって測定し、これを記録する。
所定の時間Δtでのモータの回転角θpを記録すると同時に、モータ制御部10は、モータの回転を停止させるように、モータを制御し、モータトルクTMによってアンバランストルクTAを打消すことで、モータを停止させ、かご1を静止保持する(ステップS4d)。
一方、ブレーキ制御部9は、モータが回転を開始した後も、ブレーキコイルへ供給する電流を増加させる。ブレーキコイルへの電流増大によって、電磁力FCが増大するため、或る時刻tmで電磁力FCとばねによる付勢力FBが等しくなる。さらに、この状態からブレーキコイルの電流が増加し、電磁力FCが付勢力FBを上回ると、ブレーキの可動部が付勢力FBに逆らって吸引される。
判定部12は、この電磁力FCが付勢力FBに打ち勝って可動部を吸引し始める時刻tmを記録する(ステップS5d)。なお、可動部が吸引を開始するタイミングtmは、上述したようにブレーキコイルの電流変化から検出する。
その後、判定部12は、アンバランストルク検出器11より、巻上機2に作用しているアンバランストルクTAを計測し、これを記録する(ステップS6d)。
次いで、ステップS7dにおいて、判定部12は、ブレーキ装置6の可動部とブレーキドラムの間に作用するばねの付勢力FBによる制動トルクTBを算出する。
時刻tsにおいてモータが回転を開始してから、モータはアンバランストルクTAとブレーキの制動トルクTBの差分によって増速して行く。そのため、モータの回転挙動は下記の式(1)の運動方程式によって表すことができる。
Figure 0006537458
ここで、θはモータの回転角を表し、Jは巻上機2の慣性モーメントを表し既知の値である。rはドラム半径であり、これも既知の値である。
また、FC(t)は、ブレーキ制御部9がブレーキコイルへ印加する電圧波形に対する時間tと電磁力FCの関係式であり、事前に解析などによって求めたものを判定部12に記録しておく。
このとき、電磁力の関係式FC(t)とステップS5dで記録したばねによる付勢力FBと電磁力FCが釣合う吸引開始時刻tmを用いることで、付勢力FBはFB=FC(tm)より算出できることが分かる。
上記の式(1)を、事前に規定した設定時間Δtに対して2階積分することで下記の式(2)が得られる。
Figure 0006537458
ここで、式(2)を変形することにより、ブレーキ装置6の可動部とブレーキドラムとの間の動摩擦係数μ’は下記の式(3)によって算出することができる。
Figure 0006537458
そして、算出した動摩擦係数μ’とばねによる付勢力FBを用いて、下記の式(4)より、ブレーキドラムと可動部との間に作用する付勢力FBによる制動トルクTBが求められる。
Figure 0006537458
なお、ここでは、式(1)を時間tに対し2階積分してモータの回転角θの関係式を用いて動摩擦係数μ’を算出したが、これに限定する必要はなく、式(1)を時間tに対し積分し、モータの回転角速度vに対する関係式より動摩擦係数μ’を求めてもよい。更に、式(1)をそのまま用いて、あるタイミングでのモータの回転角加速度を回転検出器7の情報を用いて検出し、動摩擦係数μ’を求めてもよい。
ステップS7dにて、付勢力FBによる制動トルクTBを算出した後、判定部12は算出した制動トルクTBと閾値L11、L12の比較を行い算出した制動トルクTBが閾値L11とL12の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS8d)。
閾値L11、L12は、実施の形態1において説明したものであり、かご1を安全に停止させるために必要な制動トルクTBの範囲として、予め設定しておく(L11<L12)。
そして、算出した制動トルクTBが閾値L11〜L12の範囲内にある場合は、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力は正常であると判断し(ステップS9d)、かご走行へ移行する(ステップS10d)。
一方、検出した制動トルクTBが閾値L11〜L12の範囲外となった場合は、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力が異常であると判断し(ステップS11d)、エレベータの運転を休止させ(ステップS12d)、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを、保守会社等の所定の場所に向けて発報する。
このように、モータが回転を開始してからの運動方程式を用いることで実際に付勢力FBによって作用する制動トルクTBを算出することができ、ブレーキ装置6の制動能力を正確に検出できるようになる。これによって異常状態に対する裕度や変動傾向を知ることができるため、異常状態になる前に計画的に保守を行うことも可能となる。
また、本実施の形態5では、ブレーキコイルの電流を常に増加させるような場合に対して説明を行ったが、これに限定される訳ではなく、実施の形態3と同様にモータの回転開始を検出後にブレーキコイルの電流を保持するような制御を行ってもよい。
実施の形態6.
上記の実施の形態5では、モータの運動方程式を用いて動摩擦係数μ’を算出し、ブレーキ装置の制動トルクTB、すなわち制動能力を診断する場合について説明した。
これに対し、本実施の形態6では、上記の式(3)とは別の方法で動摩擦係数μ’を算出することで、ブレーキの制動能力を診断する方法について説明する。
なお、本発明の実施の形態6におけるエレベータ制御装置を含むエレベータシステム全体の構成は、上記の実施の形態1〜5と同様に図1に示す構成を使用することができる。
図10は本実施の形態6におけるエレベータ制御装置の一連の流れを示すフローチャートである。図10のフローチャートは、先の実施の形態1における図2のフローチャートと同様に、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である(ステップS0e)。
この戸閉停止状態からかご走行に移行する状態において、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルへ流れる電流を徐々に増加させる(ステップS1e)。
ここで、図11は、本実施の形態6におけるブレーキコイルへ電圧を印加した時の電圧、電流、力、トルク、及びモータ回転角加速度のそれぞれの応答波形の関係を示す図である。すなわち、図において、横軸は時間を示し、(a)は、ブレーキコイルに印加される電圧の波形、(b)は、電圧が印加されたときのブレーキコイルの電流iの波形、(c)は、ばね付勢力FB及びブレーキコイルの電流iによる電磁力FCの波形、(d)は、保持トルクTH及び電磁力FCによるブレーキの制動トルクTBの波形、(e)は、巻上機2のモータの回転角加速度の波形を、それぞれ示している。
図11(a)に示すように、ブレーキ制御部9は、ブレーキコイルへ緩やかな傾きを持ったランプ状の電圧を印加し、同図(b)に示すようにブレーキコイルへ流れる電流を徐々に増加させる。なお、ここではランプ状の電圧を与えた場合に対して説明を行うが、ランプ状の電圧に限定する必要はなく、徐々に電流を増加させられるならば、別の電圧パターンを与えても問題ない。
ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させると、電磁力FCが徐々に増大し、同図(c)に示すようにブレーキ装置6による保持トルクTHが徐々に小さくなって行く。そして、同図(d)に示すように或る時刻tsでアンバランストルクTAと保持トルクTHが等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流を大きくし、保持トルクTHがアンバランストルクTAが僅かでも下回ると、同図(e)に示すように巻上機2のモータが回転を始める。
判定部12は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングtsを検知する。(ステップS2e)。
回転検出器7によってモータの回転が検出されるとブレーキ制御部9は、図11(a)及び(b)に示すように、ブレーキコイルへ流れる電流を一定期間保持するように印加する電圧を一定期間、一定値に制御する(ステップS3e)。
ブレーキコイルへ流れる電流を一定期間保持することで、電磁力FCの値を保持できるため、同図(d)に示すようにブレーキドラムへ制動トルクTBが作用する状態を一定値に維持できるようになる。保持する電流の値は、ばねによる付勢力FBよりも電磁力FCが低く、かつモータの回転が停止しないような電磁力FCが得られる電流値ipである。
ブレーキ制御部9によって、ブレーキコイルに流れる電流を電流値ipに保持した後、モータ制御部10は、モータトルクTMを制御することで、同図(e)に示す事前に設定した所定の回転角加速度apで、モータを増速させる(ステップS4e)。なお、このときの回転角加速度apの方向は、かご1の走行指令が出された方向である。
そして、判定部12は、モータ制御部10からの情報を基に、所定の回転角加速度apとなった状態での、モータトルクTMpを記録する(ステップS5e)。そして、モータ制御部10は、かご1への走行指令に従って、かご1を走行させるようにモータ制御を行う。
ブレーキ制御部9は、判定部12がモータトルクTMpを記録すると、同図(a)〜(c)に示すように保持していたブレーキコイルの電流を増加させ、可動部を吸引させるとともに、可動部の吸引状態を保持する(ステップS6e)。
その後、判定部12は、アンバランストルク検出器11の情報を基に、アンバランストルクTAを計測し、これを記録する(ステップS7e)。
そして、続くステップS8eにおいて、判定部12は、記録した情報を用いて、ブレーキ装置6の可動部とブレーキドラムの間の動摩擦係数μ’を算出する。
ステップS4eにおいて、モータトルクTMによってモータを増速させて行くときの運動方程式は下記の式(5)によって表される。
Figure 0006537458
このとき、予め、ブレーキコイルへ或る電流値iを与えた際の可動部に作用する電磁力FCの関係FC(i)を測定し、判定部12に記録させておく。そして、ブレーキコイルに流れる電流を電流値ipに保持したときの電磁力FCをFC=FC(ip)より計算する。
巻上機2の慣性モーメントJ、ブレーキドラム半径r、及びばねによる付勢力FBに関してはブレーキ装置6の設計値を予め判定部12に記憶しておく。
これによって、モータトルクTMpによって、回転角加速度apが与えられたときを考えると下記の式(6)が成り立つ。
Figure 0006537458
従って、動摩擦係数μ’は、下記の式(7)によって算出することができる。
Figure 0006537458
ステップS8eにて、動摩擦係数μ’を算出した後、判定部12は算出した動摩擦係数μ’と閾値L13、L14の比較を行い算出した動摩擦係数μ’が閾値L13〜L14の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS8d)。
この閾値L13、L14は、かご1を安全に停止させるために必要な動摩擦係数μ’の範囲として、予め設定しておく(L13<L14)。
そして、算出した動摩擦係数μ’が閾値L13〜L14の範囲内にある場合は、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力は正常であると判断し(ステップS9d)、かご走行を継続する(ステップS10d)。
一方、検出した動摩擦係数μ’が閾値L13〜L14の範囲外となった場合は、判定部12は、ブレーキ装置6の制動能力が異常であると判断し(ステップS11d)、エレベータの運転を休止させ(ステップS12d)、ブレーキ装置6の制動能力が異常であることを、保守会社等の所定の場所に向けて発報する。
このように、モータトルクTMを作用させ、かご1の走行方向にモータを回転させながら、ブレーキ装置6の制動能力を診断することで、かご走行中に制動能力の診断を行えるため、エレベータのサービスを低下させることなく診断を実施できる。
また、動摩擦係数μ’を算出するため、ブレーキ装置6の制動能力を正確に検出できる。これにより、診断時にどの程度裕度があるのか知ることができるため、異常状態になる前に計画的に保守を行うことができる。
なお、本実施の形態6では、動摩擦係数μ’を算出してブレーキ装置6の制動能力を判定したが、上記の実施の形態5と同様に動摩擦係数μ’とばねによる付勢力FBから制動トルクTBを算出して制動能力を判定してもよい。
実施の形態7.
上記の実施の形態5では、判定部12によって制動トルクTBを検出し、検出した制動トルクTBを閾値L11およびL12と比較し、ブレーキ装置6の制動能力が正常かどうか判定した。
これに対し、本実施の形態7では、検出した制動トルクTBそのものを出力する場合について説明する。
図12は、本発明の実施の形態7におけるエレベータ制御装置及びエレベータ監視システムを含むエレベータシステム全体を示す構成図である。尚、前述の実施の形態1から7と同様のものについては、前述と同一の符号を付して詳述を省略する。
図12において、エレベータ監視システム13は、エレベータ制御装置を構成する状態監視部8と、通信回線14と、判定結果監視装置15とで構成されている。ここで、状態監視部8はブレーキ装置6の制動能力である制動トルクTBを検出し、この検出した制動トルクTBを判定結果として外部へ送信する。送信された判定結果は通信回線14を介し、判定結果監視装置15へと伝わり判定結果監視装置15に備えられた画面上に表示される。
図13は、本発明の実施の形態7におけるエレベータ制御装置の一連の動作の流れを示すフローチャートである。図13のフローチャートは、上述の実施の形態1における図2のフローチャートと同様に、エレベータが走行前であり、かつ、戸閉停止状態にあるときに起動可能である(ステップS0f)。
この戸開閉停止状態からかご走行に移行する状態において、ブレーキ制御部9は、ブレーキ装置6のブレーキコイルへ印加する電圧を制御し、ブレーキコイルへ流れる電流を徐々に増加させる(ステップS1f)。
ブレーキコイルに流れる電流を徐々に増加させると、電磁力FCが徐々に増大し、ブレーキ装置6による保持トルクTHが徐々に小さくなって行く。そして、或る時刻tsでアンバランストルクTAと保持トルクTHが等しくなり、釣合う。さらに、この状態からブレーキコイルへの電流を大きくし、保持トルクTHがアンバランストルクTAを僅かでも下回ると、巻上機2のモータが回転を始める。
判定部12は、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を始めるタイミングtsを検知するとともに、検知した時刻tsを記録する(ステップS2f)。
時刻tsにおいてモータが回転を開始すると、ブレーキ装置6からブレーキドラムへ作用するトルクが保持トルクTHから制動トルクTBに切り替わる。
判定部12はステップS3fにおいて、回転検出器7からの出力を監視することにより、モータが回転を開始してから事前に規定した所定の、つまり設定回転角Δθだけ回転した時刻でのモータの回転角加速度apを測定し、これを記録する。モータの回転角加速度apは、回転検出器7によって検出されるモータの回転角を2階微分することで求まる。
判定部12は、所定の回転角Δθだけモータが回転した時のモータの回転角加速度apを計測する。これと同時に、モータ制御部10は、モータの回転を停止させるように、モータを制御し、モータトルクTMによってアンバランストルクTAを打消すことで、例えば、図3(e)に示されるようにモータを停止させ、かご1を静止保持する(ステップS4f)。
ブレーキ制御部9は、モータが回転を開始した後も、ブレーキコイルへ供給する電流を増加させる。ブレーキコイルへの電流増大によって、電磁力FCが増大するため、ある時刻tmで電磁力FCとばねによる付勢力FBが等しくなる。さらに、この状態からブレーキコイルの電流が増加し、電磁力FCが付勢力FBを上回ると、ブレーキの可動部が付勢力FBに逆らって吸引される(例えば、図3(c)参照)。
判定部12は、この電磁力FCが付勢力FBに打ち勝って可動部を吸引し始める時刻tmを記録する(ステップS5f)。なお、可動部が吸引を開始するタイミングtmは、上述したようにブレーキコイルの電流から検出する。
その後、判定部12は、アンバランストルク検出器11より、巻上機2に作用しているアンバランストルクTAを計測し、これを記録する(ステップS6d)。
次いで、ステップS7dにおいて、判定部12は、ブレーキ装置6の可動部とブレーキドラムの間に作用するばねの付勢力FBによる制動トルクTBを、下記の通り、算出する。
すなわち、時刻tsにおいてモータが回転を開始してから、モータはアンバランストルクTAとブレーキの制動トルクTBの差分によって増速して行く。そのため、モータの回転挙動は下記の式(8)の運動方程式によって表すことができる。
Figure 0006537458
ステップS3fにおいて所定の回転角Δθだけモータが回転した時を考えると、上記の式(8)は、下記式(9)となる。
Figure 0006537458
このとき、電磁力FCは上述したように、ブレーキ制御部9がブレーキコイルへ印加される電圧波形に対する時間tと電磁力FCとの関係式FC(t)から求めてもよいし、ブレーキコイルへ電流値iを与えた際の電磁力FCの関係式FC(i)から算出してもよい。
同様に、ばねによる付勢力FBも上述の電磁力FCの関係式を用いて、ステップS5fにおける付勢力FBと電磁力FCの釣合い関係から算出してもよいし、事前に付勢力FBの設計値を判定部12に記録しておき、それを使用してもよい。
上述の式(9)を変形することにより、ブレーキ装置6の可動部とブレーキドラムとの間の動摩擦係数μ’は下記の式(10)によって算出できる。
Figure 0006537458
そして、算出した動摩擦係数μ’とばねによる付勢力FBを用いて、下記の式(11)より、ブレーキドラムと可動部との間に作用する付勢力FBによる制動トルクTBが求められる。
Figure 0006537458
ステップS7fにて、付勢力FBによる制動トルクTBを算出した後、判定部12は算出した制動トルクBの値を判定結果として送信する(ステップS8f)。判定部12より送信された判定結果は、通信回路14を介し、保守会社等の所定の場所に配置された判定結果監視装置15へと伝えられ、判定結果監視装置15に備えられた画面上に出力される。そして、画面上に出力された制動トルクTBの値を確認した保守員等がブレーキ装置6の保守の必要性を判断する。
なお、ここでは判定部12が算出した制動トルクTBを送信する場合を説明したが、これに限定する必要はなく、判定部12の内部に制動トルクTBの判定閾値を持っており、判定部12が算出した制動トルクTBと判定閾値を比較し、ブレーキ装置6が正常か異常判定し、その判定結果を送信してもよい。
このように、モータが回転を開始してからの運動方程式を用いることで実際に付勢力FBによって作用する制動トルクTBを算出することができる。また、算出した制動トルクTBの値を外部に送信することで、実際に保守員がエレベータの設置されている現場に行くことなく、遠隔でブレーキ装置6の診断をおこなうことが可能となる。
1 かご、2 巻上機、3 シーブ、4 ロープ、5 釣合おもり、6 ブレーキ装置、7 回転検出器、8 状態監視部、9 ブレーキ制御部、10 モータ制御部、11 アンバランストルク検出器、12 判定部、13 エレベータ監視システム、14 通信回線、15 判定結果監視装置。

Claims (16)

  1. エレベータの昇降路に配置されたかご及び釣合おもりと、前記かご及び釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで摩擦力を発生させ前記巻上機のモータを制動させるブレーキ装置と、前記モータの回転数を検出する回転検出器と、前記ブレーキ装置の制動能力を判定する状態監視部とを備えたエレベータ制御装置であって、
    前記状態監視部は、
    前記付勢力を制御することで、前記ブレーキ装置の摩擦力を制御するブレーキ制御部と、
    前記ブレーキ制御部を介して、前記かごが前記ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させるとき、前記回転検出器の出力に基づき前記モータが前記かごと前記釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出するとともに、前記第一の設定タイミングを検出した後、前記モータが設定した状態量になる第二の設定タイミングを検出し、前記第一の設定タイミングを検出した時から前記第二の設定タイミングに達した時までの時間を判定閾値と比較することにより前記ブレーキ装置の制動能力を判定する判定部とを備えた
    エレベータ制御装置。
  2. エレベータの昇降路に配置されたかご及び釣合おもりと、前記かご及び釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで摩擦力を発生させ前記巻上機のモータを制動させるブレーキ装置と、前記モータの回転数を検出する回転検出器と、前記ブレーキ装置の制動能力を判定する状態監視部とを備えたエレベータ制御装置であって、
    前記状態監視部は、
    前記付勢力を制御することで、前記ブレーキ装置の摩擦力を制御するブレーキ制御部と、
    前記ブレーキ制御部を介して、前記かごが前記ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させるとき、前記回転検出器の出力に基づき前記モータが前記かごと前記釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出するとともに、前記第一の設定タイミングを検出してから事前に規定された設定時間経過時の第二の設定タイミングを検出し、前記第一の設定タイミングを検出した時から前記第二の設定タイミングに達した時までの間の前記モータの状態量の変化量を判定閾値と比較することにより前記ブレーキ装置の制動能力を判定する判定部とを備えた
    エレベータ制御装置。
  3. 前記判定部は、前記検出されたアンバランストルク及び前記ブレーキ装置のばねの付勢力の内の少なくとも一方に応じて前記制動能力の判定閾値を補正する
    請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置。
  4. 前記状態監視部は、前記モータへ印加するモータトルクを制御するモータ制御部をさらに含み、前記判定部は、前記静止保持されている状態において、前記モータ制御部を介して、前記検出されたアンバランストルクが作用している方向に予め設定したモータトルクを印加する
    請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置。
  5. 前記判定部は、前記モータ制御部を介して、検出されたアンバランストルクとモータトルクとの和が事前に設定した一定の診断トルクになるように前記モータを制御する
    請求項4に記載のエレベータ制御装置。
  6. 前記判定部は、前記ブレーキ制御部を介して、前記第一の設定タイミングを検出してから一定期間前記付勢力が一定に維持されるように制御する
    請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置。
  7. 前記判定部は、前記モータへ印加するモータトルクを制御するモータ制御部を介して、前記第二の設定タイミングに達した後、前記モータの回転を停止保持するようにモータトルクを制御する
    請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置。
  8. 前記判定部は、前記第二の設定タイミングに達した後、前記ブレーキ制御部を介して、前記ブレーキ装置が前記巻上機から吸引される前に、前記ブレーキ装置の摩擦力を徐々に増加させて前記モータを停止させる
    請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置。
  9. エレベータの昇降路に配置されたかご及び釣合おもりと、前記かご及び釣合おもりの昇降を駆動する巻上機と、付勢力によってブレーキドラムに可動部を押圧することで摩擦力を発生させ前記巻上機のモータを制動させるブレーキ装置と、前記モータの回転数及び回転角を検出する回転検出器と、前記ブレーキ装置の制動能力を判定する状態監視部とを備えたエレベータ制御装置であって、
    前記状態監視部は、
    前記付勢力を制御することで、前記ブレーキ装置の摩擦力を制御するブレーキ制御部と、
    前記ブレーキ制御部を介して、前記かごが前記ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させるとき、前記回転検出器の出力に基づき前記モータが、前記かごと前記釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出するとともに、前記第一の設定タイミングを検出した後、前記モータが所定の状態量になる第二の設定タイミングを検出し、前記第二の設定タイミングに達した時点の前記モータの状態量と前記ブレーキ装置の付勢力と検出されたアンバランストルクとに基づき、前記モータにおける前記アンバランストルクと前記ブレーキ装置の制動能力と前記モータの状態量との関係式から前記ブレーキ装置の制動能力を算出する判定部とを備えた
    エレベータ制御装置。
  10. 前記判定部は、前記第一の設定タイミングを検出した後、前記モータへ印加するモータトルクを制御するモータ制御部を介して、前記モータを設定回転角加速度まで増速させるように前記モータトルクの制御を行い、回転角速度である前記第二の設定タイミングに達した時点の前記モータトルク及び前記ブレーキ装置の付勢力と、前記検出されたアンバランストルクとに基づき、前記モータにおける前記アンバランストルクと前記ブレーキ装置の制動能力と前記モータの状態量との関係式から制動能力を算出する
    請求項9に記載のエレベータ制御装置。
  11. 前記判定部は、算出した前記制動能力を判定閾値と比較することにより前記ブレーキ装置の制動能力を判定する
    請求項9に記載のエレベータ制御装置。
  12. 前記判定部は、判定結果を所定の場所に送信する
    請求項1、2、又は9に記載のエレベータ制御装置。
  13. 請求項12に記載のエレベータ制御装置と、前記エレベータ制御装置から送信された前記判定結果を受信する判定結果監視装置とを備えた
    エレベータ監視システム。
  14. エレベータの昇降路内に配置されたかごを、ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させることにより、巻上機のモータが、前記かごと釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出し、
    前記第一の設定タイミングから、前記モータが所定の状態量になる第二の設定タイミングに達するまでの時間を検出し、
    前記時間を判定閾値と比較することにより前記ブレーキ装置の制動能力を判定する
    エレベータ制御方法。
  15. エレベータの昇降路内に配置されたかごを、ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させることにより、巻上機のモータが、前記かごと釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出し、
    前記第一の設定タイミングから、事前に規定された設定時間経過後の第二の設定タイミングに達するまでの間の前記モータの状態量の変化量を検出し、
    前記状態量の変化量を判定閾値と比較することにより前記ブレーキ装置の制動能力を判定する
    エレベータ制御方法。
  16. エレベータの昇降路内に配置されたかごを、ブレーキ装置によって静止保持されている状態から、前記ブレーキ装置による摩擦力を徐々に解放させることにより、巻上機のモータが、前記かごと釣合おもりとのアンバランストルクにより回転開始した第一の設定タイミングを検出し、
    前記第一の設定タイミングを検出した後、前記モータが所定の状態量になる第二の設定タイミングを検出し、
    前記第二の設定タイミングに達した時点の前記モータの状態量と前記ブレーキ装置の付勢力と検出されたアンバランストルクとに基づき、前記モータにおける前記アンバランストルクと前記ブレーキ装置の制動能力と前記モータの状態量との関係式から前記ブレーキ装置の制動能力を算出する
    エレベータ制御方法。
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