JP6028741B2 - 粘着剤組成物 - Google Patents
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Description
工業用粘着剤は、用途によって多種多様な条件での耐久性が求められる。例えば、偏光板や位相差フィルム等に代表される光学フィルムと、液晶パネル等のディスプレイとを貼り合わせる光学粘着剤は、車載用、屋外用ディスプレイなど過酷な条件を要求される環境下においても粘着剤の性能を保持し続ける必要があり、使用環境下における優れた耐久性が要求される。
しかし、特許文献1に記載のアクリル系粘着剤組成物は、アクリル共重合体の質量平均分子量が100万以上と極めて高いため、溶液粘度が高く、塗工性に優れる粘度まで調整するには多くの有機溶媒を必要とする。また、架橋剤を使用することで粘着剤の養生が必要となり、架橋ムラによる粘着剤としての性能にばらつきが生じやすい。
特許文献2に記載の粘着剤組成物は非架橋型の粘着剤であり、アクリル系共重合体をトリブロック共重合体にすることで溶液粘度を低下させ、塗工性を向上させている。しかし、耐熱性は90℃程度までであり、より高い耐熱クリープ性を発揮させるには粘着剤を複数ブレンドする必要があった。
そこで、耐熱クリープ性を向上させるために、アクリル系トリブロック共重合体にシランカップリング剤やイソシアネート添加剤を添加した粘着剤組成物が提案されている(例えば特許文献3)。
[1] ガラス転移点が75℃以上であり、環状構造を有する単量体単位およびカルボキシ基含有単量体単位を含むブロック(A)と、下記一般式(1)で表されるアクリル酸エステル単位を70質量%以上含むブロック(B)とからなり、酸価が8mgKOH/g以上であるブロック共重合体(X)を含有する粘着剤組成物であって、前記ブロック(A)とブロック(B)との質量比率(ブロック(A)/ブロック(B))が10/90〜30/70であり、前記ブロック共重合体(X)の少なくとも一方の末端がブロック(A)であり、かつ前記ブロック(B)がブロック(A)で挟まれている、粘着剤組成物。
CH2=CR1−COOR2 ・・・(1)
式(1)中、R1は水素原子であり、R2は炭素数8以下の直鎖のアルキル基またはアルコキシアルキル基である。
[2] 前記環状構造を有する単量体単位が、芳香環構造を有する単量体単位である、[1]に記載の粘着剤組成物。
本発明の粘着剤組成物は、ブロック(A)とブロック(B)とからなるブロック共重合体(X)を含有する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の総称である。
また、本発明において、可逆的付加開裂連鎖移動重合を「RAFT重合」といい、RAFT重合に用いられる連鎖移動剤を「RAFT剤」という。
ブロック(A)は、ガラス転移点が75℃以上の重合体または共重合体である。
ガラス転移点が75℃以上であれば、高温環境下でのクリープ性(以下、「耐熱クリープ性」ともいう。)に優れた粘着剤組成物が得られる。ブロック(A)のガラス転移点は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。
1/(TgA+273.15)=Σ[Wa/(Tga+273.15)] ・・・(i)
なお、Tgaはホモポリマーの特性値として広く知られており、例えば、「POLYMER HANDBOOK、THIRD EDITION」に記載されている値や、メーカのカタログ値を用いればよい。
ブロック(A)を構成する単量体としては、環状構造を有する単量体、カルボキシ基含有単量体、(メタ)アクリル酸エステル(ただし、環状構造を有する単量体を除く)、ヒドロキシ基含有単量体などが挙げられる。ブロック(A)は、少なくとも環状構造を有する単量体単位およびカルボキシ基含有単量体単位を含む。
芳香環構造を有する単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−クロロスチレン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル等の芳香環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
脂環構造を有する単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐熱クリープ性がより向上する点で、芳香環構造を有する単量体が好ましく、スチレンが特に好ましい。
環状構造を有さない(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
環状構造を有さない(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ブロック(A)は、後述するブロック(B)との相溶性の差からミクロ相分離を起こす。特に、環状構造を有する単量体を用いて得られるブロック(A)は、ブロック(B)との相溶性の差が大きく、ミクロ相分離を起こしやすい。ブロック(A)がミクロ相分離を起こすと、ブロック共重合体(X)の分子配列が、ブロック(A)同士、ブロック(B)同士が隣接し合った配列となる。その結果、ブロック(B)よりもガラス転移点の高いブロック(A)がブロック共重合体(X)同士の疑似架橋点となる。すると、ブロック共重合体(X)の構造が疑似的な架橋構造となり、架橋した高分子量のアクリル系共重合体と同じような働きを示し、粘着剤組成物の耐熱クリープ性が向上すると考えられる。
カルボキシ基含有単量体を用いれば、得られるブロック(A)はカルボキシ基含有単量体由来のカルボキシ基を有することになる。ブロック(A)がカルボキシ基を有していれば、カルボキシ基同士の水素結合によりブロック共重合体(X)のセグメントに化学的な結合力が生じ、耐熱性がより向上する。加えて、疑似的な架橋構造が安定しやすくなり、耐熱クリープ性がより向上する。
ブロック(B)は、下記一般式(1)で表されるアクリル酸エステル単位を含む重合体または共重合体である。
CH2=CR1−COOR2 ・・・(1)
R2は炭素数8以下の直鎖のアルキル基またはアルコキシアルキル基である。R2の炭素数が8を超えると、十分な粘着力が得られない。また、アルキル基やアルコキシアルキル基が分岐鎖状であると、粘着力が低下する。
R2の炭素数は、4以上であることが好ましい。炭素数が4以上であれば、粘着剤組成物の被着体への濡れ性が良好となり、剥離時におけるジッピング現象が起こりにくくなる。
炭素数8以下の直鎖のアルコキシアルキル基としては、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−(n−プロポキシ)エチル基、2−(n−ブトキシ)エチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、2−(n−プロポキシ)プロピル基、2−(n−ブトキシ)プロピル基などが挙げられる。
R2としては、炭素数8以下の直鎖のアルキル基が好ましい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、アクリル酸ブチルが好ましい。
ブロック(B)のガラス転移点は、ブロック(B)を構成する単量体の種類やその配合量によって調整できる。
1/(TgB+273.15)=Σ[Wb/(Tgb+273.15)] ・・・(ii)
なお、Tgbはホモポリマーの特性値として広く知られており、例えば、「POLYMER HANDBOOK、THIRD EDITION」に記載されている値や、メーカのカタログ値を用いればよい。
ブロック共重合体(X)は、上述したブロック(A)とブロック(B)とからなる。
ブロック(A)とブロック(B)との比率(ブロック(A)/ブロック(B))は、10/90〜30/70であり、15/85〜25/75であることが好ましい。ブロック(A)の比率が多くなると、粘着力が低下し、剥離時におけるジッピング現象が起こりやすくなる。一方、ブロック(A)の比率が少なくなると、耐熱クリープ性が低下する。
ここで、ブロック共重合体(X)の酸価とは、ブロック共重合体(X)1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数のことである。
ブロック共重合体(X)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定される値である。具体的には、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、流速1.0mL/分の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定し、ポリスチレン換算した値を質量平均分子量とする。
ブロック共重合体(X)は、例えばリビング重合により得られる。リビング重合としては、リビングアニオン重合、RAFT重合などが挙げられるが、特にRAFT重合が好ましい。
RAFT重合によりブロック共重合体(X)を製造する場合、RAFT剤を用いてブロック(A)を構成する単量体を重合または共重合してブロック(A)を得た後、得られたブロック(A)の存在下で、ブロック(B)を構成する単量体を重合または共重合してブロック共重合体(X)を製造する。
RAFT重合に用いられる重合開始剤としては、既知のアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤を用いることができる。
RAFT重合に用いられる溶媒については特に限定されず、公知の溶媒を用いることができる。
RAFT重合の方法としては特に限定されず、公知の方法を採用でき、例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法などが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、濡れ性調製剤、粘着付与剤等などの添加剤を含有してもよい。なお、貯蔵安定性を良好に維持する観点から、イソシアネートやシランカップリング剤は含有しないことが好ましい。
以上説明した本発明の粘着剤組成物は、ブロック(A)とブロック(B)とからなるブロック共重合体(X)を含有するので、粘着力および高温環境下でのクリープ性に優れる。上述したように、ブロック共重合体(X)はブロック(A)とブロック(B)の相溶性の差によりミクロ相分離を起こす。その結果、ブロック(A)はブロック共重合体(X)同士の疑似架橋点となる。しかも、分子間のミクロ相分離構造がより明確となることで疑似架橋点が保持される。よって、ブロック共重合体(X)の構造が疑似的な架橋構造となり、高温環境下においても粘着剤の性能が保持され、粘着力および耐熱クリープ性に優れるようになると考えられる。
よって、本発明の粘着剤組成物は、粘着剤層に厚みが求められる分野(例えばタッチパネル等)の粘着剤としても好適である。
1,6−ヘキサンジチオール0.902g(6.00mmol)と、二硫化炭素1.83g(24.0mmol)と、ジメチルホルムアミド11mLとを2口フラスコに投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で撹拌した。これに、トリエチルアミン2.49g(24.6mmol)を15分かけて滴下し、さらに25℃で3時間撹拌した。滴下終了後、フラスコ内の反応液の色が無色透明から黄色に変化したことを確認した。
引き続き、メチル−α−ブロモフェニル酢酸2.75g(12.0mmol)を15分かけて滴下し、さらに25℃で4時間撹拌した。滴下の途中で、フラスコ内に沈殿物を確認した。
ついで、反応液に、抽出溶媒(n−ヘキサン/酢酸エチル=50/50)100mLと、水50mLとを加えて分液抽出した。得られた水相に先と同じ抽出溶媒50mLを加えてさらに分液抽出した。1回目と2回目の分液抽出にて得られた有機相を混合し、これを1M塩酸50mL、水50mL、飽和食塩水50mLで順に洗浄した。洗浄後の有機相に硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別し、ろ液をエバポレーターで濃縮して、有機溶媒を減圧留去した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=80/20)にて精製して、RAFT剤(R−1)2.86g(収率80%)を黄色油状物として得た。
1H−NMR(60MHz in CDCl3):δ7.50−7.05(m,10H、ArH)、δ5.82(s,2H,CH−COO)、δ3.73(s,6H,CH3)、δ3.33(brt,4H,S−CH2)、δ1.85−1.22(m,8H,CH2).
1,6−ヘキサンジチオール0.902g(6.00mmol)を1−ドデカンチオール1.214g(6.00mmol)に変更し、二硫化炭素の量を1.83g(24.0mmol)から0.915g(12.0mmol)に変更し、トリエチルアミンの量を2.49g(24.6mmol)から1.25g(12.3mmol)に変更し、メチル−α−ブロモフェニル酢酸2.75g(12.0mmol)を(1−ブロモエチル)ベンゼン1.11g(6.00mmol)に変更した以外は、製造例1と同様にしてRAFT剤(R−2)2.25g(収率98%)を黄色油状物として得た。
1H−NMR(60MHz in CDCl3):δ7.60−7.12(m,5H、ArH)、δ5.34(q,J=6.9Hz,1H,S−CH)、δ3.34(brt,2H,S−CH2)、δ1.76(d,J=6.9Hz,3H,CH3)、δ1.70−1.05(m,20H,−CH2−)、δ0.89(brt,3H,CH3).
(ガラス転移点の算出)
ブロック(A)のガラス転移点を上記式(i)に示されるFoxの式から求め、ブロック(B)のガラス転移点を上記式(ii)に示されるFoxの式から求めた。
数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により下記条件にて測定した。なお、数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算した値である。
GPCの測定条件:
GPC装置:GPC−101(昭光通商株式会社製)
カラム:Shodex A−806M×2本直列つなぎ(昭和電工株式会社製)
検出器:Shodex RI−71(昭和電工株式会社製)
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1mL/分
水酸化カリウムを0.1規定になるようにメタノールに溶解させて調製した溶液を滴定することで測定した。
30mm×40mmサイズのステンレス板上の略中央に、乾燥後の膜厚が25μmになるように粘着剤組成物を塗工し、25mm×25mmサイズの粘着剤層を形成した。この粘着剤層を介して、ステンレス板と25mm×100mmサイズのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとを貼り合わせ、試験片とした。
試験片のPETフィルムについて、JIS Z 0237:2009の8.3.1「180度引きはがし法」に準拠して粘着力を測定した。
粘着力の測定の場合と同様にして、試験片を作製した。
JIS Z 0237:2009に準拠して、試験片のPETフィルム側から圧着ロールで1往復した後、この試験片を40℃に調節したクリープ試験機に設置した。100℃または150℃の環境下において、1kgの錘を取り付けたPETフィルムがステンレス板から落下するまでの時間を測定した。なお、1時間経過してもPETフィルムがステンレス板から落下しない場合は、1時間経過後におけるPETフィルムのズレ(試験前の位置からの距離)を測定した。落下時間(分)またはズレ(mm)を耐熱クリープ性の指標とし、ズレ(mm)が小さいほど耐熱クリープ性に優れることを意味する。また、PETフィルムがステンレス板から落下した場合は、落下時間(分)が長いほど耐熱クリープ性に優れることを意味する。PETフィルムが落下しない、もしくは落下時間が30分以上を合格とした。
酢酸エチルを用いて粘着剤組成物を希釈して希釈液を調製した。希釈液中の粘着剤組成物の濃度は5%刻みとした。バーコータNo.26を用い、濃度の高い希釈液から順にPETフィルム上に塗工した。塗膜にスジ、泡の巻き込み、塗膜表面の揺らぎが見られなくなったときの希釈液中の粘着剤組成物の濃度を求め、これを塗工性の評価とした。粘着剤組成物の濃度が高いほど塗工性に優れることを意味する。
<ブロック共重合体(X)の製造>
(ブロック(A)の製造)
スチレン(St)84.6gと、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)1.4gと、アクリル酸(AA)14gと、RAFT剤(R−1)1.9gと、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(ABN−E)0.35gとを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行った(第一段階反応)。
反応終了後、フラスコ内にn−ヘキサン4000gを投入し、撹拌して反応物を沈殿させた後、未反応のモノマー(St、HEA、AA)、およびRAFT剤をろ別し、反応物を70℃で減圧乾燥して共重合体(ブロック(A))を得た。
得られた共重合体(ブロック(A))のガラス転移点、数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)を表1に示す。
アクリル酸ブチル(BA)100g、ABN−E0.027g、および酢酸エチル50gからなる混合物と、先に得られた共重合体(ブロック(A))とを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行い(第二段階反応)、ブロック(A)とブロック(B)とからなるブロック共重合体(X)を含む反応液を得た。なお、混合物とブロック(A)の配合量は、得られるブロック共重合体(X)におけるブロック(A)とブロック(B)との質量比率が25/75となる量とした。
反応液の一部を採取し、これにn−ヘキサン4000gを投入し、撹拌して反応物を沈殿させた後、未反応のモノマー(BA)、および溶媒をろ別し、反応物を70℃で減圧乾燥してブロック共重合体(X)を反応液から取り出した。
ブロック(B)のガラス転移点、およびブロック共重合体(X)の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、酸価を表1に示す。
また、ブロック共重合体(X)を含む反応液を粘着剤組成物として用い、粘着力を測定し、耐熱クリープ性および塗工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
ブロック(A)およびブロック(B)を構成する単量体組成を表1に示すように変更し、第一段階反応および第二段階反応の重合条件を表1に示すように変更し、ブロック(A)とブロック(B)との質量比率を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体(X)を製造し、各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
なお、実施例7、8では、第一段階反応において溶媒として酢酸エチル67.7gを用いた。
ブロック(A)およびブロック(B)を構成する単量体組成を表2、3に示すように変更し、第一段階反応および第二段階反応の重合条件を表2、3に示すように変更し、ブロック(A)とブロック(B)との質量比率を表2、3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体(X)を製造し、各種測定および評価を行った。結果を表2、3に示す。
Stを18.2gと、AAを1.8gと、BAを80gと、ABN−Eを0.5gと、酢酸エチル200gとを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行い、ランダム共重合体を含む反応液を得た。
反応液の一部を採取し、これにフラスコ内にn−ヘキサン4000gを投入し、撹拌して反応物を沈殿させた後、未反応のモノマー(St、AA、BA)、および溶媒をろ別し、反応物を70℃で減圧乾燥してランダム共重合体を反応液から取り出した。
得られたランダム共重合体の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、酸価を表4に示す。
また、ランダム共重合体を含む反応液を粘着剤組成物として用い、粘着力を測定し、耐熱クリープ性および塗工性を評価した。これらの結果を表4に示す。
メタクリル酸メチル(MMA)を18.2gと、AAを1.8gと、BAを80gと、ABN−Eを0.02gと、酢酸エチル66.7gとを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行った以外は比較例17と同様にしてランダム共重合体を製造し、各種測定および評価を行った。結果を表4に示す。
「St」:スチレン(Tg:100℃)、
「CHMA」:メタクリル酸シクロヘキシル(Tg:66℃)、
「MMA」:メタクリル酸メチル(Tg:105℃)、
「MA」:アクリル酸メチル(Tg:10℃)、
「EMA」:メタクリル酸エチル(Tg:65℃)、
「HEA」:アクリル酸2−ヒドロキシエチル(Tg:−15℃)、
「HEMA」:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(Tg:55℃)、
「MAA」:メタクリル酸(Tg:228℃)、
「AA」:アクリル酸(Tg:106℃)、
「BA」:アクリル酸ブチル(Tg:−54℃)、
「EHA」:アクリル酸2−エチルヘキシル(Tg:−70℃)。
なお、各実施例の最終生成物がブロック共重合体であるかどうかは、以下のようにして判断した。
これらの結果より、共重合体(ブロック(A))の分子量ピークは消失し、共重合体(ブロック(A))の分子量よりもブロック共重合体(X)の分子量が高いことが分かる。よって、実施例1では、St単位、HEA単位、およびAA単位を構成単位とする共重合体ブロック(ブロック(A))と、BA単位を構成単位とする重合体ブロック(ブロック(B))とからなるブロック共重合体が得られたと判断した。
実施例2〜9、比較例1〜16についても、同様にして判断した。
一方、RAFT剤(R−2)はトリチオカルボナートの単量体であることから、比較例12、13で得られたブロック共重合体(X)は、ブロック(A)−ブロック(B)からなるジブロック共重合体であると考えられる。
酸価が8mgKOH/g未満であるブロック共重合体を含む比較例2〜4の粘着剤組成物は、耐熱クリープ性に劣っていた。
ブロック(A)のガラス転移点が75℃未満であり、ブロック(A)が環状構造を有する単量体単位を含まないブロック共重合体を含む比較例5、6の粘着剤組成物は、耐熱クリープ性に劣っていた。
ブロック(B)が上記一般式(1)で表されるアクリル酸エステル単位を含まないブロック共重合体を含む比較例7、8の粘着剤組成物は、粘着力が弱かった。
ブロック(A)がカルボキシ基含有単量体単位を含まないブロック共重合体を含む比較例9、10の粘着剤組成物は、耐熱クリープ性に劣っていた。
ブロック(B)中の上記一般式(1)で表されるアクリル酸エステル単位の含有率が70質量%未満であるブロック共重合体を含む比較例11の粘着剤組成物は、粘着力が弱かった。
ブロック(B)がブロック(A)で挟まれていないブロック共重合体を含む比較例12、13の粘着剤組成物は、耐熱クリープ性に劣っていた。
ブロック(A)が環状構造を有する単量体単位を含まないブロック共重合体を含む比較例14〜16の粘着剤組成物は、耐熱クリープ性に劣っていた。特に、ブロック(A)がカルボキシ基含有単量体単位を含まない比較例14の場合、粘着力も弱かった。
ランダム共重合体を含む比較例17の粘着剤組成物は、耐熱クリープ性に劣っていた。
ランダム共重合体を含む比較例18の粘着剤組成物は、耐熱クリープ性および塗工性に劣っていた。
Claims (2)
- ガラス転移点が75℃以上であり、環状構造を有する単量体単位およびカルボキシ基含有単量体単位を含むブロック(A)と、下記一般式(1)で表されるアクリル酸エステル単位を70質量%以上含むブロック(B)とからなり、酸価が8mgKOH/g以上であるブロック共重合体(X)を含有する粘着剤組成物であって、
前記ブロック(A)とブロック(B)との質量比率(ブロック(A)/ブロック(B))が10/90〜30/70であり、
前記ブロック共重合体(X)の少なくとも一方の末端がブロック(A)であり、かつ前記ブロック(B)がブロック(A)で挟まれている、粘着剤組成物。
CH2=CR1−COOR2 ・・・(1)
式(1)中、R1は水素原子であり、R2は炭素数8以下の直鎖のアルキル基またはアルコキシアルキル基である。 - 前記環状構造を有する単量体単位が、芳香環構造を有する単量体単位である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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