JP2019183078A - 粘着剤 - Google Patents
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Abstract
Description
Aは隣接する2つのヒドロキシル基を有する芳香環基を表し、Xは2価の連結基を表し、mは0又は1の整数を表し、Ra1〜Ra3はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
Rb1〜Rb4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
a及びbは、ポリマー中に含まれる構造単位の質量比率を表し、1≦[a/(a+b)]×100≦50を満たす。)
<粘着剤>
一実施形態において、粘着剤は、隣接する2つのヒドロキシル基を有する芳香環基を有するエチレン構造単位(A)と、隣接する2つのヒドロキシル基を有する芳香環基を有しないエチレン構造単位(B)とを含むポリマーを含有する(以下、該ポリマーを「粘着性ポリマー」という場合がある。)。粘着性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、0℃以下である。粘着剤は、溶媒、添加剤等の任意の成分を含有してもよい。
一実施形態において、粘着性ポリマーは、エチレン構造単位(A)とエチレン構造単位(B)とを含む。粘着性ポリマーは、エチレン構造単位(A)及びエチレン構造単位(B)以外の任意の構造単位を有してもよい。
エチレン構造単位(A)は、構造単位内に、ポリマー骨格となるエチレン構造を有し、かつ、隣接する2つのヒドロキシル基を有する芳香環基を少なくとも1つ有する構造単位である。芳香環基は、芳香環から誘導される置換基であり、エチレン構造に直接又は2価の連結基を介して結合している。芳香環としては、芳香族炭化水素環と芳香族複素環とが挙げられる。芳香環は、芳香族炭化水素環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
Rは、好ましくは、ヒドロキシル基以外の置換基であり、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
Rは、好ましくは、ヒドロキシル基以外の置換基であり、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
また、凝集力の低下を抑える観点から6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
Xは、式(x1)で表される基又は式(x2)で表される基であることが好ましく、式(x1)で表される基であることがより好ましい。
mは、1であることが好ましい。
Ra1及びRa2は、水素原子であることが好ましい。
Ra3は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
エチレン構造単位(B)は、構造単位内に、ポリマー骨格となるエチレン構造を有し、かつ、ジヒドロキシアリール基を有しない構造単位である。
Rb3は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
Rb4は、エステル結合を含む1価の基又はアミド結合を含む1価の基であることが好ましく、アルキルオキシカルボニル基(R−O−CO−基(Rはアルキル))、モノアルキルアミノカルボニル基(R−NH−CO−基(Rはアルキル))、又はジアルキルアミノカルボニル基(R−NR’−CO−基(R及びR’はアルキル))であることが好ましく、アルキルオキシカルボニル基又はジアルキルアミノカルボニル基であることがより好ましく、アルキルオキシカルボニル基であることが更に好ましい。ここでのアルキルの炭素数は、好ましくは1〜12であり、より好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜8である。
炭化水素基は、アルキル基又は芳香族炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。アルキル基の炭素数は、例えば1〜12であり、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜8である。芳香族炭化水素基の炭素数は、例えば6〜15であり、好ましくは6〜10である。
炭化水素基が有してもよい置換基として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、ハロゲン基等が挙げられる。
Rb6は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。具体的には、Rb6は、n−ブチル基又は2−エチルヘキシル基であることが好ましく、n−ブチル基であることがより好ましい。
粘着力向上の観点から、粘着性ポリマーに含まれる構造単位(A)の比率は、粘着性ポリマー中の全構造単位を基準として、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。また、同様に粘着力向上の観点から、粘着性ポリマーに含まれる構造単位(A)の比率は、粘着性ポリマー中の全構造単位を基準として、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることが更に好ましい。構造単位(A)の比率が前記範囲内であると、粘着力が向上しやすい。また、構造単位(A)の比率が前記範囲内であると、高温条件下においても十分な粘着力が得られやすい。推定される理由の一つとして、構造単位(A)の比率が50質量%以下である場合は、ポリマー内での相互作用が抑えられ、被着体との粘着力向上に寄与する構造単位(A)の実質的な量が増加することが挙げられる。構造単位(A)の比率は、核磁気共鳴分光法(NMR分光法)により求めることができる。また、構造単位(A)の比率は、粘着性ポリマーの合成に用いたモノマーの質量から求めることができる。
一実施形態によれば、粘着力向上の観点から、重量平均分子量は、50,000以上であることが好ましく、100,000以上であることがより好ましい。また、粘着性ポリマーの流動性の観点から、重量平均分子量は、350,000以下であることが好ましい。
一実施形態によれば、粘着力向上の観点から、数平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、25,000以上であることがより好ましい。また、粘着性ポリマーの流動性の観点から、数平均分子量は、100,000以下であることが好ましい。
一実施形態によれば、粘着力向上の観点から、PDIは、6以下であることが好ましく、5.5以下であることがより好ましく、4.5以下であることが更に好ましい。下限は特に限定されないが、通常、1以上である。
一実施形態によれば、粘着力向上の観点から、ガラス転移温度は、0℃以下であることが好ましく、−45℃以下であることがより好ましい。また、粘着剤として適用可能であれば特に限定されないが、通常、ガラス転移温度は−100℃以上である。
Aはジヒドロキシアリール基を表し、Xは2価の連結基を表し、mは0又は1の整数を表し、R1a〜R3aはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
R1b〜R4bはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
a及びbは、ポリマー中に含まれる構造単位の質量比率を表し、1≦[a/(a+b)]×100≦50を満たす。
粘着性ポリマーの末端は特に限定されず、通常は、モノマー、重合開始剤等に由来する構造が含まれる。
一実施形態において、粘着性ポリマーは、エチレン性不飽和基を有する少なくとも2種類のモノマーを、重合させて得られる。2種類のモノマーは、ジヒドロキシアリール基とエチレン性不飽和基とを有するモノマー(A)、及び、ジヒドロキシアリール基を有さず、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)である。したがって、粘着性ポリマーの製造方法の一実施形態は、モノマー(A)とモノマー(B)とを含有するモノマーを、共重合させることを含む。
粘着性ポリマーの製造方法に用いられるエチレン性不飽和基を有するモノマーは、少なくとも2種類であり、1種類のモノマーが、モノマー(A)である。モノマー(A)は、分子内に、ジヒドロキシアリール基を少なくとも1つ有し、かつ、エチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する。
粘着性ポリマーの製造方法に用いられる少なくとも2種類のモノマーのうちの他の1種類のモノマーは、モノマー(B)である。モノマー(B)は、分子内に、ジヒドロキシアリール基を有さず、かつ、エチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する。ジヒドロキシアリール基及びエチレン性不飽和基については、上述のとおりである。
粘着性ポリマーを得る際、モノマーを重合させるためにラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に制限なく、通常のラジカル重合開始剤を用いることができる。例えば、アゾ系化合物、過酸化物等が好ましく挙げられる。具体的には、熱により遊離ラジカルを発生させるアゾ系ラジカル開始剤及び有機過酸化物が好ましい。
粘着性ポリマーを得る際、反応溶媒を使用して溶液重合で合成することが好ましい。反応溶媒は有機溶媒であることが好ましく、有機溶媒はモノマーが溶解すれば特に限定されない。モノマー(A)の溶解性の観点から、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、又はN,N−ジメチルホルムアミドを用いることが好ましい。
粘着性ポリマーを合成する際の温度は、特に制限はなく、使用するモノマーの種類、溶媒の沸点、重合開始剤の半減期温度等を考慮して決定するとよい。例えば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いて重合させる場合、反応温度は60〜70℃であることが好ましい。
粘着性ポリマーを溶液重合により得た場合は、反応後、粘着性ポリマーをそのままポリマー溶液として取り出すこともできるが、脱溶媒してもよい。
粘着剤は、粘着性ポリマーのほかに、溶媒、添加剤、他のポリマー、希釈モノマー、重合開始剤、その他の粘着性成分等の任意の成分を含有してもよい。溶媒は、有機溶媒であることが好ましく、具体的には、反応溶媒として挙げた溶媒を使用できる。添加剤としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、及び界面活性剤が挙げられる。重合開始剤はラジカル重合開始剤を用いることが好ましく、ラジカル重合開始剤として挙げた重合開始剤を使用できる。
粘着剤中の粘着性ポリマーの含有量に特に制限はない。より優れた粘着力を得る観点から、粘着性ポリマーの含有量は、粘着剤の全質量(ただし、粘着剤が溶媒及び/又はモノマーを含む場合は、溶媒及びモノマーの質量を除く固形分の全質量)を基準として、例えば、80〜100質量%である。粘着剤を用いて被着体を接着する際には、塗布法により粘着剤層を容易に形成できることから、粘着剤は溶媒及び/又はモノマーを含有していることが好ましい。この場合、粘着性ポリマーの含有量は、粘着剤の全質量(溶媒及びモノマーの質量も含む全質量)を基準として、例えば、5〜50質量%である。
粘着剤を用いた接着方法について特に制限はない。例えば、粘着性ポリマーと溶媒を含有する粘着剤を塗布後、溶媒を乾燥させる方法により接着させる;粘着性ポリマーとモノマーと重合開始剤を含有する粘着剤を塗布後、硬化させる方法により接着させる;粘着性ポリマーを含有する粘着剤を加熱溶融して塗布後、固化させる方法により接着させる;又は、あらかじめ粘着剤を用いて作製した粘着剤層を使用する方法により接着させることが可能である。
一実施形態において、構造体は、被着体(1)、粘着剤層、及び被着体(2)を備え、被着体(1)と被着体(2)とが粘着剤層を介して接着しており、該粘着剤層が前記実施形態の粘着剤を含有する。被着体(1)と被着体(2)とが、高い粘着力を有する粘着剤によって接着されているために、構造体は優れた強度を有する。
粘着性ポリマーを含む粘着剤を作製し、粘着性を評価した。
モノマー(A)とモノマー(B)の比率を変化させ、粘着性ポリマーを合成し、分子量及びガラス転移温度を求めた。
200mLの2つ口ナス型フラスコに、化合物(1)(N−(3,4−ジヒドロキシフェニルエチル)メタクリルアミド)0.2g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)50mg、及び回転子を入れ、還流管及び窒素導入管を取り付けた。系内を脱気してから窒素で置換した後、アクリル酸n−ブチル(BA)9.8g及びメチルイソブチルケトン(MIBK)18.6gを加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで撹拌し、化合物(1)とAIBNを溶解させた。50mL/分で窒素を導入し、30分間バブリングした後、窒素導入管を液面から上げて、窒素の導入を続け、65℃まで昇温した。65℃に到達した時点を反応開始とし、7時間反応を続けた後、AIBNを失活させるため75℃に昇温し30分間保持した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液は不揮発分37質量%であり、固形分換算での収率は81質量%であった。
粘着性ポリマー0.05gをテトラヒドロフラン(THF)5gに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「CHROMASTER」、カラム:GL−A130S、GL−A150S、GL−A160(3連結、全てジーエルサイエンス株式会社製)、検出器:RI、溶離液:THF、流速:1.0mL/min、カラム温度:35℃、注入量:70μL)により、粘着性ポリマーの重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した。結果を表1に示す。
粘着性ポリマー0.005gをアルミニウム製のサンプルセル(株式会社島津製作所製「AlクリンプセルAUS」)に量り取り、示差走査熱量計(株式会社島津製作所製「DSC−60A Plus」、昇温速度:10℃/min、測定範囲:−80℃〜30℃)により、粘着性ポリマーのガラス転移温度を測定した。結果を表1に示す。
粘着性ポリマーの合成において、化合物(1)0.4g及びBA9.6gとする点を除き、実施例1と同様に粘着性ポリマーを合成し、分子量及びガラス転移温度を求めた。得られたポリマー溶液は不揮発分35質量%であり、収率は87質量%であった。
粘着性ポリマーの合成において、化合物(1)0.8g及びBA9.2gとする点を除き、実施例1と同様に粘着性ポリマーを合成し、分子量及びガラス転移温度を求めた。得られたポリマー溶液は不揮発分36質量%であり、収率は86質量%であった。
粘着性ポリマーの合成において、化合物(1)1.5g及びBA8.5gとする点を除き、実施例1と同様に粘着性ポリマーを合成し、分子量及びガラス転移温度を求めた。得られたポリマー溶液は不揮発分34質量%であり、収率は80質量%であった。
粘着性ポリマーの合成において、BA10.0gとする点を除き、実施例1と同様に粘着性ポリマーを合成し、分子量及びガラス転移温度を求めた。得られたポリマー溶液は不揮発分35質量%であり、収率は88質量%であった。
粘着性ポリマーの合成において、BA9.6g及びメタクリル酸ベンジル(BZMA)0.4gとする点を除き、実施例1と同様に粘着性ポリマーを合成し、分子量及びガラス転移温度を求めた。得られたポリマー溶液は不揮発分36質量%であり、収率は90質量%であった。
粘着性ポリマーの合成において、化合物(1)0.4g及びメタクリル酸n−ブチル(BMA)9.6gとする点を除き、実施例1と同様に粘着性ポリマーを合成し、分子量及びガラス転移温度を求めた。得られたポリマー溶液は不揮発分35質量%であり、収率は88質量%であった。
実施例1〜4並びに比較例1〜3の粘着性ポリマーについて、粘着性を評価した。評価結果を表1に示す。
粘着剤(粘着性ポリマーを含有するポリマー溶液)を軽剥離セパレータ(株式会社フジコー製「BD−50」(フィルム厚み:50μm))にアプリケーター(塗布厚:300μm)で塗布した。塗布した粘着剤を防爆乾燥機で乾燥させ、粘着剤層を形成した後、粘着剤層に重剥離セパレータ(中本パックス株式会社製「HTA−75」(フィルム厚み:75μm))をラミネートした。得られた積層フィルムを25mm×800mmサイズに切り出した後、軽剥離セパレータを剥がしてフロートガラスに貼り合わせた。次に重剥離セパレータを剥がし、粘着剤層に30mm×200mmサイズに切り出した両面易接着ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製「A4300」(フィルム厚み:75μm))をラミネートし、試験片を得た。粘着剤層の厚さは約100μmであった。
オートグラフ試験機(株式会社島津製作所製「AUTOGRAPH AGS−X」)に作製した試験片を取り付け、引張速度300mm/分、角度180°(接着面に平行な方向)、温度25℃の条件で剥離接着強さ(ピール強度)を測定した。実施例2及び比較例1の粘着性ポリマーについては、温度60℃の条件での測定も行った。
粘着性ポリマーを含む粘着剤を作製し、実施例1と同様に粘着性を評価した。結果を、実施例2の結果とともに表2に示す。
粘着性ポリマーの合成において、化合物(1)0.4g、BA9.6g、及びMIBK40.0gとする点を除き、実施例1と同様に粘着性ポリマーを合成し、分子量を求めた。ただし、合成終了後に減圧濃縮し、不揮発分35%に調製した。収率は83質量%であった。
粘着性ポリマーの合成において、化合物(1)0.4g、BA9.6g、及びMIBK12.2gとする点を除き、実施例1と同様に粘着性ポリマーを合成し、分子量を求めた。ただし、合成終了後にMIBKを追加し、不揮発分36%に調製した。収率は70質量%であった。
Claims (6)
- 隣接する2つのヒドロキシル基を有する芳香環基を有するエチレン構造単位(A)と、隣接する2つのヒドロキシル基を有する芳香環基を有しないエチレン構造単位(B)を含み、ガラス転移温度が0℃以下であるポリマーを含有する、粘着剤。
- 前記エチレン構造単位(A)の比率が、前記ポリマーに含まれる全構造単位を基準として1〜50質量%である、請求項1に記載の粘着剤。
- 前記ポリマーの重量平均分子量が50,000以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤。
- 更に溶媒を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着剤。
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