JP7380185B2 - ブロック共重合体、樹脂組成物および粘着フィルム - Google Patents

ブロック共重合体、樹脂組成物および粘着フィルム Download PDF

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Description

本発明は、ブロック共重合体(C)、およびブロック共重合体(C)を含む樹脂組成物に関する。更に、前記樹脂組成物から形成されてなる粘着層を有する粘着フィルムに関する。
様々な産業分野においてエラストマー材料・粘着材料が用いられており、これらの材料の更なる高機能化に関して種々の提案がなされている。
例えば、A1―B―A2型のアクリル系トリブロック重合体で、A1およびA2はメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロック、およびBはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックからなる、トリブロック重合体を用いた粘着剤が提案されている。(特許文献1)
また、環状構造を有する単量体単位およびカルボキシ基含有単量体単位を含むブロックと、アクリル酸エステル単位を70質量%以上含むブロックとからなるブロック共重合体、および軟化点が120℃以上であり、かつ環状構造を有する粘着付与剤(Y)を含有する粘着剤が提案されている。(特許文献2)
また、極性基を有する(メタ)アクリル酸エステルランダム共重合体と、(メタ)アクリルトリブロック共重合体と粘着付与樹脂とを含有した粘着剤組成物が提案されている。(特許文献3)
国際公開第2008/065982号 特開2016-216524 特開2016-183275
生体センシング等のヘルスケア機器、ウェアラブル機器、並びにロボティックスなどの分野の進展に伴い、伸縮性に優れた粘着材料が求められている。これらの用途においては、それぞれの材料の粘着性に加えて、加工時または/および使用時に曲面部や可動部に追随可能な伸縮性が求められる。
曲面部や可動部に粘着材料を用いると、繰り返し伸縮に伴う樹脂の構造破壊によって、樹脂自身にクラックが発生しやすいという問題がある。また、高温下での使用の際には粘着剤のクリープ耐性が悪化するという問題がある。
なお、上記においては粘着材料における課題について述べたが、それ以外の用途の樹脂組成物に対しても同様の課題が生じ得る。
上述する課題に加えて、近年は、粘着剤の性能に対する要求レベルがますます高度化し、使用される環境も多様になっていく中、凝集力と粘着力等の粘着物性と高温下での粘着物性を兼ね備えた粘着剤の提供が強く求められている。電子機器や車載部品等の構成部材となり得る粘着剤においては、高湿の環境下に耐え得る耐久性および信頼性が求められ、再剥離用途では特に、被着体から糊残りなく剥離され得る特性が強く求められている。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制でき、高温でも物性を損なわないブロック共重合体(C)を含有する樹脂組成物、粘着フィルムに関する。
本発明は、高温下でも伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制できるブロック共重合体(C)を含有する樹脂組成物を提供することを目的とする。また、高温下でも優れた粘着力、凝集力、保持力、低汚染性を示す粘着フィルムを提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とするブロック共重合体(C)であって、数平均分子量が5,000~500,000であり、 ブロック構造が、重合体ブロックA-重合体ブロックB-重合体ブロックAのトリブロック構造、または[重合体ブロックA-重合体ブロックB]qXの星形ブロック構造であり、 但し、qは2以上6以下の整数であり、前記トリブロック構造の場合の重合体ブロックBのガラス転移温度が20℃未満であり、重合体ブロック(A)のガラス転移温度は120℃以上であり、前記星形ブロック構造の場合の[重合体ブロックB]qXのガラス転移温度が20℃未満であり、Xは開始剤残基および/またはカップリング剤残基、またはその誘導体であり、ブロック共重合体(C)の120℃での引張試験の破断時の強度が0.1MPa以上かつ伸度が400%以上であることを特徴とするブロック共重合体(C)に関する。
また、本発明は、ブロック共重合体(C)中の重合体ブロックAが、ジシクロペンタジエン骨格を有する単量体、アダマンタン骨格を有する単量体、およびステロール骨格を有する単量体からなる群より選択される少なくとも1種の単量体由来の構成単位を含有する前記のブロック共重合体に関する。
また、本発明は、ジシクロペンタジエン骨格を有する単量体、アダマンタン骨格を有する単量体、およびステロール骨格を有する単量体が、メタクリル酸エステル単量体および/またはアクリル酸エステル単量体を含む前記のブロック共重合体(C)に関する。
また、本発明は、ジシクロペンタジエン骨格を有する単量体が下記一般式(1)および(2)で示される単量体から群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記のブロック共重合体(C)に関する。
一般式(1)

一般式(2)

[式中、実線と点線の二重線は、それぞれ独立に二重結合または単結合を表し、Rは水素原子またはメチル基、Lは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる任意の組合せからなる分子量400以下の連結基をそれぞれ表す。]
また、本発明は、アダマンタン骨格を有する単量体が、下記一般式(3)~(5)で示される単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記のブロック共重合体(C)に関する。

一般式(3)


一般式(4)


一般式(5)


[式中、実線と点線の二重線は、それぞれ独立に二重結合または単結合を表し、R1、は水素原子またはメチル基、R3、は水素原子またはカルボキシル基を表し、Lは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる任意の組合せからなる分子量400以下の連結基をそれぞれ表す。]
また、本発明は、ステロール骨格を有する単量体が、下記一般式(6)~(9)で示される単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記のブロック共重合体(C)に関する。

一般式(6)


一般式(7)


一般式(8)



一般式(9)


[式中、実線と点線の二重線は、それぞれ独立に二重結合または単結合を表し、R~Rは水素原子またはメチル基、Lは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる任意の組合せからなる分子量400以下の連結基を、Rは酸素原子または水素原子、炭素原子、酸素原子から選ばれる任意の組合せからなる分子量200以下の置換基をそれぞれ表す。]
また、本発明は、ブロック共重合体(C)が、水酸基、およびカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する前記のブロック共重合体(C)に関する。
また、本発明は、ブロック共重合体(C)の全重量に対して、重合体ブロックAの含有率が、1~50質量%であることを特徴とする前記のブロック共重合体(C)に関する。
また、本発明は、重合体ブロックAが、メタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上含み、重合体ブロックBがアクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上含むことを特徴とする、前記のブロック共重合体に関する。
また、本発明は、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることを特徴とする前記のブロック共重合体(C)に関する。
また、本発明は、リビングラジカル重合法により得られたことを特徴とする前記のブロック共重合体に関する。
また、本発明は、リビングラジカル重合法が、ヨウ素移動重合であることを特徴とする、前記のブロック共重合体に関する。
また、本発明は、前記のブロック共重合体を含有する樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記のブロック共重合体と架橋剤とを含有する樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記の樹脂組成物から形成された粘着層を有する粘着フィルムに関する。
本発明によれば、高温での伸縮性に優れ、高温での伸長においても弾性変形可能なブロック共重合体、それを用いた樹脂組成物、高温での保持力耐性に優れた粘着フィルムを提供できるという優れた効果を有する。
製造例1に係るブロック共重合体の製造方法を説明するための模式図。 製造例3に係るブロック共重合体の製造方法を説明するための模式図。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれる。また、本発明のフィルムは、シート、テープおよびラベルと同義である。また、特に言及しない限り、各種成分は、それぞれ独立に、単独または2種類以上を併用できる。
<ブロック共重合体(C)>
本発明に係るブロック共重合体(C)は、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とするブロック共重合体(C)であって、数平均分子量が5,000~500,000であり、ブロック構造が、重合体ブロックA-重合体ブロックB-重合体ブロックAのトリブロック構造、または[重合体ブロックA-重合体ブロックB]qXの星形ブロック構造であり、但し、qは2以上6以下の整数であり、前記トリブロック構造の場合の重合体ブロックBのガラス転移温度が20℃未満であり、重合体ブロック(A)のガラス転移温度は120℃以上であり、前記星形ブロック構造の場合の[重合体ブロックB]qXのガラス転移温度が20℃未満であり、Xは開始剤残基または/およびカップリング剤残基、またはその誘導体であり、ブロック共重合体(C)の120℃での引張試験の破断時の強度が0.1MPa以上かつ伸度が400%以上であることを特徴とする。
なお、以降の説明において重合体ブロック(A),重合体ブロック(B)をそれぞれ、単にA,Bと表記することがある。
本明細書において「エチレン性不飽和単量体」とは、重合性のエチレン性不飽和基を分子内に1つ以上有する単量体をいう。なお、非重合性のエチレン性不飽和基が含まれていてもよいことは言うまでもない。また、「主体とする」とは、ブロック共重合体(C)の合計質量に基づいてエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を70質量%以上含むことをいう。また、「トリブロック構造」とは、ブロック構造のうち、重合体ブロック(A)-重合体ブロック(B)-重合体ブロック(A)の3つのブロックからなる構造をいい、「星形ブロック構造」とは重合体ブロック(B)-重合体ブロック(A)のジブロック体が、Xを起点として複数(2~6)結合されてなる(Xと重合体ブロック(B)が結合されてなる)構造をいう。
更に、「開始剤残基」とは、開始剤由来の部分構造をいい、ブロック共重合体(C)中の開始剤に由来する残基を意味する。また、「カップリング剤残基」とは、カップリング剤由来の部分構造をいい、ブロック共重合体(C)中のカップリング剤に由来する残基を意味する。また、「その誘導体」とは、開始剤残基または/およびカップリング剤残基の一部が化学変換された構造をいう。例えば、ブロック共重合体(C)の合成時に、開始剤残基または/およびカップリング剤残基の一部が置換、付加された構造が含まれる。
また、本明細書において「エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位」には、エチレン性不飽和単量体の残基の他、エチレン性不飽和単量体の残基の一部分をブロック共重合体(C)の重合時または重合後に反応性化合物と反応させて得られたエチレン性不飽和単量体の残基の誘導体も含む。例えば、エチレン性不飽和単量体の残基の一部分に、単量体に元々含まれていない官能基または/および置換基が導入された構造単位も含まれる。なお、単量体自体に官能基または/および置換基が含まれていてもよいことは言うまでもない。また、ブロック共重合体(C)内の側基同士、側鎖同士、または側基と側鎖が互いにまたは反応性化合物を介して結合して環を形成した構造を含む。
重合体ブロック(A)のガラス転移温度(以下、Tgともいう)が120℃以上であるとは、ブロック共重合体(C)中のそれぞれの重合体ブロック(A)のTgが120℃以上であることをいう。重合体ブロック(A)のTgは、重合体ブロック(A)のブロックが得られた段階でTgを測定することにより確認することができる。ここで、それぞれの重合体ブロック(A)が120℃以上である場合、ブロック共重合体(C)から求められる重合体ブロック(A)全体のTgも120℃以上となる。即ち、各重合体ブロック(A)を合計した全体の重合体ブロック(A)(以下、<重合体ブロック(A)>Totalと表記する)のTgと、それぞれの重合体ブロック(A)のTgは相関関係があり、<重合体ブロック(A)>TotalのTgを求め、このTgにより、重合体ブロック(A)それぞれのTgが120℃以上の条件を満たすか否かを判断することができる。
本明細書における重合体ブロック(A)のTgは、ブロック共重合体(C)が得られた段階でDSC測定して得られた曲線において認められる<重合体ブロック(A)>TotalのTgであり、JIS K 7121:2012プラスチックの転移温度測定方法に基づき測定を行い、当該JIS 9.3記載の補外ガラス転移開始温度(Tig)により求められる値とする。<重合体ブロック(A)>Totalに由来するTgは、同様の化学構造を有するブロックではない重合体のTgと同一または近傍の数値となるので、トリブロック構造の場合には重合体ブロック(B)のTg、星形ブロック構造の場合には[重合体ブロック(B)]qXのTgと容易に区別が付けられる。<重合体ブロック(A)>Totalの上記Tg、およびそれぞれの重合体ブロック(A)のTgは、ブロック共重合体(C)の連鎖末端、即ち、重合体ブロック(A)の連鎖末端の構造によって値は大きく変わらないので、本明細書においては、重合体ブロック(A)の連鎖末端も含めて、それぞれの重合体ブロック(A)のTgおよび<重合体ブロック(A)>TotalのTgを判断するものとする。
但し、各重合体ブロック(A)の単量体に由来する構造単位がブロック毎に異なるケースなどにおいて、DSC測定して得られた曲線において、複数のTgが観測される場合には、<重合体ブロック(A)>TotalのTgに代えて、それぞれの重合体ブロック(A)のTgにより判断するものとする。その場合には、各重合体ブロック(A)の重合が完了した時点でサンプリングしてTgを求める。或いは、それぞれの重合体ブロック(A)と同様の化学構造を有する重合体のTgと相関があるので、それぞれの対応する重合体のTgをFoxの式より求め、Tgが20℃以上であるか否かにより判断してもよい。FOXの式は、下記式(1)から求められる値である。
1/(TgA+273.15)=Σ[Wa/(Tga+273.15)] ・・・(1)
式(1)中、TgAは重合体ブロック(A)のTg(℃)であり、Waは重合体ブロック(A)を構成する単量体aの質量分率であり、Tgaは単量体aの単独重合体(ホモポリマー)のTg(℃)である。なお、Tgaはホモポリマーの特性値として広く知られており、例えば、「POLYMERHANDBOOK、THIRDEDITION」に記載されている値や、メーカのカタログ値を用いることができる。
ブロック共重合体(C)がトリブロック構造の場合には重合体ブロック(B)そのもののTgを20℃未満とし、星形ブロック構造の場合には[重合体ブロック(B)]qXのTgを20℃未満とする。ここで、トリブロック構造の重合体ブロック(B)、および星形ブロック構造の[重合体ブロック(B)]qXを総称して<重合体ブロック(B)[X]>と表記する。
<重合体ブロック(B)[X]>のTgは、ブロック共重合体(C)が得られた段階でDSC測定して得られた曲線において認められる<重合体ブロック(B)[X]>のTgであり、JIS K 7121:2012プラスチックの転移温度測定方法に基づき測定を行い、当該JIS 9.3記載の補外ガラス転移開始温度(Tig)により求められる値とする。<重合体ブロック(B)[X]>のTgは、同様の化学構造を有する重合体のTgと同一または近傍の数値となるので重合体ブロック(A)に由来するTgと容易に区別が付けられる。
ブロック共重合体(C)を用いることにより、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制できる。以下、ブロック共重合体(C)の好適な実施形態についてさらに詳細に説明する。
ブロック共重合体(C)は、ブロック構造が、A-B-Aのトリブロック構造、または[A-B]qXの星形ブロック構造であればよく、重合体ブロック(A)の連鎖末端に開始剤残基またはその誘導体、官能基、不活性基、架橋性基、置換基などを有していてもよいことは言うまでもない。
星形ブロック構造の場合の開始剤残基または/およびカップリング剤残基、またはその誘導体Xの分子量は特に限定されない。例えば、50~2,500とすることができる。重合体ブロック(A)の連鎖末端に任意で有していてもよい開始剤残基またはその誘導体の分子量も同様に特に限定されず、例えば、50~2,500程度とすることができる。
(重合体ブロック(A))
重合体ブロック(A)のTgは120℃以上であることを特徴とし、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とする、ハードセグメントとして機能するブロックである。
重合体ブロック(A)のTgの上限値は特に限定されないが、例えば300℃、250℃または200℃とすることができる。この重合体ブロック(A)のTgは、前述したように<重合体ブロック(A)>TotalのTgに読み替えられる(以降においても同様とする。)。即ち、<重合体ブロック(A)>Totalは120℃以上であることが好ましい。
同様に、<重合体ブロック(A)>Totalの上限値は特に限定されないが、例えば300℃、または250℃とすることができる。
重合体ブロック(A)の単量体は、1種単独または2種以上を併用して用いられる。単量体の具体例として、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、スチレン、スチレン誘導体、マレイミドおよびアクリロニトリルからなる群から選択される少なくとも1つが例示できる。
メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルとしては、炭素数が1~35、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基、もしくは、ジシクロペンタジエン骨格・アダマンタン骨格・ステロイド骨格を側鎖に有するメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルが例示できる。
中でも、ジシクロペンタジエン骨格、アダマンタン骨格、ステロイド骨格を側鎖に有するメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルが好ましい。
また、スチレン誘導体としては、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、クロロメチルスチレンおよびビニルトルエンが例示できる。また、次に説明する重合体ブロック(B)で例示する単量体をその一部に好適に含むことができる。
重合体ブロック(A)のシクロペンタンジエン骨格を有する単量体としては、下記一般式(1)および(2)で示される単量体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、具体的には、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートなどを用いることができる。

一般式(1)
一般式(2)
一般式(1)および(2)中、実線と点線の二重線は、それぞれ独立に二重結合または単結合を表し、Rは水素原子またはメチル基、Lは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる任意の組合せからなる分子量400以下の連結基をそれぞれ表す。
アダマンタン骨格を有する単量体としては、下記一般式(3)~(5)で示される単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、具体的には、アクリル酸1-アダマンチル、メタクリル酸1-アダマンチル、アクリル酸2-メチルアダマンタン-2-イル、2-メタクリロイルオキシ-2-メチルアダマンタン、2-エチル‐2-アダマンチルアクリレート、2-エチル-2-アダマンチルメタクリレートなどを用いることができる。
一般式(3)

一般式(4)

一般式(5)
一般式(3)および(4)中、実線と点線の二重線は、それぞれ独立に二重結合または単結合を表し、R1、は水素原子またはメチル基、R3、は水素原子またはカルボキシル基を表し、Lは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる任意の組合せからなる分子量400以下の連結基をそれぞれ表す。
ステロール骨格を有する単量体としては、ステロール骨格とエチレン性不飽和結合を同一化合物中に有するものであれば特に制限されないが、例えば、一般式(6)~(9)のいずれかで表される(メタ)アクリロイル基またはスチレン基を有する構造であることが好ましい。
一般式(6)


一般式(7)


一般式(8)


一般式(9)
一般式(6)~(9)中、実線と点線の二重線は、それぞれ独立に二重結合または単結合を表し、R~Rは水素原子またはメチル基、Lは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる任意の組合せからなる分子量400以下の連結基を、Rは酸素原子または水素原子、炭素原子、酸素原子から選ばれる任意の組合せからなる分子量200以下の置換基をそれぞれ表し、Rの具体的な例としては例えば、直鎖または分岐アルキル基、直鎖または分岐アルケニル基、アルキルカルボニル基等が挙げられる。
ステロール骨格を有する単量体は、ステロール化合物に(メタ)アクリロイル基、またはスチレン骨格を導入することによって得ることができる。その導入方法としては、以下の例に限定されないが、例えばステロール化合物と、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アクリル酸2-イソシアナトエチル、α,α-ジメチル-3-イソプロペニルベンジルイソシアナート等のステロール化合物中の水酸基と反応し得る官能基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物またはスチレン基含有化合物とを溶剤中で縮合させる方法等が挙げられる。
重合体(A)のメタクリル酸エステル由来の構造単位を形成する単量体として、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ターシャリブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、イソヘキシルメタクリレート、イソヘプチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノルマルオクチルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、べへニルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t-ブチルシクロヘキシルメチルメタクリレート、イソボロニルメタアクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、シクロデシルメタクリレート、シクロデシルメチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、t-ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アリルメタクリレートなどの、脂肪族、脂環族、芳香族アルキルメタクリレート類が例示できる。また、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシプロピルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレートなどのアルコキシ基の炭素数が1~4であり、アルキル基の炭素数が1~4であるアルコキシアルキルメタクリレートなどのアルコキシアルキルメタクリレート類;(ポリアルキレン)グリコールモノアルキル、アルキレン、アルキンエーテルまたはエステルのモノメタクリレート類;酸素原子含有のメタクリル酸系モノマー類;窒素原子含有のメタクリル酸系モノマー類等を用いることができる。
重合体(A)のアクリル酸エステル由来の構造単位を形成する単量体として、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、ノルマルブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ターシャリブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ペンチルアクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノルマルオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、テトラデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、べへニルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、t-ブチルシクロヘキシルメチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、シクロデシルアクリレート、シクロデシルメチルアクリレート、ベンジルアクリレート、t-ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチルアクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、アリルアクリレートなどの、脂肪族、脂環族、芳香族アルキルアクリレート類が例示できる。
重合体ブロック(A)中のジシクロペンタジエン骨格を有する単量体、アダマンタン骨格を有する単量体、またはステロール骨格を有する単量体由来の構造単位は、好ましくは60質量%であり、80質量%以上であることが更に好ましい。また、重合体ブロック(A)の100質量%がジシクロペンタジエン骨格を有する単量体、アダマンタン骨格を有する単量体、またはステロール骨格を有する単量体であってもよい。
重合体ブロック(A)の好適な例として、ジシクロペンタニルメタクリレート由来の構造単位、メタクリル酸1-アダマンチル由来の構造単位、またはフィトステロールのメタクリル酸2-イソシアナトエチル(MOI)変性品由来の構造単位が60質量%以上であり、80質量%以上であることが更に好ましい。また、重合体ブロック(A)の100質量%がジシクロペンタニルメタクリレート由来の構造単位、メタクリル酸1-アダマンチル由来の構造単位、またはフィトステロールMOI変性品由来の構造単位であってもよい。
各重合体ブロック(A)の単量体に由来する構造単位は、ブロック毎に異なる単量体に由来する構造単位から構成されていてもよいし、ブロック間で同一の単量体に由来する構造単位から構成されていてもよい。好ましくは、重合体ブロック(A)同士は、単量体に由来する構造単位の60質量%以上が互いに共通していることが好ましく、70質量%が共通していることがより好ましく、80質量%以上が共通していることが更に好ましい。なお、ここで共通するとは、単量体の配列までは問わず、成分が共通していることを意味する。
(重合体ブロック(B))
重合体ブロック(B)Tgは20℃未満であることを特徴とし、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とする、ソフトセグメントとして機能するブロックである。
重合体ブロック(B)のTgの下限値は特に限定されないが、例えば-100℃、-90℃または-80℃とすることができる。この重合体ブロック(B)のTgは、前述したように<重合体ブロック(B)>TotalのTgに読み替えられる(以降においても同様とする。)。即ち、<重合体ブロック(B)>Totalは20℃未満であることが好ましい。
トリブロック構造の場合の重合体ブロック(B)のTg、並びに星形ブロック構造の場合の[重合体ブロック(B)]qXのTg、即ち、<重合体ブロック(B)[X]>のTgは、20℃未満であり、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、-10℃以下であることが更に好ましく、-20℃以下であることが特に好ましい。<重合体ブロック(B)[X]>のTgの下限値は特に限定されないが、例えば-100℃、-90℃または-80℃とすることができる。
単量体は1種単独または2種以上を併用して用いられる。単量体の具体例として、アクリル酸エステル、オレフィン化合物、ジエン化合物およびアルキレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1つが例示できる。アクリル酸エステルとしては、炭素数が1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基を有するアルキルアクリレートが例示できる。オレフィン化合物およびジエン化合物としては、炭素数が1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のオレフィン化合物およびジエン化合物が例示できる。また、アルキレンオキシドとしては、炭素数が1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキレン基を有するアルキレンオキシドが例示できる。また、前述の重合体ブロック(A)で例示する単量体をその一部に好適に含むことができる。
また、重合体ブロック(B)中のアクリル酸エステル由来の構造単位は、より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上である。また、アクリル酸エステル由来の構造単位を100質量%としてもよい。
重合体ブロック(B)のアクリル酸エステル由来の構造単位を形成する単量体として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ノルマルブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ターシャリブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ペンチルアクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノルマルオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、テトラデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、べへニルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、t-ブチルシクロヘキシルメチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、シクロデシルアクリレート、シクロデシルメチルアクリレート、ベンジルアクリレート、t-ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチルアクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、アリルアクリレートなどの、脂肪族、脂環族、芳香族アルキルアクリレート類が例示できる。
また、水酸基を含有するアクリル酸系モノマー類;グリコール基を有するアクリル酸系モノマー類;(ポリアルキレン)グリコールモノアルキル、アルキレン、アルキンエーテルまたはエステルのモノアクリレート類;アクリル酸やアクリル酸二量体を含む酸基(カルボキシル基、スルホン酸、リン酸)を有するアクリル酸系モノマー類;酸素原子含有のアクリル酸系モノマー類;アミノ基を有するアクリル酸系モノマー類;窒素原子含有のアクリル酸系モノマー類等を用いることができる。更に、その他、3個以上の水酸基をもつモノアクリレート類、ハロゲン原子含有アクリレート類、ケイ素原子含有のアクリル酸系モノマー類、紫外線を吸収する基を有するアクリル酸系モノマー類、α位水酸基メチル置換アクリレート類も例示できる。また、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンのポリアルキレングリコール付加物のアクリル酸エステル等の、2個以上の付加重合性基を有するアクリル酸系モノマー類を用いてもよい。
重合体ブロック(B)のメタクリル酸エステル由来の構造単位を形成する単量体として、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ラウリルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、を例示できる。
重合体ブロック(B)のアクリル酸エステル由来およびメタクリル酸エステル由来以外の構造単位としては、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルと重合し得る他の単量体を用いることができる。例えば、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられる。
重合体ブロック(B)の好適な例として、ブチルアクリレート由来の構造単位を70質量%以上含む態様が挙げられる。より好ましくはブチルアクリレート由来の構造単位が80質量%以上であり、90質量%以上であることが更に好ましい。また、重合体ブロック(B)の100質量%がブチルアクリレート由来の構造単位であってもよい。
重合開始剤残基または/およびカップリング剤残基、またはその誘導体Xを有する場合において、重合体ブロック(B)は、ブロック毎に異なる単量体に由来する構造単位から構成されていてもよいし、ブロック間で同一の単量体に由来する構造単位から構成されていてもよい。好ましくは、重合体ブロック(B)同士は、単量体に由来する構造単位の60質量%以上が互いに共通していることが好ましく、70質量%以上が共通していることがより好ましく、80質量%以上が共通していることが更に好ましい。
(ブロック共重合体(C))
ブロック共重合体(C)は、前述のような重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)とを有することで、ミクロ相分離構造を形成し、応力緩和点を含む構造を形成し得る物理架橋を形成することができる。さらに、ブロック共重合体(C)が、ミクロ相分離構造を有し、且つ物理架橋を形成することによって、ブロック共重合体(C)の伸縮性を優れたものとすることができる。また、自己組織化(セグメントの集合)によって官能基を互いに接近させることができ、官能基の分布によって凝集力と応力緩和を更に付与し、ブロック共重合体(C)自体に自己粘着性を付与することができる。
重合体ブロック(A)のTgと<重合体ブロック(B)[X]>のTgの温度差は特に限定されないが、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは140℃以上、特に好ましくは160℃以上である。75℃以上とすることにより、ミクロ相分離構造を促進し、物理架橋による効果をより効果的に引き出すことができ、重合体ブロックAのTgを120℃以上にすることで、高温での膜の耐性が生まれる。
本明細書でいう数平均分子量(Mn)は、後述する方法で求められる値である。ブロック共重合体(C)のMnは、5,000~500,000とする。この範囲とすることにより、ブロック共重合体(C)を例えばフィルムとした場合に、伸縮性と強度を両立することができる。Mnの好ましい範囲は10,000~400,000であり、より好ましい範囲は30,000~300,000である。多分散度(分子量分布(Mw/Mn))は特に限定されないが、1~2.5であることが好ましく、1~2.0であることがより好ましく、1~1.8であることが更に好ましく、ミクロ相分離構造の形成を促進する観点からは多分散度を1~1.5、1~1.3とすることが特に好ましい。
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)およびMw/Mnの測定]
GPC(商品名:GPCV-2000、日本ウォーターズ社製、カラム:TSKgel、α-3000、移動相:10mMトリエチルアミン/ジメチルホルムアミド溶液)を用い、標準物質としてポリスチレン(分子量427,000、190,000、96,400、37,400、10,200、2,630、440、92)を使用して検量線を作製し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この測定値から多分散度(PDI=Mw/Mn)を算出した。
各重合体ブロック(A)のMnはそれぞれ異なっていてもよいが、伸縮性の観点からは実質的に同一であることが好ましい。同様に、各重合体ブロック(B)のMnはそれぞれ異なっていてもよいが、伸縮性の観点からは実質的に同一であることが好ましい。
ブロック共重合体(C)の結合形式は、伸縮性および機械的強度をより効果的に高める観点からは、A-B-A型のトリブロック構造、[A-B]Xのうちのq=2の2分岐構造、q=3の3分岐構造が好ましい。重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)はそれぞれ独立に、1種単独または2種以上の単量体由来の構造単位を有する。
ブロック共重合体(C)の合計質量に基づいてエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位の含有量は、ブロック共重合体(C)の合計質量に対して80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であり、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)のミクロ相分離構造をより効果的に促進する観点からは、開始剤残基または/およびカップリング剤残基、またはその誘導体Xおよびブロック共重合体(C)の末端の構造以外がエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位(100質量%)からなるブロック共重合体(C)が好ましい。
(官能基)
ブロック共重合体(C)は、少なくとも1以上の官能基を有していてもよい。官能基は、重合体ブロック(A)または/および重合体ブロック(B)の主鎖に直結する側基、主鎖の側鎖、開始剤残基、カップリング剤残基、分子末端の少なくともいずれかに導入できる。ここで分子末端とは、ブロック共重合体(C)の分子末端部をいい、重合体ブロック(A)の連鎖末端に結合する態様の他、重合体ブロック(A)と結合する重合開始剤残基などの分子末端部も含む。また、分子末端の少なくとも一部とは、トリブロック構造または星型ブロック構造に由来して2~6有する分子末端の少なくとも1つに官能基が、または官能基を含む基が導入されていることをいう。
ブロック共重合体(C)に官能基を導入する方法としては、官能基を有する単量体を用いて直接官能基を導入する方法、官能基の保護基を有する単量体を用いて前記保護基を導入し、任意のタイミングで官能基に変換する方法がある。また、官能基を有する重合開始剤を用いて単量体を共重合する方法、官能基を有するカップリング剤を用いてブロック共重合体(C)を製造する方法、変性(化学変換)により官能基を導入する方法が挙げられる。変性による導入方法は、官能基に応じて適宜選択すればよい。変性により官能基を導入する方法は、後述する。
ブロック共重合体(C)の官能基としては、水酸基、およびカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。
水酸基を含む単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分のアルキル基(炭素数は好ましくは1~8)に水酸基が結合している単量体を含む、以下の例が挙げられる。例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4-ヒドロキシメチルヘキシル)-メチルアクリレート、クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、α位水酸基メチル置換アクリレート類が挙げられる。
カルボキシ基を含む単量体としては、メタクリル酸、アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分のアルキル基(炭素数は好ましくは1~8)にカルボキシ基が結合している単量体を含む、以下の例が挙げられる。例えば、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチル-コハク酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチル-フタル酸が挙げられる。
官能基を有することにより、例えば、ブロック共重合体(C)の官能基と反応して結合する官能基を有する架橋剤と組み合わせることにより、架橋構造を構築したフィルム、シート、成形体等を得ることができる。
ブロック共重合体(C)1gあたりに含有される官能基のモル濃度(mmol/g)は特に限定されないが、ミクロ相分離構造を形成し、且つ官能基の上記効果を両立する観点からは0.00001~3.0mmol/gの範囲にあることが好ましい。より好ましい範囲は0.0001~1.0mmol/gであり、更に好ましい範囲は0.005~0.1mmol/gである。
ブロック共重合体(C)の好適例として、重合体ブロック(A)がメタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上含み、重合体ブロック(B)がアクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上含むブロック共重合体(C)が例示できる。重合体ブロック(A)中のメタクリル酸エステル由来の構造単位は、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上である。また、メタクリル酸エステル由来の構造単位を100質量%としてもよい。
ブロック共重合体(C)を用いることによって、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)が海島構造(体心立方)、シリンダー(ヘキサゴナル)、ジャイロイド、ラメラ相等の分子レベルでの相分離構造(ミクロ相分離構造)を形成することができる。ミクロ相分離構造を形成することによって、優れた伸縮性を付与し、クラック発生を効果的に抑制できるブロック共重合体(C)および樹脂組成物を提供できる。伸縮性をより効果的に高める観点からは、重合体ブロック(A)が島、重合体ブロック(B)が海に相当する海島構造であることがより好ましい。なお、ミクロ相分離構造は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、AFM)を用いて観察することにより確認できる。
ブロック共重合体(C)の重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に対する重合体ブロック(A)の含有率は特に限定されないが、ミクロ相分離構造を容易に得る観点からは、1~50質量%であることが好ましく、15~30質量%であることがより好ましい。また、粘着性を効果的に引き出す観点からは、ブロック共重合体(C)中の重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に対する重合体ブロック(A)の含有率が1~35質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましい。
ブロック共重合体(C)における重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の合計の含有比率は特に限定されないが、ミクロ相分離構造を容易に得る観点からは、ブロック共重合体(C)の全質量に対して、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)全体の含有率が90.0~99.9質量%であることが好ましく、98.0~99.9質量%であることがより好ましい。
ブロック共重合体(C)は、120℃での引張試験の破断時の強度が0.1MPa以上かつ伸度が400%以上であることを特徴とする。120℃での引張試験の破断時の強度が0.1MPa、伸度が400%であれば、高温での繰り返し伸縮の効果、粘着物性発現の効果がある。
ブロック共重合体(C)がミクロ相分離構造を形成することによって、優れた伸縮性を持つことは先に述べた通りであるが、重合体ブロック(A)のTg以上の温度下ではブロック共重合体が溶融状態となり、伸縮性が損なわれ、引張試験を行った際も十分な引張応力を示すことなく、弱い応力のまま伸び続ける。
高温でも引張試験における弾性挙動・破断時の伸度・応力を保つためには、重合体ブロック(A)にTgの高い原料を用いることが好ましい。
具体的には、Tgが120℃以上のメタクリル酸エステル由来の構造単位もしくはアクリル酸エステル由来の構造単位を用いることができる。重合体ブロック(A)のTgが120℃以上であればよく、重合体ブロック(A)の構造単位として、Tgが120℃以上の構造単位と120℃以下の構造単位を併せて用いても良い。
120℃での引張試験で破断時の強度が0.1MPa以上、および伸度が400%以上のブロック共重合体(C)を得るためには、重合体ブロック(A)のTgが120℃以上かつ重合体ブロック(C)のTgが20℃以下であり、ブロック共重合体(C)の数平均分子量が5,000~500,000であり、ブロック共重合体(C)の全量に対して、重合体ブロック(A)が1~50質量%の割合で含まれることが好ましい。
より具体的には、重合体ブロック(A)がジシクロペンタニルメタクリレート、重合体ブロック(B)がブチルアクリレートからなり、重合体ブロック(A)がブロック共重合体(C)の全量に対して、30質量%の割合で含まれたブロック共重合体(C)が挙げられる。
ブロック共重合体(C)の引張試験時の破断伸度は以下の式で表される。

破断伸度(%)=((破断時の伸び―初期の長さ)/初期の長さ)×100
破断強度(MPa)=破断時の引張荷重(N)/断面積(mm

ブロック共重合体(C)の120℃での引張試験において、高温下で弾性を示すという観点から、破断時の強度が0.1MPa以上50MPa以下かつ破断時の伸度が400%以上5000%以下であることが好ましく、破断時の強度が0.2MPa以上かつ破断時の伸度が500%以上であることがより好ましく、破断時の強度が0.4MPa以上かつ破断時の伸度が800%以上であることが更に好ましい。
[ブロック共重合体(C)の製造方法]
以下、本実施形態のブロック共重合体(C)の製造方法の一例について、ヨウ素移動RCMP法(又はRTCP法)を中心に説明するが、本発明のブロック共重合体(C)は以下の製造方法に限定されるものではない。ブロック共重合体(C)の製造方法としては、ヨウ素移動RCMP法(又はRTCP法)、RAFT法、ATRP法、NMP法、TERP法、リビングアニオン重合などが挙げられる。
重合起点を2~6有するいずれかの重合開始剤を用いて重合体ブロック(B)および重合体ブロック(A)をこの順に逐次重合により得る工程を含む[A-B]Xで表されるブロック共重合体(C)の製造方法がある(以下、方法(I))。
別の方法として、重合開始剤(XI)を起点として、重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)、重合体ブロック(A)をこの順に逐次重合により得る工程を含むA-B-A型のトリブロック構造で表されるブロック共重合体(C)の製造方法がある(以下、方法(II))。
また、重合体ブロック(B)、重合体ブロック(A)を任意の順に逐次重合することによりA-B型のジブロック構造を得る。そして、A-B型のジブロック構造の分子末端に必要に応じて反応性末端を導入し、この反応性末端と反応性を示す連結ユニットを3~6有するいずれかのカップリング剤を用いてカップリング反応を行う工程を含む[A-B]Xで表されるブロック共重合体(C)の製造方法がある(以下、方法(III))。
ブロック共重合体(C)の製造は、有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤を用いたヨウ素移動重合RCMP(可逆配位媒介重合)法またはRTCP(可逆移動触媒重合)法により行うことが好ましい。RCMP法(又はRTCP法)は、特殊な材料や金属系の触媒が不要であり、有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤を用いる。有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤は、触媒と混合し、必要に応じて加温することで、ヨウ素と直結していた炭素にラジカルが生じ、それによって重合性モノマーの重合が開始される。そして、持続性のヨウ素ラジカルとラジカル連鎖末端とが一時的に結合を形成し、ラジカル連鎖末端とヨウ素ラジカルが可逆的に再結合する特性により、ラジカル重合の進行を制御できる。重合温度は、例えば60~120℃で行うことができる。
重合の終了は、通常重合温度を制御することにより終了する。重合体の連鎖末端は、ラジカル連鎖末端とヨウ素ラジカルとの再結合が形成されている。連鎖末端のアルキルラジカルとヨウ素ラジカルに再開裂する可能性があるので、連鎖末端は不活性処理することが好ましい。不活性処理は、例えば、連鎖末端を非重合性基に変換する方法がある。また、連鎖末端に所望の官能基を導入してもよい。
RCMP法(又はRTCP法)によれば、低コストであり、金属を使わずに合成することが可能となる。また、一般的なラジカル重合と同じ温度条件下で重合することが可能であり、既存の生産設備を使うことが可能である。以下、詳細な製造方法の一例について説明する。
まず、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)の原料、並びに有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤(以下、単に重合開始剤(XI)ともいう)、触媒(m)、必要に応じて溶媒、重合開始剤(XI)以外のラジカル重合開始剤、単体ヨウ素等を用意する。触媒(m)としては、例えば、ラジカルを発生させて重合開始剤(XI)からヨウ素を引き抜く化合物、重合開始剤(XI)のヨウ素に配位して重合開始剤からヨウ素を引き抜く化合物などが挙げられる。触媒(m)として、ヨウ素ラジカルのドーマント作用を促進する化合物を更に有していてもよい。
重合開始剤(XI)は、炭素-ヨウ素結合を有する有機ヨウ素化合物であり、触媒(m)の存在下で重合が進行し、ラジカル重合のドーマント種になり得る化合物である。重合開始剤(XI)として、下記一般式(10)~(6)で表される化合物を例示できる。重合開始剤(XI)は1種単独または2種以上を併用して用いられる。

一般式(10)


一般式(11)


一般式(12)
但し、Zは、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、エステル基、ケトン基およびアミド基からなる群より選択される2価の基、または直接結合であり、
Yはp価の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
pは2~6の整数であり、
、RおよびRはそれぞれ独立に、一般式(6)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
およびRはそれぞれ独立に、一般式(6)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基または-CORであり、
は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基、-COR、シアノ基またはニトロ基であり、
とR、RとR4、とRおよびRとRはそれぞれ独立に、一般式(6)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、
は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
11は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、
12はアルキレン基、アリーレン基およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる2価の炭化水素基、または直接結合であり、
前記炭化水素基は、複素環を有していてもよく、それぞれ独立に、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基の少なくともいずれかを有する。一般式(10)、一般式(11)は、ヨウ素-炭素結合を1つ有する例であり、一般式(12)はヨウ素-炭素結合が2~6つ有する例である。所望とするブロック共重合体(C)の構造に応じて、適切な重合開始剤(XI)を選定すればよい。
本明細書において「置換基」とは、別途の定義がない限り、有機基中の一以上の水素原子が、複素環基、炭素数1~12の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数1~12の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数1~12の環状脂肪族炭化水素基、炭素数1~12のアリール基、炭素数1~12のアラルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数1~12のアミノ基、炭素数1~12のアルケニル基、炭素数1~12のアシル基、炭素数1~12のアルコキシカルボニル基、炭素数1~12のアルキロイルオキシ基、炭素数1~12のアリーロイルオキシ基または炭素数1~12のアルキルシリル基で置換されていることを意味する。置換基には、官能基を有していてもよい。複素環基は特に限定されないが、官能基を有していてもよい炭素数5~18の芳香族複素環が例示できる。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が例示できる。複素環の具体例としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジンが挙げられる。
重合開始剤(XI)の具体例としては、エチレンビス(2-ヨードイソブチレート)、エチレンビス(2-ヨード-2-フェニルアセテート)、p-キシリレンジヨージド、1,4-ビス(1’-ヨードエチル)ベンゼン、2,5-ジヨードアジピン酸ジエチル、グリセロールトリス(2-ヨードイソブチレート)、1,3,5-トリス(1’-ヨードエチル)ベンゼン2-ヨード-2-(4’-(2”-ヨードプロピオニルオキシ)フェニル)酢酸メチル、2-ヨードイソ酪酸4-ヨードブチル、2-ヨード-2-(4’-(2”-ヨードプロピオニルオキシ)フェニル)酢酸メチル、2-ヨードイソ酪酸4-ヨードブチル、2-ヨード-2-(4’-(4”-ヨードブタノイルオキシ)フェニル)酢酸メチル、2-ヨードフェニル酢酸4-ヨードブチル、2-ヨード-2-フェニル酢酸2-(ヨードアセトキシ)エチル、エチル2-ヨードアセテート、エチル2-ヨードプロパノエート、エチル2-ヨードブチレート、エチル2-ヨードバレレート、エチル2-ヨードイソブチレート、メチル2-ヨードアセテート、エチル2-ヨードイソブチレート、ベンジル2-ヨードイソブチレート、2-ヨード酢酸、2-ヨードプロピオン酸、2-ヨードイソ酪酸、α-ヨード-γ-ブチロラクトン、2-ヨードプロピオンアミド、2-ヨードアセトニトリル、2-ヨードプロピオニトリル、2-ヨードイソブチロニトリル、2-ヨードアセトフェノン、ベンジルヨージド、(1-ヨードエチル)ベンゼン、4-ニトロベンジルヨージド、2-ヒドロキシエチル2-ヨードイソブチレート、2-ヒドロキシエチル2-ヨード-2-フェニルアセテート、エチル2-ヨード-2-フェニルアセテート、エチル2-ヨード2-(4’-メチルフェニル)アセテート、エチル2-ヨード-2-(4’-ニトロフェニル)アセテート、2-ヨード-2-フェニル酢酸、ヨードジフェニルメタン、9-ヨード-9H-フルオレン、α-ヨードベンジルシアニド、ジエチル2-ヨード-2-メチルメロネート、エチル2-ヨード-2-メチルアセトアセテート、p-キシレンヂヨージド、ジエチル2,5-ジヨードアジペート(Diethyl 2,5-Diiodoadipate)、1,4-ビス(1’-ヨードエチル)ベンゼン、エチレングリコールビス(2-ヨードイソブチレート)、エチレングリコールビス(2-ヨード-2-フェニルアセテート)(Glycerol Tris(2-iodoisobutyrate))、1,3,5-トリス(1’-ヨードエチル)ベンゼン、2-ヒドロキシエチル-2-ヨードイソ酪酸塩、2-ヒドロキシエチル-2-ヨード-2-フェニル酢酸塩、2-ヨード-2-アミジノプロパン、4-ヨード-4-シアノ-ペンタン酸、2-ヨード-2-メチルプロパンアミド、2-ヨード-2-シアノブタノール、2-ヨード-2-メチル-N-(2-ヒドロキシメチル)プロピオンアミド4-メチルペンタン、2-ヨード-2-メチル-N-(1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド4-メチルペンタン、ヨード酢酸、2-ヨードプロパン酸、2-ヨードプロンアミドが例示できるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、特開2018-111806号公報に開示の有機ヨウ素化合物を好適に利用できる。重合開始剤のヨウ素に直結する炭素は、第3級炭素、第2級炭素または電子吸引基と直結している第1級炭素が好ましい。
重合開始剤(XI)は、重合開始剤(XI)を合成するための原料を仕込み、重合中にin situ、即ち反応溶液中で重合開始剤(XI)を生成させて、それをこの重合法の重合開始剤(XI)として使用することもできる。例えば、アゾ化合物とヨウ素を原料として仕込み、その両者の反応により重合開始剤(XI)を重合中にin situで生成させ、それをこの重合法の重合開始剤(XI)として使用することができる。即ち、本発明の製造方法では、例えばヨウ素とアゾ化合物とを反応させることにより、本重合工程において重合開始剤(XI)を生成する工程を含んでいてもよい。
重合開始剤(XI)を生成させるために用いるアゾ化合物としては、例えば、アゾ系ラジカル重合開始剤が例示できる。アゾ系ラジカル重合開始剤(例えば、AIBN)のように他の開始剤を用いて重合開始剤(XI)を生成させる場合には、他の開始剤を消費して重合開始剤(XI)が充分に得られてからモノマーを添加して重合体生成を行う方法が好適である。
アゾ化合物としては、例えば、2,2‘-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシエチル)-2-メトキシプロパンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチル-2-プロペニルプロパンアミド)、2,2’-ビス(2-イミダゾリン-2-イル)[2,2’-アゾビスプロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス(プロパン-2-カルボアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]、2,2’-アゾビス[2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン二塩酸塩、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-2-プロペニルプロパンアミド〕、2,2’-アゾビス〔2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン〕二塩酸塩が例示できる。
有機ヨウ素化合物のヨウ素に配位して重合開始剤(XI)からヨウ素を引き抜く触媒(m)は、RCMP法において通常用いられる有機アミン化合物、ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物を制限無く用いることができる。この非金属化合物中の非金属原子がカチオンの状態であり、ヨウ化物イオンとイオン結合を形成している触媒が好適である。
有機アミン化合物からなる触媒(m)としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,1,2,2-テトラキス(ジメチルアミノ)エテン、1,4,8,11-テトラメチル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルジアミノメタン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(2-(メチルアミノ)エチル)アミン、ヘマトポルフィリンが例示できる(国際公開第2011/016166号)。
ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物であって、該非金属化合物中の非金属原子がカチオンの状態であり、ヨウ化物イオンとイオン結合を形成している触媒としては、具体的にはアンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられ、より具体的には、テトラブチルアンモニウムヨーダイド、テトラブチルアンモニウムトリヨーダイド、テトラブチルアンモニウムブロモジヨーダイド、1-メチル-3-メチル-イミダゾリウムヨーダイド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨーダイド、ヘキサフェニルジホスファゼニウムクロリド、メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド、テトラフェニルホスホニウムヨーダイド、トリブチルスルホニウムヨーダイド、ジフェニルヨードニウムヨーダイド等を挙げることができる(国際公開WO2013/027419号公報参照)。
RTCP法(可逆移動触媒重合)で重合する場合は、触媒に連鎖移動能をもつ有機分子を用いる。この場合は、触媒とラジカル発生剤(アゾ化化合物など)を組み合わせて、触媒から触媒ラジカルを発生させ、この触媒ラジカルを休眠種の活性化剤として利用する。
ラジカルを発生させて重合開始剤(XI)からヨウ素を引き抜く化合物(触媒)としては、例えば、RTCP法に用いられるリン、窒素、炭素、酸素、ゲルマニウム、スズおよびアンチモンから選択される少なくとも1種の中心元素と、当該中心元素に結合したヨウ素原子と、を含む化合物からなる触媒が挙げられる。
ゲルマニウム、スズまたはアンチモンから選択される元素を中心元素とする触媒としては、例えば、ゲルマニウム、スズまたはアンチモンから選択される少なくとも1つの中心元素と、当該中心元素に結合した少なくとも1つのヨウ素原子を含む化合物などが挙げられ、具体的にはヨウ化ゲルマニウム(II)、ヨウ化ゲルマニウム(IV)、ヨウ化スズ(II)、ヨウ化スズ(IV)が例示できる(特開2007-92014号公報参照)。これらの触媒は1種単独または2種類以上を併用してもよい。
窒素またはリンを中心元素とする触媒としては、窒素またはリンから選択される少なく
とも1つの中心元素と、当該中心元素に結合した少なくとも1つのヨウ素原子とを含む化
合物が挙げられ、具体的には、ヨウ化リンなどのハロゲン化リン;ヨウ化ホスフィンなどのホスファイト系化合物;エトキシフェニルフォスフィネート、フェニルフェノキシフォ
スフィネートなどのホスフィネート系化合物;ヨウ化窒素、ヨウ化亜リン酸、ヨウ化アミ
ン、ヨードスクシンイミドなどのヨウ化イミド誘導体; ヒダントイン系化合物などが挙げ
られる(国際公開第2008/139980号参照)。これらの触媒は1種単独または2種類以上を併用できる。
炭素を中心元素とする触媒としては、例えば、ヨードベンゼン、4-メチル-
1-ヨードベンゼン、2,4,6-トリメチルヨードベンゼン、3-シアノヨードベンゼ
ン、4-シアノヨードベンゼン、4-ヨードアニソール、テトラヨードメタン、トリフルオロヨードメタン、ジフルオロジヨードメタン、1,4-シクロヘキサジエン、ジフェニルメタン、ジメシチルメタン、キサンテン、チオキサンテン、マロン酸ジエチル、フルオレン;アセチルアセトンなどのアセトアセチル系化合物が例示できる。これらの触媒は1種単独または2種類以上を併用できる。
酸素を中心とする触媒の具体例としては、例えば、フェノール、ヒドロキノン、tert-ブチルフェノールなどのフェノール系化合物;チモールジアイオダイドなどのアイオ
ドオキシフェニル化合物;ビタミンEなどのビタミン類や、N-コハク酸イミドなどが例示できる。これらの触媒は1種単独または2種以上を併用できる。
触媒(m)の添加量は、重合速度を適切なものとし、且つ未反応単量体の残存量を低減させる観点から、重合開始剤(XI)100モルに対して、0.01~2,500モルが好ましく、より好ましくは0.05~1,000モル、さらに好ましくは0.1~500モルである。
重合開始剤(XI)の量は、ブロック共重合体(C)のブロック構造および所望とするMnの値等により変動し得るが、全単量体の100質量部あたり、例えば0.01~10質量部とすることができる。重合開始剤(XI)の分子量は特に限定されず、好適な範囲はブロック共重合体(C)のMnによっても変動し得るが、例えば、150~1,500とすることが好適である。
重合条件は、用いる単量体および重合開始剤(XI)の種類によって適宜設定すればよい。重合温度は、例えば室温~200℃、より好ましくは60~120℃である。また、重合雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス下で行うことが好ましい。反応時間は、単量体の転化率を指標に適宜設定すればよい。例えば、30分~120時間である。
重合は、バルク重合でも溶液重合でもよい。また、乳化重合、分散重合、懸濁重合などにより重合してもよい。溶液重合に用いる溶媒は特に限定されないが、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン原子含有溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジグライム等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示できる。溶媒は、1種単独または2種以上が併用して用いられる。
ブロック共重合体(C)への官能基の導入は、前述したように、重合に供する単量体中に官能基を有するものを用いる方法、官能基が保護基により保護された単量体を用いて、任意のタイミングで官能基に変換する方法がある。また、官能基を有する重合開始剤または/およびカップリング剤を用いて、重合開始剤残基または/およびカップリング剤残基に官能基を導入する方法がある。更に、重合時または重合後に、変換反応により所望の部位に官能基を導入する方法がある。また、ブロック共重合体(C)の連鎖末端に官能基を導入する方法が例示できる。
重合体を得た後、必要に応じて、ドーマント種であるヨウ素ラジカルを不活性化する。重合体末端がドーマント種であるヨウ素が残っていてもよい場合には、ヨウ素ラジカルの不活性化工程は省略できる。また、重合体ブロック(A)の連鎖末端は、任意のタイミングで不活性基、官能基などに末端処理する工程を行うことができる。
前述の一般式(10)~(12)の重合開始剤(XI)を用い、且つラジカル重合性単量体としてエチレン性不飽和単量体のみを用いた場合、上記工程によって以下の一般式(13)~(15)のいずれかに記載の構造を有するブロック共重合体(C)が得られる。

一般式(13)

一般式(14)


一般式(15)
但し、Polymerization unitは、一般式(15)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体を主体とする重合体ユニットであり、
Qは1価の分子末端基であり、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、前記分子末端基は、官能基を有していてもよい炭化水素基またはヨード基であり、その他の記号は、一般式(10)~(12)で説明した通りである。ブロック共重合体(C)は、一般式(13)~(15)で示される重合体の構造単位としてエチレン性不飽和単量体由来の構造単位に限定されず、その他のラジカル重合性単量体が含まれていてもよい。
重合開始剤(XI)の炭素-ヨウ素結合が2つの場合には、重合体ブロック(B)、重合体ブロック(A)の順にブロックを重合することにより、[A-B]Xの星形ブロック構造が得られる。同様にして、重合開始剤(XI)の炭素-ヨウ素結合が3つの場合には、重合体ブロック(B)、重合体ブロック(A)の順にブロックを重合することにより、[A-B]Xの星形ブロック構造が得られる。重合開始剤(XI)の炭素-ヨウ素結合が4~6の場合、qが4~6の星形ブロック構造が得られる。
[方法(I)]
(製造例1:ハードセグメントにTgの高い単量体を有するブロック共重合体(C))
図1に、方法(I)により、Tgの高い単量体を有するブロック共重合体(C)の製造法の一例を示す。まず、重合体ブロック(B)を形成するための単量体1に、炭素-ヨウ素結合が2つある重合開始剤3および触媒4を加えて重合を行う。単量体1の種類は1種単独または2種以上とすることができる。当該重合により、開始剤残基Xおよび単量体1由来の構造単位1を有する重合体ブロック(B)並びにその連鎖末端にドーマント種としてのヨウ素が結合された重合体5が得られる。
重合体5を得た後、重合体ブロック(A)を形成するための単量体2を加える。単量体2を加えることにより、重合体5の連鎖末端を基点としたリビングラジカル重合が進行し、[A-B]Xの星形ブロック構造を有し、連鎖末端にドーマント種としてのヨウ素が結合され、単量体2由来の構造単位2*を有する重合体6が得られる。
次いで、重合体6の連鎖末端の重合性基を不活性基(非重合性基)に変換する(不図示)ことにより、ブロック共重合体(C)を得る。なお、連鎖末端にドーマント種としてのヨウ素が結合されていてもよい場合には、この工程は省略できる。
なお、製造例1では、重合体ブロック(A)に高Tgのモノマーを導入する方法について説明したが、
重合体ブロック(A)もしくは重合体ブロック(B)、または重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の両者に官能基を導入してもよい。
官能基を導入する方法としては以下が挙げられる。官能基を有する単量体を用いて官能基を導入する方法、また、重合体ブロック(A)または/および重合体ブロック(B)と合わせて、重合開始剤残基または/およびカップリング剤残基に官能基を導入してもよい。
また、製造例1では、開始剤を1種用いる例について説明したが、2種以上を用いてもよい。2種以上用いる場合において、炭素-ヨウ素結合部位の数が同一のものを用いる他、炭素-ヨウ素結合部位の数が異なる開始剤を併用してもよい。
[方法(II)]
(製造例2)
方法(II)により、ブロック共重合体(C)の末端に官能基を有するブロック共重合体(C)の製造法の一例を示す。
まず、方法(I)と同様の方法でブロック共重合体(C)を得る。
次いで、ブロック共重合体(C)に対して鎖状末端変換反応を行ってメルカプト基・水酸基・アミノ基を導入する。
メルカプト基を導入するメルカプト化試薬として、下記一般式(16)の化合物を好適に用いることができる。
また、水酸基を導入する水酸基化試薬として、下記一般式(17)の化合物を、アミノ基を導入するアミノ基化試薬として、下記一般式(18)の化合物を好適に用いることができる。


N-R13-SH 一般式(16)
N-R13-ОH 一般式(17)
N-R13-HN 一般式(18)

但し、R13は、2価の有機基である。好適な例として、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、複素環基およびアルキレンオキサイド基の少なくとも1つを有し、2価の有機基である。この2価の有機基は好ましくは2~20であり、より好ましくは2~12である。
一般式(16)の具体例としては、2-アミノエタンチオールの他、2-(n-オクチルアミノ)エタンチオール、2-(ジメチルアミノ)エタンチオール、2-(ジエチルアミノ)エタンチオール、2-(ジイソプロピルアミノ)エタンチオール、2-アミノベンゼンチオール、4-アミノベンゼンチオール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4-(ジメチルアミノ)ベンゼンチオール、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、L-システインが例示できる。
単量体としてブチルアクリレートを用い、一般式(16)の化合物を用いた例で説明すると、例えば以下のような式(19)のような反応により末端変換してメルカプト基を導入できる。試薬を変更することにより、同様の方法で水酸基・アミノ基も導入できる。これらの工程を経て、ブロック共重合体(C)が得られる。

式(19)
[方法(III)]
(製造例3):カップリング剤残基Xを有する星型ブロック構造を有するブロック共重合体(C))
図2に、方法(III)の一例を示す。図2に示すように、まず、重合体ブロック(A)を形成するための単量体2に、炭素-ヨウ素結合が1つある重合開始剤7および必要に応じて触媒4を加えて重合を行う。図2の例では、重合開始剤7として2-ヨード-2-メチルプロピオニトリルを用いた例を示しているが、例えば前述したヨウ素-炭素結合を1つ有するヨウ素系重合開始剤を好適に用いることができる。当該重合により、開始剤残基Xを有する重合体ブロック(A)およびその連鎖末端にヨウ素Iが結合された重合体8が得られる。
重合体8が得られた後、重合体ブロック(B)を形成するための単量体1を加える。単量体1を加えることにより、重合体8の連鎖末端を基点としたリビングラジカル重合が進行し、A-B型のジブロック構造を有し、連鎖末端にヨウ素Iが結合された重合体9が得られる。そして、必要に応じて、カップリング剤と反応させるための官能基を連鎖末端の片末端に導入する。
続いて、図2に示すように、カップリング剤と結合し得る官能基を連鎖末端の一方に有するA-B型のジブロック構造10を、カップリング剤とカップリングさせ、星型ブロック構造を得る。製造例3では、カップリング剤として4官能のテトライソシアネート化合物11を用いた例について説明する。カップリング反応により、図2に示すように、4分岐の[A-B]4Xで表される構造体12が得られる。
方法(III)の製造方法によれば、ジブロック構造の設計自由度を大幅に高められるので、用途やニーズに応じて分子設計しやすいという利点がある。製造例3では、カップリング剤を1種用いる例について説明したが、2種以上を用いてもよい。この場合において、カップリング剤の反応部位が同一のものを用いる他、反応部位の数が異なるカップリング剤を併用してもよい。
[樹脂組成物(D)の組成等]
樹脂組成物(D)は、少なくともブロック共重合体(C)を含む樹脂組成物であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の化合物を含有できる。溶剤を含んでいてもよいし、無溶剤でもよい。
樹脂組成物(D)は、液状、ペースト状、フィルム状または成形体である。樹脂組成物(D)は、粘着剤、塗料等の各種ペースト、保護フィルム、成形材料、樹脂改質剤、添加剤などの最終製品前の製品または用途を含む。また、樹脂組成物(D)は、電極、配線等の部材、層、フィルム或いは成形物などの部材そのものであってもよい。
ブロック共重合体(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、トリブロック構造を有するブロック共重合体(C)と、3分岐の星形ブロック構造を有するブロック共重合体(C)を併用することができる。
樹脂組成物(D)に含まれる任意の他の成分として、ブロック共重合体(C)以外の樹脂、溶剤、添加剤、架橋剤が例示できる。
前記ブロック共重合体(C)以外の樹脂としては、本発明に該当しないブロック共重合体(C)、例えば、官能基を有しないブロック共重合体(e)、分子量が5,000~500,000の範囲外のブロック共重合体
(e)、その他のアクリル樹脂が例示できる。また、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリブタジエン、セルロース、ポリウレタンポリウレア、粘着付与樹脂等の樹脂が例示できる。
前記溶剤は、例えば、樹脂組成物(D)を液状またはペースト状とする場合、或いは加工性を改善するために用いることができる。溶剤は、ブロッ
ク共重合体(C)および他の成分を考慮して1種単独または2種以上を併用して用いる。具体的には、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、その他の炭化水素系溶剤等の有機溶剤がある。
樹脂組成物(D)の塗工方法は、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレード方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピコート方式、およびディップコート方式等が好ましい。また、塗工後、必要に応じて乾燥を行う。前記乾燥は、熱風オーブンおよび赤外線ヒーター等公知の乾燥機を使用できる。
印刷方法は、特に限定されないが、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、コーティング法などの印刷法が挙げられる。
前記添加剤は、用途に応じて本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種添加剤を制限なく用いることができる。例えば、紫外線防止剤、帯電防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、顔料、着色剤、可塑剤、軟化剤、加工助剤、消泡剤、充填剤、粘度調整剤、分散剤、レベリング調整剤、反射防止剤、蛍光剤、光拡散剤、光安定剤、屈折率調整剤、艶消し剤、フィラー、界面活性剤が例示できる。前記架橋剤の好適な例として、後述する架橋剤が挙げられる。
架橋剤とブロック共重合体(C)を併用した樹脂組成物(D1)を用いて伸縮性を維持したまま架橋構造を構築することにより、凝集力を促進して粘着性を高め、更に耐溶剤性および耐熱性に優れる部材を提供できる。樹脂組成物(D1)の用途は限定されないが、粘着性に優れることから、粘着フィルムまたは粘着部材を形成するための粘着剤、特にストレッチャブル向けの粘着剤として好適である。また、高温でものり残りなどの汚染性が少ない粘着剤として好適である。
前記架橋剤は、ブロック共重合体(C)の官能基と架橋し得る官能基を有する。架橋剤の種類は、官能基が水酸基、アミノ基の場合には、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物が好ましく、
官能基がカルボキシ基の場合には、架橋剤は金属キレート化合物、イソシアネート化合物が好ましい。
前記イソシアネート化合物としては2以上のイソシアネート基を有する化合物が好適であり、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等のイソシアネートモノマー、およびビュレット体、ヌレート体およびアダクト体が例示できる。
前記イソシアネート化合物の具体的としては、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類;
トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;
ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート類;
3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:IPDI、イソホロンジイソシアネート)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ポリイソシアネート類が挙げられる。
前記ビュレット体は、イソシアネートモノマーが自己縮合したビュレット結合を有する自己縮合物をいう。具体的には、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体などが挙げられる。
前記ヌレート体は、イソシアネートモノマーの3量体をいい、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体イソホロンジイソシアネートの3量体トリレンジイソシアネートの3量体などが挙げられる。
前記アダクト体は、イソシアネートモノマーと2官能以上の低分子活性水素含有化合物が反応した2官能以上のイソシアネート化合物をいい、例えば、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物(トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させた化合物、1,6-ヘキサンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物などが挙げられる。
前記エポキシ化合物は、2以上のエポキシ基を有する化合物が好適である。グリシジル基を有する化合物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が例示できる。
具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂類;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂類;
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1、3-ビス(N、N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、ビフェニルジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとこれと共重合可能なビニル単量体との共重合体等のグリシジル基を有する化合物類が挙げられる。
前記金属キレート化合物としては、例えばアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロムおよびジルコニウムなどの多価金属と、アセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルとの配位化合物が挙げられる。具体的には、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレートが挙げられる。
前記粘着付与樹脂の具体例としては、
KR-85、KR-614、KE-100、KE-311、PE-590、KE-359、KE-604、KR-120、D-6011、KM-1500、KR-50M、ME-D、ME-G、ME-H、ME-GH、ME-T、ME-GD(荒川化学製)
などのロジン誘導体が挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。
ブロック共重合体(C)の原料の略称は、以下の通りである。
(単量体)
MMA:メチルメタクリレート(住友化学社製)
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(日本触媒社製)
BA:ブチルアクリレート(日本触媒社製)
MAA:メタクリル酸(三菱ケミカル)
St:スチレン(中央化成品社製)
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(日本触媒社製)
FA513M:ジシクロペンタニルメタクリレート
ADMA:メタクリル酸1-アダマンチル
フィトステロールMOI変性:下記化合式(20)で表されるもの
ADA:アクリル酸1-アダマンチル
FA513AS:ジシクロペンタニルアクリレート

(式20)

(重合開始剤)
合成2:4分岐有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤
CP-I:2-ヨード-2-メチルプロピオニトリル(東京化成工業社製)
BM1448: 4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタンサンメチル(BORON MOLECULAR社製)
EMA-II:エチレンビス(2-ヨードイソブチレート)(合同資源社製)
EMA-III:グリセロールトリス(2-ヨードイソブチレート)(合同資源社製)
HO-BriBu:2-ブロモイソ酪酸2-ヒドロキシエチル(Aldrich社製、No. 723150)
AIBN:2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬社製)
V65:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製)
(カップリング剤)
2C-(a)(2官能イソシアネート(a)):ヘキサメチレンジイソシアネート(東ソー社製)
3C-(b)(3官能イソシアネート(b)):TDI-TMPアダクト体(日本ポリウレタン工業社製)
4C-(c)(4官能イソシアネート(c)):合成7
6C-(d)(6官能イソシアネート(d)):合成8
(重合開始剤の合成)
合成2:4分岐有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤
窒素ガス導入管、撹拌機を備えた200mLフラスコに、4f-BiB:Pentaerythritol tetrakis(2-bromoisobutyrate)(Aldrich社製、No. 723193)5.19g(7.1mmol)、ヨウ化ナトリウム(和光純薬社製)5.09g(34mmol)をアセトニトリル20mLに溶解させ、窒素置換後、80℃で8時間加熱攪拌した。反応終了後、濾過精製し、減圧下で溶媒を濃縮し、白色固体物4.98g(収率87.2%)の合成2の化合物を得た。目的物の生成は、H-NMRより確認した。
(実施例F1)
窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、EMA-IIを0.93g、ヨウ素を0.001g、テトラブチルアンモニウムヨージドを16.1gおよびBAを140g混合し、110℃で24時間反応させてプレポリマーを得た。H-NMRから算出したBAの転化率は100%であった。
次いで、2段目モノマーとしてFA513Mを60g、トルエン溶媒200gをプレポリマー溶液全量に加え、110℃で更に12時間反応させた。H-NMRから算出した2段目モノマーFA513Mの転化率も100%であった。
その後、室温まで冷却後、アルミナ粉(Aldrich社製)を添加し、1時間攪拌した後、濾過、洗浄および乾燥によって、2分岐の[A-B]Xの星形ブロック構造を有するブロック共重合体(C1)を得た。目的物の生成は、H-NMRより確認した。
合成したブロック共重合体(C1)のH-NMRスペクトルデータを以下に示す。
H-NMR(400MHz、重クロロホルム溶媒)δppm:4.42、4.03、2.28、2.04、1.88、1.75、1.59、1.35、1.25、0.95
(シグナルは全てブロード)
実施例F1の<重合体ブロック(A)>TotalのTg、<重合体ブロック(B)[X]<のTgを表1に示す。また、重合体ブロック(A)のメタクリル酸エステルの単量体の仕込み率、重合体ブロック(B)のアクリル酸エステルの単量体の仕込み率を表1に示す。
また、実施例F1のブロック共重合体(C1)のMn、Mw/Mn、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の仕込み量に対する重合体ブロック(A)の含有率(質量%)を求めた。これらの結果を表1に示す。
[重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に対する重合体ブロック(A)の含有率(質量%)]
ブロック共重合体(C)中の重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に対して、重合体ブロック(A)の含有率を算出した。具体的には、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)を構成するエチレン性不飽和単量体の合計仕込み量に対する、重合体ブロック(A)の含有率を求めた。
以下に記載する実施例中では、
重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に用いるモノマー全量を200gとし、
重合体ブロック(A)の仕込み量=200g×重合体ブロック(A)の含有率
重合体ブロック(B)の仕込み量=200g-重合体ブロック(A)の仕込み量
となるように仕込み量を求めた。
(実施例F2~F5、F8、F10~13、比較例F1~F5、F7)
実施例1と同様RCMP法により、表1に示す条件で、表1に示した重合体ブロック(A)の比率になるような仕込み量で重合し、分岐構造の[A-B]Xの星形ブロック構造を得た。表1に実施例1と同様の特性値を示す(以下に示す実施例においても、表1に実施例1と同様の特性値を示す)。
(実施例F6)
開始剤をEMA-IIIに変更した他は実施例F1と同様にRCMP法により、表6に示す条件で重合し、分岐構造の[A-B]3Xの星形ブロック構造を得た。また、得られた重合体のH―NMR分析により目的物の生成を確認した。
合成したブロック共重合体(C6)のH-NMRスペクトルデータを以下に示す。
H-NMR(400MHz、重クロロホルム溶媒)δppm:4.42、4.03、2.28、2.04、1.88、1.75、1.59、1.35、1.25、0.95
(シグナルは全てブロード)
(実施例F7)
実施例F1と同様RCMP法により、多分岐重合開始剤に合成2を用い、単量体の仕込み比等を表1に示す条件で重合し、4分岐の[A-B]Xの星形ブロック構造を有するブロック共重合体(C7)を得た。また、得られた重合体のH―NMR分析により目的物の生成を確認した。
合成したブロック共重合体(C7)のH-NMRスペクトルデータを以下に示す。
H-NMR(400MHz、重クロロホルム溶媒)δppm:4.42、4.03、2.28、2.04、1.88、1.75、1.59、1.35、1.25、0.95
(シグナルは全てブロード)
(実施例F9)
RAFT法によりブロック共重合体(C9)を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、RAFT開始剤としてBM1448を0.82g、AIBNを0.52gおよびFA513Mを24.3g、トルエン溶媒50gを混合し、80℃で6時間反応させてプレポリマーを得た。H-NMRから算出したFA513Mの転化率はどちらも99.0%以上であった。
次いで、AIBNを0.50gおよびBAを146.0g、トルエン溶媒150gをプレポリマー溶液全量に加え、80℃で更に12時間反応させた。H-NMRから算出した2段目モノマーBAの転化率は99.5%以上であった。
更に、AIBNを0.15gおよびFA513Mを24.3g、トルエン溶媒50gを混合し、80℃で6時間反応させた。H-NMRから算出した3段目モノマーFA513Mの転化率はどちらも99.5%以上であった。その後、室温まで冷却後、濾過、洗浄および乾燥によってA-B-Aトリブロック構造を有するブロック共重合体(C9)を得た。目的物の生成は、H-NMRより確認した。
合成したブロック共重合体(C9)のH-NMRスペクトルデータを以下に示す。
H-NMR(400MHz、重クロロホルム溶媒)δppm:4.42、4.03、2.28、2.04、1.88、1.75、1.59、1.35、1.25、0.95
(シグナルは全てブロード)
(比較例F6)
カップリング反応によりブロック共重合体(J1)を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、CP-Iを0.46g、ヨウ素を0.002g、テトラブチルアンモニウムヨージド6.2g、FA513Mを60.0g、トルエン溶媒50g中で、75℃で12時間反応させることにより重合体ブロック(A)を得た。H-NMRから算出したFA513Mの転化率はどちらも100%であった。次いで、BA140.0gをプレポリマー溶液全量に加え、110℃で24時間反応させ、室温まで冷却後、アルミナ粉(Aldrich社製)を添加し、1時間攪拌した後、濾過、洗浄、および乾燥によってA-Bジブロックポリマーを得た。H-NMRから算出したBAの転化率はどちらも100%であった。
Figure 0007380185000027
Figure 0007380185000028
次に、カップリング反応によりブロック共重合体(C)を得た製造例の一例について説明する。
(実施例F14)
ATRP法のカップリング反応によりブロック共重合体(C14)を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、ATRPの水酸基開始剤として、HO-BriBuを0.51g、臭化銅(I)1.2g、N,N,N’、N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン1.6g、およびBAを142g、トルエン溶媒150gを混合し、90℃で20時間反応させてプレポリマーを得た。H-NMRから算出したBAの転化率は99.5%以上であった。
次いで、FA513M 58g、トルエン溶媒50gをプレポリマー溶液全量に加え、90℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却後、アルミナ粉(Aldrich社製)を添加し、1時間攪拌した後、濾過、洗浄および乾燥によって重合体ブロック(B)の主鎖中にカルボキシル基を含み、重合体ブロック(B)の末端(開始剤残基)に水酸基を有するA-Bジブロックポリマーを得た。H-NMRから算出したFA513Mの転化率は99.5%以上であった。
次いで、水酸基を末端に有するA-Bジブロックポリマー100gに対して、脱水トルエン200g、カップリング剤として2官能イソシアネート2C-(a)0.15g、および触媒としてジブチルスズビスイソオクチルチオグリコレート0.01gを添加し、80℃で10時間反応させることによりカップリング反応を行った。その後、トルエンを留去し、主鎖中にウレタン結合であるカップリング剤残基Xを有する2分岐の[A-B]Xの星形構造を有するブロック共重合体(C14)を得た。目的物の生成は、H-NMR、GPC、IR分析により確認した。
合成したブロック共重合体(C14)のH-NMRスペクトルデータを以下に示す。
H-NMR(400MHz、重クロロホルム溶媒)δppm:4.42、4.03、2.28、2.04、1.88、1.75、1.59、1.35、1.25、0.95
(シグナルは全てブロード)。
(実施例F17、比較例F8)
実施例F14と同様のATRP法のカップリングにより、単量体、カップリング剤を表2に示す条件で重合し、[A-B]qXの星形構造を有するブロック共重合体(C17)、(J8)を得た。
(実施例F15)
カップリング反応によりブロック共重合体(C15)を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、CP-Iを0.46g、ヨウ素を0.002g、テトラブチルアンモニウムヨージド6.2g、FA513M60.0gをトルエン溶媒50g中で、75℃で12時間反応させることにより重合体ブロック(A)を得た。H-NMRから算出したFA513Mの転化率はどちらも100%であった。次いで、BA140.0gをプレポリマー溶液全量に加え、110℃で24時間反応させ、室温まで冷却後、アルミナ粉(Aldrich社製)を添加し、1時間攪拌した後、濾過、洗浄、および乾燥によってA-Bジブロックポリマーを得た。H-NMRから算出したBAの転化率は100%であった。
得られたジブロックポリマー100.0gに2-アミノエタノール6.2g、ジグライム150.0gを添加し、110℃で8時間反応させ、室温まで冷却した後、濾過、洗浄、および乾燥によって重合体ブロック(B)の末端に水酸基を有するA-Bジブロックポリマーを得た。
次いで、水酸基を末端に有するA-Bジブロックポリマー100gに対して、脱水トルエン200g、カップリング剤として2官能イソシアネート2C-(a)0.24g、および触媒としてジブチルスズビスイソオクチルチオグリコレート0.01gを添加し、80℃で10時間反応させることによりカップリング反応を行った。その後、トルエンを留去し、得られた重合体のH-NMR分析およびIR分析より、主鎖中にウレタン結合であるカップリング剤残基Xを有する[A-B]Xの星形ブロックポリマーを得た。目的物の生成は、H-NMR、GPC、IR分析により確認した。
合成したブロック共重合体(C15)のH-NMRスペクトルデータを以下に示す。
H-NMR(400MHz、重クロロホルム溶媒)δppm:4.42、4.03、2.28、2.04、1.88、1.75、1.59、1.35、1.25、0.95
(シグナルは全てブロード)
(実施例F16、F18、比較例F9)
実施例F15と同様のRCMP法のカップリングにより、単量体、カップリング剤を表2に示す条件で重合し、[A-B]qXの星形構造を有するブロック共重合体(C)を得た。
Figure 0007380185000029
次に、ブロック共重合体(C)に末端変換を行って得た共重合体の製造例の一例について説明する。
(実施例F19)
実施例F8で合成したブロック共重合体(C8)を末端変換し、末端官能基を有するブロック共重合体(C19)を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、実施例F8で合成したブロック共重合体(C8)を200g、DMF溶媒318g、4-アミノ-1-ブタノールを12.5g加え、室温で24時間攪拌を行った。
その後、濾過、洗浄および乾燥によってA-B-Aトリブロック構造の末端に官能基を有するブロック共重合体(C19)を得た。
(実施例F20~21)
実施例F19と同様の手順でブロック共重合体(C)の末端に官能基を有するブロック共重合体(C)を得た。末端変換剤として、実施例F20では2-アミノエタンチオールを、実施例F21では1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを用いた。
Figure 0007380185000030
(樹脂フィルムの製造)
各実施例および比較例に係るブロック共重合体(C)100部を300mLのトルエンに加えた樹脂組成物を得た。そして、各実施例および比較例に係る樹脂組成物をそれぞれ、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離性フィルム基材(製品名「SP-PET382050」、リンテック社製)の剥離処理面上に、ドクターブレードにて乾燥後の厚みが65μmと、1mmの2水準のサンプルが得られるようにそれぞれ塗工した。次いで、25℃で100時間乾燥することにより、樹脂フィルムを有する2水準の積層体を得た。
(室温での引張破断強さおよび引張破断伸度)
厚み1mmの各実施例および比較例に係る積層体を、250mm×700mmのサイズにカットし、ダンベル3号型試験片を繰り出すことで試験片αを作製した。そして、試験片αから剥離性フィルムを剥がした樹脂フィルムに対し、引張試験機(RTG1310、AND社製)を用いて、23℃湿度50%、サンプルのチャック間距離40mm、速度50mm/minの条件で引張試験を行うことにより、樹脂フィルムの引張破断強度および引張破断伸度を測定した。測定によって樹脂フィルムが破断した際の強度を引張破断強度とし、破断した際の伸度を引張破断伸度とした。引張破断強度においては0.05MPa未満をNG、引張破断伸度においては100%未満をNGとした。NGの基準値は、以下の評価でも同様とした。
(120℃での引張破断強さおよび引張破断伸度)
引張試験機に恒温槽(TCE-N300-CE、島津製作所製)を取り付け、120℃で引張破断伸度を測定した以外は、室温引張試験と同様のサンプル作成方法、測定方法で試験を行った。測定によって樹脂フィルムが破断した際の強度を引張破断強度とし、破断した際の伸度を引張破断伸度とした。評価結果を表4に示す。
(粘着力/180°剥離試験)
厚みが65μmの各実施例および比較例に係る積層体を、25mm×100mmのサイズにカットして試験片βを作製した。次いで、JIS G4305及びJIS B0601に準拠したステンレス板(SUS304、表面仕上げBA、表面粗さ50nm、サイズ50mm×125mm)上に、樹脂フィルムがステンレス板と対向した状態となるように載せた。次いで、試験片β上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片βとステンレス板とを貼り合わせた。更に、試験片βから剥離性フィルムを剥がし、JIS Z0237に準じて、樹脂フィルム上に厚さ25μmのJIS C2318に規定するポリエチレンテレフタレートフィルムを重ねた。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーをもう一往復させることにより、180°剥離強度評価用サンプルγを得た。続いて、引張試験機(RTG1250A、AND社製)を用いて、温度23℃、湿度50%で24時間静置し、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、180°剥離強度(N/25mm)を測定した。
(保持力)
試験片βを、上述するJIS G4305及びJIS B0601に準拠したステンレス板に25mm×25mmで貼り付け、試験片β上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片βとステンレス板とを貼り合わせた。更に、試験片βから剥離性フィルムを剥がし、JIS Z0237に準じて、樹脂フィルム上に厚さ25μmのJIS C2318に規定するポリエチレンテレフタレートフィルムを重ねた。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーをもう一往復させた。その後、温度23℃、湿度50%で24時間静置し、保持力評価用サンプルδを作製した。そして、保持力評価用サンプルδを120℃、相対湿度50%の条件で、荷重1kgの重りを吊り下げ、おもりが落下するまでの時間から求めた。20時間後で重りが落下しない場合は、20時間後の試験片βとステンレス板のずれ距離を測長し、以下の基準により保持力を評価した。また、150℃の保持力試験の場合は、試験温度を150℃、荷重を200gに変えた以外は120℃の保持力試験の場合と同様の条件で試験を行った。

+++:ずれ距離が1.0mm以下。
++:ずれ距離が1.0mmを超えて、10.0mm以下。
+:ずれ距離が10.0mmを超えて、20.0mm以下。
NG:ずれ距離が20.0mmを超える、又は重りが落下。
Figure 0007380185000031


<樹脂組成物および粘着フィルムの作製および特性評価>
表5に示す各ブロック共重合体(C)100部に、表5に示す配合量で架橋剤・添加剤を加えることにより、実施例Y1~Y15および比較例Y1~Y2に係る樹脂組成物(D)を得た。また、これらの樹脂組成物から粘着層を形成し、膜物性および粘着物性を評価した。評価結果を表5に示す。
(架橋剤)
各実施例および比較例に係る架橋剤としては、IPDIヌレート(イソホロンジイソシアネートのヌレート体、Degussa AG社製、T1890)、アルミキレートD(アルミニウム有機化合物、川研ファインケミカル社製)を用いた。
また、粘着付与剤としては、KE311(パインクリスタルKE311( 荒川化学工業社製))、ME-D(パインクリスタルME-D(荒川化学工業社製))を用いた。
(粘着フィルムの製造)
各実施例および比較例に係る樹脂組成物をそれぞれ厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離性フィルム基材(製品名「SP-PET382050」、リンテック社製)の剥離処理面上に、ドクターブレードにて乾燥後の厚みが65μmと、1mmになるように塗工した2水準のフィルムを準備した。そして、両フィルムを25℃で100時間乾燥することにより各膜厚の粘着層(樹脂フィルム)を有する積層体である粘着フィルムを得た。
(引張破断強さおよび引張破断伸度)
上述した樹脂フィルムと同様の方法により上記樹脂組成物(D1)で形成した厚み1mmの粘着層を用いて測定した。具体的には、ポリエチレンテレフタレート製剥離性フィルム基材を剥離してから試験を行った。
(ゲル分率)
ゲル分率は、ポリエチレンテレフタレート製剥離性フィルム基材を剥離した粘着層に対し、トルエン浸漬前、およびトルエンに室温下で24時間浸漬した後、80℃で5時間乾燥した後の質量をそれぞれ求め、下記の式から求めた。
ゲル分率(%)=[A/B]×100
A:粘着層のトルエン浸漬後における乾燥質量(トルエンの質量は含まない)
B:粘着層のトルエン浸漬前の質量
(粘着力/180°剥離試験および保持力)
粘着フィルムの粘着層に対し、上述した樹脂フィルムと同様の方法により上記樹脂組成物(D1)で形成した厚み65μmの粘着層(フィルム)を用いて測定した。
また、以下の基準により粘着層の保持力を評価した。樹脂フィルムと同様の方法により120℃、150℃での保持力を測定した。
+++:ずれ距離が1.0mm以下。
++:ずれ距離が1.0mmを超えて、10.0mm以下。
+:ずれ距離が10.0mmを超えて、20.0mm以下。
NG:ずれ距離が20.0mmを超える、又は重りが落下する。
Figure 0007380185000032
1,2:単量体、
3、7:重合開始剤、
4:触媒、
5、8:重合体
9、10:ジブロック構造、
11:カップリング剤
6、12:構造体、

Claims (12)

  1. エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とするブロック共重合体(C)であって、
    数平均分子量が5,000~500,000であり、
    ブロック構造が、重合体ブロックA-重合体ブロックB-重合体ブロックAのトリブロック構造、または[重合体ブロックA-重合体ブロックB]qXの星形ブロック構造であり、
    但し、qは2以上6以下の整数であり、前記トリブロック構造の場合の重合体ブロックBのガラス転移温度が20℃未満であり、前記重合体ブロックAのガラス転移温度は120℃以上であり、前記星形ブロック構造の場合の[重合体ブロックB]qXのガラス転移温度が20℃未満であり、
    Xは開始剤残基および/またはカップリング剤残基、またはその誘導体であり、
    ブロック共重合体(C)の120℃での引張試験の破断時の強度が0.1MPa以上かつ伸度が400%以上であり、
    前記重合体ブロックAが、ジシクロペンタジエン骨格を有する単量体由来の構成単位を含有する、ブロック共重合体(C)。
  2. ジシクロペンタジエン骨格を有する単量体が、メタクリル酸エステル単量体および/またはアクリル酸エステル単量体を含む請求項1に記載のブロック共重合体(C)。
  3. ジシクロペンタジエン骨格を有する単量体が下記一般式(1)および(2)で示される単量体からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項2に記載のブロック共重合体(C)。
    一般式(1)

    一般式(2)

    [式中、実線と点線の二重線は、それぞれ独立に二重結合または単結合を表し、Rは水素原子またはメチル基、Lは水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる任意の組合せからなる分子量400以下の連結基をそれぞれ表す。]
  4. ブロック共重合体(C)が、水酸基、およびカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する請求項1~いずれか記載のブロック共重合体(C)。
  5. ブロック共重合体(C)の全重量に対して、重合体ブロックAの含有率が、1~50質量%であることを特徴とする請求項1~いずれか記載のブロック共重合体(C)。
  6. 重合体ブロックAが、メタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上含み、重合体ブロックBがアクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上含むことを特徴とする、請求項1~いずれかに記載のブロック共重合体。
  7. 分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることを特徴とする請求項1~いずれか記載のブロック共重合体(C)。
  8. リビングラジカル重合法により得られたことを特徴とする、請求項1~いずれかに記載のブロック共重合体。
  9. リビングラジカル重合法が、ヨウ素移動重合であることを特徴とする、請求項記載のブロック共重合体。
  10. 請求項1~いずれかに記載のブロック共重合体を含有する樹脂組成物。
  11. 請求項1~1いずれかに記載のブロック共重合体と架橋剤とを含有する樹脂組成物。
  12. 請求項1または1いずれかに記載の樹脂組成物から形成された粘着層を有する粘着フィルム。
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