JP5791235B2 - 光硬化型粘接着剤組成物、光硬化型粘接着剤層、および光硬化型粘接着シート - Google Patents

光硬化型粘接着剤組成物、光硬化型粘接着剤層、および光硬化型粘接着シート Download PDF

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本発明は、良好な耐熱性を有する、光硬化型粘接着剤組成物、光硬化型粘接着剤層、および支持体の少なくとも片面にこのような光硬化型粘接着剤層が形成されている光硬化型粘接着シート、および光硬化型粘着剤組成物の製造方法に関する。
近年、液晶表示装置などの電子部品に用いる光学部材、例えば偏光板や位相差板などは、液晶セルに粘着剤を用いて貼り付けられる。このような粘着剤としては、アクリル系の粘着剤が、耐熱性と耐光性に優れる為に、広く用いられている。
しかしながら、アクリル系粘着剤は、接着剤のように高い剥離抵抗を発現させることはできなかった。
また、接着シートとして、電子部品などの接着用途に、加熱処理により硬化する熱硬化型のものが提案されている。このような熱硬化型接着剤は、接着強度や耐熱性には優れているが、常温接着では粘着性がなく、仮接着が困難である。さらに、硬化前には、接着剤成分に多く含まれる低分子量成分の為に、接着時の糊はみだしなどが問題となる。そこで、被着体との接着初期には粘着剤としての適度な粘着性を示すとともに、接合後には接着剤と同等の高接着性および高耐熱性を示す接着シートが望まれている。
これまでに、例えばアクリルポリマーとエポキシ基を有する樹脂と光開始剤、および粘着付与樹脂を含む硬化型熱接着シートが提案されている(特許文献1)。しかしながら、低分子量のエポキシ樹脂などを含む為に、仮接着時の糊はみ出しなどを防ぐことが難しい。
特開平10−140095号公報
本発明は、常温・常圧では、糊はみ出しなどがなく、乾燥および架橋により十分な初期粘着力を有し、光照射により容易に硬化し、高い剥離抵抗を有する粘接着剤層を形成することができる光硬化型粘接着剤組成物を提供することを目的とする。
また本発明は、前記光硬化型粘接着剤組成物により形成された良好な耐熱性を有する光硬化型粘接着剤層、および光硬化型粘接着シートを提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記光硬化型粘接着剤組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなるグラフトポリマー;光カチオン系重合開始剤;およびフェノール樹脂を含有してなる光硬化型粘接着剤組成物、に関する。
上記グラフトポリマーは、上記(メタ)アクリル系ポリマーに、前記環状エーテル基含有モノマーおよびその他のモノマーを有する鎖がグラフト重合されて形成され得る。
上記フェノール樹脂は、テルペン骨格を有するフェノール樹脂であり得る。
上記光硬化型粘着剤組成物は、さらに、架橋剤を含有し得る。
上記環状エーテル基含有モノマーは、エポキシ基含有モノマーまたはオキセタン基含有モノマーのいずれか1つあるいはその両方であり得る。
上記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、250K以下であり得る。
上記グラフトポリマーは、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に、前記環状エーテル基含有モノマー2〜50重量部およびその他のモノマー5〜50重量部を、過酸化物0.02〜5重量部の存在下にてグラフト重合させることにより得られ得る。
上記光カチオン系重合開始剤は、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート塩、スルホニウムヘキサフルオロフォスフェート塩類、およびビス(アルキルフェニル)イオドニウムヘキサフルオロフォスフェートからなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
本発明はまた、上記いずれかの光硬化型粘接着剤組成物を架橋してなる光硬化型粘接着剤層、に関する。
本発明はまた、支持体の少なくとも片側に、上記の光硬化型粘接着剤層が形成されている光硬化型粘接着シート、に関する。
本発明はまた、上記の光硬化型粘接着剤組成物を製造する方法であって、
(メタ)アクリル系ポリマーの調製後に、該(メタ)アクリル系ポリマーに環状エーテル基含有モノマーをグラフト重合させて、グラフトポリマーを調製する工程;および
該グラフトポリマーに光カチオン系重合開始剤およびフェノール樹脂を混合する工程、を含む光硬化型粘接着剤組成物の製造方法、に関する。
本発明の光硬化型粘接着剤組成物は、常温・常圧では、糊はみ出しなどがなく、乾燥および架橋により十分な初期粘着力を有し、光照射により容易に硬化し、高い剥離抵抗を有する粘接着剤層を形成することができる。また、本発明の光硬化型粘接着剤組成物は、その中に含まれるグラフトポリマーの製造過程において流動性が保持され、扱いやすく、結果として加工性や最終的な接着性に優れた組成物となる。
さらに、本発明の光硬化型粘接着剤層および光硬化型粘接着シートは、耐熱性に優れる。
本発明の光硬化型粘接着剤組成物は、(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーおよび任意にその他のモノマーを有する鎖がグラフト重合されてなるグラフトポリマー;光カチオン系重合開始剤;およびフェノール樹脂を含有してなる。
まず、(メタ)アクリル系ポリマーに含まれるモノマー単位としては、いずれの(メタ)アクリレートでも用いることができ、特に限定はされない。ここで、好ましくは、例えば炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを(メタ)アクリル系ポリマー全体の50重量%以上含有する。
本明細書で、単に、「アルキル(メタ)アクリレート」と言うときは、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを指す。前記アルキル基の炭素数は4以上であり、好ましくは、炭素数4〜9である。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどがあげられる。なかでも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどを例示でき、これらは単独または組み合わせて使用できる。
本発明において、前記アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル系ポリマーの全モノマー成分に対して、50重量%以上であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。また、すべてのモノマーが、アルキル(メタ)アクリレートでもよいが、98重量%以下であることが好ましく、97重量%以下でもよい。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーには、この他に、アルキル基中の少なくとも1個の水酸基を含む水酸基含有モノマーが含まれていることが好ましい。すなわち、このモノマーは、水酸基1個以上のヒドロキシアルキル基を含むモノマーである。ここで、水酸基は、アルキル基の末端に存在することが好ましい。アルキル基の炭素数は、好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜6である。このような水酸基含有モノマーが含まれることによって、グラフト重合の際の水素引き抜きが起こる位置やグラフトポリマーとグラフト重合の際に生成する環状エーテル基含有モノマーのホモポリマーとの相溶性に好ましい影響があり、耐熱性が良好なグラフトポリマーを調製するのに役立つと考えられる。
このようなモノマーとして、(メタ)アクリロイル基の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ水酸基を有するものを特に制限なく用いることができる。例えば、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等などのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;4−ヒドロキシメチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどがあげられる。これらのうち、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
水酸基含有モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の全量に対して、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは、10重量%以下、より好ましくは、3重量%以下である。最も好ましくは、1重量%以上10重量%以下である。
前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分として、本発明の目的を損なわない範囲で他の共重合単量体を単独でまたは組み合わせて用いてもよい。他の共重合単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ芳香族環を有する芳香族環含有モノマーがあげられる。芳香族環含有モノマーの具体例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ナフトエチル(メタ)アクリレート、2−(4−メトキシ−1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート等があげられる。
また、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;などがあげられる。
また、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー;アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマー、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドモノマーなども使用することができる。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は60万以上であることが好ましく、より好ましくは70万以上300万以下である。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
このような(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択して行うことができる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもいずれでもよい。
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる。
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
なお、重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いて、前記重量平均分子量の(メタ)アクリル系ポリマーを製造するには、重合開始剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.06〜0.2重量部程度とするのが好ましく、さらには0.08〜0.175重量部程度とするのが好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどがあげられる。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー成分の全量100重量部に対して、0.1重量部程度以下である。
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などがあげられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(ADEKA社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.3〜5重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1重量部がより好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、250K以下、好ましくは240K以下である。ガラス転移温度はまた、200K以上であることが好ましい。ガラス転移温度が、250K以下であれば、耐熱性が良好でかつ、内部凝集力に優れた粘接着組成物となる。このような(メタ)アクリル系ポリマーは、用いるモノマー成分や組成比を適宜かえることにより調整することができる。また、このようなガラス転移温度は、例えば溶液重合で、アゾビスイソビチロニトリルやベンゾイルパーオキサイドなどの重合開始剤を0.06〜0.2部使用し、酢酸エチルなどの重合溶媒を使用して、窒素気流下50℃〜70℃で8〜30時間反応させることにより得られる。ここで、ガラス転移温度(Tg)は、下記のフォックス式から算出して求められる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・
上記Tg1、Tg2、Tg3等は、共重合成分それぞれ単独の重合体1、2、3等のガラス転移温度を絶対温度で表したものであり、W1、W2、W3等は、それぞれの共重合成分の重量分率である。なお、単独の重合体のガラス転移温度(Tg)は、Polymer Handbook (4th edition, John Wiley & Sons. Inc.)から得た。
次に、このようにして得られた(メタ)アクリル系ポリマーをそのまま、あるいは、希釈剤を加えて希釈した溶液を、グラフト重合に供する。
希釈剤としては、特に限定はされないが、酢酸エチルまたはトルエンなどが例示される。
グラフト重合は、(メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーおよび任意に環状エーテル基含有モノマーとその他のモノマーを反応させて行う。
ここで、環状エーテル基含有モノマーは、特に限定はされないが、エポキシ基含有モノマーあるいはオキセタン基含有モノマーまたはエポキシ基含有モノマーとオキセタン基含有モノマーの両方の組合せであることが好ましい。
エポキシ基含有モノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、または4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルなどが例示され、これらを単独または組み合わせて用いることができる。
オキセタン基含有モノマーとしては、3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、または3−ヘキシル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレートが例示され、これらを単独または組み合わせて用いることができる。
環状エーテル基含有モノマーの量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、2重量部以上であることが好ましく、より好ましくは、3重量部以上である。上限は特に限定はされないが、50重量部以下が好ましく、30重量部以下がさらに好ましい。環状エーテル基含有モノマーの量が、2重量部以上であれば、組成物の粘着接着剤としての機能発現が十分となり、一方、50重量部以下であれば、タック性が維持でき、初期粘着も良好である。
グラフト重合時に、環状エーテル基含有モノマーと共に、共グラフトするその他のモノマーを用いることも可能である。このようなモノマーとしては、環状エーテル基を含まないモノマーであれば、特に限定はないが、炭素数1〜9のアルキル(メタ)アクリレートなどがあげられる。アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどが例示できる。また、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートのような脂環式(メタ)アクリレート類も用いることができる。これらは、単独あるいは組み合わせて使用することができる。
これらグラフト時に共グラフトするその他のモノマーを用いると粘接着剤を硬化させるための光照射時の照射量を下げることができる。この理由は、グラフト鎖の運動性があがるためか、あるいはグラフト鎖や副生する未グラフト鎖と幹ポリマーとの相溶性がよくなるためと推測される。
このようなその他のモノマーは、主鎖(幹)、すなわち(メタ)アクリル系ポリマーの成分と同じモノマーから選択することも好ましい。これらのその他のモノマーの量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、5重量部以上50重量部以下が好ましい。この範囲内であれば、硬化のための光照射量を下げることができ、光照射後の剥離抵抗が維持される。
グラフト重合条件は、特に限定されず、当業者に公知の方法により行うことができる。重合に際しては、過酸化物を重合開始剤として使用することが好ましい。
このような重合開始剤の量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.02〜5重量部である。この重合開始剤の量が少ない場合には、グラフト重合反応の時間がかかりすぎ、多い場合には、環状エーテル基含有モノマーのホモポリマーが多く生成する為、好ましくない。
グラフト重合は、例えば溶液重合であれば、アクリル系ポリマーの溶液に、環状エーテル基含有モノマーと粘度調整可能な溶媒とを加えて、窒素置換した後、ジベンゾイルパーオキシドのような過酸化物系の重合開始剤を0.02〜5重量部加えて、50℃〜80℃で4〜15時間加熱することによって行うことができるが、これに限定はされない。
得られるグラフトポリマーの状態(分子量、グラフトポリマーの枝部の大きさ等)は、反応条件により適宜選択することができる。
本発明の粘接着剤組成物は、このようにして得られるグラフトポリマーと光カチオン系重合開始剤およびフェノール樹脂を含む。
光カチオン系重合開始剤としては、当業者に公知のいずれの光カチオン系重合開始剤も好ましく用いることができる。より具体的には、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート塩、スルホニウムヘキサフルオロフォスフェート塩類、およびビス(アルキルフェニル)イオドニウムヘキサフルオロフォスフェートからなる群より選択される少なくとも1種を使用することができる。
このような光カチオン系重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記グラフトポリマー100重量部に対して、0.1〜5重量部であり、好ましくは、0.3〜3重量部である。
本発明の光硬化型粘接着剤組成物においては、さらに耐熱性を向上させるために、フェノール樹脂が加えられる。このようなフェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を含有する繰り返し単位


を持つフェノール樹脂やその誘導体などが挙げられる。
その中で、テルペン骨格を有するフェノール樹脂が、本発明の粘接着剤組成物との相溶
性が良く、好ましく用いられる。具体的には、以下に示すようなテルペンフェノール樹脂をグラフトポリマー100重量部に対して、1重量部以上、40重量部以下、好ましくは、5重量部以上20重量部以下含む。このようなテルペンフェノール樹脂としては、ヤスハラケミカルの商品名YSレジンCP、マイティエースG125、K125、YS−90、YS−90L、YSポリスターN125、T145、T130、T115、ダイマロン、ダイマーレジン等を挙げることができる。耐熱性が向上するのは、ポリマーと相溶性が良くかつ環状エーテル環が開環して硬化反応する際に、反応性もあることから架橋構造を強固にするためであると推定される。
本発明の光硬化型粘着剤組成物には、必要に応じて、架橋剤が加えられる。架橋剤としては、特に限定されないが、イソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤または数量体化などにより一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物であるイソシアネート系架橋剤が例示される。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどがあげられる。
より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合などで多官能化したポリイソシアネートなどをあげることができる。これらのうち、脂肪族イソシアネートを用いることが、反応速度が速い為に好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記イソシアネート化合物架橋剤を0.01〜2重量部含有してなることが好ましく、0.02〜2重量部含有してなることがより好ましく、0.05〜1.5重量部含有してなることがさらに好ましい。凝集力、耐久性試験での剥離の阻止などを考慮して適宜含有させることが可能である。
また、架橋剤として、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを併用してもよい。有機系架橋剤としては、エポキシ系架橋剤(エポキシ基を1分子中に2つ以上有する化合物をいう)があげられる。エポキシ系架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステルアクリレート、スピログリコールジグリシジルエーテルなどがあげられる。これらは、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。
本発明においては、さらに、架橋剤として、オキサゾリン系架橋剤や過酸化物を加えることも可能である。
オキサゾリン系架橋剤としては、分子内にオキサゾリン基を有するものを特に制限なく使用できる。オキサゾリン基は、2−オキサゾリン基、3−オキサゾリン基、4−オキサゾリン基のいずれでもよい。オキサゾリン系架橋剤としては、付加重合性オキサゾリンに不飽和単量体を共重合した重合体が好ましく、特に付加重合性オキサゾリンに2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを用いたものが好ましい。例としては、日本触媒(株)製の商品名「エポクロスWS−500」等があげられる。
過酸化物としては、加熱によりラジカル活性種を発生して粘接着剤組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。
用いることができる過酸化物としては、たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などがあげられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
なお、過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、たとえば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
前記過酸化物は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記過酸化物0.01〜2重量部であり、0.04〜1.5重量部含有してなることが好ましく、0.05〜1重量部含有してなることがより好ましい。加工性、リワーク性、架橋安定性、剥離性などの調整の為に、この範囲内で適宜選択される。
なお、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、たとえば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
より具体的には、たとえば、反応処理後の粘接着剤組成物を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
前記架橋剤により、粘接着剤層を形成するが、粘接着剤層の形成にあたっては、架橋剤全体の添加量を調整することとともに、架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分考慮する必要がある。
本発明の光硬化型粘接着剤組成物は、さらに接着力や耐熱性を向上させるために、粘着付与剤やエポキシ樹脂を含有しても良い。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、及びヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型等のグリシジルアミン型などのエポキシ樹脂が例示される。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
これらのエポキシ樹脂としては、限定はされないが、市販のエポキシ樹脂を用いることができる。このような市販のエポキシ樹脂には、限定はされないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂として、ジャパンエポキシレジン株式会社のjER828、jER806など;脂環式エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン株式会社のYX8000、YX8034など;株式会社ADEKAのEP4000、EP4005など;ポリアルコールのポリグリシジルエーテル類としてナガセケムテックス株式会社のデナコールEX−313、EX−512、EX−614B、EX−810など、の公知のエポキシ樹脂が含まれる。
本発明において、エポキシ樹脂および/または粘着付与剤は、前記グラフトポリマー100重量部に対し、含まれる場合には、その総量が、好ましくは10重量部以上、より好ましくは20重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは80重量部以下である。総量がこの範囲内であれば、接着力向上および耐熱性向上に顕著な効果が認められ、硬化も良好である。
本発明においては、アクリルポリマーに環状エーテル基含有モノマーをグラフトしたグラフトポリマーに、エポキシ樹脂を添加すると、硬化前に、糊はみだしなどが発生しない、良好な光硬化型粘接着剤層を作成し得る組成物が調製できる。これは、グラフトされた環状エーテル基が低分子量エポキシ樹脂と相溶して、強固な粘接着剤層構造を作ることができる為と考えられる。
本発明の光硬化型粘接着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
本発明の光硬化型粘接着剤層は、好ましくは、支持体の少なくとも片面に形成される。
光硬化型粘接着剤層は、支持基材の片面または両面に前記粘着剤組成物へ塗工し、乾燥させることにより形成することができるがこれに限定されない。またセパレータ(剥離フィルム)上に形成した光硬化型粘接着剤層を、支持基材の片面または両面に移設する方式などによっても、光硬化型粘接着層や光硬化型粘接着シートを形成することができる。さらに支持基材にセパレータを用いて、実用時には基材レスの両面粘接着シートなどとして使用することもできる。光硬化型粘接着シート類はシート状やテープ状などの形態として用いられる。
粘接着シートにおける支持基材としては、例えば紙、布、不織布等からなる多孔質基材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムあるいはシート、ネット、発泡体、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体等があげられる。これら支持基材は、粘接着シートが用いられる用途に応じて適宜に選択される。支持基材に厚さは特に制限されず、用途に応じて適宜に決定される。
光硬化型粘接着剤層を形成する方法は、より詳細には、例えば、前記粘接着剤組成物を剥離処理したセパレーターなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去し架橋処理して粘接着剤層を形成した後に光学部材などの支持体に転写する方法、または光学部材に前記粘接着剤組成物を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去し光架橋処理して粘接着剤層を光学部材に形成する方法などにより作製される。なお、粘接着剤の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
剥離処理したセパレーターとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。このようなライナー上に本発明の粘接着剤組成物を塗布、乾燥させて粘接着剤層を形成する工程において、粘接着剤を乾燥させる方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記塗布膜を過熱乾燥する方法が用いられる。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、さらに好ましくは、50℃〜180℃であり、特に好ましくは70℃〜170℃である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘接着剤を得ることができる。
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは5秒〜10分、特に好ましくは、10秒〜5分である。
また、支持体の表面に、アンカー層を形成したり、コロナ処理、プラズマ処理などの各種易接着処理を施した後に粘接着剤層を形成することができる。また、粘接着剤層の表面には易接着処理をおこなってもよい。
粘接着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法があげられる。
粘接着剤層の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜100μm程度である。好ましくは、2〜50μm、より好ましくは2〜40μmであり、さらに好ましくは、5〜35μmである。
前記粘接着剤層が露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(セパレーター)で粘接着剤層を保護してもよい。
このような保護用セパレーターの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
そのプラスチックフィルムとしては、前記粘接着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共ポリマーフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共ポリマーフィルムなどがあげられる。
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレーターの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘接着剤層からの剥離性をより高めることができる。
なお、上記の剥離処理したシートは、そのまま光硬化型粘接着型シートのセパレーターとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
本発明の光硬化型粘接着剤組成物、光硬化型粘接着剤層、および光硬化型粘接着型シートは、特定の光を照射することで、硬化が起こる。従って、本発明の光硬化型粘接着型シートは、被着体との貼合せ直前あるいは貼合せ後に、光を照射することにより容易に硬化させることができる。また、例えば、被着体と部材との間に介在させる光硬化型粘接着型シートは、好ましくは両面粘着テープのような形態で用いられ、貼合せ後にいつでも光を照射して硬化することもできる。このような硬化反応により、被着体への接着あるいは被着体と部材との接着が確実なものとなる。
照射用の光は特に限定はされないが、好ましくは、紫外線、可視光、および電子線等の活性エネルギー線である。紫外線照射による架橋処理は、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、エキシマレーザ、メタルハライドランプなどの適宜の紫外線源を用いて行うことができる。その際、紫外線の照射量としては、必要とされる架橋度に応じて適宜選択することができるが、通常は、紫外線では、0.2〜10J/cmの範囲内で選択するのが望ましい。照射時の温度は、特に限定されるものではないが、支持体の耐熱性を考慮して140℃程度までが好ましい。
本発明の光硬化型粘接着剤組成物、光硬化型粘接着剤層、および光硬化型粘接着型シートの用途は特に限定されないが、例示すると、光学部材用の粘着用途、半導体素子を有機基板やリードフレームに接着する為の用途、自動車部品の接着用途、建築用途などが挙げられ、幅広く使用することができる。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RH(1時間あるいは1週間)である。
<重量平均分子量の測定>
得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィー)により測定した。サンプルは、試料をジメチルホルムアミドに溶解して0.1重量%の溶液とし、これを一晩静置した後、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した濾液を用いた。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・カラムサイズ;各7.8mmφ×30cm 計90cm
・溶離液:テトラヒドロフラン(濃度0.1重量%)
・流量:0.8ml/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度:40℃
・注入量:100μl
・標準試料:ポリスチレン
<ゲル分率の測定>
乾燥・架橋処理した粘着剤(最初の重量W1)を、酢酸エチル溶液に浸漬して、室温で1週間放置した後、不溶分を取り出し、乾燥させた重量(W2)を測定し、下記のように求めた。
ゲル分率=(W2/W1)×100
<耐熱性の評価方法>
光硬化させた後の粘接着フィルムについて、以下の条件でTMA測定を行い、耐熱性のレベルを測定する。熱物性は、SIIナノテクノロジー社製TMA/SS6100にて、断面積0.6mm、サンプル長10mm、19.6mNの引張荷重で、10℃/minの昇温速度で、20〜300℃で伸びを測定した。耐熱性の目安としては260℃での傾斜(μm/min)を採用した。傾斜(負の値)は、熱による変形を示し、絶対値が小さければ熱による変形が少なく、耐熱性を有することを意味する。本願発明では、絶対値が150μm/min以下であれば、耐熱性を具備していると判断できる。
実施例1
(アクリル系ポリマーの調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルアクリレート97重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート3重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチル140重量部およびトルエン60重量部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って10時間重合反応を行い、重量平均分子量90万のアクリル系ポリマー溶液を調製した。得られたアクリル系ポリマーのガラス転移温度は223Kであった。
(グラフトポリマーの調製)
得られたアクリル系ポリマー溶液を、酢酸エチルにて固形分が25%になるように希釈して、希釈溶液(I)を調製した。攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、希釈溶液(I)400重量部に対して、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル10部、2−エチルヘキシルアクリレート10部、ベンゾイルパーオキサイド0.1部を加え、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を60℃付近に保って4時間、次いで70℃で4時間重合反応を行い、グラフトポリマー溶液を得た。
(粘接着剤層の形成)粘着力測定用サンプル:1A
次いで、このようにして得られたグラフトポリマー溶液の固形分100重量部に対して、テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、YSレジンCP)10重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(日本ポリウレタン社製、コロネートHL)0.3重量部、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(LAMBERTI社製、ESACURE1064)1重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
上記粘接着剤溶液を、25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製「S−10」)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが20μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせて、試験サンプルを作製し、シリコーン処理を施した、38μmのPETセパレーター(三菱樹脂株式会社製、MRF−38)に貼り合わせた。
(粘接着層の形成)ゲル分率測定用サンプル:1A
このようにして得られた試験サンプル1Aに光を照射せずにゲル分率の測定を行い、これを光未照射時のゲル分率とする。
(光照射)1B
ついで、試験サンプル1Aから20mm×100mmのサンプル片を切り出し、厚さ2mmのアクリル板(三菱レイヨン社製「アクリライト」)および厚さ0.4mmのBA板(SUS430鋼板表面仕上げBA鋼板)に2kgのロール1往復で貼り付けた。このときの180°ピール接着力(剥離速度300mm/分)を測定し、光未照射時の接着力とする。これに、メタハラUVランプで、1J/cm光照射を行った後、暗反応処理(50℃、48時間)を行う。このサンプルの180°ピール接着力を測定し、光照射時の接着力とする。
(光照射)1C
試験サンプル1Aに、メタハラUVランプで、1J/cm光照射を行った後、暗反応処理(50℃、48時間)を行う。このサンプルでゲル分率を測定し、光照射時のゲル分率とする。
実施例2
(アクリル系ポリマーの調製)
実施例1と同様にしてアクリル系ポリマーを調製した。
(グラフトポリマーの調製)
得られたアクリル系ポリマー溶液を、酢酸エチルにて固形分が25%になるように希釈して、希釈溶液(I)を調製した。攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、希釈溶液(I)400重量部に対して、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル10部、イソボルニルアクリレート10部、ベンゾイルパーオキサイド0.1部を加え、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を60℃付近に保って4時間、次いで70℃で4時間重合反応を行い、グラフトポリマー溶液を得た。
(粘接着剤層の形成)粘着力測定用サンプル:2A
次いで、このようにして得られたグラフトポリマー溶液の固形分100重量部に対して、テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、マイティエースK125)を10重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(日本ポリウレタン社製、コロネートHL)0.3重量部、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(LAMBERTI社製、ESACURE1064)1重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
上記粘接着剤溶液を、25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製「S−10」)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが20μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせて、試験サンプルを作製し、シリコーン処理を施した、38μmのPETセパレーター(三菱樹脂株式会社製、MRF−38)に貼り合わせた。
(粘接着層の形成)ゲル分率測定用サンプル:2A
このようにして得られた試験サンプル2Aに光を照射せずにゲル分率の測定を行い、これを光未照射時のゲル分率とする。
(光照射)2B
ついで、試験サンプル2Aから20mm×100mmのサンプル片を切り出し、厚さ2mmのアクリル板(三菱レイヨン社製「アクリライト」)および厚さ0.4mmのBA板(SUS430鋼板表面仕上げBA鋼板)に2kgのロール1往復で貼り付けた。このときの180°ピール接着力(剥離速度300mm/分)を測定し、光未照射時の接着力とする。これに、メタハラUVランプで、1J/cm光照射を行った後、暗反応処理(50℃、48時間)を行う。このサンプルの180°ピール接着力を測定し、光照射時の接着力とする。
(光照射)2C
試験サンプル2Aに、メタハラUVランプで、1J/cm光照射を行った後、暗反応処理(50℃、48時間)を行う。このサンプルでゲル分率を測定し、光照射時のゲル分率とする。
比較例1
実施例1と同様にして、アクリル系ポリマーを調製し、次いで、グラフトポリマーを調製した。
(粘接着剤層の形成)接着力測定用サンプル:3A
次いで、このようにして得られた、グラフトポリマー溶液の固形分100重量部に対して、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(日本ポリウレタン社製、コロネートHL)0.3重量部、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(LAMBERTI社製、ESACURE1064)1重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
上記粘接着剤溶液を、25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製「S−10」)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが20μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせて、試験サンプルを作製し、シリコーン処理を施した、38μmのPETセパレーター(三菱樹脂株式会社製、MRF−38)に貼り合わせた。
(粘接着層の形成)ゲル分率測定用サンプル:3A
このようにして得られた試験サンプル3Aに光を照射せずにゲル分率の測定を行い、これを光未照射時のゲル分率とする。
(光照射)3B
ついで、試験サンプル3Aから20mm×100mmのサンプル片を切り出し、厚さ2mmのアクリル板(三菱レイヨン社製「アクリライト」)および厚さ0.4mmのBA板(SUS430鋼板表面仕上げBA鋼板)に2kgのロール1往復で貼り付けた。このときの180°ピール接着力(剥離速度300mm/分)を測定し、光未照射時の接着力とする。これに、メタハラUVランプで、1J/cm光照射を行った後、暗反応処理(50℃、48時間)を行う。このサンプルの180°ピール接着力を測定し、光照射時の接着力とする。
(光照射)3C
試験サンプル3Bに、メタハラUVランプで、1J/cm光照射を行った後、暗反応処理(50℃、48時間)を行う。このサンプルでゲル分率を測定し、光照射時のゲル分率とする。
比較例2
実施例2と同様にして、アクリル系ポリマーを調製し、次いで、グラフトポリマーを調製した。
(粘接着剤層の形成)接着力測定用サンプル:4A
次いで、このようにして得られた、グラフトポリマー溶液の固形分100重量部に対して、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(日本ポリウレタン社製、コロネートHL)0.3重量部、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(LAMBERTI社製、ESACURE1064)1重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
上記粘接着剤溶液を、25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、S−10)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが20μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせて、試験サンプルを作製し、38μmのPETセパレーター(三菱樹脂株式会社製、MRF−38)に貼り合わせた。
(粘接着層の形成)ゲル分率測定用サンプル:4A
このようにして得られた試験サンプル4Aに光を照射せずにゲル分率の測定を行い、これを光未照射時のゲル分率とする。
(光照射)4B
ついで、試験サンプル4Aから20mm×100mmのサンプル片を切り出し、厚さ2mmのアクリル板(三菱レイヨン社製「アクリライト」)および厚さ0.4mmのBA板(SUS430鋼板表面仕上げBA鋼板)に2kgのロール1往復で貼り付けた。このときの180°ピール接着力(剥離速度300mm/分)を測定し、光未照射時の接着力とする。これに、メタハラUVランプで、5J/cm光照射を行った後、暗反応処理(50℃、48時間)を行う。このサンプルの180°ピール接着力を測定し、光照射時の接着力とする。
(光照射)4C
試験サンプル4Bに、メタハラUVランプで、5J/cm光照射を行った後、暗反応処理(50℃、48時間)を行う。このサンプルでゲル分率を測定し、光照射時のゲル分率とする。
比較例3
実施例1と同様にして、アクリル系ポリマーを調製し、次いで、グラフトポリマーを調製した。
(粘接着剤層の形成)接着力測定用サンプル:5A
次いで、このようにして得られた、グラフトポリマー溶液の固形分100重量部に対して、テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製、YSレジンL)10重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(日本ポリウレタン社製、コロネートHL)0.3重量部、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(LAMBERTI社製、ESACURE1064)1重量部を配合して粘接着剤溶液を調製した。
上記粘接着剤溶液を、25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製「S−10」)の片面に、乾燥後の粘接着剤層の厚さが20μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥をさせて、試験サンプルを作製し、シリコーン処理を施した、38μmのPETセパレーター(三菱樹脂株式会社製、MRF−38)に貼り合わせた。
(粘接着層の形成)ゲル分率測定用サンプル:5A
このようにして得られた試験サンプル5Aに光を照射せずにゲル分率の測定を行い、これを光未照射時のゲル分率とする。
(光照射)5B
ついで、試験サンプル5Aから20mm×100mmのサンプル片を切り出し、厚さ2mmのアクリル板(三菱レイヨン社製「アクリライト」)および厚さ0.4mmのBA板(SUS430鋼板表面仕上げBA鋼板)に2kgのロール1往復で貼り付けた。このときの180°ピール接着力(剥離速度300mm/分)を測定し、光未照射時の接着力とする。これに、メタハラUVランプで、1J/cm光照射を行った後、暗反応処理(50℃、48時間)を行う。このサンプルの180°ピール接着力を測定し、光照射時の接着力とする。
(光照射)5C
試験サンプル5Bに、メタハラUVランプで、1J/cm光照射を行った後、暗反応処理(50℃、48時間)を行う。このサンプルでゲル分率を測定し、光照射時のゲル分率とする。
上記実施例および比較例で得られたサンプルについて行った接着力の評価結果を表1に示す。
また、上記実施例および比較例で得られたサンプルについて行った粘着剤層のゲル分率の評価結果を表2に示す。
さらに、TMAによる耐熱温度を表3に示す。

Claims (11)

  1. (メタ)アクリル系ポリマーに、環状エーテル基含有モノマーを含む鎖がグラフト重合されてなるグラフトポリマー;光カチオン系重合開始剤;およびフェノール樹脂を含有してなる光硬化型粘接着剤組成物。
  2. 前記グラフトポリマーが、前記(メタ)アクリル系ポリマーに、前記環状エーテル基含有モノマーおよびその他のモノマーを有する鎖がグラフト重合されてなる請求項1記載の光硬化型粘接着剤組成物。
  3. 前記フェノール樹脂が、テルペン骨格を有するフェノール樹脂である、請求項1または2記載の光硬化型粘接着剤組成物。
  4. さらに、架橋剤を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の光硬化型粘接着剤組成物。
  5. 前記環状エーテル基含有モノマーが、エポキシ基含有モノマーまたはオキセタン基含有モノマーのいずれか1つあるいはその両方である、請求項1から4までのいずれか1項記載の光硬化型粘接着剤組成物。
  6. 前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が、250K以下である、請求項1から5までのいずれか1項記載の光硬化型粘接着剤組成物。
  7. 前記グラフトポリマーが、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に、前記環状エーテル基含有モノマー2〜50重量部およびその他のモノマー5〜50重量部を、過酸化物0.02〜5重量部の存在下にてグラフト重合させることにより得られる、請求項1から6までのいずれか1項記載の光硬化型粘接着剤組成物。
  8. 前記光カチオン系重合開始剤が、アリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート塩、スルホニウムヘキサフルオロフォスフェート塩類、およびビス(アルキルフェニル)イオドニウムヘキサフルオロフォスフェートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1から7までのいずれか1項記載の光硬化型粘接着剤組成物。
  9. 請求項1から8までのいずれかに記載の光硬化型粘接着剤組成物を架橋してなる光硬化型粘接着剤層。
  10. 支持体の少なくとも片側に、請求項9に記載の光硬化型粘接着剤層が形成されている光硬化型粘接着シート。
  11. 請求項1から8までのいずれかに記載の光硬化型粘接着剤組成物を製造する方法であって、
    (メタ)アクリル系ポリマーの調製後に、該(メタ)アクリル系ポリマーに環状エーテル基含有モノマーをグラフト重合させて、グラフトポリマーを調製する工程;および
    該グラフトポリマーに光カチオン系重合開始剤およびフェノール樹脂を混合する工程、
    を含む光硬化型粘接着剤組成物の製造方法。
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