一つの実施様態において、本発明のホットメルト加工性接着剤組成物は、100重量部の少なくとも二つのAブロックと少なくとも一つのBブロックを含有する少なくとも一つのブロックコポリマー(ここでAおよびBブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから誘導されるものであり、このモノマーは重合により、その後にさらに水素添加を行うことなく、飽和ポリマー主鎖を形成する)と、このブロックコポリマーの全重量に基づき、少なくとも40重量部の少なくとも一つの粘着性付与剤を含有する。好ましくは、この接着剤組成物は感圧接着剤(PSA)組成物である。しかし、この接着剤組成物はまた熱活性化性接着剤組成物であってもよい。
本発明の接着剤においては、ホットメルト接着性または加工性効率を損なうことなく、幅広い配合自由度が得られる。例えば組成物中のエラストマー成分が本質的にブロックコポリマーからなっていても、PSAなどの接着剤を得ることができる。したがって本発明において二つ以上のエラストマー性成分をブレンドする必要はない。
好ましくはブロックコポリマーは、(A−B−A)トリブロック、−(A−B)n−マルチブロック、(A−B)n−スターブロック、およびこれらを組みあわせたものを少なくとも一つ含有する。特に好ましいのは、直鎖状の(A−B−A)トリブロック構造である。好ましくは、このブロックコポリマーは(メタ)アクリレートブロックコポリマーである。つまり、AおよびBブロックの内少なくとも一つが(メタ)アクリレートモノマー類から誘導されている。
都合のよいことにこの接着剤はASTM D3654による測定で少なくとも約2,000分の凝集強さを有するように調合することができる。好ましくは、接着剤はASTM D3654による測定で少なくとも6,000分の凝集強さを有する。さらに好ましくはこの接着剤はASTM D3654による測定で少なくとも約10,000分の凝集強さを有する。
さらに、この接着剤はここに記載する剪断変位試験により得た剪断変位の値がゼロとなるよう調合することができる。
通常Aブロックはそれぞれ独立してモノエチレン性不飽和モノマーから誘導されるポリマーであり、これはホモポリマーとしたときに約20℃より大きく、好ましくは約20℃から約200℃である、さらに好ましくは約50℃から約150℃である、ガラス転移温度(Tg)を持つ。好ましくは、このモノエチレン性不飽和モノマーは(メタ)アクリレートモノマーである。しかし、このモノエチレン性不飽和モノマーはまた、ビニル基を末端に持つモノマー例えばスチレンであってもよい。
最適なホットメルト接着性を得るための、Aブロックの重量平均分子量はそれぞれ約50,000未満、よリ好ましくは約3,000から約30,000、最も好ましくは約5,000から約15,000である。
通常Bブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから誘導されるポリマーであり、これはホモポリマーとしたときに約20℃未満、好ましくは約−70℃から約20℃、よリ好ましくは、−60℃から約0℃のガラス転移温度(Tg)を持つ。好ましくは、このモノエチレン性不飽和モノマーは(メタ)アクリレートモノマーである。
最適なホットメルト接着性のためには、Bブロックの重量平均分子量は好ましくは一モルあたり、約30,000から約500,000g、よリ好ましくは、一モル辺り約70,000から約200,000gである。
好ましい実施例において、このAブロックとBブロックはそれぞれ独立して
下記の構造を持つモノマーから誘導される。
式中、
R
1はHまたはCH
3であり、
R
2は炭化水素基であり、AブロックのR
2の全炭素原子数とBブロックのR
2の炭素原子数との差は少なくとも2である。
このブロックコポリマーはよく制御されたブロック構造を与える方法により重合されることが好ましい。一つの実施形態において、ブロックコポリマーはリビングフリーラジカル重合方法により重合される。もう一つの実施形態において、このブロックコポリマーはリビングアニオン重合により重合される。しかし、このブロックコポリマーはイニファーターを用いずに重合されることが好ましい。そのようにして調製されたブロックコポリマーは、イニファーター残基を本質的に含まないので有利である。
好ましくは、ブロックコポリマーの多分散性は約2.0以下であり、よリ好ましくは約1.5以下である。比較的ピュアなブロックを持つブロックコポリマーであることが好ましい。すなわちAブロックは本質的にBブロックを調製するのに用いたモノマーから誘導されるセグメントを含まないことが好ましい。また、BブロックはAブロックを調製するのに用いたモノマーから誘導されるセグメントを本質的に含まないことが好ましい。
本発明の接着剤はさらに少なくとも一つの添加剤を含有してもよい。添加剤の例としては、Aブロック相溶性樹脂、(A−B)ジブロックコポリマー、可塑剤、光架橋剤、安定剤、顔料、充填剤および薬剤からなる群から選択されるものがあげられる。例えば、一つの実施形態において、組成物は(A−B−A)トリブロックコポリマーおよび(A−B)ジブロックコポリマーを含有する。添加剤がBブロックと相溶性を持つことが好ましい。
本発明の組成物は都合のよいことに幅の広い配合自由度を持つので、粘着性付与剤の割合はブロックコポリマーの全重量に対し、約60重量部から約140重量部の範囲にわたってもよい。この粘着性付与剤はブロックコポリマーの全重量に対し、さらに約80重量部から約120重量部であってもよい。
もう一つの実施形態において、本発明は、少なくとも二つのAブロックと少なくとも一つのBブロックを含有する少なくとも一つのブロックコポリマー(ここでAおよびBブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される)を含有するホットメルト加工性接着剤組成物を含有し、ここでこの接着剤はASTM D3654に従って測定した時に少なくとも約2,000分の凝集強さを有する。この組成物はさらに少なくとも一つの粘着性付与剤を含有してもよい。
もう一つの実施形態において、本発明は、少なくとも二つのAブロックと少なくとも一つのBブロックを含有する少なくとも一つのブロックコポリマー(ここでAおよびBブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される)を含有するホットメルト加工性接着剤組成物を含有し、ここでこの接着剤はここに記載の剪断変位試験に従って試験した時に、剪断変位がゼロである。この組成物はさらに少なくとも一つの粘着性付与剤を含有してもよい。
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも二つのAブロックと少なくとも一つのBブロックを含有する少なくとも一つのブロックコポリマー(ここでAおよびBブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される)を含有するホットメルト加工性接着剤組成物を含有し、ここでブロックコポリマーの多分散性は約1.5以下である。好ましくはブロックコポリマーの多分散性は約1.2以下である。
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも二つのAブロックと少なくとも一つのBブロックを含有する少なくとも一つのブロックコポリマー(ここでAおよびBブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される)を含有するホットメルト加工性接着剤組成物を含有し、ここでAブロックはそれぞれBブロックを調製するのに使用したモノマーから誘導されるセグメントを本質的に含有せず、またBブロックはAブロックを調製するのに用いたモノマーから誘導されるセグメントを本質的に含有していない。
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも二つのAブロックと少なくとも一つのBブロックを含有する少なくとも一つのブロックコポリマーを含有するホットメルト加工性接着剤組成物を含有し、ここでAおよびBブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから誘導され、ブロックコポリマーは本質的にイニファーター残基を含有していない。
さらに別の実施形態において、本発明は、AブロックとBブロックを含有する少なくとも一つのスターブロックコポリマーを含有するホットメルト加工性接着剤組成物を含有し、ここでAおよびBブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから派生し、組成物のエラストマー成分は本質的にスターブロックコポリマーからなる。
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも二つのAブロックと少なくとも一つのBブロックを含有する少なくとも一つのブロックコポリマーを含有するホットメルト加工性接着剤組成物を含有し、ここでAおよびBブロックがモノエチレン性不飽和モノマーから派生し、組成物が(A−B−A)トリブロックコポリマーと(A−B)ジブロックコポリマーを含有する。
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも二つのAブロックと少なくとも一つのBブロックを含有する少なくとも一つのブロックコポリマーを含有するホットメルト加工性接着剤組成物を含有し、ここでAブロックを含有する微小ドメインとBブロックを含有する連続相環の境界が本質的にテーパー構造(tapered structure)を持たない。
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも二つのAブロックと少なくとも一つのBブロックを含有する少なくとも一つのブロックコポリマーを含有するホットメルト加工性接着剤組成物を含有し、ここでAおよびBブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから派生し、ブロックコポリマーはリビング重合法により重合されているものである。本組成物はさらに粘着性付与剤を含有してもよい。
このホットメルト加工性接着剤は幅広い用途に使用することができる。例えば基材の少なくとも一部を本発明の接着剤組成物で被覆する事もできる。都合の良いことにこの接着剤の凝集強さは多くの高性能用途に対し充分高く、さらなる化学的架橋は必要でない。だが、この接着剤組成物は化学的に架橋してもよい。しかし、接着剤組成物を熱的に可逆的に架橋する(すなわち、この組成物を化学的ではなく物理的に架橋する)ことが好ましい。
本発明の接着剤組成物からテープを製造することができる。一つの実施形態においてテープは第一と第二の面を持つバッキングと、バッキングの第一の面の少なくとも一部に被覆した本発明のホットメルト加工性接着剤組成物とを含有する。このホットメルト加工性接着剤組成物はバッキングの第一の面の上にホットメルトにより被覆してもよい。別法として、好ましいわけではないが、ホットメルト加工性接着剤組成物をバッキングの第一の面の上に溶媒被覆することもできる。
本発明のホットメルト加工性接着剤を調製する方法をまた開示する。例えば、ホットメルト加工性接着剤の調製方法は、100重量部の少なくとも二つのAブロックと、少なくとも一つのBブロックを含有する少なくとも一つのコポリマー(ここでAブロックとBブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される)を提供するステップと、このブロックコポリマーの全重量に対し、少なくとも40重量部の少なくとも一つの粘着性付与剤をブロックコポリマーとブレンドするステップとを含有する。
この方法はこのブロックコポリマーを重合するステップをさらに含んでも良い。好ましい実施様態において、ブロックコポリマーの重合ステップはイニファーターを使用しない。
この方法はまたホットメルト接着剤を基材の少なくとも一部に塗布する工程をさらに含んでもよい。好ましい実施様態において、このホットメルト接着剤を塗布する工程はホットメルト加工性接着剤をホットメルト加工する工程を含有する。
発明の詳細な説明
本発明はブロックコポリマーを含有するホットメルト加工性接着剤に対するものである。本発明の接着剤は総エラストマー成分に関して、少なくとも一つの本発明のブロックコポリマー(二つ以上の本発明のブロックコポリマーをブレンドしてもよい)を主として含有することが好ましい。
「エラストマー成分とはもとの長さの少なくとも2倍に引き延ばすことができ、弛緩させるときわめて速やかにほぼ元の長さに収縮する成分である。このような本発明のブロックコポリマーは感圧接着剤添加剤のような、単なる接着剤「添加剤」ではない。つまり本発明のブロックコポリマーは通常既存の接着剤配合物に添加されない。実際本発明の接着剤は本発明のブロックコポリマーのみを唯一のエラストマー成分として含有するように調製することができる。つまり、他のエラストマー成分は全接着剤組成物中で約5重量部未満のような少量だけ含有されることが好ましい。ある種の用途には、通常本発明のブロックコポリマー以外のエラストマー成分を全く使わずに接着剤が調製される。その調製が簡素であるが故に、このような接着剤は好ましい。
本発明の「ブロックコポリマー」は化学的に異なるブロックまたはシーケンスが互いに高分子鎖で結合しているエラストマー成分である。本発明のブロックコポリマーは3つの主なクラスに分けることができる:トリブロック((A−B−A)構造)、マルチブロック(−(A−B)n−構造)、そしてスターブロックコポリマー((A−B)n−構造)である。(A−B)ジブロック構造は、必要とされるエラストマー的諸性質を通常持たないので、本発明のエラストマー成分ではない。トリブロックおよびマルチブロック構造はまた直線的ブロックコポリマーと分類する事もできる。これらの直線的構造は好ましい。
スターブロックコポリマーは分岐構造をもつブロックコポリマーの一般的なクラスに分類される。スターブロックコポリマーは、中心点を持ちそこから枝が伸びているので、ラジアルまたはパームツリーコポリマーとも呼ばれている。ここでのブロックコポリマーは櫛形のポリマー構造やその他の枝分かれポリマーとは区別すべきである。このようなその他の分岐構造には枝が延びる元になる中心点が存在しない。
本発明のホットメルト加工性接着剤は都合のよいことに「熱的に可逆的に架橋」することができる。つまり本発明の接着剤はまた塗布および冷却後においてもホットメルト加工性を維持することができ、かつ架橋した接着剤の特徴も併せ持っている(例えば耐溶媒性および/または耐クリープ性)。従って接着剤はそれぞれの塗布の後で充分な凝集強さを有する接着剤を提供しつつ、繰り返しホットメルト加工を行うことができる。
本発明による、好ましい接着剤組成物は感圧接着剤(PSA)である。PSAが下記の諸性質を持つことは当業者にはよく知られている。(1)乾燥粘着性および永久粘着性、(2)指の圧力以上を必要としない粘着性、(3)被接着体への充分な保持性、そして(4)被接着体からきれいにはがすことのできる充分な凝集強さ。
「熱活性化性接着剤系」とは本発明のもう一つのホットメルト加工性接着剤である。熱活性化性接着剤は実質的には室温で非粘着性であるが加熱により粘着性となる。熱活性化性系はPSA系とは異なり、表面への接着が熱と圧力との組み合わせに依存する。
本発明の接着剤の成分は塗布した接着剤の凝集強さを損なうことなく、ホットメルト加工性接着剤を提供するべく都合よく選択される。本発明の好ましい接着剤はASTM D3654に従い試験すると少なくとも約2,000分の凝集強さ、よリ好ましくは約6,000分の凝集強さ、最も好ましくは約10,000分の凝集強さを有する。これらの凝集強さは化学架橋をおこなわずに得ることができる。
さらに、下記のテスト方法の項に記載の剪断変位試験に従って試験したときに、本発明の接着剤は剪断変位をゼロにすることができる。剪断変位がゼロとは接着剤が最小コールドフロー(例えば室温、または室温近辺で長期に渡り圧縮または伸展を行った結果、材料が示す永久的な変形)を持つことを指す。ゼロ剪断変位はラベルに用いる用途などのいくつかの用途において特に有用である。例えば貼り付けたラベルの下から接着剤が露出すると、好ましくないことにデブリや汚れを蓄積することもありうる。
本接着剤の一番の長所は塗布の後、硬化工程の必要がなく、充分な凝集強さを有するということである。しかし、一般的には必要ではないが、所望により追加の硬化ステップを使用することも可能である。このような追加の硬化ステップの例としては接着剤に紫外線や電子線を照射することがあげられる。
ブロックコポリマー
本発明のブロックコポリマーは少なくとも二つのAブロックと少なくとも一つのBブロックを含有する。本発明のブロックコポリマー構造中のAブロックは、熱可塑性セグメントであり、Bブロックはエラストマー性セグメントである。このAおよびBブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される。すなわち、このAブロックとBブロックは、重合後に水素添加を必要とせずに飽和ポリマー主鎖を形成する、モノエチレン性不飽和モノマーから誘導されるのである。飽和しているが故に、これらの好ましいブロックコポリマーは屋外暴露劣化(例えば紫外線照射および酸化が誘発する劣化)を受けることが少ないと予想されている。
好ましくは、AブロックとBブロックの内少なくとも一つは、(メタ)アクリレートモノマーから誘導される。好ましくはBブロックは(メタ)アクリレートから誘導される。(メタ)アクリレート誘導ブロックは接着剤中の好ましい諸性質(例えば耐久性、諸性質の継時的持続性、および接着性の多様性)に寄与している。幾つかの実施形態においては、AブロックもBブロックも共に(メタ)アクリレートモノマーから誘導される。
AブロックとBブロックの比は幅広い範囲で変えることができる。AブロックはBブロックより硬い(すなわち剪断弾性率やガラス転移温度が高い)。通常Aブロックはより硬度の低いBブロックから形成される圧倒的に連続している層内で個々の強化ミクロドメインを提供する。一般にAブロックは、AブロックとBブロック間に適度な相分離が生じ、エラストマーの凝集性を強化するように、その溶解パラメーターがBブロックの溶解パラメータと充分に異なるように選択される。ここで使用する「相分離」という用語はよりやわらかいBブロック相からなるマトリックス中に明確な強化Aブロックドメイン(例えばマイクロドメイン)が存在することを指す。
熱活性化性接着剤用には、所望の熱活性化温度より約25℃から約30℃低いTgを持つようにブロックコポリマーを調製する。好ましいブロックコポリマーはPSAである。このような場合、得られるガラス転移温度(Tg)が約0℃未満となるように配合される。AブロックおよびBブロックを調製するのに用いられるモノマーおよび接着剤添加剤(例えば粘着性付与剤および可塑剤)は所望の接着剤物性にしたがって選択される。
Aブロック
一般にAブロックは熱可塑性(すなわち熱にさらすと軟化し、室温まで冷却すると元の状態に戻る)である。好ましいブロックコポリマーのAブロックは、ホモポリマーとしたときにガラス転移温度(Tg)が約20℃を越える、モノエチレン性不飽和モノマーから誘導される。好ましくは、Aブロックはホモポリマーとしたときにガラス転移温度(Tg)が約20℃から約200℃であるモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される。よリ好ましくは、Aブロックはホモポリマーとしたときにガラス転移温度(Tg)が約50℃から約150℃であるモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される。よリ好ましくは、Aブロックはホモポリマーとしたときにガラス転移温度(Tg)が約100℃から約150℃であるモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される。
Aブロックがコポリマーであってもよいが、通常Aブロックは非tert−アルキルアルコール類の(メタ)アクリレートエステル類(ここでアルキル基は約1から約20個の、好ましくは約1から約18個の炭素原子を含有する)、アクリルアミド類、ビニル基末端モノマー類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、モノエチレン性不飽和モノマー類から独立して誘導されるホモポリマー類である。好ましくは、Aブロックは(メタ)アクリレートモノマー類から独立して誘導されるが、ある種の調合例ではAブロックはスチレンなどのビニル基末端モノマー類から独立して誘導してもよく、同等のまたはよりすぐれたホットメルト加工性を示す。
好ましい(メタ)アクリレートモノマー類は下記の一般式(I)を持つ。
式中、R
1はHまたはCH
3であり、後者は(メタ)アクリレートモノマーがメタクリレートモノマーである場合に相当する。
R2は炭化水素基であり、直鎖、分岐、芳香族または環状炭化水素基から幅広く選択される。好ましいR2は直鎖、分岐または環状の炭化水素基である。炭化水素基内の炭素原子数は好ましくは約1から約20、より好ましくは約1から約18である。R2が炭化水素基であるとき、これはヘテロ原子(例えば酸素または硫黄)を含有してもよい。
適した(メタ)アクリレートモノマーの例としては、例えば、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸1−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸2−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸3−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸4−メチルシクロヘキシル、およびメタクリル酸2−フェノキシエチルがあげられる。特に好ましいのは、アルキル(メタ)アクリレートモノマー類である。
合成上望ましくない、または市販されていない(メタ)アクリレートモノマー類はアルコール交換反応(trans−alcoholysis)(すなわちAブロックのアルコール基を別のアルコール基に置換する)または重合したAブロックの加水分解によって提供することができる。重合Aブロックを加水分解する場合、その後にエステル化が行われる。このプロセスによりブロックコポリマー中にいくらか酸が残留する可能性がある。本発明は通常ホモポリマーブロックを持つブロックコポリマーに関するものであるが、このような少量の残留酸をもつブロックコポリマーもまた、好ましくはないものの、本発明の範囲内のものである。
適したビニル基末端ポリマーの例をあげると、例えば、スチレン(例えばスチレン、アルファーメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレンおよびその他のアルキル化スチレン類)およびビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)があげられる。特に好ましいビニル基末端モノマーはスチレンである。
Aブロックは重量平均分子量が一モル当たり約50,000g未満、好ましくは重量平均分子量が一モル当たり約3,000gから約30,000gであり、重量平均分子量が一モル当たり約5,000gから約15,000gが最も好ましい。これらの相対的に低い分子量によりブロックコポリマーを含有する接着剤のホットメルト加工が容易になる。
Bブロック
一般にBブロックはエラストマーである。Bブロックはモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される。特に所望の接着剤組成物がPSAであるときに、Bブロックはホモポリマーとしたときにガラス転移温度(Tg)が約20℃未満の、モノエチレン性不飽和モノマーから誘導されることが好ましい。好ましくはBブロックはホモポリマーとしたときにガラス転移温度(Tg)が約−70℃から約20℃であるモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される。よリ好ましくは、Bブロックはホモポリマーとしたときにガラス転移温度(Tg)が約−60℃から約0℃であるモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される。最も好ましくは、Bブロックはホモポリマーとしたときにガラス転移温度(Tg)が約−60℃から約−10℃であるモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される。
熱活性化接着剤が所望の場合、モノマーの選択がそれに応じて変わることは当業者に公知である。例えば熱活性化性接着剤が所望の場合、Bブロックを調製するのに用いられるモノマーはDahlquist基準より大きい体積弾性率を持つように選択される。別法として、得られるブロックコポリマーが、所望の熱活性化温度よりも約25℃から約30℃低いTgを持つようにBブロックのTgを調整することができる。熱活性化性接着剤を得るもう一つの方法は、接着剤組成物に対し粘着性付与剤を高い比率で添加することである。
Bブロックはコポリマーであってもよいが、通常Bブロックは非tert−アルキルアルコール類の(メタ)アクリレートエステル類(ここでアルキル基は約1から約20個の、好ましくは約1から約18個の炭素原子を含有する)、アクリルアミド類、およびビニル基末端モノマー類(たとえばビニルエステル類)からなる群から選択される、モノエチレン性不飽和モノマー類から誘導されるホモポリマー類である。好ましくは、Bブロックは(メタ)アクリレートモノマー類から誘導される。
好ましい(メタ)アクリレートモノマー類は下記の一般式(I)を持つ。
式中、R
1はHまたはCH
3であり、後者は(メタ)アクリレートモノマーがメタクリレートモノマーである場合に相当する。アクリレート類は一般に相当するメタクリレートよりも硬くないので、R
1はHであることが好ましい。
R2は炭化水素基であり、直鎖、分岐、芳香族または環状炭化水素基から幅広く選択される。好ましいR2は直鎖、または分岐の炭化水素基である。炭化水素基内の炭素原子数は好ましくは約1から約20、よリ好ましくは約1から約18である。R2が炭化水素基であるとき、これはヘテロ原子(例えば酸素または硫黄)を含有してもよい。好ましいR2はAブロックのR2よりも炭素原子風が少なくとも二つ多い、または少なくとも二つ少ないものである。
適した(メタ)アクリレートモノマーの例としては、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸デシル、アクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸イソデシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソトリデシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−メチルブチル、アクリル酸4−メチル−2−ペンチル、アクリル酸n−オクチルおよびメタクリル酸n−オクチルである。
合成上望ましくない、または市販されていない(メタ)アクリレートモノマー類はアルコール交換反応(trans−alcoholysis)(すなわちBブロックのアルコール基を別のアルコール基に置換する)または重合したBブロックの加水分解によって提供することができる。重合Bブロックを加水分解する場合、その後にエステル化が行われる。このプロセスによりブロックコポリマー中にいくらか酸が残留する可能性がある。本発明は通常ホモポリマーブロックを持つブロックコポリマーに関するものであるが、このような少量の残留酸をもつブロックコポリマーもまた好ましくはないものの、本発明の範囲内のものである。
Bブロックの分子量はブロックコポリマー中に連続相が形成されるようなものである。好ましくはBブロックは重量平均分子量が一モル当たり約30,000gから約500,000gであり、より好ましくは重量平均分子量が一モル当たり約70,000gから約200,000gである。
重合
良く制御されたブロックコポリマー構造を生じる技法であればどのようなものでも本発明のブロックコポリマーを調製するのに適している。これらの技法としてはリビングフリーラジカル重合法、リビングアニオン重合法、および基移動重合法があげられる。リビングフリーラジカル重合法としては特に例をあげると、原子移動重合法および可逆的断片付加鎖移動重合法がある。
リビング重合からは通常非リビングあるいは擬似リビング重合(例えばイニファーターを用いたもの)により重合されたブロックよりも、立体規則性のより高いブロック構造が得られる。立体規則性は(高いシンジオタクチックおよび/またはイソタクチック構造により示される)良く制御されたブロック構造をもつブロックコポリマーに寄与し、ブロックのガラス転移温度に影響を及ぼす。例えばリビング重合により合成されたシンジオタクチックポリメタクリル酸メチル(PMMA)は従来の(すなわち非リビング)重合により合成されたこれに相当するPMMAよりも約20−25℃高いガラス転移温度を持つ。立体規則性は例えば核磁気共鳴スペクトル、示差走査熱分析、または類似の分析技法を用いて検出することができる。リビング重合を用いて立体規則性が約75%を越す構造を得ることができる。
リビングアニオン重合が一般に好ましい。しかし、高温(例えば約−40℃を越す)での重合においては、通常リビングアニオン重合よりも温度の変動に対する感応性が低い、リビングフリーラジカル重合の方が好ましいかもしれない。
「良く制御された」ブロックコポリマー構造とは重合により、下記の好ましい性質の少なくとも一つ、好ましくは下記の諸性質の二つ以上、好ましくは下記の諸性質の全てを持つブロックコポリマーが生じるということである。これらの性質とは次のものである;制御された分子量、低い多分散性、良く規定されたブロック、そして高純度のブロックである。
ブロックコポリマーの分子量は制御されていることが好ましい。つまり、AブロックとBブロックの理論的分子量の範囲は重合後に得ることができる。得られた分子量が予測分子量の約0.1から10.0倍であることが好ましく、予測分子量の約0.8から約1.2倍であることがより好ましく、予測分子量の約0.9から約1.1倍であることが最も好ましい。このような場合、所望のブロックコポリマー構造は設計(すなわち理論的に)が可能であり、ついで選択された重合方法によって簡単にそれを実施することができる。
各ブロックおよび全ブロックコポリマーの多分散性(例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される)は約2.0以下であることが好ましい。よリ好ましくは、各ブロックおよび全ブロックコポリマーの多分散性は約1.7以下、さらに好ましくは約1.5以下、もっと好ましくは約1.3以下、そしてさらに好ましくは約1.2以下である。各ブロックおよび全ブロックコポリマーの多分散性ができる限り1.0に近いことが最も好ましい。
ミクロドメイン含有Aブロックと連続相含有Bブロックの間の境界はよく規定されている(すなわち境界が本質的にテーパー構造−AブロックとBブロックの両方に使用されるモノマーから誘導される構造−を含まない)ことが好ましい。テーパー構造はBブロックのガラス転移温度を引き上げ、接着剤組成物の配合自由度を妨げることになりうる。さらに、テーパー構造はAブロックとBブロックを含有する相の混合を増加させ、接着剤組成物の総凝集強さを減少させうる。
AブロックとBブロックが高い純度を持つことが好ましい。例えばAブロックはBブロックを調製するのに使用したモノマー類から誘導されるセグメントを本質的に持たない(例えばランダムコポリマーセグメントまたはテーパーセグメントは核磁気共鳴分光学により検出することはできない)。同様にBブロックはAブロックを調製するのに用いたモノマーから誘導されるセグメントを本質的に持たない(例えばランダムコポリマーセグメントまたはテーパーセグメントは核磁気共鳴分光学により検出することはできない)。
この重合技法がイニファーターを用いないことが好ましい。イニファーターの使用は、一般に本発明のよく制御されたブロックコポリマー構造の製造の妨げになる。さらにイニファーターの残留物が問題を引き起こすことがある。例えば得られたブロックコポリマー中にチオカルバメート(すなわち通常使用されているイニファーター)が残留していると、ブロックコポリマーは屋外暴露崩壊をより受けやすくなる。この屋外暴露崩壊はチオカルバメート残留物中の比較的弱い炭素−硫黄結合が引き起こすのだろうと考えられている。チオカルバメートの存在は、例えば元素分析または質量分析により検出することができる。
リビング重合を用いてブロックコポリマーを製造する場合、通常このプロセスの第一のステップはAブロックのモノマーを不活性希釈物の存在下で開始剤と接触させ、リビングポリマーを形成することである。この重合プロセス中で使用される、不活性希釈剤により、熱の伝達と開始剤とモノマーの充分な混合とが容易になる。適した不活性希釈剤であればどのようなものを使用してもよい。通常この不活性希釈剤は飽和炭化水素、芳香族炭化水素またはエーテルである。このような希釈剤の例をあげると、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族、および脂環式炭化水素類、およびトルエンなどの芳香族炭化水素類である。さらに脂肪族および環状エーテル溶媒を使用してもよい。このような希釈剤の例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランがあげられる。
リビングアニオン重合を使用すると、リビングポリマーは簡素化した構造A−Mにより表すことができるが、ここでMはLi、NaおよびKなどのI属金属で、AはAブロックを表す。例えば、異なるモノマー(B)を一投入量加え、その後モノマーAを一投入量添加すると、(A−B−A)トリブロックコポリマーが得られる。ここで形成されたポリマーブロックの分子量は、使用された開始剤とモノマーの量によって決定される。別法としてリビングA−B−M(すなわちリビングジブロック)を二官能性または多官能性連結剤を用いて連結し(A−B−A)トリブロックまたは(A−B)n−スターブロックコポリマーをそれぞれ作ることもできる。
適した開始剤であればどのようなものを用いてもよく、またそれらを組み合わせて用いてもよい。典型的な開始剤にはアルカリ金属炭化水素類がある。例えば有機モノリチウムなどの単官能性開始剤は上記に記載のプロセスの第一のステップで有用な開始剤である。これらの化合物は構造式R−Liで表すことができ、式中「R」は脂肪族、脂環式、または芳香族ラジカルであり、「Li」はリチウムである。例をあげるとエチルリチウム、n−プロピルリチウム、i−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、4−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウムなどがあげられる。
二官能性開始剤もまた使用することができる。二官能性開始剤には例えば、1,1,4,4−テトラフェニル−1,4−ジリチオブタン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,4−ジリチオイソブタン、ナフタレンリチウム、ナフタレンナトリウム、ナフタレンカリウム、それらの同族体、ジリチウム開始剤(例えばアルキルリチウムと、例えば1,3−ビス(1−フェニルエテニル)ベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼンなどのジビニル化合物との付加反応により調製したもの)などがあげられる。
共開始剤もまた使用することができる。共開始剤としては例えば、ハロゲン化リチウム(例えば塩化リチウム)、アルカリ金属アルコキシド類、オリゴマー(あるいはポリマー)エーテル類またはアミド類、そのアルカリ金属誘導体、およびアルキルアルミニウム化合物があげられる。
リビングフリーラジカル重合を用いる場合、適した開始剤およびそれを組みあわせたものであればいかなるものも使用できる。リビングフリーラジカル重合とそれに適した開始剤の記載はPCT公報第WO97/18,247(カーネギーメロン)およびPCT公報第WO98/01,478号(E.I.duPont de Nemours and Co.)を参照されたい。
通常リビング重合中に使用する開始剤の量によってリビングポリマーの分子量が示される。モノマーの量に対して少量の開始剤が使用される場合、多量の開始剤が用いられる時よりもリビングポリマーの分子量は一般に大きくなる。
リビングアニオン重合の場合、開始剤中に有機アニオンの特徴的な色が永続的に見られるようになるまで開始剤をモノマー中に滴下することが勧告される。それから所望の分子量のために計算した量の開始剤を加える。初めの滴下による添加により、汚染物質が破壊され、重合がよりよく制御できるようになる。
重合温度は重合されるモノマーおよび用いる重合方法に応じて異なる。一般に反応は約−100℃から約100℃の間の温度で行うことができる。通常重合温度は、リビングアニオン重合の場合約−80℃から約20℃であり、リビングフリーラジカル重合の場合約20℃から約100℃の範囲である。
一般に重合は開始剤またはリビングアニオンを破壊する物質を除外するよう制御された条件下で行われるべきである。通常重合は窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性雰囲気中で行われる。リビングアニオン重合を用いる場合無水条件が必要であるかもしれない。
添加剤
塗布に先立ちホットメルト加工性接着剤にその他の添加剤をブレンドすることができるが、これらの種類と量は塗布する接着剤に求められる諸性質に応じて異なる。
適した接着剤であればいずれもホットメルト加工性接着剤にブレンドすることができる。例えばホットメルト加工性を向上するために、Aブロック相溶性樹脂を接着剤組成物中で用いることができる。ブロックコポリマー分野の知識を有する人であれば多くの適した添加剤を識別することができるであろう。しかし、ゴムベース(例えばポリスチレン−ポリジエンタイプ)のブロックコポリマーにおけるブロックの溶解度パラメーターにおける差は、通常(メタ)アクリレートモノマー類などのモノエチレン性不飽和モノマーから誘導されるブロックを含有する本発明のコポリマーにおけるものとは異なる(例えばAブロックとBブロック間の溶解度パラメータの差は通常ゴムベースのブロックコポリマー中のものよりも小さい)。従って各ブロックの選択的粘着化、または可塑化にはゴムベースのブロックコポリマーを用いる時とは別の配慮が必要となる。したがって、この場合の添加物の選択はゴムベースのブロックコポリマーを用いたときとはかなり異なる。
しかし、用いられる添加剤は本発明のブロックコポリマーのBブロックと相溶性を持つことが好ましい。ある相(例えばAブロックまたはBブロック)のガラス転移温度(Tg)をシフトする添加剤は、その相中で相溶性である(粘着性付与剤とこの相が同じTgを持たないと想定する)。
その他のポリマーも接着剤組成物にブレンドすることができる。しかしこれは一般的に必要ではない。例えば本発明のブロックコポリマーに加えて、少量の(A−B)ジブロック構造を持つブロックコポリマーをホットメルト加工性接着剤に存在させてもよい。しかし(A−B)ジブロック構造をもつブロックコポリマーをさらに添加することが好ましいかもしれない。これらのジブロックコポリマーをさらに添加するとこの接着剤のホットメルト加工性を容易にし、粘着性の程度を増すことができる。通常、もし(A−B)ジブロック構造をもつブロックコポリマーを使用するのであれば、その量は本発明のブロックコポリマー100重量部に対し、約80重量部以下である。好ましくは少なくともこのようなジブロックコポリマーのAブロックは本発明のブロックコポリマーのAブロックと同じ化学組成であり、AブロックとBブロックが共に本発明のブロックコポリマーのAブロックおよびBブロックと同じ化学組成を持つことが最も好ましい。
またブロックコポリマーそれ自身が所望の用途に対し充分粘着性でないかもしれない。従って粘着性付与樹脂(例えば粘着性付与剤または接着剤の粘着性を向上する樹脂の組み合わせ)を添加することが必要かも知れない。実際本発明の接着剤中では比較的多量の粘着性樹脂を用いることが好ましい。一般に粘着性樹脂は本発明のブロックコポリマーよりも廉価である。さらに高率の粘着性樹脂は、熱活性化性接着剤を提供するための配合にもまた望ましいかもしれない。粘着性樹脂はまたホットメルト加工性をも容易にすることができる。
通常少なくとも一つの粘着性樹脂がBブロックに相溶性であるが、これは部分的にAブロックともまた相溶性であるかもしれない。粘着性樹脂はBブロックに相溶性でありAブロックに不相溶性であることが好ましい。粘着性付与剤を使用する場合、本発明においてBブロックのTgは通常高温側にシフトする。
固体または液体の粘着性付与剤を使用することができる。固体の粘着性付与剤は一般に数平均分子量(Mn)が一モルあたり10,000グラム以下であり、軟化点が約70℃を超える。液体の粘着性付与剤は粘性材料であり軟化点が約0℃から約70℃である。固体の粘着性付与樹脂が一般的に好ましい。
適当な粘着性樹脂の例をあげると、ロジンおよびその誘導体(例えばロジンエステル類)、ポリテルペン類および芳香族変性ポリテルペン樹脂類、クマロン−インデン樹脂、および炭化水素樹脂、例えばαピネンベースの樹脂、βピネンベースの樹脂、リモネンベースの樹脂、脂肪族炭化水素ベースの樹脂、芳香族変性炭化水素ベースの樹脂、芳香族炭化水素樹脂およびジシクロペンタジエンベースの樹脂である。非水素化粘着性樹脂は通常本発明のブロックコポリマーよりも着色が多く耐久性(すなわち耐候性)が低い。したがって適しているのであれば、水素化(部分または全面)粘着性樹脂もまた用いることができる。水素化粘着性樹脂の例をあげると例えば水素化ロジンエステル類、水素化酸類、水素化芳香族炭化水素樹脂類、水素化芳香族変性炭化水素ベース樹脂類、および水素化脂肪族炭化水素ベース樹脂類である。特に好ましい水素化粘着性樹脂は、水素化ロジンエステル類、水素化酸類、水素化芳香族炭化水素樹脂類および水素化芳香族変性炭化水素ベース樹脂類である。
粘着性樹脂は適した量であればどのような量で用いてもよい。好ましくは接着剤中の粘着性樹脂はブロックコポリマー100重量部に対し約40重量部を越える量である。例えば粘着性樹脂はブロックコポリマー100重量部に対し約40重量部から約400重量部で用いてもよい。より好ましくは粘着性樹脂はブロックコポリマー100重量部に対し約40重量部から約200重量部で用いてもよく、さらに好ましくはブロックコポリマー100重量部に対し約60重量部から約140重量部、もっとも好ましくは約80重量部から約120重量部で用いることができる。熱活性化性接着剤を調合する際は、特にこの量が多いほうが望ましい。
本発明の接着剤にはまた可塑剤を使用することができる。可塑剤は当該分野で良く知られており例えば炭化水素油類(例えば芳香族、パラフィン系、またはナフテン系)、炭化水素樹脂、ポリテルペン類、ロジンエステル類、フタレート類、ホスフェートエステル類、二塩基酸エステル類、脂肪酸エステル類、ポリエーテル類およびそれらを組みあわせたものがあげられる。可塑剤はオプショナルな成分であり、本発明の接着剤には適量、例えばブロックコポリマー100重量部に対し約100重量部以下、好ましくは約50重量部以下、加えても良い。
光架橋剤もまたオプションとしてその後行われるUV照射による硬化のために添加することができる。好ましい実施様態中では用いられていないが、従来の架橋剤(物理および化学架橋剤の両方)もまた本発明の実施様態の全てにおいて用いることができる。架橋剤はオプションであり、本発明の接着剤中で例えば全組成物100重量部に対し約5重量部以下の量、などの適した量であればどのような量で使用することもできる。
その他のオプションとしての添加剤には例えば安定剤(例えば酸化防止剤またはUV安定剤)、顔料、充填剤、薬剤などがある。このような添加剤の使用は当業者によく知られている。
ホットメルト加工性接着剤の塗布
ホットメルト加工性接着剤は簡単に基材に塗布することができる。例えば、ホットメルト加工性接着剤はシート製品(例えば装飾的、反射性、および図柄付き)への塗布、例えば医学用電極や薬物デリバリーパッチの縁への塗布、印刷用粘着シート、およびテープバッキングに塗布することができる。基材は所望の用途により異なるが、適していればどのようなものであってもよい。通常基材としては不織布、織布、発泡体、紙、ポリプロピレン(例えば二軸延伸ポリプロピレン(BOPP))、ポリエチレン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、またはリリースライナー(例えばシリコン処理ライナー)などがあげられる。
したがって、本発明のホットメルト加工性接着剤は例えばテープを形成するのに使用することができる。テープを作るには、ホットメルト加工性接着剤を適したバッキングの少なくとも一部に被覆する。所望により、リリース剤(例えば低粘着性裏糊)をこのバッキングの反対側に塗布してもよい。両面テープを作る場合は、ホットメルト加工性接着剤をバッキングの両面の少なくとも一部に被覆する。
ホットメルト加工性接着剤は当業者に公知の方法により基材に塗布することができる。例えばブロックコポリマーとその他の成分とをブレンドし、例えばスプレー、溶融押し出し、ブロー(例えばブローンマイクロファイバーを作る)、および発泡技法の一つを用いるなどにより、本発明の接着剤被覆基材を形成する。
接着剤は連続またはバッチプロセスによりフィルム状にまたはコートとして形成することもできる。バッチプロセスの例としては、フィルムまたはコートを接着する基材と、この接着剤フィルムまたはコートをはがすことのできる表面との間に接着剤の一部を置いて、複合構造体を作るものである。この複合構造体は適当な温度と圧力で圧縮し、冷却して所望の厚みを持つ粘着コートまたは層を形成することができる。別法として、接着剤を二つのリリース面の間で圧縮し、冷却してラミネート用途に有用な接着剤転写テープを形成することもできる。
連続形成方法としては、ホットメルト加工性接着剤をフィルムダイから引き出し、ついで引き出した接着剤を移動プラスチックウェブまたはその他の適した基材と接触させる方法がある。関連した連続法としては接着剤と共押し出しバッキング材とをフィルムダイから押し出し、層状製品を冷却して接着剤テープを作るものがある。その他の連続製法としては、高速度で移動するプラスチックウェブまたはその他の適当な予め成形した基材に直接接着剤を接触させる方法がある。この方法を用いると、接着剤はロータリーロッドダイなどのフレキシブルなダイリップを持つダイを使用して移動する成形済みウェブに塗布される。これらの連続方法のどれかにより形成された接着剤フィルムまたは層は直接法(例えばチルロールまたはウォーターバス)および間接法(例えば空気またはガス衝突)により急冷して固化することができる。
溶媒を用いずに被覆することが好ましいが、本発明の接着剤はまた溶媒ベースの技法を用いて被覆する事もできる。例えば、接着剤はナイフ被覆、ロール被覆、グラビュア被覆、ロッド被覆、カーテン被覆、およびエアナイフ被覆により被覆することができる。適した溶媒であればいかなるものを使用してもよい。適した溶媒の例としては酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンおよびこれらを組みあわせたものがあげられる。被覆の後、接着剤を乾燥して溶媒を除去する。接着剤の乾燥を促進するには、オーブンなどにより供給される高温にこの被覆接着剤を付すことが好ましい。
ここに記載のブロックコポリマー、それから得たホットメルト加工性接着剤およびプロセスを下記の実施例により例示する。これらの実施例は単に説明を目的としたものであり、添付の請求項の範囲を制限するものではない。実施例中および明細書の他の箇所に用いた部、パーセント、比などはすべて特に記載のない限り重量部、重量パーセント、重量比である。
化合物の略語
用語の定義
下記の実施例におけるブロックコポリマーは通常、利便性のために簡略化して記載した。
例えばポリ(メタクリル酸メチルb−イソ−オクチルアクリレート−b−メタクリル酸メチル)はMMA−iOA−MMAと表記され、ポリ−メタクリル酸メチル(MMA)およびポリ−イソ−オクチルアクリレート(iOA)のブロック(「b」で示す)を持つブロックコポリマーを示す。このポリマーでは、MMAブロックはエンドブロック、またはAブロックと呼ばれ、iOAブロックはミッドブロックまたはBブロック(ABA命名法を用いて)と呼ばれる。
ブロックコポリマーの分子量もまた簡略化して表記される。例えば10−100−10とはエンドブロックが一モル当たり10,000グラムである重量平均分子量を持ち、ミッドブロックが一モルあたり100,000グラムの重量平均分子量を持つブロックコポリマーを示す。
スターブロックコポリマーも同様に(AB)n命名法を用いて表現されるが、ここでAおよびBは上記に記載の通りであり、nはスター中のアームの平均数を示す。例えばポリマー(S−iOA)nは平均「n」個のポリスチレン−b−ポリ(イソ−オクチルアクリレート)アームを持つ。分子量に関しては、(10−100)3.3とはスチレンエンドブロックが一モルあたり10,000グラムの重量平均分子量を持ち、iOAミッドブロックが一モルあたり100,000グラムの重量平均分子量を持ち、そしてアームの平均数がスター当たり3.3であることを示す。
分子量分布としても知られている多分散性は、Mw/Mn(Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)の比であり、特にポリマーがリビング重合法によって調製される場合、ポリマーを記載するのにしばしば用いられている。多分散性は、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)としても知られている(GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定できる。実施例において多分散性の値を測定する際は、テトラヒドロフラン(THF)溶液を直線スチラゲル−型カラム付きのHEWLETT−PACKARD1090装置(カリフォルニアのパロアルトにあるHewlett−Packard Companyから市販されている)、または比較例の場合はPL−GELMIXED−Bカラム(マサチューセッツ州、アマーストにあるPolymer Laboratoriesから市販されている)付きのPOLYMERLABS装置(マサチューセッツ州、アマーストにあるPolymer Laboratoriesから市販されている)と、屈折率検出器を用いて測定した。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)標準液または比較例においては、ポリスチレン(PS)標準液を検量線の作成に使用した。
試験方法
180度剥離強さ
SINTECH6コンピュータシステム(ミネソタ州、イーデンプレーリーにあるMTS Systems Corporationの事業部であるSintechから市販されている)を用いてテープを分析し、標準テープ方法AFERA(Association de Fabricants Europeens de Rubans Auto−Adhesifs)4001に従う材料試験を行った。剥離強さとはテストパネルから接着剤を被覆した柔軟なシート材を引き剥がすのに必要とされる力である。剥離強さはある特定の剥離角度と速度で測定される。下記の実施例において、この剥離強さは被覆シートの幅(デシメートル)当たりのニュートン(N/dm)で表されている。ここで測定された剥離強さはすべて特に断り書きのない限り、約10分の保持時間で測定された初期剥離強さである。
接着剤被覆シート細片(幅1.27cm)を清浄なガラステスト板の水平面に少なくとも直線距離で12.7cmにわたり両方の表面がしっかりと密着するように貼り付けた。このストリップを貼り付けるために2キログラムの硬いゴムローラを一回かけた。塗布した細片の自由端を細片自身に殆ど触れるまで後ろに折り返し、剥離角度を180°とした。この自由端を接着テスタースケールに取り付けた。実施例に示すように、ガラステスト板をスケールから30.5cm/分(12インチ/分)の一定速度でガラスまたはポリエチレン基材から引き離すことのできる、引っ張り試験器のかみ合い部にこのガラステスト板を圧締めした。データはテスト中に観察された範囲を回数で割った平均で示した。
実施例において2結合不良と報告されている場合、接着剤を基材からはがすのではなく接着剤からバッキングがはがれてしまった。言い換えるとこのテープはよい結合性を示さなかった。
剪断強度
剪断強度は接着剤の凝集強さの尺度である。剪断強度は一定の圧力で標準平面に貼り付けた接着剤をその面に平行な方向に引っ張るのに必要な力の大きさに基づく。剪断強度は一定の標準負荷の下で、ステンレスのテストパネルから標準面積の接着剤被覆シート材を引っ張るのに要する時間を測定し分で表示した。この試験はASTM D3654「感圧接着剤テープの保持力」に記載の手順に従っておこなった。
試験は室温(約22℃から約25℃)で、ステンレスパネルに貼り付けた接着剤被覆シート材のストリップに対して行った。0.127dm四方の細片部分をパネルとしっかり密着させ、テープの一端を自由端とした。接着剤被覆細片を貼り付けたパネルを接着剤被覆細片の延びている自由端とパネルとが178°の角度を形成するようにラックに保持した。接着剤被覆細片の自由端に1,000gの力を加えることによってこの自由端をぴんと張った。剥離力をうち消すため180°から2°引いた角度を用いた。従って剪断力のみが測定された。
テストパネルから各テープが分離するまでに経過した時間を剪断力として記録した(>10,000分または>5,000分という表示はこれだけの時間が経過してもサンプルテープが分離しなかったこと、そしてテストはこの時点で終了したことを示す)。各例におけるPSAの分離モードは特に断りのない限り凝集性(テストパネル上に目に見える接着剤残査が残る)であった。
剪断変位
接着テープ細片(幅20mm、長さが100mm)をステンレス板に貼り付け(剪断強度試験法に使用したように)細片上に2kgのゴムローラーをかけた。貼り付けた細片を20分一定の温度(約22℃)および湿度(相対湿度約50%)でコンディショニングし、ついで60℃に保ったオーブン中で20分コンディショニングを行った。1kgの重りを細片の底に取り付け、パネルを60℃のオーブン中で傾けて(垂直線から2度)置いた。報告した剪断変位は一時間経過後に測定された心狂い(垂直方向の変位)である。
引張試験
引張特性はINSTRON引張試験器(Model 1122、マサチューセッツ州、カントンにあるInstron Corporationから市販されている)を用いてASTM DA412−98aにより測定された。フィルムをブロックコポリマー溶液から調製し、数日間室温で乾燥させ、真空下で完全に乾燥させた。溶液流延フィルムからそれぞれ約1.5−2.0mmの厚みで約4.0mmの幅のマイクロダンベルを切り出した。
サンプルを1分100mmの速度で室温で引き延ばした。クロスヘッド変位から伸び率を測定した。切断点引張強さ(メガパスカル)および%伸び率を報告した。
実施例1−6:アニオン重合を用いた(メタ)アクリレートブロックコポリマーの合成
実施例1:MMA−iOA−MMAコポリマーの合成
ステップI:MMA−tBA−MMAコポリマーの調製
同じ一般手順を用いて一連のMMA−tBA−MMAブロックコポリマーを製造した。それぞれのコポリマーを調製するのに用いた試薬を表1にまとめる。
炎乾燥し、窒素でパージしたガラスのフラスコに所望量のLiClを加えた。THFおよびDPEをゴムの隔壁とステンレス毛細管(THF)または注入器(DPE)を用いてフラスコに加えた。モル当量の3倍のDPEおよび5倍のLiCl(下記sec−ブチルリチウム開始剤の量に基づき)を使用した。
モル濃度0.25モル/リットルのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液の開始剤(この開始剤溶液はウィスコンシン州、ミルウォーキーのAldrich Chemical社より市販されているモル濃度1.3モル/リットルの溶液をさらに希釈した)を赤い色が消えなくなる(この有機アニオンの色は、溶液中に残っている湿分が消費されたことを示す)まで反応フラスコに滴下し、所望の化学量論(表1に記載)の開始剤溶液を添加した。
反応混合物を−78℃まで冷却し、表1に記載の所望量のMMAを加えた。−78℃で1時間重合を行った。表1に示す量のtBAおよびMMAを加えて同じ条件下で重合を行った。
得られたコポリマーを脱気したメタノール(ウィスコンシン州,ミルウォーキーのAldrich Chemical社より市販されている)で急冷し、攪拌しながら90/10(体積比)のメタノール/水混合物を加えて沈殿させた。コポリマーはその後60−80℃で真空下で一晩乾燥させた。下記の表に記載の量は重量部(pbw)である。
ステップII:MMA−tBA−MMAコポリマーからのMMA−iOA−MMAコポリマーの調製
同じ一般手順を用いてステップIで調製した8つのポリマーそれぞれのアルコール置換を行った。ガラスフラスコ中で、10.0pbwのMMA−tBA−MMAを164pbwのi−オクチルアルコール(テキサス州、ヒューストンにある、Exxonから市販されている)および0.50pbwのPTSA中に溶解した。混合物を150℃で48時間還流した。ついで、コポリマーをメタノール中で沈殿させ、80℃で真空中一晩乾燥させた。生じたMMA−iOA−MMAコポリマーと分子量、およびその多分散値を表2に記載する。
実施例2:MMA−nBA−MMAコポリマーの合成
ステップI:MMA−tBA−MMAコポリマーの調製
実施例1と同様にポリマーCを調製する。
ステップII:MMA−tBA−MMAコポリマーからのMMA−nBA−MMAコポリマーの調製
ガラスフラスコに10.0pbwのMMA−tBA−MMAを184pbwのn−ブチルアルコール(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのAldrich Chemical社より市販されている)と0.50pbwのPTSA中に溶解した。混合物を150℃で48時間還流した。ついでコポリマーをメタノール中に沈殿させ、真空下80℃で一晩乾燥させた。
実施例3:MMA−PA−MMAコポリマーの合成
ステップI:MMA−tBA−MMAコポリマーの調製
実施例1と同様にポリマーAを調製する。
ステップII:MMA−tBA−MMAコポリマーからのMMA−PA−MMAコポリマーの調製
ガラスフラスコに10.0pbwのMMA−tBA−MMAを161pbwのn−プロピルアルコール(ウィスコンシン州,ミルウォーキーのAldrich Chemical社より市販されている)と0.50pbwのPTSA中に溶解した。混合物を150℃で48時間還流した。ついでコポリマーをメタノール中に沈殿させ、真空下80℃で一晩乾燥させた。
実施例4:MMA−EA−MMAコポリマーの合成
ステップI:MMA−tBA−MMAコポリマーの調製
実施例1と同様にポリマーAを調製する。
ステップII:MMA−tBA−MMAコポリマーからのMMA−EA−MMAコポリマーの調製
ガラスフラスコに10.0pbwのMMA−tBA−MMAを157pbwのエチルアルコール(ウィスコンシン州,ミルウォーキーのAldrich Chemical社より市販されている)と0.50pbwのPTSA中に溶解した。混合物を150℃で48時間還流した。ついでコポリマーをメタノール中に沈殿させ、真空下80℃で一晩乾燥させた。
実施例5:(MMA−iOA)nスターブロックコポリマーの合成
ステップI:(MMA−tBA)nスターブロックコポリマーの調製
炎乾燥し、窒素でパージしたガラスのフラスコに0.149pbwのLiClを加えた。975pbwのTHFおよび0.38pbwのDPEをゴムの隔壁とステンレス毛細管(THF)または注入器(DPE)を用いてフラスコに加えた。モル当量の3倍のDPEおよび5倍のLiCl(sec−ブチルリチウム開始剤の量に基づき)を使用した。
モル濃度0.25モル/リットルのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン開始剤溶液(この開始剤溶液はウィスコンシン州,ミルウォーキーのAldrich Chemical社より市販されているモル濃度1.3モル/リットルの溶液をさらに希釈した)を赤い色が消えなくなる(この有機アニオンの色は、溶液中に残っている湿分が消費されたことを示す)まで反応フラスコに滴下し、0.045pbwの開始剤溶液を添加した。
反応混合物を−78℃まで冷却し、7.00pbwのMMAを加えた。−78℃で1時間重合を行った。70.00pbwのtBAおよび1.4pbwのEGDMA(EGDMAのLiに対するモル比は10:1)を加えて同じ条件下で重合を行い、リビングジブロックをスター構造へと結合した。
得られたコポリマーを脱気したメタノール(ウィスコンシン州,ミルウォーキーのAldrich Chemical社より市販されている)で急冷し、攪拌しながら90/10(体積比)のメタノール/水混合物を加えて沈殿させた。コポリマーはその後60−80℃で真空下で一晩乾燥させた。
ステップII:(MMA−tBA)nスターブロックコポリマーからの(MMA−iOA)nスターブロックコポリマーの調製
ガラスフラスコに10.0pbwの(MMA−tBA)nを164pbwのi−オクチルアルコール(テキサス州、ヒューストンにある、Exxonから市販されている)と0.50pbwのPTSA中に溶解した。混合物を150℃で48時間還流した。ついでコポリマーをメタノール中に沈殿させ、真空下80℃で一晩乾燥させた。得られた(MMA−iOA)nコポリマーは分子量が(10−100)3.8で、多分散値が1.13であった。
実施例6:(S−iOA)nスターブロックコポリマーの合成
ステップI:(S−tBA)nスターブロックコポリマーの調製
同じ一般手順を用いて一連の(S−tBA)nスターブロックコポリマーを製造した。それぞれのコポリマーを調製するのに用いた試薬を表3にまとめる。
炎乾燥し、窒素でパージしたガラスのフラスコに0.064pbwのLiClを加えた。443pbwのTHFおよび0.16pbwのDPEをゴムの隔壁とステンレス毛細管(THF)または注入器(DPE)を用いてフラスコに加えた。モル当量の3倍のDPEおよび5倍のLiCl(下記sec−ブチルリチウム開始剤の量に基づき)を使用した。
モル濃度0.25モル/リットルの、sec−ブチルリチウムをシクロヘキサンに溶かした開始剤溶液(この開始剤溶液はウィスコンシン州、ミルウォーキーのAldrich Chemical社より市販されているモル濃度1.3モル/リットルの溶液をさらに希釈した)0.019pbwを反応フラスコに滴下した。
反応混合物を−78℃まで冷却し、3.00pbwのスチレン(S)を加えた。−78℃で1時間重合を行った。表3に示す量のtBAおよび0.59pbwのEGDMA(EDGMAのLiに対するモル比は10:1)を加えて同じ条件下で重合を行いリビングジブロックをスター構造へと結合した。
得られたコポリマーを脱気したメタノール(ウィスコンシン州,ミルウォーキーのAldrich Chemical社より市販されている)で急冷し、攪拌しながら90/10(体積比)のメタノール/水混合物を加えて沈殿させた。コポリマーはその後60−80℃で真空下で一晩乾燥させた。
ステップII:(S−tBA)nスターブロックコポリマーからの(S−iOA)nスターブロックコポリマーの調製
同じ一般手順を用いてステップIで調製した8つのコポリマーそれぞれのアルコール置換を行った。ガラスフラスコ中で、10.0pbwの(S−tBA)nを164pbwのi−オクチルアルコール(テキサス州、ヒューストンにある、Exxonから市販されている)および0.50pbwのPTSA中に溶解した。混合物を150℃で48時間還流した。ついで、コポリマーをメタノール中で沈殿させ、80℃で真空中一晩乾燥させた。生じた(S−iOA)nスターブロックコポリマーと分子量、およびその多分散値を表4に記載する。
実施例7−13:(メタ)アクリレートブロックコポリマーPSAテープの調合と試験
実施例7A−7I
実施例1の(メタ)アクリレートブロックコポリマー1Cを一つまたはそれ以上の粘着性樹脂と表5に示す粘着性付与剤の量で混合することにより、この(メタ)アクリレートブロックコポリマーをPSAへと調合した。粘着性付与剤の量はブロックコポリマー100重量部に対するphr(重量部)で示す。
使用した粘着性付与剤はFORAL105およびREGALREZ1018であった。この粘着性付与剤はブロックコポリマーのトルエン溶液(固形分30−40重量%)に添加し、混合した。得られるPSA組成物を乾燥厚みが約25μm(1mil)となるよう、38μm(1.5mil)の厚さのPETフィルム上にナイフ被覆した。コートを65℃のオーブン中において15分乾燥させ、その後、テストに先立ち一定の温度(約22℃)と湿度(相対湿度約50%)で24時間の間コンディショニングを行った。
実施例8A−8C
実施例1の(メタ)アクリルブロックコポリマー1Aを可塑剤および粘着性樹脂と混合し、実施例7に記載のように被覆し、乾燥、コンディショニングを行った。使用した可塑剤はPLASTHALL DIODD、粘着性樹脂はREGALREZ3102であった。この可塑剤と粘着性付与剤の使用量を表7に示す。これらの量はブロックコポリマー100重量部に対する重量部、phrで示す。
実施例9A−9E
実施例1で調製した一連のブロックコポリマー(ポリマー1D−1H)とひとつまたはそれ以上の粘着性付与剤とを合わせ、実施例7に記載のように、被覆、乾燥およびコンディショニングを行ってPSA組成物を調合した。使用した粘着性付与剤はFORAL105およびREGALREZ1018であった。粘着性付与剤の使用量はブロックコポリマー100重量部に対する重量部、phrで表した。
実施例10A−10E
実施例5で調製したスターブロックコポリマーと一つまたはそれ以上の粘着性樹脂を合わせ、実施例7に記載のように被覆、乾燥およびコンデイショニングを行ってPSA組成物を調製した。用いた粘着性付与剤はFORAL105およびREGALREZ1018であった。粘着性付与剤の使用量はブロックコポリマー100重量部に対する重量部、phrで表した。
実施例11A−11B
実施例6で調製したスターブロックコポリマーと一つまたはそれ以上の粘着性樹脂を合わせ、実施例7に記載のように被覆、乾燥およびコンデイショニングを行ってPSA組成物を調製した。用いた粘着性付与剤はFORAL105およびREGALREZ1018であった。粘着性付与剤の使用量はブロックコポリマー100重量部に対する重量部、phrで表した。
実施例12A−12D
実施例1の(メタ)アクリルブロックコポリマー1CをMMA−iOA(10−140)ジブロックコポリマーとブレンドし、ブロックコポリマーと粘着性樹脂を合わせ、実施例7に記載のように被覆、乾燥およびコンデイショニングをおこなってPSA組成物を調製した。用いた粘着性付与剤はFORAL105およびREGALREZ1018であった。各成分の量を表15に示す。粘着性付与剤の使用量はブロックコポリマー100重量部に対する重量部、phrで表した。
実施例13A−13B
実施例1の(メタ)アクリルブロックコポリマー1Bを一つまたはそれ以上の粘着性樹脂および/または可塑化樹脂と合わせ、実施例7に記載のように被覆、乾燥およびコンデイショニングを行ってPSA組成物を調製した。用いた可塑剤はPLASTHALL DIODD、粘着性ジュしはFORAL105およびREGALREZ1018であった。粘着性付与剤の使用量はブロックコポリマー100重量部に対する重量部、phrで表した。各成分の量を表17に示す。
実施例14
実施例1Gおよび実施例2で調製したブロックコポリマーのサンプルを下記のように比較例2および4で調製したブロックコポリマーと比較するために試験した。
実施例15
これまでの実施例および比較例で調製した下記の幾つかのPSA調合物を60℃剪断変位試験に従いテストした。
*40phrのMMA−iOA(10−140)ジブロックコポリマー添加物も含有。
比較例
日本国特許平10−25,459(積水)に示す方法に従って下記の比較例を調製し試験した。
比較例1−4:光イニファーター重合を用いたブロックコポリマーの合成
比較例1:MMA−nBA−MMAブロックコポリマーの合成
理論分子量が一モル当たり約110,000g、ブロックの理論分子量が16.5−77−16.5である、MMA−nBA−MMAコポリマーを得るために下記の手順を使用した。水冷コンデンサー、機械式攪拌機、および窒素導入管付き三首丸底フラスコに140pbwのnBA、60pbwの酢酸エチル(ウィスコンシン州,ミルウォーキーのAldrich Chemical社製)および0.73pbwのXDCを入れた。このフラスコと中身を約20分の間1L/分の窒素流でパージし、その後窒素流を減少させて、わずかにプラスの圧力をフラスコ内に保った。
装置全体をフラスコ壁から15cm離して設置した3個の40ワットの紫外線電球のセット(マサチューセッツ州、デンバーのSylvania Lighting Servicesから市販されているModel No.F40BL)で平均強度約2から4ミリワット/cm2で照射した。この反応中に酢酸エチルを追加し固形分40%の溶液とした。
反応の進行をクロマトグラフィーを用いて監視した。アクリル酸n−ブチルの消費後に、60pbwのMMAを追加した。再び、反応をガスクロマトグラフィーで監視した。MMAの消費後、電球を消し、反応フラスコから溶液を抜き出した。
ブロックコポリマーを65℃のオーブンで15分間乾燥した。乾燥したブロックコポリマーは裸眼ではわずかに曇って見え、多分散値は1.95であった。
比較例2:MMA−nBA−MMAブロックコポリマーの合成
使用した試薬を140pbwのnBAと210pbwの酢酸エチル、0.73pbwのXDCおよび30pbwのMMAとした他は、比較実施例1に概略をのべたものと同じ手順を行った。得られたMMA−nBA−MMAコポリマーは理論分子量が一モル当たり約93,400g、ブロックの理論分子量が8.2−77−8.2であった。ついでこのブロックコポリマーを65℃のオーブンで15分間乾燥した。多分散値を測定すると1.74であった。
比較例3:MMA−iOA−MMAブロックコポリマーの合成
理論分子量が一モル当たり約84,000g、ブロックの理論分子量が7−70−7である、MMA−iOA−MMAコポリマーを得るために下記の手順を使用した。使用した試薬を140pbwのiOAと200pbwの酢酸エチル、0.80pbwのXDCおよび28pbwのMMAとした他は、比較実施例2で用いたものと同じ手順を行った。測定された多分散値は2.07であった。
比較例4:MMA−iOA−MMAブロックコポリマーの合成
理論分子量が一モル当たり約114,000g、ブロックの理論分子量が7−100−7である、MMA−iOA−MMAコポリマーを得るために下記の手順を使用した。これは使用した試薬を140pbwのiOAと200pbwの酢酸エチル、0.56pbwのXDCおよび19.6pbwのMMAとした他は、比較実施例2で用いたものと同じ手順であった。ついでこのブロックコポリマーを65℃のオーブンで15分間乾燥した。乾燥したブロックコポリマーは透明で触れると粘着性であった。多分散値は2.39であった。
比較例5−8:光イニファーター重合を用いて合成したブロックコポリマーによる(メタ)アクリレートブロックコポリマーPSAテープの調合およびその試験
比較例5
比較例1で調製したコポリマー(乾燥による溶媒の除去は行わない)と粘着性付与剤とを混合してPSAを調合した。用いた粘着性付与剤の種類と量を表C1に示す。サンプルはそれぞれナイフを用いて溶媒被覆し、65℃のオーブンに15分間入れて乾燥した。
比較例6
比較例2で調製したブロックコポリマーを用いたことを除き、比較例5に記載のものと同じ手順を行った。
比較例7
比較例3で調製したブロックコポリマーを用いたことを除き、比較例5に記載のものと同じ手順を行った。
比較例8
比較例4で調製したブロックコポリマーを用いたことを除き、比較例5に記載のものと同じ手順を行った。
本発明の範囲と精神から逸脱することなく、本発明に対するさまざまな修正および変更を行えることが当業者には明白であろう。本発明はここに述べた例示的実施様態に限定されるものではない。