JP6026598B1 - 手摺りベルト及びそれを用いた乗客コンベア - Google Patents

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Abstract

【課題】乗客が掴み易い手摺りベルト及びそれを用いた乗客コンベアを提供する。【解決手段】手摺りベルト本体380の表面に保護フィルム384が被さり、保護フィルム384内部に袋部385が形成され、袋部385にクッション部材386が挿入されて、手摺りベルト本体380の表面から膨らんで膨出部387を形成している。【選択図】 図2

Description

本発明の実施形態は、乗客コンベアの手摺りベルト及びそれを用いた乗客コンベアに関するものである。
従来、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアにおいては、乗客の安全を確保するために移動する踏段の左右両側に欄干が設けられ、この欄干の上を手摺りベルトが踏段の走行と同期して移動している。そして、乗客は踏段に立ち、この手摺りベルトを手で持って安全を確保している。
特開2013−227148号公報 特許第4426203号公報
しかし、乗客は、手摺りベルトを掴まない傾向にあり、そのため乗客が体勢を崩し易く、怪我に繋がる可能性があるという問題点があった。
そこで本発明の実施形態は、上記問題点に鑑み、乗客が掴み易い手摺りベルト及びそれを用いた乗客コンベアを提供することを目的とする。
本発明の実施形態は、無端状の手摺りベルト本体は、長手方向に延びる平らな板状の中央部と、前記中央部の左右両側から湾曲しながら延びる左右両側部を有した断面形状がC字型であって、前記手摺りベルト本体の表面に保護フィルムが被さり、前記保護フィルムに袋部が形成され、前記袋部にクッション部材が挿入されて、前記手摺りベルト本体の表面から膨らんで膨出部が形成され、前記保護フィルムの両端部には係合部材が設けられ、前記係合部材は、前記手摺りベルト本体の左右両側部の両端部に引っ掛けて止められ、前記保護フィルムが、前記手摺りベルト本体の表面において引張した状態を維持しつつ固定されている、ことを特徴とする乗客コンベアの手摺りベルトである。
本発明の一実施形態のエスカレータの側面図。 手摺りベルトと欄干の縦断面図。 手摺りベルトの一部拡大縦断面図。 帆布を除いた状態の手摺りベルトの斜視図。
以下、本発明の一実施形態のエスカレータ10を図1〜図4に基づいて説明する。
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の構造について、図1に基づいて説明する。図1はエスカレータ10を側面から見た説明図である。
エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて支持されている。
トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の主駆動スプロケット24,24、左右一対の手摺りベルトスプロケット27,27が設けられている。この駆動装置18は、モータ20と、減速機と、この減速機の出力軸に取り付けられた出力スプロケットと、この出力スプロケットにより駆動する駆動チェーン22と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスクブレーキとを有している。この駆動チェーン22により左右一対の主駆動スプロケット24,24が回転する。左右一対の主駆動スプロケット24,24と左右一対の手摺りベルトスプロケット27,27とは、不図示の連結ベルトにより連結されて同期して回転する。また、上階側の機械室14内部には、モータ20やディスクブレーキなどを制御する制御装置50が設けられている。
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、左右一対の従動スプロケット26が設けられている。上階側の左右一対の主駆動スプロケット24,24と下階側の左右一対の従動スプロケット26,26との間には、左右一対の無端の踏段チェーン28,28が掛け渡されている。左右一対の踏段チェーン28,28には、複数の踏段30が等間隔で取り付けられている。踏段30の車輪301はトラス12に固定された不図示の案内レールを走行し、車輪302はトラス12に固定された案内レール25を走行する。
トラス12の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部に手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って手摺りベルト38が踏段30と同期して移動する。欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。欄干36の側面下部には、スカートガード44が設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。上下階のスカートガード44の内側面には、操作盤52,56、スピーカ54,58がそれぞれ設けられている。
手摺りベルト38は、上階側のインレット部46から正面スカートガード40内に侵入し、案内ローラ64を介して手摺りベルトスプロケット27に掛け渡され、その後、案内ローラ66を介してスカートガード44内を移動し、下階側のインレット部46から正面スカートガード42外に表れる。そして、手摺りベルト38は、手摺りベルトスプロケット27が主駆動スプロケット24と共に回転することにより踏段30と同期して移動する。
上階側の機械室14の天井面にある乗降口には、上階側の乗降板32が水平に設けられ、下階側の機械室16の天井面にある乗降口には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。乗降板32の先端には櫛歯状のコム60が設けられ、このコム60から踏段30が現れる。また、乗降板34にも櫛歯状のコム62が設けられている。
(2)手摺りベルト38
次に、手摺りベルト38について図2〜図4に基づいて詳しく説明する。図2に示すように、手摺りベルト38の手摺りベルト本体380は、縦断面形状がC字型に形成され、開口部分が下方を向いている。そして、手摺りベルト本体380は、長手方向に延びる平らな板状の中央部381と、中央部381の左右両側から湾曲しながら延びる左右両側部382,382を有し、その幅が70mm〜100mmである。また、手摺りベルト本体380の中央部381、左右両側部382,382の材質は、クロロスルフォン化ポリエチルゴムであって、その硬度が65〜90(Hs)である。
手摺りベルト本体380の表面全体には、合成樹脂よりなる保護フィルム384が被せられている。この保護フィルム384における、手摺りベルト本体380の左右両側部に対応する位置には、袋部385が設けられ、その内部には柔らかなクッション部材386が挿入されている。このクッション部材386は、図4に示すように、手摺りベルト38の左右両側部382,382の長手方向に沿って所定間隔毎に設けられ、突条の膨出部387を形成している。この膨出部387は、断面形状がなだらかな山型に膨出している。クッション部材386としては、例えば柔らかなゴムであって、具体的には天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムであり、これらゴムの中に気泡を形成することにより硬度を15〜40(Hs)まで柔らかくする。
また、手摺りベルト本体380の中央部381の上面に被せられた保護フィルム384にも袋部385が設けられ、その内部にクッション部材386が挿入され、半球形型の膨出部388、幅方向に延びた突条の膨出部389が形成されている。
また、図2、図3に示すように保護フィルム384の両端部には断面L型の金属よりなる係合部材390が設けられている。この金属製の係合部材390は、手摺りベルト本体380の左右両側部382の両端部に引っ掛けて止めるものである。これにより、保護フィルム384が、手摺りベルト本体380の表面において引張した状態を維持しつつ固定できる。また、図3に示すように、左右両側部382の両端部の表面391には、係合部材390が滑らないようにするために微小な凹凸を設けられ、摩擦係数を他の部分よりも上げてある。
図2に示すように、C字型の手摺りベルト本体380の下面には、長手方向に沿って帆布383が貼り付けられている。C字型の手摺りベルト38の下面には、帆布383を介して手摺りベルトレール39が配置されている。手摺りベルトレール39の下端はガラス板よりなる欄干36の上端部に固定され、その上端はT字状に形成されている。手摺りベルト38は、手摺りベルトレール39のT字状の上端部を覆うようにしつつ、安定して水平方向に走行する。
(3)効果
本実施形態によれば、手摺りベルト38の表面には、膨出部387,388,389が形成されているため、手摺りベルト38を掴み易く、また膨出部387,388,389が手摺りベルト本体380よりも柔らかいため、掴んだ感触がよくなる。そのため、乗客が手摺りベルト38を掴むようになり、事故を減らし安全にエスカレータ10に乗ることができる。
また、手摺りベルト38の左右両側部に設けられている膨出部387,387は、手摺りベルト38を掴んだ場合に指の部分に当たり掴み易くなって滑り止めとなる。また、膨出部388及び膨出部389は、手摺りベルト38の上面から膨出しているため手摺りベルト38を掴んだ場合に手の平に当たり、滑り止めとなる。また、手の平に当たっても膨出部388,389は手摺りベルト本体380よりも柔らかいため手の平が傷ついたりしない。
また、保護フィルム384の両端部には係合部材390,390が設けられ、保護フィルム384を幅方向に引張するように固定されているため、乗客が手摺りベルト38を掴んでも保護フィルム384が手摺りベルト本体380からずれたりしない。また、金属製の係合部材390は、手摺りベルト38の裏側に位置しているため、乗客に見えず、また掴んだ場合にこの位置に指が来ることがないため、意匠的に悪くなることがなく、感触も悪くならない。
また、係合部材390に対応する左右両側部382の端面には凹凸391が設けられているため、摩擦係数が上がり、より保護フィルム384を固定できる。
また、クッション部材386を有する保護フィルム384は、手摺りベルト本体380とは別体であるため、既存の手摺りベルトにこの保護フィルム384を被せるだけで、上記効果を得ることができる。
(4)変更例
上記実施形態では、保護フィルム384を手摺りベルト本体380に単に被せるだけであったが、保護フィルム384の裏面に粘着層を設け、これによって手摺りベルト本体380に固定してもよい。この場合には、係合部材390を設けなくてもよい。
また、膨出部387,388,389を設ける位置は、上記実施形態以外の位置でもよく、乗客が掴み易くまた滑り止めとなる部分であればよい。また、形状も突条、半球形に限らず、例えばラグビーボールの半分の形をした形状であってもよい。
また、上記実施形態では、膨出部387は長手方向において所定間隔毎に設けられたが、これに限らず長手方向に連続して設けてもよい。
また、上記実施形態では、手摺りベルト本体380の材質はクロロスルフォン化ポリエチルゴムであったが、これに代えてウレタンであってもよい。
また、上記実施形態では、エスカレータ10の踏段30に適応して説明したが、これに代えて動く歩道のステップ(踏段)に適応してもよい。
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10・・・エスカレータ、36・・・欄干、38・・・手摺りベルト、380・・・手摺りベルト本体、381・・・中央部、382・・・左右両側部、384・・・保護フィルム、385・・・袋部、386・・・クッション部材、387・・・膨出部、388・・・膨出部、389・・・膨出部、390・・・係合部材

Claims (10)

  1. 無端状の手摺りベルト本体は、長手方向に延びる平らな板状の中央部と、前記中央部の左右両側から湾曲しながら延びる左右両側部を有した断面形状がC字型であって、
    前記手摺りベルト本体の表面に保護フィルムが被さり、
    前記保護フィルムに袋部が形成され、
    前記袋部にクッション部材が挿入されて、前記手摺りベルト本体の表面から膨らんで膨出部が形成され、
    前記保護フィルムの両端部には係合部材が設けられ、前記係合部材は、前記手摺りベルト本体の左右両側部の両端部に引っ掛けて止められ、前記保護フィルムが、前記手摺りベルト本体の表面において引張した状態を維持しつつ固定されている、
    ことを特徴とする乗客コンベアの手摺りベルト。
  2. 前記クッション部材の硬度が、15〜40Hsである、
    請求項1に記載の乗客コンベアの手摺りベルト。
  3. 前記クッション部材が、ゴムである、
    請求項2に記載の乗客コンベアの手摺りベルト。
  4. 前記膨出部が、前記手摺りベルト本体の前記左右両側部から膨出している、
    請求項1に記載の乗客コンベアの手摺りベルト。
  5. 前記膨出部が、前記左右両側部の長手方向に沿って連続して、又は、所定間隔毎に突条に膨出している、
    請求項4に記載の乗客コンベアの手摺りベルト。
  6. 前記膨出部が、前記手摺りベルト本体の前記中央部の上面から膨出している、
    請求項1に記載の乗客コンベアの手摺りベルト。
  7. 前記膨出部が、前記中央部の上面から半円球状に膨出している、
    請求項6に記載の乗客コンベアの手摺りベルト。
  8. 前記膨出部が、前記中央部の上面から突条に膨出している、
    請求項6に記載の乗客コンベアの手摺りベルト。
  9. 前記手摺りベルトの材質が、クロロスルフォン化ポリエチルゴム、又は、ウレタンである、
    請求項1に記載の乗客コンベアの手摺りベルト。
  10. 請求項1に記載の前記手摺りベルトを有する、
    ことを特徴とする乗客コンベア。
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