以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図4に示すように、硬貨処理機10は、機体11、硬貨を受け入れて1枚ずつ繰り出す入金部12、硬貨を搬送して識別および金種別に選別する搬送通路13、搬送通路13で金種別に選別された硬貨を一時保留する金種別の一時保留部14、搬送通路13から排出されたリジェクト硬貨を受け入れて機体11外に取出可能とする返却部15、一時保留部14から硬貨を受け入れて収納するとともに収納している硬貨を投出する金種別の金種別収納庫16、一時保留部14から硬貨を受け入れて収納する一括収納箱17、金種別収納庫16から投出された硬貨を入金部12に搬送する搬送部18、金種別収納庫16から投出された硬貨を出金する出金部(図示せず)、一時保留部14から返却または回収する硬貨を受け入れて機体11から取出可能とする返却回収箱19、および硬貨を袋に入れて回収する場合に袋を装着する袋取部20を備えている。
そして、図4および図5に示すように、入金部12は、ホッパ23、供給用回転円盤24および繰出用回転円盤25を有し、ホッパ23に受け入れた硬貨を供給用回転円盤24の回転によって所定量ずつ繰出用回転円盤25に供給し、繰出用回転円盤25の回転によって硬貨を1枚ずつ搬送通路13へ繰り出す。ホッパ23は、機体11の上面に設けられた入金口(シャッタで開閉される)から入金する硬貨を受け入れるとともに搬送部18で搬送してくる硬貨を受け入れて貯留可能としている。
また、図5に示すように、搬送通路13は、硬貨(図5に符号Cで示す)の一面が載る通路面27を有する通路部材28、この通路部材28上に配置されて搬送通路13の両側壁を形成するガイド部材29a,29bを備えている。搬送通路13の上方には、硬貨を通路面27に押し付けながら搬送する搬送手段としての搬送ベルト(図示せず)が配設されている。
搬送通路13には、硬貨を識別する識別部30、処理対象外や識別不能なリジェクト硬貨を強制的に排除する選別部31、任意の硬貨を強制的に選別する選別部32、5円硬貨を強制的に選別する選別部33、1円、50円、100円、10円、500円の径が小さい順に硬貨を選別する複数の選別部34が配設されている。各選別部31,32,33の搬送方向の上流側である手前側には、各選別部31,32,33に到達および通過する硬貨を検知する発光素子と受光素子とで構成される光センサを用いた通過検知センサ(タイミングセンサ)Sが配設されている。
識別部30には、カメラおよび磁気センサなどが用いられている。
選別部31,32,33は、共通の構造を有しており、一側のガイド部材29aを基準として通路面27に選別孔35が形成され、一側のガイド部材29a側にローラ36が配置されている。ローラ36は、ソレノイドなどの電気的駆動手段によって通路内外に移動する。そして、選別部31,32,33において、硬貨を選別する場合には、通過検知センサSで該当金種の硬貨を検知すると、ローラ36が通路内に進出し、硬貨の一側が選別孔35に落ち込んで選別され、また、硬貨を通過させる場合には、ローラ36が通路外に退避し、硬貨の両側が選別孔35の両側縁上に載ったまま選別孔35上を通過する。
1円、50円、100円、10円の各選別部34には、一側のガイド部材29aを基準として通路面27に選別孔37が形成されている。そして、各選別部34では、一側のガイド部材29aに沿って搬送する硬貨のうち、該当金種の径の硬貨の他側が選別孔37に落ち込んで選別される。500円の選別部34は、搬送通路13の終端部に形成され、搬送通路13の終端部から選別される。
また、図4に示すように、一時保留部14は、金種別に設けられており、上下方向に開口された一時保留枠39、および一時保留枠39の底面を閉塞する底板40を有している。一時保留枠39および底板40とも電気的駆動手段によって個別に移動可能としている。そして、一時保留枠39が搬送通路13の下方に位置し、一時保留枠39の底面を底板40で閉塞している状態で、5円、1円、50円、100円、10円、500円の選別部33,34…で選別された硬貨を一時保留部14に金種別に受け入れて一時保留し、一時保留後の収納時には一時保留枠39が金種別収納庫16上に移動して一時保留硬貨を金種別収納庫16に放出し、一時保留後の返却時には底板40が移動して一時保留枠39の底面を開放することによって一時保留硬貨を返却回収箱19に放出する。
一時保留枠39は、金種別の一時保留部14とともに、選別部32で選別された任意の硬貨を受け入れて一時保留する一時保留部14aを有している。そして、選別部32で選別された任意の硬貨を一時保留部14aに一時保留した後、収納時には一時保留枠39が移動して一時保留部14aの一時保留硬貨を一括収納箱17に放出し、返却時には一時保留部14aの一時保留硬貨を返却回収箱19に放出する。一時保留部14aには、選別部32で選別された任意の硬貨を一時保留部14aに一時保留せずに袋取部20へ導く切換部材41が配設されている。
また、返却部15は、搬送通路13の選別部31で選別されたリジェクト硬貨を受け入れて機体11外から取出可能とする。
また、金種別収納庫16は、金種別に区切られて設けられており、金種別の一時保留部14から放出される硬貨を収納し、各金種別収納庫16の下部に設けられている投出機構16aによって収納されている硬貨を1枚ずつ投出する。
また、一括収納箱17は、一時保留部14aから放出される硬貨を収納し、機体11外に引出可能とする。
また、搬送部18は、各金種別収納庫16から投出される硬貨を受け入れて搬送する第1のベルトコンベヤ43、およびこの第1のベルトコンベヤ43から硬貨を受け入れて搬送する第2のベルトコンベヤ44を備えている。第1のベルトコンベヤ43は、硬貨を機体11の後方へ向けて搬送して第2のベルトコンベヤ44へ受け渡し、また、硬貨を機体11の前方へ向けて搬送して、図示しない出金部に硬貨を搬送する出金搬送部へ送り込む。第2のベルトコンベヤ44は、硬貨を入金部12のホッパ23に送り込む。
また、図4に示すように、返却回収箱19は、一時保留部14,14aから放出される硬貨を収納し、機体11外に引出可能とする。
また、袋取部20は、機体11の外側に引き出されて袋を装着可能とし、選別部32で選別されて一時保留部14aの切換部材41を介して送り込まれる硬貨を袋に収納する。
また、図3に示すように、硬貨処理機10は、この硬貨処理機10を制御する制御部50を備えている。この制御部50は、入金部12、搬送通路13、一時保留部14、金種別収納庫16および搬送部18などに設けられるセンサなどから信号を入力するとともにモータやソレノイドなどの電気的駆動手段を制御する機能を有している。
さらに、制御部50は、次のような機能を有している。精査処理時に、金種別収納庫16に収納されている硬貨量が一時保留部14の収納容量より多い金種については、1金種毎に、金種別収納庫16から硬貨を投出させて搬送部18、入金部12および搬送通路13を経て一時保留部14に送り、金種別収納庫16の全ての硬貨を一時保留部14および入金部12(ホッパ23)に保留させて金種別収納庫16を空とした後、一時保留部14および入金部(ホッパ23)の硬貨を金種別収納庫16に戻す。さらに、金種別収納庫16に収納されている硬貨量が一時保留部14の収納容量より少ない金種については、該当金種の硬貨を全て同時に、金種別収納庫16から投出させて搬送部18、入金部12および搬送通路13を経て一時保留部14に送り、金種別収納庫16の全ての硬貨を一時保留部14に保留させて金種別収納庫16を空とした後、一時保留部14の硬貨を金種別収納庫16に戻す。
なお、金種別の各一時保留部14の収納容量は金種別収納庫16の収納容量より少なく、一時保留部14および入金部12のホッパ23を合わせた収納容量は金種別収納庫16の収納容量より多い関係を有している。例えば、金種別収納庫16の収納容量は2000枚、一時保留部14の収納容量は500枚、ホッパ23の収納容量は2000枚となっている。
次に、硬貨処理機10の動作を説明する。
入金処理時には、入金部12に受け入れた硬貨を1枚ずつ搬送通路13に繰り出すとともに搬送通路13によって搬送する。
搬送通路13によって搬送する硬貨を識別部30で識別し、処理対象外や識別不能なリジェクト硬貨は選別部31で選別して返却部15に送り込み、また、正常な硬貨のうち5円硬貨は選別部33で選別するとともに他の金種の硬貨は金種別の選別部34で選別し、それぞれ選別した硬貨を一時保留部14に金種別に一時保留する。なお、返却部15に返却されたリジェクト硬貨は、機体11外から取出可能とする。
一時保留後の入金承認指令により、一時保留部14の一時保留枠39が金種別収納庫16上に移動し、一時保留部14内の一時保留硬貨を金種別収納庫16に放出して金種別に収納する。
一時保留後の返却指令により、一時保留部14の底板40が開放移動し、一時保留部14内の一時保留硬貨を返却回収箱19に放出して収納する。返却硬貨を収納した返却回収箱19は、機体11外に引出可能とする。
ところで、入金部12に投入される硬貨に異物が混入していた場合、異物が搬送通路13を通じて選別部33,34…で落下して一時保留部14を通じて金種別収納庫16に入ってしまうと、金種別収納庫16から硬貨を投出する際に異物を原因とする投出不良が発生するおそれがある。そこで、搬送通路13の選別部33,34…より上流側にある選別部31や選別部32で異物を排除し、異物が金種別収納庫16に入らないようにする。選別部31や選別部32で異物を排除した場合、投出機構がない返却部15や一括収納箱17に入ることになり、返却部15から異物を取り出したり一括収納箱17を機体11外に引き出して取り出すことができ、投出不良の問題が発生することがない。
異物の検知については、各選別部31,32,33,34…の手前の通過検知センサSで検知する硬貨または異物の通過時間(遮光時間)を監視し、予め設定された硬貨の通過時間より短い場合には異物と判断する。
そして、選別部31や選別部32の手前の通過検知センサSでの検知に基づいて異物と判断した場合には、選別部31や選別部32で異物の排除動作をする。すなわち、ローラ36を通路内に進出させ、異物を選別孔35に落とし込む。
異物が選別部31や選別部32を通過したために、選別部33や選別部34…の手前の通過検知センサSでの検知に基づいて異物と判断した場合には、入金部12からの硬貨の繰り出しおよび搬送通路13による搬送を直ちに停止し、異物が選別部33や選別部34…に落下しないようにする。この場合、硬貨処理機10はエラー報知し、操作者などが機体11を開き、搬送通路13の異物を取り除く。
なお、選別部33や選別部34…の手前の通過検知センサSでの検知に基づいて異物と判断した場合、入金部12からの硬貨の繰り出しは停止するが、搬送通路13による硬貨の搬送は継続し、異物を選別部33や選別部34…から一時保留部14に落とし込み、一時保留部14に収容された計数済み硬貨および異物を返却回収箱19に放出するようにしてもよい。この場合、返却回収箱19を機体11外に引き出して異物を取り除き、返却回収箱19内の硬貨を入金部12に再投入し、最初から処理をしなおす。
さらに、入金部12に投入される硬貨に例えばおもちゃのお金などの樹脂貨が混入していた場合、識別部30のカメラで樹脂貨を検知することができるため、リジェクト用の選別部31の手前の通過検知センサSで樹脂貨を検知することにより、選別部31で樹脂貨を排除動作することができる。ところが、通過検知センサSには発光素子と受光素子とで構成される光センサを用いているが、樹脂貨には光透過性の高いものがあり、この場合、選別部31の手前の通過検知センサSで樹脂貨を検知することができず、選別部31を通過してしまうおそれがある。
そこで、識別部30で検知した樹脂貨がリジェクト用の選別部31の手前の通過検知センサSを通過するタイミングに合わせて、その通過検知センサSの発光素子の発光量を所定の発光量まで低減することにより、樹脂貨を透過する透光量が減少して、受光素子の受光量が減少する。これにより、光透過性の高い樹脂貨でも、リジェクト用の選別部31の手前の通過検知センサSで樹脂貨を検知し、選別部31で排除することができる。
あるいは、通過検知センサSの発光素子の発光量は一定のまま、通過検知センサSの受光量に基づいて硬貨と判定する硬貨判定用閾値と樹脂貨を判定する樹脂貨判定用閾値との2種類の閾値を設定し、硬貨が通過する際には硬貨判定用閾値を用いて検知するとともに樹脂貨が通過する際には樹脂貨判定用閾値を用いて検知するように自動的に切り換えてもよい。例えば、図8(a)には硬貨の通過時の受光量の変化を示し、図8(b)には樹脂貨の通過時の受光量の変化を示す。図8(a)に示すように、硬貨の通過時には、発光素子の光が硬貨で遮光され、受光素子の受光量が硬貨判定用閾値より低下するため、硬貨であると判定できる。図8(b)に示すように、樹脂貨の通過時には、発光素子の光が樹脂貨を透過し、受光素子の受光量があまり低下せずに硬貨判定用閾値より高くなるが、樹脂貨判定用閾値より低いため、樹脂貨であると判定できる。これにより、光透過性の高い樹脂貨でも、リジェクト用の選別部31の手前の通過検知センサSで樹脂貨を検知し、選別部31で排除することができる。
また、出金処理時には、出金対象金種の金種別収納庫16から所定の出金枚数分の硬貨を投出し、投出された硬貨を搬送部18で図示しない出金搬送部へ搬送し、出金搬送部から出金部へ搬送して機体11外に取出可能とする。
次に、精査処理について説明する。精査処理は、金種別収納庫16に収納されている硬貨を全て取り出し、識別計数した後、該当金種の金種別収納庫16に戻す処理であり、金種別収納庫16に収納されている硬貨量が一時保留部14の収納容量より多い金種について精査を1金種ずつ行う第1の精査処理と、金種別収納庫16に収納されている硬貨量が一時保留部14の収納容量より少ない金種について精査を複数金種同時に行う第2の精査処理とがある。なお、金種別収納庫16に収納されている硬貨量は、識別部30の識別に基づく金種別収納庫16に収納される硬貨枚数および金種別収納庫16から投出する硬貨枚数から硬貨量を判定してもよいし、あるいは、金種別収納庫16に収納されている硬貨量が一時保留部14の収納容量より多いか少ないかを判定するのに対応した金種別収納庫16の位置にセンサを設置し、このセンサの検知に基づいて硬貨量を判定してもよい。
図1および図6(a)(b)に第1の精査処理時の硬貨の流れを示す。この第1の精査処理は、上述したように金種別収納庫16に収納されている硬貨量が一時保留部14の収納容量より多い金種について行われるものであり、ここでは、例えば1円硬貨が該当するものとして説明する。
図6(a)に示すように、第1の精査処理により1円硬貨の精査を行う場合、1円硬貨用の金種別収納庫16から1円硬貨を投出し、搬送部18によって入金部12のホッパ23に搬送し、入金部12から1枚ずつ搬送通路13に繰り出して搬送通路13によって搬送する。
搬送通路13によって搬送する1円硬貨を識別部30で識別し、図6(b)に示すように、1円硬貨用の選別部34で選別し、一時保留部14に一時保留する。
一時保留部14に一時保留した1円硬貨の枚数が所定の収納枚数(500枚)に達したら、入金部12から搬送通路13への硬貨の繰り出しを停止し、金種別収納庫16から投出されて搬送部18によって入金部12のホッパ23に搬送する1円硬貨を入金部12のホッパ23内に保留する。
上述したように、例えば、金種別収納庫16の収納容量は2000枚、一時保留部14の収納容量は500枚、ホッパ23の収納容量は2000枚となっているため、金種別収納庫16の全ての1円硬貨を一時保留部14およびホッパ23に分散して収納でき、金種別収納庫16を空にすることができる。
金種別収納庫16の1円硬貨を全て投出して金種別収納庫16が空となり、1円硬貨を一時保留部14およびホッパ23に分散して収納すると、一時保留部14内の1円硬貨を金種別収納庫16に放出して戻す。一時保留部14を空にしたら、ホッパ23に保留されている1円硬貨の搬送、識別および選別動作を再開し、上述した処理を繰り返して1円硬貨の精査を継続する。
このようにして、金種別収納庫16から投出された全ての1円硬貨を金種別収納庫16に戻し終えることにより、1円硬貨の精査処理を完了する。
また、金種別収納庫16に収納されている硬貨量が一時保留部14の収納容量より多い金種が複数金種ある場合には、1金種ずつ第1の精査処理を順次行う。
なお、金種別収納庫16の収納容量は2000枚、ホッパ23の収納容量は2000枚となっている場合には、金種別収納庫16の全ての硬貨をホッパ23に移すことによって金種別収納庫16を空にすることも可能であるが、一時保留部14に収納可能な枚数の硬貨を予めホッパ23より繰り出して識別した後に一時保留部14に送り込んで保留しておくことにより、金種別収納庫16が空になった時点で一時保留部14の硬貨を金種別収納庫16に戻すことができ、精査処理にかかる時間を短縮することができる。
また、図2および図7(a)(b)に第2の精査処理時の硬貨の流れを示す。この第2の精査処理は、上述したように金種別収納庫16に収納されている硬貨量が一時保留部14の収納容量より少ない金種について複数金種同時に行われるもので、ここでは、例えば、1円、5円、50円、500円が該当するものとして説明する。
図7(a)に示すように、全ての該当金種の金種別収納庫16から同時に硬貨を投出し、搬送部18によって入金部12のホッパ23に搬送し、入金部12から1枚ずつ搬送通路13に繰り出して搬送通路13によって搬送する。
搬送通路13によって搬送する硬貨を識別部30で識別し、図7(b)に示すように、該当金種の選別部33,34…で選別し、一時保留部14に金種別に一時保留する。
該当金種の金種別収納庫16の全ての硬貨が投出されて一時保留部14に収納されたら、一時保留部14内の硬貨を金種別収納庫16に放出して戻す。
また、硬貨処理機10の金種別収納庫16に硬貨が収納されている状態で、例えばエラー復旧した後、搬送通路13に硬貨を流して動作を確認する確認テストを行うことが好ましい場合がある。このような場合でも、確認テスト用の現金を用意できなかったり、確認テスト用の現金を用意できたとしても硬貨処理機10に収納されている現金との混合による現金の管理の厳正化の問題があり、確認テストできないことがある。
そこで、硬貨処理機10に精査機能を利用した確認テストモードの機能を設ける。確認テストモードを選択することにより、特定金種あるいは複数金種の金種別収納庫16から予め決められた少量枚数分の硬貨を投出し、搬送部18によって入金部12のホッパ23に搬送し、入金部12から1枚ずつ搬送通路13に繰り出して搬送通路13によって搬送し、対応する各選別部33,34…で選別し、一時保留部14に一時保留する。金種別収納庫16から投出した予め決められた少量枚数分の硬貨を一時保留部14に保留したら、一時保留部14の硬貨を金種別収納庫16に戻す。これにより、確認テスト用の現金を用いることなく、確認テストができる。
次に、回収処理について説明する。ここでの回収処理は、金種別収納庫16に収納されている硬貨を1金種ずつ袋に回収するものとする。
硬貨を袋に回収する場合には、袋取部20を機体11から引き出して袋を装着する。また、切換部材41が選別部32で選別された硬貨を袋取部20に導くように切り換わる。
例えば1円硬貨の回収処理を行う場合、1円硬貨用の金種別収納庫16から1円硬貨を投出し、搬送部18によって入金部12のホッパ23に搬送し、入金部12から1枚ずつ搬送通路13に繰り出して搬送通路13によって搬送する。
搬送通路13によって搬送する1円硬貨を識別部30で識別し、任意硬貨用の選別部32で選別し、切換部材41を介して袋取部20に導き、袋に収納する。
他の金種の硬貨の回収についても同様である。
このように構成された硬貨処理機10では、精査処理時に、金種別収納庫16に収納されている硬貨量が一時保留部14の収納容量より多い場合でも、金種別収納庫16の硬貨を一時保留部14および入金部12のホッパ23に分散して保留することにより、金種別収納庫16を空にし、その後、一時保留部14および入金部12のホッパ23の硬貨を金種別収納庫16に戻し、精査処理を行うため、従来のように一時保留部に収納できない硬貨を包装硬貨としたり回収箱に回収することに伴う手間がかからず、しかも、回収箱などが必要なく、硬貨処理機10の大形化を防止できる。
さらに、精査処理時に、金種別収納庫16に収納されている硬貨量が一時保留部14の収納容量より少ない金種については、全て同時に精査処理を行うため、精査を効率よくでき、精査にかかる時間を短縮できる。
また、一時保留部14の収納容量が金種別収納庫16の収納容量より少なく、一時保留部14および入金部12のホッパ23を合わせた収納容量が金種別収納庫16の収納容量より多いため、入金部12のホッパ23を利用して精査できる。
なお、入金部12のホッパ23の供給用回転円盤24は、例えば、図9に示すように、供給用回転円盤24の周方向にそれぞれ硬貨が1枚ずつ落ち込む複数の孔部60を有し、供給用回転円盤24の回転により各孔部60に入り込んだホッパ23内の硬貨を1枚ずつ繰り出すように構成してもよい。供給用回転円盤24の下側には孔部60に落ち込んだ硬貨を支える底板が配置されている。
この構成の場合、ホッパ23内の硬貨の有無を検知するための残留検知センサは、供給用回転円盤24の孔部60の位置(図9には、残留検知センサの光軸で検知する供給用回転円盤24の範囲を1点鎖線で相対的に示す)に対応して発光素子と受光素子とを対向配置し、供給用回転円盤24の回転により孔部60の位置で透光、孔部60以外の位置や硬貨で遮光となる検知信号を出力する。孔部60に硬貨が入っていると、検知信号に遮光時間が長い箇所または透光時間が短い箇所が発生する。一般的には、遮光時間が予め決められた遮光時間より長い場合、または透光時間が予め決められた透光時間より短い場合には、硬貨有りと判定している。
ところが、部品のばらつきや負荷変動によって、供給用回転円盤24の回転速度にばらつきが生じると、検知する遮光時間または透光時間が変動するため、予め決められている遮光時間または透光時間の絶対値との比較では、正確な残留検知ができないおそれがある。
そこで、遮光時間または透光時間の比率を監視し、ある遮光時間が直前の遮光時間より長い場合、またはある透光時間が直前の透光時間より短い場合には、硬貨有りと判定するようにしてもよい。また、ある透光時間とその直前の遮光時間との比率が所定値以上の場合は硬貨残留なしと判定し、所定値以下の場合は硬貨残留ありと判定してもよい。これにより、遮光時間または透光時間の絶対値との比較ではないので、部品のばらつきや負荷変動などの影響なく、正確な残留検知ができる。
なお、繰出用回転円盤25についても同様の繰出構造および残留検知を適用してもよい。