JP3867753B2 - 硬貨処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬貨の入金処理を行なう硬貨処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、銀行などで使用されるATMなどに搭載されて硬貨の入金および出金を行なう硬貨処理装置では、例えば特開平10−228553号公報に記載されているように、機体の前部に形成された入金受部に投入される入金硬貨をホッパに受け入れ、このホッパの入金硬貸を繰出手段により1枚ずつ繰り出して硬貨識別部に送り、この硬貨識別部で識別された入金硬貨を金種別あるいは一括して一時保留するとともに、入金承認時に金種別に一時保留している硬貨を金種別出金部へ収納し、一括して一時保留している硬貨を1つのオーバーフローボックスシュートおよび受入口を通じてオーバーフローボックスヘー括して収納するようにしている。
【0003】
入金処理は、オーバーフローボックスがフル状態でないことを条件に開始し、一括して一時保留している硬貨をオーバーフローボックスヘ収納中にオーバーフローボックスがフル状態になると、収納動作を中断して収納異常扱いとするか、あるいは、収納動作を中断せずにそのまま収納動作を続行する。収納動作を中断せずにそのまま収納動作を続行した場合には、一時保留硬貨が多量であると、オーバーフローボックスの受入口から硬貨が溢れ出し、収納動作後に受入口の直前のゲートの動作不良が発生することがある。
【0004】
また、オーバーフローボックスへ受入口から硬貨を収納する際には、硬貨を自由落下させるために収納硬貨が受入口付近で山状になり、オーバーフローボックスの受入口付近以外には硬貨を収納する空きスペースがあるにもかかわらず、受入口近傍に設けたフル検知手段により硬貨を検知してフル状態と判断してしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の硬貨処理装置では、オーバーフローボックスの空きスペースを有効に活用できておらず、また、入金の収納処理で一括して一時保留している硬貨をオーバーフローボックスヘ収納中にオーバーフローボックスがフル状態になると、入金取引を正常に終了できないという問題点がある。
【0006】
本発明は上述のような事情からなされたものであり、本発明の目的は、入金硬貨を収納庫へ収納中に硬貨が山盛りとなってフル状態となったとき、収納庫の空きスペースを有効に利用して、入金取引を正常に終了させることができる硬貨処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の硬貨処理装置は、入金受部に投入された入金硬貨を1枚ずつ繰り出して識別し、正常と識別された入金硬貨を一時保留し、入金承認時に一時保留している入金硬貨を収納する硬貨処理装置において、前記正常と識別された入金硬貨を一時保留する一時保留部と、この一時保留部の入金硬貨を収納する収納庫と、前記一時保留部の入金硬貨を前記収納庫へ収納させる第1の収納庫シュートと、前記一時保留部の入金硬貨を前記第1の収納庫シュートとは異なった場所から前記収納庫の空きスペースへ収納させる第2の収納庫シュートと、前記収納庫が収納された硬貨でフル状態になったことを検知するフル検知センサと、前記入金承認時に前記一時保留部から前記第1の収納庫シュートを通じて前記収納庫へ入金硬貨を収納中に前記フル検知センサでフル状態を検知したとき、前記一時保留部から前記第2の収納庫シュートを通じて前記収納庫へ入金硬貨を収納させる制御部とを具備しているものである。
【0008】
そして、収納庫に対して入金硬貨を収納させる第1および第2の収納庫シュートを備え、通常は第1の収納庫シュートを通じて収納庫に入金硬貨を収納させ、この第1の収納庫シュートで硬貨が収納される付近で硬貨が山盛りとなって収納庫のフル状態が検知されたとき、収納庫の第2の収納庫シュートで入金硬貨が収納される付近に空きスペースがあることを利用して、第2の収納庫シュートを通じて収納庫の空きスペースに残りの入金硬貨を収納させるので、装置の故障がないにもかかわらず収納庫の状態によって収納処理ができないという異常を防止し、入金取引を正常に終了させる。
【0009】
請求項2記載の硬貨処理装置は、入出金受部に投入された入金硬貨を1枚ずつ繰り出して識別し、正常と識別された入金硬貨を一時保留し、入金承認時に一時保留している入金硬貨を収納し、かつ、金種別出金部から投出される出金硬貨を1枚ずつ繰り出して識別し、正常と識別された出金硬貨を入出金受部に払い出すとともに異常と識別された出金硬貨をリジェクト硬貨として回収する硬貨処理装置において、前記正常と識別された入金硬貨を一時保留する一時保留部と、この一時保留部の入金硬貨を収納する収納庫と、前記一時保留部の入金硬貨を前記収納庫へ収納させる収納庫シュートと、前記出金硬貨で異常と識別されたリジェクト硬貨を収納するリジェクトボックスと、前記リジェクト硬貨を前記リジェクトボックスへ収納させるリジェクトボックスシュート部を有するとともに、前記一時保留部の入金硬貨を前記収納庫シュートとは異なった場所から前記収納庫の空きスペースへ収納させる収納庫シュート部を有するリジェクトボックスシュートと、このリジェクトボックスシュートの通路をリジェクトボックスシュート部側と収納庫シュート部側とのいずれかに切り換えるリジェクト通路切換部と、前記収納庫が収納された硬貨でフル状態になったことを検知するフル検知センサと、前記入金承認時に前記一時保留部から前記収納庫シュートを通じて前記収納庫へ入金硬貨を収納中に前記フル検知センサでフル状態を検知したとき、前記一時保留部から前記リジェクトボックスシュートの収納庫シュート部を通じて前記収納庫へ入金硬貨を収納させる制御部とを具備しているものである。
【0010】
そして、収納庫に対して入金硬貨を収納させる収納庫シュートおよびリジェクトボックスシュートの収納庫シュート部を備え、通常は収納庫シュートを通じて収納庫に入金硬貨を収納させ、この収納庫シュートで硬貨が収納される付近で硬貨が山盛りとなって収納庫のフル状態が検知されたとき、収納庫のリジェクトボックスシュートの収納庫シュート部で入金硬貨が収納される付近に空きスペースがあることを利用して、リジェクトボックスシュートの収納庫シュート部を通じて収納庫の空きスペースに残りの入金硬貨を収納させるので、装置の故障がないにもかかわらず収納庫の状態によって収納処理ができないという異常を防止し、入金取引を正常に終了させる。さらに、収納庫シュートとは別の収納庫シュートとして、出金でリジェクト硬貨を導くリジェクトボックスシュートを利用することにより、既存の構成を利用して簡単に構成し、コストアップを最小限に抑える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1において、11は機体で、この機体11の上面前部(なお、図1の機体11の右側を前部、および左側を後部とし、機体11の前方から見て左右方向を機体幅方向とする)に入金硬貨の投入または出金硬貨の取り出しが行なわれる入出金口12が形成され、この入出金口12には入出口シャッタ13が開閉可能に配設されている。
【0013】
入出金口12の下方には、入金硬貨または出金硬貨を受け入れる入金受部としての入出金受部14が配設されている。この入出金受部14は、機体幅方向に横長の略桶状に形成され、硬貨を受け入れる受入姿勢と硬貨を放出する放出姿勢とに回動される。
【0014】
入出金受部14の下方には、硬貨を受け入れて1枚ずつ後述する硬貨搬送部17へ繰り出す繰出部15が配設されている。この繰出部15は、硬貨を受け入れるホッパ16、このホッパ16内の硬貨を1枚ずつ上方へ拾い上げて繰り出す図示しない突起付きの回転円板を備えている。
【0015】
繰出部15の上部には硬貨搬送部17が接続されている。この硬貨搬送部17は、機体11の上部に前後方向に沿って配設され、前端側から後端側に向かって硬貨を搬送する計数搬送部としての識別分類通路部18が形成されているとともに、この識別分類通路部18の後端から上側に折り返して前端側の入出金受部14へ硬貨を搬送する出金通路部19が形成されている。硬貨搬送部17に沿って硬貨を搬送する搬送手段としての搬送ベルト20が張設されている。
【0016】
識別分類通路部18の始端側には、搬送ベルト20で搬送される硬貨の金種や正常・異常を識別する識別部21が配設されている。識別分類通路部18の識別部21より後流側には、搬送される硬貨を通路上から分岐させて振り分けるために、上流側から順に、1円用の振分ゲート22a 、5円用の振分ゲート22b 、10円用の振分ゲート22c 、50円用の振分ゲート22d 、100円用の振分ゲート22e 、500円用の振分ゲート22f 、オーバーフロー用の振分ゲート22g 、リジェクト用の振分ゲート22h が配設されている。
【0017】
金種別の振分ゲート22a 〜22f は、入金処理時または補充処理時に対応する硬貨を通路上から振り分けるもので、これら振分ゲート22a 〜22f の下方には、振分ゲート22a 〜22f で振り分けられた硬貨を金種別に一時保留する金種別一時保留部23が配設されている。この金種別一時保留部23は、金種別の保留筒にて構成され、振分ゲート22a 〜22f で振り分けられる硬貨を上下方向に集積状態で一時保留し、入金承認時に下方へ放出し、入金不承認時に機体幅方向の一側(図1手前側)の後述する横搬送部36へ放出するように構成されている。
【0018】
金種別一時保留部23の下方には、金種別に出金硬貨を収納するとともに金種別出金部24が配設されている。この金種別出金部24は、金種別の収納筒25を有し、この収納筒25内に硬貨を集積状態で上下動可能に支承し、収納筒25の上部を通じて硬貨の出し入れが可能で、金種別一時保留部24から放出される硬貨を受入収納するとともに、収納筒25の上側に配設される図示しない投出手段によって硬貨が1枚ずつ後述する横搬送部36へ投出される。
【0019】
また、オーバーフロー用の振分ゲート22g は、入金処理時に金種別一時保留部23または金種別出金部24に収納しきれない入金硬貨をオーバーフロー硬貨として通路上から振り分けるもので、この振分ゲート22g の下方には、後述する横搬送部36(一括一時保留部37)へ放出するオーバーフローシュート26が配設されている。このオーバーフローシュート26の途中には、後述する補充・回収ボックス53へ回収処理時の硬貨を導く回収シュート27が接続されているとともに、硬貨をオーバーフローシュート26の下流側と回収シュート27とのいずれかに振り分ける図示しない振分部材が配設されている。
【0020】
また、リジェクト用の振分ゲート22h は、出金処理時または補充処理時のリジェクト硬貨、あるいは入金処理時の後述する横搬送部36(一括一時保留部37)上に一時保留された入金硬貨を分岐するもので、この振分ゲート22h の下方には、第2の収納庫シュートとして兼用されるリジェクトボックスシュート28が配設されている。図3に示すように、このリジェクトボックスシュート28の途中には、3つのリジェクトボックスシュート部29,30,31が接続されているとともに、各リジェクトボックスシュート部29,30,31の入口部分に硬貨を各リジェクトボックスシュート部29,30,31内と各リジェクトボックスシュート部29,30,31より下流側とのいずれかに振り分けるリジェクト通路切換部32,33,34が配設されている。各リジェクトボックスシュート部29,30,31の下端は、上流側のリジェクトボックスシュート部29,30,31から順に、後述するリジェクトボックス51の装填リジェクトボックス55、回収リジェクトボックス56、および取り忘れリジェクトボックス57の上面にそれぞれ連通されている。
【0021】
リジェクトボックスシュート28の各リジェクトボックスシュート部29,30,31より下流側には収納庫シュート部としてのオーバーフローボックスシュート部35が形成され、このオーバーフローボックスシュート部35の下端が後述するオーバーフローボックス52の上面に連通されている。
【0022】
また、金種別出金部24の上端近傍の側方でかつ繰出部15からオーバーフローシュート26の下方(後述するオーバーフローボックス52の上方)の領域にわたって、横搬送部(搬送部)36が配設されている。この横搬送部36は、硬貨を載せて搬送するベルトコンベヤにて構成され、入金処理時に金種別一時保留部23から放出される入金の返却硬貨、またはオーバーフローシュート26から放出される入金硬貨(オーバーフロー硬貨)を受け入れるとともに、出金処理時に金種別出金部24から投出される出金硬貨を受け入れ、ベルトの正転時に硬貨を繰出部15へ向けて搬送し、逆転時に硬貨を後述するオーバーフローボックス52へ向けて搬送するように構成されている。そして、横搬送部36上のオーバーフローシュート26の下方域には、オーバーフローシュート26で導かれる入金硬貨を一括して一時保留する一時保留部としての一括一時保留部37が形成されている。
【0023】
横搬送部36の前端側および後端側の上方には横搬送部ゲート38,39が開閉可能に配設され、この横搬送部ゲート38,39の閉鎖によって横搬送部36の端部からの硬貨の落下が規制されるとともに、開放によって横搬送部36の端部からの硬貨の放出が許容される。図2に示すように、後端側の横搬送部ゲート39の閉鎖位置と開放位置とを検知するゲート位置検知センサ40,41が配設されている。なお、前端側の横搬送部ゲート38についても、同様に、図示しないゲート位置検知センサが配設されている。
【0024】
横搬送部36の後方には、一括一時保留部37に一時保留された一括一時保留硬貨の収納時に、横搬送部36の逆転によって横搬送部36の後端から放出される一括一時保留硬貨を、後述するオーバーフローボックス52に導く第1の収納庫シュートおよび収納庫シュートとしてのオーバーフローボックスシュート42が配設されている。
【0025】
また、図1に示すように、機体11の後部には、リジェクトボックス51、収納庫としてのオーバーフローボックス52、補充・回収ボックス53が上側から下側にわたってそれぞれ配置されているとともに、各ボックス51,52,53とも機体11の後部から着脱可能に構成されている。
【0026】
リジェクトボックス51は、図3に示すように、装填リジェクトボックス55、回収リジェクトボックス56および取り忘れリジェクトボックス57を一体に有し、これら各リジェクトボックス55,56,57の上面にリジェクトボックスシュート28の対応する各リジェクトボックスシュート部29,30,31からリジェクト硬貨を受け入れる受入口が形成されている。装填リジェクトボックス55には、補充処理時に機体11内に投入される存高管理されていない補充硬貨において識別部21で異常と識別されたリジェクト硬貨が収納され、また、回収リジェクトボックス56には、出金処理時や機体11内での補充処理時にその機体11内で存高管理されている硬貨において識別部21で異常と識別されたリジェクト硬貨が収納され、また、取り忘れリジェクトボックス57には、出金処理時に入出金受部14に払い出された出金硬貨が取り忘れられた際に回収される取り忘れ硬貨が収納される。
【0027】
オーバーフローボックス52は、図2に示すように、箱状に形成され、上面には、オーバーフローボックスシュート42の下端部の下方に硬貨を受け入れる受入口61が形成されているとともに、この受入口61とは別の位置でリジェクトボックスシュート28のオーバーフローボックスシュート部35の下端部の下方に硬貨を受け入れる受入口62が形成され、また、前面下部には、オーバーフローボックス52内の硬貨が繰り出される繰出口63が形成されている。なお、これら受入口61,62は、オーバーフローボックスシュート42およびオーバーフローボックスシュート部35の下方にそれぞれ個別に形成されていてもよいし、大きな開口として共通に形成されていてもよく、この実施の形態では共通に形成されている。
【0028】
オーバーフローボックス52内には、オーバーフローボックス52の底面を構成するとともに繰出口63に向けて硬貨を繰り出すベルトコンベヤにて構成された繰出搬送部64が配設されているとともに、この繰出搬送部64上に硬貨を導くガイド体65が配設されている。繰出搬送部64の繰出口63に臨む端部の上方には、繰出搬送部64の上面に対して逆方向に回転されて硬貨の繰出量を規制する逆転ローラ66が配設されている。繰出口63の内側にはその繰出口63を開閉するシャッタ67が配設され、繰出口63の外側には繰り出された硬貨を後述する送出搬送部75に導く繰出シュート68(図1に示す)が配設されている。
【0029】
オーバーフローボックス52の上部には、オーバーフローボックス52内に収納した硬貨がフル状態(満杯状態)になったことを検知するフル検知センサ69が配設されている。このフル検知センサ69は、検知光69a を投受光する投光器69b と受光器69c とを有し、検知光69a が少なくともオーバーフローボックスシュート42の下方の受入口61の近傍を通過して検知するようになっている。
【0030】
補充・回収ボックス53は、図1に示すように、箱状に形成され、上面には回収シュート27の下端部の下方に硬貨を受け入れる受入口71が形成され、前面下部には補充・回収ボックス53内の硬貨を後述する送出搬送部75へ繰り出す繰出口72が形成されている。補充・回収ボックス53には、オーバーフローボックス52と同様に、繰出口72からの硬貨を繰り出すベルトコンベヤにて構成された繰出搬送部73が配設されている他、図示しないガイド体、逆転ローラ、シャッタおよびフル検知センサなどが配設されている。
【0031】
また、機体11の底部域から前部域にわたって送出搬送部75が配設されている。この送出搬送部75は、補充処理時または回収処理時にオーバーフローボックス52または補充・回収ボックス53から繰り出される硬貨を受け入れて入出金受部14へ搬送するようになっている。
【0032】
図4に一括収納処理に関する制御系のブロック図を示し、81は制御部で、この制御部81により硬貨搬送部17、横搬送部36、ゲート切換部82がそれぞれ制御され、制御部81にフル検知センサ69から検知信号が入力される。ゲート切換部82には、硬貨搬送部17の振分ゲート22a 〜22h の振分ゲート切換部、横搬送部36の横搬送部ゲート38,39の横搬送部ゲート切換部、リジェクト通路切換部32〜34が含まれる。
【0033】
そして、制御部81は、入金処理時の入金承認時に一括一時保留部37からオーバーフローボックスシュート42を通じてオーバーフローボックス52へ入金硬貨を収納中にフル検知センサ69でフル状態を検知したとき、一括一時保留部37からリジェクトボックスシュート28を通じてオーバーフローボックス52へ入金硬貨を収納させる機能を有している。
【0034】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0035】
まず、入金処理について説明する。
【0036】
図5(a) に示すように、機械操作者によって入金操作指令がなされると、入出金口12の入出金シャッタ13が開放され、機械操作者によって入金硬貨が入出金口12を通じて受入姿勢にある入出金受部14に投入されると、入出金シャッタ13が閉鎖されるとともに、入出金受部14が放出姿勢に反転され、入出金受部14内の入金硬貨が下方の繰出部15に放出される。入出金受部14は硬貨の放出後に受入姿勢に戻される。
【0037】
繰出部15に放出された硬貨は、繰出部15から1枚ずつ硬貨搬送部17の識別分類通路部18に繰り出され、識別分類通路部18内を1枚ずつ搬送されながら識別部21で識別される。識別部21で正常と識別された硬貨は、対応する金種の振分ゲート22a 〜22f によって通路上から振り分けられ、金種別一時保留部23に金種別に一時保留される。
【0038】
識別部21で正常と識別されたが、金種別一時保留部23または金種別出金部24に収納しきれない入金硬貨は、オーバーフロー硬貨として、金種別の振分ゲート22a 〜22f ではなく、オーバーフロー用の振分ゲート22g で通路上から振り分けられ、オーバーフローシュート26を通じて、横搬送部36上の一括一時保留部37に一括して一時保留される。
【0039】
識別部21で異常と識別された硬貨は、硬貨搬送部17の識別分類通路部18から出金通路部19を通じて入出金受部14に戻されるとともに、入出金シャッタ13が開放されることにより、機械操作者によって取出可能になる。
【0040】
投入された全ての入金硬貨について識別および振分が完了すると、計数結果が機械操作者に対して表示され、機械操作者によって入金の承認、不承認の操作がなされる。
【0041】
機械操作者によって入金の承認がなされた場合には、図5(b) に示すように、金種別一時保留部23に金種別に一時保留されていた金種別一時保留貨は下方へ放出されて金種別出金部24に金種別に収納され、一括一時保留部37に一括して一時保留されていた一括一時保留硬貨は横搬送部36からオーバーフローボックスシュート42を通じてオーバーフローボックス52に一括して収納される。
【0042】
そして、この一括一時保留部37に一括して一時保留されていた一括一時保留硬貨のオーバーフローボックス52への一括収納処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
横搬送部36の後端側の横搬送部ゲート39が開放されるゲート切換が行なわれ(ステップ1)、横搬送部36が逆転され(ステップ2)、一括一時保留部37に一括して一時保留されていた一括一時保留硬貨が、横搬送部36からオーバーフローボックスシュート42に放出され、自由落下にして、オーバーフローボックス52に収納される。
【0044】
横搬送部36の逆転が開始されたら、その横搬送部36の逆転開始から所定時間経過したか(ステップ3)、またはフル検知センサ69が所定時間以上連続して遮光されたか判断される(ステップ4)。
【0045】
フル検知センサ69が所定時間以上遮光されずに、横搬送部36の逆転開始から所定時間(横搬送部36の逆転開始から一括一時保留硬貨がオーバーフローボックス52に収納されるまでの例えば2秒間)経過したら、横搬送部36の逆転が停止され(ステップ5)、開放した横搬送部ゲート39が閉塞されるようにゲート切換がリセットされる(ステップ6)。これにより、一括一時保留部37に一括して一時保留されていた一括一時保留硬貨の一括収納処理が完了される。
【0046】
横搬送部36の逆転開始から所定時間経過するまでの間に、フル検知センサ69が所定時間以上(例えば200ms以上)連続遮光された場合には、横搬送部36が停止され(ステップ7)、その横搬送部36の停止状態でフル検知センサ69が所定時間以上(例えば1秒以上)連続して遮光状態にあるか、すなわちオーバーフローボックス52がフル状態になったか確認される(ステップ8)。横搬送部36を停止させるのは、横搬送部36の逆転中は自由落下する一括一時保留硬貨によってもフル検知センサ69が所定時間以上連続して遮光される場合があるので、オーバーフローボックス52のフル状態の確認を正確にするために行なわれる。
【0047】
横搬送部36が停止されてから所定時間以内にフル検知センサ69が投光状態となれば、ステップ2に戻って、一括収納処理が再開される。
【0048】
図2に示すように、オバーフローボックスシュート42を通じてオーバーフローボックス52に一括一時保留硬貨が自由落下して収納されていくと、オバーフローボックスシュート42の下方付近で硬貨の山盛り状態Aができる。このような場合、フル検知センサ69は所定時間以上連続して遮光状態となり、オバーフローボックスシュート42を通じての一括一時保留硬貨の収納が停止され、リジェクトボックスシュート28を通じての収納に切り換えられる。
【0049】
すなわち、横搬送部36の後端側の横搬送部ゲート39が閉塞、前端側の横搬送部ゲート38が開放、リジェクト用の振分ゲート22hが開放、リジェクトボックスシ ュート28の各リジェクト通路切換部32〜35が閉鎖されるゲート切換が行なわれ(ステップ9)、横搬送部36が正転されるとともに(ステップ10)、繰出部15および硬貨搬送部17が駆動される(ステップ11)。
【0050】
これにより、横搬送ベルト36上に残る一括一時保留硬貨が、横搬送部36から繰出部15に搬送されて放出され、繰出部15から1枚ずつ硬貨搬送部17の識別分類通路部18に繰り出されて搬送され、リジェクト用の振分ゲート22hで通路上から振 り分けられ、リジェクトボックスシュート28およびオーバーフローボックスシュート部35を通じて、オーバーフローボックス52に自由落下して収納される。これは、図2に示すように、オーバーフローボックス52内において、オーバーフローボックスシュート42の下方付近で硬貨の山盛り状態Aができても、リジェクトボックスシュート28のオーバーフローボックスシュート部35の下方付近には空きスペースがあることが利用されて、その空きスペースに残りの一括一時保留硬貨が収納される。リジェクトボックスシュート28のオーバーフローボックスシュート部35を通じて残りの一括一時保留硬貨がオーバーフローボックスシュート42に収納されることで、オーバーフローボックスシュート部35の下方付近に硬貨の山盛り状態Aとは別の山盛り状態Bができる。
【0051】
横搬送部36の正転開始から、一括一時保留硬貨を繰出部15に放出可能とする所定時間(例えば3秒)経過したら(ステップ12)、横搬送部36が停止される(ステップ13)。
【0052】
横搬送部36から繰出部15に搬送された全て一括一時保留硬貨がリジェクトボックスシュート28に送られ、繰出部15および硬貨搬送部17に硬貨がなくなれば(ステップ14)、繰出部15および硬貨搬送部17が停止され(ステップ15)、横搬送部ゲート38およびリジェクト用の振分ゲート22hが閉塞するようにゲート切換がリ セットされる(ステップ6)。これにより、一括一時保留部37に一括して一時保留されていた一括一時保留硬貨の一括収納処理が完了される。
【0053】
また、入金硬貨の一時保留後に、機械操作者によって入金の不承認がなされた場合には、金種別一時保留部23に金種別に一時保留されていた金種別一時保留貨が横搬送部36上に放出され、一括一時保留部37に一括一時保留されていた場合にはその硬貨と一緒にされる。横搬送部36上の入金返却硬貨は、横搬送部36から繰出部15に搬送され、硬貨搬送部17の識別分類通路部18および出金通路部19を通じて入出金受部14に戻され、入出金シャッタ13が開放されることにより、機械操作者によって取出可能とされる。
【0054】
次に、出金処理について説明する。
【0055】
機械操作者によって出金金額(金種や枚数)が入力されると、図5(c) に示すように、指定された金種の金種別出金部24から指定された枚数の硬貨が横搬送部36上に投出される。横搬送部36上の出金硬貨は、横搬送部36から繰出部15に搬送され、繰出部15から1枚ずつ硬貨搬送部17の識別分類通路部18に繰り出されて搬送される。識別分類通路部18を搬送される硬貨は識別部21で識別され、正常と識別された硬貨は出金通路部19を通じて入出金受部14に搬送され、異常と識別されたリジェクト硬貨はリジェクト用の振分ゲート22h で通路上から分岐され、リジェクトボックスシュート28、リジェクト通路切換部33およびリジェクトボックスシュート部30を通じて回収リジェクトボックス56に回収される。リジェクト硬貨が識別されて回収された場合には、不足する金種の硬貨が金種別出金部24から投出される。
【0056】
指定された出金金額分の出金硬貨が入出金受部14に搬送されたら、入出金シャッタ13が開放され、機械操作者によって取出可能とされる。
【0057】
なお、出金処理時や入金処理時の硬貨返却時に入出金受部14に搬送された硬貨が機械操作者によって取り出されない場合には、取り忘れ硬貨として回収される。すなわち、入出金受部14の取り忘れ硬貨が、繰出部15、硬貨搬送部17の識別分類通路部18に送られ、識別部21で識別され、リジェクト用の振分ゲート22h 、リジェクトボックスシュート28、リジェクト通路切換部34およびリジェクトボックスシュート部31を通じて、取り忘れリジェクトボックス57に回収される。
【0058】
また、補充処理時には、補充・回収ボックス53内の補充硬貨が、送出搬送部75に繰り出され、入出金受部14(放出状態にある)、繰出部15、硬貨搬送部17の識別分類通路部18に送られ、識別部21で識別される。正常と識別された補充硬貨は対応する振分ゲート22a 〜22f で通路上から振り分けられて金種別出金部24に収納され、異常と識別されたリジェクト硬貨はリジェクト用の振分ゲート22h で通路上から振り分けられてリジェクトボックスシュート28、リジェクト通路切換部32およびリジェクトボックスシュート部29を通じて装填リジェクトボックス55に回収される。
【0059】
また、回収処理時には、金種別出金部24内の硬貨が、横搬送部36に投出され、横搬送部36から繰出部15、硬貨搬送部17の識別分類通路部18に送られ、識別部21で識別され、オーバーフロー用の振分ゲート22g 、回収シュート27を通じて補充・回収ボックス53に回収される。金種別出金部24内の硬貨の回収後、オーバーフローボックス52内の硬貨が、繰出シュート68に繰り出され、送出搬送部75、入出金受部14(放出状態にある)、繰出部15、硬貨搬送部17の識別分類通路部18に送られ、識別部21で識別され、オーバーフロー用の振分ゲート22g 、回収シュート27を通じて補充・回収ボックス53に回収される。
【0060】
以上のように、オーバーフローボックス52に対して入金硬貨を収納させるオーバーフローボックスシュート42とリジェクトボックスシュート28のオーバーフローボックスシュート部35とを備え、通常はオーバーフローボックスシュート42を通じてオーバーフローボックス52に入金硬貨のうちの一括一時保留硬貨を収納させ、このオーバーフローボックスシュート42によって硬貨が収納される付近で硬貨が山盛りとなってオーバーフローボックス52のフル状態が検知されたとき、リジェクトボックスシュート28のオーバーフローボックスシュート部35で硬貨が収納される付近に空きスペースがあることを利用して、リジェクトボックスシュート28のオーバーフローボックスシュート部35を通じてオーバーフローボックス52の空きスペースに硬貨を収納させるので、装置の故障がないにもかかわらずオーバーフローボックス52の状態によって収納処理ができないという異常を防止し、入金取引を正常に終了させることができる。
【0061】
また、第1の収納庫シュートとしてのオーバーフローボックスシュート42とは別の第2の収納庫シュートとして、出金等でリジェクト硬貨を導くリジェクトボックスシュート28を利用することにより、既存の構成を利用して簡単に構成でき、コストアップを最小限に抑えることができる。
【0062】
なお、オーバーフローボックスシュート42の下流側を第1の収納庫シュートと第2の収納庫シュートとに2分割し、これら収納庫シュートに対して振分手段で硬貨を振り分けるようにしても、同様の作用効果を得ることができる。
【0063】
【発明の効果】
請求項1記載の硬貨処理装置によれば、収納庫に対して入金硬貨を収納させる第1および第2の収納庫シュートを備え、通常は第1の収納庫シュートを通じて収納庫に入金硬貨を収納させ、この第1の収納庫シュートによって入金硬貨が収納される付近で硬貨が山盛りとなって収納庫のフル状態が検知されたとき、収納庫の第2の収納庫シュートで入金硬貨が収納される付近に空きスペースがあることを利用して、第2の収納庫シュートを通じて収納庫の空きスペースに残りの入金硬貨を収納させるので、装置の故障がないにもかかわらず収納庫の状態によって収納処理ができないという異常を防止し、入金取引を正常に終了させることができる。
【0064】
請求項2記載の硬貨処理装置によれば、収納庫に対して入金硬貨を収納させる収納庫シュートおよびリジェクトボックスシュートの収納庫シュート部を備え、通常は収納庫シュートを通じて収納庫に入金硬貨を収納させ、この収納庫シュートによって入金硬貨が収納される付近で硬貨が山盛りとなって収納庫のフル状態が検知されたとき、収納庫のリジェクトボックスシュートの収納庫シュート部で入金硬貨が収納される付近に空きスペースがあることを利用して、リジェクトボックスシュートの収納庫シュート部を通じて収納庫の空きスペースに残りの入金硬貨を収納させるので、装置の故障がないにもかかわらず収納庫の状態によって収納処理ができないという異常を防止し、入金取引を正常に終了させることができ、しかも、収納庫シュートとは別の収納庫シュートとして、出金でリジェクト硬貨を導くリジェクトボックスシュートを利用することにより、既存の構成を利用して簡単に構成でき、コストアップを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す硬貨処理装置を左側面から見た構成図である。
【図2】同上オーバーフローボックスの硬貨収納状態の説明図である。
【図3】同上リジェクトボックスシュートからオーバーフローボックスを背面から見た断面図である。
【図4】同上一括収納処理に関する制御系のブロック図である。
【図5】同上(a) は入金処理時における入金計数時の硬貨の流れを説明する説明図、(b) は入金処理時における硬貨収納時の硬貨の流れを説明する説明図、(c) は出金処理時の硬貨の流れを説明する説明図である。
【図6】同上一括収納処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
14 入金受部としての入出金受部
24 金種別出金部
28 第2の収納庫シュートとしてのリジェクトボックスシュート
29,30,31 リジェクトボックスシュート部
32,33,34 リジェクト通路切換部
35 収納庫シュート部としてのオーバーフローボックスシュート部
37 一時保留部としての一括一時保留部
42 第1の収納庫シュートおよび収納庫シュートとしてのオーバーフローボックスシュート
51 リジェクトボックス
52 収納庫としてのオーバーフローボックス
69 フル検知センサ
81 制御部
Claims (2)
- 入金受部に投入された入金硬貨を1枚ずつ繰り出して識別し、正常と識別された入金硬貨を一時保留し、入金承認時に一時保留している入金硬貨を収納する硬貨処理装置において、
前記正常と識別された入金硬貨を一時保留する一時保留部と、
この一時保留部の入金硬貨を収納する収納庫と、
前記一時保留部の入金硬貨を前記収納庫へ収納させる第1の収納庫シュートと、
前記一時保留部の入金硬貨を前記第1の収納庫シュートとは異なった場所から前記収納庫の空きスペースへ収納させる第2の収納庫シュートと、
前記収納庫が収納された硬貨でフル状態になったことを検知するフル検知センサと、
前記入金承認時に前記一時保留部から前記第1の収納庫シュートを通じて前記収納庫へ入金硬貨を収納中に前記フル検知センサでフル状態を検知したとき、前記一時保留部から前記第2の収納庫シュートを通じて前記収納庫へ入金硬貨を収納させる制御部と
を具備していることを特徴とする硬貨処理装置。 - 入出金受部に投入された入金硬貨を1枚ずつ繰り出して識別し、正常と識別された入金硬貨を一時保留し、入金承認時に一時保留している入金硬貨を収納し、かつ、金種別出金部から投出される出金硬貨を1枚ずつ繰り出して識別し、正常と識別された出金硬貨を入出金受部に払い出すとともに異常と識別された出金硬貨をリジェクト硬貨として回収する硬貨処理装置において、
前記正常と識別された入金硬貨を一時保留する一時保留部と、
この一時保留部の入金硬貨を収納する収納庫と、
前記一時保留部の入金硬貨を前記収納庫へ収納させる収納庫シュートと、
前記出金硬貨で異常と識別されたリジェクト硬貨を収納するリジェクトボックスと、
前記リジェクト硬貨を前記リジェクトボックスへ収納させるリジェクトボックスシュート部を有するとともに、前記一時保留部の入金硬貨を前記収納庫シュートとは異なった場所から前記収納庫の空きスペースへ収納させる収納庫シュート部を有するリジェクトボックスシュートと、
このリジェクトボックスシュートの通路をリジェクトボックスシュート部側と収納庫シュート部側とのいずれかに切り換えるリジェクト通路切換部と、
前記収納庫が収納された硬貨でフル状態になったことを検知するフル検知センサと、
前記入金承認時に前記一時保留部から前記収納庫シュートを通じて前記収納庫へ入金硬貨を収納中に前記フル検知センサでフル状態を検知したとき、前記一時保留部から前記リジェクトボックスシュートの収納庫シュート部を通じて前記収納庫へ入金硬貨を収納させる制御部と
を具備していることを特徴とする硬貨処理装置。
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