以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図8は、本実施の形態に係る硬貨処理装置を示す図である。より詳細には、図1は、本実施の形態による硬貨処理装置の概略的な構成を示す概略構成図であり、図2および図3は、図1に示す硬貨処理装置における着脱自在収納庫の構成を示す斜視図である。また、図4は、図1に示す硬貨処理装置における搬送部の構成を示す側面図であり、図5は、図2等に示す着脱自在収納庫における硬貨排出部の構成を示す上面図である。また、図6は、図1に示す硬貨処理装置における硬貨判別部の構成を示す上面図であり、図7は、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨がそれぞれ硬貨排出部により排出される場合の、第1の検出センサ、第2の検出センサおよび磁気センサの各々のセンサによる検出結果を示す図である。また、図8は、図1に示す硬貨処理装置の制御ブロック図である。
本実施の形態による硬貨処理装置10は、略直方体形状の筐体12を備えており、この筐体12内には、当該筐体12に対して着脱自在に設けられた着脱自在収納庫20と、筐体12内に固定された4つの固定収納庫30、32、34、36とがそれぞれ設けられている。また、筐体12内には、硬貨を1枚ずつ搬送する搬送部50が設けられている。着脱自在収納庫20は、筐体12に装着されたときに搬送部50から硬貨が送られるようになっており、この搬送部50から送られた硬貨を収納するようになっている。また、着脱自在収納庫20が筐体12から外されたときには、操作者は手動で着脱自在収納庫20に硬貨を収納することができるようになっている。また、着脱自在収納庫20は、当該着脱自在収納庫20に収納された硬貨を後述する硬貨排出部24により下方に排出し、排出された硬貨を搬送部50に送るようになっている。また、4つの固定収納庫30、32、34、36は硬貨を金種別に収納するようになっている。より詳細には、各固定収納庫30、32、34、36は、搬送部50から硬貨が送られるようになっており、この搬送部50から送られた硬貨を収納するようになっている。また、各固定収納庫30、32、34、36は、当該固定収納庫30、32、34、36に収納された硬貨を後述する硬貨排出部24により下方に排出し、排出された硬貨を搬送部50に送るようになっている。
また、硬貨処理装置10の筐体12には出金口14が設けられており、操作者はこの出金口14から硬貨を取り出すことができるようになっている。出金口14は搬送部50に接続されており、この搬送部50から出金口14に硬貨が送られるようになっている。また、出金口14には出金リジェクト部16が接続されており、出金口14に集積された硬貨を出金リジェクト部16に送ることができるようになっている。
本実施の形態の硬貨処理装置10は、例えば日本円硬貨のうち50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨を出金することができるようになっている。具体的には、着脱自在収納庫20や各固定収納庫30、32、34、36には日本円硬貨のうち50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨をそれぞれ収納することができるようになっており、これらの着脱自在収納庫20や各固定収納庫30、32、34、36に収納された50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨を搬送部50により出金口14に送ることにより、操作者は出金口14から出金硬貨を取り出すことができるようになっている。
以下、このような硬貨処理装置10の各構成要素の詳細について説明する。
図2等に示すように、着脱自在収納庫20は、上部が開口した略直方体形状の枠体から構成されており、この着脱自在収納庫20には操作者が持ち運びを行うための取っ手22が設けられている。着脱自在収納庫20は、硬貨処理装置10の筐体12から側方に引き出すことができるようになっている。また、図3に示すように、着脱自在収納庫20内の底部には硬貨排出部24が設けられており、着脱自在収納庫20に収納された硬貨は硬貨排出部24により1枚ずつ当該着脱自在収納庫20の下方に排出されるようになっている。
硬貨排出部24の構成について図5を用いてより詳細に説明する。硬貨排出部24は、4つの円形のディスク穴26aが設けられた円盤形状のディスク26と、ディスク26の外周縁に沿って設けられた左右一対の案内部材27a、27bとを有している。ディスク26には軸26bが設けられており、このディスク26は軸26bを中心として図5における時計回りの方向に回転するようになっている。ディスク26に設けられた4つのディスク穴26aは同一の形状となっており、各ディスク穴26aの直径は、硬貨処理装置10により処理されるべき様々な金種の硬貨のうち最もサイズの大きな硬貨の直径とほぼ同じ大きさとなっている。具体的には、各ディスク穴26aの直径は500円硬貨の直径(27.5mm)とほぼ同じ大きさとなる。
前述のように、ディスク26の外周縁に沿って左右一対の案内部材27a、27bが設けられており、これらの案内部材27a、27bの間には、硬貨排出部24により排出される硬貨が通過する通路27cが形成されている。この通路27cの幅の大きさは、硬貨処理装置10により処理されるべき様々な金種の硬貨のうち最もサイズの大きな硬貨の直径(具体的には、500円硬貨の直径である27.5mm)よりも大きくなるようになっている。また、図5に示すように、左右一対の案内部材27a、27bの間に形成された通路27cには可動ベアリング28が設けられている。この可動ベアリング28は一方の案内部材27aの近傍に設けられており、通路27cを通過する硬貨に押されることにより図5の矢印に示す方向に移動可能となっている。可動ベアリング28と他方の案内部材27bとの間の距離は、硬貨処理装置10により処理されるべき様々な金種の硬貨のうち最もサイズの小さな硬貨の直径(具体的には、50円硬貨の直径である24mm)よりも小さくなっている。このため、ディスク26が軸26bを中心として図5における時計回りの方向に回転し、ディスク26のディスク穴26aから通路27cに硬貨が送られると、この硬貨は可動ベアリング28に当接してこの可動ベアリング28を図5の矢印に示す方向に押圧する。そして、可動ベアリング28と案内部材27bとの間の領域を通過した硬貨は、通路27cから図5における下方に更に搬送されて硬貨排出部24から排出されるようになる。
また、硬貨排出部24において、通路27cの出口側(図5における下側)には磁気センサ29が設けられている。この磁気センサ29は、通路27cから図5における下方に更に搬送されて硬貨排出部24から排出される硬貨を検出するようになっている。
図4に示すように、筐体12に装着されたときの着脱自在収納庫20の下方には、硬貨判別部40が設けられている。この硬貨判別部40は、筐体12に装着された着脱自在収納庫20の硬貨排出部24から排出される硬貨の金種の判別および計数を行うようになっている。より具体的には、硬貨判別部40は、筐体12に装着された着脱自在収納庫20の硬貨排出部24から排出される硬貨の金種について、予め設定された2以上の金種から適合する一の金種を選択することにより硬貨の金種の判別を行うようになっている。以下、このような硬貨判別部40の構成の詳細について図6および図7を用いて説明する。
図6に示すような硬貨判別部40は、図5に示すような硬貨排出部24の真下の位置に設けられている。また、図6に示すように、硬貨判別部40において、軸44を中心として正逆両方向に回転する検出アーム43が設けられている。検出アーム43には第1の検出片43aおよび第2の検出片43bがそれぞれ取り付けられている。これらの第1の検出片43aおよび第2の検出片43bは、検出アーム43の回転に伴って、軸44を中心として回転するようになっている。なお、第2の検出片43bと軸44との間の距離は、第1の検出片43aと軸44との間の距離よりも大きくなっている。また、硬貨判別部40において、検出アーム43の第1の検出片43aおよび第2の検出片43bをそれぞれ検出する第1の検出センサ46および第2の検出センサ47が設けられている。具体的には、第1の検出センサ46は、発光部46aおよび受光部46bを有し、発光部46aから発せられた光が受光部46bにより受けられるようになっている。そして、発光部46aと受光部46bとの間に検出アーム43の第1の検出片43aが存在する場合には、発光部46aから発せられた光が第1の検出片43aにより遮光されて受光部46bに到達しないようになる。このように、第1の検出センサ46は、発光部46aおよび受光部46bにより、透光状態(すなわち、第1の検出片43aが発光部46aと受光部46bの間に存在しない状態)または遮光状態(すなわち、第1の検出片43aが発光部46aと受光部46bの間に存在する状態)を検出するようになっている。同様に、第2の検出センサ47は発光部47aおよび受光部47bを有し、透光状態(すなわち、第2の検出片43bが発光部47aと受光部47bの間に存在しない状態)または遮光状態(すなわち、第2の検出片43bが発光部47aと受光部47bの間に存在する状態)を検出するようになっている。
また、検出アーム43における軸44の近傍の箇所には可動ベアリング42が取り付けられている。この可動ベアリング42は図5に示す硬貨排出部24の可動ベアリング28と同軸で接続されるようになっている。すなわち、硬貨判別部40の可動ベアリング42は、硬貨排出部24の可動ベアリング28の真下の位置に接続されている。また、可動ベアリング42には引張バネ41の一端41aが接続されており、この引張バネ41の他端41bは固定されている。このため、引張バネ41による引っ張り力によって、可動ベアリング42には軸44を中心として図6における時計回りの方向の力が加えられるようになっている。すなわち、可動ベアリング28や可動ベアリング42に何ら力が加えられていない場合には、可動ベアリング42および検出アーム43は図6に示すような位置に維持される。この際に、引張バネ41は完全に収縮した状態となっている。また、この場合、検出アーム43の第1の検出片43aが第1の検出センサ46の発光部46aと受光部46bとの間に位置しており、第1の検出センサ46は遮光状態を検出している。一方、第2の検出センサ47は透光状態を検出している。
一方、ディスク26が軸26bを中心として図5における時計回りの方向に回転し、ディスク26のディスク穴26aから通路27cに硬貨が送られると、この硬貨は可動ベアリング28に当接してこの可動ベアリング28を図5の矢印に示す方向に押圧する。このことにより、可動ベアリング28に接続された可動ベアリング42は、引張バネ41による引っ張り力に抗して、軸44を中心として図6における反時計回りの方向に回転し、この可動ベアリング42が取り付けられた検出アーム43も軸44を中心として図6における反時計回りの方向に回転する。そして、硬貨が通路27cから下方に移動して、可動ベアリング28から硬貨が離間すると、引張バネ41による引っ張り力によって可動ベアリング28および可動ベアリング42は図5および図6に示すような位置に戻り、検出アーム43も軸44を中心として図6における時計回りの方向に回転することにより図6に示すような位置に戻る。
ここで、硬貨排出部24により硬貨が排出される際に、この硬貨の直径の大きさによって、この硬貨に押圧されることにより移動する可動ベアリング28の移動距離が異なるようになる。すなわち、硬貨の直径が比較的小さい場合には、具体的には例えば50円硬貨が硬貨排出部24により排出される場合には、可動ベアリング28の移動距離は比較的小さくなり、検出アーム43の回転角度も比較的小さくなる。一方、硬貨の直径が比較的大きい場合には、具体的には例えば500円硬貨が硬貨排出部24により排出される場合には、可動ベアリング28の移動距離は比較的大きくなり、検出アーム43の回転角度も比較的大きくなる。
以下、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨がそれぞれ硬貨排出部24により排出される場合の、第1の検出センサ46、第2の検出センサ47および磁気センサ29の各々のセンサによる検出結果について図7を用いて説明する。図7(a)は、第1の検出センサ46による検出結果(遮光状態/透光状態)を示し、図7(b)は、第2の検出センサ47による検出結果(遮光状態/透光状態)を示し、図7(c)は、磁気センサ29による検出結果(検出/非検出)を示している。50円硬貨が硬貨排出部24により排出される場合には、前述のように可動ベアリング28の移動距離は比較的小さくなり、検出アーム43の回転角度も比較的小さくなる。より詳細には、検出アーム43の第1の検出片43aが軸44を中心として図6における反時計回りの方向に回転することにより、第1の検出センサ46は遮光状態から透光状態となる。そして、可動ベアリング28から50円硬貨が離間すると、検出アーム43は図6に示すような位置に戻り、第1の検出センサ46は透光状態から遮光状態となる(図7(a)参照)。一方、検出アーム43の回転角度が比較的小さいことにより、検出アーム43の第2の検出片43bが軸44を中心として図6における反時計回りの方向に回転しても、この第2の検出片43bは第2の検出センサ47に到達しないことにより、第2の検出センサ47は透光状態のままとなる(図7(b)参照)。また、磁気センサ29は、通路27cから50円硬貨が更に下方に移動して可動ベアリング28から離間する際に、この50円硬貨を検出する(図7(c)参照)。
また、100円硬貨が硬貨排出部24により排出される場合には、可動ベアリング28の移動距離は50円硬貨の場合と比較してやや大きくなり、検出アーム43の回転角度もやや大きくなる。より詳細には、検出アーム43の第1の検出片43aが軸44を中心として図6における反時計回りの方向に回転することにより、第1の検出センサ46は遮光状態から透光状態となる。そして、可動ベアリング28から100円硬貨が離間すると、検出アーム43は図6に示すような位置に戻り、第1の検出センサ46は透光状態から遮光状態となる(図7(a)参照)。また、検出アーム43の回転角度がやや大きいことにより、検出アーム43の第2の検出片43bが軸44を中心として図6における反時計回りの方向に回転すると、この第2の検出片43bは第2の検出センサ47に到達する。このことにより、第2の検出センサ47は透光状態から遮光状態となる。そして、可動ベアリング28から100円硬貨が離間すると、検出アーム43は図6に示すような位置に戻り、第2の検出センサ47は遮光状態から透光状態となる(図7(b)参照)。また、磁気センサ29は、通路27cから100円硬貨が更に下方に移動して可動ベアリング28から離間する際に、この100円硬貨を検出する(図7(c)参照)。
また、500円硬貨が硬貨排出部24により排出される場合には、可動ベアリング28の移動距離は100円硬貨の場合よりも更に大きくなり、検出アーム43の回転角度も更に大きくなる。より詳細には、検出アーム43の第1の検出片43aが軸44を中心として図6における反時計回りの方向に回転することにより、第1の検出センサ46は遮光状態から透光状態となる。そして、可動ベアリング28から500円硬貨が離間すると、検出アーム43は図6に示すような位置に戻り、第1の検出センサ46は透光状態から遮光状態となる。ここで、検出アーム43の回転角度が十分に大きいことにより、第1の検出センサ46が透光状態となる時間も長くなる(図7(a)参照)。また、検出アーム43の回転角度が十分に大きいことにより、検出アーム43の第2の検出片43bが軸44を中心として図6における反時計回りの方向に回転すると、この第2の検出片43bは第2の検出センサ47に到達し、さらに第2の検出片43bは第2の検出センサ47を通過してこの第2の検出センサ47から離間する。このことにより、第2の検出センサ47は透光状態から遮光状態となり、その後また透光状態となる(図7(b)参照)。そして、可動ベアリング28から500円硬貨が離間すると、検出アーム43は図6に示すような位置に戻り、第2の検出センサ47は透光状態から遮光状態となり、その後また透光状態となる(図7(b)参照)。また、磁気センサ29は、通路27cから500円硬貨が更に下方に移動して可動ベアリング28から離間する際に、この500円硬貨を検出するようになっている。ここで、サイズが大きな500円硬貨を検出するにあたり、磁気センサ29による500円硬貨の検出時間は50円硬貨や100円硬貨を検出する場合の検出時間よりも長くなる(図7(c)参照)。
このように、図7に示すような、第1の検出センサ46および第2の検出センサ47による遮光状態/透光状態の検出結果に基づいて、硬貨判別部40は、硬貨排出部24により排出される硬貨の金種について、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨の中から一の金種を選択することにより金種の判別を行うことができるようになる。なお、硬貨の金種の判別を行うにあたり、磁気センサ29による検出結果も考慮されるようになっていてもよい。また、この磁気センサ29により、硬貨排出部24により排出される硬貨の計数を行うことができるようになる。
次に、各固定収納庫30、32、34、36の構成について説明する。前述のように、各固定収納庫30、32、34、36には硬貨が金種別で収納されるようになっている。より詳細には、各固定収納庫30、32、34、36には搬送部50からそれぞれ硬貨が送られるようになっており、各固定収納庫30、32、34、36は搬送部50から送られた硬貨を収納するようになっている。また、各固定収納庫30、32、34、36内の底部には、着脱自在収納庫20に設けられた硬貨排出部24と同じ構成の硬貨排出部24がそれぞれ設けられており、各固定収納庫30、32、34、36に収納された硬貨は硬貨排出部24により1枚ずつ下方に排出されるようになっている。さらに、各固定収納庫30、32、34、36の下方には、着脱自在収納庫20に設けられた硬貨判別部40と同じ構成の硬貨判別部40がそれぞれ設けられており、各固定収納庫30、32、34、36の硬貨排出部24により排出された硬貨は硬貨判別部40により金種の識別および計数が行われるようになっている。
次に、筐体12内で硬貨の搬送を行う搬送部50の構成について図4を用いて説明する。図4は、搬送部50の側面図である。図4に示すように、搬送部50は、複数のプーリ51に張架され、図4における矢印の方向に循環移動する第1の循環ベルト52と、一対のプーリ53に張架され、図4における矢印の方向に循環移動する第2の循環ベルト54とを有している。ここで、着脱自在収納庫20や各固定収納庫30、32、34、36から硬貨排出部24によりそれぞれ下方に排出された硬貨は、第1の循環ベルト52上に載るようになっている。図4に示すように、第1の循環ベルト52は、その一部が円弧状となっており、円弧状の搬送路52bを形成するようになっている。また、第1の循環ベルト52にはピン(突起)52aが等間隔で設けられており、第1の循環ベルト52により硬貨を図4における上方に持ち上げるよう搬送する際に、1枚または複数(具体的には、2〜3枚)の硬貨がピン52aに引っかかって第1の循環ベルト52に沿って上方に移動するようになっている。
また、第2の循環ベルト54は着脱自在収納庫20や各固定収納庫30、32、34、36の上方に位置するようになっており、図示しない分岐部材により第2の循環ベルト54から硬貨が分岐して着脱自在収納庫20や各固定収納庫30、32、34、36にこの分岐した硬貨が送られるようになっている。ここで、分岐部材は、第2の循環ベルト54に沿って、着脱自在収納庫20および各固定収納庫30、32、34、36にそれぞれ対応して複数(具体的には5つ)設けられている。
また、第1の循環ベルト52における円弧状の搬送路52bには、分離ガイド56が第1の循環ベルト52からわずかに離間して設けられている。この分離ガイド56と第1の循環ベルト52との間の距離は、硬貨処理装置10により処理されるべき硬貨の2枚分の厚さよりも大きく、3枚分の厚さよりも小さな距離となっている。このことにより、第1の循環ベルト52における円弧状の搬送路52bに硬貨が進入する前に、1つのピン52aに引っかかって支持される硬貨の枚数を確実に2枚以下とすることができるようになる。このような分離ガイド56を設けることにより、搬送部50においてシンプルな構造により硬貨の分離を行うことができるようになる。
また、第2の循環ベルト54の下流側端部(図4における右端)には、図4において時計回りの方向に回転する逆転ローラ58が設けられている。このような逆転ローラ58が設けられていることにより、第2の循環ベルト54から出金口14に送られる硬貨を1枚ずつに分離することができるようになる。また、第2の循環ベルト54には、この第2の循環ベルト54に硬貨が残留したときにこのことを検出する残留硬貨検出部55が設けられている(図1参照)。この残留硬貨検出部55は例えば磁気センサから構成されている。また、図1に示すように、搬送部50における逆転ローラ58の下流側において、第2の循環ベルト54から出金口14に送られる硬貨を検出する検出センサ59が設けられている。この検出センサ59は例えば光センサからなり、搬送部50の第2の循環ベルト54から出金口14に送られる硬貨の計数を行うようになっている。
また、硬貨処理装置10には、当該硬貨処理装置10の各構成要素の制御を行う制御部60が設けられている。図8に、硬貨処理装置10における制御ブロック図を示す。図8に示すように、筐体12に装着された着脱自在収納庫20および各固定収納庫30、32、34、36がそれぞれ制御部60に接続されている。また、各硬貨判別部40や搬送部50、検出センサ59等も制御部60に接続されている。ここで、硬貨判別部40による硬貨の判別結果および計数結果、ならびに検出センサ59による硬貨の計数結果は制御部60に送られるようになっている。また、制御部60は、筐体12に装着された着脱自在収納庫20、各固定収納庫30、32、34、36および搬送部50にそれぞれ指令信号を送り、これらの構成要素の制御を行うようになっている。また、図8に示すように、操作者が制御部60に対して指令を与えるための操作部62が制御部60に接続されている。このような操作部62は例えばタッチパネルからなり、筐体12の前面または上面に設けられている。また、制御部60には記憶部64が接続されており、硬貨処理装置10における硬貨の処理状態が記憶部64に記憶されるようになっている。具体的には、例えば筐体12に装着された着脱自在収納庫20や各固定収納庫30、32、34、36にそれぞれ収納されている硬貨の枚数等が記憶部64に記憶されるようになっている。また、記憶部64には、図7に示すような、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨がそれぞれ硬貨排出部24により排出される場合の、第1の検出センサ46、第2の検出センサ47および磁気センサ29の各々のセンサによる検出結果が記憶されるようになっている。そして、実際に硬貨排出部24から硬貨が排出されるときに、制御部60は、第1の検出センサ46や第2の検出センサ47等のセンサによる検出結果と、記憶部64に記憶された情報とを照合することにより、硬貨排出部24から排出される硬貨の金種を50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨の中から選択して判別するようになっている。
次に、このような構成からなる硬貨処理装置10の動作について説明する。以下に示す硬貨処理装置10の動作は、制御部60が硬貨処理装置10の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
まず、硬貨の出金処理について説明する。操作者が例えばタッチパネルからなる操作部62により制御部60に対して硬貨の出金処理の指令を与えると、各固定収納庫30、32、34、36から搬送部50に硬貨が1枚ずつ送られ、この搬送部50により硬貨が1枚ずつ出金口14に搬送される。この際に、各固定収納庫30、32、34、36に対応する各硬貨判別部40により、各固定収納庫30、32、34、36から搬送部50に送られる硬貨の金種の判別および計数が行われる。また、搬送部50に設けられた検出センサ59により、出金口14に送られる硬貨の計数が行われる。このように、硬貨判別部40および検出センサ59により、出金口14に送られる出金硬貨について合計2回の計数が行われ、計数結果のダブルチェックが行われることにより、出金硬貨の計数結果をより確実なものとすることができる。そして、操作者が出金口14に集積された硬貨を当該出金口14から取り出すことにより、硬貨の出金処理が終了する。なお、硬貨判別部40等により、出金口14に送られる出金硬貨にリジェクト硬貨が含まれることが検出された場合には、出金口14に集積された硬貨を全て出金リジェクト部16に送るようにする。
また、制御部60において、(a)計数装填モード、(b)精査処理モード、(c)ノンストップ装填モード、(d)出金拡張モードのうち少なくとも2つのモードが予め設定されており、制御部60は、これらの設定されたモードのうち一のモードを選択的に実行することができるようになっている。以下、各モードの処理について具体的に説明する。
まず、計数装填モードについて説明する。ここで、計数装填モードとは、筐体12に装着された着脱自在収納庫20から搬送部50により各固定収納庫30、32、34、36に硬貨を送り、その際に各固定収納庫30、32、34、36に送られる硬貨の計数を行う処理のことをいう。より具体的には、筐体12から取り外された着脱自在収納庫20に硬貨を予め補充しておき、硬貨が補充された着脱自在収納庫20を筐体12に装着する。そして、操作者が操作部62により計数装填モードを実行するという指令を制御部60に与えると、着脱自在収納庫20から搬送部50に硬貨が1枚ずつ送られ、この搬送部50により硬貨が1枚ずつ搬送され、搬送部50から各固定収納庫30、32、34、36に硬貨が金種別に送られ、各固定収納庫30、32、34、36に硬貨が収納される。この際に、着脱自在収納庫20に対応する硬貨判別部40により、着脱自在収納庫20から搬送部50に送られる硬貨の金種の判別および計数が行われる。そして、所定の金額または枚数の硬貨、あるいは全ての硬貨が着脱自在収納庫20から各固定収納庫30、32、34、36に送られると、計数装填モードが終了する。
次に、精査処理モードについて説明する。ここで、精査処理モードとは、筐体12に装着されている着脱自在収納庫20が空状態であるときに、各固定収納庫30、32、34、36から搬送部50により空状態の着脱自在収納庫20に硬貨を送り、その後着脱自在収納庫20から搬送部50により各固定収納庫30、32、34、36に硬貨を戻し、着脱自在収納庫20に硬貨を送るときおよび/または各固定収納庫30、32、34、36に硬貨を戻すときに硬貨の計数を行う処理のことをいう。より具体的には、操作者が操作部62により精査処理モードを実行するという指令を制御部60に与えると、各固定収納庫30、32、34、36から搬送部50により着脱自在収納庫20に硬貨を送る前に、着脱自在収納庫20に収納された硬貨を全て搬送部50により筐体12内における他の箇所(具体的には、例えば各固定収納庫30、32、34、36のうち空の固定収納庫)に予め搬送しておく。このようにして、着脱自在収納庫20が空状態となる。
そして、着脱自在収納庫20が空状態となると、各固定収納庫30、32、34、36から搬送部50に硬貨が1枚ずつ送られ、この搬送部50により硬貨が1枚ずつ着脱自在収納庫20に搬送される。この際に、各固定収納庫30、32、34、36に対応する各硬貨判別部40により、各固定収納庫30、32、34、36から搬送部50に送られる硬貨の金種の判別および計数が行われる。そして、各固定収納庫30、32、34、36から着脱自在収納庫20に硬貨が全て搬送されると、着脱自在収納庫20から搬送部50に硬貨が1枚ずつ送られ、この搬送部50により硬貨が1枚ずつ搬送され、搬送部50から各固定収納庫30、32、34、36に硬貨が金種別に送られ、各固定収納庫30、32、34、36に硬貨が収納される。この際に、着脱自在収納庫20に対応する硬貨判別部40により、着脱自在収納庫20から搬送部50に送られる硬貨の金種の判別および計数が行われる。着脱自在収納庫20から各固定収納庫30、32、34、36に硬貨が全て搬送される、精査処理モードが終了する。このような精査処理モードによれば、着脱自在収納庫20に硬貨を送るときおよび各固定収納庫30、32、34、36に硬貨を戻すときにそれぞれ硬貨判別部40により硬貨の計数が行われ、精査処理において合計2回の硬貨の計数が行われるので、計数結果のダブルチェックが行われることにより精査処理における硬貨の計数結果をより確実なものとすることができる。なお、本実施の形態による硬貨処理装置10においては、精査処理モードにおいて、着脱自在収納庫20に硬貨を送るときおよび各固定収納庫30、32、34、36に硬貨を戻すときの両方の場合に硬貨の計数を行うことに限定されず、着脱自在収納庫20に硬貨を送るときまたは各固定収納庫30、32、34、36に硬貨を戻すときのいずれか一方のときにのみ硬貨の計数が行われるようになっていてもよい。
次に、ノンストップ装填モードについて説明する。ここで、ノンストップ装填モードとは、着脱自在収納庫20から搬送部50により各固定収納庫30、32、34、36に硬貨を送る処理のことをいう。より具体的には、前述した出金処理において各固定収納庫30、32、34、36に収納された硬貨を搬送部50により出金口14を介して筐体12の外部に出金している時以外の期間に、筐体12に装着された着脱自在収納庫20から搬送部50により各固定収納庫30、32、34、36に硬貨を送る。このようなノンストップ装填モードによれば、顧客が出金処理を行っている間、この出金処理を休止させずに着脱自在収納庫20を筐体12から取り外して当該着脱自在収納庫20に硬貨を手動で補充することができる。そして、硬貨が補充された着脱自在収納庫20を筐体12に装着させると、出金処理が終了した後に引き続き着脱自在収納庫20から各固定収納庫30、32、34、36に硬貨を送ることにより硬貨の装填処理を行うことができるようになる。このときの硬貨の装填処理のタイミングについては、常に硬貨の装填処理を行うことが可能となっていても、あるいは着脱自在収納庫20に収納された硬貨の金種に該当する各固定収納庫30、32、34、36が空である場合に行うことになっていても、いずれでも良い。ここで、ノンストップ装填モードによる動作が行われる条件として、このモードが選択されるとともに、着脱自在収納庫20が筐体12に装着されていることが挙げられる。また、ノンストップ装填モードによる硬貨の装填処理が行われている間に、硬貨の出金処理が行われる場合には、硬貨の装填処理が一時的に中断され、硬貨の出金処理が終了すると、硬貨の装填処理が再開されるようになる。
次に、出金拡張モードについて説明する。ここで、出金拡張モードとは、筐体12に着脱自在収納庫20が装着されているときに、この着脱自在収納庫20に収納された硬貨を搬送部50により出金口14を介して筐体12の外部に出金する処理のことをいう。より具体的には、各固定収納庫30、32、34、36に収納された硬貨を搬送部50により出金口14を介して筐体12の外部に出金し、この際に出金されるべき硬貨が収納された各固定収納庫30、32、34、36における硬貨の収納量が所定値より小さくなったときに、着脱自在収納庫20に収納された硬貨を搬送部50により出金口14を介して筐体12の外部に出金する。すなわち、例えば筐体12に装着された着脱自在収納庫20および固定収納庫30に500円硬貨がそれぞれ収納されており、硬貨の出金処理を行う際にまず固定収納庫30から500円硬貨を搬送部50により出金口14に搬送するが、固定収納庫30における500円硬貨の量が不足した場合には、すなわち固定収納庫30において500円硬貨の収納状態がエンプティ状態またはニアエンプティ状態となった場合には、着脱自在収納庫20に収納された500円硬貨を代わりに出金口14に送るようにする。このように、出金拡張モードでは、筐体12に装着された着脱自在収納庫20を、硬貨の出金処理を行う際に各固定収納庫30、32、34、36を補完する役割を果たすよう使用する。すなわち、出金拡張モードでは、筐体12に装着された着脱自在収納庫20と同金種の硬貨を収納する固定収納庫30、32、34、36において硬貨の収納量が所定値より小さくなったときには、着脱自在収納庫20に収納された硬貨を出金硬貨として用いるようになる。
以上のように本実施の形態の硬貨処理装置10によれば、硬貨を収納する着脱自在収納庫20が筐体12に対して着脱自在に設けられており、この着脱自在収納庫20は、筐体12に装着されたときに搬送部50から着脱自在収納庫20に硬貨を送ることができるとともに着脱自在収納庫20に収納された硬貨を搬送部50に送ることができるようになっている。そして、制御部60は、(a)計数装填モード、(b)精査処理モード、(c)ノンストップ装填モード、(d)出金拡張モードのうち少なくとも2つのモードが予め設定されており、これらの設定されたモードのうち一のモードを選択的に実行することができるようになっている。このような硬貨処理装置10によれば、上述の4つのモードのような多くの機能を硬貨処理装置10に盛り込んだ場合でも、筐体12に対して着脱自在に設けられた着脱自在収納庫20がこれらのモードで共用されることにより、モード毎に収納庫を追加する必要がなくなる。このため、硬貨処理装置10において、装置が大型化、複雑化することなく硬貨の装填処理や精査処理等の様々な処理を実行することができるようになる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10においては、制御部60は、精査処理モードを実行する際に、各固定収納庫30、32、34、36から搬送部50により着脱自在収納庫20に硬貨を送る前に、着脱自在収納庫20に収納された硬貨を全て搬送部50により筐体12内における他の箇所に搬送するよう制御を行うようになっている。このことにより、精査処理を行うにあたり、着脱自在収納庫20を予め空状態としておくことができる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10においては、制御部60は、ノンストップ装填モードにおいて、各固定収納庫30、32、34、36に収納された硬貨を搬送部50により筐体12の外部に出金している時以外の期間に、筐体12に装着された着脱自在収納庫20から搬送部50により各固定収納庫30、32、34、36に硬貨を送るようになっている。また、制御部60は、出金拡張モードにおいて、各固定収納庫30、32、34、36に収納された硬貨を搬送部50により筐体12の外部に出金し、この際に出金されるべき硬貨が収納された各固定収納庫30、32、34、36における硬貨の収納量が所定値より小さくなったときに着脱自在収納庫20に収納された硬貨を搬送部50により筐体12の外部に出金するようになっている。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10においては、筐体12内において、筐体12に装着された着脱自在収納庫20および各固定収納庫30、32、34、36にそれぞれ対応するよう複数の硬貨判別部40が設けられている。そして、各硬貨判別部40は、筐体12に装着された着脱自在収納庫20および各固定収納庫30、32、34、36から搬送部50に硬貨が送られるときに硬貨の金種の判別および計数を行うようになっている。この際に、各硬貨判別部40は、筐体12に装着された着脱自在収納庫20および各固定収納庫30、32、34、36から搬送部50に送られる硬貨の金種について、予め設定された2以上の金種の中から適合する一の金種を選択することにより硬貨の金種の判別を行うようになっている。より具体的には、予め設定された2以上の金種の硬貨がそれぞれ硬貨排出部24により排出される場合の、第1の検出センサ46、第2の検出センサ47および磁気センサ29の各々のセンサによる検出結果が記憶部64に記憶されている。そして、実際に硬貨排出部24から硬貨が排出されるときに、制御部60は、第1の検出センサ46や第2の検出センサ47等のセンサによる検出結果と、記憶部64に記憶された情報とを照合することにより、硬貨排出部24から排出される硬貨の金種を予め設定された2以上の金種の中から選択して判別するようになっている。
なお、本実施の形態による硬貨処理装置10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、筐体12に装着された着脱自在収納庫20や各固定収納庫30、32、34、36から搬送部50に送られる硬貨の金種の判別および計数を行う硬貨判別部は、図5乃至図7に示すような構成のものに限定されることはない。具体的には、硬貨処理装置10に設置される硬貨判別部として、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨からなる3つの金種の硬貨について金種の判別および計数を行うものが用いられることに限定されることはなく、他の金種の硬貨の金種の判別および計数を行うことができるようになっていてもよい。