以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図17は、本実施の形態による硬貨処理装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による硬貨処理装置の外観を示す斜視図であり、図2乃至図4は、それぞれ、図1に示す硬貨処理装置を正面側、左側方、右側方から見たときの内部構成を概略的に示す概略構成図である。また、図5は、図1等に示す硬貨処理装置における入金繰出部および入金搬送部を上方から見たときの構成を示す構成図である。また、図6は、図1等に示す硬貨処理装置における各構成部材間での硬貨の流れを示す説明図である。また、図7は、図1等に示す硬貨処理装置における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図8乃至図10は、それぞれ、図1等に示す硬貨処理装置における包装硬貨収納ユニットを示す図である。また、図11および図12は、それぞれ、図8に示す包装硬貨収納ユニットの収納トレイに収納されている包装硬貨を上径センサにより検知するときの当該上径センサの出力信号を示す図である。また、図13は、図8に示す包装硬貨収納ユニットの収納トレイに収納されている包装硬貨を包装硬貨検知手段により検知するときの動作を示すフローチャートであり、図14は、図8に示す包装硬貨収納ユニットの収納トレイに収納されている包装硬貨を包装硬貨検知手段により検知するときに操作表示部に表示される画面を示す図である。また、図15は、図1等に示す硬貨処理装置の出金箱に収納されているバラ硬貨を残留検知センサで検知するときの当該残留検知センサの出力信号を示す表であり、図16は、図1等に示す硬貨処理装置の出金箱に収納されているバラ硬貨を残留検知センサで検知するときに操作表示部に表示される画面を示す図である。また、図17は、図1等に示す硬貨処理装置において光学検知センサの受光素子による受光量に関して2つの閾値が記憶されているときの当該光学検知センサによる検知方法を示す説明図である。なお、図4および図8乃至図12等において包装硬貨を参照符合Wで示しており、包装硬貨からめくれた包装紙を参照符合Pで示している。また、図15においてバラ硬貨を参照符合Cで示しており、ホコリや包装紙等の異物を参照符合Qで示している。
本実施の形態による硬貨処理装置10は、バラ硬貨の入金処理や出金処理を行うことができるとともに、機体内で所定枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨に紙やフィルム等の包装媒体を巻くことにより包装硬貨を形成したりこの形成された包装硬貨の出金処理を行ったりすることができるようになっている。このような硬貨処理装置10の外観や内部構成の詳細について図1乃至図5を用いて説明する。
本実施の形態による硬貨処理装置10は、略直方体形状の筐体12と、筐体12の上面に設けられた硬貨投入口21に投入されたバラ硬貨を筐体12の内部に繰り出す入金繰出部20と、入金繰出部20により繰り出されたバラ硬貨を搬送する入金搬送部28と、入金搬送部28により搬送されるバラ硬貨を識別する入金識別部29とを備えている。また、入金搬送部28には、入金識別部29により正常な硬貨ではないと識別されたバラ硬貨や入金識別部29により識別することができなかったバラ硬貨をリジェクト硬貨として選別するリジェクト選別部30、入金識別部29により特定の任意の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する任意選別部34、および入金識別部29により各々の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する複数の金種別選別部36がそれぞれ設けられている。また、筐体12の内部には、任意選別部34や各金種別選別部36により選別されたバラ硬貨を金種毎に一時的に保留する入金一時保留部40、および入金一時保留部40から送られたバラ硬貨を金種毎に収納するとともに収納されているバラ硬貨を繰り出すことができる複数の収納繰出部52がそれぞれ設けられている。また、筐体12の内部には、任意選別部34により選別されたバラ硬貨を紙やフィルム等の包装媒体により包装することによって包装硬貨を形成する包装部60、包装部60により形成された包装硬貨や外部から補充された包装硬貨を収納する包装硬貨収納ユニット100および包装部60により形成された包装硬貨や包装硬貨収納ユニット100から払い出される包装硬貨を筐体12の内部で搬送する包装硬貨搬送ユニット110がそれぞれ設けられている。このような硬貨処理装置10の各構成部材の詳細について以下に説明する。
図2、図3および図5に示すように、入金繰出部20は、筐体12の上面に設けられた硬貨投入口21に投入されたバラ硬貨を受け入れる供給円盤22と、この供給円盤22からバラ硬貨が適量ずつ供給される回転円盤24と、回転円盤24からバラ硬貨を1枚ずつ入金搬送部28に繰り出す繰出機構26とを有している。
図5に示すように、入金搬送部28は、入金繰出部20から繰り出されたバラ硬貨を搬送路に沿って搬送する搬送ベルトを有している。ここで、搬送ベルトとしては例えば入金搬送部28の搬送路に沿って移動する丸ベルトが用いられるようになっており、入金繰出部20から繰り出されたバラ硬貨は当該丸ベルトとの間で働く摩擦力により搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、入金搬送部28には、当該入金搬送部28により搬送されるバラ硬貨の金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等の識別を行う入金識別部29が設けられている。入金識別部29によるバラ硬貨の識別情報は後述する制御部200に送られるようになっている。
また、図5に示すように、入金搬送部28には、入金識別部29により正常な硬貨ではないと識別されたバラ硬貨や入金識別部29により識別することができなかったバラ硬貨をリジェクト硬貨として選別するリジェクト選別部30が設けられている。また、図3に示すように、筐体12の内部には、リジェクト選別部30により選別されたリジェクト硬貨としてのバラ硬貨が集積される入金リジェクト部38、およびリジェクト選別部30から入金リジェクト部38にリジェクト硬貨としてのバラ硬貨を送る入金リジェクト用シュート31がそれぞれ設けられている。ここで、図1に示すように、操作者は筐体12の前面から入金リジェクト部38の内部にアクセス可能となっており、入金リジェクト部38に送られたリジェクト硬貨としてのバラ硬貨を操作者は筐体12の前面から取り出すことができるようになっている。
また、入金搬送部28において、硬貨の搬送方向におけるリジェクト選別部30の下流側には、入金識別部29により特定の任意の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する任意選別部34が設けられている。ここで、任意選別部34により選別される特定の任意の金種の硬貨とは、例えばバラ硬貨の包装処理において包装部60によって包装媒体により包装されることにより包装硬貨とされるべきバラ硬貨や、特定の金種の硬貨の計数処理において袋装着部に装着される貯留袋75(図3において二点鎖線で表示)に送られるべきバラ硬貨のことをいう。
また、入金搬送部28において、硬貨の搬送方向における任意選別部34の更に下流側には、入金識別部29により各々の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する複数の金種別選別部36が設けられている。具体的には、複数の金種別選別部36として、硬貨の搬送方向における上流側から順に、5円硬貨を選別する5円硬貨選別部36a、1円硬貨を選別する1円硬貨選別部36b、50円硬貨を選別する50円硬貨選別部36c、100円硬貨を選別する100円硬貨選別部36d、10円硬貨を選別する10円硬貨選別部36eおよび500円硬貨を選別する500円硬貨選別部36fが設けられている。ここで、リジェクト選別部30、任意選別部34および5円硬貨選別部36aは、ソレノイド等の電気的駆動機構によって強制的にバラ硬貨を分岐孔に落とし込ませるような構成となっている。一方、1円硬貨選別部36b、50円硬貨選別部36c、100円硬貨選別部36dおよび10円硬貨選別部36eは、小径硬貨から大径硬貨の順にバラ硬貨を径の大きさで選別して該当する分岐孔に落とし込ませるような構成となっている。また、500円硬貨選別部36fは、5円硬貨選別部36a、1円硬貨選別部36b、50円硬貨選別部36c、100円硬貨選別部36dおよび10円硬貨選別部36eの各分岐孔に落とし込まれなかったバラ硬貨を500円硬貨として当該500円硬貨選別部36fに対応する分岐孔に落とし込ませるような構成となっている。
また、図2および図3に示すように、筐体12の内部において入金搬送部28の下方には入金一時保留部40が設けられている。入金一時保留部40は、任意選別部34により選別されたバラ硬貨が一時的に保留される任意一時保留部42と、各金種別選別部36により選別されたバラ硬貨が金種別に一時的に保留される金種別一時保留部44とを有している。ここで、任意一時保留部42は、その上部および底部が開口した枠体から構成されている。また、金種別一時保留部44は、5円、1円、50円、100円、10円、500円の各金種に対応する保留領域44a、44b、44c、44d、44e、44fに区画された、その上部および底部が開口した枠体から構成されている。また、任意一時保留部42および金種別一時保留部44は互いに連結されており、これらの任意一時保留部42および金種別一時保留部44は一体的に水平方向に移動するようになっている。また、任意一時保留部42や金種別一時保留部44の下方には板状の底部材46が設けられており、これらの任意一時保留部42や金種別一時保留部44の枠体の底部に設けられた開口が底部材46により選択的に閉止されるようになっている。また、図2および図3に示すように、入金一時保留部40は、任意一時保留部42および金種別一時保留部44を水平方向(具体的には、図2における左右方向)に移動させる第1駆動機構45と、底部材46を水平方向(具体的には、図2における左右方向)に移動させる第2駆動機構47とを有している。
また、図2および図3に示すように、筐体12の内部において入金一時保留部40の更に下方には、入金一時保留部40から送られたバラ硬貨を筐体12の外部に排出するための排出部50、入金一時保留部40から送られたバラ硬貨を金種毎に収納するとともに収納されているバラ硬貨を繰り出すことができる複数の収納繰出部52、入金一時保留部40の任意一時保留部42から送られたバラ硬貨を包装部60や後述する袋装着部に装着された貯留袋75に送るシュート機構70、および入金一時保留部40の任意一時保留部42から送られたバラ硬貨が収納されるバラ硬貨一括収納箱98(図1参照、図2や図3では図示せず)がそれぞれ設けられている。
入金一時保留部40における金種別一時保留部44は、各金種別選別部36の分岐孔の真下かつ排出部50の真上の位置である第1位置と、各収納繰出部52の真上の位置である第2位置との間で図2における左右方向に移動可能となっている。また、底部材46は、第1位置にある金種別一時保留部44の底部の開口を塞ぐ第1位置と、第1位置にある金種別一時保留部44の底部の開口を開く第2位置との間で図2における左右方向に移動可能となっている。また、本実施の形態による硬貨処理装置10が待機状態にあるときには金種別一時保留部44は第1位置に位置するとともに底部材46も第1位置に位置するようになる。ここで、金種別一時保留部44が第1位置に位置するとともに底部材46が第1位置に位置しているときには、各金種別選別部36の分岐孔に落とし込まれたバラ硬貨は金種別一時保留部44の各保留領域44a〜44fに金種毎に一時的に保留されるようになる。そして、金種別一時保留部44の各保留領域44a〜44fにバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第1駆動機構45により金種別一時保留部44が第1位置から第2位置に移動させられると、金種別一時保留部44の各保留領域44a〜44fの底部に設けられた開口が開くことにより各保留領域44a〜44fからバラ硬貨が自重により落下して各収納繰出部52の収納領域52a〜52f(後述)に金種毎に送られ、各収納繰出部52の収納領域52a〜52fに金種毎に収納されるようになる。一方、金種別一時保留部44の各保留領域44a〜44fにバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第2駆動機構47により底部材46が第1位置から第2位置に移動させられると、金種別一時保留部44の各保留領域44a〜44fの底部に設けられた開口が開くことにより各保留領域44a〜44fからバラ硬貨が自重により落下して排出部50に送られ、この排出部50に金種混合状態で集積されるようになる。
また、入金一時保留部40における任意一時保留部42は、第1駆動機構45による当該任意一時保留部42の移動方向(具体的には、図2における左右方向)に沿って並ぶ第1保留領域および第2保留領域に区画されたものから構成されている。そして、金種別一時保留部44が第1位置に位置しているときには任意一時保留部42の第1保留領域が任意選別部34の分岐孔の真下に位置するとともに排出部50の真上に位置するようになる。なお、このときに底部材46が第1位置に位置しているときには任意一時保留部42の第1保留領域の底部の開口が当該底部材46により塞がれるようになり、任意選別部34の分岐孔に落とし込まれたバラ硬貨は任意一時保留部42の第1保留領域に一時的に保留されるようになる。また、金種別一時保留部44が第2位置に位置しているときには任意一時保留部42の第1保留領域がバラ硬貨一括収納箱98の真上に位置するようになっている。そして、任意一時保留部42の第1保留領域にバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第1駆動機構45により金種別一時保留部44が第1位置から第2位置に移動させられると、任意一時保留部42の第1保留領域の底部に設けられた開口が開くことによりこの第1保留領域からバラ硬貨が自重により落下してバラ硬貨一括収納箱98に送られ、このバラ硬貨一括収納箱98に収納されるようになる。一方、任意一時保留部42の第1保留領域にバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第2駆動機構47により底部材46が第1位置から第2位置に移動させられると、任意一時保留部42の第1保留領域の底部に設けられた開口が開くことによりこの第1保留領域からバラ硬貨が自重により落下して排出部50に送られ、当該排出部50に集積されるようになる。また、第1駆動機構45によって、入金一時保留部40における任意一時保留部42を、その第2保留領域が任意選別部34の分岐孔の真下に位置するような第3位置に移動させることができるようになっている。ここで、任意一時保留部42が第3位置に位置しているときには、任意選別部34の分岐孔に落とし込まれたバラ硬貨は任意一時保留部42の第2保留領域に送られた後、この第2保留領域を通過してシュート機構70の上部シュート72(後述)に送られるようになっている。
図3等に示すように、複数の収納繰出部52の各々は、それぞれ、5円、1円、50円、100円、10円、500円の各金種に対応する収納領域52a、52b、52c、52d、52e、52fを有しており、これらの収納領域52a〜52fにバラ硬貨が金種別に収納されるようになっている。より詳細には、各収納繰出部52の収納領域52a〜52fには、入金一時保留部40の金種別一時保留部44の各保留領域44a〜44fからバラ硬貨がそれぞれ送られるようになっている。また、各収納繰出部52において収納領域52a〜52fの底部には回転円盤等の硬貨繰出部52pがそれぞれ設けられており、各硬貨繰出部52pにより各収納繰出部52の収納領域52a〜52fからバラ硬貨が1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、各収納繰出部52の下方には水平方向に延びるコンベア54が設けられており、各硬貨繰出部52pにより各収納繰出部52の収納領域52a〜52fから繰り出されたバラ硬貨はコンベア54により搬送されるようになっている。ここで、コンベア54には、当該コンベア54により搬送されるバラ硬貨の金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等の識別を行う出金識別部55が設けられている。出金識別部55によるバラ硬貨の識別情報は後述する制御部200に送られるようになっている。また、出金識別部55により識別されたバラ硬貨はコンベア54により出金用シュート58を介して出金箱90に送られるか、あるいは包装用シュート57を介して包装部60に送られるようになっている。
排出部50は、筐体12の前面から操作者が手前側に引き出し可能な返却箱50aを有しており、入金一時保留部40における任意一時保留部42の第1保留領域や金種別一時保留部44の各保留領域44a〜44fから送られたバラ硬貨が金種混合状態で集積されるようになっている。
バラ硬貨一括収納箱98は、筐体12の前面から操作者が手前側に引き出し可能となっており、入金一時保留部40における任意一時保留部42の第1保留領域から送られたバラ硬貨が集積されるようになっている。
図3に示すように、シュート機構70は、入金一時保留部40における任意一時保留部42の第2保留領域から送られたバラ硬貨が通過する上部シュート72と、この上部シュート72から分岐した貯留用シュート74および包装用シュート76とを有しており、上部シュート72から貯留用シュート74や包装用シュート76への分岐箇所には分岐部材78が設けられている。ここで、上部シュート72から分岐部材78により包装用シュート76に分岐させられたバラ硬貨は包装部60に送られるようになっている。一方、図1に示すように、貯留用シュート74の下流側端部に位置する排出側開口74aは筐体12の前面に開口するようになっており、この排出側開口74aの近傍には、図3において二点鎖線で示すような貯留袋75を筐体12の側面に装着させる袋装着部(図示せず)が設けられている。そして、袋装着部に貯留袋75が装着されているときには、上部シュート72から分岐部材78により貯留用シュート74に分岐させられたバラ硬貨は排出側開口74aから貯留袋75に送られてこの貯留袋75に貯留されるようになる。
出金箱90は、筐体12の前面から操作者が手前側に引き出し可能となっており、本実施の形態による硬貨処理装置10においてバラ硬貨の出金処理が行われる際に、各収納繰出部52の収納領域52a〜52fから繰り出されたバラ硬貨がコンベア54により出金用シュート58を介して出金箱90に送られるようになっている。また、出金箱90には、操作者が当該出金箱90を筐体12の前面から手前側に引き出す際に把持される取っ手90aが設けられており、このような取っ手90aを操作者が把持することにより出金箱90を筐体12から容易に引き出すことができるようになっている。また、出金箱90には図示しないロック機構が設けられており、このロック機構により出金箱90は筐体12の内部にロックされるようになっている。一方、ロック機構によるロックが解除されると、操作者は出金箱90を筐体12の前面から手前側に引き出すことができるようになる。また、図2に示すように、出金箱90の底部には開口が設けられているとともに、この開口はシャッタ部材92により選択的に閉じられるようになっている。また、筐体12の下部には、出金リジェクト箱56と、出金箱90の底部に設けられた開口から出金リジェクト箱56にバラ硬貨を送る出金リジェクト用シュート94がそれぞれ設けられている。そして、本実施の形態による硬貨処理装置10においてバラ硬貨の出金処理が行われる際に、出金されるべきバラ硬貨の金種とは異なる金種のバラ硬貨が収納繰出部52の各収納領域52a〜52fから繰り出されて出金箱90に送られたり、収納繰出部52の各収納領域52a〜52fからのバラ硬貨の繰り出しエラーによって各収納領域52a〜52fから繰り出されたバラ硬貨の枚数が不確定となってしまったりした場合には、出金箱90の底部に設けられた開口がシャッタ部材92により開かれ、出金箱90に送られたバラ硬貨はこの出金箱90から出金リジェクト用シュート94を介して出金リジェクト箱56に送られるようになる。
また、図2に示すように、出金箱90の近傍には、当該出金箱90に残留するバラ硬貨を検知するための残留検知センサ91が設けられている。より詳細には、残留検知センサ91は、出金箱90の底部近傍を挟むよう設けられた発光素子および受光素子を有するフォトインタラプタ等の光学検知センサから構成されており、発光素子と受光素子との間が遮光状態となった場合に発光素子と受光素子との間にバラ硬貨が残留することが残留検知センサ91により検知されるようになっている。
包装部60は、シュート機構70の包装用シュート76や包装用シュート57により当該包装部60に送られたバラ硬貨が集積されるとともに集積されたバラ硬貨を1枚ずつ繰り出す集積部としての回転円盤62と、回転円盤62により繰り出されたバラ硬貨を搬送するコンベア63と、コンベア63により搬送されたバラ硬貨が積層状態で集積されるとともに集積された所定の枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨を紙やフィルム等の包装媒体により包装する包装機構68とを有している。ここで、包装機構68は上方から見て仮想の正三角形の各頂点に位置する3本の包装ローラ68aを有しており、各包装ローラ68aの間の包装領域において所定枚数重積した重積硬貨が包装媒体により包装されて包装硬貨が形成されるようになっている。図4に示すように、包装機構68により形成された包装硬貨はこの包装機構68から下方に排出されるようになっている。また、包装機構68の下方には包装硬貨用シュート65および横搬送部67が設けられており、包装機構68により形成された包装硬貨が当該包装機構68から下方に排出されると、この排出された包装硬貨は包装硬貨用シュート65を通って横搬送部67に送られ、この横搬送部67により包装硬貨搬送ユニット110に向かって搬送されるようになる。また、横搬送部67と包装硬貨搬送ユニット110との間には、横搬送部67から包装硬貨搬送ユニット110への包装硬貨の放出と放出規制とを切り換える切換部材69が設けられている。
また、図2等に示すように、包装部60においてコンベア63の下方には排出シュート64が設けられており、包装機構68により所定の枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨を包装する際に所定の枚数に満たない端数分のバラ硬貨はコンベア63から排出シュート64に送られてこの排出シュート64により出金リジェクト箱56に送られるようになっている。また、出金リジェクト箱56の近傍には、端数分のバラ硬貨を収納する端数硬貨収納箱97が設けられているとともに、この出金リジェクト箱56には、排出シュート64から送られた端数分のバラ硬貨を出金リジェクト箱56および端数硬貨収納箱97の何れかに分岐させる分岐部材96が設けられている。このような分岐部材96が設けられていることにより、コンベア63から排出シュート64に送られた端数分のバラ硬貨を出金リジェクト箱56および端数硬貨収納箱97のうち何れかに収納させることができるようになる。
図4に示すように、包装硬貨搬送ユニット110は、筐体12の内部における上部および下部にそれぞれ設けられた2つのプーリ112と、これらの2つのプーリ112に掛け渡された無端状の循環ベルト114と、2つのプーリ112のうち一方のプーリ112を回転駆動させることにより循環ベルト114を図4における時計回りの方向および反時計回りの方向に循環移動させる駆動モータ(図示せず)とを有している。また、図4に示すように、循環ベルト114には、包装硬貨搬送ユニット110により搬送されるべき包装硬貨が引っ掛けられる突起116が等間隔で複数設けられている。ここで、各突起116は、当該突起116と包装硬貨とが接する面が循環ベルト114の延びる方向(すなわち、図4における上下方向)に対して所定の角度(例えば、60°)をなして傾斜する方向に当該循環ベルト114から突出して形成されている。このように各突起116が循環ベルト114の延びる方向に対して傾斜していることにより、突起116に引っ掛けられた包装硬貨はその自重により突起116上で循環ベルト114側に寄せられるようになる。そして、循環ベルト114が図4における反時計回りの方向に循環移動すると、包装硬貨は突起116に引っ掛けられた状態で(すなわち、突起116上で循環ベルト114側に寄せられた状態で)循環ベルト114の移動に合わせて図4における反時計回りの方向に沿って搬送されるようになる。また、本実施の形態では、循環ベルト114は、所定量だけ移動すると所定時間だけ停止し、その後再び所定量だけ移動するような動作が繰り返し行われる間欠移動を行うよう、駆動モータにより駆動させられるようになっている。
また、図4に示すように、筐体12の内部において包装硬貨搬送ユニット110の近傍には、包装硬貨の収納を行う包装硬貨収納ユニット100が設けられている。ここで、包装硬貨収納ユニット100は、同一金種の複数の包装硬貨を一列に収納する複数(図4に示す例では6つ)の収納トレイ140を有しており、各収納トレイ140には包装硬貨が金種別に収納されるようになっている。また、各収納トレイ140は水平方向に対して傾斜しており、収納トレイ140に収納されている包装硬貨は、包装硬貨搬送ユニット110に近い側である収納トレイ140の最前部に向かって転がるようになっている。また、各収納トレイ140は鉛直方向に沿って並ぶよう配置されている。また、各収納トレイ140に収納される包装硬貨の金種は収納トレイ140毎に予め設定されている。例えば、6つの収納トレイ140のうち上側の3つの収納トレイ140にはそれぞれ10円の包装硬貨が収納され、下から3番目の収納トレイ140には50円の包装硬貨が収納され、下側の2つの収納トレイ140にはそれぞれ100円の包装硬貨が収納されるようになっている。
また、各収納トレイ140は、図4に示す位置から包装硬貨搬送ユニット110に向かって(すなわち、図4における左方向に)移動可能となっており、各収納トレイ140が包装硬貨搬送ユニット110における循環ベルト114の近傍の位置まで進出したときに、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨が循環ベルト114の突起116に1つずつ受け渡されるようになる。また、各収納トレイ140の前端部分(すなわち、図4における左端部分)と、包装硬貨搬送ユニット110との間には、各収納トレイ140に対応して複数のストッパ部分104aが設けられたストッパ機構104が上下方向に移動可能に配置されている。このストッパ機構104が下降位置にあるときには、包装硬貨搬送ユニット110に向かって進出した収納トレイ140の最前部の包装硬貨にストッパ部分104aが接触してこの最前部の包装硬貨が循環ベルト114の突起116に受け渡されないようになる。この場合には、循環ベルト114により搬送される包装硬貨が突起116から収納トレイ140の最前部に受け渡され、この収納トレイ140に収納されるようになる。一方、ストッパ機構104が上昇位置にあるときには、包装硬貨搬送ユニット110に向かって進出した収納トレイ140の最前部の包装硬貨にストッパ部分104aが接触せず、この最前部の包装硬貨が循環ベルト114の突起116に受け渡されるようになる。
このような包装硬貨収納ユニット100の構成の詳細について図8乃至図10を用いて説明する。なお、図8は、包装硬貨収納ユニット100の構成を示す斜視図であり、図9は、図8に示す包装硬貨収納ユニット100における収納トレイ140の構成を示す斜視図であり、図10は、図8等に示す包装硬貨収納ユニット100における包装硬貨検知手段108(後述)の構成を示す側面図である。
図8に示すように、包装硬貨収納ユニット100は、その前面が開口しているとともに複数(図8に示す例では6つ)の収納トレイ140が鉛直方向に沿って並ぶよう収容されるケーシング101を有しており、各収納トレイ140はそれぞれケーシング101の前面開口から手前側に引き出して当該ケーシング101の外部に取り出し可能となっている。すなわち、各収納トレイ140は、ケーシング101に完全に収容される定位置と、ケーシング101の前面開口から手前側に突出する引出位置との間で移動可能となっている。また、包装硬貨収納ユニット100には、各収納トレイ140を他の収納トレイ140から独立して定位置から引出位置に移動させる駆動機構106(図7参照)が設けられている。また、包装硬貨収納ユニット100には、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨を収納トレイ140毎に検知する包装硬貨検知手段108が設けられている。このような包装硬貨検知手段108の構成の詳細については後述する。
次に、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨を収納トレイ140毎に検知する包装硬貨検知手段108の構成の詳細について図10等を用いて説明する。図10に示すように、包装硬貨検知手段108は、鉛直方向に沿って延びる細長い板状のベース部150と、ベース部150において各収納トレイ140に対応して設けられた複数(例えば、6つ)の上径センサ152と、ベース部150において各収納トレイ140に対応して設けられた複数(例えば、6つ)の穴センサ154とを有している。ここで、ベース部150は、鉛直方向に沿って並ぶよう配置される複数(例えば、6つ)の収納トレイ140を
挟んで2本(一対)設けられており、一方のベース部150には上径センサ152および穴センサ154の発光素子が配置され、他方のベース部150には上径センサ152および穴センサ154の受光素子が配置される。そして、各ベース部150は各収納トレイ140の長手方向(すなわち、図10において矢印で示す方向)に移動自在となっている。また、上径センサ152は、収納トレイ140に収納されている包装硬貨を挟むよう設けられた発光素子および受光素子を含む光センサ(光学検知センサ)から構成されており、当該上径センサ152は、ベース部150が各収納トレイ140の長手方向に沿って移動するときに各収納トレイ140に収納されている各包装硬貨の上側の径の大きさ(より厳密には、包装硬貨を構成するバラ硬貨の中心よりも上側の弦長の大きさ)を検知するようになっている。そして、上径センサ152により検知された各包装硬貨の上側の径の大きさに基づいて各包装硬貨の直径の大きさが算出され、この直径の大きさに基づいて包装硬貨の金種が検知されるようになっている。
また、穴センサ154は、収納トレイ140に収納されている包装硬貨を挟むよう設けられた発光素子および受光素子を含む光センサ(光学検知センサ)から構成されており、当該穴センサ154は、ベース部150が各収納トレイ140の長手方向に沿って移動するときに各収納トレイ140に収納されている各包装硬貨の中心穴の有無を検知するようになっている。そして、各包装硬貨の金種を検知する際に穴センサ154により検知された各包装硬貨の中心穴の有無に係る情報も用いられるようになっている。
また、図9に示すように、収納トレイ140の両側壁には、当該収納トレイ140に収納されている包装硬貨の上径の大きさが上径センサ152により検知される際にこの上径センサ152の発光素子から発せられた光が通過するための開口140a、および収納トレイ140に収納されている包装硬貨の穴の有無が穴センサ154により検知される際にこの穴センサ154の発光素子から発せられた光が通過するための開口140bが、それぞれ、収納トレイ140に収納される複数の包装硬貨の各々に対応して設けられている。
このようなベース部150、上径センサ152、穴センサ154等を用いることによって、ベース部150が各収納トレイ140の全長に亘って当該収納トレイ140の長手方向に沿って移動することにより各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の金種が検知されるようになる。
本実施の形態では、上述したように、各収納トレイ140に収納される包装硬貨の金種は収納トレイ140毎に予め設定されている。そして、ベース部150、上径センサ152、穴センサ154等を用いることによって検知された包装硬貨の金種が、当該包装硬貨が収納されている収納トレイ140に対応して予め設定されている包装硬貨の金種と異なる場合には、すなわち、誤った金種の包装硬貨が収納トレイ140に収納されている場合には、収納トレイ140に収納されている包装硬貨に異常が生じていることが包装硬貨検知手段108により検知されるようになる。また、収納トレイ140において包装硬貨が整列した状態で収納されているときには、収納トレイ140に収納されている包装硬貨の異常が包装硬貨検知手段108により検知されないが、収納トレイ140において包装硬貨が整列していない状態で収納されているときには上径センサ152、穴センサ154等による検知結果に基づいて収納トレイ140に収納されている包装硬貨の異常が包装硬貨検知手段108により検知されるようになる。また、収納トレイ140に収納されている包装硬貨において包装媒体がめくれたりまたは破れていたり、あるいは収納トレイ140に収納されている包装硬貨が変形してしまったりした場合にも、上径センサ152、穴センサ154等による検知結果に基づいて収納トレイ140に収納されている包装硬貨の異常が包装硬貨検知手段108により検知されるようになる。また、収納トレイ140に包装硬貨以外の異物が混入していたり、収納トレイ140に収納されている包装硬貨間に隙間が生じてしまっていたりする場合にも、上径センサ152、穴センサ154等による検知結果に基づいて収納トレイ140に収納されている包装硬貨の異常が包装硬貨検知手段108により検知されるようになる。このように、本実施の形態では、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨が包装硬貨検知手段108により検知される際に、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の様々な種類の異常が検知されるようになっている。このような包装硬貨検知手段108による包装硬貨の検知方法の詳細については後述する。
また、筐体12の前面において包装硬貨搬送ユニット110の前部域には、包装硬貨出金部130、包装硬貨一括収納箱132および包装硬貨投出部136がそれぞれ設けられている。また、包装硬貨出金部130および包装硬貨一括収納箱132の各々に対応して、包装硬貨搬送ユニット110の循環ベルト114により搬送される包装硬貨を選択的に包装硬貨出金部130および包装硬貨一括収納箱132にそれぞれ分岐させる分岐部材118、119、120が設けられている。また、分岐部材120により包装硬貨搬送ユニット110から分岐させられた包装硬貨を包装硬貨投出部136に送る包装硬貨投出用シュート138が設けられている。ここで、図1に示すように、操作者は筐体12の前面から包装硬貨出金部130にアクセス可能となっており、包装硬貨出金部130に送られた包装硬貨を操作者は筐体12の外部に取り出すことができるようになっている。また、図1に示すように、操作者は筐体12の前面から包装硬貨投出部136にアクセス可能となっており、分岐部材120により包装硬貨搬送ユニット110の循環ベルト114から分岐させられて包装硬貨投出用シュート138により包装硬貨投出部136に送られた包装硬貨を操作者は筐体12の外部に取り出すことができるようになっている。また、循環ベルト114を図4における時計回りの方向に循環移動させた場合には、横搬送部67により包装硬貨搬送ユニット110に送られた包装硬貨をすぐに包装硬貨投出用シュート138経由で包装硬貨投出部136に送ることができるようになる。
また、図1に示すように、筐体12の前面側における右側部分には開閉可能な前扉14が設けられており、当該前扉14を開くことにより筐体12内の包装硬貨収納ユニット100にアクセスすることができるようになっている。より詳細には、前扉14には上述した包装硬貨出金部130、包装硬貨一括収納箱132、包装硬貨投出部136および包装硬貨搬送ユニット110が取り付けられており、前扉14を開いたときにはこれらの包装硬貨出金部130、包装硬貨一括収納箱132、包装硬貨投出部136および包装硬貨搬送ユニット110も前扉14と一体的に移動するようになっている。このことにより、操作者は前扉14を開くと包装硬貨収納ユニット100のケーシング101の前面開口にアクセスして収納トレイ140をケーシング101の外部に取り出すことにより収納トレイ140に包装硬貨を収納(補充)したり収納トレイ140から包装硬貨を取り出したりすることができるようになっている。
また、図7に示すように、本実施の形態による硬貨処理装置10には、当該硬貨処理装置10の各構成部材の制御を行う制御部200が設けられている。具体的には、制御部200には、入金繰出部20、入金搬送部28、入金識別部29、リジェクト選別部30、任意選別部34、各金種別選別部36、入金一時保留部40、各収納繰出部52、コンベア54、出金識別部55、包装部60、分岐部材78、分岐部材96、包装硬貨収納ユニット100(具体的には、駆動機構106や包装硬貨検知手段108)、包装硬貨搬送ユニット110、分岐部材118、119、120等がそれぞれ接続されている。ここで、入金識別部29や出金識別部55によるバラ硬貨の識別情報はこれらの入金識別部29や出金識別部55から制御部200に送られるようになっている。また、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨が包装硬貨検知手段108により検知されたときに、この検知情報が包装硬貨検知手段108から制御部200に送られるようになっている。また、制御部200は、硬貨処理装置10の各構成部材に指令の信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御するようになっている。
また、制御部200には操作表示部202、印字部204、記憶部206および通信インターフェース部208がそれぞれ接続されている。操作表示部202は、例えば筐体12の上部に設けられたタッチパネル等からなり、硬貨処理装置10における硬貨の処理状況や、各収納繰出部52の収納領域52a〜52fに収納されているバラ硬貨の金種毎の在高および包装硬貨収納ユニット100の各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の金種毎の在高等の情報を表示するようになっている。また、操作者はこの操作表示部202により制御部200に様々な指令を入力することができるようになっている。また、印字部204は、硬貨処理装置10における硬貨の処理状況や、各収納繰出部52の収納領域52a〜52fに収納されているバラ硬貨の金種毎の在高および包装硬貨収納ユニット100の各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の金種毎の在高等の情報をレシート等に印刷するプリンタ等から構成されている。また、記憶部206は、硬貨処理装置10における硬貨の処理履歴や、各収納繰出部52の収納領域52a〜52fに収納されているバラ硬貨の金種毎の在高および包装硬貨収納ユニット100の各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の金種毎の在高等の情報を記憶するようになっている。また、制御部200は通信インターフェース部208を介して上位端末等の外部装置に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。
次に、このような構成からなる硬貨処理装置10の動作(とりわけ、包装硬貨収納ユニット100において包装硬貨の精査処理を行う際に各収納トレイ140に収納されている包装硬貨を包装硬貨検知手段108により検知する動作)について図11および図12に示す上径センサ152の出力信号、図13に示すフローチャートおよび図14に示す操作表示部202の画面を用いて説明する。なお、精査処理とは、硬貨処理装置10の筐体12内の貨幣(ここでは、包装硬貨)の金種毎の在高を、現物を計数して確認する処理のことをいう。以下に示すような硬貨処理装置10の動作は、制御部200が硬貨処理装置10の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
本実施の形態による硬貨処理装置10において包装硬貨の精査処理を行うにあたり、操作者によって操作表示部202により包装硬貨の精査処理開始の指令が入力されたり、上位端末等の外部装置から通信インターフェース部208を介して包装硬貨の精査処理開始の指令が制御部200に送信されたりすると、制御部200において包装硬貨の精査処理開始の指令が受け付けられるようになる。制御部200は、包装硬貨の精査処理開始の指令を受け付けると、包装硬貨検知手段108のベース部150を図10に示すような各収納トレイ140の前端部分の位置から各収納トレイ140の長手方向に沿って当該収納トレイ140の略全長の長さ分だけ図10における右上方向に移動させる。そして、ベース部150が移動している間に、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の上側の径の大きさが上径センサ152により検知されるとともに各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の中心穴の有無が穴センサ154により検知され、これらの上径センサ152および穴センサ154の検知情報に基づいて各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の金種および本数が検知されるようになる。このようにして、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の在高(すなわち、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の金種毎の本数や合計金額)が包装硬貨検知手段108により検知される。
ここで、本実施の形態では、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨を包装硬貨検知手段108により検知するにあたり、最初に上径センサ152や穴センサ154等の光学検知センサにより通常の発光量で包装硬貨の検知を行う(STEP1)。ここで、収納トレイ140に各包装硬貨が整列された状態で収納されており、かつ各包装硬貨の包装紙がめくれていない状態で収納されているときには、上径センサ152の出力信号は図11における「通常の発光量」で示すように遮光状態および透光状態が交互に切り替えられるようになる。一方、収納トレイ140に各包装硬貨が整列された状態で収納されているが、ある包装硬貨の包装紙がめくれた状態で収納されているときには、発光素子から発せられた光は、包装硬貨(本体)によって遮られることに加えて、包装硬貨の包装紙により遮られて受光素子により受けられないようになるため、上径センサ152の出力信号は図12における「通常の発光量」で示すように遮光状態および透光状態が交互に切り替えられるようになり、図11に示す上径センサ152の出力信号と異なるようになる。より詳細には、収納トレイ140に収納されている包装硬貨の包装紙がめくれた状態となっているときには、上径センサ152の出力信号は透光状態となるべきときに遮光状態となってしまう(STEP2の「YES」)。また、収納トレイ140に各包装硬貨が整列されていない状態で収納されている場合や、収納トレイ140に収納される包装硬貨の金種が当該収納トレイ140に割り当てられている金種と異なる場合にも、上径センサ152の出力信号における遮光状態および透光状態の切替の態様は図11における「通常の発光量」で示すものと異なるようになる。
各収納トレイ140に収納されている包装硬貨を上径センサ152により通常の発光量で検知したときに、上径センサ152の出力信号における遮光状態および透光状態の切替の態様が図11における「通常の発光量」で示すものと略同一であった場合には(STEP2の「NO」)、包装硬貨検知手段108による包装硬貨の検知情報に基づいて、収納トレイ140に適正な包装硬貨が正常に収納されていると制御部200により判定される(STEP3)。この場合には、収納トレイ140に包装硬貨が正常に収納されている旨のメッセージが操作表示部202に表示されるようになる。
一方、各収納トレイ140に収納されている包装硬貨を上径センサ152により通常の発光量で検知したときに、上径センサ152の出力信号における遮光状態および透光状態の切替の態様が図11における「通常の発光量」で示すものと異なる場合には、すなわち、上径センサ152の出力信号が透光状態となるべきときに遮光状態となってしまった場合には(STEP2の「YES」)、図14に示すような、包装硬貨の異常が検知されたことを報知するとともに再検知を行うか否かを操作者に確認する旨の画面が操作表示部202に表示される。そして、図14に示すような操作表示部202の画面において「はい」のボタンが押下されることにより再検知を行う旨の指示が操作表示部202により受け付けられると(STEP4の「YES」)、光学検知センサ(具体的には、上径センサ152)の発光素子からの発光量を3倍にし、この増加された発光量で各収納トレイ140に収納されている包装硬貨の再検知を行う(STEP5)。なお、本実施の形態による別の例では、上径センサ152の出力信号が透光状態となるべきときに遮光状態となってしまった場合に(STEP2の「YES」)、上径センサ152の発光素子からの発光量を自動で増加させて包装硬貨の再検知を行わせてもよい。
収納トレイ140に各包装硬貨が整列された状態で収納されており、かつ各包装硬貨の包装紙がめくれていない状態で収納されているときに、3倍の発光量で上径センサ152により包装硬貨の検知を行ったときの当該上径センサ152の出力信号における遮光状態および透光状態の切替の態様を図11における「3倍の発光量」で示す。また、収納トレイ140に各包装硬貨が整列された状態で収納されているが、ある包装硬貨の包装紙がめくれた状態で収納されているときに、3倍の発光量で上径センサ152により包装硬貨の検知を行ったときの当該上径センサ152の出力信号における遮光状態および透光状態の切替の態様を図12における「3倍の発光量」で示す。このように、上径センサ152の発光素子からの発光量を増加させることにより、発光素子から発せられた光は、包装硬貨の包装紙を透過して受光素子により受けられるようになるため、各包装硬貨の包装紙がめくれていない場合とめくれている場合とで上径センサ152の出力信号における遮光状態および透光状態の切替の態様が略同一となる。このため、3倍の発光量で上径センサ152により包装硬貨の再検知を行ったときに、上径センサ152の出力信号における遮光状態および透光状態の切替の態様が図11における「3倍の発光量」で示すものと略同一となった場合には(STEP6の「NO」)、包装硬貨検知手段108による包装硬貨の検知情報に基づいて、収納トレイ140に収納されている包装硬貨について包装紙のめくれが生じていると制御部200により判定される(STEP7)。この場合には、収納トレイ140に収納されている包装硬貨について包装紙のめくれが生じている旨のメッセージが操作表示部202に表示されるようになる。また、この場合には、硬貨処理装置10において包装硬貨の精査処理を引き続き行うことができるが、収納トレイ140に収納されている包装硬貨にアクセスして包装紙のめくれの有無を確認する必要がある旨のメッセージやアイコンが操作表示部202の画面の隅に表示される。そして、アイコンが表示された直後、あるいは他の処理を行った後の任意のタイミングに、操作表示部202に表示されるアイコン等が押下されると、収納トレイ140から包装硬貨を一旦取り出して当該包装硬貨の包装紙のめくれの有無を確認した後に収納トレイ140に再収納させることを操作者に促す画面が操作表示部202に表示されるようになる。また、このような包装硬貨の包装紙のめくれの有無の確認動作が操作者により行われると、操作表示部202に表示されるメッセージやアイコンが消去される。なお、3倍の発光量で上径センサ152により包装硬貨の再検知を行ったときに遮光状態が透光状態に移行するような原因としては、包装紙のめくれ以外に、ホコリの付着等が考えられる。いずれにしても、収納トレイ140から包装硬貨をすぐに取り出して異常を解除する必要はないため、一連の処理を終えた後に異常を解除してもよい。
一方、3倍の発光量で上径センサ152により包装硬貨の再検知を行ったときに、上径センサ152の出力信号における遮光状態および透光状態の切替の態様が図11における「3倍の発光量」で示すものと異なる場合には、すなわち、上径センサ152の出力信号が透光状態となるべきときに遮光状態となってしまった場合には(STEP6の「YES」)、収納トレイ140に包装硬貨が正常に収納されていないと制御部200により判定される(STEP8)。この場合には、収納トレイ140において包装硬貨の異常が発生している旨のメッセージが操作表示部202に表示されるようになる(STEP9)。また、この際に、収納トレイ140から包装硬貨を一旦取り出して異常を解消した後に当該収納トレイ140に再収納させることを操作者に促すガイダンス画面が操作表示部202に表示されるようになっていてもよい。ここでは、包装紙のめくれではなく、異物の混入や包装硬貨の整列異常といった事態が想定されるため、速やかな確認と異常の解除が求められる。その後、操作者は操作表示部202に表示されるガイダンス画面に従って収納トレイ140から包装硬貨を一旦取り出して異常を解消した後に当該収納トレイ140に再収納するようになる。
また、操作表示部202において、図14に示すような、包装硬貨の異常が検知されたことを報知するとともに再検知を行うか否かを操作者に確認する旨の画面が表示されているときに、「いいえ」のボタンが押下された場合にも(STEP4の「NO」)、収納トレイ140において包装硬貨の異常が発生している旨のメッセージが操作表示部202に表示されるようになる(STEP9)。また、この際に、収納トレイ140から包装硬貨を一旦取り出して異常を解消した後に当該収納トレイ140に再収納させることを操作者に促すガイダンス画面が操作表示部202に表示されるようになっていてもよい。その後、操作者は操作表示部202に表示されるガイダンス画面に従って収納トレイ140から包装硬貨を一旦取り出して異常を解消した後に当該収納トレイ140に再収納するようになる。
上径センサ152による3倍の光学量での包装硬貨の再検知が完了すると、当該上径センサ152の発光素子からの発光量が元の大きさに戻されるようになる(STEP10)。
なお、上記の説明では、包装硬貨検知手段108の上径センサ152により包装硬貨の上側の径の大きさを検知する方法について述べたが、包装硬貨検知手段108の穴センサ154により包装硬貨の中心穴の有無を検知する場合にも同様の動作(すなわち、図13のフローチャートのSTEP1〜STEP9で示す動作)が行われるようになっている。具体的には、穴センサ154により包装硬貨の中心穴の有無を検知する際に、通常の発光量で遮光状態となったときに、発光素子からの発光量を増加させて再検知を行うようになる。めくれかけた包装紙が包装硬貨の穴部分に掛かっていたり、穴内にホコリが付着していたりする場合は、穴センサ154による包装硬貨の再検知時に透光状態へ変わる可能性が高い。
また、本実施の形態では、上述したように、出金箱90の近傍には、当該出金箱90に残留するバラ硬貨を検知するための残留検知センサ91が設けられているが、このような残留検知センサ91により残留硬貨を検知する際に、通常の発光量で遮光状態となったときに、発光素子からの発光量を増加させて再検知を行うようになっていてもよい。このような残留検知センサの動作の詳細について図15に示す表および図16に示す操作表示部202の画面を用いて説明する。
出金箱90にバラ硬貨が残留するか否かを残留検知センサ91により検知するにあたり、最初に通常の発光量で検知を行う。ここで、出金箱90に残留物が存在しない場合には、発光素子から発せられた光が受光素子により受けられるようになり、このことにより出金箱90に残留物が存在しないことが検知される。一方、出金箱90に残留物としてバラ硬貨が存在する場合には(図15の表の左上欄参照)、発光素子から発せられた光が、出金箱90に残留するバラ硬貨により遮られて受光素子により受けられないようになるため、残留検知センサ91の出力信号は遮光状態となり、このことにより出金箱90に残留物が存在することが検知される。一方、出金箱90に包装紙片やホコリ等の異物が残留している場合にも(図15の表の右上欄参照)、発光素子から発せられた光が、出金箱90に残留する包装紙片やホコリ等の異物により遮られて受光素子により受けられないようになるため、残留検知センサ91の出力信号は遮光状態となり、このことにより出金箱90に残留物が存在することが検知される。ここで、残留検知センサ91は、出金箱90にバラ硬貨が残留するか否かを検知するものであるが、出金箱90に包装紙片やホコリ等が残留している場合にも残留検知センサ91の出力信号が遮光状態となるため残留硬貨の誤検知が生じてしまうおそれがある。
このため、本実施の形態では、最初の検知動作(通常の発光量)において残留検知センサ91の出力信号が遮光状態となってしまった場合には、出金箱90に何らかの残留物が存在することを報知するとともに残留検知センサ91により再検知を行うか否かを操作者に確認する旨の画面が操作表示部202に表示される。そして、このような操作表示部202の画面において残留検知センサ91により再検知を行う旨の指示が受け付けられると、残留検知センサ91の発光素子からの発光量を3倍にし、この増加された発光量で出金箱90にバラ硬貨が残留するか否かを検知する。ここで、出金箱90に残留物としてバラ硬貨が存在する場合には(図15の表の左下欄参照)、残留検知センサ91の発光素子からの発光量を3倍にしても、発光素子から発せられた光が、出金箱90に残留するバラ硬貨により遮られて受光素子により受けられないようになるため、残留検知センサ91の出力信号は依然として遮光状態となり、このことにより出金箱90にバラ硬貨が残留していることが検知される。この場合には、出金箱90にバラ硬貨が残留している旨の情報が操作表示部202に表示され、残留したバラ硬貨はすぐに回収される。
一方、出金箱90に包装紙片やホコリ等の異物が存在する場合には(図15の表の右下欄参照)、残留検知センサ91の発光量を3倍にすることにより、発光素子から発せられた光が、包装紙片やホコリ等の異物を透過して受光素子により受けられるようになるため、残留検知センサ91の出力信号が透光状態となり、出金箱90に包装紙片やホコリ等の異物が存在することが検知される。この場合には、硬貨処理装置10においてバラ硬貨の処理を引き続き行うことができるが、操作表示部202には図16に示すように出金箱90に異常の可能性がある旨のメッセージやアイコンが操作表示部202の画面に表示される。そして、アイコンが表示された直後あるいは一連の操作を終えた後の任意のタイミングに、操作表示部202に表示されるアイコン等が押下されると、出金箱90を筐体12から手前側に引き出して当該出金箱90の清掃を行うことを操作者に促す画面が操作表示部202に表示されるようになる。また、筐体12から手前側に引き出された出金箱90の清掃が行われ、この出金箱90が操作者により筐体12の内部に戻されると、操作表示部202に表示されるメッセージやアイコンが消去される。
そして、残留検知センサ91による3倍の光学量での再検知が完了すると、当該残留検知センサ91の発光素子からの発光量が元の大きさに戻されるようになる。
なお、本実施の形態による別の例では、通常の発光量で残留検知センサ91により検知を行ったときに当該残留検知センサ91の出力信号が遮光状態となってしまった場合に、残留検知センサ91の発光量を自動で増加させて再検知を行わせてもよい。
また、通常の発光量で残留検知センサ91により検知を行ったときに当該残留検知センサ91の出力信号が遮光状態となってしまった場合に、出金箱90が図示しない振動機構により振動させられるようになっていてもよい。そして、出金箱90が振動させられた後、残留検知センサ91により発光素子からの発光量を増加させて再検知を行う。この場合には、再検知を行う前に出金箱90が振動させられることにより当該出金箱90に堆積する包装紙片やホコリの山が崩されることにより、出金箱90に存在する残留物が包装紙片やホコリである場合には残留検知センサ91の出力信号が透光状態となりやすくなり、よって出金箱90に包装紙片やホコリ等の異物が存在することをより確実に検知することができるようになる。
また、本実施の形態では、出金箱90にバラ硬貨が残留するか否かを検知する残留検知センサ91と同様の構成の残留検知センサが、入金繰出部20(具体的には、供給円盤22や回転円盤24)、排出部50の返却箱50a、包装部60の回転円盤62、包装硬貨出金部130、包装硬貨一括収納箱132、包装硬貨投出部136等(特許請求の範囲における「貨幣受入空間」に対応)に設けられていてもよい。この場合、これらの構成部材に設けられた残留検知センサにより残留硬貨を検知する際に、通常の発光量で出力信号が遮光状態となったときに、発光素子からの発光量を増加させて再検知を行うようになっていてもよい。発光素子からの発光量を増加させて再検知を行う方法は、上述した出金箱90にバラ硬貨が残留するか否かを検知する残留検知センサ91により再検知を行う方法と略同一であるためその説明を省略する。
また、本実施の形態では、上径センサ152や残留検知センサ91等の光学検知センサにより通常の検知(すなわち、1回目の検知)を行った際に出力信号が遮光状態となった後に再検知を行ったときに当該光学検知センサの出力信号が透光状態となった場合と、再検知を行っても光学検知センサの出力信号が遮光状態となった場合とで、異なるエラーコードで操作表示部202によりエラー解除処理に誘導してもよい。この場合には、操作表示部202には、異なるエラー解除のガイダンス画面が表示されるようになる。また、異なるエラーコードで処理履歴が記憶部206に記憶されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、上径センサ152や残留検知センサ91等の光学検知センサの受光素子による受光量に関して2つの閾値が記憶部206に記憶されていてもよい。このような態様について図17を用いて説明する。
図17に示すように、上径センサ152や残留検知センサ91等の光学検知センサの受光素子による受光量に関して第1閾値およびこの第1閾値よりも小さい第2閾値が記憶部206に記憶されているときに、受光素子による受光量が第2閾値よりも小さい場合には(図17の(c)参照)、発光素子と受光素子との間にホコリや包装紙ではなく明らかに包装硬貨やバラ硬貨が存在すると判断される。この場合には、光学検知センサによる1回の検知で遮光状態と判断され、当該光学検知センサの光学量を増加させて再検知を行わせることはない。このようにして、光学検知センサによる無駄な再検知を行わなくてもよくなる。一方、受光素子による受光量が第1閾値よりも大きい場合には(図17の(a)参照)、発光素子と受光素子との間に物体が存在しないと判断される。この場合には、光学検知センサによる1回の検知で透光状態と判断される。また、受光素子による受光量が第2閾値よりも大きいが第1閾値よりも小さい場合には(図17の(b)参照)、発光素子と受光素子との間に何らかの物体が存在するがこの物体が包装硬貨やバラ硬貨であるか否かが不明であると判断される。この場合には、当該光学検知センサの光学量を増加させて再検知を行わせる。このようにして、発光素子と受光素子との間に存在する物体が包装硬貨やバラ硬貨であるか否かを判別することができるようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態の硬貨処理装置10によれば、発光素子および受光素子を有しており、発光素子から発せられた光が受光素子により受けられるようになっており、発光素子と受光素子との間が遮光状態となった場合に発光素子と受光素子との間に物体が存在することを検知する光学検知部としての光学検知センサ(例えば、上径センサ152や残留検知センサ91)と、光学検知部が遮光状態となった場合に、発光素子からの発光量を増加させて再検知を行わせるよう光学検知部を制御する制御部200とがそれぞれ設けられている。このように、光学検知部が遮光状態となった場合に、発光素子からの発光量を増加させて再検知を行わせることにより、発光素子と受光素子との間の光の経路をホコリや包装硬貨の包装紙等の異物が遮った場合でもこのような異物による誤検知を防止することができる。また、発光素子からの発光量を常に大きくしている場合と比較して、発光素子から発せられた光が乱反射したり他の光学検知部と干渉したりすることを抑制するとともに、発光素子の寿命が短くなってしまうことを防止することができる。
なお、発光素子からの発光量を増加させる際に、発光量を3倍にすることに限定されることはない。例えば、発光素子からの発光量を2倍、4倍、5倍等としてもよい。また、光学検知部としての光学検知センサにより再検知を行う際の発光素子からの発光量の大きさを操作者が操作表示部202により設定することができるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10においては、制御部200は、光学検知部(例えば、上径センサ152や残留検知センサ91)が遮光状態となった場合に、発光素子からの発光量を自動で増加させて再検知を行わせるよう光学検知部を制御するようになっていてもよい。あるいは、光学検知部により再検知を行う旨の指令を入力する入力手段(例えば、操作表示部202)が設けられており、制御部200は、光学検知部が遮光状態となった場合に、入力手段により再検知を行う旨の指令が入力されたときに(STEP4の「YES」)、発光素子からの発光量を増加させて再検知を行わせるよう光学検知部を制御するようになっていてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10においては、制御部200は、光学検知部により再検知を行わせた後に発光素子からの発光量を元の大きさに戻すようになっている(STEP10)。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10においては、操作者に報知を行うための報知部として操作表示部202が設けられており、制御部200は、光学検知部により最初に検知が行われたときに透光状態となった場合と、光学検知部により再検知が行われたときに透光状態となった場合とで報知の態様(具体的には、操作表示部202における表示の内容)を異ならせるよう操作表示部202を制御するようになっている。より詳細には、収納トレイ140に収納されている包装硬貨を上径センサ152により検知するにあたり、当該上径センサ152により最初に検知が行われたときに透光状態となった場合には、収納トレイ140に包装硬貨が正常に収納されている旨のメッセージが操作表示部202に表示されるようになる。一方、最初に検知が行われたときに遮光状態となっていた上径センサ152が、再検知が行われたときに透光状態となった場合には、収納トレイ140に収納されている包装硬貨について包装紙のめくれが生じている旨のメッセージが操作表示部202に表示されるようになる。また、制御部200は、光学検知部により再検知が行われたときに透光状態となった場合に、異常の解除方法を報知させるよう報知部(具体的には、操作表示部202)を制御するようになっていてもよい。具体的には、上径センサ152により再検知が行われたときに透光状態となるべきときに遮光状態となった場合に、収納トレイ140において包装硬貨の異常が発生している旨のメッセージが操作表示部202に表示されるともに、収納トレイ140から包装硬貨を一旦取り出して金種を確認した後に当該収納トレイ140に再収納させることを操作者に促す画面が操作表示部202に表示されるようになる。なお、本実施の形態では、操作者に報知を行うための報知部は操作表示部202に限定されることはない。操作者に報知を行うための報知部として、音声により操作者に対して報知を行うスピーカー等の、操作表示部202とは別の構成のものが用いられてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10においては、光学検知部(例えば、上径センサ152や残留検知センサ91)の受光素子による受光量に関して2つの閾値が記憶されており、制御部200は、受光素子による受光量が2つの閾値の間の大きさとなった場合に、発光素子からの発光量を増加させて再検知を行わせるよう光学検知部を制御するようになっていてもよい。この場合には、発光素子と受光素子との間に存在する物体が包装硬貨やバラ硬貨であるか否かをより確実に判別することができるようになる。また、受光素子による受光量が、2つの閾値のうちより小さい閾値よりも小さい場合には、発光素子と受光素子との間にホコリや包装紙ではなく包装硬貨やバラ硬貨が存在すると判断される。この場合には、光学検知部による1回の検知で遮光状態と判断され、当該光学検知部の光学量を増加させて再検知を行わせることはないため、光学検知部による無駄な再検知を行わなくてもよくなる。
なお、本発明による貨幣処理装置は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、上記の説明では、光学検知部としての光学検知センサが遮光状態となった場合に、発光素子からの発光量を増加させて再検知を行わせるような態様について述べたが、本発明における別の態様では、通常の検知用の光学検知部と、再検知用の光学検知部とがそれぞれに設けられていてもよい。この場合には、通常の検知用の光学検知部が遮光状態となった場合に、再検知用の光学検知部により再検知を行うようになる。なお、再検知用の光学検知部は、通常の検知用の光学検知部よりも大きな光量で(例えば、3倍の光量で)検知を行うようになる。
また、本発明による光学検知センサ等の光学検知部や、光学検知部が遮光状態となった場合に発光素子からの発光量を増加させて再検知を行わせるよう光学検知部を制御する制御部が、バラ硬貨や包装硬貨の処理を行う硬貨処理装置ではなく、バラ紙幣や帯封紙幣の処理を行う紙幣処理装置に設けられていてもよい。とりわけ、本発明の原理が紙幣処理装置に適用される場合には、光学検知部は、帯封紙幣の検知を行う際に用いられるようになっていてもよい。