<取扱説明書から操作画面への移行制御>
本実施例では、金融機関のバックヤードなどで出納機として用いられる貨幣入出金機に本発明を適用する場合について説明する。本実施例に係る貨幣入出金機は、バラ紙幣、包装紙幣、バラ硬貨、包装硬貨を装置内部に収納することができ、貨幣の入出金に係る操作を受け付けるための操作画面を表示操作部に表示制御する。また、貨幣入出金機は、装置内部に電子取扱説明書のデータを記憶しており、表示操作部に電子取扱説明書を表示制御することができる。
図1は、貨幣入出金機による表示制御についての説明図である。図1(a1)は、待機状態で表示操作部に表示される操作画面である。待機状態の操作画面では、バラ紙幣、包装紙幣、バラ硬貨、包装硬貨の在高が金種毎に表示される。また、待機状態の操作画面には、取扱説明書を表示させるための取扱説明書ボタンが表示される。
図1(a1)に示した操作画面において、在高が表示されている画面領域に操作者が触れると、貨幣入出金機は、図1(a2)に示す操作画面のメインメニューを表示操作部に表示制御する。
図1(a2)に示す操作画面のメインメニューでは、入金、入出金、管理業務、出金、ユーザメニュー、照会、両替、回収、メンテナンスなどの項目に対応する操作ボタンが表示される。操作者がこれらの項目から所望の操作に対応する項目を選んで操作すると、選択した項目に属する下位の操作画面が表示制御される。このように、操作画面は木構造状に階層化されており、操作者は木構造状の操作画面を辿ることで所望の操作を行うための操作画面に到達することができる。
例えば、図1(a3)に示す損券・損貨の入金を行う操作画面を表示する場合には、操作者は入金の項目に対応する操作ボタンから木構造状の操作画面を辿ることになる。
一方、図1(a1)に示した操作画面において、取扱説明書ボタンに操作者が触れると、貨幣入出金機は、図1(b1)に示すように取扱説明書を表示操作部に表示制御する。取扱説明書の表示制御では、表示操作部の左側に目次が表示され、右側に目次に対応する説明の内容が表示される。また、取扱説明書から指定の語句を検索するための検索用入力領域も表示される。
操作者が検索用入力領域に語句を入力して検索を実行すると、貨幣入出金機は、入力された語句に対応する取扱説明書の項目を検索して表示制御する。図1(b2)は、「損券入金」を入力して検索を実行した状態を示している。このため、図1(b2)では、左側の目次に「3.14 損券入金」とその前後の項目が表示され、右側には「3.14 損券入金」に対応する操作の説明が表示されている。
さらに、取扱説明書に係るデータに含まれる各項目データは、該項目データに対応する操作画面に係るデータへのリンク情報を有している。このため、表示操作部に表示中の電子取扱説明書の項目に対応する操作画面に移行させることができる。
図1(b2)では、損券の入金に係る操作の説明が表示されているので、操作者は、図1(b2)の取扱説明書の表示から図1(a3)に示す操作画面に表示を移行させることができる。
このように、本実施例に係る貨幣入出金機は、電子取扱説明書内の項目と操作画面上の項目との間にリンクを張り、電子取扱説明書内の項目から操作画面に移行させることができる。すなわち、木構造状の操作画面を辿ることなく所望の操作画面に移行することができ、また、操作に関する説明を確認した上で直ちに操作画面に移行することができる。これらのことから、貨幣入出金機の操作性は大きく高められることとなる。
なお、操作者について認証を行えば、操作者の権限や担当業務に合わせて取扱説明書の表示や操作画面への移行を制御できる。例えば、操作に必要な権限を持たない操作者が取扱説明書を検索した場合、操作の説明は表示するが操作画面への移行は行わない、といった制御が可能である。また、取扱説明書の特定の項目について、権限を持たない操作者には表示自体を行わないといった制御も可能である。
<貨幣入出金機の外観構成>
次に、本実施例に係る貨幣入出金機1の外観構成について説明する。図2は、実施例に係る貨幣入出金機の外観を示す斜視図である。図2に示すように、実施例に係る貨幣入出金機1は、紙幣入出金装置10及び硬貨入出金装置110が左右に並ぶよう配置されることにより構成されている。紙幣入出金装置10は、バラ紙幣の入金処理や出金処理を行うことができるとともに、機体内で所定枚数(例えば、100枚)のバラ紙幣を結束して帯封紙幣を作成、作成した帯封紙幣の出金処理とを行うことができる。硬貨入出金装置110は、バラ硬貨の入金処理や出金処理を行うことができるとともに、機体内で所定枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨に紙やフィルム等の包装媒体を巻くことにより包装硬貨を作成し、作成した包装硬貨の出金処理を行うことができる。
<紙幣入出金装置の構成>
次に、貨幣入出金機1における紙幣入出金装置10の構成について図2及び図3を用いて説明する。図3は、図2に示した貨幣入出金機における紙幣入出金装置の内部構成を示す構成図である。図2及び図3に示すように、紙幣入出金装置10は略直方体形状の筐体12を有しており、この筐体12の前面には、筐体12の外部から内部にバラ紙幣を入金するための投入部14、筐体12の内部から外部にバラ紙幣を出金するためのバラ紙幣投出部24、筐体12の内部から外部に帯封紙幣を出金するための帯封紙幣投出部48がそれぞれ設けられている。なお、図3における筐体12の左側の側面が紙幣入出金装置10の前面側(すなわち、図2に示すように紙幣入出金装置10を手前側から見たときの正面側)となっており、図3における右方向が筐体12の奥行き方向となっている。
図2に示すように、投入部14の前面は筐体12の外部に開口しており、操作者はこの開口を介して投入部14の内部にアクセスする(具体的には、投入部14の内部に手を入れる)ことができる。このことにより、操作者は投入部14の内部にバラ紙幣の束を投入することができる。
一方、バラ紙幣投出部24及び帯封紙幣投出部48にはそれぞれシャッター24a、48aが設けられており、これらのシャッター24a、48aは、バラ紙幣投出部24の前面に面する開口(すなわち、バラ紙幣の出金口)や帯封紙幣投出部48の前面に面する開口(すなわち、帯封紙幣の出金口)をそれぞれ開閉する。シャッター24a、48aによりバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の開口が開かれると、操作者はバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の内部にそれぞれアクセスする(具体的には、バラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の内部に手を入れる)ことが可能となり、当該操作者はバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48に集積されているバラ紙幣や帯封紙幣を筐体12の内部から外部に取り出すことができる。これらのシャッター24a、48aはシャッター駆動部24b、48b(図9参照)によりそれぞれ駆動される。
なお、実施例に係る紙幣入出金装置10では、バラ紙幣投出部24は、バラ紙幣の出金処理が行われる際にバラ紙幣を筐体12の外部に排出するための出金部として機能するとともに、入金処理時に後述する識別部20により識別することができなかったバラ紙幣や、識別部20により正常なバラ紙幣ではないと識別されたバラ紙幣を筐体12の外部に排出するための入金リジェクト部として機能する。
また、図3に示すように、筐体12の前面におけるバラ紙幣投出部24の下方には、紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の出金処理が行われる際にバラ紙幣投出部24により筐体12の外部に出金すべきではないと判断されたバラ紙幣が集積される出金リジェクト部26が設けられている。出金リジェクト部26の前面は筐体12の外部に開口しておらず、操作者は筐体12から紙幣入出金装置10の本体部分を手前側に引き出さない限りこの出金リジェクト部26にアクセスすることができない。
図3に示すように、投入部14には、当該投入部14に投入されたバラ紙幣を1枚ずつ筐体12の内部に繰り出すための繰出部16が設けられている。また、紙幣入出金装置10の筐体12の内部には、当該筐体12内でバラ紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部18が設けられており、繰出部16により投入部14から繰り出されたバラ紙幣は搬送部18により筐体12内で搬送される。また、搬送部18には識別部20が設けられており、搬送部18により搬送されるバラ紙幣は識別部20によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別される。また、搬送部18には表裏反転部22が設けられている。表裏反転部22は、識別部20により識別されたバラ紙幣の表裏が揃うように反転させる。
また、図3に示すように、搬送部18には入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び複数(図3に示す例では3つ)の金種別バラ紙幣収納部34がそれぞれ接続されており、搬送部18は、これらの入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34にバラ紙幣を搬送する。ここで、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34にはそれぞれ図3における上下方向に移動可能となっているステージ30a、32a、34aが設けられており、バラ紙幣は、これらのステージ30a、32a、34a上に積層状態で集積される。
また、入金一時保留部30の上端部の近傍には紙幣繰出繰入部30bが設けられており、当該入金一時保留部30に一時的に保留されているバラ紙幣は紙幣繰出繰入部30bにより1枚ずつ搬送部18に繰り出される。また、紙幣繰出繰入部30bにより搬送部18から入金一時保留部30にバラ紙幣が1枚ずつ繰り入れられる。入金一時保留部30には、バラ紙幣の入金処理において識別部20により識別されたバラ紙幣が混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34に収納される前に一時的に保留される。
また、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34の上端部の近傍にはそれぞれ紙幣繰出繰入部32b、34bが設けられており、混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34に収納されているバラ紙幣は紙幣繰出繰入部32b、34bにより1枚ずつ搬送部18に繰り出される。また、紙幣繰出繰入部32b、34bにより搬送部18から混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34にバラ紙幣が1枚ずつ繰り入れられる。各金種別バラ紙幣収納部34には、それぞれ予め設定された特定の金種のバラ紙幣(例えば、千円紙幣、五千円紙幣及び一万円紙幣からなる3つの金種のバラ紙幣)が金種毎に収納される。一方、混合バラ紙幣収納部32には、各金種別バラ紙幣収納部34に割り当てられていない金種のバラ紙幣(例えば、二千円紙幣)や損券、ならびに後述するオーバーフロー紙幣等が混合状態で収納される。
図2及び図3に示すように、筐体12の下部には下部扉12aが設けられており、この下部扉12aを開くことにより操作者は入金一時保留部30の内部へのアクセスが可能となる。また、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34は、筐体12の内部から手前側に(すなわち、図3における左方向に)引き出し可能となっている引出ユニット13に収容されている。そして、操作者が下部扉12aを開いて引出ユニット13を筐体12の内部から手前側に引き出すことにより、当該操作者は混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34の引出ユニット13からの取り外しと装着が可能となる。また、本実施例に係る紙幣入出金装置10では、引出ユニット13を筐体12の内部にロックするためのロック機構50(図9参照)が引出ユニット13に設けられている。
また、図3に示すように、搬送部18には複数(図3に示す例では2つ)の整理一時保留部40が接続されており、当該搬送部18から各整理一時保留部40にバラ紙幣が送られるとこれらの整理一時保留部40にバラ紙幣が積層状態で集積される。また、本実施例に係る紙幣入出金装置10では、所定枚数(例えば、100枚)のバラ紙幣からなる紙幣束に帯封紙を巻くことにより帯封紙幣を作成する帯封部42が各整理一時保留部40の隣に設けられている。
また、図3に示すように、筐体12の内部において帯封部42の近傍にはアーム機構44が設けられており、当該アーム機構44は各整理一時保留部40、帯封部42及び後述する帯封紙幣揚送部46の間で移動可能である。アーム機構44は、各整理一時保留部40に集積された所定枚数のバラ紙幣からなる紙幣束を帯封部42に搬送する。また、帯封部42において帯封処理が行われる際に、所定枚数のバラ紙幣からなる紙幣束を保持しているアーム機構44はこの帯封部42に移動し、当該帯封部42においてアーム機構44の上下一対のアーム部により挟持された状態にある紙幣束の外周面に帯封紙が巻かれる。また、帯封部42において帯封処理が行われた後、アーム機構44は帯封部42から帯封紙幣揚送部46に移動して、この帯封紙幣揚送部46のステージ46a(後述)上に帯封紙幣を受け渡す。このような動作を繰り返すことにより、複数の帯封紙幣を帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に集積させることができる。
帯封紙幣揚送部46には、図3における上下方向に移動可能なステージ46aが設けられており、帯封部42により作成された帯封紙幣がアーム機構44からステージ46a上に受け渡されると、当該ステージ46a上に帯封紙幣が集積される。そして、アーム機構44からステージ46a上に1又は複数の帯封紙幣が受け渡された後、ステージ46aが図3における上方向に移動することにより帯封紙幣投出部48と同じ高さレベルに到達し、シャッター48aが開くと、操作者は帯封紙幣投出部48の内部にアクセスしてステージ46a上に集積されている帯封紙幣を筐体12の外部に取り出すことができる。また、ステージ46aが更に上昇すると、当該ステージ46a上に集積されている帯封紙幣を後述する帯封紙幣搬送部60に受け渡したり、帯封紙幣搬送部60から帯封紙幣をステージ46a上に集積させることができる。
図3に示すように、筐体12の内部における上部領域には、複数(図3に示す例では4つ)の帯封紙幣収納部70が設けられており、これらの帯封紙幣収納部70には、帯封部42により作成された帯封紙幣が積層状態で収納される。具体的には、各帯封紙幣収納部70には、それぞれ予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納される。なお、予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納される帯封紙幣収納部70が4つ設けられる代わりに、複数の帯封紙幣収納部70のうち少なくとも1つの帯封紙幣収納部70に金種が異なる帯封紙幣が混合状態で収納されるように構成してもよい。
各帯封紙幣収納部70の内部にはそれぞれ図3における上下方向に移動可能なステージ70aが設けられており、帯封紙幣収納部70の上端部(天井部分)に設けられた開口(図示せず)からこれらの各帯封紙幣収納部70に送られた帯封紙幣はステージ70a上に積層状態で集積される。また、各帯封紙幣収納部70から帯封紙幣を出す場合には、ステージ70aが上昇することにより各帯封紙幣収納部70の上端部(天井部分)に設けられた開口から帯封紙幣が上方に出される。
また、これらの各帯封紙幣収納部70の上方には帯封紙幣の搬送を行う帯封紙幣搬送部60が設けられている。帯封紙幣搬送部60は、複数の突起60aが等間隔で設けられた循環ベルト60bを有しており、この循環ベルト60bは図3における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に循環移動することができる。そして、帯封紙幣搬送部60により帯封紙幣が搬送される際に、当該帯封紙幣は循環ベルト60bの下面に沿って突起60aにより引っ掛けられた状態で図3における左右いずれかの方向に移動する。また、図3に示すように、帯封紙幣搬送部60による帯封紙幣の搬送路における帯封紙幣揚送部46の上端と帯封紙幣収納部70との間には判別部62が設けられており、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣は当該判別部62によりその金種が判別される。
ここで、帯封部42により作成された帯封紙幣を各帯封紙幣収納部70に収納させる際には、アーム機構44から帯封紙幣が帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に受け渡された後に当該ステージ46aが上昇して帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで到達する。また、循環ベルト60bは図3における反時計回りの方向に循環移動する。このことにより、ステージ46a上の帯封紙幣のうち最上位にある帯封紙幣が突起60aにより引っ掛けられて循環ベルト60bの下面に沿って図3における右方向に搬送され、判別部62によりその金種が判別された後、当該判別部62による判別結果に基づいて対応する各帯封紙幣収納部70に収納される。一方、各帯封紙幣収納部70に収納されている帯封紙幣を帯封紙幣投出部48により筐体12の外部に出金する際には、循環ベルト60bは図3における時計回りの方向に循環移動し、各帯封紙幣収納部70から上方に押し出された最上位の帯封紙幣が突起60aにより引っ掛けられて循環ベルト60bの下面に沿って図3における左方向に搬送される。また、ステージ46aが上昇して帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで到達する。そして、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣の金種が判別部62により判別された後、当該帯封紙幣はステージ46a上に集積される。複数の帯封紙幣を出金する際には、帯封紙幣の送り込みに合わせてステージ46aが所定量(具体的には、帯封紙幣の厚み寸法相当)ずつ下降する。ステージ46a上に所定の数の帯封紙幣が集積されると当該ステージ46aが帯封紙幣投出部48と同じ高さレベルまで下降し、シャッター48aが開く。
<硬貨入出金装置の構成>
次に、貨幣入出金機1における硬貨入出金装置110の構成について図2及び図4〜図8を用いて説明する。図4は、図2に示した貨幣入出金機における硬貨入出金装置を正面側から見たときの内部構成を示す構成図である。図5は、図2に示した貨幣入出金機における硬貨入出金装置を左側方から見たときの内部構成を示す構成図である。図6は、図2に示した貨幣入出金機における硬貨入出金装置を右側方から見たときの内部構成を示す構成図である。図7は、硬貨入出金装置における入金繰出部及び入金搬送部を上方から見たときの構成を示す構成図である。また、図8は、硬貨入出金装置における各構成部材間での硬貨の流れを示す説明図である。
図2及び図4〜図8に示すように、硬貨入出金装置110は、略直方体形状の筐体112と、筐体112の上面に設けられた硬貨投入口121に投入されたバラ硬貨を筐体112の内部に繰り出す入金繰出部120と、入金繰出部120により繰り出されたバラ硬貨を搬送する入金搬送部128と、入金搬送部128により搬送されるバラ硬貨を識別する入金識別部129とを備えている。また、図7に示すように、入金搬送部128には、入金識別部129により正常な硬貨ではないと識別されたバラ硬貨や入金識別部129により識別することができなかったバラ硬貨をリジェクト硬貨として選別するリジェクト選別部130、入金識別部129により特定の任意の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する任意選別部134、及び入金識別部129により各々の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する複数の金種別選別部136がそれぞれ設けられている。また、筐体112の内部には、任意選別部134や各金種別選別部136により選別されたバラ硬貨を金種毎に一時的に保留する入金一時保留部140、及び入金一時保留部140から送られたバラ硬貨を金種毎に収納するとともに収納されているバラ硬貨を繰り出すことができる複数の収納繰出部152がそれぞれ設けられている。また、筐体112の内部には、任意選別部134により選別されたバラ硬貨を紙やフィルム等の包装媒体により包装することによって包装硬貨を作成する包装部160、包装部160により作成された包装媒体を収納する包装硬貨収納ユニット200及び包装部160により作成された包装媒体を筐体112の内部で搬送する包装硬貨搬送ユニット210がそれぞれ設けられている。このような硬貨入出金装置110の各構成部材の詳細について以下に説明する。
図4、図5及び図7に示すように、入金繰出部120は、筐体112の上面に設けられた硬貨投入口121に投入されたバラ硬貨を受け入れる供給円盤122と、この供給円盤122からバラ硬貨が適量ずつ供給される回転円盤124と、回転円盤124からバラ硬貨を1枚ずつ入金搬送部128に繰り出す繰出機構126とを有している。
図7に示すように、入金搬送部128は、入金繰出部120から繰り出されたバラ硬貨を搬送路に沿って搬送する搬送ベルトを有している。ここで、搬送ベルトとしては例えば入金搬送部128の搬送路に沿って移動する丸ベルトが用いられ、入金繰出部120から繰り出されたバラ硬貨は当該丸ベルトとの間で働く摩擦力により搬送路に沿って搬送される。また、入金搬送部128には、当該入金搬送部128により搬送されるバラ硬貨の金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等の識別を行う入金識別部129が設けられている。入金識別部129によるバラ硬貨の識別情報は後述する制御部300に送られる。
また、図7に示すように、入金搬送部128には、入金識別部129により正常な硬貨ではないと識別されたバラ硬貨や入金識別部129により識別することができなかったバラ硬貨をリジェクト硬貨として選別するリジェクト選別部130が設けられている。また、図5に示すように、筐体112の内部には、リジェクト選別部130により選別されたリジェクト硬貨としてのバラ硬貨が集積される入金リジェクト部138、及びリジェクト選別部130から入金リジェクト部138にリジェクト硬貨としてのバラ硬貨を送る入金リジェクト用シュート131がそれぞれ設けられている。ここで、図2に示すように、操作者は筐体112の前面から入金リジェクト部138の内部にアクセス可能であり、入金リジェクト部138に送られたリジェクト硬貨としてのバラ硬貨を操作者は筐体112の前面から取り出すことができる。
また、図7に示すように、入金搬送部128において、硬貨の搬送方向におけるリジェクト選別部130の下流側には、入金識別部129により特定の任意の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する任意選別部134が設けられている。ここで、任意選別部134により選別される特定の任意の金種の硬貨とは、例えばバラ硬貨の包装処理において包装部160によって包装媒体により包装されることにより包装硬貨とされるべきバラ硬貨や、特定の金種の硬貨の計数処理において袋装着部に装着される貯留袋175(図5において二点鎖線で表示)に送られるべきバラ硬貨のことをいう。
また、図7に示すように、入金搬送部128において、硬貨の搬送方向における任意選別部134の更に下流側には、入金識別部129により各々の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する複数の金種別選別部136が設けられている。具体的には、複数の金種別選別部136として、硬貨の搬送方向における上流側から順に、5円硬貨を選別する5円硬貨選別部136a、1円硬貨を選別する1円硬貨選別部136b、50円硬貨を選別する50円硬貨選別部136c、100円硬貨を選別する100円硬貨選別部136d、10円硬貨を選別する10円硬貨選別部136e及び500円硬貨を選別する500円硬貨選別部136fが設けられている。ここで、リジェクト選別部130、任意選別部134及び5円硬貨選別部136aは、ソレノイド等の電気的駆動機構によって強制的にバラ硬貨を分岐孔に落とし込ませる構成となっている。一方、1円硬貨選別部136b、50円硬貨選別部136c、100円硬貨選別部136d及び10円硬貨選別部136eは、小径硬貨から大径硬貨の順にバラ硬貨を径の大きさで選別して該当する分岐孔に落とし込ませる構成となっている。また、500円硬貨選別部136fは、5円硬貨選別部136a、1円硬貨選別部136b、50円硬貨選別部136c、100円硬貨選別部136d及び10円硬貨選別部136eの各分岐孔に落とし込まれなかったバラ硬貨を500円硬貨として当該500円硬貨選別部136fに対応する分岐孔に落とし込ませる構成となっている。
また、図4及び図5に示すように、筐体112の内部において入金搬送部128の下方には入金一時保留部140が設けられている。入金一時保留部140は、任意選別部134により選別されたバラ硬貨が一時的に保留される任意一時保留部142と、各金種別選別部136により選別されたバラ硬貨が金種別に一時的に保留される金種別一時保留部144とを有している。ここで、任意一時保留部142は、その上部及び底部が開口した枠体から構成されている。また、金種別一時保留部144は、5円、1円、50円、100円、10円、500円の各金種に対応する保留領域144a、144b、144c、144d、144e、144fに区画された、その上部及び底部が開口した枠体から構成されている。また、任意一時保留部142及び金種別一時保留部144は互いに連結されており、これらの任意一時保留部142及び金種別一時保留部144は一体的に水平方向に移動する。また、任意一時保留部142や金種別一時保留部144の下方には板状の底部材146が設けられており、これらの任意一時保留部142や金種別一時保留部144の枠体の底部に設けられた開口が底部材146により選択的に閉止可能である。また、図4及び図5に示すように、入金一時保留部140は、任意一時保留部142及び金種別一時保留部144を水平方向(具体的には、図4における左右方向)に移動させる第1駆動機構145と、底部材146を水平方向(具体的には、図4における左右方向)に移動させる第2駆動機構147とを有している。
また、図4及び図5に示すように、筐体112の内部において入金一時保留部140の更に下方には、入金一時保留部140から送られたバラ硬貨を筐体112の外部に排出するための排出部150、入金一時保留部140から送られたバラ硬貨を金種毎に収納するとともに収納されているバラ硬貨を繰り出すことができる複数の収納繰出部152、入金一時保留部140の任意一時保留部142から送られたバラ硬貨を包装部160や後述する袋装着部に装着された貯留袋175に送るシュート機構170、及び入金一時保留部140の任意一時保留部142から送られたバラ硬貨が収納されるバラ硬貨一括収納箱198(図2参照、図4や図5では図示せず)がそれぞれ設けられている。
入金一時保留部140における金種別一時保留部144は、各金種別選別部136の分岐孔の真下かつ排出部150の真上の位置である第1位置と、各収納繰出部152の真上の位置である第2位置との間で図4における左右方向に移動可能である。また、底部材146は、第1位置にある金種別一時保留部144の底部の開口を塞ぐ第1位置と、第1位置にある金種別一時保留部144の底部の開口を開く第2位置との間で図4における左右方向に移動可能である。また、実施例1に係る硬貨入出金装置110が待機状態にあるときには金種別一時保留部144は第1位置に位置するとともに底部材146も第1位置に位置する。ここで、金種別一時保留部144が第1位置に位置するとともに底部材146が第1位置に位置しているときには、各金種別選別部136の分岐孔に落とし込まれたバラ硬貨は金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fに金種毎に一時的に保留される。そして、金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fにバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第1駆動機構145により金種別一時保留部144が第1位置から第2位置に移動させられると、金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fの底部に設けられた開口が開くことにより各保留領域144a〜144fからバラ硬貨が自重により落下して各収納繰出部152の収納領域152a〜152f(後述)に金種毎に送られ、各収納繰出部152の収納領域152a〜152fに金種毎に収納される。一方、金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fにバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第2駆動機構147により底部材146が第1位置から第2位置に移動させられると、金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fの底部に設けられた開口が開くことにより各保留領域144a〜144fからバラ硬貨が自重により落下して排出部150に送られ、この排出部150に金種混合状態で集積される。
また、入金一時保留部140における任意一時保留部142は、第1駆動機構145による当該任意一時保留部142の移動方向(具体的には、図4における左右方向)に沿って並ぶ第1保留領域及び第2保留領域に区画されたものから構成されている。そして、金種別一時保留部144が第1位置に位置しているときには任意一時保留部142の第1保留領域が任意選別部134の分岐孔の真下に位置するとともに排出部150の真上に位置する。なお、このときに底部材146が第1位置に位置しているときには任意一時保留部142の第1保留領域の底部の開口が当該底部材146により塞がれ、任意選別部134の分岐孔に落とし込まれたバラ硬貨は任意一時保留部142の第1保留領域に一時的に保留される。また、金種別一時保留部144が第2位置に位置しているときには任意一時保留部142の第1保留領域がバラ硬貨一括収納箱198の真上に位置する。そして、任意一時保留部142の第1保留領域にバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第1駆動機構145により金種別一時保留部144が第1位置から第2位置に移動させられると、任意一時保留部142の第1保留領域の底部に設けられた開口が開くことによりこの第1保留領域からバラ硬貨が自重により落下してバラ硬貨一括収納箱198に送られ、このバラ硬貨一括収納箱198に収納される。一方、任意一時保留部142の第1保留領域にバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第2駆動機構147により底部材146が第1位置から第2位置に移動させられると、任意一時保留部142の第1保留領域の底部に設けられた開口が開くことによりこの第1保留領域からバラ硬貨が自重により落下して排出部150に送られ、当該排出部150に集積される。また、第1駆動機構145によって、入金一時保留部140における任意一時保留部142を、その第2保留領域が任意選別部134の分岐孔の真下に位置する第3位置に移動させることができる。ここで、任意一時保留部142が第3位置に位置しているときには、任意選別部134の分岐孔に落とし込まれたバラ硬貨は任意一時保留部142の第2保留領域に送られた後、この第2保留領域を通過してシュート機構170の上部シュート172(後述)に送られる。
図5等に示すように、複数の収納繰出部152の各々は、それぞれ、5円、1円、50円、100円、10円、500円の各金種に対応する収納領域152a、152b、152c、152d、152e、152fを有しており、これらの収納領域152a〜152fにバラ硬貨が金種別に収納される。より詳細には、各収納繰出部152の収納領域152a〜152fには、入金一時保留部140の金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fからバラ硬貨がそれぞれ送られる。また、各収納繰出部152において収納領域152a〜152fの底部には回転円盤等の硬貨繰出部152pがそれぞれ設けられており、各硬貨繰出部152pにより各収納繰出部152の収納領域152a〜152fからバラ硬貨が1枚ずつ繰り出される。また、各収納繰出部152の下方には水平方向に延びるコンベア154が設けられており、各硬貨繰出部152pにより各収納繰出部152の収納領域152a〜152fから繰り出されたバラ硬貨はコンベア154により搬送される。ここで、コンベア154には、当該コンベア154により搬送されるバラ硬貨の金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等の識別を行う出金識別部155が設けられている。出金識別部155によるバラ硬貨の識別情報は後述する制御部300に送られる。また、出金識別部155により識別されたバラ硬貨はコンベア154により出金用シュート158を介して出金箱190に送られるか、あるいは包装用シュート157を介して包装部160に送られる。
排出部150は、筐体112の前面から操作者が手前側に引き出し可能な返却箱150aを有しており、入金一時保留部140における任意一時保留部142の第1保留領域や金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fから送られたバラ硬貨が金種混合状態で返却箱150aに集積される。
バラ硬貨一括収納箱198は、筐体112の前面から操作者が手前側に引き出し可能であり、入金一時保留部140における任意一時保留部142の第1保留領域から送られたバラ硬貨が集積される。
図5に示すように、シュート機構170は、入金一時保留部140における任意一時保留部142の第2保留領域から送られたバラ硬貨が通過する上部シュート172と、この上部シュート172から分岐した貯留用シュート174及び包装用シュート176とを有する。上部シュート172から貯留用シュート174や包装用シュート176への分岐箇所には分岐部材178が設けられている。上部シュート172から分岐部材178により包装用シュート176に分岐させられたバラ硬貨は包装部160に送られる。一方、図5に示すように、貯留用シュート174の下流側端部に位置する排出側開口174aは筐体112の前面に開口する。この排出側開口174aの近傍には、図5において二点鎖線で示すような貯留袋175を筐体112の前面に装着させる袋装着部(図示せず)が設けられている。そして、袋装着部に貯留袋175が装着されているときには、上部シュート172から分岐部材178により貯留用シュート174に分岐させられたバラ硬貨は排出側開口174aから貯留袋175に送られてこの貯留袋175に貯留される。
出金箱190は、筐体112の前面から操作者が手前側に引き出し可能であり、本実施例1に係る硬貨入出金装置110においてバラ硬貨の出金処理が行われる際に、各収納繰出部152の収納領域152a〜152fから繰り出されたバラ硬貨がコンベア154により出金用シュート158を介して出金箱190に送られる。また、出金箱190には、操作者が当該出金箱190を筐体112の前面から手前側に引き出す際に把持される取っ手190aが設けられ、取っ手190aを操作者が把持することにより出金箱190を筐体112から容易に引き出すことができる。また、出金箱190には図示しないロック機構が設けられており、このロック機構により出金箱190は筐体112の内部にロックされる。一方、ロック機構によるロックが解除されると、操作者は出金箱190を筐体112の前面から手前側に引き出すことができる。また、図4に示すように、出金箱190の底部には開口が設けられているとともに、この開口はシャッタ部材192により選択的に閉じられる。また、筐体112の下部には、出金リジェクト箱156と、出金箱190の底部に設けられた開口から出金リジェクト箱156にバラ硬貨を送る出金リジェクト用シュート194がそれぞれ設けられている。そして、本実施例1に係る硬貨入出金装置110においてバラ硬貨の出金処理が行われる際に、出金されるべきバラ硬貨の金種とは異なる金種のバラ硬貨が収納繰出部152の各収納領域152a〜152fから繰り出されて出金箱190に送られたり、収納繰出部152の各収納領域152a〜152fからのバラ硬貨の繰り出しエラーによって各収納領域152a〜152fから繰り出されたバラ硬貨の枚数が不確定となってしまったりした場合には、出金箱190の底部に設けられた開口がシャッタ部材192により開かれ、出金箱190に送られたバラ硬貨はこの出金箱190から出金リジェクト用シュート194を介して出金リジェクト箱156に送られる。
包装部160は、シュート機構170の包装用シュート176や包装用シュート157により当該包装部160に送られたバラ硬貨が集積されるとともに集積されたバラ硬貨を1枚ずつ繰り出す集積部としての回転円盤162と、回転円盤162により繰り出されたバラ硬貨を搬送するコンベア163と、コンベア163により搬送されたバラ硬貨が積層状態で集積されるとともに集積された所定の枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨を紙やフィルム等の包装媒体により包装する包装機構168とを有している。ここで、包装機構168は上方から見て仮想の正三角形の各頂点に位置する3本の包装ローラ168aを有しており、各包装ローラ168aの間の包装領域において所定枚数重積した重積硬貨が包装媒体により包装されることにより包装硬貨が作成される。図6に示すように、包装機構168により作成された包装硬貨はこの包装機構168から下方に排出される。また、包装機構168の下方には包装硬貨用シュート165及び横搬送部167が設けられており、包装機構168により作成された包装硬貨が当該包装機構168から下方に排出されると、この排出された包装硬貨は包装硬貨用シュート165を通って横搬送部167に送られ、この横搬送部167により包装硬貨搬送ユニット210に向かって搬送される。また、横搬送部167と包装硬貨搬送ユニット210との間には、横搬送部167から包装硬貨搬送ユニット210への包装硬貨の放出と放出規制とを切り換える切換部材169が設けられている。
また、図4等に示すように、包装部160においてコンベア163の下方には排出シュート164が設けられており、包装機構168により所定の枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨を包装する際に所定の枚数に満たない端数分のバラ硬貨はコンベア163から排出シュート164に送られてこの排出シュート164により出金リジェクト箱156に送られる。また、出金リジェクト箱156の近傍には、端数分のバラ硬貨を収納する端数硬貨収納箱197が設けられているとともに、この出金リジェクト箱156には、排出シュート164から送られた端数分のバラ硬貨を出金リジェクト箱156及び端数硬貨収納箱197の何れかに分岐させる分岐部材196が設けられている。このような分岐部材196が設けられていることにより、コンベア163から排出シュート164に送られた端数分のバラ硬貨を出金リジェクト箱156及び端数硬貨収納箱197のうち何れかに収納させることができる。
図6に示すように、包装硬貨搬送ユニット210は、筐体112の内部における上部及び下部にそれぞれ設けられた2つのプーリ212と、これらの2つのプーリ212に掛け渡された無端状の循環ベルト214と、2つのプーリ212のうち一方のプーリ212を回転駆動させることにより循環ベルト214を図6における時計回りの方向及び反時計回りの方向に循環移動させる駆動モータ(図示せず)とを有している。また、図6に示すように、循環ベルト214には、包装硬貨搬送ユニット210により搬送されるべき包装硬貨が引っ掛けられる突起216が等間隔で複数設けられている。ここで、各突起216は、当該突起216と包装硬貨とが接する面が循環ベルト214の延びる方向(すなわち、図6における上下方向)に対して所定の角度(例えば、60°)をなして傾斜する方向に当該循環ベルト214から突出して形成されている。このように各突起216が循環ベルト214の延びる方向に対して傾斜していることにより、突起216に引っ掛けられた包装硬貨はその自重により突起216上で循環ベルト214側に寄せられる。そして、循環ベルト214が図6における反時計回りの方向に循環移動すると、包装硬貨は突起216に引っ掛けられた状態で(すなわち、突起216上で循環ベルト214側に寄せられた状態で)循環ベルト214の移動に合わせて図6における反時計回りの方向に沿って搬送される。また、循環ベルト214は、所定量だけ移動すると所定時間だけ停止し、その後再び所定量だけ移動するような動作が繰り返し行われる間欠移動を行うよう、駆動モータにより駆動される。
また、図6に示すように、筐体112の内部において包装硬貨搬送ユニット210の近傍には、包装硬貨の収納を行う包装硬貨収納ユニット200が設けられている。ここで、包装硬貨収納ユニット200は、同一金種の複数の包装硬貨を一列に収納する複数(図6に示す例では6つ)の収納トレイ240を有しており、各収納トレイ240には包装硬貨が金種別に収納される。各収納トレイ240は水平方向に対して傾斜しており、収納トレイ240に収納されている包装硬貨は、包装硬貨搬送ユニット210に近い側である収納トレイ240の最前部に向かって転がる。また、各収納トレイ240は鉛直方向に沿って並ぶよう配置されている。また、各収納トレイ240に収納される包装硬貨の金種は収納トレイ240毎に予め設定されている。
また、各収納トレイ240は、図6に示す位置から包装硬貨搬送ユニット210に向かって(すなわち、図6における左方向に)移動可能であり、各収納トレイ240が包装硬貨搬送ユニット210における循環ベルト214の近傍の位置まで進出したときに、各収納トレイ240に収納されている包装硬貨が循環ベルト214の突起216に1つずつ受け渡される。また、各収納トレイ240の前端部分(すなわち、図6における左端部分)と、包装硬貨搬送ユニット210との間には、各収納トレイ240に対応して複数のストッパ部分204aが設けられたストッパ機構204が上下方向に移動可能に配置されている。このストッパ機構204が下降位置にあるときには、包装硬貨搬送ユニット210に向かって進出した収納トレイ240の最前部の包装硬貨にストッパ部分204aが接触してこの最前部の包装硬貨が循環ベルト214の突起216に受け渡されない。この場合には、循環ベルト214により搬送される包装硬貨が突起216から収納トレイ240の最前部に受け渡され、この収納トレイ240に収納される。一方、ストッパ機構204が上昇位置にあるときには、包装硬貨搬送ユニット210に向かって進出した収納トレイ240の最前部の包装硬貨にストッパ部分204aが接触せず、この最前部の包装硬貨が循環ベルト214の突起216に受け渡される。
また、筐体112の前面において包装硬貨搬送ユニット210の前部域には、包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232及び包装硬貨投出部236がそれぞれ設けられている。また、包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232及び包装硬貨投出部236の各々に対応して、包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214により搬送される包装硬貨を選択的に包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232及び包装硬貨投出部236にそれぞれ分岐させる分岐部材218、219、220が設けられている。また、分岐部材220により包装硬貨搬送ユニット210から分岐させられた包装硬貨を包装硬貨投出部236に送る包装硬貨投出用シュート238が設けられている。ここで、図2に示すように、操作者は筐体112の前面から包装硬貨出金部230にアクセス可能であり、包装硬貨出金部230に送られた包装硬貨を操作者は筐体112の外部に取り出すことができる。また、図2に示すように、操作者は筐体112の前面から包装硬貨投出部236にアクセス可能であり、分岐部材220により包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214から分岐させられて包装硬貨投出用シュート238により包装硬貨投出部236に送られた包装硬貨を操作者は筐体112の外部に取り出すことができる(具体的には、包装硬貨投出部236の下方に箱状の容器を置いて、投出される包装硬貨をこの容器で受け入れる)。また、循環ベルト214を図6における時計回りの方向に循環移動させた場合には、横搬送部167により包装硬貨搬送ユニット210に送られた包装硬貨をすぐに包装硬貨投出用シュート238経由で包装硬貨投出部236に送ることができる。
また、図2に示すように、筐体112の前面側における右側部分には開閉可能な前扉114が設けられており、当該前扉114を開くことにより筐体112内の包装硬貨収納ユニット200にアクセスすることができる。より詳細には、前扉114には上述した包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232、包装硬貨投出部236及び包装硬貨搬送ユニット210が取り付けられており、前扉114を開いたときにはこれらの包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232、包装硬貨投出部236及び包装硬貨搬送ユニット210も前扉114と一体的に移動する。このことにより、操作者は前扉114を開くと包装硬貨収納ユニット200にアクセスして収納トレイ240を取り出すことにより収納トレイ240に包装硬貨を収納したり収納トレイ240から包装硬貨を取り出したりすることができる。
また、図2に示すように、筐体112の前面側における左側部分にも開閉可能な前扉115が設けられている。また、筐体112の内部において前扉115の裏側には複数の引出ユニットが設けられており、操作者は前扉115を開くことにより各引出ユニットを筐体112の手前側に引き出すことができる。また、各引出ユニットにはロック機構250(図9参照)が設けられており、当該ロック機構250は対応する引出ユニットを筐体112の内部にロックする。
<貨幣入出金機の機能的な内部構成>
次に、図2に示した貨幣入出金機1の機能的な内部構成を説明する。図9は、図2に示した貨幣入出金機1の機能ブロック図である。貨幣入出金機1には、当該貨幣入出金機1の各構成部材の制御を行う制御部300が設けられている。より詳細には、図9に示すように、制御部300には、紙幣入出金装置10の投入部14、繰出部16、搬送部18、識別部20、表裏反転部22、入金一時保留部30(具体的には、入金一時保留部30に設けられたステージ30aの駆動機構(図示せず)や紙幣繰出繰入部30b)、混合バラ紙幣収納部32(具体的には、混合バラ紙幣収納部32に設けられたステージ32aの駆動機構(図示せず)や紙幣繰出繰入部32b)、各金種別バラ紙幣収納部34(具体的には、各金種別バラ紙幣収納部34に設けられたステージ34aの駆動機構(図示せず)や紙幣繰出繰入部34b)、帯封部42、アーム機構44、帯封紙幣揚送部46、帯封紙幣搬送部60、判別部62、各帯封紙幣収納部70(具体的には、各帯封紙幣収納部70に設けられたステージ70aの駆動機構(図示せず))、引出ユニット13に設けられたロック機構50、各シャッター24a、48aを開閉させるシャッター駆動部24b、48b等がそれぞれ接続されている。そして、識別部20によるバラ紙幣の識別結果に係る信号や判別部62による帯封紙幣の金種の判別結果に係る情報等が制御部300に送られるとともに、制御部300は紙幣入出金装置10の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御する。
また、図9に示すように、制御部300には、硬貨入出金装置110の入金繰出部120、入金搬送部128、入金識別部129、各選別部130、134、136、入金一時保留部140、各収納繰出部152、コンベア154、出金識別部155、包装部160、包装硬貨収納ユニット200、包装硬貨搬送ユニット210、各分岐部材218、219、220、ロック機構250等がそれぞれ接続される。入金識別部129や出金識別部155によるバラ硬貨の識別情報はこれらの入金識別部129や出金識別部155から制御部300に送られる。また、制御部300は、硬貨入出金装置110の各構成部材に指令の信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御する。
また、図9に示すように、制御部300には、表示操作部302、印字部304、記憶部306及び通信インターフェース部308がそれぞれ接続されている。図2に示すように、表示操作部302は、例えば硬貨入出金装置110の筐体112の上部に設けられたタッチパネル等からなり、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、操作者はこの表示操作部302により制御部300に様々な指令を入力することができる。また、図2に示すように、印字部304は、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシート等に印刷するプリンタ等から構成されている。また、記憶部306は、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理履歴や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を記憶する。また、制御部300は通信インターフェース部308を介して上位端末等の外部装置310に対して様々な信号の送受信を行うことができる。
ここで、記憶部306は、上記のデータに加えて操作画面データ306a、ダイアログデータ306b、取扱説明書データ306c及びユーザ設定データ306dを記憶する。また、制御部300は、表示制御部300a及び表示用データ変更部300bを有する。
操作画面データ306aは、表示操作部302に表示する複数の操作画面に係るデータである。ダイアログデータ306bは、操作者に対して特定のメッセージを報知するため、操作画面に重畳表示するダイアログに係るデータである。取扱説明書データ306cは、電子取扱説明書に係るデータである。ユーザ設定データ306dは、操作画面、ダイアログ、取扱説明書などの表示のカスタマイズに係るデータである。
表示制御部300aは、操作画面データ306a、ダイアログデータ306b、取扱説明書データ306c及びユーザ設定データ306dを用い、表示操作部302への表示制御を行う処理部である。表示用データ変更部300bは、操作画面、ダイアログ、取扱説明書などの表示のカスタマイズに係る処理を行う。
具体的には、表示制御部300aは、既に説明したように、「取扱説明書から操作画面への移行制御」を行うことができる。この他、表示制御部300a及び表示用データ変更部300bは、「メインメニューのカスタマイズ」、「操作画面の検索」、「操作画面と電子取扱説明書の並列表示と連動」、「電子取扱説明書のショートカット登録」、「ダイアログからの電子取扱説明書の表示」、「用語の置き換え」、「取扱説明書へのメモの登録」、「取扱説明書への項目追加」、「取扱説明書の表示位置の記憶」などにより、貨幣入出金機1の操作性を向上する。以下、これらの処理について具体的に説明する。
<取扱説明書から操作画面への移行制御に係る処理手順>
図10は、図1に示した取扱説明書から操作画面への移行制御に係る処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、表示制御部300aは、まず、取扱説明書ボタンが操作されたか否かを判定する(ステップS101)。
取扱説明書ボタンが操作されたならば(ステップS101;Yes)、表示制御部300aは、取扱説明書を表示操作部302に表示する(ステップS105)。表示制御部300aは、表示した取扱説明書において、操作画面へのリンクが選択されたか否かを判定する(ステップS106)。操作画面へのリンクが選択されなければ(ステップS106;No)、表示制御部300aは、ステップS105に移行し、取扱説明書の表示を継続する(ステップS105)。なお、ステップS105の取扱説明書の表示は、取扱説明書内での項目の移動や、語句の検索による表示内容の変更を含む。
表示制御部300aは、操作画面へのリンクが選択されたならば(ステップS106;Yes)、対応する操作画面を表示操作部302に表示する(ステップS107)。
ステップS107の後、若しくは取扱説明書ボタンが操作されていない場合(ステップS101;No)、表示制御部300aは、操作画面での操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS102)。操作画面での操作を受け付けたならば(ステップS102;Yes)、表示制御部300aは、受け付けた操作に対応する処理を実行する(ステップS103)。この処理には、木構造状の操作画面を辿って次のメニューを表示する処理や、入出金などの貨幣入出金機の動作を制御する処理を含む。
ステップS103の後、若しくは操作画面での操作を受け付けていない場合(ステップS102;No)、表示制御部300aは操作を終了するか否かを判定する(ステップS104)。この判定では、終了を明示する入力を受け付けたとき、入力が無いまま所定時間が経過したとき、操作に基づいて開始した動作が完了したときなどに操作を終了すると判定すればよい。
表示制御部300aは、操作を終了しないと判定した場合には(ステップS104;No)、ステップS101に移行する。そして、操作を終了すると判定した場合には(ステップS104;Yes)、待機用の操作画面を表示して処理を終了する。
<メインメニューのカスタマイズ>
次に、メインメニューのカスタマイズについて説明する。図11は、メインメニューのカスタマイズについての説明図である。図11(a1)は、待機状態で表示操作部302に表示される操作画面である。図11(a1)に示した操作画面において、在高が表示されている画面領域に操作者が触れると、表示制御部300aは、図11(a2)に示す操作画面のメインメニューを表示操作部302に表示制御する。
ここで、図11(a2)に示したメインメニューは、表示用データ変更部300bにより変更が行われており「損券・損貨」の項目が追加されている。このため、操作者はメインメニューから図11(a3)に示す「損券・損貨」の操作画面に移行することができる。
図12は、カスタマイズによる操作画面の移行についての説明図である。図12(a)は、操作画面の木構造状を示している。図12(a)に示すように、メインメニューの直下には、「入金」、「出金」などの項目が配置されている。そして、「損券・損貨」の入金に係る操作画面は、「入金」の下位に配置されており、メインメニューから「損券・損貨」の操作画面までには複数の操作画面を辿る必要がある。
操作者が「損券・損貨」の操作画面を高い頻度で利用する場合に、毎回メインメニューから「損券・損貨」までの複数階層を辿るのは非効率である。そこで、表示用データ変更部300bは、メインメニューに表示する項目を変更することで、操作者の利便性を向上している。図12(a)に示した例では、メインメニューに「損券・損貨」の項目を追加しており、この項目を選択することで直接「損券・損貨」の操作画面に移行することができる。
メインメニューに対する変更は、項目の追加に限定されず、既存の項目の削除、表示順序の変更なども可能である。表示用データ変更部300bは、メインメニューに対する変更の内容をユーザ設定データ306dに格納する。そして、表示制御部300aは、操作画面のメインメニューを表示する際に、ユーザ設定データ306dを参照して表示する項目を定める。
また、このようにしてカスタマイズしたメインメニューと、カスタマイズ前のメインメニューとを任意に切り替えることができるように構成してもよい。図12(b)は、メインメニューの切り替え画面の一例である。図12(b)では、「お客様向けメインメニュー」と「出荷時メインメニュー」とをチェックボックスで切替可能としている。
<操作画面の検索>
次に、操作画面の検索について説明する。図13は、操作画面の検索についての説明図である。図13(a1)は、待機状態で表示操作部302に表示される操作画面である。図13(a1)に示した操作画面では、図1(a1)に示した操作画面に加え、メニュー検索ボタンを設けている。
操作者がメニュー検索ボタンに触れると、表示制御部300aは、図13(a2)に示すように、検索用の操作画面を表示操作部302に表示制御する。この検索用の操作画面には、検索用入力領域、検索ボタン、検索結果の表示領域が配置される。操作者が検索用入力領域に語句を入力して検索を実行すると、表示制御部300aは、入力された語句に対応する操作画面の候補を検索して表示制御する。図13(a2)は、「損券 入金」を入力して検索を実行した状態を示している。このため、図13(a3)では、「入金」、「計数開始」、「損券・損貨」などの検索結果が表示されている。この操作画面の検索結果は、該操作画面へのリンク情報を有している。このため、検索結果から所望の操作画面に移行することができる。
例えば、図13(a3)で「損券・損貨」を選択すれば、図13(a4)に示す「損券・損貨」の操作画面に移行することができる。このように、操作画面の検索と検索結果への移動を可能とすることで、木構造状の操作画面を辿ることなく所望の操作画面に移行することができ、貨幣入出金機1の操作性は大きく向上する。
なお、操作者について認証を行えば、操作者の権限や担当業務に合わせて検索結果の表示や操作画面への移行を制御できる。例えば、操作者の権限で操作可能な操作画面のみを検索結果として表示することで、権限外での操作を防止することができる。
<操作画面と電子取扱説明書の並列表示と連動>
次に、操作画面と電子取扱説明書の並列表示と連動について説明する。図14は、操作画面と電子取扱説明書の並列表示と連動についての説明図である。図14(a1)では、表示制御部300aは、表示操作部302の表示領域を左右に2分割し、左側の表示領域に取扱説明書を表示し、右側の表示領域に操作画面を表示している。
このように、取扱説明書と操作画面を並列表示することで、操作者は、取扱説明書を確認しつつ、操作を行うことができる。また、表示制御部300aは、操作画面に対して行われた操作に連動して、取扱説明書の表示項目を追従させる。このため、常にその時点の操作画面に対応した取扱説明書が表示されることとなり、操作性の向上が実現される。
図14(a1)に示した例では、取扱説明書は「3.14損券入金」の「手順1.券種選択」と「手順2.損券投入」を表示し、操作画面はこれらの操作に対応する操作画面となっている。その後、操作が進行し、図14(a2)に示すように、投入した損券の計上を行う操作画面に移行したならば、取扱説明書も操作画面に連動して追従し、「手順5.計上」を表示することになる。
このような並列表示を行うか否かについては、例えばユーザ設定データ306dに設定を格納しておけばよい。また、初めて表示された操作画面については取扱説明を表示する、などのようにそれまでの操作履歴を利用して並列表示を行うか否かを切り替えるように構成してもよい。
<電子取扱説明書のショートカット登録>
次に、電子取扱説明書のショートカット登録について説明する。図15は、電子取扱説明書のショートカット登録についての説明図である。表示用データ変更部300bは、取扱説明書の任意の項目に対するリンク情報をショートカットとして生成することができる。このショートカットは、ユーザ設定データ306dに格納されており、表示操作部302に一覧表示することが可能である。
図15(a1)は、取扱説明書のうち、「損券入金の操作説明」の項目を表示した状態を示している。この状態でショートカット登録操作が行われると、表示用データ変更部300bは、「損券入金の操作説明」の項目へのリンク情報をショートカットとして生成し、ユーザ設定データ306dに格納する。
その後、ショートカットの一覧表示を行えば、図15(a2)に示すように、「損券入金の操作説明」に対応するショートカットが表示されるので、操作者はこのショートカットを選択することで簡易に電子取扱説明書の「損券入金の操作説明」の項目を参照することができる。
このようにショートカット利用すれば、参照頻度の高い項目をすぐに表示することができるため、操作性が向上する。なお、ショートカットは操作者が登録する他、予め登録した状態で出荷することも可能である。また、ショートカットは、一覧表示した状態で削除を指定することにより、個別に削除することができる。
<ダイアログからの電子取扱説明書の表示>
次に、ダイアログからの電子取扱説明書の表示について説明する。図16は、ダイアログからの電子取扱説明書の表示についての説明図である。図16(a1)は、操作画面のメインメニューであり、「入金」の項目が選択されている。
このように「入金」の項目が選択された場合に、正常に処理が可能な状態であれば、入金の操作画面が表示されるのであるが、貨幣入出金機1の状態によってはダイアログを表示し、続行するか否かの選択を求めるケースがある。
図16(a2)では、「紙幣部が収納中のため、一時保留部が200枚制限になります。しばらく待つと、通常の入金が可能です。」とのメッセージにより貨幣入出金機1の状態を報知し、「続行」と「取消」のいずれかを選択させるダイアログを例示している。この状態は、直前の取引において入金された紙幣が入金一時保留部30内に集積(保留)されているため、今回の取引で入金して入金一時保留部30に保留可能な枚数が200枚に制限された状態である。しばらく待って、入金一時保留部30内の紙幣が金種別バラ紙幣収納部34等へ振り分ける処理が終了すれば、枚数制限が解除される。
しかしながら、ダイアログのメッセージのみでは操作者にとって情報が不足し、適正な判断ができない場合がある。そこで、表示制御部300aは、ダイアログのメッセージに対する選択操作(具体的には、「?取扱説明書」ボタンを押下する操作)が行われた場合に、ダイアログに対応する取扱説明書の項目を表示する。
具体的には、図16(a3)に示すようにメッセージ部分に対する選択操作が行われたならば、表示制御部300aは、図16(b1)に示すように取扱説明書の表示を行う。図16(b1)では、ダイアログのメッセージについての解説と、「続行」や「取消」を選択したときにどのような動作が行われるかを記載した項目を表示している。具体的には、「続行」が選択された場合は上限が200枚に制限された入金処理を実行でき、「取消」が選択された場合は入金処理の選択そのものが取り消される旨が表示される。
操作者は、図16(b1)に示した取扱説明書にてダイアログについての情報を得た後、「戻る」ボタンを操作することで図16(a3)のダイアログに戻り、操作を継続することができる。なお、「?取扱説明書」ボタンの押下によって表示される情報(図16(b1)において表示される情報)が、図16(a2)に示した段階から表示されると、情報量が多くなりすぎて、操作手順を理解している操作者にとっては煩わしい画面となり、慣れていない操作者にとっては内容を理解しにくい画面となるという問題が生じる。
<用語の置き換え>
次に、操作画面、取扱説明書及びダイアログにおける用語の置き換えについて説明する。貨幣入出金機1が導入された金融機関などでは、独自の用語を使用している場合があり、操作者が慣れ親しんだ用語と操作画面、取扱説明書及びダイアログで使用される用語とが不一致となる場合がある。このような用語の不一致は、操作ミスの原因や、取扱説明書を参照しても所望の項目が見つからないといった事態を引き起こす要因となる。
そこで、表示用データ変更部300bは、操作画面、取扱説明書及びダイアログにおける用語を操作者が運用で用いている用語に置き換え可能としている。図17は、用語の置き換えについての説明図である。
図17では、出荷時のダイアログ(すなわち、標準用語によるダイアログ)の一例として「紙幣部が収納中のため、一時保留部が200枚制限になります。しばらく待つと、通常の入金が可能です。」とのメッセージとともに「続行」ボタン及び「取消」ボタンを表示するダイアログを示している。
また、図17では、用語設定のデータを示している。用語設定のデータは、ユーザ設定データ306dに含まれ、出荷時の用語と置き換え後の用語との対応関係を示すデータである。上記のダイアログに含まれる用語として、「紙幣部」、「収納中」、「一時保留部」、「通常の入金」があるが、出荷時点では置き換えが行われていないので、置き換え後の用語は全て「−」との表示により、出荷時点の用語を使用することを示している。
出荷後、所定の用語設定操作を行うことで、「紙幣部」を「紙幣収納部」に置き換え、「通常の入金」を「制限のない入金」に置き換えると、この対応関係が用語設定としてユーザ設定データ306dに登録される。そのため、置き換え設定後のメッセージは「紙幣収納部が収納中のため、一時保留部が200枚制限になります。しばらく待つと、制限のない入金が可能です。」に変更される。
このように表示用データ変更部300bが用語設定を行うと、表示制御部300aは、他の操作画面、取扱説明書及びダイアログにおいても同様に用語の置き換えを適用する。このため、操作画面、取扱説明書及びダイアログにおける用語の統一は維持される。
さらに、1つの用語について置き換えの設定を行った場合には、関連する用語についても併せて置き換えを行うことが可能である。具体的には、用語毎に関連用語を事前登録しておき、関連用語を含めて置換することになる。
このような関連用語の登録により、例えば「硬貨投入口」を「コイン投入口」と置き換えた場合に、「硬貨収納部」を「コイン収納部」に、「硬貨返却口」を「コイン返却口」に自動的に置き換えることが可能となる。
<取扱説明書へのメモの登録>
次に、取扱説明書へのメモの登録機能について説明する。図18は、取扱説明書へのメモの登録についての説明図である。表示用データ変更部300bは、取扱説明書に操作者によるメモの登録を可能としている。登録されたメモは例えばユーザ設定データ306dに格納することが好適である。登録されたメモは、登録時に指定された位置に表示される他、表示操作部302に一覧表示することが可能である。
図18(a1)は、取扱説明書のうち、「損券入金の操作説明」の項目を表示した状態を示している。操作者は、操作上の注意事項等を追加したい場合に、表示された取扱説明書の任意の位置を指定して任意の文章を登録する、メモ登録操作を行うことができる。メモ登録操作が行われると、表示用データ変更部300bは、図18(a2)に示すようにメモの入力領域を表示する。
操作者は、表示された入力領域に任意の文字列を入力し、登録を実行することができる。図18(a3)では、「損券の入金時には必ず確認」との文字列が登録された状態を示している。このようにメモを登録すると、以降、取扱説明書の「損券入金の操作説明」の項目を表示する場合に、登録時と同様にメモの表示が行われる。
また、図18(b1)に示すように、登録したメモは一覧表示が可能である。この一覧表示でメモが選択され、取扱説明書表示のボタンが操作されたならば、表示制御部300aは、対応する項目を表示する。例えば、「損券の入金時には必ず確認」とのメモが選択された場合には、このメモに対応する項目を表示する。すなわち、図18(a3)に示す「損券入金の操作説明」の項目が表示されることになる。
また、一覧表示でメモが選択され、削除のボタンが操作されたならば、表示用データ変更部300bは、当該メモを削除する。また、メモの登録時に保持期間を設定可能としてもよい。保持期間を設定したメモについては、保持期間の経過時に自動で削除するのである。なお、メモの登録時に保持期間を設定しなければ、操作者が削除するまでメモは保持されることになる。更には、登録されたメモを、登録した操作者本人がログインした場合にのみ表示するか、全ての操作者に対して表示するか、設定できるようにしてもよい。
<取扱説明書への項目追加>
次に、取扱説明書への項目の追加機能について説明する。図19は、取扱説明書への項目の追加についての説明図である。表示用データ変更部300bは、取扱説明書に操作者による項目の登録を可能としている。追加された項目は例えばユーザ設定データ306dに格納することが好適である。また、取扱説明書データ306cを更新するようにしてもよい。
図19(a1)は、取扱説明書の追加項目に関する画面例である。図19(a1)に示した画面では追加された項目が一覧表示されるとともに「追加」ボタンと「終了」ボタンが表示される。
図19(a1)に示した画面で「追加」ボタンが操作されたならば、表示用データ変更部300bは、図19(a2)に示す登録用画面を表示する。登録用画面では、タイトルと内容の入力用の領域が設けられ、「登録」ボタンと「終了」ボタンが表示される。
操作者が登録用画面でタイトルと内容に任意の文字列を入力し、「登録」ボタンを操作すると、表示用データ変更部300bは、入力された内容をユーザ設定データ306dに格納する。図19(a2)では、タイトルに「取扱説明書の追加」が入力され、内容に「取扱説明書には、お客様自身が項目を追加することができます。・・・・・」が入力された状態を示している。
取扱説明書の項目が追加されたならば、以降、表示制御部300aが取扱説明書を表示制御する場合には、追加された項目も表示制御の対象となる。図19(a3)は、追加された項目を含む取扱説明書の表示例である。具体的には、左側の目次に「9.1 取扱説明書の追加」が入力されており、この項目を選択すると、右側に「9.1 取扱説明書の追加 取扱説明書には、お客様自身が項目を追加することができます。・・・・・」との表示が行われている。
このように、取扱説明書に追加された項目は、出荷時の取扱説明書と同様に表示制御される。なお、追加した項目を削除することも可能である。例えば、追加された項目を一覧表示し、対象となる項目を選択して削除に対応する操作を行うことで、対象となる項目を削除することができる。また、登録時に保持期間を設定し、保持期間を超過した場合に自動的に削除することもできる。また、追加を行った操作者の権限に基づいて、追加された項目に保持期限を設定するか否かを切り替えてもよい。さらに、追加を行った操作者に関する情報を併せて保持し、表示可能としてもよい。
<取扱説明書の表示位置の記憶>
次に、取扱説明書の表示位置の記憶について説明する。図20は、取扱説明書の表示位置の記憶についての説明図である。図20(a1)は、入金に係る操作画面であり、この操作画面で取扱説明書ボタンが操作されると、表示制御部300aは、図20(b1)に示すように、入金に係る項目の先頭部分を表示する(1)。
図20(b2)は、図20(b1)に示した状態から操作者が取扱説明書の項目を読み進め(2)、「3.16 他店券入金」を表示した状態を示している。
図20(b2)に示した状態から操作画面に移行するとき(3)、表示制御部300aは、取扱説明書の最終の表示位置を記憶する。そして、操作画面から取扱説明書の表示に移行するときには、表示制御部300aは、記憶した最終の表示位置に対応する項目を表示制御する(4)。
このため、操作画面から取扱説明書の表示に移行する度に、初期位置(目次や先頭部分)が表示されてから目的の位置まで移動させるといった煩わしさを解消し、操作性を向上することができる。なお、操作画面で所望の操作が終了し、図20(a2)に示す待機状態の操作画面に移行したとき(5)に、記憶した最終の表示位置は消去する。また、最終の表示位置を記憶して表示制御を行うか否かについては、任意に切り替え可能とすることが望ましい。
上述してきたように、本実施例に係る貨幣入出金機1は、複数の操作画面に係る操作画面データ306aと、利用者により操作画面の参照が容易な電子取扱説明書に係る取扱説明書データ306cとを記憶部306に格納し、表示操作部302に操作画面や取扱説明書に係る表示制御を行うので、利用者による操作性を高めることができる。
具体的には、貨幣入出金機1は、操作画面データ306a及び取扱説明書データ306cを用い、「取扱説明書から操作画面への移行制御」、「メインメニューのカスタマイズ」、「操作画面の検索」、「操作画面と電子取扱説明書の並列表示と連動」、「電子取扱説明書のショートカット登録」、「ダイアログからの電子取扱説明書の表示」、「用語の置き換え」、「取扱説明書へのメモの登録」、「取扱説明書への項目追加」、「取扱説明書の表示位置の記憶」などを実現することで、貨幣入出金機1の操作性を向上する。
なお、上述の実施例では、金融機関のバックヤードなどで出納機として用いられる貨幣入出金機に本発明を適用する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、表示操作部に操作画面を表示する各種の貨幣処理装置において広く適用可能である。
また、上述の各実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成であることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。