(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に記載の通り、本実施形態に係る車両盗難通報システムは、内燃機関であるエンジンの動力で走行する車両10に装着された複数本のタイヤ1a〜1dのそれぞれに1個ずつ取り付けられたTPMS送信器2a〜2dと、車両10の車体に搭載されるTPMS受信装置3と、ドアロックECU4と、移動体通信機5と、を備えている。
TPMS送信器2a〜2dのそれぞれは、車両のIGのオン、オフ(車両の主電源のオン、オフの一例に相当する)およびドアロックの有無に関わらず常時作動する。つまり、IGオンの期間も、IGオフからドアロックまでの期間も、IGオフ後にドアロックされた後の期間も、常に作動している。
そして、TPMS送信器2a〜2dのそれぞれは、作動中に、取り付け先のタイヤ1a〜1dの空気圧、および、当該タイヤの振動、回転等に起因してタイヤにかかる加速度(例えば、タイヤの径方向にかかる加速度)を検出し、最新の検出値(空気圧および加速度)を無線送信する。
より具体的には、TPMS送信器2a〜2dのそれぞれは、図2に示すように、空気圧センサ21、加速度センサ22、制御部23、送信部24および送信アンテナ25を備えた構成となっている。そして各部21〜25は、当該TPMS送信器に備えられた図示しない電池からの電力供給に基づいて駆動される。
空気圧センサ21は、例えばダイアフラム式の圧力センサで構成され、取り付け先のタイヤの空気圧に応じた検出信号を出力する。
加速度センサ22は、取り付け先のタイヤの振動、回転等に起因してタイヤにかかる加速度の検出を行うために用いられ、例えば、車輪の回転時にタイヤの径方向の加速度に応じた検出信号を出力する。
制御部23は、CPU、メモリ等を備えたマイクロコンピュータであり、当該メモリに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。具体的には、制御部23は、空気圧センサ21から出力された検出信号に基づいてタイヤ空気圧の情報を定期的に繰り返し取得し、また、加速度センサ22から出力された検出信号に基づく加速度の情報を定期的に繰り返し取得し、これらタイヤ空気圧の情報および加速度の情報を共にフレーム内に格納し、所定のタイミングで、送信部24を用いて送信アンテナ25よりTPMS受信器3に向けて当該フレームの送信を行う。
具体的には、制御部23は、空気圧センサ21からの検出信号に基づいてタイヤ空気圧に変化があるか否かを判定する。また、加速度センサ22からの検出信号に基づいて、タイヤにかかる加速度に変化があるか否かを判定する。
そして、タイヤ空気圧および加速度のうち少なくともいずれか1つについて変化があったと判定された場合に、最新のタイヤ空気圧および加速度を含めたフレームを送信部24に送信させ、タイヤ空気圧および加速度の両方とも変化がないと判定されたことに基づいて、フレームを送信部24に送信させない。
送信部24は、送信するフレームに対して増幅、変調等の処理を施し、その結果の信号を送信アンテナ25に送信させる無線送信回路である。上記のように、制御部23は、タイヤ空気圧または加速度に変化がない限り送信部24にフレームを送信させないので、タイヤ空気圧および加速度を取得する度に送信部24にフレームを送信させる場合に比べれば、TPMS送信器の内蔵電池浪費を抑えて長期間盗難警戒可能とすることができる。
車両10の走行中は、走行に伴う振動等が原因でタイヤ空気圧も加速度もほぼ常時変化するので、送信部24の電力消費の低減効果は低い。しかし、車両が走行していない間(例えば、車両駐車時)は、タイヤ空気圧も加速度もほとんどの場合で変化しないので、送信部24の電力消費の低減効果が高い。
TPMS受信器3は、TPMS送信器2a〜2dが上記のように送信したフレームを受信し、受信したフレームに含まれる情報に基づいた表示(例えば、メータへの空気圧の表示)を制御する等の処理を行う。このようなTPMS受信器3は、図3に示すように、受信アンテナ31、受信部32、第1処理部33、第2処理部34を備えている。
受信部32は、アンテナ31が受信した信号(すなわち、TPMS送信器2a〜2dが送信したフレームの信号)に対して周知の復調、増幅等の処理を施し、その処理の結果得られたデータ(フレーム)を第1処理部33および第2処理部34に出力する。
この受信部32は、いつでもTPMS送信器2a〜2dからフレームの信号を受信できるよう、IGオンの期間も、IGオフからドアロックまでの期間も、IGオフ後にドアロックされた後の期間も、常に作動している。
第1処理部33、第2処理部34のそれぞれは、CPU、メモリ等を備えた周知のマイクロコンピュータで構成される。第1処理部33は、IGオンの期間も、IGオフからドアロックまでの期間も、IGオフ後にドアロックされた後の期間も、常に作動している。第2処理部34は、IGオンの期間、および、IGオフからドアロックまでの期間には、常にアクティブ状態で動作している。しかし、IGオフ後にドアロックされた後の期間には、多くの場合スリープ状態(アクティブ状態よりも消費電力が低い状態)となっている。
なお、動作時の第1処理部33の消費電力は、アクティブ状態の第2処理部34の消費電力よりも遙かに低くなるよう、第1処理部33および第2処理部34は構成されている。だだし、消費電力が低い分、第1処理部33の処理能力は第2処理部34よりも劣る。例えば、第1処理部33は、移動体通信器5に直接信号を送信して制御できないが、第2処理部34は移動体通信器5に直接信号を送信して制御可能である。また、第1処理部33は、タイヤ空気圧および加速度の表示制御を行うことはできないが、第2処理部34はできる。
ドアロックECU4は、車両10のドアのロックおよびアンロックを制御する周知の制御装置であり、ドアのロック時には、ドアロック信号をTPMS受信器3の第2処理部34に出力する。また、ドアのアンロック時には、ドアアンロック信号を第2処理部34に出力する。このドアロックECU4は、IGオンの期間も、IGオフからドアロックまでの期間も、IGオフ後にドアロックされた後の期間も、常に作動している。
移動体通信器5は、車両10の外部の通信先と通信するための無線通信部であり、IGのオン時には常時アクティブ状態で作動しているが、IGがオフになるとスリープ状態になり電力消費が低下する。
このように、移動体通信器5は、車両の外部と通信可能だが消費電力が高いアクティブ状態と、車両の外部と通信不可能だが消費電力がアクティブ状態よりも低いスリープ状態との間を、遷移するようになっている。
アクティブ状態の移動体通信器5は、通信網42(移動体通信網、インターネット等)に接続された無線基地局41と無線接続することで、当該通信網42に接続されたサービスセンタ43(送信先の装置一例に相当する)と通信する。サービスセンタ43は、通信網42および基地局44を介してユーザ端末35(車両10のユーザが携帯する端末)と通信する。またサービスセンタ43は、通信網42を介して警備システム47と通信する。警備システム47は、警備会社または警察が所有して運用する通信装置である。
次に、以上のような構成の車両盗難通報システムの作動について、図4〜図6を参照して説明する。なお、図4には、簡単のためにTPMS送信器2a〜2dのうち任意の1個のみを記載しているが、他のTPMS送信器の作動も基本的に同じである。まず、車両10のIGがオンからオフになったとする。
車両10のIGがオフになる前(すなわちIGオンの期間)には、TPMS送信器2a〜2dの全体(各部21〜25を含む)、TPMS受信器3の全体(各部31〜34を含む)、ドアロックECU4の全体、および、移動体通信器5の全体が、通常状態で作動している。
IGオン時のTPMS送信器2a〜2dの制御部23は、上述の通り、タイヤ空気圧および加速度のうち少なくともいずれか1つについて変化があったか否かを判定し、あったと判定された場合にのみ、最新のタイヤ空気圧および加速度を含めたフレームを送信部24に送信させる。そして、タイヤ空気圧および加速度の両方とも変化がないと判定されたことに基づいて、フレームを送信部24に送信させない。
より具体的には、制御部23は、図5に示す処理を、繰り返し定期的に実行する。そして、図5の各回の実行において、まずステップ100で、空気圧センサ21からの検出信号に基づいて最新のタイヤ空気圧を取得する。続いてステップ110で、加速度センサ22からの検出信号に基づいて最新の加速度を取得する。
続いてステップ120では、直前のステップ100で取得した最新のタイヤ空気圧と、今回よりも1回前(あるいは2回以上前でもよい。以下同じ。)の図5の処理の実行機会においてステップ100で取得した1回前(あるいは2回以上前でもよい。以下同じ。)のタイヤ空気圧とを比較し、タイヤ空気圧に変化があったか否か判定する。
具体的には、最新のタイヤ空気圧(例えば、8ビットの整数値)と、1回前のタイヤ空気圧(例えば、8ビットの整数値)とを比較し、両者が少しでも(最下位桁の1ビット分でも)違えば、タイヤ空気圧に変化があったと判定してステップ140に進み、両者が完全に同じであれば、タイヤ空気圧に変化がないと判定してステップ130に進む。
ステップ130では、直前のステップ110で取得した最新の加速度と、今回よりも1回前(あるいは2回以上前でもよい。以下同じ。)の図5の処理の実行機会においてステップ110で取得した1回前の加速度とを比較し、加速度に変化があったか否か判定する。具体的には、最新の加速度(整数値)と、1回前の加速度(整数値)とを比較し、両者が少しでも(最下位桁の1ビット分でも)違えば、加速度に変化があったと判定してステップ140に進む。しかし、両者が完全に同じであれば、加速度に変化がないと判定し、ステップ140を実行しないまま(つまりフレームを送信しないまま)今回の図5の処理を終了する。
そして、ステップ140では、自機の送信器ID、最新のタイヤ空気圧、および最新の加速度を含めたフレームを送信部24に送信させ、その後、今回の図5の処理を終了する。なお、送信器IDは、TPMS送信器毎に値が異なるようにあらかじめ設定されている。
IGがオンの間は、エンジンの作動によってタイヤに発生する振動、走行時の路面状況の変動によってタイヤに発生する振動、走行によるタイヤの回転等によって、ほとんどの場合で各タイヤの空気圧または加速度が変化する。
したがって、各TPMS送信器2a〜2dの制御部23では、空気圧にも加速度にも変化がないと判定してフレームを送信しない場合よりも、空気圧と加速度のうち少なくとも一方に変化があると判定してフレームを送信する場合の方が多くなる。
また、TPMS受信器3の第1処理部33は、図示しないIG線を介してIGがオンであることを検知している間は、待機状態となっている。また、第2処理部34は、受信アンテナ31および受信部32を介して上記フレームを受信すると、受信したフレームに含まれるタイヤの空気圧およびタイヤにかかる加速度のうち一方または両方に基づく情報を、車両10のメータ等に表示させる。
その後、IGがオフになると、TPMS送信器2a〜2d、TPMS受信器3、ドアロックECU4、移動体通信器5のうち、移動体通信器5が、図示しないIG線を介してIGがオフになったことを検出する。そして、移動体通信器5は、この検出を起因として、通常状態よりも消費電力の低いスリープ状態に遷移する(ステップ500)。しかしながら、TPMS送信器2a〜2d、TPMS受信器3、ドアロックECU4は、IGオフ後も、通常状態で作動したままとなる。
IGがオフになった後も、各TPMS送信器2a〜2dの制御部23は、IGオフ前と同様に図5の処理を繰り返し定期的に実行する。IGがオフになってから車両10のドアがロックされるまでの期間T1は、車両10の乗員(ドライバー、他の乗員)が降車を行い、荷物を車両10から搬出し、ドアを開閉する期間(降車行動を行う期間)なので、車体の荷重およびタイヤが受ける加速度に大きな変動が生じ易い。したがって、この期間T1では、各タイヤの空気圧および加速度の変動が頻繁に発生する。
それ故、図4のシーケンス図に示すように、各TPMS送信器2a〜2dの制御部23では、空気圧にも加速度にも変化がないと判定してフレームを送信しない場合(例えばステップ501、509)よりも、空気圧と加速度のうち少なくとも一方に変化があると判定してフレーム511、513、515を送信する場合(例えばステップ503、505、507)の方が多くなる。
したがって、TPMS受信器3の第1処理部33は、受信アンテナ31および受信部32を介してフレーム509、511、513を受信する。なお、第1処理部33は、図示しないIG線を介してIGがオフになったことに基づいて、IGオフ直後に、図6に示す処理を開始する。
この図6の処理において、第1処理部33は、まずステップ210で、ドアロック状態(すなわち、ドアがロックされた状態)であるか否かを、ドアロックECU4から出力される信号に基づいて、判定する。本事例では、まだドアがロックされていない状態(ドアロック信号を受信していない状態)なので、ドアロック状態でないと判定し、ステップ215に進む。
ステップ215では、TPMS送信器2a〜2dのいずれかからフレームを受信したか否かを判定し、受信していなければステップ210に戻る。これにより、IGオフ後ドアロック前にフレームを受信していない間は、ステップ210、215の処理が繰り返される。
ステップ210、215の処理が繰り返されているときに、TPMS送信器2a〜2dのいずれかが送信したフレーム(例えば、フレーム511、513、515)を、受信アンテナ31および受信部32を介して受信したとする。すると、ステップ215でフレームを受信したと判定し、ステップ220に進む。
ステップ220では、直前のステップ215で受信したフレームからタイヤ空気圧を読み出し、読み出したタイヤ空気圧(受信空気圧という)の値を、メータ等に表示すると共に、現在圧力Pという変数に代入する。なお、現在圧力Pは、複数個あり、それぞれが、TPMS送信器2a〜2dのうち、特定の送信器IDのTPMS送信器に対応した基準値である。すなわち、受信したフレームに含まれるタイヤ空気圧の代入先の現在圧力Pは、そのフレームに含まれる送信器IDに対応する現在圧力Pである。このようになっているので、車両1に取り付けられたタイヤが4個なら現在圧力Pも4個設けられる。
ステップ225では、直前のステップ215で受信したフレームから加速度を読み出し、読み出した加速度(受信加速度という)の値を、メータ等に表示すると共に、現在加速度Aに代入する。なお、現在加速度Aは、複数個あり、それぞれが、TPMS送信器2a〜2dのうち、特定の送信器IDのTPMS送信器に対応した基準値である。すなわち、受信したフレームに含まれる加速度の代入先の現在加速度Aは、そのフレームに含まれる送信器IDに対応する現在加速度Aである。
したがって、IGオフ後ドアロック前の期間T1では、図4に示すように、フレーム511、513、515を1個受信する度に、当該フレームに記録されている空気圧および加速度が、現在圧力Pおよび現在加速度Aに上書き記録されていく(ステップ517、519、521参照)。
その後、乗員の降車行動が終了し、車内に誰もいない状態でドアが閉じられ、ドアロックECU4によってドアがロックされたとする。すると、ドアロックECU4は、ドアロック信号をTPMS受信器3の第2処理部34に出力する。
第2処理部34は、このドアロック信号を受信すると、直ちにドアロック通知525の信号を、第1処理部33に出力し(ステップ523)、その後直ちに、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する(ステップ527)。したがって、これ以降、第2処理部34の消費電力は、ドアロック以前よりも低い状態に保たれる。
また、第1処理部33は、ステップ210、215またはステップ210、215、220、225を繰り返し実行している状態で、上記ドアロック通知525を受けると、その直後のステップ210で、ドアロック状態であると判定し、ステップ230に進む。この作動により、第1処理部33は、通常モードから警戒モードに遷移する。なお、警戒モードに入って以降も、ドアが開けられて、第2処理部34からドアアンロック通知を受信するまでは、ステップ210ではドアロック状態であると判定する。
ステップ230では、ドアロック直後であるか否か判定する。直前のステップ210ではドアロック状態であると判定され、その1回前のステップ210ではドアロック状態でないと判定されている場合、ドアロック直後であると判定し、それ以外の場合は、ドアロック直後でないと判定する。
本例では、ドアロックされてすぐのステップ230なので、ドアロック直後であると判定し、ステップ240に進む。ステップ240では、基準値の設定を行う。具体的には、現在の各タイヤ1a〜1dの現在圧力Pを、各タイヤの第1圧力基準値P1に設定し、現在の各タイヤ1a〜1dの現在加速度Aを、各タイヤの第1加速度基準値A1に設定する(ステップ529参照)。
したがって、第1圧力基準値P1も、第1加速度基準値A1も、複数個あり、それぞれが、TPMS送信器2a〜2dのうち、特定の送信器IDのTPMS送信器に対応した基準値である。
また、第1圧力基準値P1も、第1加速度基準値A1も、ドアロック前に最後に受信した圧力および加速度である。第1圧力基準値P1および第1加速度基準値A1としてドアロック前の値を採用するのは、ドアロック後はタイヤの空気圧も加速度もほとんど変化しないので、TPMS送信器2a〜2dから圧力および加速度を長期間受信できない可能性があるからである。この場合、第1圧力基準値P1および第1加速度基準値A1としてドアロック後の値(例えばドアロック後の最初の受信値)を採用する作動になっていれば、第1圧力基準値P1、第1加速度基準値A1の設定が遅れてしまう。なお、設定された各基準値は、TPMS受信器3内の図示しないメモリに記録される。
これら各タイヤの第1圧力基準値P1および第1加速度基準値A1は、それぞれ、後に同じタイヤのTPMS送信器から受信した空気圧および加速度と比較して、盗難(車両に対する悪戯も含む。以下同じ。)の有無を判定するための基準値である。
ステップ240に続いては、ステップ250で、ステップ215と同様に、TPMS送信器2a〜2dのいずれかからフレームを受信したか否かを判定し、受信していなければステップ210に戻る。その後、IGオフ後かつドアロック後にフレームを受信していない間は、ステップ210でドアロック状態であると判定し、ステップ230でドアロック直後でないと判定し、ステップ250でフレームを受信していないと判定してステップ210に戻る。したがって、ステップ210、230、250の処理が、この順に繰り替えされる。
一方、移動体通信器5はドアロック後もスリープ状態のままである。また、TPMS送信器2a〜2dの各々は、ドアロック後も、ドアロック前と同じアルゴリズムで作動を行う。ただし、ドアロック後は、タイヤ1a〜1dの空気圧およびタイヤ1a〜1dにかかる加速度は、ほとんどの場合、全く変化しない。
変化する場合としては、例えば、タイヤの空気圧が徐々に低下するスローリークにより、時々(例えば1日に1回程度)、タイヤの空気圧が最下位ビットの1ビット分だけ低下する場合が考えられる。それ以外では、猫が乗る、強風を受ける、等の窃盗(車両に対する悪戯も含む。以下同じ。)に関係ない外的要因によりタイヤの空気圧およびタイヤにかかる加速度が僅かに変化する場合が考えられる。また、後述するように、車両の窃盗行為によってタイヤの空気圧およびタイヤにかかる加速度が大きく変化する場合も考えられる。
したがって、制御部23は、ほとんどの場合、図5のステップ120で空気圧に変化がなく、かつ、ステップ130で加速度に変化がないと判定する。したがって、図4のステップ531、533、535、539に示すように、フレームの送信を禁止する。このようになっているので、常に定期的にフレームを送信する場合に比べ、TPMS送信器2a〜2dにおける電力消費を低減することができる。
ここで、猫が乗る、強風を受ける、等の窃盗に関係ない外的要因によって、TPMS送信器1a〜1dのうち1つが、空気圧の僅かな変化または加速度の僅かな変化を検出したとする。すると、当該TPMS送信器の制御部23は、図5のステップ120またはステップ130で変化ありと判定してステップ140に進む。そしてステップ140で、自機の送信器ID、最新のタイヤ空気圧、および最新の加速度を含めたフレーム541を送信部24に送信させる(ステップ537参照)。これにより、フレーム541が、当該TPMS送信器からTPMS受信器3に届く。
すると、第1処理部33が、ステップ210、230、250の処理を繰り返している状態で、アンテナ31および受信部32を介してこのフレーム541を受信し、直後のステップ250で、フレームを受信したと判定し、ステップ255に進む。
ステップ255では、受信したフレーム541に含まれる送信器IDに対応する第1圧力基準値P1をメモリから読み出す。そして、読み出した第1圧力基準値P1と、受信したフレーム541に含まれる圧力との差の絶対値を算出し、この絶対値が第1圧力幅よりも大きいか否か判定する。
この第1圧力幅は、窃盗行為によって発生する圧力変化を選んで検出するための値である。したがって、TPMS送信器の制御部23がステップ120で変化があると判定する最低限の圧力変化量(具体的には最下位の1ビット変化分)よりも、遙かに大きい値である。
したがって、猫が乗る、強風を受ける、等の窃盗に関係ない外的要因に起因する圧力変動がタイヤの1つであったとしても、その結果、変動後の圧力と第1圧力基準値P1との差の絶対値が第1圧力幅よりも大きくなることはない。それ故、この場合は、ステップ255で大きくないと判定してステップ260に進む。
ステップ260では、受信したフレーム541に含まれる送信器IDに対応する第1加速度基準値A1をメモリから読み出す。そして、読み出した第1加速度基準値A1と、受信したフレーム541に含まれる加速度との差の絶対値を算出し、この絶対値が第1加速度幅よりも大きいか否か判定する。
この第1加速度幅は、窃盗行為によって発生する加速度変化を選んで検出するための値である。したがって、TPMS送信器の制御部23がステップ130で変化があると判定する最低限の加速度変化量(具体的には最下位の1ビット変化分)よりも、遙かに大きい値である。
したがって、猫が乗る、強風を受ける、等の窃盗に関係ない外的要因に起因する加速度変動がタイヤの1つであったとしても、その結果、変動後の加速度と第1加速度基準値A1との差の絶対値が第1加速度幅よりも大きくなることはない。それ故、この場合は、ステップ260で大きくないと判定してステップ210に戻る。この結果、第1処理部33は、フレーム541に対応して後述するウェイクアップ信号を出力することがない(ステップ543参照)。
その後、第1処理部33は、ドアロック状態でなくなるか再度フレームを受信するまでは、ステップ210、230、250の処理を繰り返す。
その後、窃盗犯が車両の窃盗行為を開始したとする。そしてその結果、例えば、ドアのこじ開け等による衝撃がタイヤの空気圧を大きく変動させたり、タイヤの回転によりタイヤにかかる加速度が大きく増大したり、あるいは、人が乗車したことによりタイヤ空気圧が大きく増大したり、レッカーやジャッキアップによりタイヤ空気圧が大きく減少したとする。
すると、TPMS送信器2a〜2dのうちいずれかの制御部23は、図5のステップ120またはステップ130で変化ありと判定してステップ140に進む。そしてステップ140で、自機の送信器ID、最新のタイヤ空気圧、および最新の加速度を含めたフレーム547を送信部24に送信させる(ステップ545参照)。これにより、フレーム547が、当該TPMS送信器からTPMS受信器3に届く。
すると、第1処理部33が、ステップ210、230、250の処理を繰り返している状態で、アンテナ31および受信部32を介してこのフレーム547を受信し、直後のステップ250で、フレームを受信したと判定し、ステップ255に進む。
ステップ255では、受信したフレーム547に含まれる送信器IDに対応する第1圧力基準値P1をメモリから読み出す。そして、読み出した第1圧力基準値P1と、受信したフレーム547に含まれる圧力との差の絶対値を算出し、この絶対値が第1圧力幅よりも大きいと判定し、ステップ265に進む。
あるいは、この絶対値が第1圧力幅よりも大きくないと判定した場合は、ステップ260に進む。しかしこの場合も、ステップ260では、当該送信器IDに対応する第1加速度基準値A1と、フレーム547に含まれる加速度との差の絶対値を算出し、この絶対値が第1加速度幅よりも大きいと判定し、ステップ265に進む。
ステップ265では、所定のウェイクアップ信号551を第2処理部34に出力する(ステップ549参照)。第2処理部34は、このウェイクアップ信号551を受けたことに基づいて、ウェイクアップする(ステップ553)。すなわち、スリープ状態からアクティブ状態に遷移する。
ウェイクアップした第2処理部34は、直ちに所定のウェイクアップ要求557を移動体通信器5に出力する(ステップ555)。移動体通信器5は、このウェイクアップ要求557を受けたことに基づいて、ウェイクアップする(ステップ559)。すなわち、スリープ状態からアクティブ状態に遷移する。このアクティブ状態は、スリープ状態よりも消費電力が高く、かつ、スリープ状態とは違って、車両の外部(例えばサービスセンタ43)と通信が可能となっている。
また、第1処理部33は、ステップ265でウェイクアップ信号551を出力した後、ステップ270で、第2処理部34に所定の警戒信号563を出力し(ステップ561)、その後、図6の処理を終了する。第2処理部34は、この警戒信号563を受けたことに基づいて、車両の盗難を通報させるために、所定の連絡指示567を移動体通信器5に出力する(ステップ565)。
移動体通信器5は、この連絡指示567を受けたことに基づいて、連絡処理を実行する(ステップ569)。具体的には、移動体通信器5は、通信網42(移動体通信網、インターネット等)に接続された無線基地局41と無線接続する。そして、この無線接続を介して、当該通信網42に接続されたサービスセンタ43(送信先の装置の一例に相当する)に、車両盗難発生のおそれがある旨の警戒情報を、送信する。
この警戒情報には、移動体通信器5を一意に識別するための移動体通信器IDを含める。移動体通信器5の移動体通信器IDは、あらかじめサービスセンタ43に登録されており、更に、サービスセンタ43のデータベースにおいて、移動体通信器5が搭載された車両の所有者が携帯するユーザ端末45のアドレス等と、関連付けられている。なお、サービスセンタ43のアドレスは、あらかじめ移動体通信器5に登録されているものを使用する。
サービスセンタ43は、この警戒情報を移動体通信器5から受信すると、自動的に、通信網42および無線基地局44を介して、車両の所有者のユーザ端末45(例えば、携帯電話機)に、問い合わせ情報を送信する。この問い合わせ情報には、車両盗難のおそれがある旨の情報と、警備システム47への出動要請送信の要否を問い合わせる情報とを含める。ユーザ端末45のアドレスは、移動体通信器5から受信した警戒情報に含まれる移動体通信器IDと関連付けられたユーザ端末のアドレスを、上記データベースから抽出することで、取得可能である。
サービスセンタ43はそれと共に、上記警戒情報を移動体通信器5から受信すると、自動的に、通信網42および無線基地局47を介して、あらかじめアドレスが登録された警備システム47に、車両盗難に備えて待機するよう要請する待機要請を送信する。この待機要請には、受信した警戒情報に含まれる移動体通信器IDを含める。
この待機要請を受信した警備システム47は、受信した待機要請を表示する。そして、この表示を見た警備システム47の運用主体(警備会社または警察)は、あらかじめ出動の準備を整えることができる。
また、上記問い合わせ情報を受信したユーザ端末45は、この問い合わせ情報をユーザ(車両の所有者)に表示し、警備システム47への出動要請送信の要否についてのユーザの回答を受け付ける。
ユーザがユーザ端末45を操作して出動要請を送信する旨の回答を行った場合、ユーザ端末45は、出動要請依頼をサービスセンタ43に送信する。サービスセンタ43は、この出動要請依頼を、上記問い合わせ情報に対する応答として受信する。そして、この出動要請依頼を受信したことに基づいて、警備システム47に、出動要請を送信する。この出動要請には、移動体通信器5から受信した警戒情報に含まれる移動体通信器IDを含める。
この出動要請を受信した警備システム47は、この出動要請を表示する。そして、この表示を見た警備システム47の運用主体(警備会社または警察)は、既に準備が整っている出動(盗難に対応するための出動)を実行するので、迅速に出動可能である。
また、ユーザがユーザ端末45を操作して出動要請を送信しない旨の回答を行った場合、ユーザ端末45は、待機解除依頼をサービスセンタ43に送信する。サービスセンタ43は、この待機解除依頼を、上記問い合わせ情報に対する応答として受信する。そして、この待機解除依頼を受信したことに基づいて、警備システム47に、待機解除要請を送信する。この待機解除要請には、移動体通信器5から受信した警戒情報に含まれる移動体通信器IDを含める。
この待機解除要請を受信した警備システム47は、この待機解除要請を表示する。そして、この表示を見た警備システム47の運用主体(警備会社または警察)は、出動に対する待機状態を解除する。
このように、警備システム47の運用主体は、車両所有者からの回答をもって、盗難対応するため、家族含む関係者に車両を貸し出した場合等には、不要な出動をしなくて済む。
なお、車両の所有者が再度車両に搭乗する場合には、携帯キーまたは機械式キーを用いて車両のドアをアンロックするが、このとき、ドアロックECU4は、ドアをアンロックした後、ドアアンロック信号を、TPMS受信器3の第2処理部34に出力する。第2処理部34は、このドアアンロック信号を受けると、スリープ状態からアクティブ状態にウェイクアップすると共に、第1処理部33にドアアンロック通知を出力する。
また、第1処理部33は、警戒モードにおいて、ステップ210、230、250の処理をこの順に繰り返しているときに、このドアアンロック通知を受信したことに基づいて、その直後のステップ210で、ドアロック状態でないと判定してステップ215に進む。この処理により、第1処理部33は、警戒モードから通常モードに遷移して、ステップ210〜225の処理の実行に戻る。これ以降も、第1処理部33は、ドアロック通知を受けない限り、ステップ210では、ドアロック状態でないと判定する。
以上説明した通り、本実施形態の車両盗難通報システムは、車両10のIGオフ(主電源オフの一例に相当する)後に、車両10のドアがロックされているドアロック状態であるか否かを判定する(ステップ210)。そして、ドアがロックされていると判定し始めたことに基づいて、すなわち、ステップ210の判定結果か「ドアロック状態でない」から「ドアロック状態である」に変化したことに基づいて、警戒モードに遷移する(ステップ210→ステップ230)。そして、警戒モードにおいて、車両のタイヤ1a〜1dの空気圧の第1圧力基準値P1に対する変化量が第1圧力幅を超えたことに基づいて、車両10の外部の送信先(サービスセンタ43、ユーザ端末45、警備システム47)に警戒情報を送信する。また、車両のタイヤ1a〜1dにかかる加速度の第1加速度A1に対する変化量が第1加速度幅を超えたことに基づいて、車両10の外部の送信先に警戒情報を送信する。
例えば、従来のように、IGオフ直後から警戒モードに遷移する場合は、車両の乗員(車両の所有者)が降車する前に警戒モードに遷移することになる。このようにすると、乗員が降車することによる重量変化や、ドア開閉で発生する衝撃、荷物の出し入れなどでの重量変化など、一般の乗降時の動作が全て窃盗行為であると誤判断されるおそれがある。すると、その度に車両の所有者は、誤判定によるユーザ端末45を介した通知に対して繰り返し対応しなければいけなくなる。
一般の乗降時の動作や重量変化などを、窃盗行為でない(ステップ255、260で圧力幅または加速度幅よりも大きいと判定されるような変化ではない)と判定するよう、第1圧力幅、第1加速度幅を設定することも可能ではある。しかし、そのようにしては、車両盗難時の鍵のこじ開けや、ドアの開閉、不審者乗車も一般の乗車と特段動作及び衝撃が変わるわけではないので、車両盗難発生時にも窃盗行為を検出できないことになるという問題がある。
そこで、本実施形態のように、ドアロックをトリガに警戒モードを開始することで、通常の降車時や荷物搬出入を盗難と誤検出することをなくし、無駄な通知を低減することができる。つまり、乗員による降車行動に起因した誤判定の可能性を低減することができる。
また、車両駐車中の警戒モードにおいて、車両盗難通報システム内で常時動作する箇所を、TPMS送信器2a〜2d、TPMS受信器3の受信部32、およびTPMS受信器3の第1処理部33に限定している。これにより、警戒モード中のTPMS受信器3の第2処理部34および移動体通信器5の電力消費を低減することができる。そしてその結果、長期駐車中でも、車両バッテリ上がりによって盗難検出が不能になる可能性を低減することができる。
また、窃盗行為の発生を検出した場合(ステップ255またはステップ260でYESの判定となった場合)、第1処理部33は、第2処理部34にウェイクアップ信号を出力するだけで、第2処理部34と移動体通信器5とを連鎖的にウェイクアップおよび作動させることができる。したがって、消費電力が低い分処理能力の低い第1処理部33の負担を軽減することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態の作動に、スローリーク対策の作動を追加したものである。スローリークとは、タイヤを通常の使用状態で使用している間もタイヤ空気圧が徐々に低下していく現象をいう。
スローリークに起因する問題を、第1実施形態の車両盗難通報システムにおいて、車両を長期間(例えば数ヶ月)駐車したままにしておく場合を例に挙げて説明する。この場合、駐車中も、タイヤの空気圧は徐々に低下していき、ある程度以上低下してしまうと、TPMS受信器3の第1処理部33は、図6のステップ255で、第1圧力基準値P1と受信した圧力との差の絶対値が、第1圧力幅よりも大きいと判定する。この結果、サービスセンタ43に警戒情報が送信され、サービスセンタ43からユーザ端末45に問い合わせ情報が送信されてしまう。こうなると、車両の所有者は、車両の窃盗行為があったわけではないのに、車両盗難のおそれの報知を受けてしまい、対応まで迫られてしまう。また、車両の窃盗行為があったわけではないのに、警備システム47に待機依頼が送信されてしまう。
本実施形態は、このような問題への対策が追加されている。以下、本実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。まず、本実施形態の車両盗難通報システムのハードウェア構成は、第1実施形態と同じである。
また、本実施形態のTPMS送信器2a〜2d、ドアロックECU4、ユーザ端末45、警備システム47の作動および機能は、第1実施形態と同じである。図6に、本実施形態における車両盗難通報システムの作動をシーケンス図で示す。なお、図4と図7において同一の符号が付されたステップは、互いに同一の処理を行うものであり、また、同一の符号が付された信号は、互いに同一の信号であり、ここではそれらの詳細についての説明は省略する。
本実施形態におけるTPMS受信器3の第1処理部33は、IGがオフになったことに基づいて、IGオフ直後に、図6の処理に代えて、図8の処理の実行を開始するようになっている。なお、図6と図8において同一の符号が付されたステップは、互いに同一の処理を行うものであり、ここではそれらの詳細についての説明は省略する。
車両10のIGがオフになる前(すなわちIGオンの期間)、および、IGオフからドアロックまでの期間T1における車両盗難通報システムの作動は、第1実施形態と同じである。
また、乗員の降車行動が終了し、車内に誰もいない状態でドアが閉じられ、ドアがロックされたとする。この場合も、第1実施形態と同様、ドアロックECU4がドアロック信号を第2処理部34に出力する。これを受信した第2処理部34は、直ちにドアロック通知525を第1処理部33に出力し(ステップ523)、その後直ちに、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する(ステップ527)。
また、第1処理部33は、第1実施形態と同様、上記ドアロック通知525を受けると、その直後のステップ210で、ドアロック状態であると判定し、ステップ230に進んで警戒モードに遷移する。また、警戒モードに入って以降も、ドアが開けられて、第2処理部34からドアアンロック通知を受信するまでは、ステップ210ではドアロック状態であると判定する点も、第1実施形態と同じである。
本例のステップ230では、ドアロックされてすぐのステップ210なので、ドアロック直後であると判定し、ステップ242に進む。ステップ242では、基準値の設定を行う。第1実施形態では、図6のステップ240で、第1圧力基準値P1および第1加速度基準値A1を設定しているが、本実施形態のステップ242では、これらに加え、第2圧力基準値P2も設定する(図7のステップ530)。
第1圧力基準値P1および第1加速度基準値A1の設定の具体的方法は、図6のステップ240と同じである。第2圧力基準値P2の設定方法としては、現在の各タイヤ1a〜1dに対応する参照圧力P’を、各タイヤの第2圧力基準値P2に設定する。したがって、第2圧力基準値P2も、複数個あり、それぞれが、TPMS送信器2a〜2dのうち、特定の送信器IDのTPMS送信器に対応した基準値である。
第2圧力基準値P2としてドアロック前の最後の受信値を採用するのは、第1圧力基準値P1としてドアロック前の最後の受信値を採用するのと同じ理由からである。なお、設定された各第2圧力基準値P2は、TPMS受信器3内の図示しないメモリに記録される。
ここで、或るタイヤに対応する参照圧力P’は、当該タイヤに対応する現在圧力Pであってもよい。あるいは、当該タイヤの空気圧の検出値を、1日に4回分、かつ、過去1週間分記録しておき、その記録した1週間分の空気圧の平均値を、当該タイヤに対応する参照圧力P’としてもよい。この場合、第1圧力基準値P1よりも第2圧力基準値P2の方が大きくなる。
これら各タイヤの第2圧力基準値P2は、それぞれ、後に同じタイヤのTPMS送信器から受信した空気圧および加速度と比較して、スローリークの有無を判定するための基準値である。
ステップ242に続いては、ステップ250で、ステップ215と同様に、TPMS送信器2a〜2dのいずれかからフレームを受信したか否かを判定し、受信していなければステップ210に戻る。その後、IGオフ後かつドアロック後にフレームを受信していない間は、第1実施形態と同様、ステップ210、230、250の処理が、この順に繰り替えされる。
移動体通信器5はドアロック後もスリープ状態のままである。また、TPMS送信器2a〜2dの各々は、ドアロック後も、ドアロック前と同じアルゴリズムで作動を行う。したがって、制御部23は、ほとんどの場合、図5のステップ120で空気圧に変化がなく、かつ、ステップ130で加速度に変化がないと判定する。したがって、図7のステップ531、533、535、539に示すように、フレームの送信を禁止する。
ここで、猫が乗る、強風を受ける、等の窃盗に関係ない外的要因によって、TPMS送信器1a〜1dのうち1つが、空気圧の僅かな変化または加速度の僅かな変化を検出したとする。すると、当該TPMS送信器の制御部23は、第1実施形態と同じ作動を行うことで、フレーム541を送信部24に送信させる(ステップ537参照)。
すると、第1処理部33も、第1実施形態と同様、ステップ250で、フレーム541を受信したと判定し、ステップ255に進む。
そして、ステップ255では、フレーム541に含まれる送信器IDに対応する第1圧力基準値P1と、受信したフレーム541に含まれる圧力との差の絶対値が、第1圧力幅H1よりも大きくないと判定し、ステップ260に進む。更にステップ260では、受信したフレーム541に含まれる送信器IDに対応する第1加速度基準値A1と、受信したフレーム541に含まれる加速度との差の絶対値が、第1加速度幅よりも大きくないと判定する。このステップ255、260の処理も、第1実施形態と同じである。
ただし、ステップ260では、第1加速度幅よりも大きくないと判定すると、直ちにステップ210に戻るのではなく、ステップ261に進む。
ステップ261では、受信したフレーム541に含まれる送信器IDに対応する第2圧力基準値P2をメモリから読み出す。そして、読み出した第2圧力基準値P2と、受信したフレーム541に含まれる圧力との差の絶対値を算出し、この絶対値が第2圧力幅H2よりも大きいか否か判定する。言い換えれば、受信したフレーム541に含まれる圧力が、Z2(=第2圧力基準値P2−第2圧力幅H2)以上かつZ2’(=第2圧力基準値P2+第2圧力幅H2)以下の範囲を出ているか否かを判定する。
この第2圧力幅H2は、スローリークを窃盗行為であると誤判定してしまわないよう、スローリークによってドアロック後に空気圧が大きく低下する事象を選んで検出するための値である。したがって、図9に示すように、第2圧力幅H2は、窃盗行為を検出するための第1圧力幅H1よりも小さい値としてあらかじめ設定されている。
図9は、IGオフ後のドアロックが発生して以降のタイヤ1a〜1bの空気圧の変動例を示すグラフである。図9で空気圧が時間の経過につれて低下するのは、スローリークが原因である。本事例では、現在の時点は、タイヤ空気圧が第2圧力基準値P2から第2圧力幅H2を超えて低下する時点T2よりも遙か前の時点であるとする。なお、時点T2は、例えば、IGオフ後のドアロックが発生してから1ヶ月が経過した時点である。
また同時に、第2圧力幅H2は、TPMS送信器の制御部23がステップ120で変化があると判定する最低限の圧力変化量(具体的には最下位の1ビット変化分)よりも、遙かに大きい値である。
したがって、スローリークの影響がまだ大きくなく、かつ、猫が乗る等の窃盗に関係ない外的要因に起因する圧力変動がタイヤの1つで発生したとしても、その結果、変動後の圧力と第2圧力基準値P2との差の絶対値が第2圧力幅よりも大きくなることはない。それ故、この場合は、ステップ261で大きくないと判定してステップ210に戻る。この結果、第1処理部33は、フレーム541に対応してウェイクアップ信号を出力することがない(ステップ543参照)。
その後、第1処理部33は、ドアロック状態でなくなるか再度フレームを受信するまでは、ステップ210、230、250の処理を繰り返す。その後、時点T2になる前に、窃盗犯が車両の窃盗行為を開始した場合の車両盗難通報システムの作動は、第1実施形態の図4における窃盗開始時点以降の作動と同じである。
なお、図9においては、第1圧力基準値P1と第2圧力基準値P2とが同じである場合について例示しているが、上述の通り、第1圧力基準値P1よりも第2圧力基準値P2の方が大きい場合もある。この場合も、第2圧力幅H2は第1圧力幅H1よりも小さい値としてあらかじめ設定されるが、その目的は、第1圧力基準値P1から第1圧力幅H1を減算した値Z1よりも、第2圧力基準値P2から第2圧力幅H2を減算した値Z2の方を大きくするためである。この値Z1を、盗難判定閾値といい、Z2およびZ2’を、スローリーク閾値という。
ここで、ドアロック以降、車両が駐車されたまま時点T2に至り、その結果、タイヤ1a〜1dのうち1本のタイヤにおいて、スローリークの影響で、空気圧が第2圧力基準値P2から第2圧力幅H2を超えて低下した、すなわち、空気圧がスローリーク閾値Z2より小さくなったとする。
すると、TPMS送信器2a〜2dのうち当該タイヤに対応するTPMS送信器の制御部23は、図5のステップ120またはステップ130で変化ありと判定してステップ140に進む。そしてステップ140で、自機の送信器ID、最新のタイヤ空気圧、および最新の加速度を含めたフレーム603を送信部24に送信させる(ステップ601参照)。これにより、フレーム603が、当該TPMS送信器からTPMS受信器3に届く。
すると、第1処理部33が、ステップ210、230、250の処理を繰り返している状態で、アンテナ31および受信部32を介してこのフレーム603を受信し、直後のステップ250で、フレームを受信したと判定し、ステップ255に進む。
ステップ255では、フレーム603に含まれる送信器IDに対応する第1圧力基準値P1と、受信したフレーム603に含まれる圧力との差の絶対値が、第1圧力幅H1よりも大きいか否か判定する。時点T2では、図9に示す通り、この絶対値は、第1圧力幅H1よりも小さいので、大きくないと判定し、ステップ260に進む。
ステップ260では、受信したフレーム603に含まれる送信器IDに対応する第1加速度基準値A1と、受信したフレーム603に含まれる加速度との差の絶対値が、第1加速度幅よりも大きいか否か判定する。ここでは、窃盗行為が発生したわけではないので、加速度変化は大きくない。したがって、大きくないと判定し、ステップ261に進む。
ステップ261では、受信したフレーム603に含まれる送信器IDに対応する第2圧力基準値P2をメモリから読み出す。そして、読み出した第2圧力基準値P2と、受信したフレーム603に含まれる圧力との差の絶対値を算出し、この絶対値が第2圧力幅よりも大きいか否か判定する。
ここでは、受信した空気圧が第2圧力基準値P2から第2圧力幅H2を超えて低下しているので、大きいと判定し、ステップ262に進む。
ステップ262では、所定のウェイクアップ信号607を第2処理部34に出力する(ステップ605参照)。第2処理部34は、このウェイクアップ信号607を受けたことに基づいて、ウェイクアップする(ステップ609)。すなわち、スリープ状態からアクティブ状態に遷移する。
ウェイクアップした第2処理部34は、直ちに所定のウェイクアップ要求613を移動体通信器5に出力する(ステップ611)。移動体通信器5は、このウェイクアップ要求613を受けたことに基づいて、ウェイクアップする(ステップ615)。すなわち、スリープ状態からアクティブ状態に遷移する。このアクティブ状態は、スリープ状態よりも消費電力が高く、かつ、スリープ状態とは違って、車両の外部(例えばサービスセンタ43)と通信が可能となっている。
また、第1処理部33は、ステップ262でウェイクアップ信号607を出力した後、ステップ263で、第2処理部34に所定のスローリーク信号619を出力する(ステップ617)。第2処理部34は、このスローリーク信号619を受けたことに基づいて、スローリークによる空気圧の大幅低下を通報させるために、所定のスローリーク通知指示623を移動体通信器5に出力する(ステップ621)。
移動体通信器5は、このスローリーク通知指示623を受けたことに基づいて、スローリーク通知処理を実行する(ステップ625)。具体的には、移動体通信器5は、通信網42(移動体通信網、インターネット等)に接続された無線基地局41と無線接続する。そして、この無線接続を介して、当該通信網42に接続されたサービスセンタ43(送信先の装置の一例に相当する)に、スローリークによる空気圧の大幅低下があった旨を示すスローリーク情報を、送信する。このスローリーク情報には、移動体通信器5を一意に識別するための移動体通信器IDを含める。
サービスセンタ43を構成する装置は、このスローリーク情報を移動体通信器5から受信すると、自動的に、通信網42および無線基地局44を介して、車両の所有者のユーザ端末45(例えば、携帯電話機)に、スローリークによる空気圧の大幅低下があった旨を示すスローリーク通報を送信する。なお、サービスセンタ43は、警備システム47に対しては、第1実施形態で説明した待機要請も、スローリークによる空気圧の大幅低下を通知する情報も、送信しない。
また、スローリーク通報を受信したユーザ端末45は、このスローリーク通報をユーザ(車両の所有者)に表示する。この表示を見たユーザは、スローリークによる空気圧の大幅低下を知ることができ、例えば、後日、車両のタイヤに空気を補充する作業を行うことができる。
第1処理部33は、ステップ263の後、移動体通信器5がスローリーク通知の送信を完了できる程度の所定の待機時間(例えば1分)が経過するまで待ち、当該待機時間が経過した後、ステップ264に進み、所定のスリープ信号629を第2処理部34に出力する(ステップ627)。ステップ264の後、第1処理部33は、図8の処理を終了する。
第2処理部34は、このスリープ信号629を受信したことに基づいて、所定のスリープ要求633を移動体通信器5に出力し(ステップ631)、その後、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する(ステップ635)。
既にスローリーク通知の送信を完了した移動体通信器5は、このスリープ要求633を受信したことに基づいて、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する(ステップ637)。
その後、図9に示すように、時点T2以降もスローリークにより圧力が更に低下していき、時点T3で、空気圧が第1圧力基準値P1から第1圧力幅H1を超えて低下したとする。この場合も、第1処理部33がもはや図8の処理を実行していないので、移動体通信器5からサービスセンタ43に警戒情報は送信されない。したがって、車両の所有者や警備システム47は、盗難ではなく空気圧低下のために頻繁に警告を受けることがなくなる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態が第2実施形態と異なるのは、第1処理部33が実行する図8の処理を図10の処理に置き換えた点のみである。図8の処理と図10の処理が異なるのは、図8ではステップ264の後に図8の処理を終了しているのに対し、図10ではステップ264の後にステップ210に戻っていることである。このようになっているので、本実施形態では、スローリーク信号を出力して移動体通信器5にスローリーク通知処理を実行させた後も、引き続きタイヤ空気圧およびタイヤにかかる加速度に基づいて、盗難を検知することができる。
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態について、第2実施形態との違いを中心に説明する。上記第2実施形態では、スローリーク閾値Z2が盗難判定閾値Z1より大きくなっている。このため、盗難発生時の初期段階に、変動する圧力を検出するタイミングによっては、或るタイヤの空気圧の検出値(第1処理部33が受信するフレームに含まれる圧力)は、図11中のグラフの実線に示すようになる場合がある。この場合、時点T4に不当行為(窃盗行為、いたずら)が始まると、或るタイヤの空気圧の検出値は、その後の時点T5の直後にスローリーク閾値Z2を下回る。更に当該タイヤの空気圧の検出値は、時点T5の後、ある程度の期間TD1(例えば、数秒から数分の間のいずれかの期間)が経過した時点T6の直後に、盗難判定閾値Z1を下回る。
この場合、第2実施形態の第1処理部33は、時点T4から時点T5までは、当該タイヤに取り付けられたTPMS送信器からフレームを受信する度に、図8のステップ255、260、261のそれぞれで否定判定(NO判定)を行う。
そして、時点T5の直後に、当該タイヤの空気圧の検出値がスローリーク閾値Z2を下回った時点で、ステップ255、260では否定判定となるものの、ステップ261で、肯定判定(YES判定)となる。つまり、スローリークが発生したと誤判定してしまい、ステップ262、263、264を実行してしまう。
このように、盗難が発生しているにも関わらず、時点T5の直後においてスローリークが発生したと判定してしまい、その結果、図8の処理を終了させることで、その後警戒信号を出力することがなくなってしまう。すなわち、警戒が解除されてしまう。その結果、期待される盗難対策処置が講じられなくなってしまうおそれがある。
このような事例においても、後述する変形例1に示すような作動なら、スローリークが発生したと誤判定した後にも、当該タイヤにかかる加速度に基づき窃盗行為の検出も可能ではある。しかしこの場合、レッカー移動等の事例、すなわち、タイヤの加速度が変化せず、タイヤ圧力が変化するような窃盗事例では対処できないという問題もある。
そこで、本実施形態の第1処理部33は、図8に示した処理に代えて、図12に示す処理を実行するようになっている。この図12の処理は、図8の処理に対して、ステップ262とステップ263の間に新たにステップ310〜340を追加したものである。図12中でステップ310〜340以外の処理(ステップ210〜270の処理)は、図8と同じなので、説明は省略または簡略化する。
以下、この図12に示す処理を第1処理部33が実行する場合の車両盗難通報システムの作動を、図11のように空気圧が変化する事例に則して、説明する。図11のような事例において車両盗難通報システムが作動するときのシーケンス図を、図13に示す。なお、本事例では、各タイヤにかかる加速度には、ステップ260で肯定判定(YES)となるような変化が発生しないとする。
まず、本事例においては、IGがオフになって以降、時点T4の直前までの車両盗難通報システムの作動は、第2実施形態における、IGがオフになって以降、時点T2の直前までの作動(図7参照)と、同じである。
ここで、時点T4に不当行為(窃盗行為、いたずら)が始まり、その結果、或るタイヤのタイヤ空気圧50が変動し始めたとする。すると、TPMS送信器2a〜2dのうち当該タイヤに対応するTPMS送信器の制御部23は、図5のステップ120で空気圧に変化ありと判定してステップ140に進む。そしてステップ140で、自機の送信器ID、最新のタイヤ空気圧、および最新の加速度を含めたフレーム703を送信部24に送信させる(ステップ701参照)。これにより、フレーム703が、当該TPMS送信器からTPMS受信器3に届く。
すると、第1処理部33が、ステップ210、230、250の処理を繰り返している状態で、このフレーム703を受信し、ステップ250からステップ255に進む。ステップ255では、受信したフレーム703に含まれる送信器IDに対応する第1圧力基準値P1をメモリから読み出す。そして、読み出した第1圧力基準値P1と、受信したフレーム703に含まれる圧力との差の絶対値を算出し、この絶対値が第1圧力幅H1よりも大きくないと判定し、ステップ260に進む。
また、ステップ260では、受信したフレーム703に含まれる送信器IDに対応する第1加速度基準値A1をメモリから読み出す。そして、読み出した第1加速度基準値A1と、受信したフレーム703に含まれる加速度との差の絶対値を算出し、この絶対値が第1加速度幅よりも大きくないと判定し、ステップ261に進む。
ステップ261では、受信したフレーム703に含まれる送信器IDに対応する第2圧力基準値P2をメモリから読み出す。そして、読み出した第2圧力基準値P2と、受信したフレーム703に含まれる圧力との差の絶対値を算出し、この絶対値が第2圧力幅H2よりも大きくないと判定し(ステップ705参照)、ステップ210に戻る。
なお、ステップ255、261で大きくないと判定されるのは、時点T4およびその直後においては、図11に示す通り、圧力が変動し始めたところなので、まだ圧力変動量が小さいからである。
その後も、時点T4から時点T5までの間は、当該タイヤについて検出された圧力が、図11に示すように、Z2以上かつZ2’以下の範囲に入っている。この間は、当該タイヤに対応するTPMS送信器が、タイヤ空気圧の変動に応じて、自機の送信器ID、最新のタイヤ空気圧、および最新の加速度を含めたフレーム(例えばフレーム709)を送信する(例えばステップ707)。しかし、それを受信した第1処理部33は、フレーム703を受信した場合と同様、ステップ255、260、261で否定判定(NO判定)を行い(例えばステップ711)、ステップ210に戻る。従って、時点T4から時点T5までの間は、第1処理部33は、フレームを受信する度に、ステップ210、230、250、255、260、261の処理を、この順に繰り返す。
時点T5を過ぎると、当該タイヤについて検出された圧力が、図11に示すように、Z2以上かつZ2’以下の範囲を出る。
すると、当該タイヤに対応するTPMS送信器は、タイヤ空気圧に変化があることに基づいて、自機の送信器ID、最新のタイヤ空気圧、および最新の加速度を含めたフレーム715を送信する(ステップ713)。これにより、フレーム715が、当該TPMS送信器からTPMS受信器3に届く。
すると、第1処理部33が、ステップ210、230、250の処理を繰り返している状態で、このフレーム715を受信し、ステップ250からステップ255に進む。ステップ255では、上記第1圧力基準値P1と、受信したフレーム715に含まれる圧力との差の絶対値を算出し、この絶対値が第1圧力幅H1よりも大きくないと判定し、ステップ260に進む。これは、この時点においては、上記絶対値はH2よりも大きいがH1よりは小さいからである。
また、ステップ260では、上記第1加速度基準値A1と、受信したフレーム715に含まれる加速度との差の絶対値を算出し、この絶対値が第1加速度幅よりも大きくないと判定し、ステップ261に進む。
ステップ261では、上記第2圧力基準値P2と、受信したフレーム715に含まれる圧力との差の絶対値を算出し、この絶対値が第2圧力幅H2よりも大きいと判定し、ステップ262に進む。
ステップ262では、所定のウェイクアップ信号719を第2処理部34に出力する(ステップ717参照)。第2処理部34は、このウェイクアップ信号719を受けたことに基づいて、スリープ状態からアクティブ状態にウェイクアップする(ステップ721)。
ウェイクアップした第2処理部34は、直ちに所定のウェイクアップ要求725を移動体通信器5に出力する(ステップ723)。移動体通信器5は、このウェイクアップ要求725を受けたことに基づいて、図7のステップ615と同様に、スリープ状態からアクティブ状態にウェイクアップする(ステップ727)。
また、第1処理部33は、ステップ262でウェイクアップ信号719を出力した後、ステップ310で、第2処理部34に所定の回線接続信号731を出力する(ステップ729参照)。第2処理部34は、この回線接続信号731を受けたことに基づいて、直ちに所定の回線接続要求735を移動体通信器5に出力する(ステップ733)。
移動体通信器5は、この回線接続要求735を受けたことに基づいて、サービスセンタ43との回線接続を行う(ステップ737)。回線接続の方法は、以下の通りである。移動体通信器5は、まず、通信網42(移動体通信網、インターネット等)に接続された無線基地局41と無線接続する。そして、この無線接続を介して、当該通信網42に接続されたサービスセンタ43に、回線接続コマンドを送信する。すると、サービスセンタ43が、この回線接続コマンドの応答として、接続許可通知を移動体通信器5に送信する。移動体通信器5がこの接続許可通知を受信したことで、回線接続が完了する。なお、この回線接続コマンドには、サービスセンタ43に接続するために必要なIDおよびパスワード(いずれも、あらかじめ移動体通信器5に記録されている)を含めるようになっていてもよい。その場合、サービスセンタ43は、回線接続コマンドに含まれるIDおよびパスワードが正規のものである場合に限り、回線接続コマンドの応答として、接続許可通知を移動体通信器5に送信する。
なお、この回線接続を行った段階では、移動体通信器5とサービスセンタ43の回線が接続しただけであって、後述する警戒情報やスローリーク通知はまだ送信しない。そして、回線が接続された状態は、以後持続する。
また、第1処理部33は、ステップ310で回線接続信号731を出力した後、ステップ320に進み、空気圧モニタを行う。具体的には、当該タイヤに設けられたTPMS送信器からフレームを受信するまで待つ。
当該TPMS送信器は、ステップ739と同様、検出したタイヤ空気圧が変化する度に、自機の送信器ID、最新のタイヤ空気圧、および最新の加速度を含めたフレーム(例えばフレーム749、757)を送信する(例えば、ステップ747、755)。そして第1処理部33は、当該フレームを受信するとステップ330に進む。
そして、ステップ330では、ステップ255と同じ判定処理を行う。すなわち、当該第1圧力基準値P1と、直前のステップ320で受信したフレームに含まれる圧力との差の絶対値を算出し、この絶対値が第1圧力幅H1よりも大きいか否かを判定する。そして、大きいと判定した場合、ステップ270に進み、大きくないと判定した場合、ステップ340に進む。ステップ340では、直前のステップ262でウエイクアップ信号719を出力してからの経過時間と、所定の待ち時間TW(例えば10分)を比較し、当該経過時間が待ち時間TWよりも長いか否かを判定する。そして、長いと判定した場合は、ステップ263に進み、長くないと判定した場合は、ステップ320に戻る。
このようなステップ320、330、340の処理により、第1処理部33は、例えば、フレーム749を受信すると、ステップ320からステップ330に進み、当該第1圧力基準値P1と、受信したフレーム749に含まれる圧力との差の絶対値を算出する。そして、この時点では、図11に示すように最新のタイヤ空気圧の検出値(すなわち、受信したフレーム749に含まれる圧力)は、まだ盗難判定閾値Z1よりも大きい。したがって、上記絶対値が第1圧力幅H1よりも小さいと判定し(ステップ743参照)、ステップ340に進む。そして、本事例では、時点T5から時点T6までの時間は数秒〜1分の間のいずれかとするので、ステップ340では、経過時間は待ち時間TWよりも長くないと判定し(ステップ745参照)、ステップ320に戻る。
このように、時点T6になるまでは、最新のタイヤ空気圧の検出値は盗難判定閾値Z1よりも大きく、かつ、経過時間は待ち時間TWよりも長くないので、第1処理部33は、当該タイヤに設けられたTPMS送信器からフレームを受信する度に、ステップ320→ステップ330→ステップ340→ステップ320の順で処理を進める。
したがって、例えば、フレーム749を受信すると、ステップ320からステップ330に進み、当該第1圧力基準値P1と、受信したフレーム749に含まれる圧力との差の絶対値が第1圧力幅H1よりも小さいと判定し(ステップ751参照)、ステップ340に進む。そして、ステップ340では、経過時間は待ち時間TWよりも長くないと判定し(ステップ753参照)、ステップ320に戻る。
その後、時点T6を過ぎると、当該タイヤについて検出された圧力が、図11に示すように、盗難判定閾値Z1よりも小さくなる。
すると、当該タイヤに対応するTPMS送信器は、タイヤ空気圧に変化があることに基づいて、自機の送信器ID、最新のタイヤ空気圧、および最新の加速度を含めたフレーム757を送信する(ステップ755)。これにより、フレーム757が、当該TPMS送信器からTPMS受信器3に届く。
すると、第1処理部33が、このフレーム757を受信し、ステップ320からステップ330に進み、当該第1圧力基準値P1と、受信したフレーム749に含まれる圧力との差の絶対値を算出する。そして、この時点では、図11に示すように最新のタイヤ空気圧の検出値(すなわち、受信したフレーム757に含まれる圧力)は、盗難判定閾値Z1よりも小さいので、上記絶対値が第1圧力幅H1よりも大きいと判定し(ステップ759参照)、ステップ270に進む。
ステップ270では、第2処理部34に所定の警戒信号763を出力し(ステップ761参照)、その後、図12の処理を終了する。第2処理部34は、この警戒信号763を受けたことに基づいて、車両の盗難を通報させるために、所定の連絡指示767を移動体通信器5に出力する(ステップ765)。
移動体通信器5は、この連絡指示767を受けたことに基づいて、連絡処理を実行する(ステップ769)。具体的には、サービスセンタ43(送信先の装置の一例に相当する)に、車両盗難発生のおそれがある旨の警戒情報を、送信する。なお、移動体通信器5は、ステップ737の時点で既にサービスセンタ43との回線接続を完了しているので、この連絡処理を実行する時点では、移動体通信器5とサービスセンタ43とは接続した状態にある。したがって、この連絡処理においては、新たにサービスセンタ43と回線接続する手順を省いて警戒情報のデータ送信を行う。したがって、ステップ330で肯定判定(YES判定)となったら、即座に警戒情報のデータ送信を完了することができる。
また、図7の事例とは異なるが、実際にスローリークが発生した結果タイヤ空気圧の検出値がスローリーク閾値Z2を下回った場合について説明する。この場合、タイヤ空気圧の検出値がスローリーク閾値Z2を下回った後、ステップ262でウエイクアップ信号719を出力してからの経過時間が所定の待ち時間TWを超えるまでの期間に、当該タイヤの空気圧の検出値は盗難判定閾値Z1を下回ることはない。スローリークによるタイヤ空気圧低下の速度は、非常に遅く、スローリーク閾値Z2を下回ってから盗難判定閾値Z1を下回るまでの期間が数日から数十日もあるからっである。その場合、第1処理部33は、ステップ320、330、340を繰り返しているときに、当該経過時間が待ち時間TWを超えた直後のステップ340で、当該経過時間が待ち時間TWを超えたと判定してステップ263に進む。
ステップ263以降の作動は、第2実施形態と同様である(図7の617〜637参照)。すなわち、ステップ263では、第2処理部34に所定のスローリーク信号を出力し、この結果、第2処理部34は、所定のスローリーク通知指示を移動体通信器5に出力する。そして、移動体通信器5は、このスローリーク通知指示を受けたことに基づいて、第2実施形態と同様にスローリーク通知処理を実行する。ただし、このスローリーク通知処理においては、警戒情報の送信時と同じ理由で、新たにサービスセンタ43と回線接続する手順を省いて警戒情報のデータ送信を行うことができる。その後第1処理部33は、ステップ264に進み、所定のスリープ信号を第2処理部34に出力した後、図12の処理を終了する。 第2処理部34は、このスリープ信号を受信したことに基づいて、所定のスリープ要求を移動体通信器5に出力し、その後、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する。また移動体通信器5は、このスリープ要求を受信したことに基づいて、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する。
以上が本実施形態の構成および作動である。本願発明者は、以下の点に着目した。スローリークが発生する場合、タイヤ空気圧がスローリーク閾値Z2を下回った時点から、盗難判定閾値Z1を下回るまでには長時間(例えば数日から数十日の間のいずれか)が経過することに着目した。一方、不当行為(窃盗行為、いたずら)がある場合は、タイヤ空気圧の検出タイミングによっては、タイヤ空気圧の検出値が盗難判定閾値Z1を下回るよりも前の段階でスローリーク閾値Z2を下回ることがあったとしても、その後に検出値が盗難判定閾値Z1を下回るまでには、数分以内程度のかなり短い時間しか経過しない。
このような着目点に鑑み、本実施形態は、上記のように作動するよう構成された。すなわち、或るタイヤの空気圧の検出値がスローリーク閾値Z2を下回った場合、1回の変化だけではスローリークと盗難発生を誤判定する可能性があるため、所定の待ち時間TW(例えば10分程度)だけ、当該タイヤの空気圧をモニタする。そして、その待ち時間TWの間、当該圧力が盗難判定閾値Z1を下回ることがなければ、スローリークと判断して、スローリークの判定処置を行う(ステップ340→ステップ263)。
一方、待ち時間TWだけモニタしている途中で、空気圧の検出値が盗難判定閾値Z1を下回れば、その下回った時点で盗難発生と判断して、警戒信号を出力する(ステップ330→ステップ270)。
このように対処することで、ユーザは、盗難発生時の誤判定を免れるだけでなく、スローリーク情報を受けた、暫く後に盗難情報を受けるなどの、何が正しい情報か判りにくい展開情報に惑わされることも無く、またその両者に対処することもなくなる。
なお、スローリークが発生している場合には空気圧が増える場合が無いと考えられるので、本実施形態において、以下のようにしてもよい。すなわち、第1処理部33は、待ち時間TWだけモニタしている途中で(ステップ320、330、340の繰り返し中に)、当該タイヤの空気圧の検出値がスローリーク閾値Z2を上回ったか否かを逐次判定する。そして、一度でも上回った場合、スローリーク閾値Z2を上回ったことを示すフラグをオフからオンにする。その後、ステップ340からステップ263に進んだとき、当該フラグがオフである場合には、スローリーク信号を出力し、オンである場合にはスローリーク信号を出力しないようになっていてもよい。このようにすることで、無駄なスローリーク信号を出力してしまう(ステップ263)頻度を低減することができる。なお、このフラグは、ステップ262を実行する度にオフにリセットしてもよい。
なお、上記各実施形態では、第1処理部33が、図6、図8のステップ210を実行することでロック状態判定手段の一例として機能し、図6、図8のステップ230〜270、310〜340を実行することで送信制御手段の一例として機能し、図8のステップ255、260、265、270を実行することで第1手段の一例として機能し、図8のステップ261、262、263、310〜340を実行することで第2手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(変形例1)
上記第2実施形態では、第1処理部33は、図8のステップ264でスリープ信号629を送信した後、図8の処理を終了させている。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。
例えば、第1処理部33は、図8のステップ264でスリープ信号629を送信した後、図8の処理を終了し、図6の処理を開始するようになっていてもよい。ただし、図6の処理において、ステップ250でフレームを受信したと判定した場合は、ステップ255ではなくステップ260に進む。このようにすることで、スローリークによる空気圧の大幅低下があった後も、タイヤにかかる加速度に基づいて、窃盗行為の検出および通報が可能となる。
(変形例2)
また、上記第2実施形態および変形例1において、スローリーク通報を受けた車両の所有者が、各タイヤに空気を補充したら、TPMS受信器3の操作部(図示せず)に対して所定の復帰操作を行うようになっていてもよい。TPMS受信器3の第1処理部33は、この復帰操作が操作部に対して行われたことに基づいて、(図6の処理を実行しているなら終了させた上で)、図8の処理を再開するようになっていてもよい。
(変形例3)
また、上記各実施形態および各変形例において、車両盗難通報システムは、図14に示すように車両に搭載されたGPS受信器6(単独測位方式のGPS受信器でもよいし、ネットワークアシスト方式のGPS受信器でもよい)を備えていてもよい。この場合、GPS受信器6は、現在位置を測位するが消費電力が高いアクティブ状態と、現在位置を測位不可能だが消費電力がアクティブ状態よりも低いスリープ状態との間を、遷移するようになっている。
そして、GPS受信器6は、移動体通信器5と同じタイミングおよび作動で、アクティブ状態とスリープ状態を切り替える。
具体的には、GPS受信器6は、IGがオフになるとアクティブ状態からスリープ状態に遷移する。また、第2処理部34は、移動体通信器5にウェイクアップ要求557、613を送信するときには、GPS受信器6にもウェイクアップ要求を出力し、GPS受信器6は、このウェイクアップ要求を受信したことに基づいて、スリープ状態からアクティブ状態にウェイクアップし、現在位置の測位を開始する。
また、第2処理部34は、移動体通信器5にスリープ要求633を送信するときには、GPS受信器6にもスリープ要求を出力し、GPS受信器6は、このスリープ要求を受信したことに基づいて、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する。
また、移動体通信器5は、警戒情報569をサービスセンタ43に送信する場合には、GPS受信器6が上記ウェイクアップ要求を受信した後に測位した現在位置(車両の現在位置)を取得して警戒情報569に含める。
そして、サービスセンタ43は、この現在位置を含む警戒情報569を受信した事に基づいて、ユーザ端末45に送信する問い合わせ情報、および、警備システム47に送信する待機要請、出動要請に、この現在位置を含めるようになっていてもよい。そして、ユーザ端末45および警備システム47は、この現在位置の情報を表示する。これにより、車両の所有者および警備会社(または警察)は、盗難に遭った車両の現在位置を知ることができる。
(変形例4)
上記第1、第2実施形態では、第1圧力基準値P1、第1加速度基準値A1、第1圧力基準値P2は、それぞれ、IGがオフになる前にTPMS送信器から受信したタイヤの圧力または加速度を用いて設定されている。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、IGがオフになった直後にTPMS送信器から受信したタイヤの圧力または加速度を用いてもよい。
この場合、例えば、TPMS受信器3の第1処理部33は、ドアロック通知523を第2処理部34から受けたことに基づいて、1回だけ、TPMS送信器2a〜2dのそれぞれに、送信要求を送信するようになっていてもよい。そして、TPMS送信器2a〜2dのそれぞれの制御部23は、送信要求を受信した事に基づいて、自機の送信器ID、空気圧センサ21が検出した現在の空気圧、および加速度センサ22が検出した現在の加速度を含むフレームをTPMS受信器3に送信するようになっていてもよい。そして、第1処理部33は、このようにして送信されたフレーム中の圧力を、第1圧力基準値P1および第2圧力基準値P2とし、当該フレーム中の加速度を、第1加速度基準値A1としてもよい。
なお、この場合、TPMS受信器3から各TPMS送信器2a〜2dへ要求信号を送信するための送信部を、TPMS受信器3に含める。また、TPMS送信器2a〜2dが上記要求信号を受信できるようにするための受信部を、TPMS送信器2a〜2dの各々に含める。
(変形例5)
また、上記第1、第2実施形態において、TPMS送信器2a〜2dは、自機の電力消費を低減する要請がない場合には、タイヤ空気圧にも加速度にも変化がない場合でも、フレームを送信するようになっていてもよい。具体的には、TPMS送信器2a〜2dの制御部23は、図5のステップ110の後、直ちにステップ140に進むようになっていてもよい。
(変形例6)
また、上記第1、第2実施形態では、ドアがアンロックされてドアアンロック信号が第2処理部34に入力されると、第2処理部34はスリープ状態からアクティブ状態にウェイクアップすると共に、第1処理部33にドアアンロック通知を出力する。そして第1処理部33は、警戒モードにおいて、このドアアンロック通知を受けると、警戒モードを解除して通常モードに遷移する。このような作動は、車両の所有者による通常のアンロックの場合では問題がない。
しかしながら、窃盗行為の発生時に、ドアのこじ開けに起因してドアアンロック信号が第2処理部34に入力される場合がある。このような場合に対処するために、ドアアンロック信号が第2処理部34に入力されても、第1処理部33の警戒モードが解除されないようにしてもよい。このためには、例えば、ドアアンロック信号が第2処理部34に入力され、更にドアアンロック通知が第1処理部33に入力された後も、第1処理部33は、ステップ210でドアロック状態であると判定し続けるようにしてもよい。
しかし、このようにした場合でも、車両の所有者による通常のアンロックに対しては警戒モードを解除することが望ましい。そこで、更に以下のようにしてもよい。
第1処理部33は、TPMS受信器3のメモリ中の警戒解除フラグを参照、書き換えできるようになっており、警戒モードに遷移した時点で、この警戒解除フラグをオフに設定する。
そして、ドアアンロック信号が第2処理部34に入力され、更にドアアンロック通知が第1処理部33に入力された場合、第1処理部33は、この警戒解除フラグを参照する。そして、警戒解除フラグがオフならば、ステップ210でドアロック状態であると判定する。つまり、ステップ210では、警戒解除フラグがオフであるか、または、ドアロック通知を受信した後にドアアンロック通知を受信していない場合に、ドアロック状態であると判定し、そのどちらでもない場合に、ドアロック状態でないと判定する。これにより、ドアのこじ開けによるドアアンロック信号に対しては、警戒モードを解除しなくなる。
そして、ユーザ(車両の所有者)が再度車両に搭乗したい場合には、ユーザは、ユーザ端末45に対して所定の警戒解除操作を行う。ユーザ端末45は、この警戒解除操作を受け付けたことに基づいて、基地局44、通信網42を介して、サービスセンタ43に、警戒解除依頼を送信する。
この警戒解除依頼には、あらかじめユーザ端末45に登録された移動体通信器5の移動体通信器IDを含める。サービスセンタ43は、この警戒モード解除依頼を受信したことに基づいて、警戒解除依頼に含まれる移動体通信器IDに対応する移動体通信器5に対して、警戒解除命令を送信する。なお、サービスセンタ43では、移動体通信器5の移動体通信器IDとアドレスとの対応関係は、あらかじめ登録されている。
この警戒解除命令を受信するために、本変形例6においては、移動体通信器5はIGオフ後も常にアクティブ状態にあるようにする。この警戒解除命令を受信した移動体通信器5は、第1処理部33に対して警戒解除信号を出力する。第1処理部33は、この警戒解除信号を受けると、警戒解除フラグをオンに設定する。
そしてその後、ユーザが車両のドアをアンロックすると、ドアロックECU4から第2処理部34にドアアンロック信号が入力される。そして、第2処理部34は、このドアアンロック信号を受けたことに基づいて、スリープ状態からアクティブ状態にウェイクアップすると共に、第1処理部33にドアアンロック通知を出力する。
これにより、第1処理部33では、警戒解除フラグがオンの状態で、ドアアンロック通知を受けたことになる。したがって、第1処理部33は、ドアアンロック通知を受けた直後のステップ210で、ドアロック状態でないと判定し、ステップ215に進むことで、警戒モードを解除して通常モードに遷移する。
(変形例7)
変形例6の、警戒解除命令を受信するために、移動体通信器5はIGオフ後も常にアクテ
ィブ状態とはせず、上記第1、第2実施形態と同様にスリープ状態に移行する。ユーザ(車両の所有者)が再度車両に搭乗したい場合には、ユーザは、ユーザ端末45に対して所定の警戒解除操作を行う。ユーザ端末45は、この警戒解除操作を受け付けたことに基づいて、基地局44、通信網42を介して、サービスセンタ43に、警戒解除依頼を送信する。この警戒解除依頼には、あらかじめユーザ端末45に登録された移動体通信器5の移動体通信器IDを含める。
サービスセンタ43は、この警戒モード解除依頼を受信したことに基づいて、警戒解除依頼に含まれる移動体通信器IDに対応する移動体通信器5に対して、警戒解除命令を送信するが、移動体通信器5が車両の外部と通信不可能(消費電力がアクティブ状態よりも低いスリープ状態)となっている場合は、サービスセンタ43は、移動体通信器5に対する警戒解除命令をサービスセンタ側で一時保留、一時保存しておく。
そしてその後、ユーザが車両のドアをアンロックすると、ドアロックECU4から第2処理部34にドアアンロック信号が入力される。そして、第2処理部34は、このドアアンロック信号を受けたことに基づいて、スリープ状態からアクティブ状態にウェイクアップすると共に、第1処理部33にドアアンロック通知を出力する。さらに、第2処理部34は、第1処理部33および移動体通信器5に対してスリープ状態からアクティブ状態に順次ウェイクアップするよう、ウェイクアップ信号を出力する。
移動体通信器5が、スリープ状態からアクティブ状態にウェイクアップした後、移動体通信器5は、通信網42(移動体通信網、インターネット等)に接続し、無線基地局41と無線接続する。そして、この無線接続を介して、当該通信網42に接続されたサービスセンタ43へ通知する。サービスセンタ43は、接続された移動体通信器5の移動体通信器IDと、直前に通信できずに一時保留されていた信号送信先(移動体通信器ID)とを比較し、一致すれば、移動体通信器5に対する警戒解除命令を送信する。移動体通信器5は、アクティブ状態となった直後のサービスセンタ43との通信で、警戒解除命令を受信でき、その警戒解除命令に基づき、第1処理部33は、この警戒解除信号を受けると、警戒解除フラグをオンに設定する。これにより、電力消費を抑えつつ、盗難検出、盗難の誤報防止も実施できる。なお、移動体通信器5の移動体通信器IDとアドレスとの対応関係は、あらかじめ登録されている。
(変形例8)
上記第1、第2実施形態では、ドアがアンロックされてドアアンロック信号が第2処理部34に入力されると、第2処理部34はスリープ状態からアクティブ状態にウェイクアップすると共に、第1処理部33にドアアンロック通知を出力する。そして第1処理部33は、警戒モードにおいて、このドアアンロック通知を受けると、警戒モードを解除して通常モードに遷移する。このような作動は、車両の所有者による通常のアンロックの場合では問題がない。
しかしながら、窃盗行為の発生時に、ドアのこじ開けに起因してドアアンロック信号が第2処理部34に入力される場合がある。このような場合に対処するために、ドアアンロック信号が第2処理部34に入力されても、第1処理部33の警戒モードが解除されないようにしてもよい。このためには、例えば、ドアアンロック信号が第2処理部34に入力され、更にドアアンロック通知が第1処理部33に入力された後も、第1処理部33は、ステップ210でドアロック状態であると判定し続けるようにしてもよい。
しかし、このようにした場合でも、車両の所有者による通常のアンロックに対しては警戒モードを解除することが望ましいため、車両の所有者による通常のドアアンロック信号を、キーレスエントリーもしくは、スマートエントリー(登録商標)システム、あるいは、あらかじめ登録されているユーザ端末45からの遠隔操作によるドアアンロック命令などから発信されたドアアンロック信号の場合は、車両の所有者による通常のドアアンロック信号と判断して、警戒モードを解除する。具体的には、以下のようにする。
第1処理部33は、TPMS受信器3のメモリ中の警戒解除フラグを参照、書き換えできるようになっており、警戒モードに遷移した時点で、この警戒解除フラグをオフに設定する。
そして、ユーザ(車両の所有者)が再度車両に搭乗したい場合には、ユーザは、車両のドアをアンロックするための操作を携帯キーに対して行う。具体的には、携帯キーに設けられたアンロックボタンを押下する。携帯キーは、この操作に起因して、所定のドアアンロック命令をドアロックECU4に対して無線送信する。
ドアロックECU4は、無線通信部を備えており、この無線通信部が上記ドアアンロック命令を受信すると、ドアをアンロックした上で、ドアアンロック信号を第2処理部34に入力する。ただし、このドアアンロック信号には、無線受信フラグを含め、この無線受信フラグの値はオンとする。
このようなドアアンロック信号が第2処理部34に入力されると、第2処理部34は、ドアアンロック通知を第1処理部33に入力する。ただし、このドアアンロック通知には、無線受信フラグを含め、この無線受信フラグの値はオンとする。
このようなドアアンロック通知が第1処理部33に入力された場合、第1処理部33は、受信したドアアンロック通知中の無線受信フラグがオンであることに基づいて、警戒解除フラグをオンに切り替える。そしてその上で、この警戒解除フラグを参照する。そして、ドアアンロック通知を受信し且つ警戒解除フラグがオンであることに基づいて、ステップ210でドアロック状態でないと判定する。これにより、ユーザが、車両のドアをアンロックするための操作を携帯キーに対して行った場合は、第1処理部33は、警戒モードを解除する。
また、上述のように警戒解除フラグがオフに設定された後、ユーザが再度車両に搭乗したい場合には、ユーザは、携帯キーを携帯しながら車両に近づき、車両のドアノブに自分の手を接触させる。
この場合、ドアロックECU4は、無線通信部を備えており、この無線通信部と携帯キーとが自動的に所定の往復通信を行う。例えば、無線通信部がリクエスト信号を送信し、このリクエスト信号を受信した携帯キーが、当該携帯キーに固有のキーIDを含むアンサー信号をドアロックECU4に送信し、無線通信部がこのアンサー信号を受信する。このような送受信を1回行うことが上記所定の往復通信を行うことに相当してもよいし、あるいは、このような送受信を所定の複数回行うことが上記所定の往復通信を行うことに相当してもよい。
所定の往復通信が実現したことに基づいて、ドアロックECU4は、ドアノブにユーザの手が接触してもドアをアンロックしないロック状態から、アンロック待機状態に遷移する。アンロック待機状態でユーザの手がドアノブに接触すると、ドアロックECU4は、この接触を検知し、ドアをアンロックした上で、ドアアンロック信号を第2処理部34に入力する。ただし、このドアアンロック信号中の無線受信フラグの値はオンとする。
このようなドアアンロック信号が第2処理部34に入力されると、第2処理部34は、ドアアンロック通知を第1処理部33に入力する。ただし、このドアアンロック通知中の無線受信フラグの値はオンとする。
このようなドアアンロック通知が第1処理部33に入力された場合、第1処理部33は、受信したドアアンロック通知中の無線受信フラグがオンであることに基づいて、警戒解除フラグをオンに切り替える。そしてその上で、この警戒解除フラグを参照する。そして、ドアアンロック通知を受信し且つ警戒解除フラグがオンであることに基づいて、ステップ210でドアロック状態でないと判定する。これにより、ユーザが、車両のドアをアンロックするため、携帯キーを携帯しながら車両に近づき、車両のドアノブに自分の手を接触させた場合は、第1処理部33は、警戒モードを解除する。
また、あらかじめサービスセンタ43に登録されているユーザ端末45に対して所定のドアアンロック操作を行う。ユーザ端末45は、このドアアンロック依頼を受け付けたことに基づいて、基地局44、通信網42を介して、サービスセンタ43に、ドアアンロック依頼を送信する。
この警戒解除依頼には、あらかじめユーザ端末45に登録された移動体通信器5の移動体通信器IDを含める。サービスセンタ43は、あらかじめ登録されたユーザ端末45から、このドアアンロック依頼を受信したことに基づいて、ドアアンロック依頼に含まれる移動体通信器IDに対応する移動体通信器5に対して、ドアアンロック命令を送信する。なお、サービスセンタ43では、移動体通信器5の移動体通信器IDとアドレスとの対応関係は、あらかじめ登録されている。
この警戒解除命令を受信するために、本変形例8においては、移動体通信器5はIGオフ後も常にアクティブ状態にあるようにする。このドアアンロック命令を受信した移動体通信器5は、第1処理部33に対してドアアンロック通知を出力する。ただし、このドアアンロック通知中の無線受信フラグの値はオンとする。
このようなドアアンロック通知が第1処理部33に入力された場合、第1処理部33は、受信したドアアンロック通知中の無線受信フラグがオンであることに基づいて、警戒解除フラグをオンに切り替える。そしてその上で、この警戒解除フラグを参照する。そして、ドアアンロック通知を受信し且つ警戒解除フラグがオンであることに基づいて、ステップ210でドアロック状態でないと判定する。これにより、ユーザが、あらかじめサービスセンタ43に登録されているユーザ端末45に対して所定のドアアンロック操作を行った場合は、第1処理部33は、警戒モードを解除する。
これらに対し、ドアのこじ開け等の、外部からの無線通信に起因しないドアアンロックが発生した場合、ドアロックECU4は、ドアアンロック信号を第2処理部34に入力するが、このドアアンロック信号中の無線受信フラグの値はオフとする。
このようなドアアンロック信号が第2処理部34に入力されると、第2処理部34は、ドアアンロック通知を第1処理部33に入力するが、このドアアンロック通知中の無線受信フラグの値はオフとする。
このようなドアアンロック通知が第1処理部33に入力された場合、第1処理部33は、受信したドアアンロック通知中の無線受信フラグがオフであることに基づいて、警戒解除フラグをオフに維持する。そしてその上で、この警戒解除フラグを参照する。そして、警戒解除フラグがオフならば、ステップ210でドアロック状態であると判定する。これにより、ドアのこじ開けによるドアアンロック信号に対しては、警戒モードを解除しなくなる。
このように、この変形例8では、第1処理部33は、車両の外部と車両との各種通信に基づいてドアがアンロックされたことに基づいて、警戒モードを解除し、車両の外部と車両との通信に基づかずに(例えばドアのこじ開け等により)ドアがアンロックされたことに基づいて、警戒モードを継続する。
(変形例9)
また、上記各実施形態および各変形例において、第1処理部33の機能を、TPMS送信器2a〜2dに実現させ、TPMS受信器3では、第1処理部33を廃するようになっていてもよい。具体的には、第1処理得33を、各TPMS送信器2a〜2d内に設ければよい、この場合、同じTPMS送信器内の制御部23と第1処理得33との間の信号の授受は、無線ではなく有線で実現する。一方、第1処理部33と第2処理部34との間の信号の授受は、無線で実現する。
このようにすると、TPMS送信器毎に1個、計4個の第1処理部33が設けられることになる。この場合、各制御部23は、フレームを同じTPMS送信器内の第1処理部33に送信し、また、第2処理部34は、すべての第1処理部33に、同じ信号(ドアロック通知525、ドアアンロック通知)を送信する。
また、各第1処理部33では、基準値については、自機を有するTPMS送信器に対応する第1圧力基準値P1、第1加速度基準値A1、第2圧力基準値P2のみを設定すればよい。
(変形例10)
また、上記各実施形態のスリープ状態は、作動オフ(電源オフ)の状態に置き換えてもよい。
(変形例11)
また、上記各実施形態では、内燃機関であるエンジンの動力で走行する車両10のIGのオン、オフを、車両の主電源のオン、オフの一例として挙げている。しかし、車両10が電動モータの動力で走行する電気自動車である場合は、車両の主電源のオン、オフは、IGのオン、オフでなくともよい。
(変形例12)
また、第1、2実施形態において、TPMS送信器2a〜2dのそれぞれは、タイヤの空気圧またはタイヤにかかる加速度のうち、タイヤの空気圧のみを検出して送信するようになっていてもよい。その場合は、図5の処理で、ステップ130では、常に「変化なし」と判定する。また、図6、図8の処理では、ステップ260で、常に「第1加速度幅より大きくない」と判定する。
(変形例13)
また、第1実施形態において、TPMS送信器2a〜2dのそれぞれは、タイヤの空気圧またはタイヤにかかる加速度のうち、タイヤにかかる加速度のみを検出して送信するようになっていてもよい。その場合は、図5の処理で、ステップ120では、常に「変化なし」と判定する。また、図6の処理では、ステップ255で、常に「第1圧力幅より大きくない」と判定する。
(変形例14)
また、上記第1、第2実施形態では、TPMS送信器2a〜2dは、IGのオン、オフや、ドアロックの有無にかかわらず、同じ送信アルゴリズムを使用する。すなわち、タイヤ空気圧および加速度のうち少なくともいずれか1つについて変化があったか否かを判定し、あったと判定された場合にのみ、最新のタイヤ空気圧および加速度を含めたフレームを送信する。そして、タイヤ空気圧および加速度の両方とも変化がないと判定されたことに基づいて、フレームを送信させない。
しかし、必ずしもこのようになっている必要はない、例えば、TPMS送信器2a〜2dは、IGのオン、オフや、ドアロックの有無にかかわらず、常に定期的に最新のタイヤ空気圧および加速度を含めたフレームを送信するようになっていてもよい。