JP6009856B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は、冷凍・冷蔵ショーケースや冷蔵庫等に使用されるファン用モータとして好適なブラシレスモータ等の回転電機に関する。
オープンショーケース等の冷凍・冷蔵ショーケースは、例えば、特開平10−019446号公報(特許文献1)に見られるように、ショーケース本体の底部に冷却器やファンが配置される機械室を設けると共に、その上部に、多段に商品陳列棚が配列される前面開放型の陳列室を設け、冷却器で得た冷気をファンにて循環ダクトに通風し、陳列室の上部より前面開放面に冷気エアカーテンを吹き出し、商品陳列棚に陳列した商品を保冷するようになっている。
このようなショーケースにおいて、冷気循環用のファンでは、特に温度差により結露が発生しやすい環境に配置されるため、ファン用羽根を回転させるモータに対しては防水構造を採用する必要がある。このため、従来では、例えば特開平10−304640号公報(特許文献2)に見られるように、モータのケースを2分割構成とし、分割されたケーシングの合わせ面にOリングなどのシール手段を介在させたり、特開2008−259370号公報(特許文献3)に示されるように、一方のケーシング内周面と他方のケーシング外周面との隙間に全周にわたってシール材を挟み込ませてシールすることが行われている。また、上記特許公報には、モータより外部に導出するリード線に対する防水手段も記載され、ケースに設けたリード線の引き出し口にグロメットを装着し、このグロメットを通してリード線を引き出すようにしている。
特開平10−019446号公報 特開平10−304640号公報 特開2008−259370号公報
しかしながら、従来のモータに対する防水構造は、特許文献2・3のように、モータケースを分割構成とした上で、これらケースの合わせ面にシール手段を介在させることにより行っているが、シール手段を保持するための合わせ面における構造が複雑になるだけでなく、合わせ面以外の箇所に関しては防水対策が十分であるとは言い難く、改善が求められている。特に、特許文献2のものでは、モータケースに水抜き孔や止水壁を設ける点が示されているが、水分の侵入を確実に防止する構造ではなく、また、特許文献3のものでは、モータケースにおける口出し線の引き出し部に凹溝状装着部を形成し、これにグロメットの周囲を嵌め込む構造が示されているが、引き出し部の装着部やグロメット自身に寸法誤差を生じたり、グロメットの経年劣化により、引き出し部とグロメット間に隙間を生じる可能性があり、防水効果が低下する問題がある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、温度差により結露が発生しやすい環境下や濡れやすい現場などで使用する場合に好適であり、簡単な構成で防水性を高めることができる回転電機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の回転電機にあっては、有蓋・有底の筒状モータケースの内部に、シャフト及びマグネットを有するロータと、このロータに対し同心状に配設されステータコアにコイルを巻装してなるステータと、コイルへの通電を制御する制御回路を構成した回路基板とを備え、モータケースの底部及び蓋部のそれぞれの中心部に配置した軸受によりロータのシャフトを支持してなる回転電機において、
モータケースを、軸線方向に分割された蓋部を有する第1ケーシングと底部を有する第2ケーシングとから構成し、両ケーシングの合わせ面であるそれぞれの開口部に、互いに嵌合する内側周壁部及び外側周壁部を形成すると共に、両ケーシングのそれぞれの開口部周縁の一部に、相互に向かい合ってリードブッシュ装着用孔部を形成する凹部を設けた略半筒状の口出し部を形成し、
両ケーシングのそれぞれの口出し部における内周面に、孔部に連なる環状溝を形成する溝を少なくとも1条形成し、孔部に装着されるリードブッシュに、内部に回路基板に接続されるリード線を案内する挿通孔と、外周に相互に間隔を開けた少なくとも3条の環状膨出部とを設け、
リードブッシュにおける3条の環状膨出部のうち中間の環状膨出部を両口出し部の溝に嵌め込むようにして、リードブッシュを両口出し部間に挟持することを特徴とする。
このような回転電機において、両ケーシングのそれぞれの口出し部で形成する孔部を、口出し部の内面における溝の両側の位置でリードブッシュにおける3条の環状膨出部のうち中間の環状膨出部を挟む2つの外側面を押圧して圧縮させ得る寸法に設定するのがよく、第1・第2ケーシングの口出し部をそれぞれ半円筒状に形成し、両口出し部の内径を、リードブッシュにおける上記2つの外側面の外径より若干小さく設定するのがよい。また、第1・第2ケーシングの口出し部における溝は、リードブッシュにおける環状膨出部の大きさに合わせた寸法若しくは若干大きく設定するのがよい。さらに、リードブッシュを両口出し部間で挟持した際には、リードブッシュの外側端の環状膨出部が両口出し部の端縁に密接する構成とすることができる。
また、上記した回転電機において、第2ケーシングにおける開口部に内側周壁部を形成し、第1ケーシングにおける開口部に、内側周壁部に外嵌する外側周壁部を形成することが望ましい。
一方、第1ケーシングの蓋部に、ロータのシャフトを外部に導出させるためのシャフト口を形成し、このシャフト口の内周面とシャフトの外周面との間に微少ギャップを設定することができる。特に、第1ケーシングにおける蓋部に、シャフト口部と同心でこのシャフト口部を囲む環状シール壁を 軸方向外側に突出させて設け、シャフト口部より導出したシャフトに、環状シール壁の内外の一方もしくは両方に微少隙間を持って嵌合する円筒壁を有するラビリンスシールキャップを取り付けるのがよく、前記環状シール壁は2以上が同心に設けられている請求項8に記載の回転電機。この環状シール壁は2以上同心に設けるとなおよい。加えて、ラビリンスシールキャップは、シャフトに連結されてシャフトと共に回転する回転負荷に一体に形成することができる。
上述した本発明による回転電機にあっては、筒状モータケースを構成する第1・第2ケーシングのそれぞれに設けた内側周壁部及び外側周壁部を互いに嵌合することにより、両ケーシングの合わせ面がシールされる。加えて、両ケーシングの開口部周縁のそれぞれの一部に設けた口出し部は相互に向かい合い、内部にリード線を挿通させたリードブッシュを挟持する。このとき、両口出し部の内周面における溝にリードブッシュの3条の環状膨出部のうち中間の環状膨出部が嵌り込む構成になっており、両口出し部の内周面によりリードブッシュの外周面のうち特に中間の環状膨出部の両側部分を外側から圧縮することにより両者間のシール性を確保することができ、同時に、リードブッシュの圧縮に伴う環状膨出部での膨らみに対してはこれが口出し部の溝に収容されることから、この部分でもシール性を確保することが可能になり、2重・3重のシール作用を得ることができ、口出し部内面とリードブッシュとの間のシール性が高められる。この結果、両ケーシングにおける口出し部の寸法やリードブッシュの部品寸法に誤差を有しても、リードブッシュが経年劣化しても、リード線引き出し部分のシール機能は長期に渡り安定に維持される。
本発明の第1実施形態による回転電機を示す切断側面図である。 図1における回転電機の正面図である。 図1における回転電機の下面図である。 図1の回転電機における第1ケーシングの一部の下面図である。 図1の回転電機における第2ケーシングの一部の平面図である。 本発明の第2実施形態による回転電機を示す切断側面図である。 本発明の第3実施形態による回転電機のリード線引き出し部分を示す要部の切断側面図である。
本発明に係る回転電機の実施形態につき、以下図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による回転電機の内部構成を示したものであり、図2は回転電機の正面図、図3は回転電機の下面図である。回転電機の外筐をなすモータケース10は有蓋・有底の筒状に形成され、モータケース10を軸方向のほぼ中央位置で2分割する形で、蓋部12aを有する第1ケーシング12と、底部14aを有する第2ケーシング14とから構成されている。これらケーシング12・14は例えばアルミダイカストにより形成されている。なお、図2は第1・第2ケーシングを組み合わせた状態のみを示しており、後述するリードブッシュやシャフトなどは省略して示してある。
第1ケーシング12は、円形の蓋部12aとこの蓋部12aの周縁より軸方向下方に垂下した円筒状の側部12bとにより下面が開口したカップ状に構成され、蓋部12aの中央に軸挿通用のシャフト口12a1が形成されると共に、このシャフト口12a1を囲むように蓋部12aの中央部に下方に突出して第1ケーシング12内に開口する凹部を形成する円筒状の軸受保持ボス部12cが形成され、側部12bの下部には内外径をそれぞれ一回り大きくする段差を持って外側周壁部12dが設けられている。また、第2ケーシング14は、円形の底部14aとこの底部14aの周縁より軸方向上方に延出した円筒状の側部14bとにより上面のみが開口したカップ状に構成され、底部14aの中央部に下方に膨出して内部に第2ケーシング14内に開口する凹部を形成した軸受保持ボス部14cが形成され、側部14bの上部に第1ケーシング12の外側周壁部12dに内嵌する内側周壁部14dが設けられている。そして、両ケーシング12・14は、第1ケーシング12の外側周壁部12dの内側に第2ケーシング14の内側周壁部14dを嵌め込むことにより連結される。第2ケーシング14の側部14bの内側周壁部14dの下側には段付きの環状肉厚部14b1が一体に設けられ、この外径が第1ケーシングの12の外側周壁部12dの外径とほぼ等しく形成されており、外側周壁部12dと内側周壁部14dとの嵌合時、外側周壁部12dの下端面が環状肉厚部14b1の上面に当接することにより両ケーシング12・14が軸方向に位置決めされる。
図2及び図3に示すように、第1・第2ケーシング12・14には、それぞれの合わせ面である開口部の周縁に、それぞれ径方向外側に突出する複数個(具体例では4個)の固定片12e・14eが設けられ、これら固定片12e・14eは互いに軸線方向に対向すると共に、周方向に分離して配置されている。第1ケーシング12の固定片12eは外側周壁部12dの位置に設けられ、第2ケーシング14の固定片14eは環状肉厚部14b1の位置に設けられ、第1ケーシング12の外側周壁部12dと第2ケーシング14の内側周壁部14eとを嵌合した際には、第1ケーシング12の固定片12eと第2ケーシング14の固定片14eとが軸方向に重ね合わされるようになる。ここで、4個の固定片12e・14eは、当該モータを装置に取り付ける場合の装置位置に合わせて配置されており、例えば、正面中央から両側にそれぞれ30度の位置とこれに対称な後面中央から両側にそれぞれ30度の位置とに配置されている。
ここで、図2では、第1ケーシング12の各固定片12eは第2ケーシング14の各固定片14eに重ね合わされるため、図示されないが、便宜上、固定片14eの位置に存在するものとして表している。各固定片12e・14eにはそれぞれ締結用孔が形成されているが、第1ケーシング12の固定片12eにおける締結用孔にはねじ孔が、第2ケーシング14の固定片14eにおける締結用孔にはねじ挿通孔がそれぞれ形成され、図3に示すように、第2ケーシング14の下側から4個の固定片14eのそれぞれのねじ挿通孔に通したねじ15を第2ケーシングの固定片12eにおけるねじ孔に螺通することにより、両固定片12e・14e間が締着され、両ケーシング12・14が結合される。
第1ケーシング12における外側周壁部12dの一部(前部中央)、及び第2ケーシング14における環状肉厚部14b1の一部(前部中央)にはそれぞれ、相互に向かい合って後述するリードブッシュを装着するための孔部16を形成する凹部12f・14fを有する口出し部12g・14gが設けられている。これら口出し部12g・14gはそれぞれ略半円筒状に形成され、モータケース10の前側に位置する2つの固定片12e・14eの中間位置において前方に突出する形で設けられている。第1ケーシング12の口出し部12gの下面は外側周壁部12dの下端面と面一に形成され、また、第2ケーシング14の口出し部14gの上面は環状肉厚部14b1の上面と面一に形成され、上記したように、両ケーシング12・14を結合して外側周壁部12dの下端面を環状肉厚部14b1の上面に当接させると、両口出し部12g・14gの合わせ面が合致し、円筒状口出し部が形成される。
図1に示すように、モータケース10内には、インナーロータタイプのモータを構成するステータ20及びロータ30が配設されている。ステータ20は、多数枚の磁性鋼板を積層してなり環状のバックコア部から径方向内方に突出させた複数の突極部を周方向に等配した構成の環状のステータコア22と、このステータコア22の外周面及び各突極部の端面を除く周面を覆ったインシュレータ24と、各突極部にインシュレータ24を介して巻回された3相のコイル26とにより構成されている。インシュレータ24は例えばステータコア22に一体に成形されるインサート成形体からなり、各突極部の周面をボビン状に被覆すると共に、これら突極部のボビン状被覆部をその外周位置で環状に連結する構成になっている。インシュレータ24の下部周壁の適所には基板保持用の複数の爪片24aとその近傍に配置された押さえ片24bとが下方に向けて突設されており、これが周方向にほぼ均等に配置されている。ステータ20はステータコア22の外周面を第1ケーシング12の側部12bの内面に嵌合して固定されている。ステータコア22の第1ケーシング12に対する具体的な固定手段としては、接着剤を用いてもよく、或いは圧入や焼き嵌めによって行ってもよい。なお、上記インシュレータ24は、ステータコア22に一体の成形品である必要はなく、ステータコア22に対して軸方向両側から嵌合して覆う形態のものであってもよい。
ステータ20の内側に配置されたロータ30は、シャフト32と、シャフト32の中腹のローレット加工部分に例えば圧入により嵌着されたアルミニウム製のロータコア34と、このロータコア34の外周に嵌合されて接着固定された円筒状のロータマグネット36とにより構成されている。このロータマグネット36は例えばフェライトプラスチックマグネットからなり、内周上部の複数箇所の位置に位置決め突片36aが一体成形され、この突片36aにロータコア34の端面を当接させて両者の軸方向位置合わせが行われる。
シャフト32の上部は、Dカットが施された出力軸部32aとなっており、第1ケーシング12の蓋部12aのシャフト口12a1よりケース外に導出され、シャフト32の出力軸部32aより下側の部分が軸受保持ボス部12cの内側に保持された上部軸受38Xにより回転自在に保持されている。シャフト32の下端部は、第2ケーシング14の軸受保持ボス部14cの凹部に保持された下部軸受38Yにより回転自在に保持され、これによりロータ30がモータケース10に回転自在に支持される。軸受保持ボス部14cの凹部の底部にはウェーブワッシャ39が介挿されており、軸受38X,38Yに対する予圧を付与している。
ステータ20の直下には、前述したインシュレータ24の爪片24a及び押さえ片24bを利用して取り付けられた円環状の回路基板40が配置されている。すなわち、回路基板40は、その上面をインシュレータ24の押さえ片24bに当接させた状態で、爪片24aの先端爪を回路基板40の周縁下面に係止させることにより取り付けられている。この回路基板40には、外部からのAC電源をDC電源に変換する変換回路やDC電源を3相のコイルに供給するドライバ回路、外部からの制御信号に応じてコイルの駆動を制御する制御回路等が搭載されている。これら回路を構成する電子部品は回路基板40の主に下面に実装され、発熱を伴うパワー素子42以外は図示を省略してある。ステータ20の3相コイル26のコイル端子もこの回路基板40に接続されている。
第2ケーシング14の底部14aの上面には、パワー素子42に対応する位置にこのパワー素子42に近接する高さまで突出した突起部14hが一体に設けられている。突起部14hとパワー素子42との間には多少厚みのある放熱シート43が介在され、パワー素子42の熱を放熱シート43を通して突起部14hに伝熱し、第2ケーシング14全域より円滑に放熱できるようにしている。回路基板40の前部下面には、基板側コネクタ44が装着され、これに外部装置に接続されるリード線45の端末のリード側コネクタ46が抜き差し自在に接続される。第2ケーシング14の内側には、回路基板40に対応して絶縁シート47が配置され、ケーシング14に対する絶縁が図られている。なお、リード線45は、2本のAC電源ラインに接続されたものと数本の制御信号ラインに接続されたものからなる。
上述した第1・第2ケーシング12・14のそれぞれの口出し部12g・14g間には、リード線45を挿通させた合成ゴム製の筒状リードブッシュ50が挟持されている。両ケーシング12・14のそれぞれの口出し部12g・14gには、図4及び図5に示すように、その内周面に沿って互いに向かい合う位置に2条の溝12g1・12g2・14g1・14g2が間隔を開けて設けられている。また、リードブッシュ50には、中心にリード線45を挿通する挿通孔が形成され、外周部に外周面から径方向外方に膨張するようにした3条の環状膨出部51a・51b・51cが溝12g1・12g2・14g1・14g2の間隔とほぼ同一である間隔を開けて設けられている。ここで、口出し部12g・14gの内周面の径は、リードブッシュ50における各環状膨出部の間の外周面の径に対し若干小さくなる寸法に設定されている。さらに、口出し部12g・14gにおける各溝12g1・12g2・14g1・14g2の深さは、リードブッシュ50における各環状膨出部の膨出寸法にほぼ等しいかこれより若干深くなるように設定されている。
そして、図1に示すように、第1・第2ケーシング12・14を結合した際、それぞれの口出し部12g・14gにおける溝12g1・14g1及び溝12g2・14g2にリードブッシュ50の環状膨出部51b・51cをそれぞれ嵌め込ませて、両口出し部12g・14g間でリードブッシュ50が挟持される。この時、両口出し部12g・14gの内周面はリードブッシュ50における環状膨出部51a〜51c間の外周面を外側から圧縮するように作用し、リードブッシュ50の挿通孔が縮められて複数のリード線45に対するリードブッシュ50との間の隙間が殆ど無くなり、気密性が確保され、しかも、口出し部12g・14gの内周面とリードブッシュ50の外周面との間が2箇所において密封されることになる。加えて、両口出し部12g・14gの内周面によりリードブッシュ50の外周面を圧縮することに伴い、リードブッシュ50の変形力が各環状膨出部51a〜51cを膨らませるように作用し、リードブッシュ50の前端の環状膨出部51aが両口出し部12g・14gの前端面に密着すると同時に、他の環状膨出部51b・51cがそれぞれ溝12g1・14g1・12g2・14g2に深く或いはきつく嵌り込み、両者の密着性が高まる。この結果、口出し部におけるシール性が格段に向上する。
第1ケーシング12における蓋部12aには、シャフト口12a1を中心としてこれを取り囲むように2重の環状シール壁12h・12iが上方へ突出する形で一体に設けられている。この両環状シール壁12h・12iはシャフト口12a1と同心であり、内側の環状シール壁12hに対し外側の環状シール壁12iが高く形成されている。一方、シャフト32の出力軸部32aにはシールキャップ60がねじ62により取り付けられている。このシールキャップ60は、基部のボス部60aを中心にして径の異なる2つの円筒壁60b・60cを同心状に備えてなり、ボス部60a及び2つの円筒壁60b・60cがそれぞれ下方に開口する筒状に形成され、ボス部60aが出力軸部32aに嵌合され、内側の円筒壁60bが上記蓋部12aの両環状シール壁12h・12i間に上方から遊嵌し、外側の円筒壁60cが環状シール壁12iの外側に上方から遊嵌している。シールキャップ60のボス部60a及び円筒壁60b・60cと蓋部12aの環状シール壁12h・12iとのそれぞれの間には微少ギャップが形成されて、所謂食い違いラビリンスを構成し、シャフト口12a1とシャフト32との隙間に対するシール機能を発揮するようになっている。
上記シールキャップ60においては、内周側のボス部60a・中間の円筒壁60b・外周側の円筒壁60cの順につまり外側に行くに従い、下方への突出寸法が大きくなるように設定されており、蓋部12aの環状シール壁12h・12iも外側に行くに従いその突出高さが大きくなるように設定されており、この結果、外部からモータ内部への水の侵入に対する抑制効果が発揮され、防水・防滴作用が高められている。シールキャップ60の上面には、これに回転負荷を取り付ける際に回り止めとして利用される複数の突起60dが設けられ、回転負荷と共にシールキャップ60がねじ62でシャフト32に固着される。ここで、シールキャップ60は個別の部品として用意する以外に、シャフト32に連結される回転負荷に一体に備えることもできる。
上記実施形態の回転電機にあっては、オープンショーケース等における冷気循環用ファンの駆動モータとして用いられる場合は、モータケース10より導出したシャフト32の出力軸部32aにシールキャップ60と共にプロペラが連結されると共に、例えば、プロペラの周囲を覆うシュラウドがモータケース10における各固定片12e(14e)間の締結に用いるねじ15を利用して取り付けられる。当該モータはシュラウドを介して、或いはシュラウドと共に取付用孔を利用して機器に取り付けられる。このような冷気循環用のファン用モータにあっては、使用環境上、防水性が要求されるが、上述したように、モータケース10を構成する第1・第2ケーシング12・14がそれぞれの内側周壁部14d・外側周壁部12dで気密に嵌合しており、リード線45の引き出し部に関しては、上記で詳細に説明したように、両口出し部12g・14gによるリードブッシュ50の挟持構造により確実にシールされ、さらに、シャフト32の一部が導出する第1ケーシング12のシャフト口12a1に対しては、蓋部12aの環状シール壁12h・12iとシールキャップ60とによるラビリンスシール機能が発揮され、従って、防水性が確保されることになる。
図6は、本発明の第2実施形態による回転電機の内部構成を示したものである。この実施形態に示すものも、第1の実施形態の場合と同様、有蓋・有底の筒状モータケース110を2分割の第1・第2ケーシング112・114で構成したものであり、特に、モータ外径を縮小してコンパクト化を図っている。モータケース110を軸方向に2分割する蓋部112aを有する第1ケーシング112と、底部114aを有する第2ケーシング114は例えばアルミダイカストにより形成されている。
第1ケーシング112は、円形の蓋部112aとこの蓋部112aの周縁より軸方向下方に垂下した円筒状の側部112bとにより下面が開口したカップ状に構成されている。蓋部112aの中央には軸挿通用のシャフト口112a1が形成され、このシャフト口112a1を囲むように蓋部112aの中央部に下方に突出し第1ケーシング112内に開口する凹部を形成する円筒状の軸受保持ボス部112cが形成されている。側部112bの下部には内外径をそれぞれ一回り大きくする段差を持って外側周壁部112dが設けられている。また、第2ケーシング114は、円形の底部114aとこの底部114aの周縁より軸方向上方に延出した円筒状の側部114bとにより上面のみが開口したカップ状に構成され、底部114aの中央部に下方に膨出して内部に第2ケーシング114内に開口する凹部を形成した軸受保持ボス部114cが形成され、側部114bの上部に第1ケーシング112の外側周壁部112dに内嵌する内側周壁部114dが設けられている。そして、両ケーシング112・114は、第1ケーシング112の外側周壁部112dに第2ケーシング114の内側周壁部114dを嵌め込むことにより連結される。第2ケーシング114の側部114bの内側周壁部114dの下側には段付きの環状肉厚部114b1が一体に設けられ、この外径が第1ケーシング112の外側周壁部112dの外径とほぼ等しく形成されており、外側周壁部112dと内側周壁部114dとの嵌合時、外側周壁部112dの下端面が環状肉厚部114b1の上面に当接することにより両ケーシング112・114が軸方向に位置決めされる。
第1・第2ケーシング112・114には、それぞれの合わせ面である開口部の周縁に、それぞれ径方向外側に突出する複数個の固定片112e・114eが設けられ、これら固定片112e・114e間をねじ止めすることにより両ケーシング112・114が結合される。第1ケーシング112における外側周壁部112dの一部(前部中央)、及び第2ケーシング114における環状肉厚部114b1の一部(前部中央)にはそれぞれ、相互に向かい合ってリードブッシュ装着用の孔部を形成する凹部を形成した口出し部112g・114gが設けられている。これら口出し部112g・114gはそれぞれ略半円筒状に形成され、モータケース110の前側中央より前方に突出する形で設けられている。第1ケーシング112の口出し部112gの下面は外側周壁部112dの下端面と面一に形成され、また、第2ケーシング114の口出し部114gの上面は環状肉厚部114b1の上面と面一に形成され、上記したように、両ケーシング112・114を結合して外側周壁部112dの下端面を環状肉厚部114b1の上面に当接させると、両口出し部112g・114gの合わせ面が合致し、円筒状口出し部が形成される。
モータケース110内には、インナーロータタイプのモータを構成するステータ120及びロータ130が配設されている。ステータ120は、第1実施形態の場合と同様に、複数の突極部を周方向に等配した環状のステータコア122と、ステータコア122に一体成形されたインシュレータ124と、各突極部にインシュレータ124を介して巻回された3相のコイル126とにより構成されている。ステータ120はステータコア122の外周面を第1ケーシング112の側部112bの内面に嵌合して固定されている。
ステータ120の内側に配置されたロータ130は、シャフト132と、シャフト132の中腹に固定されたロータマグネット134とにより構成されている。このロータマグネット134は、例えばフェライトプラスチックマグネットからなり、シャフト132の中腹のローレット加工部分に例えば圧入により嵌着された内筒部134aと、ステータコア122の内周面にエアギャップを介して対峙する外筒部134bと、これらを連結する円板部134cとを一体成形してなり、外筒部134bに周方向に所定の着磁が施されている。シャフト132の上部は、Dカットが施された出力軸部132aとなっており、第1ケーシング112の蓋部112aにおけるシャフト口112a1よりケース外に導出されている。シャフト132の出力軸部132aより下側の部分は軸受保持ボス部112cの凹部に保持された上部軸受138Xにより回転自在に保持され、シャフト132の下端部は第2ケーシング114の軸受保持ボス部114cの凹部に保持された下部軸受138Yにより回転自在に保持され、これによりロータ130がモータケース110に回転自在に支持される。
ステータ120の直下には、インシュレータ124により保持された円環板状の回路基板140が配置されている。この回路基板140には、外部からのAC電源をDC電源に変換する変換回路やDC電源を3相のコイルに供給するドライバ回路、外部からの制御信号に応じてコイルの駆動を制御する制御回路等が搭載されている。これら回路を構成する電子部品は回路基板140の主に下面に実装され、ステータ120の3相コイル126のコイル端子もこの回路基板140に接続されている。回路基板140の前部下面には、外部装置に接続されたリード線142が直接半田付けにて接続されている。ここで、本実施形態のものは、第1実施形態に比べ小型化を図るため、回路基板140が小径化されている関係上、これに実装する部品スペースにも限りがあるため、リード線をコネクタに頼ることなく回路基板140に直付けする方法を採用している。第2ケーシング114の内側には、回路基板140に対応して絶縁シート144が配置されている。
上述した第1・第2ケーシング112・114のそれぞれの口出し部112g・114g間には、リード線142を挿通させた合成ゴム製の筒状リードブッシュ150が挟持されている。両口出し部112g・114gには、第1の実施形態の場合と同様、その内周面に沿って互いに向かい合う位置に2条の溝が間隔を開けて設けられている。また、リードブッシュ150には、中心にリード線142を挿通する挿通孔が形成され、外周部に外周面から径方向外方に膨張するようにした3条の環状膨出部151a・151b・151cが口出し部112g・114gの溝の間隔とほぼ同一の間隔を開けて設けられている。ここで、口出し部112g・114gの内周面の径は、リードブッシュ150における各環状膨出部の間の外周面の径に対し若干小さくなる寸法に設定されている。
そして、第1・第2ケーシング112・114を結合した際、それぞれの口出し部112g・114gにおける溝にリードブッシュ150の環状膨出部151b・151cをそれぞれ嵌め込ませて、両口出し部112g・114g間でリードブッシュ150が挟持される。この時、両口出し部112g・114gの内周面はリードブッシュ150における環状膨出部151a〜151c間の外周面を外側から圧縮するように作用するため、リードブッシュ150の挿通孔が縮められて複数のリード線142に対するリードブッシュ150との間の隙間が殆ど無くなり、気密性が確保され、しかも、口出し部112g・114gの内周面とリードブッシュ150の外周面との間が2箇所において密封されることになる。加えて、両口出し部112g・114gの内周面によりリードブッシュ150の外周面を圧縮することに伴い、リードブッシュ150の変形力が各環状膨出部151a〜151cを膨らませるように作用し、リードブッシュ150の前端の環状膨出部151aが両口出し部112g・114gの前端面に密着すると同時に、他の環状膨出部151b・151cがそれぞれ溝に深く或いはきつく嵌り込み、両者の密着性が高まる。この結果、口出し部におけるシール性が格段に向上する。
第1ケーシング112における蓋部112aには、シャフト口112a1を中心としてこれを取り囲むように2重の環状シール壁112h・112iが上方へ突出する形で一体に設けられている。この両環状シール壁112h・112iはシャフト口112a1と同心であり、内側の環状シール壁112hに対し外側の環状シール壁112iが高く形成されている。シャフト132の出力軸部132aにはシールキャップ160がねじ162により取り付けられている。このシールキャップ160は、基部のボス部160aを中心にして径の異なる2つの円筒壁160b・160cを同心状に備えてなり、ボス部160a及び2つの円筒壁160b・160cがそれぞれ下方に開口する筒状に形成され、ボス部160aが出力軸部132aに嵌合され、内側の円筒壁160bが上記蓋部112aの両環状シール壁112h・112i間に上方から遊嵌し、外側の円筒壁160cが環状シール壁112iの外側に上方から遊嵌する。シールキャップ160のボス部160a及び円筒壁160b・160cと蓋部112aの環状シール壁112h・112iとのそれぞれの間には微少ギャップが形成されて、所謂食い違いラビリンスを構成し、シャフト口112a1とシャフト132との隙間に対するシール機能を発揮するようになっている。

以上
上記シールキャップ160においては、内周側のボス部160a・中間の円筒壁160b・外周側の円筒壁160cの順につまり外側に行くに従い、下方への突出寸法が大きくなるように設定されており、蓋部112aの環状シール壁112h・112iも外側に行くに従いその突出高さが大きくなるように設定されており、この結果、外部からモータ内部への水の侵入に対する抑制効果が発揮され、防水・防滴作用が高められている。
図7は、本発明の第3実施形態による回転電機の口出し部を拡大して示したものである。同図において、第2実施形態の回転電機を示した図6と同一符号のものは同一若しくは相当するものを示すものとし、図6と異なる点は、第1・第2ケーシング112・114のそれぞれの側部112b・114bに設けられる口出し部112g’・114g’の突出長さを小さくし、モータケースの更なるコンパクト化を図るようにしたものである。
すなわち、両ケーシング112・114の半円筒状口出し部112g’・114g’における凹部内面に、リードブッシュ150における中間の環状膨出部151bを収容する1条の溝を設け、この溝の前後における凹部内面でリードブッシュ150における環状膨出部151bの前後の外周面を挟持するようにしている。リードブッシュ150の前端の環状膨出部151aは口出し部の前端に位置させ、後端の環状膨出部151cは口出し部112g’・114g’の基部にモータ内部側に開口するように設けた凹窪部に配置するようにし、リードブッシュ150の前後の環状膨出部151a・151cを口出し部112g’・114g’の前後から露出させる構造とし、口出し部112g’・114g’の突出寸法を小さくしている。
この実施形態の場合も、口出し部112g’・114g’の内面の径をリードブッシュ150の外周面の径より若干小さく設定しておくことにより、両ケーシング112・114の結合時に両口出し部112g’・114g’の内面によりリードブッシュ150における環状膨出部151bの前後の外周面が圧縮され、これら接合面の気密性が確保され、加えて、リードブッシュ150の変形力が各環状膨出部151a〜151cを膨らませるように作用し、リードブッシュ50の中間の環状膨出部151bが両口出し部112g’・114g’の溝に深く嵌り込み、他の環状膨出部151a・151cがそれぞれ口出し部112g’・114g’の前後端に密接してその密着性が高まり、この結果、口出し部におけるシール性が格段に向上することになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本発明による回転電機は、冷凍・冷蔵ショーケースや冷蔵庫等に使用されるファン用モータとして好適であるが、これに限らず、2分割構成のモータケースを有するモータ全般に適用可能である。
10・110 モータケース
12・112 第1ケーシング
12g・112g・112g’ 口出し部
12h・12i・112h・112i 環状シール壁
14・114 第2ケーシング
14g・114g・114g’ 口出し部
20・120 ステータ
30・130 ロータ
40・140 回路基板
45・142 リード線
50・150 リードブッシュ
51a51b・51c・151a・151b・151c 環状膨出部
60・160 シールキャップ

Claims (10)

  1. 有蓋・有底の筒状モータケースの内部に、シャフト及びマグネットを有するロータと、該ロータに対し同心状に配設されステータコアにコイルを巻装してなるステータと、前記コイルへの通電を制御する制御回路を構成した回路基板とを備え、前記モータケースの底部及び蓋部のそれぞれの中心部に配置した軸受により前記ロータのシャフトを支持してなる回転電機において、
    前記モータケースは、軸線方向に分割された蓋部を有する第1ケーシングと底部を有する第2ケーシングからなり、該両ケーシングの合わせ面であるそれぞれの開口部には、互いに嵌合する内側周壁部及び外側周壁部が形成されると共に、前記両ケーシングのそれぞれの開口部周縁の一部に、相互に向かい合ってリードブッシュ装着用孔部を形成する略半筒状の口出し部が形成され、
    前記両ケーシングのそれぞれの口出し部における内周面には、前記孔部に連なる環状溝を形成する溝が少なくとも1条形成され、
    前記孔部に装着されるリードブッシュは、内部に前記回路基板に接続されるリード線を案内する挿通孔を有し、外周に相互に間隔を開けた少なくとも3条の環状膨出部とを設けが間隔を開けて設けられており、
    前記リードブッシュにおける3条の環状膨出部のうち中間の環状膨出部を前記両口出し部の溝に嵌め込むようにして、リードブッシュが両口出し部間に挟持されていることを特徴とする回転電機。
  2. 前記両ケーシングのそれぞれの口出し部で形成する孔部は、該口出し部の内面における前記溝の両側が前記リードブッシュにおける3条の環状膨出部のうち中間の環状膨出部を挟む2つの外側面を押圧して圧縮させ得る寸法に設定されている請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記第1・第2ケーシングの口出し部はそれぞれ半円筒状に形成され、該両ケーシングのそれぞれの口出し部の内径は、前記リードブッシュにおける前記2つの外側面の外径より若干小さく設定されている請求項2に記載の回転電機。
  4. 前記両口出し部における溝は、前記リードブッシュにおける環状膨出部の大きさに合わせた寸法若しくは若干大きく設定されている請求項2又は3に記載の回転電機。
  5. 前記リードブッシュが前記両口出し部間に挟持された際、前記リードブッシュの外側端の環状膨出部は前記両口出し部の端縁に密接している請求項1〜4のいずれかに記載の回転電機。
  6. 前記第2ケーシングにおける開口部には内側周壁部が形成され、前記第1ケーシングにおける開口部には、内側周壁部に外嵌する外側周壁部が形成されている請求項1に記載の回転電機。
  7. 前記第1ケーシングにおける蓋部には、前記ロータのシャフトを外部に導出させるためのシャフト口が形成され、該シャフト口の内周面と前記シャフトの外周面との間には微少ギャップが設定されている請求項1に記載の回転電機。
  8. 前記第1ケーシングにおける蓋部には、前記シャフト口と同心であり該シャフト口を囲む環状シール壁が軸方向外側に突出させて設けられており、前記シャフト口部より導出したシャフトに、前記環状シール壁の内外の一方もしくは両方に微少隙間を持って嵌合する円筒壁を有するラビリンスシールキャップが取り付けられている請求項7に記載の回転電機。
  9. 前記環状シール壁は2以上が同心に設けられている請求項8に記載の回転電機。
  10. 前記ラビリンスシールキャップは、前記シャフトに連結されて該シャフトと共に回転する回転負荷に一体に形成されている請求項8又は9に記載の回転電機。
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