JP2004147467A - 電動機 - Google Patents
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Abstract
【課題】リード線のケース外部への引出し作業を迅速・容易に行うとともに、リード線の接続部に引張力が加わるのを簡易に防ぐことを可能とする。
【解決手段】固定子鉄心にコイルを巻装してなる固定子と、前記固定子鉄心の回転子挿入孔に回転自在に挿入される回転子と、前記固定子を収容し、かつ、前記回転子を回転自在に支承する一対のケースとを備えた電動機において、前記一対のケースのうち、一方のケースには、前記固定子から導出される複数のリード線をケース外部に引出すための引出し部に、略U字状に形成したリードブッシュを嵌着するとともに、前記複数のリード線を、固定子鉄心に設けた導出部において一纏めにした状態で、リードブッシュの開口部側からそのスリット状の挿入溝に挿入し、前記導出部とリードブッシュとの間において挟持させた状態で、ケース外部に引出すように構成したことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】固定子鉄心にコイルを巻装してなる固定子と、前記固定子鉄心の回転子挿入孔に回転自在に挿入される回転子と、前記固定子を収容し、かつ、前記回転子を回転自在に支承する一対のケースとを備えた電動機において、前記一対のケースのうち、一方のケースには、前記固定子から導出される複数のリード線をケース外部に引出すための引出し部に、略U字状に形成したリードブッシュを嵌着するとともに、前記複数のリード線を、固定子鉄心に設けた導出部において一纏めにした状態で、リードブッシュの開口部側からそのスリット状の挿入溝に挿入し、前記導出部とリードブッシュとの間において挟持させた状態で、ケース外部に引出すように構成したことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機の固定子から導出される複数のリード線のケース外部への引出し構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気調和機等の駆動源として使用される電動機において、固定子鉄心に巻装したコイル、あるいは、回転子の回転位置を検出するための回転位置検出素子(例えば、ホールIC)等を実装した回路基板に接続されたリード線を、ケース外部に引出す場合には、前記ケースに穿孔した透孔にリードブッシュを嵌着し、リード線を前記リードブッシュに穿設した挿通孔に挿通することによりケース外部に引出すようにしていた。
【0003】
また、空気調和機等への電動機の取付け等に際して、ケースから引出したリード線に引張力が加えられることにより、該リード線とコイル、あるいは、回路基板との接続部に負担がかかって断線等が発生するのを防ぐために、ケース内においてリード線の所定位置に結び目等を形成し、前記結び目等をリードブッシュに当接させることによって、必要以上の引張力がリード線の接続部に加わるのを防ぐようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−32956号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、前記のようにしてリード線をケース外部に引出す場合、一般にはリード線の一方端側を予めコイル、あるいは、回路基板に接続した状態で、リードブッシュに穿設した挿通孔に、リード線をその他方端側(引出し側)から順次挿通することにより、ケース外部に引出すようにしていたので、前記リード線の長さ寸法が長くなったり、本数が多くなったりする程、その引出し作業には手間と時間がかかることとなり、非常に作業効率が悪かった。
【0006】
また、リード線とコイル、あるいは、回路基板との接続部に引張力が加わるのを防ぐために、前記リード線の所定位置に結び目等を形成する場合、その作業は人手によって行わなければならないので、多大な手間と時間を要するとともに、前記結び目等を常に一定の部位に形成することが困難であった。このため、例えば、結び目の位置がリード線の接続部に近接している場合には、前記結び目等がリードブッシュと当接する前に、リード線の接続部に引張力が加わって断線等が発生するおそれがある等、種々の弊害を誘発する要因となっていた。
【0007】
更に、固定子鉄心をケース内に収容した状態(即ち、電動機を組立てた状態)においては、リード線に引張力が加えられた場合でも、前記リード線に形成した結び目等がケースに嵌着したリードブッシュと当接することにより、リード線の接続部に引張力が加わるのを防ぐことができるものの、電動機の組立前等のように固定子鉄心がケース内に収容されていない状態においては、リード線に結び目等が形成されていても、前記結び目等が当接するリードブッシュ自体が存在しないため、リード線の接続部に直接引張力が加わって、断線等が発生するおそれがあった。
【0008】
本発明は、前記種々の問題点に鑑み、リード線のケース外部への引出し作業を迅速・容易に行うことが可能で、かつ、リード線の接続部に引張力が加わるのを簡易に防ぐことが可能な電動機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、固定子鉄心にコイルを巻装してなる固定子と、前記固定子鉄心の回転子挿入孔に回転自在に挿入される回転子と、前記固定子を収容し、かつ、前記回転子を回転自在に支承する一対のケースとを備えた電動機において、前記一対のケースのうち、一方のケースには、前記固定子から導出される複数のリード線をケース外部に引出すための引出し部に、略U字状に形成したリードブッシュを嵌着し、前記リード線をリードブッシュの開口部側からそのスリット状の挿入溝に挿入した状態で、ケース外部に引出すように構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電動機において、前記固定子鉄心には、その所定位置に複数のリード線を一纏めにした状態で導出するための導出部を設け、該導出部において一纏めにした複数のリード線を挿入溝に挿入し、前記導出部とリードブッシュとの間において挟持させた状態でケース外部に引出すように構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の電動機において、前記固定子鉄心には、その所定位置に複数のリード線を導出途中において係止するための係止部を設け、前記複数のリード線を係止部において蛇行状態で係止して導出するように構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の電動機において、前記導出部及び係止部は、固定子鉄心の外周及び回転子挿入孔を除く略全域に形成したインシュレータに設けるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の電動機において、前記リードブッシュには、そのスリット状の挿入溝にリード線を挿入した後、前記リード線が通過する部分を除いて挿入溝を閉塞することが可能な閉鎖体を一体的に設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の電動機において、前記閉鎖体は、リードブッシュのスリット状の挿入溝を、略1動作で開閉自在に閉鎖することができるように構成したことを特徴とする。
【0015】
本発明は、固定子から導出される複数のリード線を、ケースのリード線引出し部に嵌着した略U字状のリードブッシュのスリット状の挿入溝に、その開口部側から挿入した状態でケース外部に引出すようにしたので、前記リード線のケースからの引出し作業を迅速・容易に行うことが可能となる。また、前記リード線は、固定子鉄心に設けた導出部と、ケースに嵌着したリードブッシュとの間において挟持するようにしたので、ケースから引出されたリード線に引張力が加えられた場合でも、前記引張力がリード線の接続部に加わるのを簡易な手段により防ぐことが可能となる。更に、前記リード線は、その導出途中において、固定子鉄心に設けた係止部に蛇行状態で係止するようにしたので、例えば、電動機の組立作業を行う前の段階等において、リード線に引張力が加えられた場合でも、前記引張力がリード線の接続部に加わるのを確実に阻止することが可能となる。また更に、リードブッシュのスリット状の挿入溝を、リード線が通過する部分を除いて閉鎖体により閉鎖するようにしたので、固定子鉄心が外部に露呈したり、挿入溝を介してケース内に塵埃等が侵入したりするのを良好に防ぐことが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1ないし図10を参照しながら説明する。はじめに、図1は本発明の電動機を示す正面図、図2は本発明の電動機を示す縦断面図である。図2において、1は本発明の電動機Aにおける固定子を示し、前記固定子1は、図3,4で示すように、所定形状に打抜き加工したけい素鋼板等の電磁鋼板を所定数積層することによって形成した固定子鉄心11と、前記固定子鉄心11に巻装したコイル12(図3参照)とを備えて構成されている。
【0017】
前記固定子鉄心11には、その外周及び回転子挿入孔11aを除く略全域に、耐熱性,絶縁性に優れた合成樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート等)を射出成形等することにより、インシュレータ13が形成されている。そして、前記インシュレータ13は、前記固定子鉄心11の一方端側(図4の上側)の外周縁側に、例えば、3分割した状態で所定の高さ寸法で形成した支持壁13a1〜13a3と、後述する回路基板14に接続される複数のリード線15,16を、その導出途中において蛇行状態で係止するための係止部13b1,13b2と、前記複数のリード線15,16を一纏めにした状態で導出するための導出部13cとを備えて構成されている。なお、前記支持壁13a1〜13a3のうち、支持壁13a1は、後述する回路基板14を載置・係止する役目を果たすもので、回路基板14を係止するための係止爪13dが複数突設されており、また、支持壁13a2,13a3は、それぞれリード線15,16の引出ガイドの役目を果たすものである。
【0018】
なお、図3,4において、14は固定子鉄心11に形成したインシュレータ13の支持壁13a1上に載置・係止される回路基板である。前記回路基板14には、所定の配線パターン(図示せず)が形成されており、後述する回転子2の回転位置を検出するための位置検出素子(図示せず)や、コネクタ14a,14b等が実装されている。ここで、前記コネクタ14aには、位置検出素子に対する給電及び接地を行うための複数のリード線15(例えば、図3においては5本)が接続されており、また、コネクタ14bには、コイル12の各相(U相,V相,W相)から引出され、回路基板14のターミナルに接続された引出し線に対して給電を行うための複数のリード線16(例えば、図3においては3本)が接続されている。
【0019】
つづいて、図2において、2は固定子鉄心11の回転子挿入孔11aに回転自在に挿入される回転子であり、前記回転子2は、図2で示すように、回転子軸21と、前記回転子軸21の所定位置に圧入等することにより回転不能に固着した回転子鉄心22と、前記回転子鉄心22の外周に接着剤等により固定した回転子磁石23と、前記回転子軸21の軸方向基端部(図2の右側)及び中央部付近に取付けた軸受24a,24bとを備えて構成されている。
【0020】
次に、図2において、3,4は前記固定子1を収容し、かつ、前記回転子2を回転自在に支承する一対のケースである。前記一対のケース3,4は、図2で示すように、例えば、鋼板をプレス成形することにより、固定子鉄心11を収容することが可能な径寸法で深椀状に形成されており、その底面中央部には、回転子軸21に取付けた軸受24a,24bを収容するための軸受筐3a,4aが、また、開口部外周縁には、ケース3,4同士を固定するためのフランジ3b,4bがそれぞれ形成されている。なお、前記一対のケース3,4のうち、一方のケース3の所定位置には、回路基板14にコネクタ14a,14bを介して接続した複数のリード線15,16を外部に引出すためのU字状の引出し部3c(図9参照)が凹設されており、また、ケース3の軸受筐3aには、回転子2の回転子軸21が貫通する貫通孔3dが穿設されている。
【0021】
つづいて、図1,2において、5はケース3に凹設した引出し部3cに嵌着されるリード線15,16引出し用のリードブッシュであり、例えば、熱可塑性の合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)等によって形成されている。そして、前記リードブッシュ5は、図5ないし図8で示すように、正面形状を略U字状となして形成され、前記引出し部3cに嵌着したときにケース3の外側に位置する外側鍔部5aと、正面形状を略U字状となし、かつ、高さ寸法を前記外側鍔部5aの高さ寸法の約半分程度として形成され、引出し部3cに嵌着したときにケース3の内側に位置する内側鍔部5bと、前記外側鍔部5aと内側鍔部5bとの間に所定幅寸法で形成され、前記引出し部3cの周縁が嵌合する嵌合溝5cと、前記外側鍔部5aと内側鍔部5bとに跨るようにして形成されたスリット状の挿入溝5dと、前記外側鍔部5aの一方端側(図5の左側)に連設され、前記挿入溝5dをリード線15,16の通過する部分を除いて開閉自在に閉鎖することが可能な板状の閉鎖体5eと(図8参照)、外側鍔部5aの他方端側(図5の右側)に形成され、前記閉鎖体5eの自由端を係止する鉤状の係止部5fとを一体的に備えて構成されている。
【0022】
次に、本発明の電動機Aを組立てる場合について説明する。はじめに、図3,4で示すように、コイル12を巻装した固定子鉄心11のインシュレータ13の支持壁13a1上に回路基板14を載置し、かつ、係止爪13dにより揺動不能に係止する。また、前記回路基板14のターミナルに、コイル12の各相(U相,V相,W相)から引出した引出し線を、半田付け等の手段により接続する。つづいて、前記回路基板14にコネクタ14a,14bを介して接続したリード線15,16を、それぞれ支持壁13a2,13a3に沿って係止部13b1,13b2の位置まで導出し、その途中を前記係止部13b1,13b2に蛇行状態で係止する(第1の抜止め)。この後、係止部13b1,13b2において係止したリード線15,16は、更に、導出部13cの位置まで導出し、別々の方向から導出された前記リード線15,16を導出部13cにおいて一纏めの状態として導出する。
【0023】
つづいて、図9で示すように、ケース3に凹設した引出し部3cに、その開口部側(図9の上方)からリードブッシュ5を、その嵌合溝5cに引出し部3cの周縁を嵌合させた状態で嵌着する。この後、固定子鉄心11のインシュレータ13の導出部13cと、リードブッシュ5のスリット状の挿入溝5dとを合致させた状態で、前記導出部13cから一纏めにした状態で導出されているリード線15,16を、リードブッシュ5の開口部側(図9の上方)から、そのスリット状の挿入溝5dに挿入するとともに、前記固定子鉄心11をケース3内に、その一方端(図9の下側)がリードブッシュ5の内側鍔部5bと当接する位置まで圧入する。この結果、前記リード線15,16は、図10で示すように、リードブッシュ5と導出部13eとの間において挟持されることとなる(第2の抜止め)。なお、前記リード線15,16の挿入溝5dへの挿入時、前記挿入溝5dは閉鎖体5eによって閉鎖されていないので(図9参照)、前記リード線15,16は、閉鎖体5eに妨げられることなく、円滑・良好に挿入溝5dに挿入することができる。
【0024】
そして、前記のように、リード線15,16をリードブッシュ5の挿入溝5dに挿入した状態で、固定子鉄心11をケース3に圧入・固定したら、前記リードブッシュ5の外側鍔部5aの一方端側に連設した閉鎖体5eを、図8で示すように、その連結部分において180°折返し、自由端側を外側鍔部5aの他方端側に形成した係止部5fによって係止することにより、前記リードブッシュ5の挿入溝5dを、リード線15,16が通過する部分を除いて略1動作で閉鎖する(図1,8参照)。
【0025】
つづいて、回転子軸21の所定位置に軸受24a,24bを取付けた回転子2を、ケース3に圧入・固定した固定子鉄心11の回転子挿入孔11aに回転自在に挿入するとともに、前記回転子軸21の先端側をケース3の軸受筐3aに穿設した貫通孔3cから突出させた状態で、その軸方向中央部付近に取付けた軸受24aを前記軸受筐3aに嵌着する。この後、ケース3の開口端側にケース4を被着し、その軸受筐4aに回転子軸21の基端部に取付けた軸受24bを嵌着するとともに、前記ケース3,4の開口部外周縁に周設したフランジ3b,4b同士を当接させ、締付部材aを用いて締着・固定することにより、電動機Aの組立を終了する(図1,2参照)。
【0026】
このように、本発明においては、固定子鉄心11のインシュレータ13上に載置・係止した回路基板14にコネクタ14a,14bを介して接続される複数のリード線15,16を、前記固定子鉄心11のケース3への圧入・固定時に、前記ケース3の引出し部3cに嵌着したリードブッシュ5のスリット状の挿入溝5dに、その開口部側から挿入した状態でケース3外部に引出すようにしたので、前記リード線15,16の引出し作業は、従来技術のように特別な手間や時間を要することなく、迅速・容易に行うことが可能となり、この結果、作業効率を良好に向上させることができる。
【0027】
また、リード線15,16は、固定子鉄心11をケース3に圧入・固定することにより、前記固定子鉄心11に形成したインシュレータ13の導出部13cと、ケース3の引出し部3cに嵌着したリードブッシュ5との間において挟持することができるので、従来技術のように特別な作業を行うことなく、前記リード線15,16と回路基板14との接続部であるコネクタ14a,14bに引張力が加わるのを確実に阻止することが可能となる。
【0028】
更に、前記リード線15,16は、導出部13cの位置まで導出する途中において、インシュレータ13に設けた係止部13b1,13b2に蛇行状態で係止されているため、リード線15,16を導出部13cとリードブッシュ5との間において挟持する前(即ち、電動機Aの組立作業前)に引張力が加えられた場合でも、前記引張力がコネクタ14a,14bに加わるのを良好に防ぐことが可能となる。
【0029】
しかも、前記導出部13c及び係止部13b1,13b2は、固定子鉄心11の外周及び回転子挿入孔11aを除く略全域に形成したインシュレータ13と一体となして設けられているので、前記導出部13c及び係止部13b1,13b2をインシュレータ13と同時に形成することが可能となり、大変利便である。
【0030】
また、リード線15,16をリードブッシュ5の挿入溝5dに挿入した後は、前記リードブッシュ5に一体的に設けた閉鎖体5eによって、挿入溝5dをリード線15,16が通過する部分を除いて閉鎖するようにしたので、固定子鉄心11が外部に露呈したり、前記挿入溝5dを介してケース3内部に塵埃等が侵入したりするのを良好に防ぐことが可能となる。
【0031】
更に、前記閉鎖体5eは、外側鍔部5aとの連設部において180°折返し、自由端側を係止部5fに係止することによって、挿入溝5dを開閉自在に閉鎖するようにしたので、リード線15,16を挿入溝5dに挿入する際には、係止部5fによる係止状態を解除して前記挿入溝5dを開放することにより、前記リード線15,16を閉鎖体5eに妨げられることなく、円滑・良好に挿入溝5dに挿入することができるとともに、リード線15,16を挿入した後は、閉鎖体5eの自由端側を係止部5fに略1動作で係止して、前記挿入溝5dをリード線15,16が通過する(導出される)部分を除いて閉鎖することにより、閉鎖体5eと外側鍔部5aとの間においても前記リード線15,16が揺動するのを極力抑制することが可能である。
【0032】
なお、本発明の実施例においては、回転子2の回転位置を検出するための回転位置検出素子等を実装した回路基板14を具備した電動機Aを例に挙げて説明したが、これに限定することなく、回路基板を有しない電動機においても応用することが可能であることはいうまでもない。
【0033】
また、本発明の実施例においては、固定子鉄心11に、リード線15,16を蛇行状態で係止するための係止部13b1,13b2と、前記リード線15,16を一纏めにした状態で導出するための導出部13cとを設けた例について説明したが、これに限定することなく、例えば、係止部13b1,13b2及び導出部13cのうちのどちらか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ケースのリード線引出し部に略U字状のリードブッシュを嵌着し、固定子から導出される複数のリード線を、前記固定子をケース内に圧入・固定する際に、リードブッシュのスリット状の挿入溝にその開口部側から挿入した状態で、ケース外部へ引出すようにしたので、前記複数のリード線の引出し作業を迅速・容易に行うことが可能となり、この結果、作業効率を良好に向上させることができる。
【0035】
請求項2記載の発明によれば、固定子から導出される複数のリード線は、固定子鉄心に設けた導出部と、ケースに嵌着したリードブッシュとの間において挟持した状態で、ケース外部に引出すようにしたので、前記リード線の接続部に引張力が加わるのを簡易な構成によって確実に阻止することが可能となり、この結果、前記接続部において断線等が発生するのを良好に防ぐことが可能となる。
【0036】
請求項3記載の発明によれば、固定子から導出される複数のリード線は、その導出途中において、固定子鉄心に設けた係止部に蛇行状態で係止するようにしたので、例えば、電動機の組立作業を行う前の段階等において、リード線に引張力が加えられた場合でも、前記引張力がリード線の接続部に加わるのを確実に阻止することが可能となる。
【0037】
請求項4記載の発明によれば、前記導出部及び係止部は、固定子鉄心の外周及び回転子挿入孔を除く略全域に形成したインシュレータに設けるようにしたので、前記インシュレータの形成時に、導出部及び係止部も同時に形成することが可能となり、大変利便である。
【0038】
請求項5記載の発明によれば、リードブッシュに一体的に設けた閉鎖体によって、前記リードブッシュのスリット状の挿入溝を、リード線が通過する部分を除いて閉塞するようにしたので、固定子鉄心が外部に露呈したり、挿入溝を介してケース内に塵埃等が侵入したりするのを良好に防ぐことが可能となる。
【0039】
請求項6記載の発明によれば、閉鎖体はリードブッシュの挿入溝を開閉自在に閉鎖することができるように構成されているので、挿入溝へのリード線の挿入時には、前記挿入溝を開放することにより、前記リード線を閉鎖体に妨げられることなく円滑・良好に挿入することができるとともに、リード線を挿入した後は、該リード線が通過する部分を除いて前記挿入溝を閉鎖することにより、閉鎖体とリードブッシュとの間においても前記リード線が揺動するのを極力抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動機を示す正面図である。
【図2】本発明の電動機を示す縦断面図である。
【図3】本発明の電動機における固定子を示す平面図である。
【図4】本発明の電動機における固定子を示す側面図である。
【図5】本発明の電動機におけるリードブッシュを示す平面図である。
【図6】本発明の電動機におけるリードブッシュを背面から見た状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の電動機におけるリードブッシュを正面から見た状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の電動機におけるリードブッシュの挿入溝を閉鎖体により閉鎖した状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の電動機においてケースとリードブッシュと固定子とを分解して示す側面図である。
【図10】本発明の電動機において導出部とリードブッシュとの間でリード線を挟持した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 固定子
2 回転子
3,4 ケース
3a 引出し部
5 リードブッシュ
5d 挿入溝
5e 閉鎖体
11 固定子鉄心
13 インシュレータ
13b1,13b2 係止部
13c 導出部
14 回路基板
15,16 リード線
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機の固定子から導出される複数のリード線のケース外部への引出し構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気調和機等の駆動源として使用される電動機において、固定子鉄心に巻装したコイル、あるいは、回転子の回転位置を検出するための回転位置検出素子(例えば、ホールIC)等を実装した回路基板に接続されたリード線を、ケース外部に引出す場合には、前記ケースに穿孔した透孔にリードブッシュを嵌着し、リード線を前記リードブッシュに穿設した挿通孔に挿通することによりケース外部に引出すようにしていた。
【0003】
また、空気調和機等への電動機の取付け等に際して、ケースから引出したリード線に引張力が加えられることにより、該リード線とコイル、あるいは、回路基板との接続部に負担がかかって断線等が発生するのを防ぐために、ケース内においてリード線の所定位置に結び目等を形成し、前記結び目等をリードブッシュに当接させることによって、必要以上の引張力がリード線の接続部に加わるのを防ぐようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−32956号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、前記のようにしてリード線をケース外部に引出す場合、一般にはリード線の一方端側を予めコイル、あるいは、回路基板に接続した状態で、リードブッシュに穿設した挿通孔に、リード線をその他方端側(引出し側)から順次挿通することにより、ケース外部に引出すようにしていたので、前記リード線の長さ寸法が長くなったり、本数が多くなったりする程、その引出し作業には手間と時間がかかることとなり、非常に作業効率が悪かった。
【0006】
また、リード線とコイル、あるいは、回路基板との接続部に引張力が加わるのを防ぐために、前記リード線の所定位置に結び目等を形成する場合、その作業は人手によって行わなければならないので、多大な手間と時間を要するとともに、前記結び目等を常に一定の部位に形成することが困難であった。このため、例えば、結び目の位置がリード線の接続部に近接している場合には、前記結び目等がリードブッシュと当接する前に、リード線の接続部に引張力が加わって断線等が発生するおそれがある等、種々の弊害を誘発する要因となっていた。
【0007】
更に、固定子鉄心をケース内に収容した状態(即ち、電動機を組立てた状態)においては、リード線に引張力が加えられた場合でも、前記リード線に形成した結び目等がケースに嵌着したリードブッシュと当接することにより、リード線の接続部に引張力が加わるのを防ぐことができるものの、電動機の組立前等のように固定子鉄心がケース内に収容されていない状態においては、リード線に結び目等が形成されていても、前記結び目等が当接するリードブッシュ自体が存在しないため、リード線の接続部に直接引張力が加わって、断線等が発生するおそれがあった。
【0008】
本発明は、前記種々の問題点に鑑み、リード線のケース外部への引出し作業を迅速・容易に行うことが可能で、かつ、リード線の接続部に引張力が加わるのを簡易に防ぐことが可能な電動機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、固定子鉄心にコイルを巻装してなる固定子と、前記固定子鉄心の回転子挿入孔に回転自在に挿入される回転子と、前記固定子を収容し、かつ、前記回転子を回転自在に支承する一対のケースとを備えた電動機において、前記一対のケースのうち、一方のケースには、前記固定子から導出される複数のリード線をケース外部に引出すための引出し部に、略U字状に形成したリードブッシュを嵌着し、前記リード線をリードブッシュの開口部側からそのスリット状の挿入溝に挿入した状態で、ケース外部に引出すように構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電動機において、前記固定子鉄心には、その所定位置に複数のリード線を一纏めにした状態で導出するための導出部を設け、該導出部において一纏めにした複数のリード線を挿入溝に挿入し、前記導出部とリードブッシュとの間において挟持させた状態でケース外部に引出すように構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の電動機において、前記固定子鉄心には、その所定位置に複数のリード線を導出途中において係止するための係止部を設け、前記複数のリード線を係止部において蛇行状態で係止して導出するように構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の電動機において、前記導出部及び係止部は、固定子鉄心の外周及び回転子挿入孔を除く略全域に形成したインシュレータに設けるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の電動機において、前記リードブッシュには、そのスリット状の挿入溝にリード線を挿入した後、前記リード線が通過する部分を除いて挿入溝を閉塞することが可能な閉鎖体を一体的に設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の電動機において、前記閉鎖体は、リードブッシュのスリット状の挿入溝を、略1動作で開閉自在に閉鎖することができるように構成したことを特徴とする。
【0015】
本発明は、固定子から導出される複数のリード線を、ケースのリード線引出し部に嵌着した略U字状のリードブッシュのスリット状の挿入溝に、その開口部側から挿入した状態でケース外部に引出すようにしたので、前記リード線のケースからの引出し作業を迅速・容易に行うことが可能となる。また、前記リード線は、固定子鉄心に設けた導出部と、ケースに嵌着したリードブッシュとの間において挟持するようにしたので、ケースから引出されたリード線に引張力が加えられた場合でも、前記引張力がリード線の接続部に加わるのを簡易な手段により防ぐことが可能となる。更に、前記リード線は、その導出途中において、固定子鉄心に設けた係止部に蛇行状態で係止するようにしたので、例えば、電動機の組立作業を行う前の段階等において、リード線に引張力が加えられた場合でも、前記引張力がリード線の接続部に加わるのを確実に阻止することが可能となる。また更に、リードブッシュのスリット状の挿入溝を、リード線が通過する部分を除いて閉鎖体により閉鎖するようにしたので、固定子鉄心が外部に露呈したり、挿入溝を介してケース内に塵埃等が侵入したりするのを良好に防ぐことが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1ないし図10を参照しながら説明する。はじめに、図1は本発明の電動機を示す正面図、図2は本発明の電動機を示す縦断面図である。図2において、1は本発明の電動機Aにおける固定子を示し、前記固定子1は、図3,4で示すように、所定形状に打抜き加工したけい素鋼板等の電磁鋼板を所定数積層することによって形成した固定子鉄心11と、前記固定子鉄心11に巻装したコイル12(図3参照)とを備えて構成されている。
【0017】
前記固定子鉄心11には、その外周及び回転子挿入孔11aを除く略全域に、耐熱性,絶縁性に優れた合成樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート等)を射出成形等することにより、インシュレータ13が形成されている。そして、前記インシュレータ13は、前記固定子鉄心11の一方端側(図4の上側)の外周縁側に、例えば、3分割した状態で所定の高さ寸法で形成した支持壁13a1〜13a3と、後述する回路基板14に接続される複数のリード線15,16を、その導出途中において蛇行状態で係止するための係止部13b1,13b2と、前記複数のリード線15,16を一纏めにした状態で導出するための導出部13cとを備えて構成されている。なお、前記支持壁13a1〜13a3のうち、支持壁13a1は、後述する回路基板14を載置・係止する役目を果たすもので、回路基板14を係止するための係止爪13dが複数突設されており、また、支持壁13a2,13a3は、それぞれリード線15,16の引出ガイドの役目を果たすものである。
【0018】
なお、図3,4において、14は固定子鉄心11に形成したインシュレータ13の支持壁13a1上に載置・係止される回路基板である。前記回路基板14には、所定の配線パターン(図示せず)が形成されており、後述する回転子2の回転位置を検出するための位置検出素子(図示せず)や、コネクタ14a,14b等が実装されている。ここで、前記コネクタ14aには、位置検出素子に対する給電及び接地を行うための複数のリード線15(例えば、図3においては5本)が接続されており、また、コネクタ14bには、コイル12の各相(U相,V相,W相)から引出され、回路基板14のターミナルに接続された引出し線に対して給電を行うための複数のリード線16(例えば、図3においては3本)が接続されている。
【0019】
つづいて、図2において、2は固定子鉄心11の回転子挿入孔11aに回転自在に挿入される回転子であり、前記回転子2は、図2で示すように、回転子軸21と、前記回転子軸21の所定位置に圧入等することにより回転不能に固着した回転子鉄心22と、前記回転子鉄心22の外周に接着剤等により固定した回転子磁石23と、前記回転子軸21の軸方向基端部(図2の右側)及び中央部付近に取付けた軸受24a,24bとを備えて構成されている。
【0020】
次に、図2において、3,4は前記固定子1を収容し、かつ、前記回転子2を回転自在に支承する一対のケースである。前記一対のケース3,4は、図2で示すように、例えば、鋼板をプレス成形することにより、固定子鉄心11を収容することが可能な径寸法で深椀状に形成されており、その底面中央部には、回転子軸21に取付けた軸受24a,24bを収容するための軸受筐3a,4aが、また、開口部外周縁には、ケース3,4同士を固定するためのフランジ3b,4bがそれぞれ形成されている。なお、前記一対のケース3,4のうち、一方のケース3の所定位置には、回路基板14にコネクタ14a,14bを介して接続した複数のリード線15,16を外部に引出すためのU字状の引出し部3c(図9参照)が凹設されており、また、ケース3の軸受筐3aには、回転子2の回転子軸21が貫通する貫通孔3dが穿設されている。
【0021】
つづいて、図1,2において、5はケース3に凹設した引出し部3cに嵌着されるリード線15,16引出し用のリードブッシュであり、例えば、熱可塑性の合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)等によって形成されている。そして、前記リードブッシュ5は、図5ないし図8で示すように、正面形状を略U字状となして形成され、前記引出し部3cに嵌着したときにケース3の外側に位置する外側鍔部5aと、正面形状を略U字状となし、かつ、高さ寸法を前記外側鍔部5aの高さ寸法の約半分程度として形成され、引出し部3cに嵌着したときにケース3の内側に位置する内側鍔部5bと、前記外側鍔部5aと内側鍔部5bとの間に所定幅寸法で形成され、前記引出し部3cの周縁が嵌合する嵌合溝5cと、前記外側鍔部5aと内側鍔部5bとに跨るようにして形成されたスリット状の挿入溝5dと、前記外側鍔部5aの一方端側(図5の左側)に連設され、前記挿入溝5dをリード線15,16の通過する部分を除いて開閉自在に閉鎖することが可能な板状の閉鎖体5eと(図8参照)、外側鍔部5aの他方端側(図5の右側)に形成され、前記閉鎖体5eの自由端を係止する鉤状の係止部5fとを一体的に備えて構成されている。
【0022】
次に、本発明の電動機Aを組立てる場合について説明する。はじめに、図3,4で示すように、コイル12を巻装した固定子鉄心11のインシュレータ13の支持壁13a1上に回路基板14を載置し、かつ、係止爪13dにより揺動不能に係止する。また、前記回路基板14のターミナルに、コイル12の各相(U相,V相,W相)から引出した引出し線を、半田付け等の手段により接続する。つづいて、前記回路基板14にコネクタ14a,14bを介して接続したリード線15,16を、それぞれ支持壁13a2,13a3に沿って係止部13b1,13b2の位置まで導出し、その途中を前記係止部13b1,13b2に蛇行状態で係止する(第1の抜止め)。この後、係止部13b1,13b2において係止したリード線15,16は、更に、導出部13cの位置まで導出し、別々の方向から導出された前記リード線15,16を導出部13cにおいて一纏めの状態として導出する。
【0023】
つづいて、図9で示すように、ケース3に凹設した引出し部3cに、その開口部側(図9の上方)からリードブッシュ5を、その嵌合溝5cに引出し部3cの周縁を嵌合させた状態で嵌着する。この後、固定子鉄心11のインシュレータ13の導出部13cと、リードブッシュ5のスリット状の挿入溝5dとを合致させた状態で、前記導出部13cから一纏めにした状態で導出されているリード線15,16を、リードブッシュ5の開口部側(図9の上方)から、そのスリット状の挿入溝5dに挿入するとともに、前記固定子鉄心11をケース3内に、その一方端(図9の下側)がリードブッシュ5の内側鍔部5bと当接する位置まで圧入する。この結果、前記リード線15,16は、図10で示すように、リードブッシュ5と導出部13eとの間において挟持されることとなる(第2の抜止め)。なお、前記リード線15,16の挿入溝5dへの挿入時、前記挿入溝5dは閉鎖体5eによって閉鎖されていないので(図9参照)、前記リード線15,16は、閉鎖体5eに妨げられることなく、円滑・良好に挿入溝5dに挿入することができる。
【0024】
そして、前記のように、リード線15,16をリードブッシュ5の挿入溝5dに挿入した状態で、固定子鉄心11をケース3に圧入・固定したら、前記リードブッシュ5の外側鍔部5aの一方端側に連設した閉鎖体5eを、図8で示すように、その連結部分において180°折返し、自由端側を外側鍔部5aの他方端側に形成した係止部5fによって係止することにより、前記リードブッシュ5の挿入溝5dを、リード線15,16が通過する部分を除いて略1動作で閉鎖する(図1,8参照)。
【0025】
つづいて、回転子軸21の所定位置に軸受24a,24bを取付けた回転子2を、ケース3に圧入・固定した固定子鉄心11の回転子挿入孔11aに回転自在に挿入するとともに、前記回転子軸21の先端側をケース3の軸受筐3aに穿設した貫通孔3cから突出させた状態で、その軸方向中央部付近に取付けた軸受24aを前記軸受筐3aに嵌着する。この後、ケース3の開口端側にケース4を被着し、その軸受筐4aに回転子軸21の基端部に取付けた軸受24bを嵌着するとともに、前記ケース3,4の開口部外周縁に周設したフランジ3b,4b同士を当接させ、締付部材aを用いて締着・固定することにより、電動機Aの組立を終了する(図1,2参照)。
【0026】
このように、本発明においては、固定子鉄心11のインシュレータ13上に載置・係止した回路基板14にコネクタ14a,14bを介して接続される複数のリード線15,16を、前記固定子鉄心11のケース3への圧入・固定時に、前記ケース3の引出し部3cに嵌着したリードブッシュ5のスリット状の挿入溝5dに、その開口部側から挿入した状態でケース3外部に引出すようにしたので、前記リード線15,16の引出し作業は、従来技術のように特別な手間や時間を要することなく、迅速・容易に行うことが可能となり、この結果、作業効率を良好に向上させることができる。
【0027】
また、リード線15,16は、固定子鉄心11をケース3に圧入・固定することにより、前記固定子鉄心11に形成したインシュレータ13の導出部13cと、ケース3の引出し部3cに嵌着したリードブッシュ5との間において挟持することができるので、従来技術のように特別な作業を行うことなく、前記リード線15,16と回路基板14との接続部であるコネクタ14a,14bに引張力が加わるのを確実に阻止することが可能となる。
【0028】
更に、前記リード線15,16は、導出部13cの位置まで導出する途中において、インシュレータ13に設けた係止部13b1,13b2に蛇行状態で係止されているため、リード線15,16を導出部13cとリードブッシュ5との間において挟持する前(即ち、電動機Aの組立作業前)に引張力が加えられた場合でも、前記引張力がコネクタ14a,14bに加わるのを良好に防ぐことが可能となる。
【0029】
しかも、前記導出部13c及び係止部13b1,13b2は、固定子鉄心11の外周及び回転子挿入孔11aを除く略全域に形成したインシュレータ13と一体となして設けられているので、前記導出部13c及び係止部13b1,13b2をインシュレータ13と同時に形成することが可能となり、大変利便である。
【0030】
また、リード線15,16をリードブッシュ5の挿入溝5dに挿入した後は、前記リードブッシュ5に一体的に設けた閉鎖体5eによって、挿入溝5dをリード線15,16が通過する部分を除いて閉鎖するようにしたので、固定子鉄心11が外部に露呈したり、前記挿入溝5dを介してケース3内部に塵埃等が侵入したりするのを良好に防ぐことが可能となる。
【0031】
更に、前記閉鎖体5eは、外側鍔部5aとの連設部において180°折返し、自由端側を係止部5fに係止することによって、挿入溝5dを開閉自在に閉鎖するようにしたので、リード線15,16を挿入溝5dに挿入する際には、係止部5fによる係止状態を解除して前記挿入溝5dを開放することにより、前記リード線15,16を閉鎖体5eに妨げられることなく、円滑・良好に挿入溝5dに挿入することができるとともに、リード線15,16を挿入した後は、閉鎖体5eの自由端側を係止部5fに略1動作で係止して、前記挿入溝5dをリード線15,16が通過する(導出される)部分を除いて閉鎖することにより、閉鎖体5eと外側鍔部5aとの間においても前記リード線15,16が揺動するのを極力抑制することが可能である。
【0032】
なお、本発明の実施例においては、回転子2の回転位置を検出するための回転位置検出素子等を実装した回路基板14を具備した電動機Aを例に挙げて説明したが、これに限定することなく、回路基板を有しない電動機においても応用することが可能であることはいうまでもない。
【0033】
また、本発明の実施例においては、固定子鉄心11に、リード線15,16を蛇行状態で係止するための係止部13b1,13b2と、前記リード線15,16を一纏めにした状態で導出するための導出部13cとを設けた例について説明したが、これに限定することなく、例えば、係止部13b1,13b2及び導出部13cのうちのどちらか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ケースのリード線引出し部に略U字状のリードブッシュを嵌着し、固定子から導出される複数のリード線を、前記固定子をケース内に圧入・固定する際に、リードブッシュのスリット状の挿入溝にその開口部側から挿入した状態で、ケース外部へ引出すようにしたので、前記複数のリード線の引出し作業を迅速・容易に行うことが可能となり、この結果、作業効率を良好に向上させることができる。
【0035】
請求項2記載の発明によれば、固定子から導出される複数のリード線は、固定子鉄心に設けた導出部と、ケースに嵌着したリードブッシュとの間において挟持した状態で、ケース外部に引出すようにしたので、前記リード線の接続部に引張力が加わるのを簡易な構成によって確実に阻止することが可能となり、この結果、前記接続部において断線等が発生するのを良好に防ぐことが可能となる。
【0036】
請求項3記載の発明によれば、固定子から導出される複数のリード線は、その導出途中において、固定子鉄心に設けた係止部に蛇行状態で係止するようにしたので、例えば、電動機の組立作業を行う前の段階等において、リード線に引張力が加えられた場合でも、前記引張力がリード線の接続部に加わるのを確実に阻止することが可能となる。
【0037】
請求項4記載の発明によれば、前記導出部及び係止部は、固定子鉄心の外周及び回転子挿入孔を除く略全域に形成したインシュレータに設けるようにしたので、前記インシュレータの形成時に、導出部及び係止部も同時に形成することが可能となり、大変利便である。
【0038】
請求項5記載の発明によれば、リードブッシュに一体的に設けた閉鎖体によって、前記リードブッシュのスリット状の挿入溝を、リード線が通過する部分を除いて閉塞するようにしたので、固定子鉄心が外部に露呈したり、挿入溝を介してケース内に塵埃等が侵入したりするのを良好に防ぐことが可能となる。
【0039】
請求項6記載の発明によれば、閉鎖体はリードブッシュの挿入溝を開閉自在に閉鎖することができるように構成されているので、挿入溝へのリード線の挿入時には、前記挿入溝を開放することにより、前記リード線を閉鎖体に妨げられることなく円滑・良好に挿入することができるとともに、リード線を挿入した後は、該リード線が通過する部分を除いて前記挿入溝を閉鎖することにより、閉鎖体とリードブッシュとの間においても前記リード線が揺動するのを極力抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動機を示す正面図である。
【図2】本発明の電動機を示す縦断面図である。
【図3】本発明の電動機における固定子を示す平面図である。
【図4】本発明の電動機における固定子を示す側面図である。
【図5】本発明の電動機におけるリードブッシュを示す平面図である。
【図6】本発明の電動機におけるリードブッシュを背面から見た状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の電動機におけるリードブッシュを正面から見た状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の電動機におけるリードブッシュの挿入溝を閉鎖体により閉鎖した状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の電動機においてケースとリードブッシュと固定子とを分解して示す側面図である。
【図10】本発明の電動機において導出部とリードブッシュとの間でリード線を挟持した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 固定子
2 回転子
3,4 ケース
3a 引出し部
5 リードブッシュ
5d 挿入溝
5e 閉鎖体
11 固定子鉄心
13 インシュレータ
13b1,13b2 係止部
13c 導出部
14 回路基板
15,16 リード線
Claims (6)
- 固定子鉄心にコイルを巻装してなる固定子と、前記固定子鉄心の回転子挿入孔に回転自在に挿入される回転子と、前記固定子を収容し、かつ、前記回転子を回転自在に支承する一対のケースとを備えた電動機において、前記一対のケースのうち、一方のケースには、前記固定子から導出される複数のリード線をケース外部に引出すための引出し部に、略U字状に形成したリードブッシュを嵌着し、前記リード線をリードブッシュの開口部側からそのスリット状の挿入溝に挿入した状態で、ケース外部に引出すように構成したことを特徴とする電動機。
- 前記固定子鉄心には、その所定位置に複数のリード線を一纏めにした状態で導出するための導出部を設け、該導出部において一纏めにした複数のリード線を挿入溝に挿入し、前記導出部とリードブッシュとの間において挟持させた状態でケース外部に引出すように構成したことを特徴とする請求項1記載の電動機。
- 前記固定子鉄心には、その所定位置に複数のリード線を導出途中において係止するための係止部を設け、前記複数のリード線を係止部において蛇行状態で係止して導出するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の電動機。
- 前記導出部及び係止部は、固定子鉄心の外周及び回転子挿入孔を除く略全域に形成したインシュレータに設けるようにしたことを特徴とする請求項2または3記載の電動機。
- 前記リードブッシュには、そのスリット状の挿入溝にリード線を挿入した後、前記リード線が通過する部分を除いて挿入溝を閉塞することが可能な閉鎖体を一体的に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の電動機。
- 前記閉鎖体は、リードブッシュのスリット状の挿入溝を、開閉自在に閉鎖することができるように構成したことを特徴とする請求項5記載の電動機。
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