JP6007071B2 - 刃型、接着シート製造装置、剥離方法および接着シート製造方法 - Google Patents
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また、積層型半導体装置において、積層されるチップ同士を接着させるために用いられているウエハ貼着用粘着シート(いわゆるダイシング・ダイボンディングシート)も、積層体に対しウエハ形状に応じた閉ループ状に打ち抜き加工を施し、閉ループ状の外側領域を不要シートとして剥離することで、製造される。ウエハ加工用テープは、リングフレームの内側に半導体ウエハを配置した状態で、これらに亘って貼付されたり、半導体ウエハのサイズに合わせて貼付されたりする。
また、特許文献2には、シート貼付装置が記載され、このシート貼付装置は、外周面に閉ループ状の刃を備えたダイカットローラ(刃型)と、プラテンローラとを備えた切込形成手段を有する。この切込形成手段は、回転する両ローラ間に通過させる積層体に刃を入れ込むことで、切込みを形成する。切込み形成後は、不要シート巻取手段が、切込みよりも外側領域の不要シートを剥離して巻き取る。
第一シートの一方の面に接着剤層を有し、前記接着剤層を介して第二シートが貼り合わされてなる積層体の少なくとも前記第一シート及び前記接着剤層に対して、閉領域状の第一切込みを形成し、前記第一切込みよりも外側領域の不要シートを剥離し、前記第一切込みよりも内側領域を接着シートとするための刃型であって、
基板と、
前記基板に支持され、前記積層体の前記第一シート側から前記第一切込みを形成する閉領域状の第一切込刃と、
前記第一切込刃の外側領域において前記基板に支持され、前記不要シートに当該不要シートの剥離方向と傾斜する方向に延びる第二切込みを一つの前記第一切込みに対して前記不要シートの剥離方向と交差する方向に複数形成する第二切込刃と、を備えた
ことを特徴とする。
第一シートの一方の面に接着剤層を有し、前記接着剤層を介して第二シートが貼り合わされてなる積層体の少なくとも前記第一シート及び前記接着剤層に対して、閉領域状の第一切込みを形成し、前記第一切込みよりも外側領域の不要シートを剥離し、前記第一切込みよりも内側領域を接着シートとする接着シート製造装置であって、
前記積層体の前記第一シート側から前記第一切込みを形成する閉領域状の第一切込刃と、
前記不要シートに当該不要シートの剥離方向と傾斜する方向に延びる第二切込みを一つの前記第一切込みに対して前記不要シートの剥離方向と交差する方向に複数形成する第二切込刃と、
複数の前記第二切込みが形成された前記不要シートを剥離する剥離装置と、を備えた
ことを特徴とする。
第一シートの一方の面に接着剤層を有し、前記接着剤層を介して第二シートが貼り合わされてなる積層体の前記第一シート側から少なくとも前記第一シート及び前記接着剤層に対して閉領域状の第一切込みを形成する工程と、
前記第一切込みよりも外側領域の不要シートに対して一つの前記第一切込みにつき複数の第二切込みを形成する工程と、
一つの前記第一切込みにつき複数の前記第二切込みが形成された前記不要シートを、複数の前記第二切込みの延びる方向と傾斜する方向に沿って剥離する剥離工程と、を有する
ことを特徴とする。
第一シートの一方の面に接着剤層を有し、前記接着剤層を介して第二シートが貼り合わされてなる積層体の少なくとも前記第一シート及び前記接着剤層に対して、閉領域状の第一切込みを形成し、前記第一切込みよりも外側領域の不要シートを剥離し、前記第一切込みよりも内側領域を接着シートとして形成する接着シート製造方法であって、
前記積層体の前記第一シート側から前記第一切込みを形成する工程と、
前記不要シートに当該不要シートの剥離方向と傾斜する方向に延びる第二切込みを一つの前記第一切込みに対して前記不要シートの剥離方向と交差する方向に複数形成する工程と、
複数の前記第二切込みが形成された前記不要シートを剥離する剥離工程と、を有する
ことを特徴とする。
従来の刃型は、所望の接着シート形状に切込みを形成するための刃(第一切込刃)のみ備えた構成であり、この従来の刃型で切込みを入れても、第一シートの外側領域を剥離すると、接着剤層が第一シートと共に剥離するのでなく、第二シート側にも残ってしまう現象(残着現象)が起こり易い。
一方、本発明の刃型は、第一切込みよりも外側領域に対し、複数の第二切込刃により複数の第二切込みを形成することができ、第二切込みの方向は、第一シートの外側領域を剥離する方向と交差する方向である。このように、本発明によれば、所望の接着シート形状に形成する第一切込みだけでなく、剥離方向に対して交差する方向を向いた第二切込みを複数箇所に形成することが可能になり、第二シート側にも接着剤層の一部が残る残着現象を防止することができる。
また、従来の接着シート製造装置に本発明の刃型を設置することにより、残着現象を防止できる。したがって、本発明によれば、接着シート製造装置を大幅に改造せずに済むので、設備コストおよび製造コストを大幅に上昇させることなく、接着シートの製造歩留まりを向上させることができる。
なお、本発明の接着シート製造装置において、第一切込刃および第二切込刃を、単一の切込形成装置に設け、同一工程内で、第一切込みおよび第二切込みを形成する態様としてもよいし、第一切込刃および第二切込刃をそれぞれ独立の切込形成装置に設け、別々の工程で、第一切込みおよび第二切込みを形成する態様としてもよい。
なお、本発明の接着シート製造方法では、第一切込みを形成する工程と、第二切込みを形成する工程とを同時に行う場合も、どちらか一方の工程を終えた後、他方の工程を行う場合も含む。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(積層体および接着シート)
積層体R1は、帯状の第一シートBSと、この第一シートBSの一方の面に設けられた接着剤層ADと、この接着剤層ADを介して第一シートBSに貼り合わされた帯状の第二シートRLとで構成される。第一シートBSおよび第二シートRLは、接着剤層ADを介して仮着されている。なお、本実施形態では、長尺状の積層体R1を用いる場合を例に挙げて説明するがこれに限定されず、例えば、長方形シート状の積層体R1を用いてもよい。
図1(A)には、積層体R1の断面図が示されている。図1(B)には、積層体R1に対して本実施形態に係る刃型もしくは接着シート製造装置によって第一切込みC1および第二切込みC2を形成した積層体R1の断面図が示されている。図1(C)には、第一切込みC1よりも外側領域の第一シートBSおよび接着剤層ADを不要シートS3として剥離して形成した後の第二シートRL付の接着シートS1の断面図が示されている。接着シートS1と、第二シートRLとが、貼り合わされた状態のものを積層体R2とする。接着剤層ADは、第二シートRLから剥がして使用される。
第一シートBSおよび第二シートRLの厚さ寸法は、特に限定されるものではなく、例えば、5μm以上300μm以下が好ましく、特に10μm以上200μm以下が好ましい。第一シートBSおよび第二シートRLの厚さ寸法を、5μm以上とすると、シートをハンドリングし易くなり、切込刃(ナーリング刃や抜き刃等)をシートに入れた際にシート全体が断裂することを防止し易くなる。また、第一シートBSおよび第二シートRLの厚さ寸法を、300μm以下とすると、原材料コストの増加や積層体R1をロールにした際の巻き難さを抑制することができ、後述する接着シート貼付装置および粘着シート貼付装置における剥離板(ピールプレート)で第一シートBSによる剥離不良などを防止することができる。
図2には、接着シート製造装置1の概略正面図が示されている。
接着シート製造装置1は、積層体R1を繰り出す繰出装置10と、この繰出装置10により繰り出された積層体R1に第一切込みC1および第二切込みC2を形成する切込形成装置20と、不要シートS3を剥離して巻き取る剥離巻取装置30と、接着シートS1を積層体R2として回収する回収装置40と、を備えている。
図3には、刃型21の平面図が示されている。なお、図3では、切込形成装置20の位置における積層体R1と刃型21との位置関係について、積層体R1を二点鎖線で表示することで表現している。そして、本実施形態では、図3中の矢印で示すように、積層体R1が繰り出される方向が、搬送方向となり、これとは反対方向が不要シートS3を剥離する剥離方向となる。
刃型21は、基板210と、この基板210に支持され、積層体R1の第一シートBS側から第一切込みC1を形成する第一切込刃211と、第二切込みC2を形成する第二切込刃212と、を備える。
そして、第一切込みC1の内側に円形の接着シートS1を形成するとともに、第一切込みC1の外側に帯状の不要シートS3を形成する。
また、複数の第二切込刃212は、第二切込みC2が積層体R1の幅方向端部よりも内側に積層体R1の幅方向に沿って複数箇所形成されるように、基板210の幅方向両端部よりも内側に、基板210の幅方向に沿って、複数箇所に設けられている。さらに、複数の第二切込刃212は、積層体R1の長手方向において複数の第一切込みC1同士の間に第二切込みC2が複数箇所形成されるように、基板210の長手方向に沿って複数段に分けて設けられている。なお、基板210の幅方向は、積層体R1の幅方向に対応し、基板210の長手方向は、積層体R1の長手方向に対応する。
また、第二切込刃212は、互いに異なる方向に延びる複数の刃で構成され、互いの刃が連続して一体に形成されていることが好ましい。本実施形態で略コ字状の第二切込刃212も、刃212A,212B,212Cが連続して一体に形成されている。この場合、刃212Aおよび刃212Cの延びる方向と、不要シートS3の剥離方向とが成す角度は、上述のθAに相当する角度となる。また、刃212Bの延びる方向と、不要シートS3の剥離方向とが成す角度は、図3中の拡大部分に示すθBで表され、角度θBは、90度を超え180度未満が好ましく、110度以上160度以下がさらに好ましい。
第一切込刃211、および第二切込刃212には、積層体R1の接着剤層ADを構成する接着剤が付着しないように、フッ素樹脂コート等の難付着処理を施しておくことが好ましい。
不要シートS3が剥離された後の積層体は、図1(C),図2に示すように、第二シートRL上に接着シートS1が配置された状態となり、積層体R2として、回収装置40へと繰り出される。
次に、本実施形態に係る接着シート製造装置1を用いて、接着シートS1を製造する製造方法、および不要シートS3を剥離する剥離方法を説明する。
まず、図2に示すように、積層体R1を支持ローラ12にロール状に巻回し、積層体R1を引き出して、順次、駆動ローラ14とピンチローラ15との間、刃型21とプラテン23との間、並びに剥離ローラ31とピンチローラ32との間を通過させる。そして、第一シートBSを第二シートRLから剥離し、第一シートBSのリード端を巻取ローラ33に固定する。一方、第一シートBSが剥離された第二シートRLを駆動ローラ42とピンチローラ43との間に通し、第二シートRLのリード端を回収ローラ45に固定する。
次に、この状態で、回動モータ11,13,34,41,44を同期して駆動し、支持ローラ12、駆動ローラ14、巻取ローラ33、駆動ローラ42、回収ローラ45を回転させ、積層体R1を繰り出す。接着シート製造装置1は、積層体R1を所定量、繰出装置10から繰り出した後、回動モータ11,13,34,41,44の駆動を停止して積層体R1の繰り出しを停止させる間欠動作を行う。
切込形成装置20は、積層体R1の繰り出しが停止した後、直動モータ22を作動して刃型21を下降させる。刃型21の下降により、第一切込刃211、および第二切込刃212が第一シートBS側に押し当てられ、第一シートBSおよび接着剤層ADに、閉領域状の第一切込みC1、および第二切込みC2が形成される。
図4には、切込形成装置20で第一切込みC1、および第二切込みC2を形成した積層体R1の平面図が示されている。第一シートBSの第一切込みC1よりも内側領域が接着シートS1とされ、当該第一切込みC1よりも外側領域が不要シートS3とされる。不要シートS3部分において、複数の第二切込みC2のいずれもが、図4中に示す剥離方向に対して交差する方向に沿って形成されている。なお、積層体R1が長尺状であり、その長手方向に沿って繰り出されて搬送され、剥離方向が繰り出し方向若しくは搬送方向に沿っている場合には、第二切込刃212にて、その繰り出し方向若しくは搬送方向と交差する方向に沿って第二切込みC2を形成してもよい。また、積層体R1が枚葉紙状である場合も、長尺状の場合と同様に第二切込みC2を形成してもよい。
このように、本実施形態の接着シート製造方法では、刃型21に第一切込刃211、および第二切込刃212が単一の基板210に支持されているため、一回の刃型21の下降動作により、第一切込みC1と、第二切込みC2と、が同一の工程内で形成される。
なお、図4中においては、切込みC1,C2を比較的太い線で表示してあるが、これは説明のためのものであり、本発明において形成する切込みは、このような太線状の切込みに限定されず、細線状の切込みであってもよい。
第一切込みC1、および第二切込みC2を形成した後、直動モータ22を作動して刃型21を上昇させ、第一切込刃211、および第二切込刃212を第一シートBSから引き抜く。その後、回動モータ11,13,34,41,44を同期して駆動し、積層体R1をさらに所定量繰り出す。
切込み形成工程の後、積層体R1を剥離巻取装置30まで繰り出し、剥離ローラ31にて第二シートRLから不要シートS3を剥離する。この剥離工程では、複数の第二切込みC2が形成された不要シートS3を、第二切込みC2の方向と交差する方向に沿って剥離する。そして、剥離した不要シートS3を剥離ローラ31で案内して巻取ローラ33にて巻き取る。図5に、第二シートRLから不要シートS3を剥離する状態を示す斜視図を示す。なお、図5においては、剥離された不要シートS3部分の第二切込みC2の図示を省略してある。
剥離工程の後、積層体R2を回収装置40まで繰り出し、駆動ローラ42とピンチローラ43との間を通過させて回収ローラ45に巻取体として回収する。
第一実施形態の刃型21、接着シート製造装置1、剥離方法および接着シート製造方法によれば、次のような効果を奏する。
このような刃212A,212B,212Cで構成される第二切込刃212によって、残着現象を防止する効果が向上する理由としては、次のような機構が考えられる。例えば、積層体R1の第一シートBS側から第二切込刃212を入れ込んだときに、第二切込みC2の形成とともに、当該囲まれた領域内の第一シートBSおよび接着剤層ADが当該領域内で押し寄せられて凝集力が高まると考えられる。その結果、不要シートS3が、第二シートRLから浮いて剥離しやすくなったり、接着剤層ADの第一シートBSに対する密着力が向上したりする等の理由から、残着現象が発生し難くなると考えられる。なお、本発明は、ここで説明した機構によるものに限定されず、上述のような第二切込刃の形状を有する刃型および接着シート製造装置、並びに第二切込みC2の形状を形成する剥離方法および接着シート製造方法であれば本発明の範囲に含まれる。
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
図6は、本発明の第二実施形態に係る接着シート製造装置2の概略正面図が示されている。
第二実施形態の接着シート製造装置2では、第一実施形態の接着シート製造装置1と比べて、切込形成装置の形状において相違する。
なお、以降の説明に当たり、第一実施形態と同一の構成については同符号を付し、その説明を簡略または省略する。
刃型21Aは、マグネットシリンダ26から取り外した際には、平面状に展開可能である。そして、刃型21Aを平面状に展開すると、第一実施形態の刃型21Aと同様の形状の切込刃211,212が設けられている。
本実施形態の切込形成装置20Aでは、刃型21Aと、プラテンローラ23Aとの間に積層体R1が通過するときに、回動モータ24の作動によって回転する刃型21Aにより第一シートBSに切込みC1,C2が形成される。
接着シート製造装置2は、繰出装置10からの積層体R1の繰り出しと、切込形成装置20Aによる切込みC1,C2の形成と、剥離巻取装置30による不要シートS3の剥離および巻取と、回収装置40による積層体R2の回収とを連続的に行うことができる。
第二実施形態の刃型21A、接着シート製造装置2および接着シート製造方法によれば、上記第一実施形態の(1)および(2)の効果の他に、次のような効果を奏する。
次に、本発明の第三実施形態を説明する。
第三実施形態では、半導体ウエハを加工して半導体チップを製造する工程で利用されるウエハ加工用テープ、および当該ウエハ加工用テープを貼り付ける接着シート貼付装置を例に挙げて説明する。本実施形態のウエハ加工用テープは、本発明の接着シートに相当する。
なお、以降の説明に当たり、第一実施形態および第二実施形態と同一の構成については同符号を付し、その説明を簡略または省略する場合がある。
図7には、リングフレームRF、および半導体ウエハWが示され、半導体ウエハWには、当該半導体ウエハWの一方の面の略全体に亘ってウエハ加工用テープである接着剤層ADが接着されている。また、粘着シートであるダイシングテープ50が、半導体ウエハWを覆い、リングフレームRFに亘って貼付されている。
図8(B)には、図8(A)のB−B’線における矢視方向断面図(ダイシングテープ50の厚さ方向断面図)が示されている。
ダイシングテープ50は、基材シート51と、この基材シート51の一方の面に積層された粘着剤層52とで構成される。基材シート51および粘着剤層52は、リングフレームRFの内径よりも大きく、外径よりも小さい径寸法の円形ラベル状に形成されており、剥離シート53の一方の面に、所定寸法離間して複数個、仮着されている。このような円形ラベル状に形成する際には、上記実施形態と同様の刃型で切込みを形成してもよいし、通常の刃型で切込みを形成してもよい。
基材シート51としては、例えば、上記実施形態の説明で例示した第一シートBSに適用可能な材質と同様の材質のシートを使用できる。なお、後述するように、粘着剤層52として、放射線硬化性の材料を使用する場合には、基材シート51としては、放射線透過性を有する材質のシートを使用することが好ましい。
基材シート51の厚さ寸法としては、10μm以上300μm以下が好ましく、20μm以上250μm以下がより好ましい。基材シート51の厚さ寸法を、10μm以上とすると、ダイシング適性に優れ(ダイシングの際に破断する可能性を低下させる)ので好ましく、300μm以下とすると、原材料コストの増加やダイシングテープ50をロールにした際の巻き難さを抑制できるので好ましい。
剥離シート53としては、例えば、上記実施形態の説明で例示した第二シートRLに適用可能な材質と同様の材質のシートを使用できる。
剥離シート53の厚さ寸法としては、5μm以上300μm以下が好ましく、10μm以上200μm以下がより好ましい。剥離シート53の厚さ寸法を、5μm以上とすると、ハンドリングし易くなるので好ましく、300μm以下とすると、原材料コストの増加やダイシングテープ50をロールにした際の巻き難さを抑制できるので好ましい。
粘着剤層52の厚さ寸法としては、1μm以上200μm以下が好ましく、2μm以上60μm以下がより好ましい。粘着剤層52の厚さ寸法を、1μm以上とすると、粘着物性が発現し易くなるため好ましく、200μm以下とすると、端部からの染み出しや、ダイシング工程でチップ欠け等を抑制できる。
図9には、半導体ウエハWに接着シートを貼付する接着シート貼付装置3を示す概略図が示されている。
図10には、接着剤層ADを有する半導体ウエハW、およびリングフレームRFにダイシングテープ50を貼付する粘着シート貼付装置4を示す概略図が示されている。
粘着シート貼付装置4は、図10に示すように、ダイシングテープ50から剥離シート53を剥離する第二剥離手段としての第二剥離板110と、粘着剤層52および基材シート51を半導体ウエハWおよびリングフレームRFに押圧して貼付する第二押圧手段120と、を備える。
第一剥離板80は、当該第一剥離板80の先端側(シート繰り出しの下流側)にて不要シートS3を折り返させ、巻取ローラ33にて巻き取らせる。
本実施形態では、この移動手段100は、図9に示す他に、図10に示すように、粘着シート貼付装置4のダイシングテープ50を貼り付ける工程を実施するエリアまで半導体ウエハWを搬送可能に形成されている。
第二押圧手段120は、ダイシングテープ50を基材シート51側から半導体ウエハWに向かって押圧し、粘着剤層52をリングフレームRFおよび半導体ウエハWの接着剤層ADが貼付された面に貼付する押圧ローラ121と、押圧ローラ121を回転可能に支持する支持部122と、この支持部122に固定された出力軸123と、出力軸123を介して押圧ローラ121を図中上下方向に移動させる駆動機器としての直動モータ124とを備えている。また、第二押圧手段120は、半導体ウエハWおよびリングフレームRFの上面に沿って押圧しながら図10中の左右方向に移動可能である。
次に、本実施形態に係る接着シート(接着剤層AD)の貼付方法および粘着シート(ダイシングテープ50)の貼付方法について説明する。
まず、第一実施形態の説明と同様に、繰出装置10によって繰り出された積層体R1の第一シートBS側から、切込形成装置20Aにて、図11(A)に示すような第一切込みC1および第二切込みC2を形成する(切込み形成工程)。なお、本実施形態での第一切込みC1は、半導体ウエハWの一方の面の略全体に亘って接着する大きさの接着剤層ADとなるような径寸法で形成する。
次に、剥離用テープ供給装置70から供給された剥離用テープPSを第一シートBS側に貼り合わせて、図12に示すように、不要シートS3と、第一切込みC1の内側領域の第一シートBSとを連結する(剥離用テープ貼合工程)。
次に、第一剥離板80にて、不要シートS3および第一切込みC1の内側領域の第一シートBSを同時に剥離して、巻き取り(第一次剥離工程)、図11(B)に示す積層体R3が形成される。図12に示すように、不要シートS3と、第一切込みC1の内側領域の第一シートBSとが一緒になって剥離される。
その後、テーブル101上の半導体ウエハWの外周側に、リングフレームRFを配置させ、吸着保持し、粘着シート貼付装置4へと搬送する。
そして、テーブル101が所定の位置に達したことが図示しないセンサに検出されると、ロール状のダイシングテープ50が上述の制御手段によってテーブル101の搬送に同期させて繰り出され、第二剥離板110にて剥離シート53が所定量剥離されて粘着剤層52が露出される。さらに、テーブル101が貼付位置まで搬送されると、上述の制御手段によってダイシングテープ50がさらに繰り出されて、押圧ローラ121がダイシングテープ50の粘着剤層52を半導体ウエハWおよびリングフレームRFに押圧して貼付する(第二次貼付工程)。なお、第二次貼付工程の際、上述の制御手段は、操作手段による設定に基づいて、ダイシングテープ50の繰出速度、押圧ローラ121の昇降量、押圧ローラ121の左右方向移動量、およびテーブル101の移動速度等を制御する。
このようにして、粘着剤層52は、図7に示すような状態で貼付され、ダイシングテープ50が半導体ウエハWおよびリングフレームRFに貼付される。
第三実施形態のウエハ加工用テープの貼付方法によれば、上記第一実施形態の(1)および(2)の効果の他に、次のような効果を奏する。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
図13(A)には、第一切込刃211、第二切込刃212および第三切込刃213を備えた刃型が示され、第二切込刃212は、不要シートの剥離方向に対して交差した線状に形成されている。第三切込刃213の刃は、基板210の幅方向両端側(積層体R1に対しては、積層体R1の幅方向両端側)において、積層体R1の搬送方向に沿う方向に延びている。また、第三切込刃213は、図3に示すように、基板210の幅方向両端において、内側および外側に交互に設けられている。この第三切込刃213によって第三切込みを形成することで、繰出装置10による積層体R1の繰り出し安定性、および回収装置40による巻き取りの安定性が向上する。
さらに、図13や図14に図示された形状に限定されず、例えば、第二切込刃が直線上に延びるものに限定されず、折れ線状、曲線状、波線状等であってもよい。
本実施例では、第二実施形態で説明したマグネットシリンダ26に装着した刃型21A等を用いて積層体シートに切込みを形成し、不要シートを剥離した後の接着剤層の第二シートへの残留の有無を確認することで、残着現象の防止効果を判定した。以下に詳細を説明する。
実施例1では、第二実施形態で説明した刃型21Aを用いて積層体に切込みを形成した。刃型21Aにおける複数の第二切込刃212の角度θA(図3参照)は45度であり、角度θB(図3参照)は135度であり、マグネットシリンダ26の刃型21Aが取り付けられた面から、第一切込刃211および第二切込刃212の刃先までの寸法は、445μmであり、刃先の角度は40度である。第一切込刃211および第二切込刃212の材質は、SKHとした。
積層体シートとしては、第二シートとしての重剥離シート(リンテック社製、製品名「SP−PET381031(LK)」)と、第一シートとしての軽剥離シート(リンテック社製、製品名「SP−PET381250」)と、両シート間に接着剤層(リンテック社製、製品名「LE4424H」)と、を設けた構成のものを用いた。接着剤層の厚さ寸法は、25μmとし、重剥離シートの厚さ寸法は、38μmとし、軽剥離シートの厚さ寸法は、38μmとした。
このような積層体シートに対し、刃型21Aで軽剥離シート側から第一切込み、および第二切込みを形成し、接着剤層から重剥離シートに入る切込みの深さは13μmであった。
切込みを形成後、第一切込みよりも外側領域を不要シートとして剥離した。その際、剥離方向と第二切込みの方向とは、互いに交差する方向とした。試験数は、積層体シート10枚とした。
試験の結果、不要シート部の接着剤層は、重剥離シート(剥離シート)側に残留せず、残着現象が発生しなかったことが確認された。その他、実施例1では、第一切込みの内側領域も不要シートとして剥離される不具合(刃抜けという場合がある。)や、シワも発生しなかった。
比較例1では、実施例1で用いた刃型21Aが有する切込刃の内、第二切込刃が無い刃型、すなわち、第一切込刃のみを有する刃型を用いて、実施例1と同じ構成の積層体に、軽剥離シート側から第一切込みを形成し、不要シートを剥離した。試験数は、積層体シート10枚とした。
試験の結果、不要シート部の接着剤層は、重剥離シート(第二シート)側にも残留し、残着現象が発生したことが確認された。その他、比較例1では、刃抜けが8枚で発生し、シワも2枚で発生した。
比較例2では、実施例1で用いた刃型21Aが有する第一切込刃と、図13(A)に示した第三切込刃と、を有する刃型を用いて、実施例1と同じ構成の積層体に、軽剥離シート側から第一切込みを形成し、不要シートを剥離した。試験数は、積層体シート10枚とした。
その結果、不要シート部の接着剤層は、重剥離シート(第二シート)側にも残留し、残着現象が発生したことが確認された。その他、比較例2では、刃抜けが5枚で発生し、シワも4枚で発生した。
21 …刃型
21A…刃型
210…基板
211…第一切込刃
212…第二切込刃
AD …接着剤層
BS …第一シート
C1 …第一切込
C2 …第二切込
R1 …積層体
RL …第二シート
S1 …接着シート
Claims (4)
- 第一シートの一方の面に接着剤層を有し、前記接着剤層を介して第二シートが貼り合わされてなる積層体の少なくとも前記第一シート及び前記接着剤層に対して、閉領域状の第一切込みを形成し、前記第一切込みよりも外側領域の不要シートを剥離し、前記第一切込みよりも内側領域を接着シートとするための刃型であって、
基板と、
前記基板に支持され、前記積層体の前記第一シート側から前記第一切込みを形成する閉領域状の第一切込刃と、
前記第一切込刃の外側領域において前記基板に支持され、前記不要シートに当該不要シートの剥離方向と傾斜する方向に延びる第二切込みを一つの前記第一切込みに対して前記不要シートの剥離方向と交差する方向に複数形成する第二切込刃と、を備えた
ことを特徴とする刃型。 - 第一シートの一方の面に接着剤層を有し、前記接着剤層を介して第二シートが貼り合わされてなる積層体の少なくとも前記第一シート及び前記接着剤層に対して、閉領域状の第一切込みを形成し、前記第一切込みよりも外側領域の不要シートを剥離し、前記第一切込みよりも内側領域を接着シートとする接着シート製造装置であって、
前記積層体の前記第一シート側から前記第一切込みを形成する閉領域状の第一切込刃と、
前記不要シートに当該不要シートの剥離方向と傾斜する方向に延びる第二切込みを一つの前記第一切込みに対して前記不要シートの剥離方向と交差する方向に複数形成する第二切込刃と、
複数の前記第二切込みが形成された前記不要シートを剥離する剥離装置と、を備えた
ことを特徴とする接着シート製造装置。 - 第一シートの一方の面に接着剤層を有し、前記接着剤層を介して第二シートが貼り合わされてなる積層体の前記第一シート側から少なくとも前記第一シート及び前記接着剤層に対して閉領域状の第一切込みを形成する工程と、
前記第一切込みよりも外側領域の不要シートに対して一つの前記第一切込みにつき複数の第二切込みを形成する工程と、
一つの前記第一切込みにつき複数の前記第二切込みが形成された前記不要シートを、複数の前記第二切込みの延びる方向と傾斜する方向に沿って剥離する剥離工程と、を有する
ことを特徴とする剥離方法。 - 第一シートの一方の面に接着剤層を有し、前記接着剤層を介して第二シートが貼り合わされてなる積層体の少なくとも前記第一シート及び前記接着剤層に対して、閉領域状の第一切込みを形成し、前記第一切込みよりも外側領域の不要シートを剥離し、前記第一切込みよりも内側領域を接着シートとして形成する接着シート製造方法であって、
前記積層体の前記第一シート側から前記第一切込みを形成する工程と、
前記不要シートに当該不要シートの剥離方向と傾斜する方向に延びる第二切込みを一つの前記第一切込みに対して前記不要シートの剥離方向と交差する方向に複数形成する工程と、
複数の前記第二切込みが形成された前記不要シートを剥離する剥離工程と、を有する
ことを特徴とする接着シート製造方法。
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