JP6004991B2 - 電動機駆動装置 - Google Patents
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(1)脱調を予知する
(2)脱調したことを検出する
(3)脱調しないように通電を切り替える
(4)脱調を防ぎつつ回転速度を高める
図1は、この発明の実施の形態1に係る電動機駆動装置3の構成例を示すブロック図である。この電動機駆動装置3は、3相(U,V,W相)の永久磁石同期型の電動機1を駆動して、その様子を監視するものであり、脱調予知・検出部4と、電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5と、FET(Field Effect Transistor)ゲート駆動部6と、FETブリッジ7とを備えている。電動機駆動装置3の脱調予知・検出部4、電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5、およびFETゲート駆動部6は、マイクロコンピュータ等の演算処理回路から構成されている。
また、機械角はdegree[°]を使用し、電気角および図中の角度表記はradian[rad]を使用している。ただし、「120°通電」など、一般的な用語はそのままにした。
d−q軸は、回転子101に固定された座標であり、d軸は回転子101の磁束の方向、つまり回転子101を構成する永久磁石のS極からN極に向かう方向である。q軸は、d軸から反時計方向に90°回転させた方向である。d軸とα軸の間の角度を回転子角度θとし、反時計方向を正にする。
このようにd−q軸をとり、q軸方向に電機子102の磁束を発生させる電流をq軸電流、d軸方向に電機子102の磁束を発生させる電流をd軸電流と定義する。同様に、q軸電圧、d軸電圧を定義する。
入力ポート510,511から入力を行う脱調予知フラグおよび脱調検出フラグについては後述する。
FETゲート駆動部6は、電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5から通電パターンが入力されると、通電パターンで規定される電圧ベクトルV1〜V6に応じてマルチポートスイッチ601を切り替えてFETブリッジ7のFET701〜FET706を制御し、図2に示したように電動機1への通電を切り替えてゆく。なお、図示例では6個のMOS−FETを使用してFETブリッジ7を構成しているが、IGBT等の他のスイッチング素子を使用しても構わない。
回転子101は、回転子101の永久磁石が作る界磁磁束と電機子102の発生する磁束が一致する方向にトルクを受ける。このトルクにより回転子101は回転する。先ほど定義したq軸電流は、回転子101に生じる正方向トルクの大きさに比例する。
なお、以下では、FETブリッジ7を用いて矩形波120°通電方式で電動機1を駆動する場合を例にして説明を進めるが、通電方式は120°通電に限定されるものではない。例えば図12に、180°通電方式における電機子102の磁束ベクトルベクトルの図を示し、図13に同じく180°通電方式の通電パターンを示す。また、電機子102の磁束ベクトルベクトルの図は省略するが、図14に120°通電方式と180°通電方式を組み合わせた150°通電方式の通電パターンを示す。電動機駆動装置3は、これらの電圧ベクトルに基づいて電動機1を駆動する場合でも、静止座標角ψの違いを考慮することで120°通電方式と同じ扱いができる。
回転検知器2は、図3に示すように、電圧ベクトルV5と同じ角度(静止座標角ψ=7π/6)に設置され、回転子101のS極が近づくと1を出力し、N極が近づくと0を出力する。脱調予知・検出部4において、入力ポート401から回転検知器2の回転パルス信号の入力を行う。電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5がFETゲート駆動部6へ電圧ベクトルV1〜V6の番号を出力する際、脱調予知・検出部4にもその番号を出力し、入力ポート402から入力する。
このようにすると、通電を切り替えるタイミングで回転検知器2の出力をラッチすればよいので、脱調予知・検出のために新たなタイミングで動作させる処理が不要になる。
まず、図16において脱調していない領域のラッチパルス信号に注目してみる。電圧ベクトルV1,V4では、ラッチパルス信号#1,#4が1または0で不定である。電圧ベクトルV2,V3では、ラッチパルス信号#2,#3が0に確定している。電圧ベクトルV5,V6では、ラッチパルス信号#5,#6が1に確定している。
この図は、各電圧ベクトルV1〜V6の印加開始時における回転検知器2の出力値であるから、従って、電圧ベクトルV1〜V6と回転パルス信号との時間関係は図17のようになる。電圧ベクトルV1〜V4の切り替え速度を速くしてゆくと(通電周波数を上げてゆくと)、回転子101が通電角に追従できなくなることで回転検知器2の出力は遅れてゆくと考えられ、図17の矢印のようにパルスが右側にずれて行くはずである。回転子101が通電角に追従できなくなった状態を示したのが、図18である。この状態では、電圧ベクトルV1,V2,V6で回転パルス信号が1になり、電圧ベクトルV3,V4,V5で0になる。
このように、脱調予知・検出部4の脱調判定部440が、電動機1に通電する電圧ベクトルと回転検知器2の出力を比較することで、脱調直前の位相差を検出することができ、脱調を予知できる。
ここでは、電圧ベクトルV2を電動機1に通電したときの電圧位相角δ2について考察する。図19のように回転検知器2を配置すると、回転検知器2の回転パルス信号が1から0に変化したときに、界磁磁束の方向は−2π/6になる。電圧ベクトルV2の方向は、図6の表よりπ/6である。このことから電圧ベクトルV2の印加時に、回転検知器2の回転パルス信号が1であれば、δ2>π/2である。一方、回転パルス信号が0であればδ2<π/2である。本実施の形態1では、回転検知器2の出力が切り替わる回転子角度θから脱調を判定するので、図19の配置例の場合にはπ/2<δ2<2π/3の範囲で脱調を予知できる。ただし、回転検知器2の回転パルス信号が変化する回転子角度θを、電圧位相角δ2がπ/2となる角度に限定する必要はない。しかし、δ2<0になるような角度では回転子101にトルクが発生しない。また、δ2>πでは完全に脱調してしまっている。従って、回転検知器2の出力変化が、0<δ2<πの範囲で切り替わるように構成するとよい。
図21では、脱調判定部440が、電圧ベクトルV2の通電開始時に回転パルス信号をラッチしたラッチパルス信号#2をそのまま脱調予知フラグとして出力しており、ラッチパルス信号#2が1なら脱調予知、0なら正常である。この電圧ベクトルV2は、電圧ベクトルV5とは逆方向に通電を行う電圧ベクトルであり、回転パルス信号も異なる値になっている。
脱調して回転子101が完全に停止し、回転検知器2の回転パルス信号が常に1の場合、図20の構成では脱調を予知できない。また、回転パルス信号が常に0の場合、図21の構成では脱調を予知できない。
図23の脱調判定部440では、ラッチパルス信号#2,#3を論理否定部444,445でそれぞれ反転し、否定論理積を否定論理積部446で演算して、1なら脱調予知、0なら正常の脱調予知フラグを出力する。
図24の脱調判定部440では、ラッチパルス信号#5,#6の否定論理積を否定論理積部447で演算する。
これに対し、例えば電圧ベクトルV5,V6について脱調予知の否定論理積をとると(図24)、脱調予知の範囲は5π/6<δ<13π/6に拡大する。そのため、より安定して電動機1を起動できる。
これにより、回転子101の1回転中に脱調予知の判定を4回行うので、脱調の発生を早い段階で予知することができ、より確実に脱調を防止できる。さらに、脱調防止のために回転子101の回転数が制御される頻度が増えるので、回転数の変動が少なくなる。
図29は、脱調予知・検出部4の脱調検出のための構成を示すブロック図である。また、図30に、電動機駆動装置3の実行結果をシミュレーションしたグラフを示す。
図29に示す脱調予知・検出部4において、入力ポート450から回転検知器2の回転パルス信号の入力を行い(例えば、図30(d)に示す波形)、入力ポート451から電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5の通電角の入力を行う(例えば、図30(e)に示す波形)。パルス検出部452は、回転パルス信号の変化を検出して、脱調判定部454に通知する。通電周期検出部453は、通電角の1周期を検出して、脱調判定部454に通知する。脱調判定部454は、通電角の1周期中に回転パルス信号が変化しない場合、脱調している状態と判定して、脱調検出の脱調検出フラグ(脱調検出なら1、正常なら0)を出力する。
起動運転を開始して通電周波数を上げている時刻T2において、電動機1が脱調し、回転子角度θの測定値が計算値に追従しなくなっている。この時刻T2のすぐ後に、脱調判定部454が通電角1周期中に回転パルス信号が変化しないことを検出して、脱調検出フラグ=1を出力している。
なお、図29の構成例では、通電角の1周期を検出する構成にしたが、これに限定されるものではなく、電圧ベクトルV1〜V6の1回転を検出して、その1回転中に回転パルス信号が変化しなければ脱調と判定する構成にしてもよい。
脱調予知・検出部4の脱調予知フラグ(例えば、図32(c)に示す波形)は、電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5の入力ポート510に入力される。駆動速度制御部501は、脱調予知フラグの値によって加速値501a(例えば、50rad/sec2)と減速値(例えば、−50rad/sec2)を切り替える切り替え部501cと、切り替え部501cで切り替えた値を積算して駆動速度を求める積分部501dとを有する。これにより、駆動速度制御部501は、脱調予知フラグが0である間は駆動速度を50rad/sec2で加速し、脱調を予知して1になると50rad/sec2で減速する。
脱調予知・検出部4の脱調検出フラグ(例えば、図34(d)に示す波形)は、電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5の入力ポート511に入力される。駆動速度制御部501の積分部501dは、脱調検出フラグが0から1になると、駆動速度を初期化して、起動運転の開始時と同じ初期速度501eにリセットすることで、電動機1を再起動して脱調から回復する。
なお、図34(b)のグラフでは、脱調から復帰した後も回転子角度θの測定値と計算値が一致していないが、これは駆動速度リセットの際に回転子角度θの計算値をリセットしていないことにより積算の回転数がずれて計算されているためであり、1回転中の回転子101の角度は通電角に追従している。
例えば、脱調を予知した場合に、脱調が予想される電圧ベクトルを発生しないように通電の変更を停止してもよい。この場合の構成例を図35に示す。
図35に示す電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5は、新たに、通電角計算部502(図8に示す)で計算した通電角の入力を行う入力ポート520と、回転検知器2の回転パルス信号の入力を行う入力ポート521と、電圧位相角判定部522と、通電角制限部523とを備える。
電圧位相角判定部522では、フリップフロップ522dまたは522iのいずれかがセットされると、論理和部522jの出力が1になるので、通電角制限部523の切り替え部523bが切り替わり駆動速度が駆動速度制御部501の出力から「0」523aになる。図36の時刻t1,t3では、入力ポート520の通電角が、角度判定部522aに設定された閾値である5π/36を超えるときに、入力ポート521の回転パルス信号が0であるので、フリップフロップ522dはセットされることがない。時刻t2では、入力ポート520の通電角が、角度判定部522fに設定された閾値23π/36を超えるときに、入力ポート521の回転パルス信号が1であるので、フリップフロップ522iはセットされることがない。ところが、時刻t4では、入力ポート520の通電角が、角度判定部522fの閾値23π/36を超えるときに、入力ポート521の回転パルス信号が0である。このときにフリップフロップ522iはセットされ、電圧位相角判定部522の出力は1になる。すると、通電角制限部523の出力は0に切り替わり、駆動速度は0になる。入力ポート520の通電角が1になると、フリップフロップ522iはリセットされ、駆動速度は再び駆動速度制御部501の出力に戻る。
図38に示す電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5の駆動速度制御部501は、新たに、加減速制御部501gと、減速部501hとを備える。
なお、この説明では駆動速度のフィードバック制御として積分制御を行う例を示したが、これに限定されるものではなく、後述する図52のようにPID制御などを用いて加減速を連続的に行う場合は比例、積分、微分などのゲインを回転数に対してスケジューリングすればよい。
本実施の形態2に係る電動機駆動装置3の構成は、図面上は上記実施の形態1の電動機駆動装置3の構成と同じであるため、図1〜図39を援用する。ただし、本実施の形態2では、回転検知器2として、検出体(ターゲット)の位置を検出する近接スイッチ、フォトインタラプタなどを使用する。
他方、図40(b)では、検出体204が検出体202よりΔθだけずれた位置に取り付けられている。
ただし、検出体202と比べて、検出体204の取り付け角度をΔθだけずらしているため、脱調予知・検出部4が脱調を予知する電圧位相角δをΔθだけ微調整できる。例えば脱調の発生をより早い段階で予知する側に検出体204をずらして取り付けることにより、早い段階で脱調を予知して回転子101の回転数制御等に反映でき、より確実に脱調を防止できる。
一方、図45(b)に示すように、近接スイッチ205の回転パルス信号は0,1の比率が異なるので、ラッチパルス信号#2と反転したラッチパルス信号#5は0,1の切り替わる角度も異なる。従って、脱調の程度を、脱調予知、脱調検出の2段階で判定できる。
本実施の形態3に係る電動機駆動装置3および電動機1の構成は、図面上は上記実施の形態1,2の電動機駆動装置3および電動機1と同じであるため、図1〜図47を援用する。
電動機駆動装置3において、回転検知器2の回転パルス信号が0から1に変化するときと、1から0に変化するときには、α軸からの回転子101の角度(回転子角度θ)が分かる。そのときに通電している電圧ベクトルのα軸からの角度(静止座標角ψ)を知ると、図6で定義した電圧位相角δが分かる。120°通電方式の場合、図6のように静止座標角ψはπ/3毎の離散値になる。電圧ベクトルV1〜V6は、電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5が時間管理しながらFETゲート駆動部6へ発しているので、これらの電圧ベクトルV1〜V6の間の静止座標角ψを補間することは容易である。
図49に示すように、脱調と判定する電圧位相角δに対する静止座標角ψ10の最小値をψ10min、最大値をψ10maxとする。同様に、ψ01min,ψ01maxを設定する。ψ10とψ01はπ離れているので、図49のように、静止座標角ψ10の脱調予知範囲は、ψ10min<ψ10maxで連続していても、静止座標角ψ01の脱調予知範囲は、ψ01min>ψ01maxで2つの範囲に分離されることがある。
ただし、範囲の設定によっては、逆にψ10が分離されたり、ψ10,ψ01ともに分離されたり、ψ10,ψ01ともに分離されなかったりするケースも考えられる。
いずれのケースにおいても、脱調予知・検出部4は、正常と考えられる範囲で、回転検知器2の出力変化がないことを確認できた段階で、脱調予知を判定すればよい。
以下、電圧位相角δを検出して脱調を判定する具体的な方法を説明する。脱調予知・検出部4において、入力ポート470から回転検知器2の回転パルス信号の入力を行い(例えば、図51(b)に示す波形)、入力ポート471から電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5の通電角の入力を行う(例えば、図51(a)に示す波形)。パルス検出部472は、回転パルス信号の立ち上がりと立ち下がりを検出して、通電角ラッチ部473に通知する。通電角ラッチ部473は、回転パルス信号の立ち下がりと立ち上がりのタイミングで通電角をラッチすることにより、回転子角度θと通電角の差を検出して、電圧位相角δとして出力する。
しかしながら、電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5が電動機1をフィードバック制御する場合、電圧位相角δの検出値は連続していることが望ましい。そこで、図50の電圧位相角制限部474において、通電角ラッチ部473の出力する電圧位相角δに対し、δ<−π/2の場合は2πを加算し、δ>3π/2の場合は2πを減算することで、最終的なδの範囲を−π/2〜3π/2に制限している。従って、電圧位相角制限部474の出力する電圧位相角δは、図51(c)に示す波形となり、0付近で不連続にならない。
脱調予知・検出部4の電圧位相角δは、電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5の入力ポート530に入力に入力され、脱調検出フラグは入力ポート511に入力される。駆動速度制御部501は電圧位相角δをPID制御して駆動速度を求めることとし、減算部501jで、目標値501i(例えば、π/2)と入力ポート530に入力される実際の電圧位相角δの差分を計算してエラー信号(例えば、図53(d)に示す波形)として出力し、PID制御部501kがエラー信号に基づいてPID制御を行い、駆動速度を演算する(例えば、図53(c)に示す波形)。
そこで、図52の構成例では、電圧位相角δが−π/4〜3π/4の範囲を超えると、PID制御をリセットする。具体的には、下限側の電圧位相角判定部501lでδ≦−π/4を判定し、上限側の電圧位相角判定部501mでδ≧3π/4を判定して、この上下限を超えると、論理和部501nがPID制御501kにリセット信号(1でリセット)を出力してリセットさせる。また、論理和部501nは、脱調検出フラグが1になったときもリセット信号を出力してリセットさせる。
図55に示す電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5の駆動速度制御部501は、新たに、切り替え部501oと、積分部501pと、乗算部501qとを備える。
本実施の形態4に係る電動機駆動装置3および電動機1の構成は、図面上は上記実施の形態1,2の電動機駆動装置3および電動機1と同じであるため、図1〜図47を援用する。
本実施の形態4では、電圧ベクトル生成・通電周波数制御部5による電動機1の制御方法の変形例をいくつか説明する。
駆動速度制御部501は、脱調予知・検出部4の脱調予知フラグの入力を行う入力ポート510と、脱調検出フラグの入力を行う入力ポート511に加え、回転検知器2の回転パルス信号から演算した回転子101の回転速度の入力を行う入力ポート540を備える。
初期値切り替えスイッチ501rを入力ポート540側に切り替えると、論理和部501sの出力するリセット信号が1になる間、積分部501dの出力が入力ポート540に入力する回転子101の回転速度にリセットされる。
このようにすると、脱調予知・検出時には、電動機1の駆動速度が検出した回転速度に再設定される。このようにして、回転を制御した結果、図58に示すように、脱調することなく加速していることが分かる。
通電角計算部502において、立ち下がり検出部502bが、入力ポート502aに入力する回転検知器2の回転パルス信号の1から0への変化を検出し、検出時に1を出力する。立ち下がり検出部502bの出力が1になると、立ち下がり位相調整スイッチ502dが立ち下がり位相502e(例えば、π/3)に切り替わり、通電角としてπ/3が出力される。
このように通電角を切り替えると、回転子101の角度と通電角の関係が、120°通電方式の駆動状態と同じになる。なお、回転パルス信号の立ち下がりおよび立ち上がり時以外は、通電角演算部502iが、前回の通電角と入力ポート502hに入力する駆動速度制御部501の駆動速度とから今回の通電角を求める。駆動速度制御部501では、上記実施の形態1等で説明したように、脱調予知時に駆動速度を減速し、正常時に駆動速度を加速している。
このように制御すると、脱調することなく回転子101の回転を増速できる。
Claims (19)
- 永久磁石の回転子と、複数相の巻線を有する電機子と、当該回転子の回転を検出して2値出力する回転検知器とを備えた電動機を駆動制御する電動機駆動装置であって、
前記回転子を回転駆動する駆動速度に基づいて連続的な通電角を計算し、当該通電角に応じて前記電機子に通電する電圧ベクトルを切り替える電圧ベクトル生成・通電周波数制御部と、
前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部で切り替える前記電圧ベクトルと前記回転検知器の2値出力とに基づいて、前記電機子に発生する磁束方向と前記回転子の界磁磁束方向との差である電圧位相角を検出し、脱調予知および脱調検出のいずれか一方、または両方を行う脱調予知・検出部とを備え、
前記脱調予知・検出部は、前記電機子に通電する前記電圧ベクトルを切り替えるときの前記回転検知器の出力値から脱調予知または脱調検出を行うことを特徴とする電動機駆動装置。 - 前記回転検知器は、第1の電圧ベクトルが前記電機子に通電されている状態において2値出力の切り替わりが前記電圧位相角0〜πの間で発生する構成であって、
前記脱調予知・検出部は、前記第1の電圧ベクトル通電時の前記回転検知器の出力値に基づいて脱調予知または脱調検出を行うことを特徴とする請求項1記載の電動機駆動装置。 - 前記脱調予知・検出部は、前記第1の電圧ベクトル通電時の前記回転検知器の出力値に基づいて脱調予知または脱調検出を行うと共に、前記第1の電圧ベクトルとは逆方向に通電を行う第2の電圧ベクトル通電時に前記回転検知器が出力する、前記第1の電圧ベクトル通電時の出力値とは異なる出力値に基づいて脱調予知または脱調検出を行うことを特徴とする請求項2記載の電動機駆動装置。
- 前記脱調予知・検出部は、前記第1の電圧ベクトル通電時の前記回転検知器の出力値に基づいて脱調予知または脱調検出を行うと共に、前記第1の電圧ベクトルに隣接する角度である第3の電圧ベクトル通電時の前記回転検知器の出力値に基づいて脱調予知または脱調検出を行うことを特徴とする請求項2記載の電動機駆動装置。
- 前記脱調予知・検出部は、前記第1の電圧ベクトル通電時の前記回転検知器の出力値に基づいて脱調予知または脱調検出を行うと共に、前記第1の電圧ベクトルとは異なる通電状態となる第4の電圧ベクトル通電時の前記回転検知器の出力値に基づいて脱調予知または脱調検出を行うことを特徴とする請求項2記載の電動機駆動装置。
- 前記回転検知器は、前記回転子と一体に回転する検出体と、当該検出体の接近を検出して2値出力する検知器とから構成され、
前記検出体は、前記永久磁石の磁極からずらして取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の電動機駆動装置。 - 前記回転検知器は、前記検出体が前記永久磁石の磁極と異なる大きさであって、前記検知器の出力する2値の長さの比率が異なることを特徴とする請求項6記載の電動機駆動装置。
- 前記脱調予知・検出部は、前記電圧ベクトルの代わりに前記通電角を用い、前記回転検知器の出力値が切り替わるときの前記通電角に基づいて前記電圧位相角を検出し、脱調予知および脱調検出のいずれか一方、または両方を行うことを特徴とする請求項1記載の電動機駆動装置。
- 前記脱調予知・検出部は、前記電圧ベクトルまたは前記通電角の1回転中に前記回転検知器の出力値が切り替わらなかった場合に脱調が発生したことを検出することを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の電動機駆動装置。
- 前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部は、前記脱調予知・検出部で脱調の発生を予知していない間は前記駆動速度を加速し、脱調の発生を予知している間は前記駆動速度を減速することを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の電動機駆動装置。
- 前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部は、前記脱調予知・検出部で脱調が発生したことを検出した場合に前記駆動速度を起動開始時の初期速度にリセットすることを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の電動機駆動装置。
- 前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部は、前記脱調予知・検出部で検出した前記電圧位相角をフィードバック制御することにより前記駆動速度を制御することを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の電動機駆動装置。
- 前記脱調予知・検出部は、検出した前記電圧位相角のとり得る範囲が前記電圧ベクトルまたは前記通電角の1回転中で不連続な値になる範囲である場合に、前記電圧位相角のとり得る範囲を当該1回転中で連続する値になる範囲に変換して前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部へ出力することを特徴とする請求項12記載の電動機駆動装置。
- 前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部は、前記脱調予知・検出部で脱調の発生を予知している間、前記電圧ベクトルまたは前記通電角の切り替えを行わないことを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の電動機駆動装置。
- 前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部は、現在の前記駆動速度に応じて、前記駆動速度の加速度または減速度を変更することを特徴とする請求項10記載の電動機駆動装置。
- 前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部は、現在の前記駆動速度に応じて、前記フィードバック制御のゲインを変更することを特徴とする請求項12記載の電動機駆動装置。
- 前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部は、前記脱調予知・検出部で脱調が発生したことを検出していない間は前記フィードバック制御のゲインを大きくし、脱調が発生したことを検出している間は前記フィードバック制御のゲインを小さくすることを特徴とする請求項12記載の電動機駆動装置。
- 前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部は、前記回転検知器の出力に基づいて前記回転子の回転速度を推定し、前記脱調予知・検出部で脱調が発生したことを検出した場合に前記駆動速度を当該回転速度に対応する値に設定することを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の電動機駆動装置。
- 前記電圧ベクトル生成・通電周波数制御部は、前記回転検知器の出力値が切り替わる都度、前記通電角を変更することを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の電動機駆動装置。
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