JP2011072168A - モータ制御装置、およびモータ制御方法 - Google Patents

モータ制御装置、およびモータ制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】正弦波駆動のモータの脱調を検出することを可能とするモータ制御装置を得ること。
【解決手段】モータ1のインダクタンス値および巻線抵抗値と相電圧とを用いて、逆起電力を無視した仮想電流を算出する仮想電流算出部10と、各相毎の仮想電流の正の領域および負の領域における特定の位相範囲として定められた交点検出区間において仮想電流と相電流との交点を検出し、交点検出区間において交点が検出されたか否かを示す交点検出結果を出力する交点検出部16と、交点検出結果に基づいて、モータの脱調を判定する脱調判定部17と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータ制御装置、およびモータ制御方法に関するものであり、特に、モータを安定かつ安全に正弦波駆動するモータ制御技術に関する。
従来、例えばファンモータなどでは、位置検出用素子(位置検出センサ)を用いてロータの位置検出を行うことでロータへの通電タイミングの基準を検出し、モータの駆動制御を行っている。この位置検出用素子は、温度によって特性が大きく変化し、高温環境で使用すると特性が劣化、あるいは素子が破壊される虞がある。したがって、高温高圧状態に置かれる圧縮機用モータ等では、位置検出用素子を設置することが不可能であるため、一般にセンサレスモータが用いられる。
このようなセンサレスモータでは、ロータの位置検出を行うため、非励磁区間においてステータの巻線に発生する誘起電圧のゼロクロス点を検出する120°通電制御を用いる。しかし、120°通電制御は、誘起電圧の検出が容易である反面、モータの駆動波形が矩形波であるために発生トルクが変動する、いわゆるトルクリップルが発生して騒音が大きくなる傾向があり、昨今の低騒音化への要望に対して不利である。
一方、トルクリップルの小さい正弦波駆動でモータを駆動する場合は、誘起電圧の検出期間として使用できる非励磁区間が存在しないため、ステータの巻線に発生する誘起電圧の検出ができない。高速演算の可能な演算器でモータ電流からロータの位置推定を行う方法もあるが、高速演算の可能な演算器は高価である。
下記特許文献1では、モータ駆動電圧位相を基準とした2個所の位相期間におけるモータ電流信号面積をそれぞれの位相期間で求め、2個所の位相期間におけるモータ電流信号面積の面積比を算出してこれを位相差情報とし、この位相差情報に基づいてモータ駆動電圧を制御することにより、モータを高効率で正弦波駆動する技術が開示されている。つまり、直接ロータの位置を検出するものではないが、位相差情報と、ロータとステータとの間の相対位置とがほぼ比例していることを利用して、位相差情報を所定の値に制御することにより、間接的にロータとステータとの間の相対位置を制御可能とし、演算負荷の低減を図りつつ、ロータへの通電タイミングを検出するものである。
特開2001−112287号公報
しかしながら、上記特許文献1を含め、従来の正弦波駆動におけるモータ制御技術では、ロータが停止している状態においても駆動波形が相電流波形となって戻ってくるため、モータへの通電に対してロータが追従出来ていない状態、いわゆる脱調状態を検出することができない、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、正弦波駆動のモータの脱調を検出することを可能とするモータ制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数相のステータ巻線およびロータを備えたモータの駆動制御を行うモータ制御装置であって、前記モータのインダクタンス値および巻線抵抗値と当該モータに与える駆動正弦波の周波数および相電圧とを用いて、前記ステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出する仮想電流算出部と、前記複数相の各ステータ巻線に流れる相電流を検出する電流検出部と、各相毎の前記仮想電流の正の領域および負の領域における特定の位相範囲として定められた交点検出区間において前記仮想電流と前記相電流との交点を検出し、前記交点検出区間において交点が検出されたか否かを示す交点検出結果を出力する交点検出部と、前記交点検出結果に基づいて、前記モータの脱調を判定する脱調判定部と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、モータのインダクタンス値および巻線抵抗値とモータに与える駆動正弦波の周波数および相電圧とを用いて、ステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出し、複数相の各ステータ巻線に流れる相電流を検出し、各相毎の仮想電流の正の領域および負の領域における特定の位相範囲として定められた交点検出区間において仮想電流と相電流との交点を検出し、交点検出区間において交点が検出されたか否かを示す交点検出結果に基づいて、モータの脱調を判定するようにしたので、モータの脱調を検出することができる、という効果を奏する。
図1は、実施例にかかるモータ制御装置の一構成例を示す図である。 図2は、実施例にかかるモータ制御装置におけるモータ駆動制御の流れを示すフローチャートである。 図3は、モータをR−L直列回路に置き換えた等価回路を示す図である。 図4は、相電圧、仮想電流、相電流、および誘起電圧のそれぞれの位相関係を示す図である。 図5は、相電圧のゼロクロス点を基準とした場合における交点検出区間を示す図である。 図6は、U相の相電圧位相角を基準位相角とした場合における交点検出位相を示す図である。 図7は、モータが脱調状態にある場合の相電圧、仮想電流、および相電流のそれぞれの位相関係を示す図である。 図8は、実施例にかかるモータ制御装置の脱調状態検出処理を説明するフローチャートである。
以下に、本発明にかかるモータ制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、実施例にかかるモータ制御装置の一構成例を示す図である。図1に示すように、実施例にかかるモータ制御装置100は、モータ1および交流電源4に接続され、交流を直流に変換する整流回路3、整流回路3から直流が供給され、モータ1のU相,V相,W相の各相へ駆動電力を供給するインバータ回路2、整流回路3で直流に変換された電圧を検出する直流電圧検出部7、モータ1のU相,V相の各相に流れる相電流値を検出するとともに、W相に流れる電流を算出する電流検出部6、および、直流電圧検出部7および電流検出部6からの検出結果を基にモータ駆動信号(PWM制御信号)を生成し、インバータ回路2へモータ駆動信号を出力する制御部5を備えている。
インバータ回路2は、整流回路3から供給される直流母線間にU相アーム上段のトランジスタUH、U相アーム下段のトランジスタUL、V相アーム上段のトランジスタVH、V相アーム下段のトランジスタVL、W相アーム上段のトランジスタWH、W相アーム下段のトランジスタWLの6つのスイッチング素子がブリッジ接続された三相インバータ回路である。
制御部5は、モータ1の駆動制御を行う主たる制御手段であり、出力電圧調整部8、仮想電流算出部10、交点検出部16および位相差検出部11を有する交点/位相差検出部200、角速度調整部12、実回転数算出部13、回転数設定部9、正弦波データ作成部14、PWM作成部15、および脱調判定部17を備えている。
出力電圧調整部8は、インバータ回路2へ出力するPWM制御信号のピーク電圧値を算出、調整する処理部である。
仮想電流算出部10は、モータ1のステータ巻線に流れる相電流のうち、ロータの回転によりステータ巻線に発生する逆起電力による逆起電流を除いた電流(以下、「仮想電流」という)の波形を算出する。
交点検出部16は、各相毎の仮想電流の正の領域および負の領域における特定の位相範囲として定められた交点検出区間において、仮想電流算出部10で算出された仮想電流の波形と電流検出部6で検出された相電流の波形との交点を検出し、モータ1に出力される相電圧のゼロクロス点を基準としたときの交点の位相角(以下、「交点位相角」という)を算出する。また、交点検出区間において交点が検出されたか否かを示す交点検出結果を脱調判定部17に通知する。なお、交点検出区間の詳細については後述する。
位相差検出部11は、モータ1に出力される相電圧のゼロクロス点を基準としたときの仮想電流の位相角(以下、「仮想電流位相角」という)および交点検出部16により算出された交点位相角に基づいて、相電圧のゼロクロス点を基準としたときの誘起電圧のゼロクロス点の推定位相角(以下、「誘起電圧推定位相角」という)を算出する。なお、誘起電圧推定位相角の算出については後述する。
角速度調整部12は、位相差検出部11により算出された誘起電圧推定位相角に基づきステータ巻線への通電角速度を調整する。
実回転数算出部13は、角速度調整部12により調整された通電角速度に基づきロータの実回転数を算出する。
回転数設定部9は、例えばエアコンの室内機など外部から入力される回転数指令値、および実回転数算出部13から入力されるロータの実回転数に基づいて、モータ1の目標回転数を設定する。また、後述する脱調判定部17からモータ停止指令(後述する指令回転数を0rpsとする指令)が入力された場合には、PWM作成部15に各通電相オフ指令を出力する。
正弦波データ作成部14は、出力電圧調整部8により算出、調整されたPWM制御信号のピーク電圧値および角速度調整部12により調整された通電角速度に基づき各相毎の印加電圧を算出する。
PWM作成部15は、正弦波データ作成部14で算出された各相毎の印加電圧をPWMデューティ値へ変換し、インバータ回路2へPWM信号を出力する。また、回転数設定部9から各通電相オフ指令が入力された場合には、インバータ回路2の動作を停止させる。
脱調判定部17は、交点検出部16から入力された交点検出結果に基づいて、連続して交点が検出できない場合にカウントアップする連続交点未検出カウンタと、所定の期間内に交点を検出した場合にカウントアップする交点検出カウンタとを備え、連続交点未検出カウンタおよび交点検出カウンタに記録された回数に基づき脱調状態判定を行う。また、脱調状態と判断した場合に、回転数設定部9にモータ停止指令を出力し、モータ1の停止を指示する。なお、この脱調状態判定の詳細については後述する。
つぎに、実施例にかかるモータ制御装置100のモータ駆動制御について、図2〜図6の各図を参照して説明する。
図2は、実施例にかかるモータ制御装置におけるモータ駆動制御の流れを示すフローチャートである。図3は、モータをR−L直列回路に置き換えた等価回路を示す図である。図4は、相電圧、仮想電流、相電流、および誘起電圧のそれぞれの位相関係を示す図である。図5は、相電圧のゼロクロス点を基準とした場合における交点検出区間を示す図である。図6は、U相の相電圧位相角を基準位相角とした場合における交点検出位相を示す図である。
本実施例におけるモータ駆動制御は、図2に示すように、制御部5において、仮想電流振幅および仮想電流位相の算出(ステップST101)、仮想電流波形と相電流との交点の検出(ステップST102)、交点位相角の算出(ステップST103)、脱調状態の検出(ステップST104)誘起電圧推定位相角の算出(ステップST105)、位相偏差の算出(ステップST106)、位相調整(ステップST107)、実回転数の算出(ステップST108)、および印加電圧の調整(ステップST109)、の各ステップが実行され、最終的にインバータ回路2へモータ駆動電圧を出力することにより行われる。
まず、仮想電流振幅および仮想電流位相の検出を行う(ステップST101)。仮想電流算出部10は、出力電圧調整部8で求められた出力ピーク電圧Vo(出力ピーク電圧Voの算出については後述する)と、回転数設定部9で算出した目標回転数Rt(目標回転数Rtの算出については後述する)を入力値とし、これと図示しない記憶部に記憶されたモータ特性値である巻線抵抗値Rとインダクタンス値Lを用いて相電圧のゼロクロス点を基準としたときの仮想電流の位相角(以下、「仮想電流位相角」という)θfおよびピーク電流値|IF|を求める。仮想電流は、モータ1のステータ巻線に流れる電流のうち、ロータの回転によりステータ巻線に発生する逆起電力による電流を除いた電流であるので、仮想電流位相角θfおよびピーク電圧値|IF|は、図3に示すR,Lの直列回路に電圧Vを印加したときの電流の位相角およびピーク電流と同義であり、下記「数1」式により求めることが可能である。
Figure 2011072168
仮想電流算出部10は、上式より求めた仮想電流位相角θf(図4参照)と、ピーク電流値|IF|と、正弦波データ算出部14で算出される各相毎の相電圧位相角θvu,θvv,θvw(θvu,θvv,θvwの算出については後述する)を入力したときの、現在の相電圧位相角における各相毎の仮想電流値Ifu,Ifv,Ifwを下記「数2」式により求める。
Figure 2011072168
そして、仮想電流算出部10は、「数2」式より算出した各相毎の仮想電流値Ifu,Ifv,Ifwを位相差検出部11および交点検出部16に出力する。
続いて、仮想電流波形と相電流との交点の検出を行う(ステップST102)。交点検出部16は、仮想電流算出部10から取得した各相毎の仮想電流値Ifu,Ifv,Ifwと、電流検出部6から取得した各相毎の相電流値Iu,Iv,Iwとを比較して両波形の交点を検出し、各相毎の交点検出区間において交点が検出されたか否かを示す交点検出結果を脱調判定部17に通知する。なお、W相に流れる相電流値Iwは、電流検出部6内において下記「数3」式により算出される。また、交点検出区間については、位相角の算出(ステップST103)および誘起電圧推定位相角の算出(ステップST105)の説明を踏まえた上で説明する。
Figure 2011072168
続いて、交点位相角の算出を行う(ステップST103)。交点検出部16は、各相電圧のゼロクロス点を基準としたときの交点位相角θc(図4参照)を算出する。なお、以下の説明では、各相電圧のゼロクロス点を位相の基準として説明する。
交点位相角の算出(ステップST103)と平行して、脱調状態の検出を行う(ステップST104)。脱調判定部17は、交点検出部16より入力された交点検出結果から、後述する交点検出区間における連続交点未検出回数および交点検出回数をカウントし、連続交点未検出回数および交点検出回数に基づいて脱調状態を検出する。脱調状態検出処理フローの詳細については後述するが、脱調状態であると判定した場合は、ステップST105以降には進まずモータ1の駆動を停止させる処理を行う。
続いて、誘起電圧推定位相角の算出を行う(ステップST105)。位相差検出部11は、仮想電流位相角および交点検出部16により算出された交点位相角に基づいて、誘起電圧推定位相角を算出する。以下、誘起電圧推定位相角の算出方法について、詳細に説明する。
モータ1の各ステータ巻線に印加される電圧と、そこに流れる電流との位相関係は、巻線抵抗およびインダクタンス成分により決まる。したがって、同じ条件下で発生する誘起電圧と逆起電流(逆起電力によりステータ巻線に発生する電流)との間の位相角についても、相電圧と相電流との間の位相角と同じ位相角を有している。一方、仮想電流算出部10で算出された仮想電流の波形と、電流検出部6で取得した相電流の波形との交点は、相電流=仮想電流+逆起電流の関係により、逆起電流がゼロの点、すなわち逆起電流のゼロクロス点である。
したがって、誘起電圧のゼロクロス点と逆起電流のゼロクロス点との間の位相角、すなわち、誘起電圧のゼロクロス点と仮想電流の波形および相電流の波形の交点との間の位相角は、図4に示すように、相電圧のゼロクロス点と仮想電流のゼロクロス点との間の位相角θfと等しい。
以上により、相電圧のゼロクロス点を基準としたときの誘起電圧推定位相角θgvは、図4に示すように、交点位相角θcから仮想電流位相角θfの分だけ戻した、すなわち位相を進めた位相角となる。ここまでのステップにおいて誘起電圧推定位相角θgvが算出されることにより、ロータの位置推定制御を行うことが可能となる。そして、各相毎に算出された誘起電圧推定位相角θgvは、各速度調整部12に出力される。
ここで、上述した交点検出区間について、図5および図6を参照して説明する。
相電流は、ロータの回転によりステータ巻線に発生する逆起電力による逆起電流を含んでいるので、仮想電流より位相が進むことはない。また、仮想電流は、上述したようにモータ特性値である巻線抵抗値Rとインダクタンス値Lを用いて「数1」式により算出されるので、仮想電流位相角θfは、モータの回転数が上がれば上がる程、限りなく90°に近づいていく。さらに、インダクタンス成分により誘起電圧推定位相角θgvが90°を下回る(例えば最低回転数が10の場合、誘起電圧推定位相角θgvは約83°)ことを考慮すると、各相毎の交点検出区間は、図5に示すように、各相電圧のゼロクロス点を基準として、仮想電流の正の領域において60°〜180°(π/3〜π)、仮想電流の負の領域において240°〜360°(4π/3〜2π)の区間に設定すればよい。
なお、ロータが停止あるいは振動している場合には、相電流と仮想電流とが近似した波形となり、上記した区間内において交点を検出できない状態となる。本実施例では、この交点が検出できない状態である場合に、モータ1が脱調状態にあると判定するように構成している(脱調状態における相電流と仮想電流の関係については後述する)。
したがって、U相の相電圧位相角を基準位相角とした場合の交点検出相は、図6に示すように、0°〜60°(0〜π/3)の区間ではW相およびV相、60°〜120°(π/3〜2π/3)の区間ではU相およびV相、120°〜180°(2π/3〜π)の区間ではU相およびV相、180°〜240°(π〜4π/3)の区間ではV相およびW相、240°〜300°(4π/3〜5π/3)の区間ではV相およびU相、300°〜360°(5π/3〜2π)の区間ではW相およびV相とすれはよい。このように設定することにより、π/3毎の各区間において交点検出相が2相に絞られるため、演算処理に対する負荷を低減させることが可能となる。なお、基準位相角とする相電圧位相角は、V相の相電圧位相角あるいはW相の相電圧位相角であってもよい。
続いて、位相差の検出および位相調整を行う(ステップST106、ステップST107)。角速度調整部12は、予めモータ効率が最適となる相電圧のゼロクロス点を基準とした誘起電圧の目標位相角(以下、「誘起電圧目標位相角」という)θtが記憶されており、位相差検出部11から入力された誘起電圧推定位相角θgvと誘起電圧目標位相角θtとの位相偏差Δθrを算出する。さらに、位相偏差Δθrを用いてインバータ回路2への通電角速度の調整角速度R’を下記「数4」式により算出し、実回転数算出部13および正弦波データ作成部14に出力する。すなわち、Δθr<0である場合には、調整角速度R’を上昇させる、すなわち、誘起電圧推定位相角θgvを遅らせるように制御し、Δθr≧0である場合には、調整角速度R’を下降させる、すなわち、誘起電圧推定位相角θgvを進ませるように制御する。ここで、「数4」式中のKfは、応答力の感度を決めるために予め定められた角速度調整係数であり、Rtは、後述する回転数設定部にて算出される目標回転数である。
Figure 2011072168
ここで、目標回転数Rtの算出について説明する。回転数設定部9は、外部から入力される回転数指令値(例えば、エアコンに用いられるモータの場合、エアコンの室外機から送られるモータの回転数の指令値)および脱調判定部17からのモータ停止指令に基づいて決定される指令回転数Riに対して、目標回転数Rtの算出を行い、出力電圧調整部8、仮想電流算出部10、および角速度調整部12に出力する。
目標回転数Rtは、指令回転数Riに応じて変化する値であるが、指令回転数Riと後述するモータの実回転数Rrとの差が大きい場合、「数4」式で算出される調整角速度R’がロータの追従を無視した値となる。すなわち、調整角速度R’が大きくなり過ぎた場合には、脱調等による異常停止を誘発する可能性があり、相電流値の増大による保護停止状態に陥る虞がある。したがって、回転数設定部9において、ロータの追従にあわせてモータの実回転数Rrが徐々に指令回転数Riに近づくように、目標回転数Rtの合わせ込みを行う。この目標回転数Rtは、下記「数5」式により算出される。ここで、「数5」式中の0.1rpsおよび0.2rpsは、使用するモータの要求仕様等によって任意に設定可能な制御定数である。なお、モータが脱調している場合には、指令回転数Riが0rpsに設定されるので、下記「数5」式に則り、目標回転数Rtは0rpsとなる。
Figure 2011072168
続いて、実回転数の算出を行う(ステップST108)。実回転数算出部13は、角速度調整部12から取得した調整角速度R’をモータ1の機械角1回転分記録してその移動平均をとり、モータ1の実回転数Rrを算出し、出力電圧調整部8および回転数設定部9に出力する。
ここで、電気角および機械角の対応関係を説明する。例えば、4極モータの場合は、−(マイナス)の電極の電源の位相が360°変化すると、ロータは1/2回転、すなわち180°変化する。この場合は、電気角が360°変化すると、機械角が180°変化したものとして記録する。また、例えば、6極モータの場合は、−(マイナス)の電極の電源の位相が360°変化すると、ロータは1/3回転、すなわち120°変化する。この場合は、電気角が360°変化すると、機械角が120°変化したものとして記録する。
電気角の記録タイミングは、誘起電圧推定位相角θgvの検出毎(電気角60°毎)に、最も古いデータを上書きして記録する。具体的には、機械角1回転あたりの電気角記録回数は、例えば4極モータの場合は、機械角1回転あたり電気角は2回転、すなわち720°変化するので、720°/60°=12回分記録され、6極モータの場合は、機械角1回転あたり電気角は3回転、すなわち1080°変化するので、1080°/60°=18回分記録される。したがって、4極モータの場合は12回分、6極モータの場合は18回分のデータを記録した調整角速度R’の移動平均をモータの実回転数Rrとして算出する。
続いて、印加電圧の調整を行う(ステップST109)。出力電圧調整部8は、直流電圧検出部7から入力された直流電圧値を最大値として、目標回転数Rtまたは指令回転数Riと実回転数Rrとの回転数偏差ΔRを算出し、PI制御によりモータ印加電圧の出力ピーク電圧Voを調整して、正弦波データ作成部14および仮想電流算出部10に出力する。すなわち、ΔR<0である(Rr>(RtまたはRi)でロータが目標回転数Rtまたは指令回転数Riに対して進み方向)場合には、モータ印加電圧の出力ピーク電圧Voを下降させモータへのトルク力を減少させるように制御し、ΔR>0である(Rr<(RtまたはRi)でロータが目標回転数Rtまたは指令回転数Riに対して遅れ方向)場合には、モータ印加電圧の出力ピーク電圧Voを上昇させモータへのトルク力を増加させるように制御する。
正弦波データ作成部14は、まず、「数6」式により単位キャリアあたりの電圧位相進角Δθcを算出する。ここで、fcは、予め設定されたPWMのキャリア周波数である。
Figure 2011072168
つぎに、「数7」式により次回出力時の電圧位相角θvを算出する。ここで、θvoは、現在の電圧位相角の値である。
Figure 2011072168
なお、「数7」式により算出したθvの値が、θv≧360°である場合は、「数8」式により360°を0°とした角度に変換する。ここで、θv’は、「数7」式による算出結果が360°以上である場合の電圧位相角の値である。
Figure 2011072168
つぎに、「数9」式により各相毎の相電圧位相角θvu、θvv、θvwを算出し、仮想電流算出部10に出力する。
Figure 2011072168
そして、「数9」式により算出された各相毎の相電圧位相角θvu、θvv、θvwおよび出力調整部8から入力された出力ピーク電圧Voを用いて、「数10」式により各相毎の印加電圧Vu、Vv、Vwを算出し、PWM作成部15に出力する。
Figure 2011072168
PWM作成部15は、正弦波データ作成部14から入力された各相毎の印加電圧Vu、Vv、VwをPWMデューティ値に変換し、インバータ回路2にPWM信号を出力する。インバータ回路2は、入力されたPWM信号に基づいてモータ1を駆動する。なお、モータ1が脱調している場合には、PWM作成部15は、回転数設定部9から入力される各通電相オフ指令に基づいて、インバータ回路2の動作を停止させ、モータ1の駆動を停止する。上記したステップST101〜ステップST108の処理を繰り返すことにより、実施例にかかるモータ制御装置100のモータ駆動制御が行われる。
つぎに、実施例にかかるモータ制御装置100の脱調状態検出について、図7および図8を参照して説明する。図7は、モータが脱調状態にある場合の相電圧、仮想電流、および相電流のそれぞれの位相関係を示す図である。図8は、実施例にかかるモータ制御装置の脱調状態検出処理を説明するフローチャートである。
まず、モータ1の脱調状態について説明する。モータ1の脱調状態には、ロータの回転が完全に停止する場合(以下、「停止状態」という)と、モータ1への印加電圧の状態によってはロータに与えるトルク力により通電タイミングの同期が取れない状態でありながら、ロータが振動する場合(以下、「振動状態」という)とがある。停止状態では、逆起電力が発生しないため、相電流が逆起電流の影響を受けず、図7に示すように、相電流の波形は、仮想電流の波形と比較し位相および振幅を含めて近似した形で現れる。また、振動状態においても、相電流の波形は、仮想電流の波形にロータの振動による極小の高調波成分が重畳した歪み波形の発生に留まる。
すなわち、脱調状態では、図7に示すように、交点検出区間内において仮想電流の波形と相電流の波形との交点検出ができない状態が発生する。したがって、交点検出の可否を監視することにより、モータ1の脱調状態を検出することが可能となる。
つぎに、交点検出部16に備えられた連続交点未検出カウンタおよび交点検出カウンタの詳細および脱調判定部17による脱調判定動作について説明する。
連続交点未検出カウンタは、交点検出区間において交点検出ができない状態の連続性を判定するためのものであり、何れかの相で交点検出ができた時点でリセットされる。脱調判定部17は、この連続交点未検出カウンタの数値が後述する停止脱調検出回数α以上となった場合に、モータ1が停止状態にあると判定し、回転数設定部9にモータ停止指令を出力し、モータ1の停止を指示する。
停止脱調判定回数αは、誘起電圧推定位相角θgvと誘起電圧目標位相角θtの位相差Δθrから求められる通電角速度の調整角速度R’を、何回転先で位相差が収束するように設定しているかにより決定される。例えば、通電角速度の調整角速度R’が、2回転先で位相差の収束を行うように設定している場合、停止脱調判定回数αは、下記「数11」式により求められる。
Figure 2011072168
すなわち、連続交点未検出カウンタが上記「数11」式により算出された停止脱調判定回数α以上となった場合は、通電角速度調整により位相差を収束させるまでの回転数の間、仮想電流と相電流が近似状態を維持し続けているので、この場合、明らかにロータは停止状態にあると判断できる。
交点検出カウンタは、モータ1の1回転あたりの交点検出率を判定するためのものであり、モータ1の1回転毎にリセットされる。脱調判定部17は、この交点検出カウンタの数値が後述する振動脱調判定回数β未満である場合に、ロータが振動状態にあると判定し、回転数設定部9にモータ停止指令を出力し、モータ1の停止を指示する。なお、交点検出率の判定は、モータ1の1回転あたりの交点検出率に限られるものではなく、2回転あるいはそれ以上であってもよい。
振動脱調判定回数βは、ロータの振動による極小の誘起電圧が断続的に発生している状態を想定した判定値である。したがって、1回転あたりの交点検出回数がロータと通電タイミングの同期制御を継続していく事が困難なレベルとなる値に設定する。例えば、モータ1回転あたりの交点検出率が50%以上必要である場合、振動脱調判定回数βは、下記「数12」式により求められる。
Figure 2011072168
なお、モータ1の回転数変化時(起動時、レリースによる回転数下降時、あるいは目標回転数Rtの変更時など)は、印加電圧によるトルク力の変化に伴い、交点検出が行えないタイミングが発生する可能性があるため、この時に脱調検出を行うと、ロータが回転状態を継続しているにも関わらず、モータ1が脱調状態にあると誤検出する可能性がある。したがって、上記の脱調判定動作は、モータ1の指令回転数Riが一定の状態でのみ実施する。
つぎに、実施例にかかるモータ制御装置100の脱調状態検出処理を、図8を参照して説明する。
脱調状態検出処理フローは、図2に示すモータ駆動制御の脱調状態の検出(ステップST103)のサブフローとして実施される。まず、前回の状態から指令回転数Riの変更がないかどうかを判断し(ステップST201)、指令回転数Riの変更がある場合には(ステップST201;No)、交点検出カウンタCn1および連続交点未検出カウンタCn2をリセットする(ステップST202;Cn1=0、Cn2=0)。
指令回転数Riが変更されていなければ、(ステップST201;Yes)、位相差検出部11より入力された交点検出結果から、交点が検出されたか否かを判断する(ステップST203)。
交点が検出できなかった場合(ステップST203;No)、連続交点未検出カウンタCn2をインクリメントし(ステップST204;Cn2++)、インクリメントされた連続交点未検出カウンタCn2が停止脱調検出回数α以上となったか否かを判定する(ステップST205)。インクリメントされた連続交点未検出カウンタCn2が停止脱調検出回数α未満であれば(ステップST205;No)、脱調状態検出処理フローを終了する。インクリメントされた連続交点未検出カウンタCn2が停止脱調検出回数α以上であれば(ステップST205;Yes)、ロータが停止状態にあると判断し、モータ停止指令を出力してモータ1を停止させ(ステップST206)、連続交点未検出カウンタCn2をリセットし(ステップST207;Cn2=0)、脱調状態検出処理フローを終了する。
交点が検出できた場合(ステップST203;Yes)、交点検出カウンタCn1をインクリメントし(ステップST208;Cn1++)、連続交点未検出カウンタCn2をリセットする(ステップST209;Cn2=0)。ロータが機械角において1回転したか否かを判断し(ステップST210)、ロータが機械角において1回転していなければ(ステップST210;No)、脱調状態検出処理フローを終了する。ロータが機械角において1回転していれば(ステップST210;Yes)、インクリメントされた交点検出カウンタCn1が振動脱調検出回数β未満であるか否かを判定する(ステップST211)。インクリメントされた交点検出カウンタCn1が振動脱調検出回数β以上であれば(ステップST211;No)、交点検出カウンタCn1をリセットし(ステップST213;Cn1=0)、脱調状態検出処理フローを終了する。インクリメントされた交点検出カウンタCn1が振動脱調検出回数β未満であれば(ステップST211;Yes)、ロータが振動状態にあると判断し、モータ停止指令を出力してモータ1を停止させ(ステップST212)、交点検出カウンタCn1をリセットし(ステップST213;Cn1=0)、脱調状態検出処理フローを終了する。
以上のように、実施例のモータ制御装置によれば、モータのインダクタンス値および巻線抵抗値とモータに与える駆動正弦波の周波数および相電圧とを用いて、ステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出し、複数相の各ステータ巻線に流れる相電流を検出し、各相毎の仮想電流の正の領域および負の領域における特定の位相範囲として定められた交点検出区間において仮想電流と相電流との交点を検出し、交点検出区間において交点が検出されたか否かを示す交点検出結果に基づいて、モータの脱調を判定するようにしたので、モータの脱調を検出することができる。
また、相電圧のゼロクロス点を基準とする交点位相角および仮想電流の位相角を算出し、交点位相角および仮想電流の位相角に基づいて誘起電圧推定位相角を算出し、誘起電圧推定位相角に基づいて、モータの駆動制御を行うようにしたので、ロータへの通電タイミングを検出して安定してモータを正弦波駆動することができる。
また、交点検出区間内における交点検出が連続して行われなかった回数である連続交点未検出回数が所定の停止脱調判定回数以上である場合に、ロータが停止した脱調状態であると判定し、予め設定された所定の期間内において、交点検出区間内における交点検出が行われた回数である交点検出回数が所定の振動脱調判定回数未満である場合に、前記ロータが振動した脱調状態であると判定するようにしたので、停止状態および振動状態を含めたモータの脱調を確実に検出することができる。
また、モータへの指令回転数が一定である場合に、モータの脱調を判定するようにしたので、モータの回転数変化時に脱調状態であると誤判定することを防止することができる。
また、モータが脱調状態であると判定した場合に、モータの駆動を停止させるようにしたので、脱調状態の継続によるモータの故障を未然に防止することができる。
また、各相毎の交点検出区間を各相電圧のゼロクロス点を基準としてπ/3〜πおよび4π/3〜2πの範囲に設定し、π/3毎に異なる2つの相が交点検出相となるようにしたので、3相全ての交点を検出する場合と比べて演算処理に対する負荷を低減させることができる。
さらに、脱調判定部を制御部に含み構成したので、コストを増大させることなくモータの脱調を検出することができる。また、ロータの位置推定制御に用いる交点検出を利用してモータの脱調を検出するようにしたので、演算処理に対する負荷を増大させることなくモータの脱調検出を実現することができる。
また、実施例のモータ制御方法によれば、モータのインダクタンス値および巻線抵抗値とモータに与える駆動正弦波の周波数および相電圧とを用いて、ステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出し、複数相の各ステータ巻線に流れる相電流を検出し、各相毎の仮想電流の正の領域および負の領域における特定の位相範囲として定められた交点検出区間において仮想電流と相電流との交点を検出し、相電圧のゼロクロス点を基準とする交点位相角および仮想電流の位相角を算出し、交点位相角および仮想電流の位相角に基づいて誘起電圧推定位相角を算出し、交点検出区間において交点が検出されたか否かを示す交点検出結果を出力し、交点検出結果に基づいて、モータの脱調を判定し、誘起電圧推定位相角および脱調の判定結果に基づいて、モータの駆動制御を行うようにしたので、モータの脱調を検出することができ、ロータへの通電タイミングを検出して安定してモータを正弦波駆動することができる。
また、交点検出結果に基づいて、交点検出区間内における交点検出が連続して行われなかった回数である未検出回数および交点検出区間内における交点検出が行われた回数である検出回数をカウントし、未検出回数が所定の停止脱調判定回数以上である場合に、ロータが停止した脱調状態であると判定し、予め設定された所定の期間内における検出回数が所定の振動脱調判定回数未満である場合に、前記ロータが振動した脱調状態であると判定するようにしたので、停止状態および振動状態を含めたモータの脱調状態を確実に検出することができる。
なお、実施例では、相電圧のゼロクロス点を基準としたときの仮想電流位相角を位相差検出部において算出するものとして説明したが、交点検出部において算出し交点位相角とともに位相差検出部に出力するように構成した場合でも、同様の効果を得られることは無論である。
また、以上の実施例に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
以上のように、本発明にかかるモータ制御装置は、正弦波駆動のモータの脱調を検出することができる発明として有用である。
1 モータ
2 インバータ回路
3 整流回路
4 交流電源
5 制御部
6 電流検出部
7 直流電圧検出部
8 出力電圧調整部
9 回転数設定部
10 仮想電流算出部
11 位相差検出部
12 角速度調整部
13 実回転数算出部
14 正弦波データ作成部
15 PWM作成部
16 交点検出部
17 脱調判定部
100 モータ制御装置
200 交点/位相差検出部

Claims (15)

  1. 複数相のステータ巻線およびロータを備えたモータの駆動制御を行うモータ制御装置であって、
    前記モータのインダクタンス値および巻線抵抗値と当該モータに与える駆動正弦波の周波数および相電圧とを用いて、前記ステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出する仮想電流算出部と、
    前記複数相の各ステータ巻線に流れる相電流を検出する電流検出部と、
    各相毎の前記仮想電流の正の領域および負の領域における特定の位相範囲として定められた交点検出区間において前記仮想電流と前記相電流との交点を検出し、前記交点検出区間において交点が検出されたか否かを示す交点検出結果を出力する交点検出部と、
    前記交点検出結果に基づいて、前記モータの脱調を判定する脱調判定部と、
    を備える
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記交点検出結果に基づいて、前記相電圧のゼロクロス点を基準とする交点位相角および前記仮想電流の位相角を算出し、前記交点位相角および前記仮想電流の位相角に基づいて誘起電圧推定位相角を算出する位相差検出部をさらに備え、
    前記誘起電圧推定位相角に基づいて、前記モータの駆動制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記位相差検出部は、前記交点位相角から前記仮想電流位相角の分だけ位相を進めた位相角を前記誘起電圧推定位相角として算出することを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記脱調判定部は、前記交点検出結果に基づいて、前記交点検出区間内における交点検出が連続して行われなかった回数をカウントし、当該カウントされた未検出回数に基づいて、前記モータの脱調を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記脱調判定部は、前記未検出回数が所定の停止脱調判定回数以上である場合に、前記ロータが停止した脱調状態であると判定することを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。
  6. 前記脱調判定部は、前記交点検出結果に基づいて、前記交点検出区間内における交点検出が行われた回数をカウントし、当該カウントされた検出回数に基づいて、前記モータの脱調を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記脱調判定部は、予め設定された所定の期間内における前記検出回数が所定の振動脱調判定回数未満である場合に、前記ロータが振動した脱調状態であると判定することを特徴とする請求項6に記載のモータ制御装置。
  8. 前記脱調判定部は、前記モータへの指令回転数が一定である場合に、前記モータの脱調を判定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  9. 前記脱調判定部は、前記モータが脱調状態であると判定した場合に、前記モータの駆動を停止させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  10. 前記交点検出区間は、各相毎の前記相電圧のゼロクロス点を基準として設定されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  11. 前記特定の位相範囲は、各相毎の前記相電圧のゼロクロス点を基準としてπ/3〜πおよび4π/3〜2πの範囲に設定されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  12. 各相毎の前記交点検出区間は、π/3毎に異なる2つの相が交点検出相となるように設定されることを特徴とする請求項11に記載のモータ制御装置。
  13. 複数相のステータ巻線およびロータを備えたモータの駆動制御を行うモータ制御方法であって、
    前記モータのインダクタンス値および巻線抵抗値と当該モータに与える相電圧とを用いて、前記ステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出するステップと、
    前記複数相の各ステータ巻線に流れる相電流を検出するステップと、
    各相毎の前記仮想電流の正の領域および負の領域における特定の位相範囲として定められた交点検出区間において前記仮想電流と前記相電流との交点を検出するステップと、
    前記相電圧のゼロクロス点を基準とする交点位相角および前記仮想電流の位相角を算出するステップと、
    前記交点位相角および前記仮想電流の位相角に基づいて誘起電圧推定位相角を算出するステップと、
    前記交点検出区間において交点が検出されたか否かを示す交点検出結果を出力するステップと、
    前記交点検出結果に基づいて、前記モータの脱調を判定するステップと、
    を有し、
    前記誘起電圧推定位相角および前記脱調の判定結果に基づいて、前記モータの駆動制御を行うことを特徴とするモータ制御方法。
  14. 前記モータの脱調を判定するステップは、
    前記交点検出結果に基づいて、前記交点検出区間内における交点検出が連続して行われなかった回数である未検出回数をカウントするステップと、
    前記未検出回数が所定の停止脱調判定回数以上である場合に、前記ロータが停止した脱調状態であると判定するステップと、
    を有することを特徴とする請求項13に記載のモータ制御方法。
  15. 前記モータの脱調を判定するステップは、
    前記交点検出結果に基づいて、前記交点検出区間内における交点検出が行われた回数である検出回数をカウントするステップと、
    予め設定された所定の期間内における前記検出回数が所定の振動脱調判定回数未満である場合に、前記ロータが振動した脱調状態であると判定するステップと、
    を有することを特徴とする請求項13に記載のモータ制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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