JP2009247134A - ロータ位置検出装置、ロータ位置検出方法、モータの制御装置、及びモータの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータの制御において、制御パラメータ数の低減、及び制御が容易なパラメータの選択を図りつつ、より信頼性の高いモータ制御装置を提供する。
【解決手段】複数相のステータ巻線とロータを備えたモータを駆動するためのロータ位置検出装置であって、相電圧、モータのインダクタンス値、及び巻線抵抗値からステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出する仮想電流算出手段と、各ステータ巻線に流れる相電流を検出する相電流検出手段と、前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流と前記相電流との交点の位相角を算出する位相差算出手段と、前記相電圧のゼロクロス点を基準に前記仮想電流の位相角を求め、前記交点の位相角から、前記仮想電流の位相角だけ戻した位相角を誘起電圧のゼロクロス点として前記ロータの位置検出を行うロータ位置検出手段を備えたロータ位置検出装置をモータ制御に用いる。
【選択図】図1
【解決手段】複数相のステータ巻線とロータを備えたモータを駆動するためのロータ位置検出装置であって、相電圧、モータのインダクタンス値、及び巻線抵抗値からステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出する仮想電流算出手段と、各ステータ巻線に流れる相電流を検出する相電流検出手段と、前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流と前記相電流との交点の位相角を算出する位相差算出手段と、前記相電圧のゼロクロス点を基準に前記仮想電流の位相角を求め、前記交点の位相角から、前記仮想電流の位相角だけ戻した位相角を誘起電圧のゼロクロス点として前記ロータの位置検出を行うロータ位置検出手段を備えたロータ位置検出装置をモータ制御に用いる。
【選択図】図1
Description
本発明は、同期モータの制御装置に関するものであり、特にセンサレス制御におけるロータの位置検出に関する。
従来、同期モータなどの電動機の駆動において、モータのロータへの通電タイミングの基準を検出するため、様々なロータの位置検出方法が採られていた。例えば、ロータの回転によりステータの巻線に発生する誘起電圧のゼロクロス点を検出してロータの位置検出を行う方法や、ロータの位置を検出するための位置検出素子を用いる方法、または高速演算の可能な演算器でモータ電流から回転子の位置推定を行う方法である。
ステータの巻線に発生する誘起電圧のゼロクロス点を検出してロータの位置検出を行う方法を採用する場合、モータの駆動制御として、120°通電制御を用いる。これは、駆動コイルに発生する誘起電圧のゼロクロス点を検出するために、ステータの巻線への通電において、一定期間の休止期間を設ける必要があるためである。
しかし、120°通電は上記のように誘起電圧の検出が容易である反面、駆動波形が矩形波となっていることから、モータの発生トルクが変動する、所謂トルクリップルが発生して、騒音が大きくなる傾向がある。
一方、駆動中のトルクリップルによる騒音の低減を図るため用いられる、いわゆる正弦波駆動で駆動するモータにおいては、ステータの巻線の通電において、誘起電圧の検出期間として使用できる休止期間が存在しないため、ステータの巻線に発生する誘起電圧の検出ができない。したがって、正弦波駆動で駆動するモータにおいては、ロータの位置を検出するための位置検出素子を用いて、ロータの位置検出を行っていた。
しかし、ロータの位置を検出するための位置検出素子を用いた場合、この位置検出素子は、温度によって特性が大きく変化し、高温環境で使用すると、特性が劣化する、又は位置検出素子自体が破壊される可能性があるため、モータが高温環境下で駆動する圧縮機用モータ等には用いることができない。
そこで、ステータ巻線に発生する誘起電圧の検出を必要とせず、また、ロータの位置を検出するための位置検出素子を用いずに、ロータの位置検出を行う技術として、高速演算の可能な演算器でモータ電流から回転子の位置推定を行う方法が存在する。しかし、この方法を採用する場合、高速演算可能な演算器が必要であり、この演算器は高価である。
そこで、上記に説明したそれぞれの問題点を解決可能な技術として、120°通電を用いる必要がなく、また、ロータ位置検出素子も用いる必要がなく、さらに、演算負荷を低減させて高速な演算器を用いることによるコストアップの少ないモータ制御装置が特開2001−112287号公報に示されている。これは、相電圧の電圧位相のπ/2を中心に位相期間0〜π/2、π/2〜πの各々に対応する相電流の面積を検出し、各々の相電流面積の比を計算してこれを相電圧と相電流の位相差情報とし、この位相差情報に基づいてモータ駆動電圧を制御し、モータを高効率で正弦波駆動する方法である。つまり、直接ロータの位置を検出するものではないが、位相差情報と、ロータ、ステータの相対位置がほぼ比例していることを利用して、位相差情報を所定の値に制御することで、間接的にロータとステータの相対位置を制御可能とし、演算負荷の低減を図りつつ、モータへの通電タイミングを検出するものである。
特開2001−112287
しかし、この特開2001−112287に記載された技術においても、回転状態や、負荷変動による特性の傾き変化を見越した制御パラメータの調整が必要であり、これらの調整が困難であるという問題がある。
また、この特開2001−112287に記載された技術では、モータ運転時の負荷変動が発生した場合、検出する電流波形の歪みにより、位相検出角が影響を受けるので制御ゲインの変更等の対策が必要となり、その制御パラメータ等の選定が困難になる。
また、これに回転条件による特性の傾き変化(相電流の歪み、及び回転数により固定子のコイルに発生するフレミングトルクとリラクタンストルクの総和が最大となる位相角が変化)も加わると、更に調整が困難となる。そして、相電圧と相電流の位相差の調整では、相電流自体が印加電流の他に逆起電流成分を含んでおり、回転子位置を特定していることにはならず、モータ制御における信頼性に不安がある。
そこで、本発明の目的は、ロータの位置検出素子が使用できないような高温の環境下で使用され、かつ、ロータの駆動コイルに発生する誘起電圧の検出が困難な正弦波駆動方式を採るモータにおいても使用可能なモータの制御装置を提供しようとするものである。
また、モータ制御において、制御パラメータ数の低減、及び制御が容易なパラメータの選択を図りつつ(具体的には、特開2001−112287で使用しているパラメータが1)相電流積算回数、2)モータ印加電圧オフセット量×制御ゲイン、3)相電流振幅×制御ゲイン、4)回転数×目標位相に対し、本発明は、1)モータ巻線抵抗、2)モータインダクタンス、3)目標位相角である。なお、ここに列挙した制御パラメータは、それぞれ電圧、電流、回転数等の変数要素を除いたものである)、より信頼性の高いモータ制御装置を提供しようとするものである。
上記の目的を達成するため、本発明のロータ検出装置は、複数相のステータ巻線とロータを備えたモータを駆動するためのロータ位置検出装置であって、相電圧、モータのインダクタンス値、及び巻線抵抗値からステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出する仮想電流算出手段と、各ステータ巻線に流れる相電流を検出する相電流検出手段と、前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流と前記相電流との交点の位相角を算出する位相差算出手段と、前記相電圧のゼロクロス点を基準に前記仮想電流の位相角を求め、前記交点の位相角から、前記仮想電流の位相角だけ戻した位相角を誘起電圧のゼロクロス点として前記ロータの位置検出を行うロータ位置検出手段を備えたことを特徴とする。
また、上記の目的を達成するため、本発明のモータ制御装置は、複数相のステータ巻線とロータを備えたモータを駆動するためのロータ位置検出装置であって、相電圧、モータのインダクタンス値、及び巻線抵抗値からステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出する仮想電流算出手段と、各ステータ巻線に流れる相電流を検出する相電流検出手段と、前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流と前記相電流との交点の位相角を算出する位相差算出手段と、前記相電圧のゼロクロス点を基準に前記仮想電流の位相角を求め、前記交点の位相角から、前記仮想電流の位相角だけ戻した位相角を誘起電圧のゼロクロス点として前記ロータの位置検出を行うロータ位置検出手段を備え、このロータ位置検出手段を用いて得られたロータ位置に基づいてモータの制御を行うことを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明のロータ位置検出方法は、複数相のステータ巻線とロータを備えたモータを駆動するためのロータ位置検出方法であって、仮想電流算出手段で相電圧、モータのインダクタンス値、及び巻線抵抗値からステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出するステップと、相電流検出手段で各ステータ巻線に流れる相電流を検出するステップと、位相差算出手段で前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流と前記相電流との交点の位相角を算出するステップと、ロータ位置検出手段で前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流の位相角を求め、前記交点の位相角から、前記仮想電流の位相角だけ戻した位相角を誘起電圧のゼロクロス点としてロータの位置検出を行うステップからなることを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明のモータ制御方法は、複数相のステータ巻線とロータを備えたモータを駆動するためのロータ位置検出方法であって、仮想電流算出手段で相電圧、モータのインダクタンス値、及び巻線抵抗値からステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出するステップと、相電流検出手段で各ステータ巻線に流れる相電流を検出するステップと、位相差算出手段で前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流と前記相電流との交点の位相角を算出するステップと、ロータ位置検出手段で前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流の位相角を求め、前記交点の位相角から、前記仮想電流の位相角だけ戻した位相角を誘起電圧のゼロクロス点としてロータの位置検出を行うステップからなるロータ位置検出方法を用いて得られたロータ位置に基づいてモータの制御を行うことを特徴とする。
本発明によれば、トルクリップルの大きい120°通電を用いることなく、かつ、回転子の位置検出をするための位置検出手段も用いることなく、回転子の位置検出が可能となるため、高温高圧状態で使用されるモータにおいても、モータの制御においてトルクリップルを小さくすることが可能になる。
また、本発明によれば、少ないパラメータで、回転子の絶対的な位置を把握し、それに基づいてモータ制御を行うため、演算器コストの低減を図りつつ、信頼性が高い、センサレス正弦波駆動のモータ制御装置の提供が可能になる。
以下、本発明による同期モータの制御装置を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施形態の同期モータ制御装置の全体構成について、図1のブロック図を参照しつつ説明する。
同期モータ制御装置は、AC電源4をDC電源に変換する整流回路3、整流回路3からDC電源が供給され、永久磁石を用いたロータ構造を有する同期モータ1のU相、V相、W相の各相へ駆動電力を供給するインバータ回路2、整流回路3で直流に変換された電圧を検出するDC電圧検出部7、同期モータ1のU相、V相、の各相へ流れる相電流値を検出する電流検出部6、及び、DC電圧検出部7、電流検出部6からの検出結果を基にモータ駆動信号(PWM信号)を生成し、インバータ回路へモータ駆動信号を出力する制御部5から構成されるものである。
インバータ回路2は、直流母線間にU相アーム上段のトランジスタUH、U相アーム下段のトランジスタUL、V相アーム上段のトランジスタVH、V相アーム下段のトランジスタVL、W相アーム上端のトランジスタWH、W相下段のトランジスタWLの6つのスイッチング素子をブリッジ接続した三相インバータ回路である。
制御部5は、インバータ回路2へ出力する制御信号のピーク電圧値を算出、調整する処理部である出力電圧調整部8と、ステータ巻線に流れる電流のうち、ロータの回転によりステータ巻線に発生する逆起電力による電流を除いた電流である仮想電流の波形を算出する仮想電流算出部10と、仮想電流算出部10で算出された仮想電流の波形と、電流検出部6で検出された相電流の波形の交点の位相と、モータに出力される相電圧のゼロクロス点位相との位相差を検出する位相差検出部11と、ステータ巻線への通電角速度を調整する角速度調整部12と、ロータの実回転数を算出する実回転数算出部13と、エアコンの室内機など外部から入力される情報に応じてモータの回転数を設定する回転数設定部9と、各相毎の印加電圧を算出する正弦波データ作成部14と、正弦波データ作成部14で算出された各相毎の印加電圧を、PWMデューティ値へ変換し、インバータ回路2へPWM信号をデータとして出力するPWM作成部15とで構成されている。
次に、本実施形態における、モータ駆動制御の内容について以下に説明する。本実施形態におけるモータ駆動制御は、図2にあるとおり、制御部5にて、1)仮想電流振幅、仮想電流位相の算出、2)交点の検出、3)誘起電圧位相角の算出、4)位相差の検出、5)実回転数の算出、6)印加電圧の調整、の各ステップが実行され、最終的にインバータ回路2へモータ駆動信号を出力することにより行われる。以下で各ステップについて詳細に説明する。
(仮想電流振幅、仮想電流位相の算出)仮想電流算出部10は、出力電圧調整部8で求めた出力ピーク電圧Vo(出力ピーク電圧の算出については後述する)と、回転数設定部9で算出した目標回転数Rt(目標回転数Rtの算出については後述する)を入力値とし、これと図示しない記憶部に記憶されたモータ特性値である巻線抵抗値Rとインダクタンス値Lを用いて相電圧のゼロクロス点を基準としたときの仮想電流の位相角とピーク電流値を求める。これは図3に示すようにR、Lの直列回路に電圧Vを印加したときの電流の位相角とピーク電流を求めるのと同義であるので、下記「数1」より求めることが可能である。なお、仮想電流とは、ステータの各相に流れる電流のうち、ロータの回転によりステータ巻線に発生する逆起電力を無視したときの電流のことをいう。
仮想電流算出部10は、上式より求めた仮想電流位相角Θfと、ピーク電流値|If|と、正弦波データ算出部14で算出される各相毎の相電圧位相角Θvu、Θvv、Θvw(Θvu、Θvv、Θvwの算出については後述する)を入力としたときの、現在の相電圧位相角における各相毎の仮想電流値Ifu、Ifv、Ifwを「数2」より求める。
「数2」より算出した、各相毎の仮想電流値Ifu、Ifv、Ifwを位相差検出部11へ出力する。
(交点の検出)位相差算出部11は、仮想電流算出部10から取得した各相毎の仮想電流値Ifu、Ifv、Ifwと、電流検出部6から取得した同期モータ1のU相、V相、の各相へ流れる相電流値Iu、Iv、Iwを比較して、両波形の交点を検出し、相電圧のゼロクロス点を基準としたときの交点の位相角をΘcとして各相毎に記憶する。
なお、電流検出部6で検出するのは、U相とV相の電流値Iu、Ivのみであって、W相の電流については、電流検出部6内にて「数3」により算出される。
(誘起電圧位相角の算出)モータの各ステータ巻線に印加される電圧とそこに流れる電流の位相関係は巻線抵抗とインダクタンス成分により決定されるため、相電圧と相電流間の位相角と同じ位相角を、誘起電圧と逆起電流(逆起電力によりステータ巻線に発生する電流)間でも有している。一方、仮想電流算出部10で算出された仮想電流の波形と、電流検出部6で取得した電流の波形の交点は、相電流=仮想電流+逆起電流の関係より逆起電流がゼロの点であるとし、つまり逆起電流のゼロクロス点であるとする。
以上の関係から、誘起電圧のゼロクロス点と逆起電流のゼロクロス点間の位相角、言い換えると誘起電圧のゼロクロス点と仮想電流の波形と相電流の波形の交点間の位相角は、相電圧のゼロクロス点と仮想電流のゼロクロス点間の位相角Θfと等しい。
これらより、交点位相角であるΘcからΘf戻した位相角を相電圧のゼロクロス点を基準にしたときの誘起電圧のゼロクロス点の位相角Θgvとする。このΘgvは各相毎に算出され、算出されたΘgvは角速度調整部12へ出力される。
そして、ここまでの各ステップが実行されることにより、この誘起電圧のゼロクロス点の位相角Θgvが検出され、ロータの位置検出が可能になる。位相角Θgvとロータの位置検出の原理については通常のセンサレスモータのロータ位置検出の原理と同様のものなので、説明を省略する。
なお、ここまでに説明した、相電圧、仮想電流、相電流、誘起電圧、Θc、Θf、Θgvそれぞれの関係を図4に示す。図4中の1)は仮想電流の波形と相電流の波形の交点(逆起電流ゼロクロス点)を示し、2)は誘起電圧のゼロクロス点である。
(位相差の検出、及び位相調整)角速度調整部12では、モータ効率上最適となる相電圧のゼロクロス点を基準としたときの誘起電圧の位相角Θt(以下、Θtを目標位相角とする)が記憶されており、誘起電圧の位相角ΘgvとΘtとの位相差ΔΘrを求め、この位相差ΔΘr用いて「数4」より、インバータ回路2への通電角速度の調整角速度R’を算出し、算出された調整角速度R’を実回転数算出部13、及び正弦波データ作成部14へ出力する。なお、「数4」のKfは角速度調整係数であって、予め定められた応答力の感度を決める制御ゲインであり、Rtは目標回転数であって、後に説明するように回転数設定部にて算出される値である。
次に目標回転数Rtの算出について、以下に説明する。
目標回転数Rtは、回転数設定部9で算出される。回転数設定部9では、外部から入力される指令回転数Ri(例えば、エアコンに用いられるモータの場合、エアコンの室内機から送られるモータ回転数)に向かって目標回転数Rtの合わせ込みを行う制御部である。
目標回転数Rtは指令回転数Riに応じて変化する値であるが、指令回転数Riとモータの実回転数Rrに大きな開きがある場合、「数4」で算出される調整角速度R’がロータの追従を無視した調整値となり、この場合、「数4」の角速度の調整量が大きくなり過ぎ、脱調等による異常停止を誘発する可能性があり、結果的に相電流値の増大による保護停止に陥ってしまう。したがって、回転数設定部9では、この目標回転数Rtは、モータの実回転数Rrの目標回転数Rtへの追従を待ちつつ徐々に指令回転数Riへ合わせ込まれることとなる。具体的には「数5」に沿って目標回転数Rtの合わせ込みが行われる。なお、「数5」中の数値である0.1rps、及び0.2rpsは制御定数であり、使用するモータの要求仕様等により任意に設定可能な数値である。
ここで算出された目標回転数Rtは、出力電圧調整部8、仮想電流算出部10、及び角速度調整部12に送られる。
(実回転数の算出)実回転数算出部13は、角速度調整部12から取得した調整角速度R’をモータの機械角1回転分記録し、その移動平均をとることで、モータの実回転数を算出する。ここで、電気角、及び機械角の対応関係として、例えば、4極モータであれば、一の電極の電源の位相が360°変化すると、ロータは1/2回転、つまり180°変化し、このとき、電気角が360°変化すると、機械角が180°変化すると記述でき、また6極モータであれば、一の電極の電源の位相が360°変化するとロータは1/3回転、つまり120°回転するので、このとき電気角が360°変化すると機械角が120°変化すると記述できる。
電気角記録タイミングは誘起電圧位相角の検出毎(電気角60°毎)に、最も古いデータを上書きして記録する。具体的に機械角1回転あたりの電気角記録回数を示すと、例えば4極モータであれば、機械角1回転あたり電気角は2回転、つまり720°変化するので、720°÷60°=12回検出され、6極モータであれば、機械角1回転あたり電気角は3回転、つまり1080°変化するので、1080°÷60°=18回分記憶されることになる。
そして、実回転数算出部13は、上記に示す回数分データを記録した調整角速度R’の移動平均を実回転数Rrとして出力電圧調整部8と回転数設定部9へ出力する。
(印加電圧の調整)正弦波データ作成部14では、正弦波データ作成部14で算出される相電圧位相角と、後で説明する出力電圧調整部8で算出されるインバータ回路2へ印加する印加電圧のピーク電圧値を用いて各相毎の印加電圧が算出される。
まず、相電圧位相角の算出について説明する。正弦波データ作成部14では、角速度調整部12から入力された調整角速度R’と、予め与えれたPWMのキャリア周波数fcから「数6」により単位キャリア当たりの電圧位相進角ΔΘcを算出する。
更に現在の電圧位相角Θvと、上式で求めた電圧位相角ΔΘcを加算して、「数7」のように次回出力時の電圧位相角Θvとして算出する。
なお、「数7」より算出した結果が、Θv≧360°の場合は、360°をまたいだ状態により、「数8」により、360°を0°とした角度に変換する。
更に、各相毎の相電圧位相角を「数9」より算出し、算出されたΘvu、Θvv、Θvwは正弦波データ作成部14において、各相毎の印加電圧の算出に用いられると共に、仮想電流算出部10へ送られる。
次にインバータ回路2へ印加するピーク電圧値の算出について説明する。出力電圧調整部8では、回転数設定部9から入力された目標回転数RtをもとにPI制御により出力ピーク電圧Voを算出する。なお、出力ピーク電圧の算出にあたっては、DC電圧検出部7から入力されたDC電圧値を最大値とする制限をつける。算出された出力ピーク電圧値は、正弦波データ作成部14に送られる。なお、この算出された出力ピーク電圧値は、仮想電流算出部10へも送られる。
正弦波データ作成部14は、算出した各相毎の相電圧位相角Θvu、Θvv、及びΘvwと、出力電圧調整部8から取得した出力ピーク電圧Voとを用いて、「数10」のとおり各相毎の印加電圧を算出し、PWM作成部15へ出力する。
PWM作成部15では、正弦波データ作成部14で求めた各相毎の印加電圧をPWMデューティ値へ変換し、インバータ回路2へPWM信号を出力する。インバータ回路2は、このPWM信号に基づいてモータを駆動する。
以上のように、本発明は、ロータの位置検出に複雑な演算を用いることなく、逆起電流のゼロクロスのみを検出するだけでモータの制御が可能となり、ロータの位置検出のパラメータとして、モータの有する巻線抵抗値Rとインダクタンス値Lのみを用いるので、演算負荷の低減が可能となる。これより、複雑な演算を用いることなく、センサレス正弦波駆動のモータ制御を行い得る、モータ制御装置を提供することが可能になる。
1.モータ
2.インバータ回路
3.整流回路
4.交流電源
5.制御部
6.電流検出部
7.DC電源検出部
2.インバータ回路
3.整流回路
4.交流電源
5.制御部
6.電流検出部
7.DC電源検出部
Claims (4)
- 複数相のステータ巻線とロータを備えたモータを駆動するためのロータ位置検出装置であって、
相電圧、モータのインダクタンス値、及び巻線抵抗値からステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出する仮想電流算出手段と、
各ステータ巻線に流れる相電流を検出する相電流検出手段と、
前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流と前記相電流との交点の位相角を算出する位相差算出手段と、
前記相電圧のゼロクロス点を基準に前記仮想電流の位相角を求め、前記交点の位相角から、前記仮想電流の位相角だけ戻した位相角を誘起電圧のゼロクロス点として前記ロータの位置検出を行うロータ位置検出手段を備えたことを特徴とする、ロータ位置検出装置。 - 請求項1に記載されたロータ位置検出装置を備えたモータ制御装置。
- 複数相のステータ巻線とロータを備えたモータを駆動するためのロータ位置検出方法であって、
仮想電流算出手段で相電圧、モータのインダクタンス値、及び巻線抵抗値からステータ巻線に発生する逆起電力を無視した仮想電流を算出するステップと、
相電流検出手段で各ステータ巻線に流れる相電流を検出するステップと、
位相差算出手段で前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流と前記相電流との交点の位相角を算出するステップと、
ロータ位置検出手段で前記相電圧の位相を基準として前記仮想電流の位相角を求め、前記交点の位相角から、前記仮想電流の位相角だけ戻した位相角を誘起電圧のゼロクロス点としてロータの位置検出を行うステップからなるロータ位置検出方法。 - 請求項3に記載されたロータ位置検出方法を用いたモータ制御方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103066876A (zh) * | 2013-01-17 | 2013-04-24 | 电子科技大学 | 一种具有同步发电机特性的逆变控制器 |
CN113054876A (zh) * | 2021-03-17 | 2021-06-29 | 林国尊 | 吊扇用无传感器无刷直流马达控制装置及方法 |
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2008
- 2008-03-31 JP JP2008091521A patent/JP2009247134A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103066876A (zh) * | 2013-01-17 | 2013-04-24 | 电子科技大学 | 一种具有同步发电机特性的逆变控制器 |
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