JP4352860B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電動機の制御装置に係り、特に、ブラシレスモータを効率良く回転させるための電動機の制御装置に関する。
従来、例えば特開平7−274582号公報には、ブラシレスモータの各相コイルに電流が供給される期間、すなわち通電角を、要求トルクに応じて変化させる制御装置が開示されている。ブラシレスモータは、各相コイルの通電角が大きいほど大きなトルクを発生する。このため、上記従来の装置によれば、通電角を増減させることにより、電動機の発するトルクを所望のトルクに制御することができる。以下、この装置を「第1の従来装置」と称する。
一方、特開平7−337067号公報には、ブラシレスモータの各相コイルに電流を供給する位相、つまり位相角を制御する装置が開示されている。この装置では、各相コイルに対する通電角は一定に保たれ、最も少ない電流で電動機が駆動できるように位相角が制御される。各相コイルに対する電流には、立ち上がりの遅れ等が存在するため、電動機を効率的に回転させるための位相角は、電動機の回転数に応じて変化する。上記従来の装置によれば、電流値が最も少なくなるように位相角を決めることにより、結果的に、最も効率の良い位相角を用いることができる。このため、この装置によれば、電動機を効率的に回転させることができる。以下、この装置を第2の従来装置と称する。
特開平7−274582号公報 特開平7−337067号公報
電動機を高速で回転させるためには、低速回転時に比して通常は大きなトルクが必要となる。このため、第1の従来装置によれば、電動機の回転速度が高まるに連れて各相コイルに対する通電角が大きくされる。通電角は、各相コイルの電圧(逆起電力)が最大となる回転角(以下、「各相コイルの通電中心角」とする)を中心として、その前後に等しく配分されるのが通常である。この規則によれば、通電角が大きくなるほど、各相コイルに対して電流が通電され始める回転角は進角されることになる。
各相コイルに対する電流の立ち上がり遅れは、電動機の回転速度が高まるに連れて、その影響を増大させる。そして、その影響を相殺するためには、電動機の回転速度が高まるに連れて、各相コイルに対する通電開始の回転角を進角させることが有効である。この点、第1の従来装置は、電流の立ち上がり遅れの影響を相殺するうえでも有利な特性を有していることとなる。
しかしながら、要求トルクの増大分を補うための通電角の増大傾向と、電流の立ち上がり遅れの影響を排除するための通電開始角の進角傾向とは、必ずしも一致するものではない。このため、第1の従来装置によっては、要求トルクが変化する状況下で、各相コイルに対する電流の立ち上がり遅れの影響を最大限排除しつつ、最高の効率で電動機を駆動するという機能は実現することができなかった。
また、第2の従来装置は、固定された通電角を用いるという条件の中では最も効率良く電動機を回転させることができるが、要求されるトルクが変化するような状況下で、その要求を迅速に実現することができない。つまり、この装置によっても、要求トルクが変化する状況下で、各相コイルに対する電流の立ち上がり遅れの影響を最大限排除しつつ、最高の効率で電動機を駆動するという機能は実現することはできなかった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、各相コイルに対する電流の立ち上がり遅れの影響十分に排除し、かつ、効率良く電動機を駆動しつつ、変動する要求トルクを迅速に発生させ得る電動機の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、ブラシレスモータの回転を制御するための電動機の制御装置であって、
電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
電動機の回転速度に応じて、各相コイルに対する通電角を可変とする通電角可変手段と、
電動機の回転速度が速いほど、前記通電角のうち各相コイルの通電中心角より前側の角度がその後ろ側の角度に対して大きくなるように、通電開始角を決定する通電開始角決定手段と、を備え
前記通電開始角決定手段は、
電動機の回転速度に応じて、各相コイルに対する通電電流の立ち上がりに要する角度を進み角として算出する進み角算出手段と、
前記前側の角度が、前記進み角の分だけ前記後ろ側の角度に比して大きくなるように、前記通電開始角を算出する通電開始角算出手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第の発明は、第1の発明において、
各相コイルへの通電が停止された後、そのコイルに還流電流が流れる期間を還流期間角として推定する還流期間推定手段と、
前記通電角の後、各相コイルの逆起電力がゼロとなるまでの角度を通電終了角として算出する通電終了角算出手段と、
前記通電終了角が前記還流期間角より小さい場合は、前記逆起電力がゼロとなるまでの間に前記還流期間角が確保されるように、前記通電角の終了点を補正する通電角終了点補正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第の発明は、第1または第2の発明において、
各相コイルへの通電角を固定し、その通電角の中でPWM制御を行うことでトルク制御を行うPWM制御手段と、
前記通電角可変手段により前記通電角を可変とすることでトルク制御を行う通電角制御手段と、
電動機の回転速度が制御切り替え判定値より高い場合には、前記通電角制御手段を作動させ、一方、電動機の回転速度が制御切り替え判定値以下である場合には前記PWM制御手段を作動させる制御切り替え手段と、
を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、電動機の回転速度に応じて、所望のトルクを発生させるための適切な通電角を設定することができる。更に、この発明によれば、電動機の回転速度が早いほど、通電角の前側の角度比率を、その後ろ側の角度比率に比して大きくすることができる。前側比率と後ろ側比率とがこのように変更されると、回転速度の高低によらず、各相コイルに対する通電電流の立ち上がり遅れの影響を排除することができる。このため、本発明によれば、各相コイルに対する電流の立ち上がり遅れの影響を十分に排除し、かつ、効率良く電動機を駆動しつつ、変動する要求トルクを迅速に発生させることができる。
また、この発明によれば、電動機の回転速度に応じて、各相コイルに対する通電電流の立ち上がりに要する角度を進み角として算出し、通電角の前側の角度を、その進み角の分だけ後ろ側の角度より大きくすることができる。この場合、立ち上がり後の電流は、通電中心角に対して前後均等に配分されることとなり、高い効率での電動機の駆動が可能となる。
の発明によれば、各相コイルへの通電の後に、常に還流期間が確保されるように通電角の終了点を設定することができる。このため、本発明によれば、還流電流に起因して、電動機に負のトルクがかかるのを確実に防ぐことができる。
の発明によれば、電動機の回転速度が低く、PWM制御により高精度な回転制御が実行できる領域では、電動機の制御をPWM制御により行うことができる。また、電動機の回転速度が高く、電流の立ち上がりの影響でPWM制御により高精度な制御ができない領域では、通電角を可変とすることで電動機の回転を制御することができる。このため、本発明によれば、低回転域での電動機の負荷を不必要に高めることなく、全回転領域において、精度良く所望の回転数制御を実現することができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、3相のブラシレスモータ(以下、単に「電動機」と称す)10を備えている。電動機10は、所定のパターンに着磁された回転子と、その回転子を取り巻くように配置されたU相、V相およびW相のコイルとを備えている。
電動機10のU相コイル、V相コイルおよびW相コイルには、インバータ12が接続されている。また、インバータ12には、直流電源14が接続されている。インバータ12は、直流電源14から供給される直流電力を、電動機10に供給するための交流電力に変換するための装置である。
インバータ12の内部には、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルのそれぞれと対応する3組のスイッチ素子対が設けられている。個々のスイッチ素子対は、各相コイルを電源電位に導通させるための+側スイッチ素子16と、各相コイルを接地電位に導通させる−側スイッチ素子18とで構成されている。U相を例にすれば、U相+側スイッチ素子16をONとすれば、U相コイルに電源電圧を供給することができ、一方、U相−側スイッチ素子18をONとすれば、U相コイルを接地電位に接続することができる。そして、これら3組のスイッチ素子対を適当にON・OFFさせれば、各相コイルに対して位相のずれた交流電圧を印加して電動機10を回転させることができる。
インバータ12は、更に、上述した個々のスイッチ素子16,18と並列に配置された還流ダイオード19を備えている。より具体的には、+側スイッチ素子16と並列には、各相コイル側から電源電位側へ向かう電流の流れを許容する還流ダイオード19が配置されている。また、−側スイッチ素子18と並列には、接地電位側から各相コイル側へ向かう電流の流れを許容する還流ダイオード19が配置されている。これらの還流ダイオード19によれば、スイッチ素子16,18がONからOFFとされた後に、各相コイルに蓄えられたエネルギーが消費されるまでの間、還流電流を適当に流通させることができる。
本実施形態のシステムは、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルのそれぞれと対応する3つの電流センサ20を備えている。これらの電流センサ20によれば、各相コイルを流れる電流を検知することができる。また、電動機10には、U相、V相およびW相のそれぞれと対応する磁極センサ22が組み込まれている。磁極センサ22は、回転子の位置を検知するためのセンサである。これらの磁極センサ22によれば、回転子の回転角や電動機10の回転速度(回転数)を検出することができる。
電流センサ20の出力、および磁極センサ22の出力は、制御器24に供給されている。制御器24には、また、インバータ12に内蔵される6つのスイッチング素子16,18が接続されている。制御器24は、電流センサ20や磁極センサ22の出力に基づいて電動機10の運転状態を検出し、その検出結果を基礎として、各相コイルに対応するスイッチング素子16,18を適当にON・OFFさせることができる。
[実施の形態1の動作原理]
図2は、本実施形態のシステムの動作原理を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図2(A)は、電動機10の作動中にU相コイルに表れる逆起電力の波形の一例を示す。また、図2(B)は、U相コイルに対する通電パターンの波形の一例であり、図2(C)は、その結果としてU相コイルに流通する電流の波形である。
図2(C)に示すように、U相コイルに流れる電流は、U相コイルへの通電が開始された後(回転角αの時点)、所定の期間(回転角γの期間)をかけて立ち上がる。その後、U相電流は、U相コイルへの通電が遮断されるまでの間(安定期間t1)だけ安定値を維持し、その通電が遮断された後、所定の還流期間を経て消滅する。
電動機10のトルクの大きさは、各相コイルに発生する逆起電力と、各相コイルを流通する電流との積により決定される。このため、図2に示す例では、U相コイルへの通電角tが、電動機10のトルクの大きさを決める主たるパラメータである。そこで、本実施形態の装置は、各相コイルへの通電角tを、電動機10に要求されるトルクの大きさに基づいて設定することとしている。より具体的には、本実施形態の装置は、電動機10の実回転数と目標回転数との偏差を求め、実回転数を高める必要がある場合には通電角tを大きくし、一方、実回転数を下げる必要がある場合には通電角tを小さくすることとしている。
電動機10は、コイル電流が大きく、かつ、コイル電圧が高いほど大きなトルクを発生する。このため、電動機10を効率良く作動させるためには、コイル電流が大きな値に安定する時期を、コイル電圧(逆起電力)が最大となる時期に同期させることが有効である。図2に示す例において、U相電圧が最大となるのは、U相電圧がゼロクロスする時点から90度だけ回転角がずれた時点である。そして、U相電圧は、回転角が90度となる点を中心として、その前後で対象な減少傾向を示す。
この場合、U相電流が仮に一定であるとするならば、回転角が90度となる点を中心として、その前後に同じ配分でU相電流を流通させることが、電動機10を効率的に作動させるうえで最も理想的な手法となる。以下、この場合における回転角90度のような角度、つまり、コイル電流が一定値である場合に、最高の効率を得るために、そのコイル電流の通電角の中心とするべき角度を「通電中心角」と称す。
図2(C)に示すように、現実のU相電流は、γの立ち上がり期間(以下、「進み角γ」とする)を経て安定値に達する。このため、通電角tの中心を通電中心角(90度)に合わせて電動機10を駆動したのでは、通電角tの前半において、より具体的には、進み角γの期間において、駆動効率に無駄が生ずることになる。そこで、本実施形態の装置は、通電角tから進み角γを除いた安定期間t1を求め、その安定期間t1の中心が通電中心角(90度)と一致するように各相コイルの通電を制御することとした。この場合、各相コイルの逆起電力が最大となる期間と、各相コイルの流通電流が最大値付近で安定する期間とが同期するため、十分に高い効率で電動機10を回転させることが可能となる。
本実施形態の装置では、電動機10の回転速度が高い状況下で大きな通電角tが要求されると、通電角tの終了時点からコイル電圧がゼロクロスするまでの間に、還流電流を消滅させるのに必要な十分な期間が確保できない事態が生じ得る。つまり、要求トルクに基づいて設定された通電角tをそのまま採用すると、各相コイルへの通電が停止された後、その相の還流電流が消滅する以前に、その相の電圧がゼロクロスして反転するような事態が生じ得る。
図2に示す例において、U相コイルの還流電流が、回転角180度の点を超えて残存しているとすれば、U相電圧が基準電圧を下回る180度以降の領域において、U相コイルと回転子との間には負のトルク、つまり、回転子を停止させようとする方向のトルクが発生する。このような負のトルクは、電動機10の効率を下げるものであるから、発生しないことが望ましい。そこで、本実施形態の装置は、各相コイルへの通電を開始するに先立ち、還流電流の消滅に必要な期間(還流期間角β´)を推定し、通電角tの終了点からコイル電圧のゼロクロス点までの間に、常にその還流期間角β´が確保されるように通電角tの終了角を決定することとした。このような処理によれば、還流電流に起因する負のトルクの発生を確実に防ぐことができ、電動機10の運転効率の悪化を避けることができる。
[本実施形態における具体的処理]
図3は、上記の機能を実現するために、本実施形態において制御器24が実行する処理の流れを説明するためのフローチャートである。図3に示すルーチンでは、先ず、磁極センサ22の出力信号に基づいて電動機10の回転数Nが演算される(ステップ100)。次に、電流センサ20の出力信号をA/D変換して取り込むことによりモータ電流Iが検出される(ステップ102)。モータ電流Iは、より具体的には、U相電流Iの絶対値│I│と、V相電流Iの絶対値│I│と、W相電流Iの絶対値│I│との和である。モータ電流Iは、検出のタイミングによらず各相電流I、IおよびIの大きさ(振幅)の特性値として用い得る変数である。
次に、電動機10の回転数Nおよびモータ電流Iから、通電角t、進み角γ、通電開始角α、通電終了角β、および還流期間角β´が算出される(ステップ104)。通電角tは、既述した通り、電動機10に対する要求トルクに基づいて算出される値である。より具体的には、本実施形態では、実回転数Nと目標回転数Ntgtとの偏差ΔNに基づいて、その偏差が小さくなるように、PI制御の手法でその通電角tが算出される。
進み角γは、各相コイルへの通電が開始された後、コイル電流が立ち上がるのに要する回転角である。コイル電流の立ち上がりに要する時間は、回路の時定数により決まるため、回転数Nによらず実質的には一定である。このため、進み角γは、回転数Nが上昇するに連れて相対的に大きな値となる。図4は、進み角γと回転数Nとの関係を予め適合等により定めたマップの一例である。本実施形態において、制御器24は、図4に示すようなマップを記憶している。上記ステップ104において、制御器24は、そのマップを参照して現在の回転角Nに対応する進み角γを決定する。
通電開始角αは、各相コイルへの通電を開始するタイミングを表す回転角である(図2参照)。既述した通り、本実施形態では、通電角tから進み角αを除いた安定期間t1が、通電中心角(90度)の前後に均等に配分されるように通電パターンを決めることとしている。この場合、通電開始角αは、必然的に次式により算出することができる。また、制御器24は、上記ステップ104において、次式に従って通電開始角αを算出する。
α=90−{γ+(t−γ)/2}
=90−(γ+t)/2 ・・・(1)
ステップ104の段階では、通電角tが終了する回転角から、その後コイル電圧がゼロクロスする回転角(180度)までの角度が通電終了角βとして算出される。つまり、制御器24は、ここでは、次式に従って通電終了角βを算出する。
β=90−(t−γ)/2 ・・・(2)
還流期間角β´は、各相コイルへの通電が停止された後、各相コイルを流れる還流電流が消滅するのに要する時間の角度換算値である。還流電流の消滅に要する時間は、還流電流値が大きいほど長時間となる。そして、その角度換算値は、電動機10の回転速度が早いほど大きな値となる。このため、還流期間角β´は、モータ電流が大きいほど、また、回転数Nが高いほど、大きな値となる傾向を示す。図5は、それらの関係を予め適合等により定めたマップの一例である。本実施形態において、制御器24は、図5に示すようなマップを記憶しており、上記ステップ104では、そのマップを参照して還流期間角β´を算出する。
以上の処理が終了すると、次に、上記ステップ104で算出された通電終了角βが、還流期間角β´以上であるか否かが判別される(ステップ106)。その結果、β≧β´が成立する場合は、その通電終了角βの間に還流電流を消滅させ得ると判断できる。この場合は、その通電終了角βが最終的な通電終了角βとして採用される(ステップ108)。一方、β≧β´が成立しないと判別された場合は、その通電終了角βでは、還流電流を消滅させ得ないと判断できる。この場合は、上記の還流期間角β´が最終的な通電終了角βとして採用される(ステップ110)。
以後、上記の処理により決定されたパターンで、インバータ12に対してゲート信号が出力される(ステップ112)。つまり、各相コイルへの通電を通電開始角αの時点で開始し、また、回転角が(180−β)となった時点その通電を停止するパターンでゲート信号が出力される。このようなゲート信号によれば、電動機10は、コイル電流の立ち上がりの遅れに影響されることなく、最も高い効率を維持しながら、所望のトルクを発生することができる。このため、本実施形態の装置によれば、如何なる回転数領域であるかに関わらず、常にほぼ最高の効率で電動機10に所望のトルクを発生させることができる。
[実施の形態1における制御の選択]
本実施形態の装置は、上述した通り、所望のトルクを実現するための通電角tの設定と、高い効率の実現を目的とした位相角(通電開始角α)の設定とを組み合わせた制御(以下、ここではこの制御を「通電角制御」と称す)を行うことができる。そして、その通電角制御を行うことで効率的に電動機10を駆動することができる。しかしながら、本実施形態の装置は、常にその通電角制御の手法で電動機10を駆動するものではない。
図6は、本実施形態の装置が、PWM制御により電動機10を駆動する領域と、通電角制御により電動機10を駆動する領域とを示している。この図に示す通り、本実施形態の装置は、回転数Nの高い領域でのみ通電角制御を行い、回転数Nの低い領域ではPWM制御により電動機10を駆動する。
ここで、本実施形態におけるPWM制御とは、各相コイルへの通電角を固定(例えば120度)し、その通電角の中でスイッチ素子16,18をPWM制御することによりトルクを増減させる制御を意味している。このような制御によれば、通電角(例えば120度)の期間中に各相コイルに流れるコイル電流の平均値を増減させることができる。このため、この制御によれば、電動機10の発するトルクを、そのPWM制御の機能により増減させることができる。
電動機Nが高い回転数Nで作動している場合は、コイル電流の立ち上がりの遅れがトルクに大きな影響を与えるため、上述したPWM制御により高精度な回転数制御を実現することはできない。一方、低回転領域では、スイッチ素子16,18のON・OFFに伴うコイル電流の立ち上がり遅れが制御性には影響しなくなることから、PWM制御によっても高精度な回転数制御を実現することが可能である。
そして、電動機10が受ける負荷を考慮すると、以下の理由により、低回転領域では、PWM制御の方が通電角制御より優れている。つまり、PWM制御によれば、電動機10の各相コイルには、通電角の全域にわたって絶対値の小さなコイル電流が流通する。これに対して、通電角制御では、要求トルクを実現すべく設定された通電角tの間に集中的にコイル電流を流通させる必要があることから、その絶対値が必然的にPWM制御の場合に比して大きなものとなる。その結果、低回転領域で通電角制御が採用された場合は大きなトルク変動が生じ易い。更に、電動機10を効率的に回転させるうえでは、小さなコイル電流を長期に渡って流通させる方が、大きなコイル電流を短期間だけ流通させるより有利である。この点、既述した通り、PWM制御は通電角制御に対して有利である。
そこで、本実施形態の装置は、図6に示すように、PWM制御によっても十分な制御精度が得られる低回転領域では、PWM制御の手法で電動機10を駆動し、一方、PWM制御によっては制御精度が確保できない高回転領域では、通電角制御により電動機10を駆動することとした。このため、本実施形態の装置によれば、低回転領域におけるトルク変動を抑えつつ、電動機10を全回転領域において効率よく優れた精度で制御することができる。
ところで、上述した実施の形態1では、電動機10の各相コイル電圧(逆起電力)は、図2(A)に示すように正弦波に沿って変化するものとされているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、各相コイル電圧は、固定子の着磁状態によっては正弦波に沿った変化を示さないこともある。このような場合でも、上述した定義に従って通電中心角を定め、通電角tから進み角を除いた安定期間t1が、その通電中心角の前後に均等に配分されるように位相角を設定すればよい。
尚、上述した実施の形態1においては、制御器24が上記ステップ100の処理を実行することにより前記第1の発明における「回転速度検出手段」が、上記ステップ104において通電角tを算出することにより前記第1の発明における「通電角可変手段」が、通電開始角αを算出することにより前記第1の発明における「通電開始角決定手段」が、それぞれ実現されている。また、実施の形態1においては、制御器24が、上記ステップ104において進み角γを算出することにより前記第の発明における「進み角算出手段」が、上記(1)式を用いて通電開始角αを算出することにより前記第の発明における「通電開始角算出手段」が、それぞれ実現されている。
また、実施の形態1においては、制御器24が、上記ステップ104において還流期間角β´を算出することにより前記第の発明における「還流期間角推定手段」が、通電終了角βを算出することにより前記第の発明における「通電終了角算出手段」が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第の発明における「通電角終了点補正手段」が、それぞれ実現されている。更に、実施の形態1においては、制御器24が、上述したPWM制御を実行することにより前記第の発明における「PWM制御手段」が、上述した通電角制御を実行することにより前記第の発明における「通電角制御手段」が、図6に示すように制御の手法を切り替えることにより前記第の発明における「制御切り替え手段」が、それぞれ実現されている。

本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の装置の動作原理を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態1において実行される処理の手順を説明するためのフローチャートである。 進み角γと回転数N十の関係を定めたマップの一例である。 還流期間角β´と回転数およびモータ電流との関係を定めたマップの一例である。 本発明の実施の形態1の装置がPWM制御の手法で電動機を駆動する領域と通電角制御の手法で電動機を駆動する領域とを示した図である。
符号の説明
10 電動機
12 インバータ
14 直流電源
16 +側スイッチ素子
18 −側スイッチ素子
20 電流センサ
22 磁極センサ
24 制御器
t 通電角
γ 進み角
α 通電開始角
β 通電終了角
β´ 還流期間角

Claims (3)

  1. ブラシレスモータの回転を制御するための電動機の制御装置であって、
    電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
    電動機の回転速度に応じて、各相コイルに対する通電角を可変とする通電角可変手段と、
    電動機の回転速度が速いほど、前記通電角のうち各相コイルの通電中心角より前側の角度がその後ろ側の角度に対して大きくなるように、通電開始角を決定する通電開始角決定手段と、を備え
    前記通電開始角決定手段は、
    電動機の回転速度に応じて、各相コイルに対する通電電流の立ち上がりに要する角度を進み角として算出する進み角算出手段と、
    前記前側の角度が、前記進み角の分だけ前記後ろ側の角度に比して大きくなるように、前記通電開始角を算出する通電開始角算出手段と、
    を含むことを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  2. 各相コイルへの通電が停止された後、そのコイルに還流電流が流れる期間を還流期間角として推定する還流期間推定手段と、
    前記通電角の後、各相コイルの逆起電力がゼロとなるまでの角度を通電終了角として算出する通電終了角算出手段と、
    前記通電終了角が前記還流期間角より小さい場合は、前記逆起電力がゼロとなるまでの間に前記還流期間角が確保されるように、前記通電角の終了点を補正する通電角終了点補正手段と、
    を備えることを特徴とする請求項記載の電動機の制御装置。
  3. 各相コイルへの通電角を固定し、その通電角の中でPWM制御を行うことでトルク制御を行うPWM制御手段と、
    前記通電角可変手段により前記通電角を可変とすることでトルク制御を行う通電角制御手段と、
    電動機の回転速度が制御切り替え判定値より高い場合には、前記通電角制御手段を作動させ、一方、電動機の回転速度が制御切り替え判定値以下である場合には前記PWM制御手段を作動させる制御切り替え手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1または2記載の電動機の制御装置。
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