JP2015128355A - モータ制御装置 - Google Patents

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JP2015128355A JP2013273398A JP2013273398A JP2015128355A JP 2015128355 A JP2015128355 A JP 2015128355A JP 2013273398 A JP2013273398 A JP 2013273398A JP 2013273398 A JP2013273398 A JP 2013273398A JP 2015128355 A JP2015128355 A JP 2015128355A
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峻介 清水
Shunsuke Shimizu
峻介 清水
浅野 能成
Yoshinari Asano
能成 浅野
善紀 安田
Yoshiaki Yasuda
善紀 安田
洸 原
Akira Hara
洸 原
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Abstract

【課題】電源電圧が直流リンク電圧に脈動を与えるような状況において、直流リンク電圧と誘起電圧との大小関係に基づいて、最適な電流ベクトル制御を行う。
【解決手段】モータ制御装置20では、モータ51の回転速度が中速域のとき、マイクロコンピュータ30が直流電圧Vdcと誘起電圧との比較結果に基づいて、最大効率制御、モータ51を慣性で回転させる制御、及び負のd軸電流を流してモータ51を回転させる制御のいずれかを選択する。その結果、モータ51の回転速度の全域において、弱め磁束制御を適用しないので、無駄な銅損を出さず、効率の最大化を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータ制御装置に関し、特に平滑用の電解コンデンサに代えて小容量のコンデンサを用いるモータ制御装置に関する。
従来、インバータなどの電力変換装置の平滑コンデンサとして電解コンデンサが使用されているが、電解コンデンサは回路構成部材の中でも大型で高価である上に、耐用期間が短いという短所を有している。
そのため、電解コンデンサに代えて小容量のコンデンサを用い、それによって発生する高調波などの問題を制御上で解消しようとする検討が広く行われている。
例えば、特許文献1(特開2002−51589号公報)に開示されているモータ駆動用インバータの制御装置では、直流リンク部に小容量のコンデンサを設けて直流リンク電圧に脈動を発生させつつ、その直流リンク電圧に同期させてモータの電流を脈動させることで、入力電流の導通幅を広げて力率改善を実現している。
また、特許文献2(特開2005−20837号公報)に開示されている多層電流供給回路では、コンデンサの両端電圧の脈動周波数、最大電圧、及び直列共振回路の共振周波数の設定次第で高調波を低減できることを実証している。
さらに、非特許文献1(西原達也、森本茂雄、真田雅之「IPMSM速度制御システムにおける電解コンデンサレス化の影響」、平成21年度電気学会全国大会)によれば、埋込永久磁石同期モータ(IPMSM)速度制御システムにおける電解コンデンサレス化には、最大トルク+弱め磁束制御が有効な制御法であることが紹介されている。
しかしながら、電解コンデンサレスとは言え、小容量のコンデンサが接続されているため、直流リンク電圧が必ずしも0Vに下がるものではなく、直流リンク電圧と誘起電圧との大小関係に鑑みた検討は成されていない。
本発明の課題は、電源電圧が直流リンク電圧に脈動を与えるような状況において、直流リンク電圧と誘起電圧との大小関係に基づいて、最適な電流ベクトル制御を行うことにある。
本発明の第1観点に係るモータ制御装置は、コンバータと、直流リンク部と、インバータと、制御部とを備えている。コンバータは、交流電源の電源電圧を全波整流する。直流リンク部は、コンバータの出力に並列接続されたコンデンサを有し、脈動する直流電圧Vdcを出力する。インバータは、直流リンク部の出力を交流に変換しモータに供給する。制御部は、モータの誘起電圧Voの大きさに応じてモータの動作を制御する。また、制御部は、電流ベクトル制御によってモータの回転速度を制御し、モータの回転速度が所定速度域のとき、直流電圧Vdcと誘起電圧Voとの比較結果に基づいて、最大効率制御、モータを慣性で回転させる制御、及び負のd軸電流を流してモータを回転させる制御のいずれかを選択する。
このモータ制御装置では、モータの回転速度の全域において、弱め磁束制御を適用しないことによって、d軸電流分の余分な銅損を出さず、効率の最大化を図ることができる。
本発明の第2観点に係るモータ制御装置は、第1観点に係るモータ制御装置であって、制御部が、モータの回転速度が所定速度域にあり、且つ、誘起電圧Voが直流電圧Vdcの最大値よりも十分に大きいときは、電流ベクトル制御を行わずにモータを慣性で回転させる制御を行う。
従来の最大トルク/弱め磁束制御での電流ベクトル制御では、中速域及び高速域で弱め磁束制御を適用していたため余分な銅損(無駄な電流)を出していたが、このモータ制御装置では、弱め磁束制御を適用せず余分な銅損を出さないので、効率を最大にすることができる。
本発明の第3観点に係るモータ制御装置は、第1観点に係るモータ制御装置であって、制御部は、モータの回転速度が所定速度域にあり、且つ、誘起電圧Voが直流電圧Vdcの最小値と最大値との間を変動している場合、モータのトルクが不足するときは、負のd軸電流を流してモータを回転させる制御を行う。
このモータ制御装置では、例えば、最大トルク・電流制御に代えて最大効率制御でモータの回転速度を制御しているときに、トルクを発生させることができないときの対処として有効である。
本発明の第4観点に係るモータ制御装置は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係るモータ制御装置であって、制御部は、モータの回転速度が所定速度域よりも低い低速域のときは、最大効率制御によってモータを制御する。また、制御部は、モータの回転速度が所定速度域よりも高い高速域のときは、モータを慣性で回転させる制御によってモータを制御する。
このモータ制御装置では、モータの回転速度の全域において、弱め磁束制御を適用しないことによって、d軸電流分の余分な銅損を出さず、効率の最大化を図ることができる。
本発明の第5観点に係るモータ制御装置は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係るモータ制御装置であって、コンデンサが小容量フィルムコンデンサである。
このモータ制御装置では、小容量フィルムコンデンサを採用することにより小型軽量化、長寿命化を図りつつ、効率面では適切に電流ベクトル制御を行うことにより効率を最大化することができる。
本発明の第6観点に係るモータ制御装置は、第1観点から第4観点に係る制御装置であって、直流電圧Vdcを検出する電圧検出手段をさらに備えている。
このモータ制御装置では、[インバータ用に備えられている電流検出器の電流値に基づいて誘起電圧Voを算出しその誘起電圧Voから直流電圧Vdcを算出する方式]との対比において、直流電圧Vdcを算出する必要がない分だけ、制御が容易になる。
本発明の第7観点に係るモータ制御装置は、第1観点から第4観点に係る制御装置であって、モータの巻線間電圧を検出する巻線間電圧検出手段をさらに備えている。
このモータ制御装置では、[インバータに備えられている電流検出器の電流値に基づいて誘起電圧Voを算出しその誘起電圧Voから直流電圧Vdcを算出する方式]との対比において、巻線間電圧検出手段によって誘起電圧Voを検出するので、誘起電圧Voを算出する必要がない分だけ、制御が容易になる。
本発明の第8観点に係るモータ制御装置は、第1観点から第7観点のいずれか1つに係るモータ制御装置であって、モータが埋込磁石同期モータである。
このモータ制御装置では、マグネットトルクに加えてリラクタンストルクも併用できるため、高トルク化が図れる。また、ロータの位置によってインダクタンスが変化するため、これを利用して、始動位置の推定や極低速域での位置センサレス運転が可能である。
本発明の第1観点に係るモータ制御装置では、モータの回転速度が所定速度域のとき、制御部が直流電圧Vdcと誘起電圧Voとの比較結果に基づいて、最大効率制御、モータを慣性で回転させる制御、及び負のd軸電流を流してモータを回転させる制御のいずれかを選択する。その結果、モータの回転速度の全域において、弱め磁束制御を適用しないので、d軸電流分の余分な銅損を出さず、効率の最大化を図ることができる。
本発明の第2観点に係るモータ制御装置では、モータの回転速度が所定速度域にあり、且つ、誘起電圧Voが直流電圧Vdcの最大値よりも十分に大きいときは、制御部は電流ベクトル制御を行わずにモータを慣性で回転させる制御を行う。その結果、弱め磁束制御を適用せず余分な銅損を出さないので、効率を最大にすることができる。
本発明の第3観点に係るモータ制御装置では、モータの回転速度が所定速度域にあり、且つ、誘起電圧Voが直流電圧Vdcの最小値と最大値との間を変動している場合、モータのトルクが不足するときは、制御部は負のd軸電流を流してモータを回転させる制御を行う。その結果、例えば、最大トルク・電流制御に代えて最大効率制御でモータの回転速度を制御しているときに、トルクを発生させることができないときの対処として有効である。
本発明の第4観点に係るモータ制御装置では、モータの回転速度が所定速度域よりも低い低速域のときは、制御部は最大効率制御によってモータを制御する。また、モータの回転速度が所定速度域よりも高い高速域のときは、制御部はモータを慣性で回転させる制御によってモータを制御する。その結果、モータの回転速度の全域において、弱め磁束制御を適用しないので、余分な銅損を出さず、効率の最大化を図ることができる。
本発明の第5観点に係るモータ制御装置では、小容量フィルムコンデンサを採用することにより小型軽量化、長寿命化を図りつつ、効率面では適切に電流ベクトル制御を行うことにより効率を最大化することができる。
本発明の第6観点に係るモータ制御装置では、電圧検出手段で直流電圧Vdcを検出するので、直流電圧Vdcを算出する必要がない分だけ、制御が容易になる。
本発明の第7観点に係るモータ制御装置では、巻線間電圧検出手段によって誘起電圧Voを検出するので、誘起電圧Voを算出する必要がない分だけ、制御が容易になる。
本発明の第8観点に係るモータ制御装置では、モータが埋込磁石同期モータであるので、マグネットトルクに加えてリラクタンストルクも併用でき、高トルク化が図れる。また、ロータの位置によってインダクタンスが変化するため、これを利用して、始動位置の推定や極低速域での位置センサレス運転が可能である。
本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が採用されるシステムの全体構成と、モータ制御装置の内部構成とを示すブロック図。 巻線間電圧検出部の回路図。 電流ベクトル制御のフローチャート。 最大トルク/電流曲線を電流ベクトル平面上に表したグラフ。 最大トルク/誘起電圧曲線を電流ベクトル平面上に表したグラフ。 弱め磁束制御の説明図。 速度一定時に最大効率制御を実現する電流ベクトルの軌跡を示すグラフ。 電流制限と電圧制限を電流ベクトル平面上に表したグラフ。 電流制限円及び電圧制限楕円を描いた電流ベクトル平面上に各制御法による電流ベクトル軌跡を描いたグラフ。 電流制限円及び電圧制限楕円を描いた電流ベクトル平面上に各制御法による電流ベクトル軌跡を描いたものにおいて、電流制限円のみが大きくなっているグラフ。 電流制限円及び電圧制限楕円を描いた電流ベクトル平面上に各制御法による電流ベクトル軌跡を描いたものにおいて、ロータ鎖交磁束が図9よりも小さくなっているグラフ。 直流電圧Vdcの変動を示すグラフ。 モータの回転速度とトルクとの関係を示すグラフ。 直流電圧Vdcが誘起電圧Voに対して十分に大きいときの電流ベクトルの制御方法を説明するためのグラフ。 誘起電圧Voが図14AにおけるVo2からさらに小さいVo3になったときの電流ベクトルの制御方法を説明するためのグラフ。 誘起電圧Voが図14BにおけるVo3からさらに小さいVo4になったときの電流ベクトルの制御方法を説明するためのグラフ。 誘起電圧Voが図14CにおけるVo4からさらに小さいVo5になったときの電流ベクトルの制御方法を説明するためのグラフ。 誘起電圧Voが図14DにおけるVo5からさらに小さいVo6になったときの電流ベクトルの制御方法を説明するためのグラフ。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(1)システム100の概要
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置20が採用されるシステム100の全体構成と、モータ制御装置20の内部構成とを示すブロック図である。図1において、システム100は、モータ51と、そのモータ51を駆動制御するモータ制御装置20とで構成されている。
(1−1)モータ51
モータ51は、3相のブラシレスDCモータであって、ステータ52と、ロータ53とを備えている。ステータ52は、スター結線されたU相、V相及びW相の駆動コイルLu,Lv,Lwを含む。各駆動コイルLu,Lv,Lwの一方端は、それぞれインバータ25から延びるU相、V相及びW相の各配線の駆動コイル端子TU,TV,TWに接続されている。各駆動コイルLu,Lv,Lwの他方端は、互いに端子TNとして接続されている。これら3相の駆動コイルLu,Lv,Lwは、ロータ53が回転することによりその回転速度とロータ53の位置に応じた誘起電圧を発生させる。
ロータ53は、N極及びS極からなる複数極の永久磁石を含み、ステータ52に対し回転軸を中心として回転する。ロータ53の回転は、この回転軸と同一軸心上にある出力軸(図示せず)を介して負荷15に出力される。
なお、モータ51は永久磁石同期モータであり、埋込磁石同期モータ及び表面磁石同期モータのいずれが適宜選択されるが、好ましくは埋込磁石同期モータを推奨する。なぜなら、マグネットトルクに加えてリラクタンストルクも併用でき、高トルク化が図れるからである。また、ロータ53の位置によってインダクタンスが変化するため、これを利用して、始動位置の推定や極低速域での位置センサレス運転が可能となる。
(1−2)モータ制御装置20
モータ制御装置20は、図1に示すように、商用電源91に接続された整流部21と、コンデンサ22aにより構成された直流リンク部22と、電圧検出部23と、電流検出部24と、インバータ25と、ゲート駆動回路26と、巻線間電圧検出部27と、制御回路29と、マイクロコンピュータ30とを備えている。これらは、例えば1枚のプリント基板上に実装される。
(2)モータ制御装置20の詳細
(2−1)整流部21
整流部21は、4つのダイオードD1a,D1b,D2a,D2bによってブリッジ状に構成されている。具体的には、ダイオードD1aとD1b、D2aとD2bは、それぞれ互いに直列に接続されている。ダイオードD1a,D2aの各カソード端子は、共にコンデンサ22aのプラス側端子に接続されており、整流部21の正側出力端子として機能する。ダイオードD1b,D2bの各アノード端子は、共にコンデンサ22aのマイナス側端子に接続されており、整流部21の負側出力端子として機能する。
ダイオードD1a及びダイオードD1bの接続点は、商用電源91の一方の極に接続されている。ダイオードD2a及びダイオードD2bの接続点は、商用電源91の他方の極に接続されている。整流部21は、商用電源91から出力される交流電圧を整流して直流電源を生成し、これをコンデンサ22aへ供給する。
(2−2)直流リンク部22
直流リンク部22は、コンデンサ22aから成る。コンデンサ22aは、一端が整流部21の正側出力端子に接続され、他端が整流部21の負側出力端子に接続されている。コンデンサ22aは、整流部21によって整流された電圧を平滑する程の大きな静電容量を有しない、小容量のコンデンサである。以下、説明の便宜上、直流リンク部22の電圧を“直流電圧Vdc”という。
直流電圧Vdcは、コンデンサ22aの出力側に接続されるインバータ25へ印加される。言い換えれば、商用電源91、整流部21、及びコンデンサ22aは、インバータ25に対する直流電源供給部を構成している。
なお、本実施形態においては、コンデンサ22aとしてフィルムコンデンサが採用される。
(2−3)電圧検出部23
電圧検出部23は、コンデンサ22aの出力側に接続されており、コンデンサ22aの両端電圧、即ち直流電圧Vdcの値を検出するためのものである。電圧検出部23は、例えば、互いに直列に接続された2つの抵抗がコンデンサ22aに並列接続され、直流電圧Vdcが分圧されるように構成される。それら2つの抵抗同士の接続点の電圧値は、制御回路29に入力される。
(2−4)電流検出部24
電流検出部24は、コンデンサ22a及びインバータ25の間であって、かつコンデンサ22aの負側出力端子側に接続されている。電流検出部24は、モータ51の起動後、モータ51に流れるモータ電流Imを検出する。
電流検出部24は、例えば、シャント抵抗及び該抵抗の両端の電圧を増幅させるオペアンプを用いた増幅回路で構成されてもよい。電流検出部24によって検出されたモータ電流は、制御回路29に入力される。
(2−5)インバータ25
インバータ25は、コンデンサ22aの出力側に接続される。図1において、インバータ25は、複数の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下、単にトランジスタという)Q3a,Q3b,Q4a,Q4b,Q5a,Q5b及び複数の還流用のダイオードD3a,D3b,D4a,D4b,D5a,D5bを含む。
トランジスタQ3aとQ3b、Q4aとQ4b、Q5aとQ5bは、それぞれ互いに直列に接続されており、各ダイオードD3a〜D5bは、各トランジスタQ3a〜Q5bに、トランジスタのコレクタ端子とダイオードのカソード端子が、また、トランジスタのエミッタ端子とダイオードのアノード端子が接続されるよう、並列接続されている。
インバータ25は、コンデンサ22aからの直流電圧Vdcが印加され、かつゲート駆動回路26により指示されたタイミングで各トランジスタQ3a〜Q5bがオン及びオフを行うことによって、モータ51を駆動する駆動電圧SU,SV,SWを生成する。この駆動電圧SU,SV,SWは、各トランジスタQ3aとQ3b、Q4aとQ4b、Q5aとQ5bの各接続点NU,NV,NWからモータ51に出力される。
(2−6)ゲート駆動回路26
ゲート駆動回路26は、制御回路29からの駆動指令値Vpwmに基づき、インバータ25の各トランジスタQ3a〜Q5bのオン及びオフの状態を変化させる。具体的には、ゲート駆動回路26は、制御回路29によって決定されたデューティを有する駆動電圧SU,SV,SWがインバータ25からモータ51に出力されるように、各トランジスタQ3a〜Q5bのゲートに印加するゲート制御電圧Gu,Gx,Gv,Gy,Gw,Gzを生成する。生成されたゲート制御電圧Gu,Gx,Gv,Gy,Gw,Gzは、それぞれのトランジスタQ3a〜Q5bのゲート端子に印加される。
(2−7)巻線間電圧検出部27
巻線間電圧検出部27は、2つの入力端子がモータ51のU相の駆動コイル端子TU及びV相の駆動コイル端子TVに接続されており、出力が制御回路29に接続されている。巻線間電圧検出部27は、インバータ25よりも後段側に位置し、起動前においてモータ51が回転している際に、モータ51から発生する誘起電圧Vuv(図2参照)を検出する。
このような巻線間電圧検出部27の構成の一例を、図面を用いて説明する。図2は、巻線間電圧検出部27の回路図である。図2において、モータ51のV相の駆動コイル端子TVからの入力線には、第1抵抗R1及び第2抵抗R2が直列に接続されている。
第1抵抗R1及び第2抵抗R2それぞれの抵抗値をr1、r2としたとき、第1抵抗R1及び第2抵抗R2それぞれの両端には、[r1・Vuv/(r1+r2)]、[r2・Vuv/(r1+r2)]の電圧が発生しており、両者のうちのいずれか一方の電圧が制御回路29に入力される。
(2−8)制御回路29
制御回路29は、巻線間電圧検出部27、電圧検出部23、電流検出部24、ゲート駆動回路26及びマイクロコンピュータ30と接続されている。制御回路29は、マイクロコンピュータ30から送られてきた速度指令を含む指令に基づいて、モータ51を駆動させる回路である。
本実施形態では、ロータ位置センサレス方式にてモータ51を駆動させている。ロータ位置センサレス方式は、モータ51の特性を示す各種パラメータ、モータ51起動後の巻線間電圧検出部27の検出結果、電圧検出部23の結果、電流検出部24の結果、及びモータ51の制御に関する所定の数式モデル等を用いて、ロータ位置及び回転数の推定、回転数に対するPI制御、モータ電流に対するPI制御等を行う方式である。モータ51の特性を示す各種パラメータとしては、使用されるモータ51の巻線抵抗、インダクタンス成分、誘起電圧、極数などが挙げられる。
(2−9)マイクロコンピュータ30
マイクロコンピュータ30は、制御回路29と接続されている。また、マイクロコンピュータ30は、各機器を統括して制御する制御部とも接続されており、各機器における異常の有無に応じて、モータ51の駆動を制御する。それゆえ、マイクロコンピュータ30は、判断部として機能する。
なお、このマイクロコンピュータ30には、インバータ25とは別の電源Vc(図2参照)が、モータ51の駆動状態に関係なく常に供給される。
(3)電流ベクトル制御
(3−1)電流ベクトル制御の概要
図3は、電流ベクトル制御のフローチャートである。図3において、制御回路29では、A−Dコンバータ29aが電流検出部24から出力された電圧値を測定し、3相の電流値(Iu,Iv,Iw)を算出する。
座標変換部29bは、3相の電流値(Iu,Iv,Iw)をdq軸電流(Id,Iq)に変換する。
ロータ位置推定部29cは、ロータ53の角速度ωと電気角θを算出する。
速度制御部29eは、目標の角速度と実際の角速度ωとからPI制御によって、電流指令値(Id*,Iq*)を算出する。
電流制御部29fは、電流指令値(Id*,Iq*)と実電流値(Id,Iq)とからPI制御によってdq軸電圧指令値(Vd*,Vq*)を算出する。
逆座標変換部29gでは、dq軸電圧指令値(Vd*,Vq*)を3相電圧(Vu*,Vv*,Vw*)に変換し、制御回路29からの駆動指令値Vpwmとしてゲート駆動回路26へ出力する。
ゲート駆動回路26は、制御回路29からの駆動指令値Vpwmに基づいて生成したゲート制御電圧Gu,Gx,Gv,Gy,Gw,Gzを、各トランジスタQ3a〜Q5bのゲートに印加し、インバータ25の各トランジスタQ3a〜Q5bのオン及びオフの状態を変化させる。
以下、本願発明を説明する上で必要な電流ベクトル制御のうちの最大トルク/電流制御、最大トルク/磁束制御(最大トルク/誘起電圧制御)、弱め磁束制御、及び最大効率制御について触れておく。参考文献は、「省エネモータの原理と設計法」科学技術出版 森本茂雄、真田雅之 著である。
(3−1−1)最大トルク/電流制御
最大トルク/電流制御は、電流に対する発生トルクが最大となるように電流ベクトルを制御する方法である。具体的には、次式に基づき、Iqに応じてIdを制御する。
Id=φa/2(Lq−Ld)−{φa2/4(Lq−Ld)2+Iq21/2 ・・・・・・(1)
上記(1)において、φaはロータ鎖交磁束ベクトルの大きさ、Ld,Lqはd,q軸インダクタンスである。
図4は、上記(1)式の関係を電流ベクトル平面(Id−Iq平面)上に表したグラフである。図4において、実線で表された曲線は最大トルク/電流曲線であり、点線で表された曲線は定トルク(T1,T2,T3,―T1,―T2,―T3)ごとに示した定トルク曲線であり、一点鎖線で表された円は定電流(I1,I2,I3)ごとに示した定電流円である。
最大トルク/電流曲線は、原点からの距離(電流ベクトルの大きさに相当)が最小となる定トルク曲線上の運転ポイント、及び発生トルクが最大となる定電流円上の運転ポイントであり、定トルク曲線と定電流円の接点(P1,P2,P3,P4,P5,P6)の集合である。
最大トルク/電流制御では、電流ベクトルを負荷トルクに応じて最大トルク/電流曲線上に制御することになる。
(3−1−2)最大トルク/磁束制御(最大トルク/誘起電圧制御)
最大トルク/磁束制御は、同一トルク発生時に鎖交磁束φが最小となる条件になるように制御する方法である。鎖交磁束φが最小となる条件は、速度が一定のとき誘起電圧Voが最小となる条件でもあり、誘起電圧Voの上限値を考慮したときに最大の発生トルクが得られる条件である。それゆえ、最大トルク/磁束制御を最大トルク/誘起電圧制御ともよぶ。最大トルク/誘起電圧制御の条件を満たすd,q軸電流の関係は次式で表される。
Δφd=[−Lqφa+{(Lqφa)2+8(Lq−Ld)2φo21/2]/4(Lq−Ld) ・・・・・・(2)
図5は、上記(2)式の関係を電流ベクトル平面(Id−Iq平面)上に表したグラフである。図5において、実線で表された曲線は最大トルク/誘起電圧曲線であり、一点鎖線で表された曲線は定トルク(T1,T2,T3,―T1,―T2,―T3)ごとに示した定トルク曲線であり、点線で表された楕円は定鎖交磁束(φ1,φ2)ごとの定鎖交磁束楕円(定誘起電圧楕円)である。
最大トルク/誘起電圧曲線は、発生トルクが最大となる定誘起電圧楕円上の運転ポイントであって、定トルク曲線と定誘起電圧楕円の接点(P1,P2,P3,P4)の集合である。
電圧の制限を考慮した場合に高速運転するためには、速度増加によりロータ鎖交磁束を小さくする必要があるため、電流ベクトルは速度の増加に伴ってP2→P1と移動する。
(3−1−3)弱め磁束制御
弱め磁束制御は、負のd軸電流を流すことで磁束を減少させ、モータを高速運転させる制御である。弱め磁束制御では、誘起電圧Voを制限値Vomに保つため、d、q軸電流の関係は、
(φa+LdId)2+(LqIq)2=(Vom/ω)2 ・・・・・・(3)
で表される。これは、定誘起電圧楕円を表しており、誘起電圧Voを制限値Vomに設定したものである。
図6は、弱め磁束制御の説明図である。図6において、実線で表された楕円は定誘起電圧楕円であり、点線で表された曲線は最大トルク/誘起電圧曲線であり、一点鎖線で表された曲線は定トルク(T1,T2,T3,―T1,―T2,―T3)ごとに示した定トルク曲線である。2つの定誘起電圧楕円は、誘起電圧Voの制限値Vomが同じで、速度が異なる場合(ω1<ω2)を表している。運転速度及び必要トルクに応じて定誘起電圧楕円上の運転ポイント(P1,P2,P3,P4,P5,P6)が決まる。
定誘起電圧楕円と最大トルク/誘起電圧曲線とが交わるポイントにおいて、トルクは最大又は最小となる。
(3−1−4)最大効率制御
最大効率制御は、任意の速度及びトルクにおいて、損失を最小にし、効率を最大にする制御方法である。
図7は、速度一定時に最大効率制御を実現する電流ベクトルの軌跡を示すグラフである。図7において、実線で表される曲線は最大効率曲線であり、一点鎖線で表される曲線は定トルク(T1,T2,T3,―T1,―T2,―T3)ごとに示した定トルク曲線である。速度上昇とともにd軸電流を負の方向に増加させると電流ベクトルの大きさが増大して銅損は増えることになるが、弱め磁束効果により鉄損は減少するため、全損失が最小となる条件が得られる。なお、広い意味では、「d軸電流を負の方向に増加させる制御」も弱め磁束制御と呼ぶことができるが、ここでは電圧制限楕円上に電流ベクトルを制御して誘起電圧を一定に保つ制御法である「弱め磁束制御」とは区別している。
最大効率制御では、運転速度とトルクが決まれば、最適電流ベクトルは定トルク曲線と最大効率曲線との交点として決定することができる。
(3−2)電圧・電流制限下での電流ベクトルの選択
インバータ25で駆動されるモータ51では、インバータ25から供給できる電流の上限値Iam及び電圧の上限値Vamを考慮して電流ベクトルを決定する。
モータ51の電圧Va及び電流Iaの制限は、
Ia=(Id2+Iq21/2<Iam ・・・・・・(4)
Va=(Vd2+Vq21/2<Vam ・・・・・・(5)
で表される。
電流の上限値Iamは、連続運転ではモータ定格電流、短時間にはモータ最大電流又はインバータ25の最大出力電流となる。
電圧の上限値Vamは、インバータ25の出力可能な最大電圧であり、直流電圧Vdcとインバータ25の変調方式によって決まる。
ここで、d,q軸インダクタンスをLd,Lqとして、電圧制限について式(5)を誘起電圧Voの制限に置き換えると、
Vo=ω{(φa+LdId)2+(LqIq)21/2<Vom ・・・・・・(6)
図8は、式(4)の電流制限と式(6)の電圧制限を電流ベクトル平面上に表したグラフである。図8において、電流制限を考慮して選択できる電流ベクトルの範囲は電流制限円の内側である。また、電圧制限を考慮して選択できる電流ベクトルの範囲は電圧制限楕円の内側となる。
電圧と電流の制限を満たして選択できる電流ベクトルは、電流制限円と電圧制限楕円の内側であり、速度の増加に伴いその範囲は狭くなる。ωovは、永久磁石による誘導起電力が電圧制限値に達する電気角速度であり、ω=ωovにおける電圧制限楕円は原点と接し、ωovを超えた速度で運転するには必ずd軸電流を流す必要がある。
図9は、電流制限円及び電圧制限楕円を描いた電流ベクトル平面上に前述の各制御法による電流ベクトル軌跡を描いたグラフである。図9において電圧制限楕円の中心Mが電流制限の外側にあるが、これは最大の減磁起磁力を与えたときの最小d軸鎖交磁束が正となることを意味する。
図10は、電流制限円及び電圧制限楕円を描いた電流ベクトル平面上に前述の各制御法による電流ベクトル軌跡を描いたものにおいて、電流制限円のみが大きくなっているグラフである。図10において、電圧制限楕円の中心Mが電流制限の内側となっており、これは、図9における電流の上限値Iamが短時間運転時に大きくなった場合を表しており、電流制限円のみが大きくなっている。
図11は、電流制限円及び電圧制限楕円を描いた電流ベクトル平面上に前述の各制御法による電流ベクトル軌跡を描いたものにおいて、ロータ鎖交磁束φaが図9よりも小さくなっているグラフである。図11において、電圧制限楕円の中心Mが図9との対比において、より原点に近づいている。これは、永久磁石の使用量を少なくする或いは磁力の弱い永久磁石を使用してロータ鎖交磁束φaが小さくなった場合を表している。
(3−2−1)最大トルク/電流制御を選択した場合
図9、図10及び図11において、最大トルク/電流曲線上に電流ベクトルを制御すれば最大トルク/電流制御となる。電流制限のみを考慮したときは、電流制限円と最大トルク/電流曲線との交点Aにおいて、発生トルクは最大となる。しかし、電圧と電流との制限下において、最大トルク/電流制御を行うには、最大トルク/電流曲線と電圧制限楕円との交点A1(ω=ω1のとき)で運転することになる。なお、図8に示すω=ωovにおいて電流、トルクが0となり運転限界となる。
(3−2−2)最大トルク/電圧制御を選択した場合
次に、図9、図10及び図11において、最大トルク/電圧曲線上に電流ベクトルを制御すれば最大トルク/電圧制御となる。電圧制限のみを考慮したときは最大トルク/電圧曲線と電圧制限楕円の交点D1(ω=ω1)で運転することで発生トルクが最大となる。
しかし、この運転ポイントが電流制限円内にない場合は最大トルク/電圧制御を適用することはできない。つまり、図9のように最小d軸鎖交磁束φmin>0の場合は最大トルク/電圧制御を用いることができない。
図10において、最小d軸鎖交磁束φmin<0の場合は、最大トルク/電圧曲線と電流制限円との交点Dから電圧制限楕円の中心Mまでの範囲のみ、最大トルク/電圧制御を適用でき、速度が上昇して電圧制限楕円が点Dと交差する速度以上では、最大トルク/電圧曲線と電圧制限楕円との交点(例えば、ω=ω2のときの交点D2)で運転することで発生トルクが最大となる。
(3−2−3)弱め磁束制御を選択した場合
図9、図10及び図11において、電圧制限楕円上に電流ベクトルを制御すれば、誘起電圧Voを制限値Vomに保つ弱め磁束制御となる。弱め磁束制御は、電圧制限楕円が電流制限円の内側にある高速領域で適用することになり、例えば、ω=ω1のときは電流ベクトルが原点から遠ざかるほど、即ち、A1→E1→Bの方向に移動するほどトルクは増加し、電流制限円と交差するB点において発生トルクは最大となる。このとき、電圧と電流は制限値となっており、その速度において発生トルクが最大となる。
(3−2−4)最大効率制御を選択した場合
最大効率曲線上に電流ベクトルを制御すれば、最大効率の運転が実現できる。例えば、ω=ω1のときは点E1で発生するトルクまでは、この制御が適用できるが、さらに大きなトルクが必要なときは、弱め磁束制御に切り替えて電流ベクトルを電圧制限楕円上を点Bに向かって制御することになる。
ここまで、参考文献「省エネモータの原理と設計法」に基づいて電流ベクトル制御法の基礎的事項について説明してきたが、以下から本願発明について説明する。
(4)具体的制御
図12は、直流電圧Vdcの変動を示すグラフである。図1及び図12において、直流リンク部22に配置されているコンデンサ22aは、整流部21によって整流された電圧を平滑する程の大きな静電容量を有しない小容量のコンデンサであるので、電源電圧が直流電圧Vdcに脈動を与える。
本実施形態に係るモータ制御装置20は、電源電圧が直流電圧Vdcに脈動を与えるような状況において、ある運転領域では直流電圧Vdcと誘起電圧Voとの大小関係に応じて3つのケースに分けて電流ベクトル制御を行う。
図13は、モータ51の回転速度とトルクとの関係を示すグラフである。図13において、点線で表した線分は従来の電流ベクトル制御の選択を示し、実線で表した線分が本実施形態における電流ベクトル制御の選択を示している。
モータ制御装置20では、モータ51の回転速度が小さいとき(低速域のとき)、直流電圧Vdcはさほど下がらず、直流電圧Vdcが誘起電圧Voに対して十分に大きい。このようなときは、図13に示すようにモータ51が最大効率となるように電流ベクトルを制御する。
逆に、モータ51の回転速度が大きいとき(高速域のとき)、直流電圧Vdcは大きく下がり、直流電圧Vdcが誘起電圧Voに対して十分に小さい。このようなときは、図13に示すように慣性でモータを回転させる。従来は、弱め磁束制御を適用して運転領域を広げていたが、本実施形態では電流ベクトルが選択できないので慣性でモータ51を回転させる。
そして、モータ51の回転速度が高速域と低速域とに挟まれた中速域、即ち図13の二点鎖線で挟まれた領域にあるとき、直流電圧Vdcと誘起電圧Voとの大小関係は時間に応じて変化する。ここでは、この中速域における電流ベクトル制御について説明する。
(4−1)Vdcmin>>Voのとき(図13のCase1のとき)
直流電圧Vdcが誘起電圧Voに対して十分に大きいときは、低速域における電流ベクトル制御法と同様に、最大効率となるように電流ベクトルを制御する。
図14Aは、直流電圧Vdcが誘起電圧Voに対して十分に大きいときの電流ベクトルの制御方法を説明するためのグラフである。図14Aにおいて、従来なら最大トルク/電流制御によって、最大トルク/電流曲線と電流制限円との交点Pa1で運転するように電流ベクトルを制御していた。
しかし、本実施形態のモータ制御装置20では、最大効率制御を選択し、最大効率曲線と電流制限円との交点Pb1で運転するように電流ベクトルを制御する。
図14Bは、誘起電圧Voが図14AにおけるVo2からさらに小さいVo3になったときの電流ベクトルの制御方法を説明するためのグラフである。図14Bにおいて、Vo=Vo3における電圧制限楕円は、最大トルク/電流曲線と電流制限円との交点Pa1を通るので、従来制御ではVo=Vo3においても、Vo=Vo2時と同様に最大トルク/電流制御によって、最大トルク/電流曲線と電流制限円との交点Pa1で運転するように電流ベクトルを制御する。
他方、本実施形態のモータ制御装置20では、Vo=Vo3においても、Vo=Vo2時と同様に最大効率曲線と電流制限円との交点Pb1が電圧制限楕円の内側であるので、最大効率制御を選択し、引き続き最大効率曲線と電流制限円との交点Pb1で運転するように電流ベクトルを制御する。
(4−2)Vdcmin<Vo<Vdcmaxのとき(図13のCase2のとき)
図14Cは、誘起電圧Voが図14BにおけるVo3からさらに小さいVo4になったときの電流ベクトルの制御方法を説明するためのグラフである。図14Cにおいて、Vo=Vo4における電圧制限楕円が、最大トルク/電流曲線と電流制限円との交点Pa1を含まなくなり、従来制御ではVo=Vo4においては、最大トルク/電流制御を継続することができなくなるので、弱め磁束制御によって、Vo=Vo4における電圧制限楕円と電流制限円との交点Pa2で運転するように電流ベクトルを制御する。
他方、本実施形態のモータ制御装置20では、Vo=Vo4における電圧制限楕円が、先の図14Bにおける最大効率曲線と電流制限円との交点Pb1含まなくなるので、最大効率制御を維持するため、速度ω1よりも大きい速度ω2における最大効率曲線と電流制限円との交点Pb2で運転するように電流ベクトルを制御する。
図14Dは、誘起電圧Voが図14CにおけるVo4からさらに小さいVo5になったときの電流ベクトルの制御方法を説明するためのグラフである。図14Dにおいて、Vo=Vo5における電圧制限楕円が、図14Cにおける最大トルク/電流曲線と電流制限円との交点Pa2を含まなくなるので、従来制御ではVo=Vo5においては、さらに弱め磁束制御によって、Vo=Vo5における電圧制限楕円と電流制限円との交点Pa3で運転するように電流ベクトルを制御する。
他方、本実施形態のモータ制御装置20では、Vo=Vo5における電圧制限楕円が、図14Cの速度ω2における最大効率曲線と電流制限円との交点Pb2含まなくなるが、Vo=Vo5における電圧制限楕円と速度ω2における最大効率曲線との交点Pb3が存在するので、最大効率制御を維持するため、交点Pb3で運転するように電流ベクトルを制御する。
なお、交点Pb3は、速度ω2における最大効率曲線とd軸との交点でもあり、q軸電流を流すことはできないので、トルクを発生させることができない。したがって、負のd軸電流を流して無負荷でモータ51を回転させることになる。
(4−3)Vdcmax<<Voのとき(図13のCase3のとき)
図14Eは、誘起電圧Voが図14DにおけるVo5からさらに小さいVo6になったときの電流ベクトルの制御方法を説明するためのグラフである。これは、直流電圧Vdcが誘起電圧Voに対して十分に小さいことを示している。図14Eにおいて、Vo=Vo6における電圧制限楕円が、図14Dにおける最大トルク/電流曲線と電流制限円との交点Pa3を含まなくなるので、従来制御ではVo=Vo6においては、さらに弱め磁束制御によって、Vo=Vo6における電圧制限楕円と電流制限円との交点Pa4で運転するように電流ベクトルを制御する。
他方、本実施形態のモータ制御装置20では、Vo=Vo6における電圧制限楕円が、図14Dの速度ω2における最大効率曲線と交差しなくなる。
ここでは、弱め磁束制御によってVo=Vo6における電圧制限楕円とさらに大きい速度における最大効率曲線との交点での運転をあえて選択せずに、慣性でモータ51を回転させる。つまり、高速域での制御と同様の制御を行うことになる。
(5)特徴
(5−1)
モータ制御装置20では、モータ51の回転速度が中速域のとき、マイクロコンピュータ30が直流電圧Vdcと誘起電圧Voとの比較結果に基づいて、最大効率制御、モータ51を慣性で回転させる制御、及び負のd軸電流を流してモータ51を回転させる制御のいずれかを選択する。その結果、モータ51の回転速度の全域において、弱め磁束制御を適用しないので、d軸電流分の余分な銅損を出さず、効率の最大化を図ることができる。
(5−2)
モータ制御装置20では、モータ51の回転速度が中速域にあり、且つ、誘起電圧Voが直流電圧Vdcの最大値よりも十分に大きいときは、マイクロコンピュータ30は電流ベクトル制御を行わずにモータを慣性で回転させる制御を行う。その結果、弱め磁束制御を適用せず余分な銅損を出さないので、効率を最大にすることができる。
(5−3)
モータ制御装置20では、モータ51の回転速度が中速域にあり、且つ、誘起電圧Voが直流電圧Vdcの最小値と最大値との間を変動している場合、モータ51のトルクが不足するときは、マイクロコンピュータ30は負のd軸電流を流してモータ51を回転させる制御を行う。この場合、最大トルク・電流制御に代えて最大効率制御でモータ51の回転速度を制御しているときに、トルクを発生させることができないときの対処として有効である。
(5−4)
モータ制御装置20では、モータ51の回転速度が中速域よりも低い低速域のときは、マイクロコンピュータ30は最大トルク・電流制御又は最大効率制御によってモータ51を制御する。また、モータ51の回転速度が中速域よりも高い高速域のときは、マイクロコンピュータ30はモータ51を慣性で回転させる制御によってモータ51を制御する。その結果、モータ51の回転速度の全域において、弱め磁束制御を適用しないので、余分な銅損を出さず、効率の最大化を図ることができる。
(5−5)
モータ制御装置20では、コンデンサ22aとして小容量フィルムコンデンサを採用することにより小型軽量化、長寿命化を図りつつ、効率面では適切に電流ベクトル制御を行うことにより効率を最大化することができる。
(5−6)
モータ制御装置20では、電圧検出部23で直流電圧Vdcを検出するので、直流電圧Vdcを算出する必要がない分だけ、制御が容易になる。
(5−7)
モータ制御装置20では、巻線間電圧検出部27によって誘起電圧Voを検出するので、誘起電圧Voを算出する必要がない分だけ、制御が容易になる。
(5−8)
モータ制御装置20では、モータ51が埋込磁石同期モータであるので、マグネットトルクに加えてリラクタンストルクも併用でき、高トルク化が図れる。また、ロータ53の位置によってインダクタンスが変化するため、これを利用して、始動位置の推定や極低速域での位置センサレス運転が可能である。
(6)変形例
(6−1)
上記実施形態では、電圧検出部23で直流電圧Vdcを検出しているが、電流検出部24の電流値に基づいて誘起電圧Voを算出しその誘起電圧Voから直流電圧Vdcを算出する方式を用いてもよい。
(6−2)
上記実施形態では、巻線間電圧検出部27によって誘起電圧Voを検出しているが、電流検出部24の電流値に基づいて誘起電圧Voを算出し、その誘起電圧Voから直流電圧Vdcを算出する方式を用いてもよい。
本発明は、空気調和装置の圧縮機用モータやファンモータなどの制御装置として有用である。
20 モータ制御装置
21 コンバータ
22 直流リンク部
22a コンデンサ
23 電圧検出部(電圧検出手段)
25 インバータ
27 巻線間電圧検出部(巻線間電圧検出手段)
30 マイクロコンピュータ(制御部)
51 モータ
Vdc 直流電圧
Vo 誘起電圧
特開2002−51589号公報 特開2005−20837号公報
西原達也、森本茂雄、真田雅之「IPMSM速度制御システムにおける電解コンデンサレス化の影響」、平成21年度電気学会全国大会

Claims (8)

  1. 交流電源の電源電圧を全波整流するコンバータ(21)と、
    前記コンバータ(21)の出力に並列接続されたコンデンサ(22a)を有し、脈動する直流電圧(Vdc)を出力する直流リンク部(22)と、
    前記直流リンク部(22)の出力を交流に変換しモータ(51)に供給するインバータ(25)と、
    前記モータ(51)の誘起電圧(Vo)の大きさに応じて前記モータ(51)の動作を制御する制御部(30)と
    を備え、
    前記制御部(30)は、電流ベクトル制御によって前記モータ(51)の回転速度を制御し、前記モータ(51)の回転速度が所定速度域のとき、前記直流電圧(Vdc)と前記誘起電圧(Vo)との比較結果に基づいて、最大効率制御、前記モータ(51)を慣性で回転させる制御、及び負のd軸電流を流して前記モータ(51)を回転させる制御のいずれかを選択する、
    モータ制御装置(20)。
  2. 前記制御部(30)は、前記モータ(51)の前記回転速度が前記所定速度域にあり、且つ、前記誘起電圧(Vo)が前記直流電圧(Vdc)の最大値よりも十分に大きいときは、電流ベクトル制御を行わずに前記モータ(51)を慣性で回転させる制御を行う、
    請求項1に記載のモータ制御装置(20)。
  3. 前記制御部(30)は、前記モータ(51)の前記回転速度が前記所定速度域にあり、且つ、前記誘起電圧(Vo)が前記直流電圧(Vdc)の最小値と最大値との間を変動している場合、前記モータ(51)のトルクが不足するときは、負のd軸電流を流して前記モータ(51)を回転させる制御を行う、
    請求項1に記載のモータ制御装置(20)。
  4. 前記制御部(30)は、前記モータ(51)の前記回転速度が、
    前記所定速度域よりも低い低速域のときは、最大効率制御によって前記モータ(51)を制御し、
    前記所定速度域よりも高い高速域のときは、前記モータを慣性で回転させる制御によって前記モータ(51)を制御する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ制御装置(20)。
  5. 前記コンデンサ(22a)は、小容量フィルムコンデンサである、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ制御装置(20)。
  6. 前記直流電圧(Vdc)を検出する電圧検出手段(23)をさらに備える、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のモータ制御装置(20)。
  7. 前記モータ(51)の巻線間電圧を検出する巻線間電圧検出手段(27)をさらに備える、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のモータ制御装置(20)。
  8. 前記モータ(51)は、埋込磁石同期モータである、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のモータ制御装置(20)。
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