JP6080996B1 - 電動機駆動システム - Google Patents

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【課題】システム全体の損失を最小とするスイッチング周波数での電力変換装置の制御を実現しつつ、電動機の出力トルクの過不足の発生を抑制することのできる電動機駆動システムを得る。【解決手段】最小スイッチング周波数から最大スイッチング周波数までの範囲に含まれる各標本スイッチング周波数と、各標本スイッチング周波数に対応した各補正制御指令と、各標本スイッチング周波数に対応した各損失とが関連付けられたn個の関連付けパラメータの中から、損失が最小値となる損失最小関連付けパラメータを選択し、損失最小関連付けパラメータに含まれる標本スイッチング周波数および補正制御指令を、最適スイッチング周波数および最適補正制御指令として出力するように構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、電動機と、電動機に交流電力を出力する電力変換装置とを備えた電動機駆動システムに関するものである。
近年、地球環境問題の一環として省エネルギーに対する社会的関心が高まっている。このような状況の下、電動機の消費電力は、社会で消費される電気エネルギーの半分を占めるといわれている。そのため、電動機本体の高効率化および電動機を駆動する電力変換装置の高効率化が進められている。
省エネルギー化の流れの中で、永久磁石(Permanent Magnet)を使用する永久磁石式同期電動機は、小形で高効率な低消費電力の電動機として注目され、電気自動車、ハイブリット自動車、電機鉄道車両、エレベータおよび空調システム等の多くの分野で活用されている。
そこで、電動機の損失を減らすことで、高効率な電動機を実現する設計が進められている。電動機が発生する損失は、主に、鉄損および銅損に分けることができる。ここで、鉄損とは、磁気回路の磁場の変化に伴って発生する損失である。鉄損の低減方法としては、磁束密度の最適化、低損失な鉄心材料の採用、および導電気鉄板の採用などが挙げられる。また、銅損とは、銅巻線の導線にある電気抵抗によって電気エネルギーが熱エネルギーに変わる損失である。銅損の低減方法としては、導体断面積の増加、入力電流の低減および巻線端長さの短縮などが挙げられる。
このような鉄損および銅損等の損失をバランス良く低減させることで、より効果的に電動機の効率を高めることが可能である。
また、電動機をトルク制御するためのトルク指令に対して、高い追従性能を持って、電動機の出力トルクを追従させる必要がある。例えば、駆動用電動機と発電用電動機とを搭載した2モータシステムのハイブリット自動車では、発電用電動機で発生させた電力を、駆動用電動機で使用する。このとき、発電用電動機の出力トルクが不足していた場合、発電電力が低下し、その結果、目的の電力を駆動用電動機に送電することができない。
電力変換装置の損失は、スイッチング素子のオンおよびオフの切り替え時に発生するスイッチング損失と、オン状態のスイッチング素子において電圧降下することによる導通損失とに分けられる。
電力変換装置の低損失化を実現するために、スイッチング素子の材料として炭化ケイ素(SiC:Silicon Carbide)が注目されている。SiCを用いたスイッチング素子は、従来のSiを用いたスイッチング素子に比べ、オン状態でのスイッチング素子の抵抗値が低いので、導通損失が低減する。また、SiCを用いたスイッチング素子では、電子飽和速度が高く、オンおよびオフの切り替えが素早いので、スイッチング損失が低減する。
電力変換装置の駆動方式を工夫することで、電力変換装置の損失を低減することも可能である。例えば、スイッチング周波数が高いほど、すなわち単位時間当たりのスイッチング回数が多いほど、スイッチング損失が増加する。それを踏まえて、スイッチング周波数を低く設定することでスイッチング損失を減少させる方法がある。
一方、スイッチング周波数を低く設定するほど、電動機に流れる電流において、大きな歪が生じる。そのため、電動機内の磁場の変化が大きくなり、電動機の鉄損も増加する。
以上から分かるように、スイッチング周波数を高くすると電力変換装置の損失が増加する一方、スイッチング周波数を低くすると電動機の損失が増加する。したがって、電動機駆動システム全体で発生する損失を最小化するためには、適切なスイッチング周波数で電動機を駆動させる必要がある。
ここで、電動機が発生する損失と、電力変換装置が発生する損失とを加算することで得られる電動機駆動システムでの損失が最小化するような、スイッチング周波数またはパルス数をリアルタイムに演算し、その演算結果を用いて高効率な電動機駆動システムの実現を図る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−72936号公報
前述したとおり、電動機駆動システムでの主な損失は、電動機が発生する損失と、電力変換装置が発生する損失である。また、これら損失は、電動機の駆動状態を示す電圧、電流および力率と、電動機の巻線温度と、電力変換装置のスイッチング周波数、スイッチング方式およびスイッチング素子温度と、電力変換装置の入力電圧および入力電流などの様々な要因によって変化する。
ここで、特許文献1に記載の従来技術では、上記で例示した要因によって、制御指令を変化させていないにも関わらず、スイッチング周波数の変化に伴い、制御指令への追従性能が悪化し、その結果、目標の出力トルクに対して実際の出力トルクに過不足が生じるという問題がある。
また、特許文献1に記載の従来技術では、制御指令への追従性能が悪化するので、目標の出力トルクに対して実際の出力トルクが乖離し、その結果、電動機駆動システムでの損失を正確に演算することができない。したがって、高効率な電動機駆動システムの実現が困難であるという問題がある。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、システム全体の損失を最小とするスイッチング周波数での電力変換装置の制御を実現しつつ、電動機の出力トルクの過不足の発生を抑制することのできる電動機駆動システムを得ることを目的とする。
本発明における電動機駆動システムは、電動機と、直流電力を出力する直流電源を有する電源部と、上アームおよび下アームのそれぞれにスイッチング素子を有する複数のハーフブリッジ回路が並列に接続され、各スイッチング素子がPWM信号に従ってオンおよびオフに切り替え制御されることで、直流電源から出力された直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力を電動機に出力するインバータ部を有する電力変換装置と、電動機を制御するための制御指令を発生させ、制御指令を出力する指令発生器と、電力変換装置を制御する制御装置と、を備えた電動機駆動システムであって、制御装置は、最小スイッチング周波数から最大スイッチング周波数までのスイッチング周波数範囲内からn個(ただし、nは2以上の整数)の標本スイッチング周波数を選択して決定し、各標本スイッチング周波数を出力する標本スイッチング周波数決定部と、各標本スイッチング周波数について、制御指令を補正することで、n個の補正制御指令を決定し、各標本スイッチング周波数と、各補正制御指令とが関連付けられたn個の第1関連付けパラメータを生成し、各第1関連付けパラメータを出力する補正制御指令決定部と、各第1関連付けパラメータに含まれる各標本スイッチング周波数について、電動機駆動システムで発生するn個の損失を演算し、演算した各損失が各第1関連付けパラメータに関連付けられたn個の第2関連付けパラメータを生成し、各第2関連付けパラメータを出力する損失演算部と、各第2関連付けパラメータの中から、損失が最小値となる損失最小関連付けパラメータを選択し、選択した損失最小関連付けパラメータに含まれる標本スイッチング周波数および補正制御指令を、最適スイッチング周波数および最適補正制御指令として出力する損失最小パラメータ決定部と、最適補正制御指令に対応したデューティ指令を生成し、デューティ指令を出力するデューティ変換部と、デューティ指令と、最適スイッチング周波数とから、PWM信号を生成し、PWM信号を出力するPWM信号生成部と、を有するものである。
本発明によれば、システム全体の損失を最小とするスイッチング周波数での電力変換装置の制御を実現しつつ、電動機の出力トルクの過不足の発生を抑制することのできる電動機駆動システムを得ることができる。
本発明の実施の形態1における電動機駆動システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態1における制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における関連付けパラメータ生成部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における電動機を駆動させるときのスイッチング周波数と、電動機の出力トルクとの関係を示す特性図である。 本発明の実施の形態1における最適パラメータ選定部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における損失演算部によって演算される損失を説明するためのグラフである。 本発明の実施の形態2における電動機駆動システムを示す構成図である。 本発明の実施の形態2における制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2における最適パラメータ選定部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3における制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3における最適パラメータ選定部の構成を示すブロック図である。
以下、本発明による電動機駆動システムを、好適な実施の形態にしたがって図面を用いて説明する。なお、図面の説明においては、同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、各実施の形態では、U相、V相およびW相を有した三相インバータによって駆動する電動機に対して本願発明を適用した場合を例示する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における電動機駆動システムを示す構成図である。図1に示すように、本実施の形態1における電動機駆動システムは、電動機1と、電源部2と、電力変換装置3と、回転角センサ4と、電動機温度センサ5と、スイッチング素子温度センサ6と、指令発生器7と、制御装置8とを備える。
電動機1は、PWM方式に従って制御される。電動機1は、例えば、車載用の電動機である。なお、ここでいう車載用の電動機とは、具体的には、車両を駆動するための駆動用電動機、電動ファン、オイルポンプ、ウォーターポンプ、および車両のステアリング操作をアシストするための電動パワーステアリング装置などに用いられるものである。また、電動機1は、車載用の電動機に限らず、車載用以外の電動機であってもよい。
以下、電動機1がロータおよびステータを有する三相ブラシレスモータであるものとして説明する。ロータは、円板状の部材であり、その表面に永久磁石が貼り付けられ、磁極を有している。ステータは、内部にロータを相対回転可能に収容している。ステータは、径内方向へあらかじめ設定された角度ごとに突出する突出部を有し、この突出部にU相コイル11、V相コイル12、およびW相コイル13が巻回されている。
電源部2は、電動機1の駆動源であり、直流電力を電力変換装置3に出力する。電源部2の具体的な構成例として、電源部2は、直流電力を出力する直流電源の一例であるバッテリ21と、平滑コンデンサ22と、チョークコイル23とを有する。
平滑コンデンサ22およびチョークコイル23は、バッテリ21と後述するインバータ部31との間に配置され、パワーフィルタを構成している。このように構成することで、バッテリ21を共有する他の装置からインバータ部31側へ伝わるノイズを低減するとともに、インバータ部31側からバッテリ21を共有する他の装置へ伝わるノイズを低減することができる。平滑コンデンサ22は、電荷を蓄えることで、各スイッチング素子311〜316への電力供給を補助し、さらに、サージ電流などのノイズ成分を抑制する。また、バッテリ21の電圧Vbatと、平滑コンデンサ22の電圧Vconは、制御装置8によって取得される。
電力変換装置3は、電源部2から供給された直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力を電動機1に出力する。電力変換装置3の具体的な構成例として、電力変換装置3は、インバータ部31、電流検出器32、増幅回路33および駆動回路34を有する。
インバータ部31は、上アームおよび下アームのそれぞれにスイッチング素子を有する複数のハーフブリッジ回路が並列に接続され、各スイッチング素子がPWM信号に従ってオンおよびオフに切り替え制御されることで、電源部2から出力された直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力を電動機1に出力する。
図1では、インバータ部31は、3つのハーフブリッジ回路によって構成される場合が例示されている。インバータ部31は、スイッチング素子311〜316を含む。インバータ部31は、三相インバータであり、U相コイル11、V相コイル12、およびW相コイル13のそれぞれへの通電を切り替えるべく、6つのスイッチング素子311〜316がブリッジ接続されている。スイッチング素子311〜316としては、電界効果トランジスタの一種であるMOSFETを用いればよく、MOSFETとは異なるその他のトランジスタまたはIGBT等を用いてもよい。なお、以下では、スイッチング素子311〜316をSW311〜316と表記する。
3つのSW311〜313のドレインは、バッテリ21の正極側に接続されている。SW311〜313のソースは、それぞれSW314〜316のドレインに接続されている。SW314〜316のソースは、バッテリ21の負極側に接続されている。
一対のSW311およびSW314を接続する接続点は、U相コイル11の一端に接続されている。また、一対のSW312およびSW315を接続する接続点は、V相コイル12の一端に接続されている。さらに、一対のSW313およびSW316を接続する接続点は、W相コイル13の一端に接続されている。
なお、以下では、高電位側に配置されるスイッチング素子であるSW311〜313を「上SW」と表記し、低電位側に配置されているスイッチング素子であるSW314〜316を「下SW」と表記する。また、本実施の形態1では、説明を分かりやすくするために、低電位側の電位を0Vとする。
電流検出器32は、U相電流検出部321、V相電流検出部322およびW相電流検出部323を有する。U相電流検出部321、V相電流検出部322およびW相電流検出部323は、例えば、シャント抵抗を用いて構成される。なお、以下では、U相電流検出部321、V相電流検出部322およびW相電流検出部323を、電流検出部321〜323と適宜表記する。
U相電流検出部321は、U相コイル11に流れる電流として、U相電流Iuを検出する。V相電流検出部322は、V相コイル12に流れる電流として、V相電流Ivを検出する。W相電流検出部323はW相コイル13に流れる電流として、W相電流Iwを検出する。また、電流検出部321〜323によって検出された検出値は、増幅回路33を経由して、制御装置8へ入力される。この増幅回路33は、電流検出部321〜323によって検出された検出値を、制御装置8内で処理可能な適正値として取り込めるようにするためのものである。
駆動回路34は、制御装置8から入力されるPWM信号に基づいて、SW314〜316それぞれのオンおよびオフを切り替える機能を有している。
回転角センサ4は、電動機1に取り付けられており、電動機1のロータ位置を表す位置情報、具体的にはロータの回転角θmを検出する。回転角センサ4は、例えば、レゾルバを用いて構成される。回転角センサ4は、検出した回転角θmを、電動機1の永久磁石の極対数を基に電気角θeに換算するように構成されている。回転角θmおよび電気角θeは、制御装置8によって取得される。
電動機温度センサ5は、電動機1の温度MTempを検出する。電動機温度センサ5は、例えば、U相コイル11、V相コイル12およびW相コイル13に取り付けられたサーミスタ等の温度検出器によって構成される。電動機1の温度MTempは、制御装置8によって取得される。
スイッチング素子温度センサ6は、SW311〜SW316の各温度Tjを検出する。スイッチング素子温度センサ6は、例えば、SW311〜SW316のそれぞれに取り付けられた温度検出回路によって構成される。SW311〜SW316の各温度Tjは、制御装置8によって取得される。
指令発生器7は、電動機1を制御するための制御指令を発生させ、その制御指令を制御装置8に出力する機器である。具体的には、例えば、電動機1が電気自動車等の車両の駆動源として用いられている場合、指令発生器7は、車両の運転手によって操作されるアクセルペダルの踏込み角度に対応した制御指令を換算する。指令発生器7によって発生した制御指令は、通信によって制御装置8へ周期的に送信される。
なお、電動機1を制御するための制御指令としては、例えば、トルク指令、電流指令および電圧指令等が挙げられる。本実施の形態1では、制御指令としてトルク指令Trq*を採用する場合を例示する。
制御装置8は、電動機駆動システム全体の制御を実施するものであって、例えば、メモリに記憶されたプログラムを実行するように構成されたマイコン等によって実現される。
次に、制御装置8の構成について、図2を参照しながらさらに説明する。図2は、本発明の実施の形態1における制御装置8の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置8は、回転数演算部81と、関連付けパラメータ生成部82と、最適パラメータ選定部83と、トルク/電流指令変換部84と、三相二相変換部85と、電圧指令生成部86と、二相三相変換部87と、デューティ変換部88と、PWM信号生成部89とを有する。
回転数演算部81は、回転角センサ4から取得した回転角θmを積分して電動機1の回転数Nに換算する。回転数演算部81は、その回転数Nを、関連付けパラメータ生成部82、最適パラメータ選定部83およびトルク/電流指令変換部84に出力する。
関連付けパラメータ生成部82は、標本スイッチング周波数と補正制御指令とが関連付けられた複数個の関連付けパラメータを生成する。関連付けパラメータ生成部82は、生成した複数個の関連付けパラメータを最適パラメータ選定部83に出力する。ここで、補正制御指令は、スイッチング周波数の変化に伴い生じる電動機1の出力トルクの過不足を補正するためのものである。なお、関連付けパラメータ生成部82のより詳細な説明については、後述する。
最適パラメータ選定部83は、最適スイッチング周波数fc_adjと、最適補正制御指令とを選定する。ここで、最適スイッチング周波数は、電動機駆動システム全体で発生する損失が最小となるようなスイッチング周波数である。なお、最適パラメータ選定部83のより詳細な説明については、後述する。
トルク/電流指令変換部84は、回転数演算部81から取得した電動機1の回転数Nと、最適パラメータ選定部83から取得した最適補正トルク指令Trq_adj*とから、d軸電流指令Id*およびq軸電流指令Iq*を演算する。具体的には、例えば、トルク/電流指令変換部84は、電動機1の回転数Nと最適補正トルク指令Trq_adj*を軸としたトルク/電流指令変換テーブルを用いることで、これらの値をd軸電流指令Id*およびq軸電流指令Iq*に換算するように構成される。なお、トルク/電流指令変換部84は、トルク/電流指令変換テーブルを用いずに、d軸電流指令Id*およびq軸電流指令Iq*を演算するように構成されてもよい。
三相二相変換部85は、電流検出部321〜323から取得したU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iw、すなわち、三相電流Iu,Iv,Iwと、回転角センサ4から取得した電気角θeとから、d軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqを算出する。
電圧指令生成部86は、d軸電流指令Id*およびq軸電流指令Iq*と、d軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqとから、電流フィードバック演算を行うことで、d軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*を算出する。具体的には、例えば、電圧指令生成部86は、d軸電流指令Id*とd軸電流検出値Idとの偏差である電流偏差ΔIdと、q軸電流指令Iq*とq軸電流検出値Iqとの偏差である電流偏差ΔIqとがそれぞれ0に収束するようにd軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*を算出するよう構成される。
二相三相変換部87は、電圧指令生成部86から取得したd軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*と、回転角センサ4から取得した電気角θeとから、三相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を算出する。なお、三相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*は、インバータ部31に入力される直流電源電圧、すなわち、平滑コンデンサ22の電圧Vcon以下となるように設定されることが好ましい。
デューティ変換部88は、二相三相変換部87から取得した三相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*と、平滑コンデンサ22の電圧Vconとから、各相のデューティ指令Du,Dv,Dwを生成する。
このように、デューティ変換部88は、最適補正制御指令に対応したデューティ指令を生成し、そのデューティ指令を出力する。
PWM信号生成部89は、デューティ変換部88から取得した各相のデューティ指令Du,Dv,Dwと、最適パラメータ選定部83から取得した最適スイッチング周波数fc_adjとから、SW311〜316のそれぞれをオンおよびオフに切り替え制御するためのPWM信号を生成する。具体的には、例えば、PWM信号生成部89は、各相のデューティ指令Du,Dv,Dwと、最適スイッチング周波数fc_adjに対応した搬送波を比較することで、PWM信号を生成するように構成される。PWM信号生成部89は、例えば、上昇速度と下降速度とが互いに等しい2等辺三角形形状の三角波をキャリアとする三角波比較方式、および鋸波比較方式などを採用してPWM信号を生成するように構成される。
なお、図2では、PWM信号生成部89によって生成されたPWM信号として、U相の上SW用信号をUH_SW、U相の下SW用信号をUL_SW、V相の上SW用信号をVH_SW、V相の下SW用信号をVL_SW、W相の上SW用信号をWH_SW、W相の下SW用信号をWL_SWとそれぞれ表記している。
このように、PWM信号生成部89は、デューティ変換部88から取得したデューティ指令と、最適パラメータ選定部83から取得した最適スイッチング周波数fc_adjとから、PWM信号を生成し、そのPWM信号を出力する。
次に、本発明の特徴部分である関連付けパラメータ生成部82の詳細について、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の実施の形態1における関連付けパラメータ生成部82の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、関連付けパラメータ生成部82は、標本スイッチング周波数決定部821および補正制御指令決定部822を有する。
標本スイッチング周波数決定部821は、入力された最小スイッチング周波数fc_minから入力された最大スイッチング周波数fc_maxまでのスイッチング周波数範囲内から、n個(nは2以上の整数)の標本スイッチング周波数fc_1,・・・,fc_n(以下、fc_1〜fc_nと表記する)を選択して決定する。標本スイッチング周波数決定部821は、決定した各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nを補正制御指令決定部822に出力する。
なお、n個の標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nを、上記のスイッチング周波数範囲内から選択して決定する方法としては、どのような方法を採用してもよい。例えば、標本スイッチング周波数決定部821は、初期値であるfc_1を最小スイッチング周波数fc_minとし、最終値であるfc_nを最大スイッチング周波数fc_maxとし、標本スイッチング周波数の現在値を順次フィードバックし、そのフィードバック値に一定値を常に加算することで、n個の標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nを決定するように構成される。
ここで、n個の標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nにおいて、標本数が多いほど、すなわちnの数が大きいほど、補正制御指令決定部822による補正制御指令の決定処理に要する時間、および最適パラメータ選定部83による損失演算処理に要する時間が増加する。しかしながら、標本数が多いほど、粒度がより細かくなり、電動機駆動システムの効果的な高効率駆動を望むことができる。
補正制御指令決定部822は、標本スイッチング周波数決定部821から取得した各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて、指令発生器7から取得した制御指令を補正することで、n個の補正制御指令を決定する。補正制御指令決定部822は、各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nと、各補正制御指令とを関連付けることで、n個の関連付けパラメータを生成し、各関連付けパラメータを出力する。
なお、前述したとおり、制御指令としてトルク指令Trq*が採用された場合、補正制御指令決定部822は、以下のようにn個の関連付けパラメータを生成する。
すなわち、補正制御指令決定部822は、各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて、指令発生器7から取得したトルク指令Trq*を補正することで、n個の補正トルク指令Trq_adj*_1,・・・,Trq_adj*_n(以下、Trq_adj*_1〜Trq_adj*_nと表記する)を決定する。
補正制御指令決定部822は、各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nと、各補正トルク指令Trq_adj*_1〜Trq_adj*_nとを関連付けることで、n個の関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1),・・・,(fc_n,Trq_adj*_n)(以下、(fc_1,Trq_adj*_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n)と表記する)を生成する。補正制御指令決定部822は、各関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n)を最適パラメータ選定部83に出力する。
ここで、より具体的には、補正制御指令決定部822は、例えば、以下のように構成される。すなわち、スイッチング周波数に応じて電動機1の出力トルクの過不足が変化することと、その過不足が電動機1の回転数Nに応じて変化することを考慮して、回転数Nおよびスイッチング周波数と、補正係数との関係をあらかじめテーブル化または定式化しておく。また、補正制御指令決定部822は、そのテーブルまたはその式を用いて、取得した回転数Nおよびスイッチング周波数に対応した補正係数を各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて演算する。さらに、補正制御指令決定部822は、演算した各補正係数を用いて、各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについてトルク指令Trq*を補正する。
ここで、スイッチング周波数に応じて電動機1の出力トルクの過不足が変化することと、その過不足が電動機1の回転数に応じて変化することとについて、図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の実施の形態1における電動機1を駆動させるときのスイッチング周波数と、電動機1の出力トルクとの関係を示す特性図である。
図4では、横軸がスイッチング周波数を示し、縦軸が電動機1の出力トルクを示し、スイッチング周波数/出力トルク特性が図示されている。また、動作点Aおよび動作点Bは、電動機1の回転数のみを変化させた動作条件である。さらに、スイッチング周波数f専用のトルク/電流指令変換テーブルを用いて、スイッチング周波数を切替えて電動機1を駆動させた場合の出力トルクの変化が、動作点Aおよび動作点Bのそれぞれについて図示されている。
図4に示すように、スイッチング周波数fで電動機1を駆動させた場合、動作点Aおよび動作点Bのそれぞれにおいて、トルク指令と出力トルクが等しくなっている。一方、スイッチング周波数fに対してスイッチング周波数を変動させることで、電動機1の出力トルクが変化している。
具体的には、スイッチング周波数が低くなるほど、トルク指令と比べて出力トルクが小さくなっている。つまり、スイッチング周波数が低くなるほど、出力トルクが不足している。また、スイッチング周波数fより高いスイッチング周波数で電動機1を駆動させた場合、動作点Aにおいて、出力トルクが過剰であり、動作点Bにおいて、出力トルクが不足している。なお、電動機駆動システムが発生する損失による影響で、図4に示すような出力トルクの変動が生じると考えられる。
このように、スイッチング周波数および電動機1の回転数に応じて電動機1の出力トルクの過不足が変化している。そこで、本実施の形態1では、スイッチング周波数および電動機1の回転数を考慮して、トルク指令Trq*を補正するように構成されている。なお、電動機1の回転数を考慮せずに、スイッチング周波数のみを考慮して、トルク指令Trq*を補正するように構成されていてもよい。
次に、本発明の特徴部分である最適パラメータ選定部83の詳細について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の実施の形態1における最適パラメータ選定部83の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、最適パラメータ選定部83は、損失演算部831および損失最小パラメータ決定部832を有する。
損失演算部831は、回転数演算部81から取得した電動機1の回転数Nと、スイッチング素子温度センサ6から取得したSW311〜SW316の各温度Tjと、電動機1の温度MTempから、補正制御指令決定部822から取得した各関連付けパラメータに含まれる各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて、n個の電動機駆動システムで発生するn個の損失Ploss_1,・・・Ploss_n(以下、Ploss_1〜Ploss_nと表記する)を演算する。
損失演算部831は、演算した各損失Ploss_1〜Ploss_nを、補正制御指令決定部822から取得した各関連付けパラメータに関連付けることで、n個の関連付けパラメータを生成し、各関連付けパラメータを出力する。
なお、前述したとおり、制御指令としてトルク指令Trq*が採用された場合、損失演算部831は、以下のようにn個の関連付けパラメータを生成する。
すなわち、損失演算部831は、関連付けパラメータ生成部82から取得した各関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n)に含まれる各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて、n個の損失Ploss_1〜Ploss_nを演算する。なお、電動機駆動システムで発生する損失としては、例えば、電動機1の電動機損失、インバータ部31のインバータ損失および配線等による損失などが挙げられる。
損失演算部831は、各関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n)に対して、演算した各損失Ploss_1〜Ploss_nをさらに関連付けることで、n個の関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1,Ploss_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n,Ploss_n)を生成する。損失演算部831は、各関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1,Ploss_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n,Ploss_n)を損失最小パラメータ決定部832に出力する。
ここで、損失演算部831によって演算される損失について、図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の実施の形態1における損失演算部831によって演算される損失を説明するためのグラフである。
図6では、横軸がスイッチング周波数を示し、縦軸が損失を示し、電動機損失、インバータ損失および配線による損失のそれぞれの変化特性が図示されている。また、電動機損失、インバータ損失および配線等による損失の和に相当する全損失も併せて図示されており、さらに、全損失が最小となるスイッチング周波数も損失最小スイッチング周波数として併せて図示されている。
電動機損失は、図6に示すように、スイッチング周波数が高くなるのに従って、減少する傾向にある。これは、インバータ部31が出力する電流の歪みが小さくなり、鉄損が減少するためである。一方、電動機1の温度MTempが高くなることで、巻線の温度特性によって電気抵抗が上昇し、銅損が増加する。
そこで、このような特性を踏まえ、温度MTempおよびスイッチング周波数と、電動機損失との関係をあらかじめ定式化しておく。また、損失演算部831は、その式を用いて、取得した温度MTempおよびスイッチング周波数に対応した電動機損失を、各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて演算する。このように構成することで、損失演算部831による電動機損失の演算が可能となる。
なお、損失演算部831は、電動機1の温度を考慮せずに、スイッチング周波数のみ考慮して、電動機損失を演算するように構成されていてもよい。
インバータ損失は、図6に示すように、スイッチング周波数が高くなるのに従って、増加する傾向にある。これは、インバータ部31でのスイッチング損失が増加した影響によるものである。一方、SW311〜SW316の各温度Tjが高くなることで、スイッチがON状態時の電気抵抗が減少し、導通損失が減少する。
そこで、このような特性を踏まえ、各温度Tjおよびスイッチング周波数と、インバータ損失との関係をあらかじめ定式化しておく。また、損失演算部831は、その式を用いて、取得した各温度Tjおよびスイッチング周波数に対応したインバータ損失を、各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて演算する。このように構成することで、損失演算部831によるインバータ損失の演算が可能となる。
なお、損失演算部831は、SW311〜316の各温度を考慮せずに、スイッチング周波数のみを考慮して、インバータ損失を演算するように構成されていてもよい。
配線等による損失は、図6が示すように、スイッチング周波数が高くなるのに従って、増加する傾向にある。これは、表皮効果により、配線の電気抵抗が上昇するなどの要因によるものであることが考えられる。
そこで、このような特性を踏まえ、スイッチング周波数と、配線等による損失との関係を、あらかじめ定式化またはテーブル化しておく。また、損失演算部831は、その式またはそのテーブルを用いて、スイッチング周波数に対応した配線等による損失を、各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて演算する。このように構成することで、損失演算部831による配線等による損失の演算が可能となる。
損失演算部831は、上記のように演算した電動機損失、インバータ損失および配線等による損失の和を、各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて演算することで、n個の損失Ploss_1〜Ploss_nを演算する。
損失最小パラメータ決定部832は、損失演算部831から取得した各関連付けパラメータの中から、損失が最小値となる損失最小関連付けパラメータを選択し、選択した損失最小関連付けパラメータに含まれる標本スイッチング周波数および補正制御指令を、最適スイッチング周波数および最適補正制御指令として出力する。
なお、前述したとおり、制御指令としてトルク指令Trq*が採用された場合、損失最小パラメータ決定部832は、以下のように最適スイッチング周波数および最適補正制御指令を決定する。
すなわち、損失最小パラメータ決定部832は、n個の関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1,Ploss_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n,Ploss_n)の中から、損失が最小値となる損失最小関連付けパラメータを選択する。損失最小パラメータ決定部832は、選択した損失最小関連付けパラメータに含まれる標本スイッチング周波数および補正トルク指令を、最適スイッチング周波数fc_adjおよび最適補正トルク指令Trq_adj*として出力する。
このように選定された最適スイッチング周波数fc_adjおよび最適補正トルク指令Trq_adj*を用いて、電力変換装置3が制御されるので、システム全体の損失を最小とするスイッチング周波数で電力変換装置3の制御を実現しつつ、さらに、トルク指令に対する出力トルクの乖離を抑制することができる。
以上、本実施の形態1によれば、各標本スイッチング周波数と、各標本スイッチング周波数に対応した各補正制御指令と、各標本スイッチング周波数に対応した各損失とが関連付けられたn個の関連付けパラメータの中から、損失が最小値となる損失最小関連付けパラメータを選択し、損失最小関連付けパラメータに含まれる標本スイッチング周波数および補正制御指令を、最適スイッチング周波数および最適補正制御指令として出力するように構成されている。
これにより、コストを増加させることなく従来の構成で、電動機駆動システムで発生する損失を最小とするスイッチング周波数での電力変換装置の制御を実現しつつ、電動機の出力トルクの過不足の発生を抑制することができる。また、スイッチング周波数の変化に依存せず、過不足のないトルクを出力することができ、さらに、電動機駆動システムで発生する損失を、補正制御指令を用いて演算しているので、精度の高い高効率運転が可能な電動機駆動システムを実現することができる。
なお、インバータ部の各スイッチング素子は、どのような半導体素子を用いて構成してもよいが、例えば、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成することができる。ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、SiC、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンド等が挙げられる。
ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成された各スイッチング素子を備えたインバータ部は、従来のSi半導体を用いて構成された各スイッチング素子を備えたインバータ部と比較して、高耐電圧、低損失であり、高周波駆動が可能であるという特徴がある。したがって、インバータ部の各半導体スイッチング素子を、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成することで、インバータ損失が減少し、その結果、より高効率運転可能な電動機駆動システムを実現することができる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2では、先の実施の形態1に構成に対して、電源部2および制御装置8の構成を変更した電動機駆動システムについて説明する。なお、本実施の形態2では、先の実施の形態1と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
ここで、本実施の形態2では、電源部2からインバータ部31への入力が可変電圧となるように構成され、このように構成した場合であっても、本実施の形態2における電動機駆動システムが高効率かつ電動機1のトルクが過不足なく出力可能である。
図7は、本発明の実施の形態2における電動機駆動システムを示す構成図である。図8は、本発明の実施の形態2における制御装置8の構成を示すブロック図である。図7および図8に示すように、本実施の形態2における電動機駆動システムは、先の実施の形態1の構成に対して、電源部2および制御装置8の構成が異なる。
図7に示すように、電源部2は、バッテリ21と、バッテリ21と並列に接続される平滑コンデンサ22と、チョークコイル23とに加えて、バッテリ21とインバータ部31との間に設けられているDC/DCコンバータ部24と、DC/DCコンバータ部24を駆動するためのコンバータ用駆動回路25とをさらに有する。
DC/DCコンバータ部24は、バッテリ21の電圧を昇圧変換し、昇圧変換後の電圧をインバータ部31に出力する。DC/DCコンバータ部24は、複数のスイッチング素子を有し、各スイッチング素子がコンバータ用PWM信号に従ってオンおよびオフに切り替え制御されることで、バッテリ21から出力された直流電力を変換し、変換後の直流電力をインバータ部31に出力する。具体的には、DC/DCコンバータ部24は、スイッチング素子241およびスイッチング素子242を含む。なお、以下では、スイッチング素子241,242をSW241,242と表記する。
SW241は、チョークコイル23と平滑コンデンサ22の間に配置されるとともに、平滑コンデンサ22と並列に接続されている。SW241のドレインは、バッテリ21と接続されたチョークコイル23の端部に接続され、SW241のソースは、バッテリ21の負極側に接続されている。
SW242は、SW241と平滑コンデンサ22の間に配置されている。SW242のドレインは、平滑コンデンサ22正極側に接続され、SW242のソースは、SW241のドレインに接続されている。
指令発生器7は、電動機1を制御するための制御指令に加えて、平滑コンデンサ22の電圧Vconを制御するための平滑コンデンサ用電圧指令Vcon*をさらに発生させ、その平滑コンデンサ用電圧指令Vcon*をさらに出力する。
コンバータ用駆動回路25は、制御装置8から与えられる制御信号を増幅し、増幅後の信号をSW241およびSW242のゲートに出力する回路である。
図8に示すように、制御装置8は、回転数演算部81、関連付けパラメータ生成部82、最適パラメータ選定部83、トルク/電流指令変換部84、三相二相変換部85、電圧指令生成部86、二相三相変換部87、デューティ変換部88およびPWM信号生成部89に加えて、コンバータ用制御器90およびコンバータ用PWM信号生成部91をさらに有する。
コンバータ用制御器90は、指令発生器7から取得した平滑コンデンサ用電圧指令Vcon*と、取得した平滑コンデンサ22の電圧Vconとの偏差が0に収束するようにSW241およびSW242のコンバータ用デューティ指令Dvcを算出する。
このように、コンバータ用制御器90は、平滑コンデンサ22の電圧Vconを取得し、平滑コンデンサ用電圧指令Vcon*と、取得した平滑コンデンサの電圧Vconとから、コンバータ用デューティ指令Dvcを生成し、そのコンバータ用デューティ指令Dvcを出力する。
コンバータ用PWM信号生成部91は、コンバータ用制御器90から取得したコンバータ用デューティ指令Dvcと、一定のコンバータ用スイッチング周波数とから、SW241およびSW242のそれぞれをオンおよびオフに切り替え制御するためのコンバータ用PWM信号を制御信号として生成する。
このように、コンバータ用PWM信号生成部91は、コンバータ用デューティ指令Dvcから、コンバータ用PWM信号を生成し、そのコンバータ用PWM信号を出力する。
なお、図8では、コンバータ用PWM信号生成部91によって生成されたコンバータ用PWM信号として、SW241用信号をVC1_SW、SW242用信号をVC2_SWとそれぞれ表記している。
次に、本実施の形態2における最適パラメータ選定部83の詳細について、図9を参照しながら説明する。図9は、本発明の実施の形態2における最適パラメータ選定部83の構成を示すブロック図である。
図9に示すように、最適パラメータ選定部83は、損失演算部831および損失最小パラメータ決定部832を有する。
損失演算部831は、電動機1の回転数N、SW311〜SW316の各温度Tj、電動機1の温度MTempおよび各関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n)に加えて、平滑コンデンサ22の電圧Vconをさらに取得する。
ここで、インバータ部31へ入力される可変電圧は、電動機損失およびインバータ損失に影響を与える。インバータ部31へ入力される平滑コンデンサ22の電圧Vconのみが高くなった場合、電動機1に流れるリプル電流が大きくなり、その結果、電動機損失に含まれる鉄損が増加する。また、このような場合、SW311〜316のそれぞれのオンおよびオフの切り替え時にそれらに印加される電圧が高くなるので、スイッチング損失が増加し、その結果、インバータ損失が増加する。
そこで、このような特性を踏まえ、平滑コンデンサ22の電圧Vconと、電動機損失用の補正係数との関係をあらかじめテーブル化または定式化しておく。また、損失演算部831は、そのテーブルまたはその式を用いて、取得した電圧Vconに対応した補正係数を演算する。さらに、損失演算部831は、演算した補正係数を用いて、先の実施の形態1で示した方法で演算した電動機損失を補正する。
同様に、平滑コンデンサ22の電圧Vconと、インバータ損失用の補正係数との関係をあらかじめテーブル化または定式化しておく。また、損失演算部831は、そのテーブルまたはその式を用いて、取得した電圧Vconに対応した補正係数を演算する。さらに、損失演算部831は、演算した補正係数を用いて、先の実施の形態1で示した方法で演算したインバータ損失を補正する。
このように、損失演算部831は、平滑コンデンサ22の電圧Vconを取得し、取得した平滑コンデンサ22の電圧Vconから、各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて演算した各損失Ploss_1〜Ploss_nを補正する。
換言すると、損失演算部831は、平滑コンデンサ22の電圧Vconを考慮して電動機損失およびインバータ損失を補正するように構成されているので、その電圧Vconを考慮したn個の損失Ploss_1〜Ploss_nを演算することができる。
また、損失演算部831は、n個の関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1,Ploss_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n,Ploss_n)を損失最小パラメータ決定部832に出力する。損失最小パラメータ決定部832は、先の実施の形態1と同様の方法によって、最適スイッチング周波数fc_adjおよび最適補正トルク指令Trq_adj*を決定する。
このように、電源部2からインバータ部31への入力が可変電圧となる場合であっても、平滑コンデンサ22の電圧Vconを考慮して損失を演算するように構成しているので、先の実施の形態1と同様に、高効率かつ電動機1のトルクが過不足なく出力可能な電動機駆動システムを実現することができる。
以上、本実施の形態2によれば、先の実施の形態1の構成に対して、電源部からインバータ部への入力が可変電圧となる場合であっても、電動機駆動システムで発生する損失を最小とするスイッチング周波数での電力変換装置の制御を実現しつつ、電動機の出力トルクの過不足の発生を抑制することができる。また、スイッチング周波数の変化に依存せず、過不足のないトルクを出力することができ、さらに、電動機駆動システムで発生する損失を、補正制御指令を用いて演算しているので、精度の高い高効率運転が可能な電動機駆動システムを実現することができる。
なお、インバータ部の各スイッチング素子と同様に、DC/DCコンバータ部の各スイッチング素子についても、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成することで、DC/DCコンバータ部から生じる損失、すなわちコンバータ損失も併せて減少し、その結果、より高効率運転可能な電動機駆動システムを実現することができる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3では、先の実施の形態2の構成に対して、制御装置8の構成を変更した電動機駆動システムについて説明する。なお、本実施の形態3では、先の実施の形態1、2と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態1、2と異なる点を中心に説明する。
図10は、本発明の実施の形態3における制御装置8の構成を示すブロック図である。図11は、本発明の実施の形態3における最適パラメータ選定部83の構成を示すブロック図である。
図10に示すように、コンバータ用PWM信号生成部91は、コンバータ用制御器90から取得したコンバータ用デューティ指令Dvcと、最適パラメータ選定部83から取得した後述する最適コンバータスイッチング周波数fc_vとから、SW241およびSW242のそれぞれをオンおよびオフに切り替え制御するためのコンバータ用PWM信号を制御信号として生成する。
図11に示すように、最適パラメータ選定部83は、損失演算部831および損失最小パラメータ決定部832に加えて、標本コンバータスイッチング周波数決定部833をさらに有する。
また、本実施の形態3では、SW241およびSW242の各温度Tj_VCと、平滑コンデンサ22の温度Tconは、制御装置8によって取得されるように構成される。
ここで、DC/DCコンバータ部24のコンバータ損失としては、SW241およびSW242のスイッチング損失と、導通損失に加えて、さらに、平滑コンデンサ22で発生するコンデンサ損失がある。
SW241およびSW242のスイッチング損失は、DC/DCコンバータ部24のスイッチング周波数と出力電圧である平滑コンデンサ22の電圧Vconに比例する。また、導通損失は、電動機1の出力電力と平滑コンデンサ22の電圧Vconに比例し、SW241およびSW242の各温度Tj_VCに反比例する。
また、平滑コンデンサ22に流れる電流リプルが大きいほど、平滑コンデンサ22の内部抵抗等に流れる電流が大きくなり、その結果、コンデンサ損失が増加する。そのため、コンデンサ損失は、DC/DCコンバータ部24のスイッチング周波数に反比例する。例えば、平滑コンデンサ22として電界コンデンサを用いた場合、温度特性により、コンデンサ温度が上昇するほどコンデンサの抵抗成分が減少し、コンデンサ損失が低下する。また、コンデンサ損失は、バッテリ21の電圧Vbatまたは電動機1の出力電力に応じて変化する。
そこで、以上の点を考慮し、図11に示すように、バッテリ21の電圧Vbatと、SW241およびSW242の各温度Tj_VCと、平滑コンデンサ22の温度Tconと、DC/DCコンバータ部24の最大コンバータスイッチング周波数fc_v_maxおよび最小コンバータスイッチング周波数fc_v_minが、最適パラメータ選定部83に入力されるように構成される。
標本コンバータスイッチング周波数決定部833は、入力された最小コンバータスイッチング周波数fc_v_minから入力された最大コンバータスイッチング周波数fc_v_maxまでのコンバータスイッチング周波数範囲内から、n個の標本コンバータスイッチング周波数fc_v_1,・・・,fc_v_n(以下、fc_v_1〜fc_v_nと表記する)を選択して決定する。標本コンバータスイッチング周波数決定部833は、決定した各標本コンバータスイッチング周波数fc_v_1〜fc_v_nを損失演算部831に出力する。
なお、標本コンバータスイッチング周波数とは、DC/DCコンバータ部24用の標本スイッチング周波数を意味する。また、標本コンバータスイッチング周波数決定部833は、標本スイッチング周波数決定部821と同様の方法で、n個の標本コンバータスイッチング周波数fc_v_1〜fc_v_nを決定する。
損失演算部831は、電動機損失、インバータ損失および配線等による損失に加えて、コンバータ損失をさらに演算する。損失演算部831は、電動機損失と、インバータ損失と、配線等による損失と、コンバータ損失との和を、損失として演算する。損失演算部831は、コンバータ損失を以下のように演算する。
損失演算部831は、回転数演算部81から取得した電動機1の回転数Nに対して、各補正トルク指令Trq_adj*_1〜Trq_adj*_nを乗算することで、各補正トルク指令Trq_adj*_1〜Trq_adj*_nについて、DC/DCコンバータ部24の出力電力を算出する。
また、バッテリ21の電圧Vbat、SW241およびSW242の各温度Tj_VCおよび平滑コンデンサ22の温度Tconと、コンバータ損失演算用の係数との関係をあらかじめテーブル化または定式化しておく。また、損失演算部831は、そのテーブルまたはその式を用いて、取得した電圧Vbat、各温度Tj_VCおよび温度Tconに対応した係数を演算する。
損失演算部831は、各補正トルク指令Trq_adj*_1〜Trq_adj*_nについて演算したDC/DCコンバータ部24の出力電力と、演算した係数とを乗算することで、各補正トルク指令Trq_adj*_1〜Trq_adj*_nについて、コンバータ損失を演算する。
このように、損失演算部831は、各関連付けパラメータに含まれる各補正制御指令について、コンバータ損失を演算し、その演算した各コンバータ損失を、各標本スイッチング周波数fc_1〜fc_nについて演算した各損失Ploss_1〜Ploss_nにさらに加える。
損失演算部831は、各関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n)に対して、演算した各損失Ploss_1〜Ploss_nと、各標本コンバータスイッチング周波数fc_v_1〜fc_v_nとをさらに関連付けることで、n個の関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1,Ploss_1,fc_v_1),・・・,(fc_n,Trq_adj*_n,Ploss_n,fc_v_n)(以下、(fc_1,Trq_adj*_1,Ploss_1,fc_v_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n,Ploss_n,fc_v_n)と表記する)を生成する。損失演算部831は、各関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1,Ploss_1,fc_v_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n,Ploss_n,fc_v_n)を損失最小パラメータ決定部832に出力する。
このように、損失演算部831は、各関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1,Ploss_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n,Ploss_n)に、各標本コンバータスイッチング周波数fc_v_1〜fc_v_nをさらに関連付けたn個の関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1,Ploss_1,fc_v_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n,Ploss_n,fc_v_n)を生成する。
損失最小パラメータ決定部832は、n個の関連付けパラメータ(fc_1,Trq_adj*_1,Ploss_1,fc_v_1)〜(fc_n,Trq_adj*_n,Ploss_n,fc_v_n)の中から、損失が最小値となる損失最小関連付けパラメータを選択する。損失最小パラメータ決定部832は、選択した損失最小関連付けパラメータに含まれる標本スイッチング周波数、補正トルク指令および標本コンバータスイッチング周波数を、最適スイッチング周波数fc_adj、最適補正トルク指令Trq_adj*および最適コンバータスイッチング周波数fc_vとして出力する。
このように、損失最小パラメータ決定部832は、選択した損失最小関連付けパラメータにさらに含まれる標本コンバータスイッチング周波数を、最適コンバータスイッチング周波数fc_vとしてさらに出力する。
以上、本実施の形態3によれば、各標本スイッチング周波数と、各標本スイッチング周波数に対応した各補正制御指令と、各標本スイッチング周波数に対応した各損失に対して各補正制御指令に対応した各コンバータ損失が加わった各損失と、各標本コンバータスイッチング周波数とが関連付けられたn個の関連付けパラメータの中から、損失が最小値となる損失最小関連付けパラメータを選択し、損失最小関連付けパラメータに含まれる標本スイッチング周波数、補正制御指令および標本コンバータスイッチング周波数を、最適スイッチング周波数、最適補正制御指令および最適コンバータスイッチング周波数として出力するように構成されている。
これにより、先の実施の形態1、2と同様に、電動機駆動システムで発生する損失を最小とするスイッチング周波数での電力変換装置の制御を実現しつつ、電動機の出力トルクの過不足の発生を抑制することができる。また、スイッチング周波数の変化に依存せず、過不足のないトルクを出力することができ、さらに、電動機駆動システムで発生する損失を、補正制御指令を用いて演算しているので、精度の高い高効率運転が可能な電動機駆動システムを実現することができる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4では、最大スイッチング周波数fc_max、最小スイッチング周波数fc_min、最大コンバータスイッチング周波数fc_v_maxおよび最小コンバータスイッチング周波数fc_v_minのそれぞれをあらかじめ設定する方法の具体例を説明する。なお、本実施の形態4では、先の実施の形態1〜3と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態1〜3と異なる点を中心に説明する。
ここで、本実施の形態4では、電動機駆動システムの故障防止を考慮して、上記の各スイッチング周波数fc_max,fc_min,fc_v_max,fc_v_minが設定される。インバータ部31のスイッチング周波数を高くすることで、スイッチング損失が増加し、その結果、SW311〜SW316の各温度Tjがより高くなる。そこで、最大スイッチング周波数fc_maxは、各SW311〜SW316の異常発熱を防止可能な許容温度範囲内に各温度Tjが収まるスイッチング周波数となるように設定される。
インバータ部31のスイッチング周波数を低くすることで、電動機1の損失である鉄損を増加し、その結果、電動機1の温度MTempがより高くなる。そこで、最小スイッチング周波数fc_minは、電動機1の異常発熱を防止可能な許容温度範囲内に温度MTempが収まるスイッチング周波数となるように設定される。
DC/DCコンバータ部24のスイッチング周波数を高くすることで、スイッチング損失が増加し、その結果、SW241およびSW242の各温度Tj_VCがより高くなる。そこで、最大コンバータスイッチング周波数fc_v_maxは、各SW241およびSW242の異常発熱を防止可能な許容温度範囲内に各温度Tj_VCが収まるスイッチング周波数となるように設定される。
DC/DCコンバータ部24のスイッチング周波数を低くすることで、リプル電流が大きくなり、コンデンサ損失が増加し、その結果、平滑コンデンサ22の温度Tconがより高くなる。そこで、最小コンバータスイッチング周波数fc_v_minは、平滑コンデンサ22の異常発熱を防止可能な許容温度範囲内に温度Tconが収まるスイッチング周波数となるように設定される。
以上、本実施の形態4によれば、先の実施の形態1〜3の各構成に対して、電動機駆動システム、具体的にはインバータ部および電動機の故障防止を考慮して、最大スイッチング周波数および最小スイッチング周波数が設定されるように構成されている。同様に、電動機駆動システム、具体的にはDC/DCコンバータ部および平滑コンデンサの故障防止を考慮して、最大コンバータスイッチング周波数および最小コンバータスイッチング周波数が設定されるように構成されている。
これにより、先の実施の形態1〜3と同様の効果を得ることができ、さらに、故障防止措置が施されている電動機駆動システムを実現することができる。
なお、インバータ部およびDC/DCコンバータ部の各スイッチング素子について、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成することで、最大スイッチング周波数、最小スイッチング周波数、最大コンバータスイッチング周波数および最小コンバータスイッチング周波数のそれぞれをより高い値に設定することができる。
実施の形態5.
本発明の実施の形態5では、最小スイッチング周波数fc_minをあらかじめ設定する方法の具体例として、先の実施の形態4とは異なる設定方法について説明する。なお、本実施の形態5では、先の実施の形態1〜4と同様である点の説明を省略し、先の実施の形態1〜4と異なる点を中心に説明する。
ここで、一般的に、電動機1をトルク制御、電流制御または電圧制御するためには、インバータ部31が出力する電流波形または電流波形の駆動周波数よりも、インバータ部31のスイッチング周波数が10倍以上高い必要がある。つまり、この駆動周波数は、制御限界周波数である。また、この駆動周波数は、電動機1の回転数Nによって決定される。
そこで、最小スイッチング周波数fc_minは、この駆動周波数よりも10倍以上の値となるスイッチング周波数となるように設定される。なお、最小スイッチング周波数fc_minは、電動機1の制御が可能である保証があれば、駆動周波数よりも10倍以下の値となるように設定される。このように、最小スイッチング周波数fc_minは、電動機1の制御不能を防止するスイッチング周波数となるように設定される。
なお、電動機1の制御の暴走を防止することを優先するために、最小スイッチング周波数fc_minの設定方法は、先の実施の形態4で説明した方法よりも、本実施の形態5で説明した方法が優先される。
以上、本実施の形態5によれば、先の実施の形態1〜4の各構成に対して、最小スイッチング周波数は、電動機の制御不能を防止するスイッチング周波数となるように設定されるように構成されている。これにより、先の実施の形態1〜4と同様の効果を得ることができ、さらに、制御不能に陥ることがない電動機駆動システムを実現することができる。
なお、本実施の形態1〜5について個別に説明してきたが、本実施の形態1〜5のそれぞれで開示した構成例は、任意に組み合わせることが可能である。
1 電動機、2 電源部、3 電力変換装置、4 回転角センサ、5 電動機温度センサ、6 スイッチング素子温度センサ、7 指令発生器、8 制御装置、11 U相コイル、12 V相コイル、13 W相コイル、21 バッテリ、22 平滑コンデンサ、23 チョークコイル、24 DC/DCコンバータ部、25 コンバータ用駆動回路、31 インバータ部、32 電流検出器、33 増幅回路、34 駆動回路、81 回転数演算部、82 関連付けパラメータ生成部、83 最適パラメータ選定部、84 トルク/電流指令変換部、85 三相二相変換部、86 電圧指令生成部、87 二相三相変換部、88 デューティ変換部、89 PWM信号生成部、90 コンバータ用制御器、91 コンバータ用PWM信号生成部、241,242 スイッチング素子、311〜316 スイッチング素子、321 U相電流検出部、322 V相電流検出部、323 W相電流検出部、821 標本スイッチング周波数決定部、822 補正制御指令決定部、831 損失演算部、832 損失最小パラメータ決定部、833 標本コンバータスイッチング周波数決定部。

Claims (9)

  1. 電動機と、
    直流電力を出力する直流電源を有する電源部と、
    上アームおよび下アームのそれぞれにスイッチング素子を有する複数のハーフブリッジ回路が並列に接続され、各スイッチング素子がPWM信号に従ってオンおよびオフに切り替え制御されることで、前記直流電源から出力された前記直流電力を交流電力に変換し、変換後の前記交流電力を前記電動機に出力するインバータ部を有する電力変換装置と、
    前記電動機を制御するための制御指令を発生させ、前記制御指令を出力する指令発生器と、
    前記電力変換装置を制御する制御装置と、
    を備えた電動機駆動システムであって、
    前記制御装置は、
    最小スイッチング周波数から最大スイッチング周波数までのスイッチング周波数範囲内からn個(ただし、nは2以上の整数)の標本スイッチング周波数を選択して決定し、各標本スイッチング周波数を出力する標本スイッチング周波数決定部と、
    各標本スイッチング周波数について、前記制御指令を補正することで、n個の補正制御指令を決定し、各標本スイッチング周波数と、各補正制御指令とが関連付けられたn個の第1関連付けパラメータを生成し、各第1関連付けパラメータを出力する補正制御指令決定部と、
    各第1関連付けパラメータに含まれる各標本スイッチング周波数について、前記電動機駆動システムで発生するn個の損失を演算し、演算した各損失が各第1関連付けパラメータに関連付けられたn個の第2関連付けパラメータを生成し、各第2関連付けパラメータを出力する損失演算部と、
    各第2関連付けパラメータの中から、前記損失が最小値となる損失最小関連付けパラメータを選択し、選択した前記損失最小関連付けパラメータに含まれる前記標本スイッチング周波数および前記補正制御指令を、最適スイッチング周波数および最適補正制御指令として出力する損失最小パラメータ決定部と、
    前記最適補正制御指令に対応したデューティ指令を生成し、前記デューティ指令を出力するデューティ変換部と、
    前記デューティ指令と、前記最適スイッチング周波数とから、前記PWM信号を生成し、前記PWM信号を出力するPWM信号生成部と、
    を有する電動機駆動システム。
  2. 前記電源部は、
    前記直流電源と並列に接続される平滑コンデンサと、
    前記直流電源と前記平滑コンデンサとの間に設けられ、複数のスイッチング素子を有し、各スイッチング素子がコンバータ用PWM信号に従ってオンおよびオフに切り替え制御されることで、前記直流電源から出力された前記直流電力を変換し、変換後の前記直流電力を前記インバータ部に出力するDC/DCコンバータ部と、
    をさらに有し、
    前記指令発生器は、前記平滑コンデンサの電圧を制御するための平滑コンデンサ用電圧指令をさらに発生させ、前記平滑コンデンサ用電圧指令をさらに出力し、
    前記制御装置は、
    前記平滑コンデンサの電圧を取得し、前記平滑コンデンサ用電圧指令と、取得した前記平滑コンデンサの電圧とから、コンバータ用デューティ指令を生成し、前記コンバータ用デューティ指令を出力するコンバータ用制御器と、
    前記コンバータ用デューティ指令から、前記コンバータ用PWM信号を生成し、前記コンバータ用PWM信号を出力するコンバータ用PWM信号生成部と、
    をさらに有し、
    損失演算部は、
    前記平滑コンデンサの電圧を取得し、取得した前記平滑コンデンサの電圧から、各標本スイッチング周波数について演算した各損失を補正する
    請求項1に記載の電動機駆動システム。
  3. 前記制御装置は、
    最小コンバータスイッチング周波数から最大コンバータスイッチング周波数までのコンバータスイッチング周波数範囲内からn個の標本コンバータスイッチング周波数を選択して決定し、各標本コンバータスイッチング周波数を出力する標本コンバータスイッチング周波数決定部をさらに有し、
    前記損失演算部は、
    各第1関連付けパラメータに含まれる各補正制御指令について、前記DC/DCコンバータ部のコンバータ損失を演算し、各標本スイッチング周波数について演算した各損失に演算した各コンバータ損失をさらに加え、各標本コンバータスイッチング周波数をさらに関連付けたn個の前記第2関連付けパラメータを生成し、
    前記損失最小パラメータ決定部は、
    選択した前記損失最小関連付けパラメータにさらに含まれる前記標本コンバータスイッチング周波数を、最適コンバータスイッチング周波数としてさらに出力し、
    前記コンバータ用PWM信号生成部は、
    前記コンバータ用デューティ指令と、前記最適コンバータスイッチング周波数とから、前記コンバータ用PWM信号を生成する
    請求項2に記載の電動機駆動システム。
  4. 前記最大コンバータスイッチング周波数は、前記DC/DCコンバータ部の各スイッチング素子の温度が許容温度範囲内に収まるスイッチング周波数となるように設定され、
    前記最小コンバータスイッチング周波数は、前記平滑コンデンサの温度が許容温度範囲内に収まるスイッチング周波数となるように設定される
    請求項3に記載の電動機駆動システム。
  5. 前記DC/DCコンバータ部の各スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成されている
    請求項2から4のいずれか1項に記載の電動機駆動システム。
  6. 前記最大スイッチング周波数は、前記インバータ部の各スイッチング素子の温度が許容温度範囲内に収まるスイッチング周波数となるように設定され、
    前記最小スイッチング周波数は、前記電動機の温度が許容温度範囲内に収まるスイッチング周波数となるように設定される
    請求項1から5のいずれか1項に記載の電動機駆動システム。
  7. 前記最小スイッチング周波数は、
    前記電動機の制御不能を防止するスイッチング周波数となるように設定される
    請求項1から6のいずれか1項に記載の電動機駆動システム。
  8. 前記制御指令は、トルク指令、電流指令または電圧指令である
    請求項1から7のいずれか1項に記載の電動機駆動システム。
  9. 前記インバータ部の各スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成されている
    請求項1から8のいずれか1項に記載の電動機駆動システム。
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