JP2019146360A - インバータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で良質な駆動が可能なインバータ制御装置を提供する。【解決手段】モータの出力トルクが所要のトルクとなるようにモータを駆動する電流値を制御する第1インバータ制御手段と、モータに与える回転速度指令値および電流指令値と、モータ定数とに基づいてモータを駆動する電圧値を制御する第2インバータ制御手段と、第1インバータ制御手段によるモータの駆動と、第2インバータ制御手段によるモータの駆動とを切り替えるインバータ制御切替手段とを備え、インバータ制御切替手段は、第1インバータ制御手段で算出されるモータの電圧指令値において、少なくとも1相の電圧値がインバータが出力可能な電圧値の最小値または最大値となり、かつその相を含む2相の電圧差が所定の電圧差閾値未満となる場合には第2インバータ制御手段によりモータを駆動し、それ以外の場合には第1インバータ制御手段によりモータを駆動する。【選択図】図1

Description

本発明は、モータを任意の回転数で駆動するインバータ制御装置に関するものである。
従来、インバータの母線電流に基づいてモータ相電流を再現し、その再現した相電流値を用いてモータを駆動するインバータ制御装置において、電圧飽和領域では直流母線電流をフィルタ処理した平均直流母線電流と、1相分の瞬時相電流値と、直流電圧値とに基づいてモータ相電流を演算することで、過変調時においても3相分のモータ相電流を再現する技術がある(例えば特許文献1を参照)。
特許文献1の方法によれば、過変調時においても3相分のモータ相電流を再現することができるため、過変調PWM制御を行うことでモータの無効電流を低減することができる。
特許第5417051号公報
しかしながら、前記従来の構成の制御装置では、平均直流母線電流はフィルタ特性によりモータの制御性能が左右されるため汎用化が困難となる可能性があり、さらに過変調時において3相分のモータ相電流を再現する際には複雑な演算処理(特許文献1の数5〜数7を参照されたい)を行うためマイコン等の演算装置の高機能化によりコストアップに繋がる可能性がある。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、過変調時においても複雑な演算処理によるモータ相電流の再現を行うことなく、良質なモータ駆動を実現すると共に、安価な構成のインバータ制御装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のインバータ制御装置は、複数相のモータと、直流電力を交流電力に変換し、モータへ電力を供給するインバータと、インバータに流れる母線電流を検出する電流検出手段と、インバータの母線電流を基にモータの相電流を再現する電流再現手段を含み、モータの出力トルクが所要のトルクとなるようにモータを駆動する電流値を制御する第1インバータ制御手段と、モータに与える回転速度指令値および電流指令値と、モータ定数(巻線抵抗値、インダクタンス値、誘起電圧値)とに基づいてモータを駆動する電圧値を制御する第2インバータ制御手段と、第1インバータ制御手段によるモータの駆動と、第2インバータ制御手段によるモータの駆動とを切り替えるインバータ制御切替手段とを備え、インバータ制御切替手段は、第1インバータ制御手段で算出されるモータの電圧指令値において、少なくとも1相の電圧値がインバータが出力可能な電圧範囲の最小値または最大値となり、かつその相を含む2相の電圧差が所定の電圧差閾値未満となる場合には第2インバータ制御手段によりモータを駆動し、それ以外の場合には第1インバータ制御手段によりモータを駆動するものである。
また、本発明のインバータ制御装置は、複数相のモータと、直流電力を交流電力に変換し、モータへ電力を供給するインバータと、インバータに流れる母線電流を検出する電流
検出手段と、インバータの母線電流を基にモータの相電流を再現する電流再現手段を含み、モータの出力トルクが所要のトルクとなるようにモータを駆動する電流値を制御する第1インバータ制御手段と、モータに与える回転速度指令値および電流指令値と、モータ定数(巻線抵抗値、インダクタンス値、誘起電圧値)とに基づいてモータを駆動する電圧値を制御する第2インバータ制御手段と、第1インバータ制御手段によるモータの駆動と、第2インバータ制御手段によるモータの駆動とを切り替えるインバータ制御切替手段とを備え、インバータ制御切替手段は、第1インバータ制御手段で算出されるモータの電圧指令値に基づいて生成されるインバータ制御信号において、少なくとも1相のデューティが最小値または最大値となり、かつその相を含む2相のデューティ差が所定のデューティ差閾値未満となる場合には第2インバータ制御手段によりモータを駆動し、それ以外の場合には第1インバータ制御手段によりモータを駆動するものである。
これによって、過変調時においても複雑な演算処理によるモータ相電流の再現を行うことなく、良質なモータの駆動を実現すると共に、安価な構成のインバータ制御装置を提供することができる。
本発明のインバータ制御装置は、過変調時においても複雑な演算処理によりモータ相電流の再現を行うことなく、良質なモータの駆動を実現すると共に、安価な構成とすることができる。
本発明のインバータ制御装置のシステム構成図 本発明のインバータ制御装置におけるモータの相電流状態の時間的変化の一例、および電気角の各区間におけるモータの各相巻線での電流の状態を示す図 本発明のインバータ制御装置におけるPWM信号の第1の動作例を示す図 図3におけるPWM信号による駆動時のモータおよびインバータに流れる電流状態を示す図 本発明のインバータ制御装置におけるPWM信号の第2の動作例を示す図 図5におけるPWM信号による駆動時のモータおよびインバータに流れる電流状態を示す図 本発明のインバータ制御装置におけるデッドタイム期間のモータおよびインバータに流れる電流状態の第1の動作例を示す図 本発明のインバータ制御装置におけるデッドタイム期間のモータおよびインバータに流れる電流状態の第2の動作例を示す図 本発明のインバータ制御装置におけるPWM信号の第3の動作例を示す図 本発明のインバータ制御装置における第1インバータ制御部の第1の構成図 本発明のインバータ制御装置における第1インバータ制御部の第2の構成図 本発明のインバータ制御装置における第2インバータ制御部の構成図 本発明のインバータ制御装置におけるインバータ制御切替部の第1の構成図 本発明のインバータ制御装置におけるインバータ制御切替部の第2の構成図 本発明のインバータ制御装置におけるリミット処理部の動作例を示す図 本発明のインバータ制御装置における電圧指令値の動作例を示す図 本発明のインバータ制御装置におけるPWM信号生成部の動作例を示す図 本発明のインバータ制御装置における動作モード判定部の動作例を示す図 本発明のインバータ制御装置における座標軸の定義図
第1の発明は、複数相のモータと、直流電力を交流電力に変換し、モータへ電力を供給するインバータと、インバータに流れる母線電流を検出する電流検出手段と、インバータの母線電流を基にモータの相電流を再現する電流再現手段を含み、モータの出力トルクが所要のトルクとなるようにモータを駆動する電流値を制御する第1インバータ制御手段と、モータに与える回転速度指令値および電流指令値と、モータ定数(巻線抵抗値、インダクタンス値、誘起電圧値)とに基づいてモータを駆動する電圧値を制御する第2インバータ制御手段と、第1インバータ制御手段によるモータの駆動と、第2インバータ制御手段によるモータの駆動とを切り替えるインバータ制御切替手段とを備え、インバータ制御切替手段は、第1インバータ制御手段で算出されるモータの電圧指令値において、少なくとも1相の電圧値がインバータが出力可能な電圧範囲の最小値または最大値となり、かつその相を含む2相の電圧差が所定の電圧差閾値未満となる場合には第2インバータ制御手段によりモータを駆動し、それ以外の場合には第1インバータ制御手段によりモータを駆動するものであり、過変調時においても複雑な演算処理によりモータ相電流の再現を行うことなく、良質なモータの駆動を実現すると共に、安価な構成のインバータ制御装置を提供することができる。
第2の発明は、複数相のモータと、直流電力を交流電力に変換し、モータへ電力を供給するインバータと、インバータに流れる母線電流を検出する電流検出手段と、インバータの母線電流を基にモータの相電流を再現する電流再現手段を含み、モータの出力トルクが所要のトルクとなるようにモータを駆動する電流値を制御する第1インバータ制御手段と、モータに与える回転速度指令値および電流指令値と、モータ定数(巻線抵抗値、インダクタンス値、誘起電圧値)とに基づいてモータを駆動する電圧値を制御する第2インバータ制御手段と、第1インバータ制御手段によるモータの駆動と、第2インバータ制御手段によるモータの駆動とを切り替えるインバータ制御切替手段とを備え、インバータ制御切替手段は、第1インバータ制御手段で算出されるモータの電圧指令値に基づいて生成されるインバータ制御信号において、少なくとも1相のデューティが最小値または最大値となり、かつその相を含む2相のデューティ差が所定のデューティ差閾値未満となる場合には第2インバータ制御手段によりモータを駆動し、それ以外の場合には第1インバータ制御手段によりモータを駆動するものであり、過変調時においても複雑な演算処理によりモータ相電流の再現を行うことなく、良質なモータの駆動を実現すると共に、安価な構成のインバータ制御装置を提供することができる。
第3の発明は、特に第1の発明のインバータ制御装置において、インバータの直流電流を検出する電圧検出手段をさらに備え、所定の電圧差閾値は、インバータの母線電流の検出期間に、インバータの直流電圧を乗じた値に基づいて設定されるものであり、過変調時においてインバータの母線電流から3相分のモータ相電流の再現が不可能か否かの判定を確実に行うことができる。
第4の発明は、特に第3の発明のインバータ制御装置において、所定のデューティ差閾値は、インバータの母線電流の検出期間に基づいて設定されるものであり、過変調時においてインバータの母線電流から3相分のモータ相電流の再現が不可能か否かの判定を確実に行うことができる。
第5の発明は、特に第1から第4のいずれかの発明のインバータ制御装置において、第1インバータ制御手段によるモータの駆動と、第2インバータ制御手段によるモータの駆動とが、モータの電気角1周期中に存在するものであり、過変調時においてインバータの母線電流から3相分のモータ相電流の再現が不可能となるモータ電気角の位相領域ではモータの電圧制御を行う第2インバータ制御手段で、それ以外の位相領域ではモータの電流
制御を行う第1インバータ制御手段でそれぞれインバータを動作させることで、良質なモータ駆動を実現すると共に、安価な構成のインバータ制御装置を提供することができる。
第6の発明は、特に第1から第5のいずれかの発明のインバータ制御装置において、第2インバータ制御手段によりモータの駆動が行われるキャリア周期では、第1インバータ制御手段においてモータの電流値を、前回までのキャリア周期で得られる時系列変化量から推定演算するものであり、いかなる場合でも第1インバータ制御手段において高精度なモータ相電流の再現が可能となる。
第7の発明は、特に第1から第6のいずれかの発明のインバータ制御装置において、インバータの変調率を算出する変調率算出手段をさらに備え、変調率算出手段で算出されたインバータの変調率が1を超える過変調となる場合には、第1インバータ制御手段によるモータの駆動と、第2インバータ制御手段によるモータの駆動とを切り替えるものであり、第1インバータ制御手段と第2インバータ制御手段との切り替えを必要最小限とすることで、主にマイコン等の演算装置の負荷を軽減することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明のインバータ制御装置のシステム構成図である。このインバータ制御装置は、直流電源1、モータ3に供給する駆動電圧を生成、出力するインバータ2、およびインバータ2を制御するインバータ制御手段6を備える。またh、モータ3は中性点を中心にY結線された3相巻線であるU相巻線4u、V相巻線4v、W相巻線4wが取り付けられる固定子4と、磁石が装着されている回転子5を備える。
インバータ2は、一対のスイッチング素子からなるハーフブリッジ回路をU相用、V相用、W相用として3相分備える。ハーフブリッジ回路の一対のスイッチング素子は、直流電源1の高圧側端と低圧側端の間に直列接続され、ハーフブリッジ回路に直流電源1から出力される直流電圧が印加される。U相用のハーフブリッジ回路は、高圧側(上アーム)のスイッチング素子21uおよび低圧側(下アーム)のスイッチング素子21xより成る。V相用のハーフブリッジ回路は、高圧側のスイッチング素子21vおよび低圧側のスイッチング素子21yより成る。W相用のハーフブリッジ回路は、高圧側のスイッチング素子21wおよび低圧側のスイッチング素子21zより成る。また、各スイッチング素子(21u〜21z)と並列に還流ダイオード(22u〜22z)が接続されている。
インバータ2に印加されている直流電圧は、上述したインバータ2内のスイッチング素子(21u〜21z)のスイッチング動作によって3相交流電圧に変換され、それによりモータ3が駆動される。また、インバータ2の母線にはシャント抵抗で構成された電流検出手段7が配されている。さらに、インバータ2の直流電圧を検出する電圧検出手段8を備える。
インバータ制御手段6は、電流指令演算部10と、第1インバータ制御部11と、第2インバータ制御部12と、インバータ制御切替部13と、ベースドライバ14から構成されている。
電流指令演算部10では、インバータ制御切替部13から得られる出力速度ωと、外部から与えられる目標速度ωsとの偏差情報に基づいてモータ3の回転速度が目標速度に一致するように比例積分制御等を用いて電流指令振幅Isを導出する。この電流指令振幅Isと予め設定された電流位相βm(例えば実機試験結果やシミュレーション結果等を踏ま
えて、電源電圧や回転数等のテーブルデータとして設けておく)により、2相電流指令値(Ids、Iqs)を導出する。
Ids=−Is×sin(βm) ・・・(1)
Iqs=Is×cos(βm) ・・・(2)
なお、図19に座標軸の定義を示す。θはインバータ制御切替部13から得られる出力位置、βmは電流位相である。3相(u、v、w)/2相(d、q)変換および2相(d、q)/3相(u、v、w)変換については公知のため、以下詳細な説明は省略する。
図10は、本発明のインバータ制御装置における第1インバータ制御部11の第1の構成図である。この第1インバータ制御部11は、相電流再現部110と、電流推定部111と、電流選択部112と、電流制御部113と、回転子位置速度推定部114と、3相/2相変換部115と、2相/3相変換部116から構成されている。
電流再現部110では、電流検出手段7に流れるインバータ母線電流を観察し、そのインバータ母線電流をインバータ制御切替部13から得られるデューティ情報に基づいてモータ3の相電流に変換する。相電流再現部110は実際にはインバータ母線電流が変化した時から所定期間の間だけ電流を検出する。
電流推定部111では、各相の電流値を前回までのキャリア周期で得られる時系列変化量から推定演算する。
この推定演算式は、
Iu(n)=Iu(n−1)+[Iu(n−1)−Iu(n−2)]・・・(3)
で表されるような非常に簡単なものでも良く、これによって、第1インバータ制御部11において回転子位置速度推定部114での演算結果の精度を向上させることが可能となるものである。
電流選択部112では、インバータ制御切替部13から得られるインバータ2の動作モードがモード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)の場合には電流再現部110から得られる3相検出電流を、モード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)の場合には電流推定部111から得られる3相推定電流を出力する。
3相/2相変換部115では、インバータ制御切替部13から得られる出力位置θに基づいて電流選択部112から得られる3相電流(Iu、Iv、Iw)を2相電流(Id、Iq)に変換する。
回転子磁極位置速度推定部114では、2相電流(Id、Iq)と、インバータ制御切替部13から得られる2相出力電圧(Vd、Vq)の情報により、モータ3の回転速度を推定し、推定された回転速度(推定速度ωe)とインバータ制御切替部13から得られる出力位置θと制御周期Tsに基づいて回転子位置を推定する(回転速度の推定に関する具体的な方法については例えば特開2001−37281号公報等の文献を参照されたい)。
θe=θ+Ts×ωe ・・・(4)
電流制御部113では、2相電流(Id、Iq)と、電流指令演算部10から得られる2相電流指令値(Ids、Iqs)との偏差情報に基づいてモータ3の電流値が電流指令値に一致するように比例積分制御等を用いて2相電圧指令値(Vds1、Vqs1)を導出する。
なお、2相電圧指令値(Vds1、Vqs1)の導出に関しては、比例積分制御だけでなく一般的な非干渉化制御を組み込んでも良い(非干渉化制御に関する具体的な方法については例えば「リラクタンストルク応用モータ(一般社団法人 電気学会、初版 第1刷発行、114頁)」等の文献を参照されたい)。
2相/3相変換部116では、推定位置θeに基づいて電流制御部113から得られる2相電圧指令値(Vds1、Vqs1)を3相電圧指令値(Vus1、Vvs1、Vws1)に変換する。
図12は、本発明のインバータ制御装置における第2インバータ制御部12の構成図である。この第2インバータ制御部12は、電圧制御部120と、回転子位置更新部121と、2相/3相変換部122から構成されている。
電圧制御部120では、外部から与えられる目標速度ωsと、電流指令演算部10から得られる2相電流指令値(Ids、Iqs)と、モータ定数(巻線抵抗値Ra、インダクタンス値LdおよびLq、誘起電圧値Keから導出される磁束鎖交数Φa)と、制御周期Tsに基づいて一般的なモータモデルで2相電圧指令値(Vds2、Vqs2)を導出する。
Vds2=Ra×Ids+Ld×ΔIds/Ts
−ωs×Lq×Iqs ・・・(5)
Vqs2=Ra×Iqs+Lq×ΔIqs/Ts
+ωs×Ld×Ids+ωs×Φa ・・・(6)
ここで、ΔIdsは前回Idsに対する現在Idsの差分、ΔIqsは前回Iqsに対する現在Iqsの差分である。
なお、インダクタンスには電流による磁気飽和特性があるため、インダクタンス値LdおよびLqには電流指令値に対するインダクタンス値のテーブルデータを設けても良い。
また、前述の通り一般的なモータモデルとして、一例として埋込磁石同期モータ(IPMSM)を用いているが、これに限定されず、表面磁石同期モータ(SPMSM)を用いても良い。表面磁石同期モータ(SPMSM)の場合には、式(5)および式(6)のインダクタンス値LdおよびLqを同一のインダクタンス値Lに置き換えれば良い。
回転子位置更新部121では、外部から与えられる目標速度ωsと、インバータ制御切替部13から得られる出力位置θと制御周期Tsに基づいて回転子位置を更新する。
θs=θ+Ts×ωs ・・・(7)
2相/3相変換部122では、更新位置θsに基づいて電圧制御部120から得られる2相電圧指令値(Vds2、Vqs2)を3相電圧指令値(Vus2、Vvs2、Vws2)に変換する。
図13は、本発明のインバータ制御装置におけるインバータ制御切替部13の第1の構成図である。このインバータ制御切替部13は、動作モード判定部130と、電圧指令選択部131と、位置選択部132と、速度選択部133と、PWM信号生成部134と、出力電圧演算部135と、リミット処理部136および137から構成されている。
リミット処理部136では、第1インバータ制御部11から得られる第1電圧指令値(Vus1、Vvs1、Vws1)に基づいて、リミット処理部137では、第2インバータ制御部12から得られる第2電圧指令値(Vus2、Vvs2、Vws2)に基づいて
、それぞれ3相電圧指令値にリミット処理を行う。ここで、電圧検出手段8から得られるインバータ2の直流電圧Vdcを用いると、インバータ2により出力可能な電圧範囲である「±Vdc/2」をリミット値とする。
図15は、リミット処理部136および137における電圧指令値の動作波形の一例である。図15において、正弦波状の動作波形がリミット処理前の電圧指令値であり、第1電圧指令値(Vus1、Vvs1、Vws1)および第2電圧指令値(Vus2、Vvs2、Vws2)に相当する。また、図15において、リミット値「±Vdc/2」で制限された略台形波状の動作波形がリミット処理後の電圧指令値であり、リミット処理部136および137から出力される。
さらに、リミット処理部136および137における電圧指令値に関して、図16を用いて説明を加える。図16は1相分の相電圧指令値の動作波形例を示しており、リミット処理前の相電圧指令値Vsaの振幅Aaはリミット値「Vdc/2」未満のため通常変調(変調率σ≦1)であり、リミット処理前の相電圧指令値Vsbの振幅Abはリミット値「Vdc/2」を超えるため過変調(変調率σ>1)となる。過変調時(リミット処理前の相電圧指令値Vsbの場合)は通常変調時(リミット処理前の電圧指令値Vsaの場合)に対してモータ3に印加できる電圧(図16の斜線部分に相当)を増加することができるため、モータ3の駆動出力範囲を拡大することができる。
なお、インバータ2の変調率σに関しては、インバータ2の直流電圧Vdcとリミット処理前の相電圧指令値振幅を用いて導出される。
σ=相電圧指令値振幅/(Vdc/2) ・・・(8)
動作モード判定部130では、リミット処理部136から得られる電圧指令値(Vuh1、Vvh1、Vwh1)に基づいてインバータ2の動作モード(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動が行われる場合をモード1、第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動が行われる場合をモード2と定義)を決定する。
電圧指令選択部131では、動作モード判定部130から得られるインバータ2の動作モードがモード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)の場合にはリミット処理部136から得られる3相電圧指令値(Vuh1、Vvh1、Vwh1)を、モード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)の場合にはリミット処理部137から得られる3相電圧指令値(Vuh2、Vvh2、Vwh2)を出力する。
位置選択部132では、動作モード判定部130から得られるインバータ2の動作モードがモード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)の場合には第1インバータ制御部11から得られる推定位置θeを、モード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)の場合には第2インバータ制御部12から得られる更新位置θsを出力する。
速度選択部133では、動作モード判定部130から得られるインバータ2の動作モードがモード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)の場合には第1インバータ制御部11から得られる推定速度ωeを、モード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)の場合には外部から与えられる目標速度ωsを出力する。
PWM信号生成部134では、電圧指令選択部131から得られる3相電圧指令値(Vuh、Vvh、Vwh)と、電圧検出手段8から得られる直流電圧Vdcよりモータ3を駆動するためのPWM信号を生成し、PWM信号とそのデューティ情報を出力する。
図17は、PWM信号生成部134における3相電圧指令値(Vuh、Vvh、Vwh)とPWM信号の動作波形の一例であり、各相の電圧指令値と搬送波(キャリア)の大小関係に基づいて各相のデューティが決定されるため、PWM信号のデューティの大小関係は、各相の電圧指令値の大小関係から一義的に求められる。
出力電圧演算部135では、電圧指令選択部131から得られる3相電圧指令値(Vuh、Vvh、Vwh)と、位置選択部132から得られる出力位置θとに基づいて3相/2相変換を行うことで2相出力電圧(Vd、Vq)を導出する。
前述のように求められたPWM信号はベースドライバ14に出力され、インバータ2の各スイッチング素子(21u〜21z)を駆動する。
以下、動作モード判定部130の具体的な動作について説明する。
まず始めに、図2〜図6を用いてインバータ母線に流れる電流においてもモータ3の相電流が流れる様子を説明する。
図2はモータ3の各相巻線(4u〜4w)に流れる相電流の状態と、60°毎の電気角の各区間における各相巻線(4u〜4w)に流れる電流の方向を示した図である。図3において、電気角0〜60°の区間では、U相巻線4uとW相巻線4eには非結線端から中性点に向けて、V相巻線4vには中性点から非結線端に向けて電流が流れている。また、電気角60〜120°の区間では、U相巻線4uには非結線端から中性点に向けて、V相巻線4vとW相巻線4wには中性点から非結線端に向けて電流が流れている。以降、電気角60°毎に各相巻線に流れる相電流の状態が変化していく様子が示されている。
例えば、図2において電気角30°の時に、インバータ制御切替部13から出力されたPWM信号が図3のように変化する場合を考える。ここで、図4において信号「U」は上アームのスイッチング素子21uを、信号「V」は上アームのスイッチング素子21vを、信号「W」は上アームのスイッチング素子21wを、信号「X」は下アームのスイッチング素子21xを、信号「Y」は下アームのスイッチング素子21yを、信号「Z」は下アームのスイッチング素子21zを動作させる信号を示す。
これらの信号はアクティブ・ハイで動作する。この場合、インバータ母線にはタイミング(1)では図4(a)に示すように電流が現れず、タイミング(2)では図4(b)に示すようにW相巻線4wに流れる電流(W相電流)が現れ、タイミング(3)では図4(c)に示すようにV相巻線4vに流れる電流(V相電流)が現れる。
別の例として、図2において電気角30°の時に、インバータ制御切替部13から出力されたPWM信号が図5のように変化する場合を考える。この場合には、図6(a)に示すようにインバータ母線にはタイミング(1)では電流が現れず、図6(b)に示すようにタイミング(2)ではU相巻線4uに流れる電流(U相電流)が現れ、図6(c)に示すようにタイミング(3)ではV相巻線4vに流れる電流(V相電流)が現れる。
以上のように、インバータ母線上にインバータ2のスイッチング素子(21u〜21z)の状態に応じてモータ3の相電流が現れることが分かる。
上述のように、キャリア周期内の近接したタイミングで2相分の電流を判断することができれば、次式の関係から3相それぞれの電流(Iu、Iv、Iw)が求められることは明らかである。
Iu+Iv+Iw=0 ・・・(9)
なお、タイミング(4)とタイミング(5)はスイッチング素子(21u〜21z)の動作遅れによりインバータ上下アームが短絡するのを防止するためのデッドタイム期間であり、この期間にインバータ母線に流れる電流は、各相電流の流れる向きによって不定である。
例えば、タイミング(5)において図7のような各相巻線(4u〜4z)に流れる電流の方向であればインバータ母線にはU相巻線4uに流れる電流(U相電流)が現れ、図8のような各相巻線(4u〜4Z)に流れる電流の方向であればインバータ母線にはV相巻線4vに流れる電流(V相電流)が現れることになる。
ただし、実用上は各相のPWM信号のデューティが、少なくとも主にマイコン(図示せず)のADサンプリング時間で決定される値よりも大きい場合でないと、インバータ母線に現れるモータ3の相電流を正確に検出することができない。
例えば、インバータ制御切替部13から出力されたPWM信号が図9(a)のように変化する場合には、上アームのスイッチング素子が1つ通電しているタイミング(2)の期間と、上アームのスイッチング素子が2つ通電しているタイミング(3)の期間とが、ADサンプリング時間15よりも長い状態になっていて、図4に示すようにそれぞれの期間でインバータ母線に現れるW相電流とV相電流を正確に検出することができるが、PWM信号が図9(b)のように変化する場合には、上アームのスイッチング素子が2つ通電しているタイミング(3)の期間はADサンプリング時間15よりも短い状態になっていて、図4に示すようにこの期間はインバータ母線に現れるV相電流を正確に検出することができない。つまり、図9(b)のような場合にはキャリア周期内で3相分のモータ相電流の再現が困難となる。したがって、このように変化するPWM信号が繰り返されると、インバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流を求めることができず、モータ3の電流制御を行うインバータ制御装置ではモータ3の駆動ができなくなる。
特に、インバータ2の変調率σが1を超える過変調時の場合には、例えば図17に示すように2相のPWM信号のデューティが最小値(0%)または最大値(100%)となり、タイミング(2)の期間またはタイミング(3)の期間が発生せず、このような状態ではキャリア周期内で3相分のモータ相電流の再現が不可能となる。
そこで、本発明のインバータ制御装置では上記のような不具合を回避すべく、インバータ制御切替部13における動作モード判定部130では、リミット処理部136から得られる3相電圧指令値(Vuh1、Vvh1、Vwh1)の大小関係をチェックすることで、間接的にPWM信号の大小判定を適切に行い、過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が不可能と判断される場合には、モータ3の電圧制御を行う第2インバータ制御部12で、過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が可能と判断される場合には、モータ3の電流制御を行う第1インバータ制御部11でそれぞれインバータ2を動作させるものである。
図18は、リミット処理部136から得られる3相電圧指令値(Vuh1、Vvh1、Vwh1)の動作波形の一例であり、少なくとも1相の電圧指令値がインバータ2が出力可能な電圧範囲の最小値(−Vdc/2)または最大値(+Vdc/2)となり、かつその相を含む2相の電圧指令値の差分が所定の電圧差閾値ΔV未満となる場合(過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が不可能となる位相領域)にはインバータ2の動作モードをモード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)とし、それ以外の場合(過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が可能となる位相領域)にはモード1(第1インバータ制御部11に
よるモータ3の駆動)とする。
ここで、所定の電圧差閾値ΔVは、インバータ2の母線電流の検出期間Tdetに、電圧検出手段8から得られるインバータ2の直流電圧Vdcを乗じた値で設定される。
ΔV=Tdet×Vdc ・・・(10)
なお、所定の電圧差閾値ΔVをPWM信号のデューティ差閾値ΔDに換算すると、キャリア周期Tcに対するインバータ2の母線電流の検出期間Tdetの百分率で設定される(キャリア周期Tcの設定値によりデューティ差閾値ΔDの設定値は変化するが、本発明のインバータ制御装置ではデューティ差閾値ΔDは30%以下で設定される)。
ΔD=Tdet/Tc×100 ・・・(11)
ここで、インバータ2の母線電流の検出期間Tdetについては、主にマイコン(図示せず)のADサンプリング時間や、デッドタイム期間、インバータ2のスイッチング素子(21u〜21z)のスイッチング動作の遅延時間、スイッチング動作により発生する高周波振動(リンギング)が減衰するまでの時間を考慮して設定される。
これによって、過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が不可能か否かの判定を確実に行うことができる。
また、動作モード判定部130では、リミット処理部136から得られる3相電圧指令値(Vuh1、Vvh1、Vwh1)の大小関係をチェックすることで、間接的にPWM信号のデューティの大小判定を適切に行うものであるが、3相電圧指令値(Vuh1、Vvh1、Vwh1)をPWM信号のデューティに変換し、そのデューティに基づいて直接的にPWM信号の大小判定を行う構成としても良い(図示せず)。
この場合には、少なくとも1相のPWM信号のデューティ値が最小値(0%)または最大値(100%)となり、かつその相を含む2相のデューティ差が所定のデューティ差閾値ΔD未満となる場合(過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が不可能と判断となる位相領域)にはモード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)とし、それ以外の場合(過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が可能となる位相領域)にはモード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)とする。
このように、インバータ2の動作モードとして、モード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)と、モード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)とがモータの電気角1周期中に存在するものであり、過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が不可能となる位相領域ではモータ3の電圧制御を行う第2インバータ制御部12でインバータ2を動作させることにより、特許文献1による方法(直流母線電流をフィルタ処理した平均直流母線電流と、1相分の瞬時相電流値と、直流電圧値とに基づくモータ相電流演算(特許文献1の数5〜数7を参照されたい))が不要となるため、過変調時においても複雑な演算処理によるモータ相電流の再現を行うことなく、良質なモータ3の駆動を実現すると共に、安価な構成のインバータ制御装置を提供することができる。
また、インバータ制御切替部13から得られる出力位置θを基準に、第1インバータ制御部11における推定位置θeを、第2インバータ制御部12における更新位置θsをそれぞれ導出しているため、回転子位置に齟齬を来たさず、インバータ2の動作モードであるモード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)とモード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)とを円滑に切り替えることができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の第2の実施の形態のインバータ制御装置について説明する。主要なシステム構成(図1)について、第1の実施の形態のインバータ制御装置と同一であり、重複するため説明を省略し、ここでは構成が異なる第1インバータ制御部11に関する内容についてのみ説明する(第2インバータ制御部12、インバータ制御切替部13に関しては、第1の実施の形態のインバータ制御装置と同一であり、重複するため説明を省略する)。
図11は、本発明のインバータ制御装置における第1インバータ制御部11の第2の構成図である。この第1インバータ制御11は、相電流再現部110と、電流推定部211と、電流選択部212と、電流制御部213と、回転子位置速度推定部214と、3相/2相変換部215と、2相/3相変換部116から構成されている(電流再現部110、2相/3相変換部116に関しては、第1の実施の形態のインバータ制御装置と同一であり、重複するため説明を省略する)。
3相/2相変換部215では、インバータ制御切替部13から得られる出力位置θに基づいて電流再現部110から得られる3相検出電流を2相検出電流に変換する。
電流推定部211では、2相電流値を前回までのキャリア周期で得られる時系列変化量から推定演算する。
この演算式は、
Id(n)=Id(n−1)+[Id(n−1)−Id(n−2)]・・・(12)で表されるような非常に簡単なものでも良く、これによって、第1インバータ制御部11において回転子位置速度推定部214での演算結果の精度を向上させることが可能となるものである。
ここで、第1の実施の形態のインバータ制御装置における電流推定部111では3相検出電流(交流波形)を前回までのキャリア周期で得られる時系列変化量から推定演算するため、キャリア周期が長い場合やモータ相電流の変化が大きい場合には、電流推定精度が低下する可能性があるのに対して、本実施の形態の電流推定部211では、2相検出電流(直流波形)の時系列変化量から推定演算するため、電流推定精度の低下を防止することができる。
電流選択部212では、インバータ制御切替部13から得られるインバータ2の動作モードがモード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)の場合には3相/2相変換部215から得られる2相検出電流を、モード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)の場合には電流推定部211から得られる2相推定電流を出力する。
回転子位置速度推定部214では、電流選択部212から得られる2相電流と、インバータ制御切替部13から得られる2相出力電圧(Vd、Vq)の情報により、モータ3の回転速度を推定し、推定された回転速度(推定速度ωe)とインバータ制御切替部13から得られる出力位置θと制御周期Tsに基づいて回転子位置を推定する。
電流制御部213では、電流選択部212から得られる2相電流と、電流指令演算部10から得られる2相電流指令値(Ids、Iqs)との偏差情報に基づいてモータ3の電流値が電流指令値に一致するように比例積分制御等を用いて2相電圧指令値(Vds1、Vqs1)を導出する。
なお、回転子位置速度推定部214、電流制御部213に関する具体的な方法については第1の実施の形態のインバータ制御装置と同様である。
このように、インバータ2の動作モードとして、モード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)と、モード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)とがモータの電気角1周期中に存在するものであり、過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が不可能となる位相領域ではモータ3の電圧制御を行う第2インバータ制御部12でインバータ2を動作させることにより、特許文献1による方法(直流母線電流をフィルタ処理した平均直流母線電流と、1相分の瞬時相電流値と、直流電圧値とに基づくモータ相電流演算(特許文献1の数5〜数7を参照されたい))が不要となるため、過変調時においても複雑な演算処理によるモータ相電流の再現を行うことなく、良質なモータ3の駆動を実現すると共に、安価な構成のインバータ制御装置を提供することができる。
また、インバータ制御切替部13から得られる出力位置θを基準に、第1インバータ制御部11における推定位置θeを、第2インバータ制御部12における更新位置θsをそれぞれ導出しているため、回転子位置に齟齬を来たさず、インバータ2の動作モードであるモード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)とモード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)とを円滑に切り替えることができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の第3の実施の形態のインバータ制御装置について説明する。主要なシステム構成(図1)について、第1の実施の形態のインバータ制御装置と同一であり、重複するため説明を省略し、ここでは構成が異なるインバータ制御切替部13に関する内容についてのみ説明する(第1インバータ制御部11、第2インバータ制御部12に関しては、第1の実施の形態のインバータ制御装置と同一であり、重複するため説明を省略する)。
図14は、本発明のインバータ制御装置におけるインバータ制御切替部13の第2の構成図である。このインバータ制御切替部13は、動作モード判定部230と、変調率演算部231と、電圧指令選択部131と、位置選択部132と、速度選択部133と、PWM信号生成部134と、出力電圧演算部135と、リミット処理部136および137から構成されている(電圧指令選択部131、位置選択部132、速度選択部133、PWM信号生成部134、出力電圧演算部135、リミット処理部136および137に関しては、第1の実施の形態のインバータ制御装置と同一であり、重複するため説明を省略する)。
変調率演算部231では、第1インバータ制御部11から得られる第1電圧指令値(Vus1、Vvs1、Vws1)と、電圧検出手段8から得られるインバータ2の直流電圧Vdcとに基づいて、式(8)よりインバータ2の変調率σを導出する(相電圧指令値振幅を求める際には、少なくとも1相分の相電圧指令値を用いれば良い)。
動作モード判定部230では、変調率演算部231から得られるインバータ2の変調率σと、リミット処理部136から得られる電圧指令値(Vuh1、Vvh1、Vwh1)に基づいてインバータ2の動作モードを決定する。
具体的には、変調率演算部231から得られるインバータ2の変調率σが1を超える過変調時は、第1の実施の形態のインバータ制御装置と同様に、例えば図18に示す動作波形のように、少なくとも1相の電圧指令値がインバータ2が出力可能な電圧範囲の最小値(−Vdc/2)または最大値(+Vdc/2)となり、かつその相を含む2相の電圧指
令値の差分が所定の電圧差閾値ΔV未満となる場合(過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が不可能となる位相領域)にのみインバータ2の動作モードをモード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)とし、それ以外の場合(過変調時においてインバータ2の母線電流から3相分のモータ相電流の再現が可能となる位相領域)はモード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)とする。インバータ2の変調率が1以下の通常変調時はモード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)とする。
このように、第1の実施の形態のインバータ制御装置の作用効果に加えて、インバータ2の変調率σが1を超える過変調時に、インバータ2の動作モードとして、モード1(第1インバータ制御部11によるモータ3の駆動)とモード2(第2インバータ制御部12によるモータ3の駆動)とを切り替えることで、第1インバータ制御部11と第2インバータ制御部12との切り替えを必要最小限とし、マイコン等の演算装置の負荷を軽減できる。
以上のように、本発明のインバータ制御装置は、過変調時においても複雑な演算処理によるモータ相電流の再現を行うことなく、良質なモータの駆動を実現すると共に、安価な構成とすることができるため、空気調和機、冷蔵庫、冷凍庫、ヒートポンプ給湯機等のモータを駆動する用途に適用できる。
1 直流電源
2 インバータ
21u〜21z スイッチング素子
22u〜22z 還流ダイオード
3 モータ
4 固定子
4u〜4w 固定子巻線
5 回転子
6 インバータ制御手段
7 電流検出手段
8 電圧検出手段
10 電流指令演算部
11 第1インバータ制御部
12 第2インバータ制御部
13 インバータ制御切替部
14 ベースドライバ
15 ADサンプリング時間
110 電流再現部
111、211 電流推定部
112、212 電流選択部
113、213 電流制御部
114、214 回転子位置速度推定部
115、215 3相/2相変換部
116 2相/3相変換部
120 電圧制御部
121 回転子位置更新部
122 2相/3相変換部
130、230 動作モード判定部
131 電圧指令選択部
132 位相選択部
133 速度選択部
134 PWM信号生成部
135 出力電圧演算部
136、137 リミット処理部
231 変調率演算部

Claims (7)

  1. 複数相のモータと、直流電力を交流電力に変換し、前記モータへ電力を供給するインバータと、前記インバータに流れる母線電流を検出する電流検出手段と、前記インバータの母線電流を基に前記モータの相電流を再現する電流再現手段を含み、前記モータの出力トルクが所要のトルクとなるように前記モータを駆動する電流値を制御する第1インバータ制御手段と、前記モータに与える回転速度指令値および電流指令値と、モータ定数(巻線抵抗値、インダクタンス値、誘起電圧値)とに基づいて前記モータを駆動する電圧値を制御する第2インバータ制御手段と、前記第1インバータ制御手段による前記モータの駆動と、前記第2インバータ制御手段による前記モータの駆動とを切り替えるインバータ制御手段とを備え、前記インバータ制御切替手段は、前記第1インバータ制御手段で算出される前記モータの電圧指令値において、少なくとも1相の電圧値が前記インバータが出力可能な電圧範囲の最小値または最大値となり、かつその相を含む2相の電圧差が所定の電圧差閾値未満となる場合には前記第2インバータ制御手段により前記モータを駆動し、それ以外の場合には前記第1インバータ制御手段により前記モータを駆動することを特徴とするインバータ制御装置。
  2. 複数相のモータと、直流電力を交流電力に変換し、前記モータへ電力を供給するインバータと、前記インバータに流れる母線電流を検出する電流検出手段と、前記インバータの母線電流を基に前記モータの相電流を再現する電流再現手段を含み、前記モータの出力トルクが所要のトルクとなるように前記モータを駆動する電流値を制御する第1インバータ制御手段と、前記モータに与える回転速度指令値および電流指令値と、モータ定数(巻線抵抗値、インダクタンス値、誘起電圧値)とに基づいて前記モータを駆動する電圧値を制御する第2インバータ制御手段と、前記第1インバータ制御手段による前記モータの駆動と、前記第2インバータ制御手段による前記モータの駆動とを切り替えるインバータ制御切替手段とを備え、前記インバータ制御切替手段は、前記第1インバータ制御手段で算出される前記モータの電圧指令値に基づいて生成されるインバータ制御信号において、少なくとも1相のデューティが最小値または最大値となり、かつその相を含む2相のデューティ差が所定のデューティ差閾値未満となる場合には前記第2インバータ制御手段により前記モータを駆動し、それ以外の場合には前記第1インバータ制御手段により前記モータを駆動することを特徴とするインバータ制御装置。
  3. 前記インバータの直流電流を検出する電圧検出手段をさらに備え、前記所定の電圧差閾値は、前記インバータの母線電流の検出期間に、前記インバータの直流電圧を乗じた値に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載のインバータ制御装置。
  4. 前記所定のデューティ差閾値は、前記インバータの母線電流の検出期間に基づいて設定されることを特徴とする請求項2に記載のインバータ制御装置。
  5. 前記第1インバータ制御手段による前記モータの駆動と、前記第2インバータ制御手段による前記モータの駆動とが、前記モータの電気角1周期中に存在することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインバータ制御装置。
  6. 前記第2インバータ制御手段により前記モータの駆動が行われるキャリア周期では、前記第1インバータ制御手段において前記モータの電流値を、前回までのキャリア周期で得られる時系列変化量から推定演算することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインバータ制御装置。
  7. 前記インバータの変調率を算出する変調率算出手段をさらに備え、前記変調率算出手段で算出された前記インバータの変調率が1を超える過変調となる場合には、前記第1インバ
    ータ制御手段による前記モータの駆動と、前記第2インバータ制御手段による前記モータの駆動とを切り替えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインバータ制御装置。
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