JP2018143085A - モータを制御するためのシステム及び方法 - Google Patents

モータを制御するためのシステム及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回転子及び固定子を有するモータを制御するためのシステム並びに方法が提供される。【解決手段】プロセッサ32及びメモリ34を有するモータ制御モジュール30は、モータ20と通信可能であり、入力トルク命令信号を受け取ってモータ20の固定子電流を制御するように構成される。モータ制御モジュール30は、更に、入力トルク命令信号と回転子慣性に基づいて回転子22の角加速度を計算するように構成される。モータ制御モジュール30は、回転子22の計算された角加速度に基づいて角速度を計算する。モータ制御モジュールは30、回転子22の計算された角速度に基づいて固定子磁束角度を計算し、入力トルク命令信号に基づいて計算された固定子磁束角度で磁束を発生させるように固定子電流を制御する。【選択図】図1

Description

[0001] この出願は、2017年1月6日に提出された米国仮出願第62/443,334の利益を主張するものであり、その全体が引用としてここに組み込まれる。
[0002] 本明細書に記載される例示的な実施態様は、概してモータを制御することに関し、より具体的には、低速で磁界方向制御モータの開ループトルク制御を用いることに関する。
[0003] 永久磁石同期モータ(Permanent Magnet Synchronous Motor;PMSM)は、時に永久磁石ACモータ(Permanent Magnet AC motor;PMAC)と呼ばれ、磁界方向制御(Field Oriented Control;FOC)方式を用いて制御されることが多い。6ステップ又は台形ブラシレスDCモータと比較して、これらのモータは、連続正弦波入力電力で駆動された時には、たとえあったとしても非常に小さなトルクのリップルしか生じさせない。FOC駆動の場合、命令されたトルクに対する出力トルクの品質は、回転子角度のフィードバックの分解能に部分的に依存する。したがって、レゾルバ又はエンコーダなどの精密な回転子角度センサが、正確なフィードバックを与えるために使用される。
[0004] しかしながら、いくつかのシステムでは、コスト又は部品を低減するために、モータの逆電磁場又はホールセンサなどの低分解能位置センサから、角度位置が推定される。これらの方法は、通常、モータが、満足のいく制御にとって十分な信号又は十分な最新情報を与えるようにある速度に到達することを必要とする。例えば、速度がゼロに向かって臨界閾値よりも低下すると、ホールセンサのフィードバックに基づく角度推定は使用不可能となり得る。リアクションホイールなどの用途の場合、低速度において、及びゼロ速度を横切る最中に、良好なトルク制御を提供することができることが望まれる。
[0005] したがって、入力トルク命令に正確に追従しながら低速度領域にわたってモータを制御するためのシステム及び方法を提供することが望まれる。絶対モータ速度が臨界閾値よりも低下した場合、当該方法は、入力トルク命令と時間の測定値を用いて回転子の位置フィードバックなしで固定子磁界を伝達するモードへモータ制御器を遷移させる。更にまた、例示的な実施態様の他の望ましい特徴及び特性は、付属の図面並びに上記の技術分野及び背景技術と共に考慮すれば、以下に続く詳細な説明と添付されたクレームから明らかとなるだろう。
[0006] 例示的な実施態様において、回転子及び固定子を有するモータを制御するためのシステムは、プロセッサ及びメモリを有するモータ制御モジュールを含む。前記モータ制御モジュールは、前記モータと通信可能であり、入力トルク命令信号を受け取って前記モータの固定子電流を制御するように構成される。前記モータ制御モジュールは、更に、前記入力トルク命令信号と回転子慣性に基づいて前記回転子の角加速度を計算するように構成される。前記モータ制御モジュールは、前記回転子の前記計算された角加速度に基づいて角速度を計算し、固定子磁束角度を計算する。前記モータ制御モジュールは、前記計算された固定子磁束角度で磁束を発生させるように前記固定子電流を制御して、前記モータへのフォワード制御経路を完成させる。
[0007] 例示的な実施態様において、装置は、回転子及び固定子を有するモータを含む。前記装置は、更に、プロセッサ及びメモリを有するモータ制御モジュールを含む。前記モータ制御モジュールは、前記モータと通信可能であり、入力トルク命令信号を受け取って前記モータの固定子電流を制御するように構成される。前記モータ制御モジュールは、更に、前記入力トルク命令信号と回転子慣性に基づいて前記回転子の角加速度を計算するように構成される。前記モータ制御モジュールは、前記回転子の前記計算された角加速度に基づいて角速度を計算し、固定子磁束角度を計算する。前記モータ制御モジュールは、前記計算された固定子磁束角度で磁束を発生させるように前記固定子電流を制御して、前記モータへのフォワード制御経路を完成させる。
[0008] 例示的な実施態様において、回転子及び固定子を有するモータを制御するための方法は、入力トルク命令信号と回転子慣性に基づいて前記回転子の角加速度を計算するステップを含む。前記方法は、更に、前記回転子の前記計算された角加速度に基づいて角速度を計算するステップと、前記回転子の前記計算された角速度に基づいて固定子磁束角度を計算するステップを含む。固定子電流は、前記入力トルク命令信号に基づく前記計算された固定子磁束角度で磁束を発生させるように制御される。
[0009] 以下、本発明が次の図面と共に説明される。図面において、同様の符号は同様の要素を示す。
[0010] 図1は、回転子及び固定子を有するモータを制御するための例示的なシステムのブロック図である。 [0011] 図2は、低速制御領域及び高速制御領域を持つモータを制御するための例示的なシステムの模式図である。 [0012] 図3は、回転子及び固定子を有するモータ並びに当該モータを制御するためのシステムを含む例示的な装置のブロック図である。 [0013] 図4は、例示的な実施態様による図1−3のシステムと共に用いるのに適した例示的な方法のフロー図である。
[0014] 以下の詳細な説明は本質的に例示にすぎず、本主題の実施態様又はそのような実施態様の応用及び使用を限定するようには意図されていない。本明細書において例示として説明される如何なる具体例も、他の具体例より好ましい又は有利であると必ずしも解されてはならない。更にまた、前述の技術分野、背景技術、発明の概要、又は以下の詳細な説明において提示される如何なる明示的若しくは暗示的な理論によっても束縛される意図は存在しない。
[0015] 本明細書において開示される実施態様に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップは、電子的なハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両者の組み合わせとして実装されることができる、ということを当業者は理解するだろう。実施態様及び実装例のいくつかは、機能的及び/又は論理的なブロック要素(又はモジュール)並びに様々な処理ステップの点から上述されている。しかしながら、そのようなブロック要素(又はモジュール)は、指定された機能を実施するように構成されたいくつものハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェア要素によって実現されることができるということが理解されるべきである。このハードウェアとソフトウェアの交換可能性をはっきりと示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、及びステップが、それらの機能の点から広く上述された。そのような機能がハードウェアとして実装されるのか又はソフトウェアとして実装されるのかは、具体的な用途及びシステム全体に課される設計上の制約に依存する。当業者は説明された機能を各々の具体的な用途のために様々な方法で実装することができるが、そのような実装の決定は、本発明の範囲からの逸脱を生じさせるものと解釈されるべきではない。例えば、システム又は構成要素の実施態様は、1又は複数のマイクロプロセッサ又は他の制御装置の制御下で様々な機能を実行することができる様々な集積回路要素、例えばメモリ要素、デジタル信号処理要素、論理要素、ルックアップテーブル等を利用することができる。加えて、当業者は、本明細書において説明される実施態様は例示的な実装にすぎないということを理解するだろう。
[0016] 本明細書において開示される実施態様に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリートゲート若しくはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェア要素、又は本明細書において説明される機能を実施するようにデザインされたそれらの任意の組み合わせによって、実装又は実施されることができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、代替的に、プロセッサは任意の通常のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであってよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えばDSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1又は複数のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成として実装されてもよい。「例示的」という語は、「例、事例、又は実例として役に立つ」ということを意味するようにもっぱら本明細書において用いられる。「例示的」であるとして本明細書において説明される如何なる実施態様も、他の実施態様より好ましい又は有利であると必ずしも解されてはならない。上記のデバイスの何れもが、コンピュータ可読記憶媒体の例示的で非限定的な例である。
[0017] 本明細書において開示される実施態様に関連して説明される方法又はアルゴリズムのステップは、直接的にハードウェアに具現化され、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールに具現化され、又はこれら2つの組み合わせに具現化されることができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、又は当該分野において知られた任意の他の形態の記憶媒体に存在することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体から情報を読み出し、また当該記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。代替的に、記憶媒体はプロセッサと一体であってもよい。プロセッサ及び記憶媒体は、ASICに存在することができる。ASICは、ユーザ端末に存在することができる。代替的に、プロセッサ及び記憶媒体は、ユーザ端末内の個別部品として存在することができる。上記のデバイスの何れもが、コンピュータ可読記憶媒体の例示的で非限定的な例である。
[0018] この文書では、第1及び第2等のような関係的な用語が、1つのエンティティ又はアクションを別のエンティティ又はアクションから、そのようなエンティティ又はアクションの間に何ら実際上のそのような関係性若しくは順序を必ずしも要求又は暗示することなく区別するためにのみ、用いられることがある。「第1」、「第2」、「第3」等のような序数は、単に複数のうちの異なる1つを記述し、クレームの文言によって特に規定されない限り何らの順序又は順番も暗示しない。クレームの何れにおける文章の順番も、クレームの文言によって特に規定されない限り、処理ステップがそのような順番に従う時間的又は論理的順序で実施されなければならない、ということを暗示しない。処理ステップは、その交換がクレームの文言と矛盾せず、論理的に無意味でない限りにおいて、本発明の範囲から逸脱することなく任意の順序に交換されることができる。
[0019] 更にまた、本明細書に含まれる様々な図に示される接続線は、様々な要素の間における例示的な機能的関係及び/又は物理的結合を表すように意図されている。多くの代替的又は付加的な機能的関係若しくは物理的接続が、本主題の実施態様において存在してもよい、ということが留意されるべきである。
[0020] ここで図1を参照すると、回転子22及び固定子24を有するモータ20を制御するためのシステム10が示されている。システム10はまた、プロセッサ32及びメモリ34を有するモータ制御モジュール30も含む。システムの構成要素は、供給電力及び通信信号がモータ20とモータ制御モジュール30の間で交換されることができるように全体として電子的に通信可能である。非限定的な実施態様において、システム10は更に、モータ制御モジュール30へ入力トルク命令信号を供給する入力コントローラ40を含む。
[0021] モータ20は、回転子22及び固定子24を有する。非限定的な実施態様において、モータ20は、永久磁石同期モータ(PMSM)又は永久磁石ACモータ(PMAC)である。これらのモータ20は、ベクトルによって視覚化されることが可能な2つの直交成分として固定子電流が特定される、磁界方向制御(FOC)方式を用いてしばしば制御される。駆動装置(drive)の制御システムは、駆動装置の速度制御によって与えられる磁束(flux)及びトルクの基準から、対応する電流成分の基準を計算する。典型的に、計測された電流成分を基準値に保持するために比例積分(PI)制御器が用いられる。駆動装置のパルス幅変調は、PI電流制御器の出力である固定子電圧の基準に従って、トランジスタの切り替えを定義する。システム10における使用に適した他の種類のモータ20は、ブラシレスDCモータ又は当業者に知られた他の種類のモータを含む。
[0022] モータ制御モジュール30は、プロセッサ32及びメモリ34を有する。モータ制御モジュール30は、モータ20の開示された制御のために構成されるのであれば、ハードウェアによる個別部品として実装されることができ、又は既存のモータ制御ハードウェアと共に集積されることができる。非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、入力トルク命令信号を受け取って、モータ20の固定子電流を入力トルク命令信号に基づいて制御するように構成される。
[0023] 引き続き図1を参照し、モータ制御モジュール30の動作が図2に関連して更に説明される。モータ制御モジュール30は、入力トルク命令信号と回転子慣性とに基づいて回転子22の角加速度を計算するように構成される。回転子慣性は回転子22の物理的性質であり、回転子22の慣性モーメント又は角度質量としても知られており、回転子22の回転軸周りにおける所望の角加速度に必要とされるトルクを決定する。非限定的な実施態様において、回転子22の角加速度は、入力トルク命令信号を回転子慣性で割ることによって計算される。
[0024] モータ制御モジュール30は更に、先に計算された回転子22の角加速度に基づいて回転子22の角速度を計算するように構成される。回転子22の角速度は、回転子22の角度位置の変化率である。別の言い方をすれば、回転子22の角速度は、回転子22がその回転軸の周りを回転する速さであり、一般に1分間当りの回転数(RPM)と称される。非限定的な実施態様において、回転子22の角速度は、先に計算された回転子22の角加速度を積分することによって計算される。
[0025] モータ制御モジュール30は更に、先に計算された回転子22の角速度に基づいて固定子磁束角度を計算するように構成される。非限定的な実施態様において、固定子磁束角度は、当該先に計算された回転子22の角速度を積分することによって計算される。モータ制御モジュール30は更に、入力トルク命令信号に基づいて回転子22を駆動すべく、モータ20の固定子電流を制御して先に計算された固定子磁束角度で磁束(magnetic flux)を発生させるように構成される。このようにして、モータ制御モジュール30は固定子24の磁界を伝達して、回転子22の角度位置に関するフィードバックなしでモータ20を制御する。
[0026] 非限定的な実施態様において、固定子磁束角度は、装置によって受け取られたトルク命令に基づいて計算され、トルク命令は、制限されておりその後で2回積分される。離散的前進オイラー法、後退オイラー法、又は台形法などの様々な積分方法が用いられることができる。次の例示的な数式(1)−(4)は、前進オイラー法の使用を示す。
トルク=最大値に制限されたトルク命令 (1)
加速度(n)=トルク(n)/慣性 (2)
速度(n)=速度(n−1)+加速度(n)×サンプル周期 (3)
角度(n)=角度(n−1)+速度×サンプル周期 (4)
ここで、nは周期的なサンプル数であり、速度(0)及び角度(0)は初期条件である。
[0027] 非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、回転子22の予め決められた最大加速度を可能にするように入力トルク命令信号を制限するよう構成される。非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、予め決められた最大モータ速度を可能にするように入力トルク命令信号を制限するよう構成される。入力トルク命令信号をこのように束縛することで、回転子22が、1つのモータ極から次のモータ極へ滑ることなく固定子24からの磁界の伝搬についていくことが可能になる。モータ制御モジュール30は、上述されたように入力トルク命令信号を制限して、モータ20の滑りを最小化及び回避する。
[0028] 非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は更に、最大モータトルク、最大モータ電力定格、又はそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの予め決められたモータ特性に基づいて、入力トルク命令を調整するように構成される。上述された入力トルク命令信号の制限に加えて、モータ制御モジュール30は、モータ30の特性に基づいて入力トルク命令信号を調整することが可能である。この調整は、特定のモータ20に制御を適合させることによってモータ20の滑りを更に減少させることが可能である。
[0029] システム10の非限定的な実施態様において、モータ20は、モータ20の動作速度を監視しモータ制御モジュール30へフィードバックを供給するように構成されたモータセンサ26を含む。非限定的な実施態様において、センサ26は、回転子22の角度位置を監視するホール効果センサである。非限定的な実施態様において、センサ26はデジタル式ホール効果センサである。一般に、ホール効果センサはアナログ式である。センサ26は、センサ26がデジタル信号を出力することを可能にするアナログ比較器(不図示)を含む。比較器は、磁界強度の閾値又は磁界の極性を表す特定の入力電圧において遷移するように設定される。当業者は、モータ20を制御するためのデジタル出力信号の使用はアナログ出力信号を用いることとは異なることを理解するだろう。
[0030] センサ26は、回転子22の位置に関するフィードバックをモータ制御モジュール30に供給する。上述されたように、モータ20が低速で動作している時には、ホール効果センサ26は、フィードバックに基づく制御のための正確な回転子22の位置をモータ制御モジュール30に供給することができないかもしれない。モータ20が低速で動作している時に回転子22の位置を検知するために他のセンサ26が用いられ得るが、これらのセンサはホール効果センサ26よりも高価で複雑である。
[0031] したがって、システム10の非限定的な実施態様において、センサ26からの更新頻度が予め決められた閾値よりも低下すると、モータ制御モジュール30は、モータ20が低速で動作している時のセンサ26からの位置データを使用しない、上で詳述されたような開ループ(フィードバックなし)制御法36でモータ20を制御する。モータ制御モジュール30はその後、モータ20が高速で動作している時のセンサ26からの位置データを使用する、閉ループ制御法38でモータ20を制御する。非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、検知されたモータ速度が予め決められた閾値よりも小さい場合に開ループ制御法36でモータ20を制御し、検知されたモータ速度が当該予め決められた閾値よりも大きい又は等しい場合に閉ループ制御法38でモータ20を制御する。このようにして、モータ制御モジュール30は、センサ26が信頼できる回転子22の位置データを供給しないかもしれない場合に、開ループ制御法36で低速のモータ20を制御し、センサ26が正確な回転子22の位置データを供給することができる場合に、閉ループ制御法38で高速のモータを制御する。モータ制御モジュール30が開ループ制御法36と閉ループ制御法38とをいつ切り替えるかを判定するのに用いられる前記予め決められた閾値は、センサ26の性能に依存したモータ20の動作速度に基づいて設定されることができる。
[0032] 非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、モータ制御モジュール30へのセンサ26のフィードバックから得られる検出速度が予め決められた閾値を超えた時に、モータ20の制御を開ループ制御法36から閉ループ制御法38へ遷移させるように構成される。上で詳述されたように、ホール効果センサ26は、モータ制御器がセンサ26を用いてモータ速度情報を得るのに十分に速くモータ20が回転するまでは、位置データを十分な頻度でモータ制御モジュール30に供給しないかもしれない。したがって、モータ制御モジュール30は、センサ26が位置データを適切な頻度でモータ制御モジュール30に供給するまで、閉ループ制御法38へ遷移するのを待機するだろう。
[0033] 非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、動作モータ速度が予め決められた閾値よりも小さくなった時に、モータ20の制御を閉ループ制御法38から開ループ制御法36へ遷移させるように構成される。したがって、モータ制御モジュール30は、動作モータ速度が当該予め決められた閾値よりも低下すると開ループ制御法36へ遷移するだろう。
[0034] 非限定的な実施態様において、開ループ制御法36は、モータ20を低速で、低トルクで、又はモータ20に低負荷が存在する場合に動作させることに限定されるのであってよい。更にまた、モータ制御モジュール30は、モータ20が予め決められた時間期間の間低速で動作するまで、開ループ制御法36に切り替わらないのであってよい。したがって、モータ制御モジュールは、開ループ制御法36と閉ループ制御法38を即座に行ったり来たり切り替わらないのであってよい。
[0035] このようにして、システム10は、回転子22の角度位置に関するフィードバックなしでモータ20を制御すべく固定子24の磁界を伝達するモータ制御モジュール30を提供する。更にまた、モータ制御モジュール30は、モータ20の物理的性質と入力トルク命令信号のみに基づいて、固定子磁束角度を計算する。これは次に、モータ制御モジュール30がセンサ26からの連続的な回転子位置データなしでモータ20を制御することを可能にする。
[0036] システム10の構成要素は、システム10がモータ20をどのように制御するかを理解するにあたって助けとなるように、図1の表現において個別のブロックとして示された。しかしながら、モータ20、モータ制御モジュール30、及び入力コントローラ40を含む構成要素は、本開示の趣旨から逸脱することなく様々な形で互いに組み合わされることができる、ということを当業者は理解するだろう。
[0037] 図1及び2は、説明の目的と記載の容易さのためのシステム10の簡略化された表現であり、何ら主題の応用又は範囲を限定するように意図されていないということが理解されるべきである。実際、システム10は、当該分野において認識されるように、更なる機能と特徴を提供するための数多くの他のデバイス及び部品を含むだろう。
[0038] ここで図3を参照すると、装置11が示されている。装置11は図1のシステム10と同じ多くの部品を含むので、適切な場合は同じ符号が用いられ参照される。したがって、装置11の議論はシステム10に対して異なる特徴に関するだろう。装置11は、モータ20、モータ制御モジュール30、及び入力コントローラ40を含む。
[0039] システム10とは対照的に、装置11は更に、はずみ車28を含む。はずみ車28は、モータ20の回転子22に接続され、角運動量を蓄えるように構成される。モータ20ははずみ車28を回転させ、はずみ車28の角運動量は、宇宙機の姿勢制御のために、又は軌道を調整するために用いられることが可能である。
[0040] 非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、1つの系として一体になった回転子22とはずみ車28の角加速度を計算するように構成される。別の言い方をすれば、入力トルク信号は、角加速度を計算するために回転子22及びはずみ車28両者の角運動量の和で除算される。装置11の残りの動作と制御は、図1及び2のシステム10に対して変わりはない。
[0041] ここで図4を参照すると共に引き続き図1−3を参照すると、フローチャートが、本開示に従って図1−3のシステム10及び装置11によって実施される方法100を示している。本開示に鑑みて認識され得るように、方法100の中における動作の順序は、図4に示されるような一連の実行には限定されず、適用可能で所与の用途の要件に従う1又は複数の異なる順序で実施されることができる。
[0042] 様々な例示的な実施態様において、システム10、装置11、及び方法100は、モータ20の始動など、予め決められた事象に基づいて稼動される。方法100は、システム10、装置11によって実施されることができ、又は本開示の教示と整合した方法で構成された任意の他の適切なデバイス若しくはシステムによって実施されることができる。特記されない限り、方法100は、先に上述されたシステム10又は装置11の実施態様のいずれかによって実施されることができる。
[0043] 方法100は、入力トルク命令信号と回転子慣性に基づいて回転子の角加速度を計算するブロック110において開始する。非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、入力トルク命令信号を回転子慣性で除算することによって回転子22の角加速度を計算する。ブロック120において、方法100は、ブロック110から計算された回転子の角加速度に基づいて角速度を計算する。非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、先に計算された角加速度を積分することによって角速度を計算する。
[0044] ブロック130において、方法100は、ブロック120から計算された回転子の角速度に基づいて固定子磁束角度を計算する。非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、先に計算された回転子22の角速度を積分することによって固定子磁束角度を計算する。
[0045] ブロック140において、方法は、入力トルク命令信号に基づいてブロック130から計算された固定子磁束角度で磁束を発生させるように、固定子電流を制御する。非限定的な実施態様において、モータ制御モジュール30は、入力トルク命令信号に基づいて回転子22を駆動すべく、先に計算された固定子磁束角度で磁束を発生させるようにモータ20の固定子電流を制御する。ブロック140から、方法100はブロック110へ戻り、回転子の角加速度を計算する。このようにして、方法100は、固定子24の磁界を伝達して、回転子22の角度位置に関するフィードバックなしでモータ20を制御する。
[0046] 非限定的な実施態様において、方法100は更にブロック150を含み、ブロック110において角加速度を計算する前に入力トルク命令信号を制限する。非限定的な実施態様において、入力トルク命令信号は、予め決められた最大加速度を可能とするように制限される。非限定的な実施態様において、入力トルク命令信号は、予め決められた最大モータ速度を可能とするように制限される。
[0047] 非限定的な実施態様において、方法100は更にブロック160を含み、ブロック110において角加速度を計算する前に入力トルク命令信号を調整する。非限定的な実施態様において、入力トルク命令信号は、最大モータトルク、最大モータ電力定格、又はそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの予め決められたモータ特性に基づいて調整される。
[0048] 非限定的な実施態様において、方法100は更にブロック170を含み、開ループ制御法から閉ループ制御法へ遷移する。非限定的な実施態様において、方法100は、動作モータ速度が予め決められた閾値よりも大きくなった時に、閉ループ制御へ遷移する。
[0049] 非限定的な実施態様において、方法100は、動作モータ速度が予め決められた閾値よりも小さくなった時に、閉ループ制御から開ループ制御へ遷移する。
[0050] 非限定的な実施態様において、方法100は、回転子の位置の知識なしで、入力トルク命令信号に基づいて計算された固定子磁束角度で磁束を発生させるように固定子電流を制御する。
[0051] このようにして、開示されたシステム10、装置11、及び方法100は、命令されたトルク(又は加速度)に基づいて固定子磁束ベクトルの角度位置を伝えることを含む。入力トルク命令信号が慣性で除算されて角加速度が得られ、角加速度が積分されて角速度が得られ、次いで角速度が再び積分されて、計算された固定子磁束角度が得られる。入力トルク命令信号は、システムを所望の最大加速度に制限するように、そしてまた、自由な回転子22が滑ることなく固定子24の磁界についていくことを可能にするように、束縛されるのであってよい。速度積分器へのトルクは、最大及び最小の許容速度に制限される。
[0052] 回転子22の磁石は、摩擦に打ち勝ち固定子磁束と共に加速するのに十分なトルクを発生させる角度で、固定子磁束ベクトルについていく。回転子22の固定子磁束についていく能力は、固定子磁束の大きさ、したがって巻線相電流の大きさと、固定子磁束の角加速度に依存する。大電流命令を使用し固定子磁束ベクトルの角加速度を保持することで、追従を確実にすることが可能である。
[0053] この方法100は、電流と電圧を動かない固定子24フレームから回転子22(直接直交)フレームへ変換するために伝達された角度位置を用いることによって、磁界方向制御器(FOC)において用いられることが可能である。低速(開ループ制御)領域において、モータ制御モジュール30は、伝達された固定子磁束角度を使用するように切り替わる。このモードでは、電流命令ベクトルは、回転子22が最大加速度において極を滑らせるのを妨げるのに十分大きな値に設定される。こうしてモータ制御モジュール30は、所望の速度及び加速度で磁束ベクトルを発生させるだろう。
[0054] 結果は、モータ位置センサ26が能力不足である低速領域において、及びゼロ交差にわたって依然として良好なトルクを提供しながらも、高速度において低コスト又はシンプルな位置検知26を用いて精密なトルク制御を提供する永久磁石モータ20制御器である。
[0055] 特定の実施態様に関する利益、他の優位性、及び問題点に対する解決策が上述された。しかしながら、当該利益、優位性、問題点に対する解決策、及び何らかの利益、優位性、若しくは解決策を生じさせ又はより際立たせる任意の要素は、いずれかの若しくは全てのクレームの重大な、必須の、又は本質的な特徴若しくは要素と解されてはならない。本明細書において用いられる際、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」という用語、又はそれらの任意の他の変形物は、非排他的な包含を対象とするように意図されており、したがって、要素のリストを含む処理、方法、物品、又は装置は、それらの要素だけを含むのではなく、そのような処理、方法、物品、若しくは装置に明示的に列挙されていない又は内在しない他の要素を含むことができる。
[0056] 少なくとも1つの例示的な実施態様が上記の詳細な説明において提示されたが、膨大な数のバリエーションが存在するということが理解されるべきである。例示的な実施態様は例にすぎず、本発明の範囲、適用性、又は構成を何ら限定するようには意図されていない、ということも理解されるべきである。それどころか、上記の詳細な説明は、本発明の例示的な実施態様を実現するための便利なロードマップを当業者に提供するだろう。添付されたクレームに記載される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施態様において説明された要素の機能及び構成において、様々な変更がなされることができるということが理解されるべきである。

Claims (2)

  1. 回転子及び固定子を有するモータを制御するためのシステムであって、
    プロセッサ及びメモリを有するモータ制御モジュールを備え、
    前記モータ制御モジュールは、前記モータと通信可能であり、入力トルク命令信号を受け取って前記モータの固定子電流を制御するように構成され、
    前記モータ制御モジュールは、更に、前記入力トルク命令信号と回転子慣性に基づいて前記回転子の角加速度を計算し、前記回転子の前記計算された角加速度に基づいて角速度を計算し、前記回転子の前記計算された角速度に基づいて固定子磁束角度を計算し、前記入力トルク命令信号に基づく前記計算された固定子磁束角度で磁束を発生させるように前記固定子電流を制御するように構成される、
    システム。
  2. 回転子及び固定子を有するモータを制御するための方法であって、
    入力トルク命令信号と回転子慣性に基づいて前記回転子の角加速度を計算するステップと、
    前記回転子の前記計算された角加速度に基づいて角速度を計算するステップと、
    前記回転子の前記計算された角速度に基づいて固定子磁束角度を計算するステップと、
    前記入力トルク命令信号に基づく前記計算された固定子磁束角度で磁束を発生させるように固定子電流を制御するステップと、
    を含む方法。
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