JP2004032905A - 同期電動機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁束オブザーバを使用して磁束成分を推定するとき、その磁束オブザーバのゲインを次式の関係にて設定して応答を速く、かつ振動の少ない磁束推定結果を得るようにした。
(R/L−g1)≧ωmax
g2=0
g3=sign(ω1)・g4
g4=−L・ωH/|ω1|
ただし、R:抵抗、L:インダクタンス、ω1:速度推定値、g1〜g4:オブザーバゲイン、ωmax:最高運転周波数、ωH:応答周波数帯域
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石を界磁とする同期電動機(以下PMモータと呼ぶ)のセンサレス制御装置に係わり、特にその同一次元磁束オブザーバのゲイン設定に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PMモータは誘導機に比べて二次回路が不要であり、そのために回転子が小形,低慣性となり、また、二次回路の銅損がないため損失が少ない等の利点を有している。
このPMモータをインバータ等の可変速制御装置で駆動する場合、磁極の位置を位置センサ等で検出する必要がある。しかし、この位置センサは半導体素子や光学素子が内蔵されていることから耐環境性が低く、故障等も発生しやすいものとなっている。そのため、産業機器用途には位置センサレス制御方式が要望され、提案されている。
【0003】
位置センサレス方式として、回転子が回転すると永久磁石の磁束によって発生する速度起電力を使用する方法がある。これは、常に磁束軸に対して電気角で直交方向に発生することから、この速度起電力を検出して磁極の位相を推定する方法である。
しかし、実際にはモータ巻線のインピーダンスによる電圧降下成分が存在するため、モータの端子電圧からこのインピーダンスによる電圧降下成分を減算しなければならない。
【0004】
ここで、端子電圧と端子電流から磁束又はその速度起電力を推定する部分で様々な方法が存在するため、PMモータの位置センサレス制御方式も多くの方法が存在する。
その中で、「適応オブザーバによるブラシレスDCモータの位置センサレス制御」,電気学会論文誌D,113巻5号,579〜586頁(平成5年)の文献に記載のものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記文献には、磁束オブザーバのゲイン設計式が示されている。この設計式は、モータ自信の極のk倍にオブザーバの極を配置することにより求めたものである。しかし、この設計式に基づいたものをシミュレーションすると、運転周波数が200Hz程度を超えると不安定となる問題が判明した。
PMモータをより安定した運転を可能にするためには、応答が速く、且つ、振動の少ない磁束推定結果の得られるオブザーバゲインの設定が要求されている。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、より有効なオブザーバゲインを設定した装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、永久磁石を界磁源とする同期電動機であって、駆動する電流位相を制御するための基準軸である磁極位相を検出して同期電動機を制御するものにおいて、
前記同期電動機の電圧と電流情報を入力して磁束成分を推定するための同一次元磁束オブザーバを設け、この磁束オブザーバを速度の適応部を有する固定座標系で構成すると共に、この磁束オブザーバのゲインを次式の関係で設定することを特徴としたものである。
(R/L−g1)≧ωmax
g2=0
g3=sign(ω1)・g4
g4=−L・ωH/|ω1|
ただし、R:抵抗、L:インダクタンス、g1〜g4:オブザーバゲイン、ω:速度、ω1:速度推定値、ωH:オブザーバの応答周波数帯域。
【0008】
本発明の第2は、前記磁束オブザーバのゲインを次式の関係で設定することを特徴としたものである。
(R/L−g1)>ωH
g2=ω1
g3=sign(ω1)・g4
g4=−L・ωH/|ω1|
本発明の第3は、前記速度の適応部の出力速度を積分して位相を求め、この位相に同期した回転座標上で磁束オブザーバの回転子部分の演算を行うことを特徴としたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態を示すブロック図で、1はPMモータ、2はPMモータ1に流れる電流を検出する電流検出器、3は可変速制御部で、ここではインバータが使用される。4は回転座標変換部で、この変換部4には電流検出器3により検出された電流信号と位相推定信号θ1とが入力されてd,qの2軸電流に変換される。なお、以下においては、実機の変数と推定変数とを区別するために、推定変数については当該記号に「1」の添字を付して表現する。5は逆回転座標変換部、6はベクトルの位置を推定する位置推定演算部で、電圧vと電流iを入力して磁束推定を実行するが、この演算部が図2で示す適応磁束オブザーバのブロック構成となっている。位置推定演算部6内の磁束オブザーバには、電圧検出信号と電流検出信号を入力するが、図1では電圧指令を電圧検出の代用に使用している。
【0010】
7は位置推定演算部6において推定された磁束推定出力λ1の2軸成分から位相を演算して推定位相θ1を得る位相演算部で、その推定位相信号θ1は回転座標変換部4に出力されると共に、速度演算部8に送られて微分され速度検出信号ωr1が得られる。検出された速度信号ωr1は速度指令ωrと逆極性に加算され、その偏差信号は速度制御部9に出力されてトルク・電流指令が得られる。このトルク指令は、回転座標変換部4からの電流信号と加算され、q軸電流指令として電流制御部10に与えられる。
【0011】
電流制御部は、推定磁束θ1と同期して回転する回転座標系で構成されており、固定座標系の検出電流iから回転座標変換部4を適用して回転座標上の電流に変換される。電流制御部10の出力である電圧指令は、逆回転座標変換部5を介して固定座標系の値に戻され、PWM信号として可変速制御部3に印加される。
【0012】
【実施形態1】
〈1〉PMモータの電圧電流方程式と適応磁束オブザーバ
PMモータの状態方程式は、界磁が永久磁石という固定磁束源であるため比較的簡単な方程式となり、電機子巻線を基準とする固定座標(α,β座標)で表現すると(1)式となる。ここで変数にはベクトル量を使用して式を簡潔に表現しているが、各変数にはαβの2軸成分が含まれているため実際には4行4列の方程式となる。また、本実施形態においては突極性のないLd=Lqのモータを対象としている。
【0013】
【数1】
【0014】
(1)式のモータモデルを用いることにより、端子電圧と電流情報から磁束を推定する適応磁束オブザーバを構成することができ(2)式となる。
【0015】
【数2】
【0016】
ここで、i1:電流推定値、λ1:磁束推定値、ω1:速度推定値、g1,g2,g3,g4:オブザーバゲインである。
【0017】
速度の適応同定部分は電流誤差と磁束から速度を演算する(3)式を使用している。
【0018】
【数3】
【0019】
ここで、Kωi:速度適応の積分ゲインである。
【0020】
この磁束オブザーバと速度適応同定部分をブロック図で表現したものが図2で、(3)式の適応同定部分の演算はベクトルの内積「記号・で表現」を使用している。
【0021】
〈2〉誘起起電力オブザーバへの展開
図3は起電力オブザーバの伝達関数を示したものである。図3の磁束オブザーバは、電流誤差のフィードバックや電機子側と界磁側との干渉項があるため、このままでは物理的な意味が分かりにくい。そこで、界磁側のブロックが簡素であることに着目して、図3の手順で伝達関数のブロック図を展開すると、最終的には起電力を推定する伝達関数に変換することができる。
【0022】
まず図3(a)で、各積分項にかかっているマイナーフィードバックを伝達関数としてまとめておき、次の(b)図でL(g1I+g2J)ブロックの加算先を移動してマイナーループの形に変換する。さらに1/(Ls+R)Iの項をループ内部に移動すると図3(c)のブロック図となり、入力部は電圧vから電流入力の(Ls+R)Iの一次進み項を減算する形式に変形できる。これは、永久磁石の磁束による速度起電力成分eを演算していることに相当する。
【0023】
また、フィードバックループ内部は、G(s)の補償部と回転ベクトル発信器1/sI+ωJで構成された形になる。丁度オブザーバゲインg1〜g4がこの
G(s)に集中しており、オブザーバの設計とはこの補償部をどのような特性に設計するかという問題として表現することもてきる。
【0024】
さらに、フィードバックループをまとめて図3(d)のH(s)のような起電力に対する伝達関数の形態に変換することもできるが、4次式となるため、この式のままでは解析的に解くことは難しい。
【0025】
そこで、図3(c)の要素ブロックを利用して図2の全体ブロック図を再度表現すると図4のようになる。この結果、速度の適応同定機構を有する磁束オブザーバは、速度起電力eの演算部11,補償フィルタ部G(s)12,回転ベクトル発信器部13及び速度適応同定部14の4つのブロックで構成された起電力オブザーバと等価になることが分かる。
ここで、補償部G(s)は分母のみs項が存在することから一種の帯域フィルタ特性が含まれているものとみなし、(5)式の補償フィルタFG(s)と補償ゲイン{G1I+G2J}に分離した(4)として扱うことにする。
【0026】
【数4】
【0027】
ここに、G1=−ω1g4/L,G2=ω1g3/L
【0028】
【数5】
【0029】
図4では、起電力成分eと推定値e1の誤差△eにFG(s)の補償フィルタを通して△e’の信号を出力している。一般的に微分を演算する場合には高域遮断フィルタをかけることが行われているが、FG(s)がこの帯域制限フィルタに相当しているものと考えられる。
このFG(s)は、磁束オブザーバと速度の適応同定の両方に共通にかかっているが、これに対してゲイン{G1I+G2J}は磁束オブザーバの積分項(回転ベクトル発信器)のみに、積分ゲインKωiは適応同定側のみにかかっている。このことから、{G1I+G2J}とKωiが相互に関係しながらオブザーバの特性を支配していることが分かる。
また、図4の適応同定の部分は、内積の各入力成分にJと1/Jが存在しているため、これらをキャンセルさせて表現している。これによって、適応同定は起電力の振幅を一致させるように動作していることも明確になってくる。
【0030】
なお、図4は図2と等価であるため紛らわしいが、実際に製品として実装する場合には微分演算が不要な図2のブロックの方が有利である。図4は、物理的な意味を調べるためのブロック図である。
【0031】
〈3〉フィルタ特性としてのゲイン設計指針
前項で明かにした磁束オブザーバの各ブロックの機能をもとにしてゲインの設計について検討する。
【0032】
(a)起電力オブザーバの簡易伝達関数
図3(d)のように全体の伝達関数H(s)は4次式となっているので、まずこれを2次式に近似する。帯域フィルタFG(s)の通過帯域幅を十分に広く設定すれば、G(s)ブロックは{G1I+G2J}の固定ゲインに近似することができる。こうすると、図3(d)のオブザーバ全体の伝達関数H(s)は、(6)式のように2次式に近似することができる。
また、この全体の伝達関数H(s)も、G(s)と同様に(7)式のようなオブザーバの動作をする帯域フィルタFH(s)と固定ゲイン{G1I+G2J}に分離して表現することができる。
【0033】
【数6】
【0034】
【数7】
【0035】
(b)フィルタ特性としてのゲイン設計指針
(7)式のFH(s)にはJ項が含まれているため特性が分かりにくい。そこで、まずこのフィルタの特性について補足説明しておく。
固定座標上では(8)式で表現される伝達関数を例にとり、これをb0の周波数で回転する座標に変換すると(9)式のF0 e(s)になる。
【0036】
【数8】
【0037】
【数9】
【0038】
回転座標のF0 e(s)は、帯域幅がa0の一次低域通過フィルタが各軸独立に構成されているものであり、これを固定座標上からみたF0(s)は、図5のように帯域幅がa0で中心周波数をb0だれ移動させた一次低域通過フィルタ特性として動作することが分かる。
このことから、(7)式のフィルタFH(s)も帯域幅と中心周波数で表現でき、これを利用するとオブザーバの動作する帯域が明確になってくる。
【0039】
しかし二次式に近似しても、速度適応同定部の積分ゲインKwiが非線形に関係してくるため、適応系を含んだ全体系は解析的に解くことができない。そこで、ゲインの組み合わせを変化させてシミュレーションを行って安定条件を調査したところ、次のような2つの設計指針を得ることができた。
【0040】
(ア)(R/L−g1)を図6のFG(s)特性のように最高運転周波数以上に設定する。また、g2=0とおき、フィルタの中心周波数は移動させない。
【0041】
(イ)G1=G2とおき、G1はオブザーバとして必要な応答性に基づいて、動作帯域幅に相当する値を設定する。さらに、(4)式の関係を利用して最終的な設定ゲインg3とg4を設定する。そして、残った速度適応同定部の積分ゲインKwiは調整要素とし、実験などによって最適値に調整する。
【0042】
以上をまとめると、最高運転周波数をωmax、オブザーバの応答周波数帯域をωHとすると、(10)式の関係を成立させればよいことになる。
【0043】
【数10】
【0044】
ここで、ゲイン設定法について定性的な意味について述べる。
前記設計指針(イ)項においてゲインをG1=G2の条件に設定することは、図6で示されるように、磁束オブザーバのフィルタ特性FH(s)について帯域幅とω1から中心周波数の移動量を等しくすることになる。つまり、オブザーバの動作帯域FH(s)は、運転周波数を中心とする側帯波成分のうち片側のみを通過させることに相当している。
もしも運転周波数のままで起電力誤差△eの振幅成分のみが発生した場合には、正相分と逆相分に分離した片側のみを通過させるために、推定磁束の振幅成分の変動は少なくなり、主に位相成分を変化させる効果が生じる。
【0045】
また、推定起電力e1に対して直交成分だけの起電力誤差△eが発生した場合、本来は同相成分が存在しないため速度の適応同定は動作しない。
しかし、G1=G2に設定すると補償ゲイン{G1I+G2J}によって誤差ベクトルを45゜回転させた方向に磁束オブザーバの推定磁束ベクトルは移動する。
そうすると、推定磁束側の振幅が変化したことにより、起電力誤差△eの振幅誤差が発生して間接的に速度の適応同定も動作できるようになる。
このように、磁束オブザーバ単体と速度適応同定とに相互作用が存在するので、適切に磁束と速度を応答させるようなゲインにKwiを調節すればよい。
【0046】
次に、設計指針(ア)項における(R/L−g1)であるが、これは微分演算の高域制限フィルタの周波数帯域幅に相当しており、あまり高くしすぎると微分演算で生じる高域側のノイズが増幅されてしまい、低すぎると基本周波数成分まで遮断してしまう。
また、g2はこの低域フィルタの中心周波数に相当しており、オブザーバとして必要な帯域を通過させればよい。そこで、図6のようにg2=0とおいて中心周波数は移動させないことにして、(R/L−g1)を運転周波数よりも少し大きく、かつ必要最低限の帯域に設定することとする。
【0047】
以上より判明したオブザーバ特性より、(10)式のようにゲインを設定することはオブザーバの動作帯域を図6のように設定することに相当している。
この(10)式に基づいて設計した適応磁束オブザーバゲインを、図1で示す位置推定演算部6内の適応磁束オブザーバに適用してシミュレーションを実施した結果、応答が速く、且つ、振動の少ない磁束推定結果が得られることが確認できた。
このことにより、運転周波数が200Hzを越える周波数帯域でも安定にPMモータのセンサレス制御の適用が可能となる。
また、本来は5個のゲインが存在するため設定ゲインは多くの組み合わせがあり、安定なゲインを調整によって見つけようとするとかなり多くの試行が必要となるが、この実施形態に基づくゲイン決定法を適用することにより、最終的には速度の適応部の積分ゲインを調整するだけでよいので簡単に調整することが出来る。
【0048】
なお、上記説明においては、磁束オブザーバと適応磁束オブザーバとの表現を使用している。
磁束オブザーバは、PMモータの端子電圧と端子電流から永久磁石の磁束を推定する部分を指している。
また、適応磁束オブザーバの表現については次の理由による。
磁束オブザーバには速度(周波数)情報ω1が必要であるため、この速度(周波数)を推定する機能も追加する。追加された速度推定の方式は直接演算するものではなく、磁束オブザーバの内部誤差が零となるように動作している。つまり自分自身のブロック内では閉じておらず、他のブロックを参照することにより推定ができるため、速度の”推定”とは呼ばず速度の”適応”として表現している。
【0049】
【実施形態2】
実施形態1においては、オブザーバゲインの設定方法としてFG(s)のフィルタ帯域が図6の破線のような帯域となるように設定した。
実際には、図6の実線と塗りつぶしで示したFH(s)の帯域を含んでいればよく、帯域幅を狭くとり、その代わりに中心周波数を運転周波数に比例して移動させてもよい。そうすると、図6に相当するオブザーバの動作帯域は図7のようになる。
【0050】
以上をまとめると、運転周波数をω1,オブザーバの応答周波数帯域をωHとすると、(11)式の関係を成立させればよいことになる。
【0051】
【数11】
【0052】
(11)式ては、g2≠0であるので、演算を省略できないために演算量は増えるが、実施形態1と同様に応答が速く、且つ、振動の少ない磁束推定結果が得られる。
【0053】
【実施形態3】
図2で示す磁束オブザーバは、固定座標系上に構成している。しかし、推定する磁束は正弦波状に変化するので、ディジタル演算器を利用して離散値系で実現する場合には、離散近似による誤差が発生する。
この離散近似の誤差を抑制するためには、高次の積分近似演算を適用する必要がある。
【0054】
しかし、高次の積分近似演算は演算量が多くなる欠点がある。そこで、回転子の演算部分のみを回転座標上で構成すると、離散近似誤差を抑制することができる。この回転子部分を回転座標上に構成した磁束オブザーバが図8である。
図8では、速度の適応出力である速度推定ω1を積分して位相θ1ωを演算し、これを基準とする回転座標変換を回転子の演算部の入出力に挿入している。
速度の適応同定部分は、図2のような固定座標上でも図8のような回転座標上でも特性は同じであるが、図8では回転座標上で構成した例を示している。
【0055】
この実施形態においては、多極機のように運転周波数が高くなり、ディジタル演算のための信号のサンプリング周波数が運転周波数よりも十分に高いという近似が成立しなくなり、離散近似誤差の影響が無視できなくなる場合においても、回転子部分を回転座標系で構成したことにより、離散近似の誤差を抑制することができ、運転周波数の上限をさらに高くすることがてきる。
【0056】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によるオブザーバゲインを使用することにより、運転周波数をより高い領域にまで、応答を速く、且つ、振動の少ない磁束推定結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す位置センサレス制御系の構成図。
【図2】適応磁束オブザーバのブロック図。
【図3】起電力オブザーバの伝達関数のブロック図。
【図4】起電力オブザーバのブロック図。
【図5】説明のための低域通過フィルタ特性図
【図6】説明のための起電力オブザーバの周波数帯域図。
【図7】説明のための起電力オブザーバの周波数帯域図。
【図8】適応磁束オブザーバのブロック図。
【符号の説明】
1…同期電動機
2…電流検出器
3…可変速制御部
4…回転座標変換部
5…逆回転座標変換部
6…位置推定演算部
7…位相演算部
8…速度検出部
9…速度制御部
10…電流制御部
Claims (3)
- 永久磁石を界磁源とする同期電動機であって、駆動する電流位相を制御するための基準軸である磁極位相を検出して同期電動機を制御するものにおいて、
前記同期電動機の電圧と電流情報を入力して磁束成分を推定するための同一次元磁束オブザーバを設け、この磁束オブザーバを速度の適応部を有する固定座標系で構成すると共に、この磁束オブザーバのゲインを次式の関係で設定することを特徴とした同期電動機の制御装置。
(R/L−g1)≧ωmax
g2=0
g3=sign(ω1)・g4
g4=−L・ωH/|ω1|
ただし、R:抵抗、L:インダクタンス、g1〜g4:オブザーバゲイン、ω:速度、ω1:速度推定値、ωH:オブザーバの応答周波数帯域。 - 前記磁束オブザーバのゲインを次式の関係で設定することを特徴とした請求項1記載の同期電動機の制御装置。
(R/L−g1)>ωH
g2=ω1
g3=sign(ω1)・g4
g4=−L・ωH/|ω1| - 前記速度の適応部の出力速度を積分して位相を求め、この位相に同期した回転座標上で磁束オブザーバの回転子部分の演算を行うことを特徴とした請求項1又は2記載の同期電動機の制御装置。
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