JP2006271197A - ブラシレスdcモータの駆動装置および駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 非同期回転中にあるブラシレスDCモータ14を演算装置3Aとドライブ回路部4とにより半導体スイッチング素子群2を全てオフにして無通電状態とした上で、設定したモータ電流のd(Iq)/dt,d(Id)/dtとモータのEo,P,R,Lq,Ldと検出されたブラシレスDCモータ14の回転子速度および回転子位相とから演算装置3AによりブラシレスDCモータ14への初期両軸出力電圧Eq1,Ed1と初期出力周波数を算出して起動時間t0区間中のみブラシレスDCモータ14へ出力する。起動時間t0 経過後は、演算装置3Aにより出力電圧実効値を変更し、かつ出力周波数も同期周波数に変更することでブラシレスDCモータ14をそのまま同期運転に引き込む。
【選択図】 図1
Description
Ed=R・Id−P・ω・Lq・Iq+Ld・{d(Id)/dt}・・・・・(2)
Eq:モータへの出力電圧のq軸成分
Ed:モータへの出力電圧のd軸成分
Eo:モータの誘起電圧定数
ω:モータの回転子速度
P:回転子磁極対数
R:モータの電機子巻き線抵抗値
Lq:モータのq軸インダクタンス
Ld:モータのd軸インダクタンス
Iq:モータのq軸電流
Id:モータのd軸電流
永久磁石同期モータが同期状態で大きな正出力トルクを発生するためには、モータ電流が図2の丸印で示す位置にあることが必要である。
q軸電流増加率:d(Iq)/dt=一定>0
d軸電流増加率:d(Id)/dt=一定<0
となる。
Eq1=Eo・ω+Lq・{d(Iq)/dt}・・出力電圧q軸成分初期値
Ed1=Ld・{d(Id)/dt}・・・・・・・出力電圧d軸成分初期値
をモータに印加すればよいことになる。
Iq={d(Iq)/dt}・t1
Id={d(Id)/dt}・t1
となっている。これを(1),(2)式に代入すると、印加電圧Eq,Edは
Eq=Eo・ω+R・{d(Iq)/dt}・t1 +P・ω・Ld・{d(Id)/dt}・t1 +Lq・{d(Iq)/dt}
Ed=R・d{d(Id)/dt}・t1 −P・ω・Lq・{d(Iq)/dt}・t1 +Ld・{d(Id)/dt}
となる。
Eq=〔Eo・ω+Lq・{d(Iq)/dt}〕+P・ω・Ld・ {d(Id)/dt}・t1 +R・{d(Iq)/dt}・t1 =Eq1 +〔P・ω・Ld・{d(Id)/dt}+R・ {d(Iq)/dt}・t1 Ed=Ld・{d(Id)/dt}−P・ω・Lq・ {d(Iq)/dt}・t1 +R・{d(Id)/dt}・t1 =Ed1 +〔−P・ω・Lq・{d(Iq)/dt}+ R・{d(Id)/dt}〕・t1
となる。
Eq=Eq1 +〔R・{d(Iq)/dt}+P・ω・Ld・{d(Id)/dt}・t
Ed=Ed1 +〔R・{d(Id)/dt}−P・ω・Lq・{d(Iq)/dt}・t
となる。
Eq=Eq4 −Lq・{d(Iq)/dt}
=Eo・ω+R・Iq’+P・ω・Ld・Id’Ed=Ed4 −Ld・{d(Id)/dt}
=R・Id’−P・ω・Lq・Iq’
となる。ここで、Iq’,Id ’は目標地点P4 に達したときの電流値である。
d(Iq)/dt=Iq’/t0 ,d(Id)/dt=Id’/t0
が決定される。
Eq1 =Eo・ω+Lq・(Iq’/t0 )
Ed1 =Ld・(Id’/t0 )
さらに、目標(点P4 )到達時でのモータへの印加電圧Eq’,Ed’も(1),(2)式により次のように算出される。
Ed’=Ed1 +R・Id’−P・ω・Lq・Iq’
ここまでは、低速演算装置も高速演算装置も同じである。高速演算装置の場合、例えば、点P0 ではモータへの印加電圧実効値ErmsはErms=(Eq1 2+Ed1 2)1/2
モータのU相の誘起電圧位置がθならば、U相への印加電圧Euは、
Eu=21/2 ・Erms・sin{P・ω・t+(δ1 /Δt)・t+δ0+θ}
V相への印加電圧Evは
Ev=21/2 ・Erms・sin{P・ω・t+(δ1 /Δt)・t+δ0+θ+2π/3}
同様に、点P1 では、点P1 に到達するまでの時間をt1 としてモータへの印加電圧実効値Erms=(Eq2 2+Ed2 2)1/2
U相への印加電圧Euは
Eu=21/2 ・Erms・sin〔P・ω・t+(δ2 /Δt)・(t−t1 )+δ1 +δ0 +θ〕
V相への印加電圧Evは
Ev=21/2 ・Erms・sin〔P・ω・t+(δ2 /Δt)・(t−t1 )+δ1 +δ0 +θ+2π/3〕
以上、各点ごとに同様の処理を行うことになる。
δ1 +δ2 +δ3 +δ4 =tan-1(−Ed’ /Eq’)−tan-1(−Ed1 /Eq1 )
ここで、δ1 +δ2 +δ3 +δ4 =δ −δ0 とおく。この(δ −δ0 )についてΔf=(δ −δ0 )/(2π・t0 )を算出し、モータの同期周波数F(=P・ω/2π)にΔfを加えた周波数で初期位相δ0、実効値電圧Erms=(Eq1 2+Ed1 2)1/2 で時間t0 だけモータへの各相へ次のような電圧Eu,Evを印加する。
Ev=21/2 ・Erms・sin〔2π・(F+Δf)・t+δ0 +θ+2π/3〕
したがって、目標とすべき、図4中点線で示す印加電圧に近い印加電圧を作り出すことができるので、モータ電流Iq,Idも目標とする電流Iq’,Id’に近い位置にもっていくことができる。
Eq=Eo・ω+〔R・{d(Iq)/dt}+P・ω・Ld・{d(Id)/dt}〕・t0
Ed=〔R・{d(Id)/dt}−P・ω・Lq・{d(Iq)/dt}〕・t0
のEq,EdによるErms=(Eq2 +Ed2 )1/2 に設定すれば、以後そのまま同期運転に入ることができる。
0=R・Id−P・ω・Lq・Iq+Ld・{d(Id)/dt}・・・・(4)
ここで、無通電回転中のブラシレスDCモータに対しゼロ電圧出力した場合のモータ電流の動きは上記(3),(4)式においてIqとIdの初期値を共にゼロとした場合の電流の動きとなる。
Irms={Iw・Iw/2+(Iw+2・Iv)・(Iw+2・Iv)/ 6}1/2 =(Iq・Iq+Id・Id)1/2 ≒−Iq (∵Id≒0)
とみなすことができ、さらには
d(Iq)/dt≒d(−Irms)/dt
とみなすこともできる。
d(Iq)/dt≒0
Iq≒0
とみなせること、およびブラシレスDCモータの各特性値(Eo,P,R,Ld,Lq)を使用して式(3)に代入すればブラシレスDCモータの回転子速度(ω)が検出できる。
1〕前記発明は、非同期回転中のモータに直結した回転子位置検出手段を持たないブラシレスDCモータに対し、安価な演算装置により短時間で安定したモータ電流を起動でき、ブラシレスDCモータの回転を停止することなくそのまま起動して同期運転に引き込むことができる。
2 半導体スイッチング素子群
3A,3B 演算装置
4 ドライブ回路部
5,6 電流検出器
7,8,9 電機子コイル
10 回転子
11,12,13 出力端子
14 ブラシレスDCモータ
S1 〜S6 トランジスタ
Claims (8)
- 直流電源と、前記直流電源の正極側に接続された半導体スイッチング素子および負極側に接続された半導体スイッチング素子を有し、前記両半導体スイッチング素子は3相分として3対備え、互いに直列に接続されて接続点がモータへの出力端子となっており、さらに3相のうち少なくとも2相分のモータ電流検出器と演算装置を備えた、複数極の磁石を有する回転子と3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子とから構成され、モータに直結した回転子位置検出手段を持たないブラシレスDCモータの駆動装置であり、かつ前記ブラシレスDCモータの非同期回転中における回転子速度および回転子位相検出手段を備えたブラシレスDCモータの駆動装置によりブラシレスDCモータを駆動する方法において、非同期回転中にあるブラシレスDCモータを無通電状態とした上で、前記検出手段により検出したブラシレスDCモータの回転子速度に対応したモータ同期周波数よりも高い電圧周波数の電圧を短時間のみ出力した上で同期周波数に戻して非同期回転中のブラシレスDCモータを同期運転に引き込むことを特徴とする、ブラシレスDCモータの駆動方法。
- 無通電状態からモータ電流を起動する際にモータ電流を相誘起電圧と同一方向成分であるq軸電流と電気角で−π/2ずれた方向成分であるd軸電流とに分けた場合、q軸電流は正方向に一定の増加率で、d軸電流は負方向に一定の増加率で駆動する、請求項1記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
- 直流電源と、前記直流電源の正極側に接続された半導体スイッチング素子および負極側に接続された半導体スイッチング素子を有し、前記両半導体スイッチング素子は3相分として3対備え、互いに直列に接続されて接続点がモータへの出力端子となっており、さらに3相のうち少なくとも2相分のモータ電流検出器と演算装置を備えた、複数極の磁石を有する回転子と3相Y結線に接続された電機子コイルを有する固定子とから構成され、モータに直結した回転子位置検出手段を持たないブラシレスDCモータの駆動装置であり、かつ前記ブラシレスDCモータの非同期回転中における回転子速度および回転子位相検出手段を備えたブラシレスDCモータの駆動装置によりブラシレスDCモータを駆動する方法において、無通電回転中のブラシレスDCモータの回転子速度および回転子位相を検出する際に、前記演算装置により前記直列に接続された両半導体スイッチイング素子のオン・オフ比率を制御することで確定されるモータへの出力端子電圧値を3相とも同一となるように制御してモータへ電圧出力し、かつこのときの3相のうち少なくとも2相分の前記電流検出器から得られたモータ電流値を利用することを特徴とする、ブラシレスDCモータの駆動方法。
- 3相とも全て同一となる電圧出力を開始した初期における3相のうち少なくとも2相分の前記電流検出器により得られるモータ電流値から前記演算装置により算出される実効電流値に対し、モータ電流を相誘起電圧と同一方向成分であるq軸電流と電気角で−π/2ずれた方向成分であるd軸電流とに分けた場合、前記算出される実効電流値を全てq軸電流とし、かつ符号をマイナス値とみなすことでq軸電流を検出し、さらに前記演算装置により算出される実効電流値の変化率からq軸電流増加率(dq/dt)を検出する請求項3記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
- 3相とも全て同一となる電圧出力を開始した初期における3相のうち少なくとも2相分の前記電流検出器により得られるモータ電流値から前記演算装置により算出される各相電流位相値に対し、回転子位相値(相誘起電圧位相値)を電気角でπ進み、またはπ遅れとして検出する請求項3記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
- 3相とも全て同一となる電圧出力を、前記q軸電流とd軸電流とに分けられたモータ電流の振動が収束するまで継続し、この収束した際の3相のうち少なくとも2相分の前記電流検出器から得られたモータ電流値から前記演算装置により算出される各相電流位相値に対し、この各相電流位相値の変化率から回転子速度を検出する請求項3記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
- 3相ともすべて同一となる電圧出力を、前記q軸電流とd軸電流とに分けられたモータ電流の振動が収束するまで継続し、この収束した際の3相のうち少なくとも2相分の前記電流検出器から得られたモータ電流値から前記演算装置により算出されるモータ電流実効値に対し、これをすべてd軸電流とし、かつ符号をマイナス値とみなすことでd軸電流を検出し、さらに前記演算装置によりブラシレスDCモータの各特性値を使用して回転子速度を検出する、請求項3記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
- 3相ともすべて同一となる電圧出力を、前記q軸電流とd軸電流とに分けられたモータ電流の振動が収束するまで継続し、この収束した際の3相のうち少なくとも2相分の前記電流検出器から得られたモータ電流値から前記演算装置により算出される各相電流位相値に対し、回転子位相値を電気角でπ/2遅れまたは3π/2進みとして検出する、請求項3記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
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