JP2004254424A - 電動機の駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】仕様の異なる電動機であっても、起動に必要な電圧量をインバータ自身で設定することを目的とする。また、印加電圧量、加速する周波数および起動判別を行う周波数を起動時の電動機の軸負荷に応じてインバータ自身が適値に収束させることで、電動機の確実な起動を実現することを目的とする。
【解決手段】永久磁石電動機に電圧を印加して所定の周波数にて駆動する電動機の駆動装置において、永久磁石電動機に流れる電流の位相が前記印加する電圧の位相より遅れ位相となるように電圧を設定する電圧設定手段を備え、電圧設定手段により得られた電圧を印加することにより前記永久磁石電動機を起動するようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石同期電動機を駆動する駆動装置、あるいは起動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の永久磁石電動機の起動方法もしくは起動装置は、起動時と通常運転時とを個別の制御にて行ない、ある条件に基づいて運転を切替えるという技術であり、永久磁石電動機に印加するモータ駆動電圧と永久磁石電動機に流れるモータ電流との位相差に基づいて、起動運転から通常運転へ切替えるものである。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、初期起動、起動判別、起動安定と3区間に起動を分割しており、一定の上昇率にてインバータの出力電圧を上昇させる初期起動、予め決められた電圧まで電圧を上昇させて、電流、電圧により演算された磁束の周期を計測し、安定した周波数かどうかを判定する起動判別、起動判別により出力周波数および出力電圧を上昇させ、さらに安定状態か否かを演算した磁束の位相情報から判断する起動安定、の3区間にて起動状態から通常運転へ運転状態を切替えるものもある。(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、ピーク値が時間経過と共に徐々に上昇するような三角波もしくはのこぎり波を等価的に印加する起動を構成するものもある。(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、ステップ上の交番電流を印加することで電動機の回転子を回転させることなく、電動機の回転子位置を推定するものもある。(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
また、電動機の磁軸方向(d軸)と直交する方向(q軸)の電流制御の制御ゲインを0として制御を構成することによって、電動機の回転子の位置を固定励磁して起動するものもある。(例えば、特許文献5参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−54295号公報
【特許文献2】
特開2001−224198号公報
【特許文献3】
特許3285717号公報
【特許文献4】
特開平11−18477号公報
【特許文献5】
特開平10−323098号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に示されている従来の技術は、同期電動機の位置を検出しない位置センサレス方式を採用し、電動機を正弦波にて駆動する起動方法が示されている。永久磁石を用いた同期電動機(以後、モータと呼ぶ)はロータの位置に応じてステータを通電する必要があり、位置センサレス方式の場合、何らかの方法にて位置を推定するか、ロータ位置に応じたステータの通電位相を算出する必要があった。
【0009】
また、特許文献2にも正弦波にてモータを位置センサレス方式にて駆動する起動方法が示されている。
【0010】
また、特許文献3には、矩形波にてモータを位置センサレス方式にて駆動する起動方式が示されている。
【0011】
これらの技術は、モータが停止している時、ステータの通電位相が不明であるため、モータの回転子を強制的に移動、回転させることで起動させ、起動状態における安定性が確保された場合に通常運転に切替える起動方法であるが、このような強制的に回転子を動作させるための強制的な電圧印加方法は、誘導電動機では良く知られる方法であり、周波数と電圧の比率を一定に保つ方法として、V(電圧)/f(周波数)駆動と呼ばれるものであり、インバータ制御技術では、ごく当然の技術がある。
【0012】
永久磁石電動機の場合、誘導電動機とは異なり、前記のV/f駆動と呼ばれる強制的な電圧印加にて起動したとしても、定格運転状態まで加速することが難しい。これは永久磁石電動機が同期電動機のため、回転子の位置に応じて固定子を通電する必要があるためであるが、位置センサレスの場合、位置が不明であるが故に強制的な電圧印加にて起動した場合に定格運転状態となる以前に、定格運転状態でも駆動可能な位置センサレス方法に切替える必要があった。
【0013】
また、特許文献1は、インバータから出力される出力電圧とモータ電流の位相差を一定に保つことで駆動するセンサレス方式における起動方法について示されており、起動時もこの電圧と電流の位相差を検出して、起動したか否かの判定を行っている。
【0014】
初期デューティー基準値は、起動時の負荷トルクよりも低いトルクを発生させる程度のデューティーを設定し、徐々にデューティーを上昇させながら、周波数も上昇させて加速する。位相差のバラつきが大きい振動、脱調している状態Bを通過した後に、位相差のバラつきが小さくなる領域までデューティーおよび周波数を上昇させる起動方法である。
【0015】
上述のような起動方法の場合、電動機の仕様に応じて基準デューティーやデューティーと周波数の上昇度合い等は、予め設定する値であり、異なる電動機がインバータに接続された場合、予め設定しているこれらの値は変更する必要がある。
【0016】
また、位相差のバラつき度合いで安定起動状態か否かを判断しているが、バラつき度合いも電動機の仕様に応じて変化するもののため、電動機に応じたバラつき度合いを予め計測しておく必要があり、電動機によってはバラつき度合いに大小の差が発生し安定した運転が困難な場合があった。
【0017】
さらに、電圧と電流の位相差情報から、安定起動状態を検出するため、電気1周期、例えば、極数=4のモータの場合は1/2回転、極数=6のモータの場合は1/3回転、に1回検出することが可能であるが、安定起動を検出する状態は、強制的な通電状態であり、インバータから出力する電圧は、モータを強制的に回転させるために与えられるため、回転する周波数の上限値は電気周期で10〜15Hz程度であり、回転数は低い状態である。
【0018】
回転周波数が低いにも関わらず、電気1周期に1回のみの検出では、起動の安定状態を検出するには比較的長い時間が必要となる。また、インバータから出力する電圧を徐々に上昇させる場合に、1周期に1回の検出で電圧を決定することとなり、電圧を上昇させている起動状態も長い時間が必要となり、制御性が悪かった。
【0019】
特許文献1に示されている技術においても、予め設定されている印加電圧量や周波数はインバータに接続されている電動機に応じて設定されている値であり、異なる仕様の電動機の場合、これらの値を再設定する必要があり、異なる仕様の電動機には対応できなかった。
【0020】
さらに、安定に起動する周波数に到達する前から緩やかに電圧変化を行うため、1周期に1回の検出で判断するためには、強制的な起動状態から通常運転に移行させることになり、長い時間を要していた。
【0021】
また、特許文献2に示されている技術は、電圧および電流を検出し、これらから磁束情報を演算して、磁束の位相と周波数から強制的な起動状態から安定状態に移行したか否かを判断している。さらに、安定状態に移行した後に、更に、加速し、安定状態を再度確認するシーケンスが示されている。
【0022】
特許文献2に示されている技術も判断する周波数は、予め設定された値であり、所定の電圧にて起動し、所定の電圧まで上昇させるとされている。従って、電動機仕様に応じて予め設定される所定の値を設定する必要があり、仕様のわからない異なる電動機には対応できなかった。また、更に加速し、再度安定状態を確認する周波数も予め設定された所定の周波数だけであるため、仕様のわからない異なる電動機には対応できなかった。
【0023】
さらに、検出した電流と電圧を積分演算し、演算によって求められた磁束のゼロクロスとその周波数から起動の判定を行う構成が取られており、特許文献2も特許文献1と同様、電気的な1周期が経過しないと判別できない構成になっている。
【0024】
さらに、中間制御周波数まで周波数を上昇させて判別するのであるが、モータの軸負荷によっては中間周波数まで加速不能な場合も存在する。これは、強制的な通電である為であり、モータの回転子が固定子に印加しているインバータの周波数に追従できなければ回転しないため、この状態で起動判別を行うと言うものであるが、これも電動機の仕様に応じて変化する要素であるため、仕様のわからない異なる電動機には対応できなかった。
【0025】
また、特許文献3に示されている技術は、矩形波によるセンサレス駆動方式の起動方法を示すものである。矩形波駆動は、通電を休止する休止区間が存在する。この休止区間中に、永久磁石電動機の端子に発生する逆起電圧を検出して、センサレス駆動を行うのが、矩形波駆動のセンサレス方式である。
【0026】
この特許文献3には、矩形波駆動のセンサレス方式は、モータの逆起電圧を検出する方式であるが、モータが回転しない場合、逆起電圧は発生しないので、強制的に回転させ、逆起電圧を強制的に発生させる起動状態と、強制的であっても発生した逆起電圧を利用してセンサレス駆動を行うセンサレス駆動状態と、を切替える技術が示されている。
【0027】
矩形波駆動の場合、休止区間がなければセンサレス駆動に切替えできないため、正弦波で駆動する方法の起動方法に採用することはできなかった。
【0028】
さらに、特許文献4に示されている技術は、電動機の回転子の停止位置を推定し、推定いた停止位置よりセンサレス駆動する技術である。このような停止位置を推定する技術は、電動機の仕様を表す電動機定数が既知である必要があるが、特許文献4に示されている技術は、電動機定数が未知の場合でも対応可能と記載されている。
【0029】
しかしながら、特許文献4に示されている技術では、γ軸方向に流す交番電流の設定方法が記載されておらず、交番電流を流すためのステップ状の電流指令は、電動機定数がある範囲内の値である必要があり、電動機の仕様、換言すれば、電動機定数が全く異なる電動機の場合、ステップ状の電流指令を変更する必要があり、これも電動機の仕様に応じた所定の値が必要であるため、仕様のわからない異なる電動機には対応できなかった。
【0030】
また、特許文献5に示されている技術は、q軸電流制御のゲインを0にすることでq軸電圧を0出力とし、電動機の回転子の位置を固定するものである。電動機の回転子の位置を固定する方法は、位置が固定されるまでの時間、回転子が振動してしまうという課題があった。この特許文献5に示されている技術は、この振動を短時間で抑制することを特徴としているが、振動が抑制されるとしても、無くならない訳ではないので、電動機仕様によっては振動が大きく発生する可能性があり、仕様のわからない異なる電動機には対応できなかった。
【0031】
本発明は上記の課題を解決するために鑑みられたもので、仕様の異なる電動機であっても、起動に必要な電圧量をインバータ自身で設定することを目的とする。また、印加電圧量、加速する周波数および起動判別を行う周波数を起動時の電動機の軸負荷に応じてインバータ自身が適値に収束させることで、電動機の確実な起動を実現することを目的とする。また、印加電圧量、加速する周波数および起動判別を行う周波数を起動時の電動機の軸負荷に応じてインバータ自身が適値に収束させることで、起動状態を判別することを目的としている。
【0032】
さらに、本発明は座標変換を用いて電流・電圧の瞬時値から電流・電圧の位相関係を把握することによって、短時間に起動状態を判別することを目的としている。
【0033】
【課題を解決する手段】
本発明の電動機の駆動装置は、永久磁石電動機に電圧を印加して所定の周波数にて駆動する電動機の駆動装置において、永久磁石電動機に流れる電流の位相が印加する電圧の位相より遅れ位相となるように電圧を設定する電圧設定手段を備え、電圧設定手段により得られた電圧を印加することにより永久磁石電動機を起動するようにしたものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1を示す回路ブロック図である。図1において、永久磁石電動機1を駆動するインバータ出力部2から電動機1へ流れるモータ電流(3相のうちの少なくとも2相の電流)を電流検出器3にて検出する。ここで、電流の検出については、ある1相と直流側で電流を検出しても良いし、あるいは、直流側のみで電流を検出してもよく、電流が検出できればどこから検出してもよい。インバータ出力部2は図示されていないが直流電源に接続されている。直流電源は、例えば交流の商用電源を整流して生成された直流電圧による直流電源などで構成されている。電流検出器3にて検出されたモータ電流(U相、V相、W相のうちの少なくとも2相)は、γδ軸へ変換する電流座標変換器4で、γ軸電流とδ軸電流とに座標変換される。γδ軸変換については、後述する。
【0035】
電流座標変換器4にて座標変換されたγ軸電流とδ軸電流は、ローパスフィルタ5を通して、電圧生成器6へ入力され、γ軸電圧およびδ軸電圧が生成される。そして、電圧生成器6にて生成されたγ軸電圧Vγおよびδ軸電圧Vδは電圧座標変換器7にてインバータ出力部2から出力される3相のモータ印加電圧(Vu、Vv、Vw)の指令値Vuvwに変換される。
【0036】
また、インバータ出力部2にて発生させたい周波数を指令する外部より与えられるインバータ周波数指令finvは、ゲイン10を介して角周波数ω*に変換され、積分器11によって、角周波数ω*が位相角度θmに変換される。積分器11の出力である位相角度θmが電流座標変換器4と電圧座標変換器7に入力され、電流座標変換器4においては、位相角度θmに基づいてγδ軸電流に変換され、電圧座標変換器7においては、位相角度θmに基づいて3相(U、V、W)軸電圧に変換される。なお、本実施の形態では、3相軸電圧に変換するとしているが、変換される指令値Vuvwは、インバータ出力部2より電動機1へ出力する指令値であれば良いことは言うまでもない。ここで、本実施の形態では、インバータ出力部2、電流検出器3、電流座標変換器4、ローパスフィルタ5、電圧生成器6、電圧座標変換器7、ゲイン10、積分器11によって駆動装置50(インバータ装置ともいう)が構成されており、この駆動装置50により、永久磁石電動機1を所定の周波数で駆動する。
【0037】
次に、γδ軸変換について説明する。dq軸に関しては電動機1の磁束方向であるd軸とd軸より90度進んだ直交軸をq軸と定義することが一般的であるが、dq軸は、電動機1の回転子によって定義される座標軸であるため、電動機1が回転前の状態で、かつ位置センサレスである本発明のような場合においては、dq軸は不明である。
【0038】
しかしながら、駆動装置(インバータ装置)50から電動機1へ印加する回転軸はインバータ装置50自らが指示する(発生させる)回転軸であるため既知である。そこで、このインバータ装置50によって生成される回転軸を本発明ではγδ軸と定義する。電動機1が停止している状態では、外部からのインバータ周波数指令finvは0であるから、積分器11の出力である位相角度θmも0となる。電動機1に起動の指示を行う場合には、外部からのインバータ周波数指令finvをインバータ装置50に与え、インバータ装置50によって強制的に電圧を電動機1に印加する。例えば、インバータ周波数指令=1Hzの場合、図2に示すような位相角度が生成される。図2は時間に対する位相角度の変化を表した図である。図において、横軸は時間tを表し、縦軸は位相角度を表している。図より、位相角度θmは、周波数の積分値であり、1秒間で0〜2πの範囲まで直線的に変化し、2πを超えると0にリセットされる。
【0039】
ここで、所定周波数としてインバータ周波数指令を1Hzとしたが、何も1Hzでなくとも良く、電動機の極数も考慮した0より大きな機械的な回転数を設定してもよい。この時、周波数の設定で必要なのは極低速となる周波数を設定しておくことであり、極低速となる周波数を所定周波数として設定しておけば電動機の仕様に応じる必要性がなくなる。ここで、極定速とは、強制的にV/fを印加して駆動可能な強制V/f駆動の低速の回転数であり、たとえば、定格回転数の10%以下のような非常に遅い回転数である。ここで、極定速は0より大きく6rps(360rpm)以下であることが望ましく、小さければ小さいほど良い。好ましくは3rps(180rpm)以下が望ましい。
【0040】
そこで、この通電角度の0度の方向をγ軸、γ軸に対して90度の方向をδ軸と定義すると、γ軸はd軸に対応し、δ軸はq軸に対応する軸となる。図3は、γδ軸とdq軸との関係を示した図である。図3において、横軸はd軸、縦軸はq軸であり、dq軸に対するγ軸およびδ軸の位置関係を表している。また、Δθはdq軸とγδ軸の位相差を表し、矢印の方向に角速度ωで回転することを表している。dq軸とγδ軸には、Δθの位相差があり、Δθ=0の場合、dq軸とγδ軸は一致する関係にある。
【0041】
このγδ軸上で、ある電圧ベクトルを出力するようにインバータ装置50が電動機1に電圧を印加すると、電動機1が回転するか否かに関わらず、電動機1に電流が流れる。仮に、電動機1の回転子が回転していない場合、印加する電圧V0と流れる電流I0は、同位相となるので、γδ軸上でみると、印加する電圧と流れる電流は、同一方向を向いているベクトルとなる。この様子を図4に示す。図4はγδ軸上の電圧と電流のベクトル図である。図4において、横軸はγ軸、縦軸はδ軸であり、印加する電圧がV0、流れる電流がI0である。
【0042】
次に、インバータ周波数指令finvを一定状態に保ち、かつ印加する電圧ベクトルの位相を一定のまま、印加している電圧量を増加させると、電圧ベクトルの方向は一定のまま、ベクトルの長さのみ増加することとなる。その後、電動機1の回転子がインバータ装置50から出力されている強制回転磁界に追従して、回転し始める場合、電動機1に流れる電流I1は、印加電圧V1より遅れ位相となる。この様子を図5に示す。図5はγδ軸上の電圧と電流のベクトル図である。図5において、横軸はγ軸、縦軸はδ軸であり、印加電圧がV1、流れる電流がI1である。
【0043】
電圧と電流が同位相である状態は、電動機1での発生トルクが起動トルク以下であるため、電動機1にインダクタンス成分が発生せず、抵抗成分のみが作用しており、すなわち電動機1が抵抗負荷特性を示していることを意味する。電動機1が回転し始めるのは、発生トルクが起動トルクを上回る場合であるが、この状態は、電動機1のインダクタンス成分が作用し始めるためで、インダクタンス成分があるため電流ベクトルの位相が電圧ベクトルに対して遅れ始める。
【0044】
電流ベクトルが電圧ベクトルに対して位相遅れが発生した時点が、電動機1が回転し始めた時点であることから、位相遅れとなる電圧量を印加すれば、電動機1を起動させることが可能になる。また、電動機1の起動時に作用する負荷により軸トルクが変化しても位相遅れとなる電圧量を印加すれば良いので、起動時に必要な電圧量をインバータ装置自身で設定できる。すなわち、この軸トルク以上のトルクを発生させる電圧量(位相遅れとなる電圧量)を印加させれば電動機1は起動できる。この動作フローチャートを図6に示す。図6は本発明の実施の形態1を表す駆動装置の制御フローチャート図である。
【0045】
図において、S−1は印加電圧を0にする印加電圧ゼロステップ、S−2は印加する電圧を増加させる印加電圧設定ステップ、S−3は電圧ベクトルに対して電流ベクトルが位相遅れ状態かどうかを判断する位相遅れ判断ステップ、S−4はS−3の位相遅れ判断ステップにて電流ベクトルに位相遅れがあると判断した場合に印加電圧量を一定にする印加電圧一定化ステップである。ここで、図6に示すフローチャートの制御動作は図1に示した電圧生成器6にて行なわれる。
【0046】
図6のように、印加電圧を増加させていき電流ベクトルの位相遅れが生じた場合(すなわち電動機1が起動できる電圧になっている。)に印加電圧の増加を停止して電圧一定にすれば、電動機1を起動できる印加電圧量が得られる。したがって、仕様の分からない電動機であっても、インバータ装置自身で電動機1の起動できる電圧量を設定できる。
【0047】
以上のように、本実施の形態では、永久磁石電動機1に電圧を印加して所定の周波数にて駆動する電動機の駆動装置50において、永久磁石電動機1に流れる電流の位相が印加する電圧の位相より遅れ位相となるように電圧を設定する電圧設定手段(電圧生成器6)を備え、電圧設定手段6により得られた電圧を印加することにより永久磁石電動機1を起動するようにしたので、電動機定数を必要としない起動シーケンスであるため、異なる電動機仕様によっても同一シーケンスにて実行可能となり、ソフトウェアの標準化による低価格化、及びソフトウェアの信頼性の向上に寄与する。さらに、起動に関わる電圧設定作業が軽減できるため、設計負荷軽減による低価格化が実現できる。また、瞬時電流値を用いて起動電圧を設定可能となるため、起動に要する時間の短縮化することが可能となる。また、如何なる負荷状態においても、起動可能な起動時の必要電圧量を設定することが可能となり、起動可能な範囲の拡大、起動に対する信頼性の向上が望め、起動時の負荷範囲の拡大に寄与する。
【0048】
また、電圧設定手段(電圧生成器6)は、永久磁石電動機1に流れる電流の位相が印加する電圧の位相より遅れ位相となるまで電圧を変化させることによって、永久磁石電動機1を起動させるのに必要な電圧量を設定するようにしたので、電動機1が停止中から円滑に起動でき、低振動で低騒音な駆動装置が得られる。
【0049】
また、永久磁石電動機1に電圧を印加して所定の周波数にて駆動する駆動装置50において、永久磁石電動機1に印加される周波数を積分して生成される位相角度の0度の方向をγ軸、このγ軸より回転方向に90度進んだ方向をδ軸、とするとき、永久磁石電動機1に流れる電流をUVW座標系からγ軸およびδ軸より構成されるγδ座表系に変換する電流座標変換手段(電流座標変換器4)と、電流座標変換手段4よりの電流ベクトルの出力に基づいて、γδ座標軸上の電圧ベクトルの位相を一定の状態で、電流ベクトルが電圧ベクトルより遅れ位相となる時点まで電圧ベクトルの大きさを変化させて、永久磁石電動機1が起動するのに必要な電圧量を設定する電圧設定手段(電圧生成器6)と、電圧設定手段6により設定されたγδ座標軸上の設定電圧をUVW座標軸上の電圧に変換する電圧座標変換手段(電圧座標変換器7)と、を備えたので、座標変換手段4、7を用いているため、電気角度1周期が経過するまでもなく、瞬時電流および瞬時電圧より回転動作を開始する起動時の必要電圧を瞬時に決定できる更なる効果を有する。また、γδ軸に座標変換することによって、電気角度1周期が経過するまでの長時間を費やすこともなく、ベクトル上で回転動作を開始する起動時に必要な電圧を瞬時に決定できる。
【0050】
次に、電流の遅れ位相の簡単な検出方法について記述する。図7は電流の遅れ位相の検出方法について説明するためのベクトル図である。図において、横軸はγ軸、縦軸はδ軸を表している。V1は印加電圧ベクトル、I1は電流ベクトル、Δθ1は電圧ベクトルに対する電流ベクトルの遅れ位相である。印加電圧のベクトル方向を座標軸と同一方向、例えば、図7に示すようにδ軸方向に電圧V1を出力する。このとき、電流I1の遅れ位相Δθ1を検出することと電流I1のγ軸成分の極性が正となることは同義なので、印加電圧V1をγδ軸の座標軸上に発生させることによって、電流ベクトルI1の位相角度を演算する必要がなくなり、座標変換後の電流の極性に着目すれば、位相遅れΔθ1を検出できる。
【0051】
以上のように、γδ座標系のγ軸上あるいはδ軸上のいずれかに電圧ベクトルを出力し、γ軸あるいはδ軸のうち、電圧ベクトルの出力されていない方の座標軸における電流の極性により電流ベクトルの位相が電圧ベクトルの位相より遅れていることを検出するようにしたので、座標軸上に印加電圧のベクトルを設定することによって、電流の位相遅れを極性検出のみで簡単に検出でき、演算によらないため、処理能力が低いCPUでも実現可能となる更なる効果を有する。
【0052】
すなわち、座標軸上に印加電圧のベクトルを設定することによって、電流の位相遅れΔθ1を極性検出のみで簡単に検出でき、演算によらないため、処理能力が低いCPUでも実現可能となり、低コストで対応できる。
【0053】
また、図7はδ軸上に電圧V1を出力して遅れ位相Δθ1を検出する方法を示したが、別にδ軸上に電圧ベクトルを出力せず、γ軸上に出力しても上記と同様の効果を有することはいうまでもない。この場合は、γ軸上に電圧ベクトルV1を設定した場合、電流I1のδ軸成分が負の極性となる時点の電圧印加量(極性変化電圧)以上にて電圧を印加することで電動機1を起動することが出来る。
【0054】
さらに、上述では、モータ1に印加する電圧量を0から徐々に上昇させるよう構成しているが、なにも、上昇させなければならないわけでなく、ある設定電圧値より徐々に低下させ、位相遅れが無くなる時点の電圧量よりも大きい電圧を印加して起動するように構成しても問題はない。ただし、電動機1が停止中から円滑に起動するよう構成するのであれば、印加電圧量を徐々に上昇させるよう構成した方が良いことは明確である。
【0055】
したがって、本実施の形態では、γδ座標系のγ軸上あるいはδ軸上のいずれかに電圧ベクトルを出力し、γ軸あるいはδ軸のうち、電圧ベクトルの出力されていない方の座標軸における電流の極性が変化するまで、電圧ベクトルの大きさを増加させて永久磁石電動機の起動に必要な電圧量を設定する電圧設定手段を備えたので、電圧を徐々に上昇させることによって、電動機1を停止中から円滑に起動するよう構成することが可能となる更なる効果を有する。
【0056】
またさらに、電流位相が遅れ位相となった直後に、印加電圧の上昇を停止せず、さらに、予め設定された電流値に電流が大きくなるまで印加電圧量の上昇を継続してもよい。この場合の制御フローチャートを図8に示す。図8は本実施の形態を表す駆動装置の制御フローチャート図である。図8において、図6との違いは、S−10で示す電流成分が設定値を超えたかどうかの電流設定値判断ステップを有しており、この判断ステップにて判断して印加電圧の上昇を停止させ電圧を一定化させる点にある。
【0057】
図において、S−1は印加電圧を0にする印加電圧ゼロステップ、S−2は印加する電圧を増加させる印加電圧設定ステップ、S−3は電圧ベクトルに対して電流ベクトルが位相遅れ状態かどうかを判断する位相遅れ判断ステップ、S−10はS−3の位相遅れ判断ステップにて電流ベクトルに位相遅れがあると判断した場合に電流値(電流成分)が予め設定された所定値(減磁電流以下の所定値)を超えたかどうかを判断する電流設定値判断ステップ、S−4はS―10の電流設定値判断ステップにて電流値(電流成分)が予め設定された所定値を超えたと判断した場合に、印加電圧量を一定にする印加電圧一定化ステップである。ここで、図8に示すフローチャートの制御動作は図1に示した電圧生成器6にて行なわれる。
【0058】
図6に示したように電流位相が遅れ開始直後に印加電圧の上昇を停止するように制御した場合、電動機1の起動に必要な最小限の印加電圧量しか印加できない。そのため、負荷トルクの変動が小さい場合には問題ないが、負荷トルクの変動の大きな圧縮機用電動機などの場合には、印加電圧の上昇停止直後は回転し始めたが、その後、負荷トルクの脈動などの外乱によって、電動機1がロックしてしまう可能性がある。
【0059】
そこで、図8に示したように起動に必要な最小限の印加電圧よりも多少大きい電圧量を印加した方が電動機1の回転状態を維持しやすい。しかしながら、あまりに大きな電流が流れるほど電圧を印加すると、電動機1は減磁する恐れがある。よって、減磁電流以下の予め設定された電流値となるまで印加電圧の上昇を継続すれば、負荷トルクの変動によって電動機1が停止することもなく、また減磁することもない。
【0060】
したがって、図8に示したように起動に必要な最小限の印加電圧よりも多少大きい電圧量を印加する構成にすることによって、電動機1を減磁させることなく、トルク脈動などの外乱に対しても影響の少ない起動電圧量を設定することが可能となる。
【0061】
すなわち、本実施の形態では、電圧ベクトルの出力されていない方の座標軸における電流の極性が変化するときの電圧である極性変化電圧を第1の所定電圧、永久磁石電動機に減磁電流が流れるときの電圧である減磁電圧を第2の所定電圧とするとき、第1の所定電圧以上で、かつ第2の所定電圧よりも小さな電圧範囲内となるまで、電圧ベクトルの大きさを増加させて永久磁石電動機1の起動に必要な電圧量を設定する電圧設定手段(たとえば電圧生成器6)を備えたので、電動機1を減磁させることなく、トルク脈動などの外乱に対しても影響の少ない起動電圧量を設定することが可能となる更なる効果を有する。
【0062】
ここで、電動機1に希土類磁石が用いられている場合、常温状態での希土類磁石の減磁電流レベルは非常に高い。そのため、永久磁石電動機1に希土類磁石を使用するようにすれば、減磁の影響を考慮しなくて良くなり大雑把な簡単な制御で良くなるので、CPUでの分解能を小さくすることで、安いCPUで対応出来るようになり、低コストで小形の電動機駆動装置を得ることができる。また、電流の検出精度も低いものを使用できるようになり、安価な電流検出器を適用できる。
【0063】
また、一例として図6に示したようにδ軸上に電圧を印加して制御する場合で説明するが、電流位相が遅れ始めても、さらに、電圧印加量の上昇を停止しない場合、電流の位相が更に遅れる状態になる。これは、γ軸電流成分の上昇度に対し、δ軸電流成分の上昇度は小さく、さらには、δ軸電流成分は、増加せず減少する場合もある。
【0064】
この特性を利用して、δ軸電流とγ軸電流の比率(Iγ/Iδ)の関係が予め設定された値となるまで、電圧印加の上昇を継続するよう構成する。このように構成しても、上記と同様に、外乱に対し影響を受けにくくなる起動電圧の設定が可能になる。
【0065】
すなわち、本実施の形態では、電流座標変換手段の出力であるγ軸電流とδ軸電流の比率(Iγ/Iδ)が、予め設定された所定値の範囲内となるまで、電圧ベクトルの大きさを増加させて永久磁石電動機の起動に必要な電圧量を設定する電圧設定手段を備えたので、如何なる負荷状態においても、起動可能な起動時の必要電圧量を設定することが可能となる。さらには、外乱による影響をなくすように構成することが可能となる更なる効果を有する。
【0066】
さらに、例えば、電流ベクトルI1の位相が電圧ベクトルの位相に対し20度以上遅れると、インバータ装置50にて発生させている回転磁界に電動機1が追従しにくくなる。特に、起動トルクが大きい場合、位相が20度以上遅れると、回転状態が確保されなくなる。このような場合、起動失敗となるので、電動機1がインバータ装置50の回転磁界に追従する電流ベクトルが20度以内の遅れとなるように印加電圧の上昇を停止させれば良い。また、外乱の影響を受けにくくするために、2度以上の位相遅れが発生するよう印加電圧を設定した方がよい。すなわち、電流ベクトルI1の位相は電圧ベクトルの位相に対して、位相差が2度以上20度未満の位相遅れの範囲内になるように設定した方がよい。
【0067】
すなわち、本実施の形態では、γδ座標系において、電流ベクトルの電圧ベクトルに対する位相遅れが2度以上20度以下の範囲内となるまで電圧ベクトルの大きさを増加させて永久磁石電動機の起動に必要な電圧量を設定する電圧設定手段6を備えたので、如何なる負荷状態においても、起動可能な起動時の必要電圧量を設定することが可能となる。さらには、外乱による影響をなくすように構成することが可能となる更なる効果を有する。
【0068】
この場合の制御フローチャートについては、図示しないが、図8におけるs−10ステップにおける印加電圧の上昇継続の条件を上記のように位相遅れ範囲を2度以上20度未満の位相遅れの範囲内かどうかの判定に変更するだけでよいことは言うまでもない。
【0069】
またさらに、上述では、正弦波駆動方式を前提に記述したが、何も正弦波駆動だけではなく、矩形波駆動に適用することが出来ることは言うまでもない。さらに、永久磁石電動機だけでなく誘導電動機に適用可能することも可能である。これらに適用した場合でも、同等効果を有することは言うまでもない。
【0070】
以上のように構成することによって、仕様の異なる電動機であっても起動に必要な電圧量をインバータ装置自身で設定することが可能となり、電動機ごとに駆動装置を選定したり、新たに開発する必要がなくなる。また、制御アルゴリズムの統一化による標準化や電動機を搭載する製品(たとえば圧縮機の場合は、高圧側と低圧側との差圧、冷媒温度、起動トルク範囲条件など)を変更するたびに設計する必要のあった電動機ごとの仕様値(たとえば、トルク範囲、イナーシャ、負荷側の粘性係数、周囲温度条件など)の設計期間の短縮化を図ることが可能となる。
【0071】
したがって、本実施の形態の駆動装置を用いれば、如何なる負荷状態においても、起動可能な起動時の必要電圧量を設定することが可能となるので、仕様の異なる電動機であっても、問題なく起動できる。さらには、外乱による影響をなくすように構成することも可能であり、外乱の影響を受けない安定した起動のできる電動機駆動装置が得られる。
【0072】
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2を示す回路ブロック図である。図9において、図1〜図8と同等部分は、同一符号を付して説明を省略する。図9において、周波数設定手段である周波数設定器12は、電圧生成器6からの動作指令(信号)により動作を開始し、ローパスフィルタ5を通った電流座標変換器4の電流値Iγ、Iδも入力され、この電流値Iγ、Iδに応じて、外部より入力されるインバータ周波数指令にΔfを加算した周波数finvを設定する。したがって、ゲイン10には加算周波数量Δfが加わった周波数指令finvが入力される。
【0073】
電圧設定手段である電圧生成器6は、実施の形態1で説明した通り、実施の形態2でも同様に、電動機1に流れる電流ベクトルI1の位相が印加する電圧ベクトルV1の位相より遅れるまで、印加電圧量を上昇させる。また、この電圧生成器6は、本実施の形態では、電圧の上昇が停止したことを周波数設定器12へ伝達(信号を送信)する動作も行う。この信号の伝達経路を図9では、点線矢印で示している。
【0074】
図9に示した周波数設定器12は、電圧生成器6にて電圧の上昇が停止した場合に、インバータ出力部2が強制的に印加している回転磁界の周波数を変化させるよう、インバータ出力部2の周波数を変更するように作用する。電圧生成器6で電圧の上昇が停止するまでは、周波数設定器12の出力は0であるため、インバータ出力部2より出力される周波数は、外部より指示される周波数指令は、finvと一致する。(図9においても図1における周波数と同一である。)
【0075】
ここで、本実施の形態では、インバータ出力部2、電流検出器3、電流座標変換器4、ローパスフィルタ5、電圧生成器6、電圧座標変換器7、ゲイン10、積分器11、周波数設定器12によって駆動装置(インバータ装置)51が構成されており、この駆動装置51により、永久磁石電動機1を所定の周波数で駆動する。
【0076】
本実施の形態では、印加する電圧の上昇が停止した後の動作が、実施の形態1と異なっている。これを図10のフローチャートを用いて説明する。図10は本実施の形態を表す駆動装置の制御フローチャート図である。図10において、ステップS−1〜S−4までは図6と同等であり、説明を省略する。図10では、ステップS−4で印加電圧の上昇が停止され、印加電圧が一定になると、今度は、ステップS−11の周波数設定ステップにてインバータ出力部2より出力している周波数を上昇させる。
【0077】
ここで、強制的な回転磁界に電動機1の回転子が追従している状態、この状態を強制通電と呼ぶが、この強制通電の状況下において、インバータ装置51より出力している周波数を増加することは、強制通電状態で電動機1が回転している状態の場合には、加速することを意味する。
【0078】
強制通電状態は、あくまで、回転子がインバータ装置51の出力している回転磁界に追従して回転しているだけであるので、ある周波数を超えると追従できなくなり、軸ロック状態になり停止する。そこで、印加する電圧量を設定する場合は、電流位相が電圧位相より遅れる瞬間まで電圧量を上昇させるが、周波数に関しては、電流位相が電圧位相より進むまで周波数を増加させ続ける。(S−11、S−12、S−13)
【0079】
すなわち、S−11の周波数設定ステップにて周波数を増加させ、S−12の電流位相進み判断ステップにて電流位相が電圧位相に対して進み状態となるかを判断し、S−12にて電流位相進み判断ステップにて電流位相が電圧位相に対して進み状態であると判断された場合には、S−13の周波数一定化ステップにて周波数の増加を停止して周波数を一定にする。
【0080】
電動機1が回転し始めると、回転子の磁石磁束の影響から、電動機1の固定子側に誘導電圧(逆起電圧とも呼ぶ)が発生する。この誘導電圧の発生により、電流位相が電圧位相に対し変化する。この電流位相の変化を図11に示す。
【0081】
図11は本実施の形態を表すインバータ周波数と電流スカラー量、位相の関係を説明するための図である。図において、横軸はインバータ周波数であり、縦軸は電流スカラー量、および電圧ベクトルに対する電流ベクトルの位相を表している。周波数設定器12によって、インバータ出力部2から出力されるインバータ周波数(図9に記載のω*)を徐々に上昇させると、電流ベクトルI1は周波数の上昇と共に位相が遅れ、電圧ベクトルに対し位相が45°遅れに漸近する。45°遅れ付近になると、電流のスカラー量が低下し始め、電流スカラー量が最小値付近に漸近すると、電流位相が急激に進み始め、電圧ベクトルを追い越し、進み位相状態となる。
【0082】
さらに加速を続けた場合、インバータ周波数にモータの回転が追従できず、また電流のスカラー量が増加し、位相が遅れはじめ、位相角が遅れ方向の電流ベクトルとなって、回転が確保できなくなる。
【0083】
この現象の概念図が図11である。ここで、図に示す回転確保領域とは、強制通電による回転が開始される時点から、強制通電による回転磁界に追従できなくなる直前の状態までの範囲を表している。そこで、図11に示すような電流位相の急激な進み方向への変化を検出し、その状態で加速を終了するようにすれば、回転確保領域中において印加される負荷トルク量に関わらず、加速の限界周波数が検出できるので、加速の限界周波数を自動設定できる。
【0084】
したがって、本実施の形態では、電圧設定手段6にて設定された電圧にて、電圧座標変換手段7に入力される電圧ベクトルの位相よりも、電流座標変換手段4から出力される電流ベクトルの位相が進むまで周波数を上昇させて加速する周波数設定手段12を備えたので、インバータ51(電圧設定手段である電圧生成器6)にて自動設定された電圧にて起動し、加速限界まで加速させるため、如何なる負荷条件であっても電動機を確実に起動させることが可能となる。さらに、如何なる仕様の電動機であっても、同一の起動方式を構成できるので、インバータを構成するプログラムの標準化が実現でき、プログラムの信頼性向上、起動性能の信頼性向上に繋がる。
【0085】
ここで、電流ベクトルの急激な位相進みを検出するには、実施の形態1で説明したように、出力する電圧ベクトルをγ軸もしくはδ軸軸方向と同一方向とすることにより、電流ベクトルの正負の極性検出という安価な方法で実現できる。電流ベクトルの正負の極性を検出すれば、電流ベクトルの急激な位相進みを検出することができる。
【0086】
また、電流ベクトルにリップルが重畳すると、電流ベクトルが円方向に前後するため、位相の進みか遅れかの判定が難しい。すなわち、電圧ベクトルの位相は変化しないが、電流ベクトルは、周波数に応じてその絶対値が変化しながら位相も変化するのでそこで、位相の進みか遅れかの判定が難しい。インバータ装置51にて出力している強制的な回転磁界の1周期の平均が位相進みとなった場合に、周波数の増加を終了するように構成すると、電流にリップルが重畳されていても、1周期の平均値をとれば、1個の値が得られるので、電流リップルが重畳していても円滑に位相の進み遅れの状況を検出可能である。
【0087】
以上のように、本実施の形態で説明した起動方法を構成することによって、如何なる負荷条件であっても電動機を確実に起動させ、さらに加速させることが可能となる。さらに、如何なる仕様の電動機であっても、同一の起動方式を構成できるので、インバータ装置を構成するプログラムの標準化が実現でき、開発期間の短縮、プログラムの信頼性向上、起動性能の信頼性向上に繋がる。
【0088】
また、電圧設定手段6にて設定された電圧にて、電圧ベクトルの出力されていない方の座標軸上の電流成分の1周期分の平均値の極性により電流ベクトルの位相が電圧ベクトルの位相よりも進んでいるかを判断することによって、電圧ベクトルの位相よりも、電流ベクトルの位相が進むまで永久磁石電動機に印加する周波数を上昇させて加速する周波数設定手段12を備えたので、急激な位相進みの検出を出力する電圧ベクトルをγ軸もしくはδ軸軸方向と同一方向とすることにより、電流ベクトルの正負の極性検出という安価な方法で実現できる。さらに、1周期の平均を取ることにより、電流にリップルが重畳されていても円滑に位相の進み遅れの状況を検出が実現できる更なる効果を有する。また、1周期の平均を取ることにより、位相の円滑な検出が実現できる。
【0089】
また、インバータ周波数を上昇する時点での印加電圧量は、実施の形態1で説明した方法を用いたが、なにも実施の形態1で説明した方法でなくともよく、予め設定された電圧量を印加して、その電圧印加量を一定にして周波数を上昇させて加速しても、加速における作用は同様の効果を有することは言うまでもない。すなわち、いかなる仕様の電動機であっても、同一の加速方式が構成できるので、インバータ装置を構成するプログラムの標準化が実現でき、開発期間の短縮、プログラムの信頼性向上、起動性能の信頼性向上に繋がる。
【0090】
この場合、電圧印加量は、電圧が予め与えられた量であるため、起動トルクや電動機仕様の変動に対し裕度は小さくなるが、上述の方法よりもシーケンスが短くなるので、短時間起動が実現できる。
【0091】
また、本実施の形態では、永久磁石電動機1に電圧を印加して所定の周波数にて駆動する駆動装置51において、永久磁石電動機1に印加される周波数を積分して生成される位相角度の0度の方向をγ軸、このγ軸より回転方向に90度進んだ方向をδ軸、とするとき、永久磁石電動機に流れる電流をUVW座標系からγ軸およびδ軸より構成されるγδ座表系に変換する電流座標変換手段4と、電流座標変換手段の出力に応じて、γδ座標軸上で一定の所定電圧の状態で、座標変換手段に入力される電圧ベクトルの位相よりも、電流座標変換手段4から出力された電流ベクトルの位相が進むまで永久磁石電動機1に印加する周波数を上昇させて加速する周波数設定手段12と、を備えたので、座標変換手段4、7を用いることによって、電気角度1周期が経過するまでもなく、瞬時電流および瞬時電圧より回転動作を継続可能な加速周波数までの加速を瞬時に決定できる更なる効果を有する。
【0092】
また、上記は正弦波駆動方式を前提に説明したが、何も正弦波駆動だけに限定されるものではなく、矩形波駆動方式に適用することが出来ることは言うまでもない。矩形波駆動方式に適用した場合でも、同等効果を有することは言うまでもない。
【0093】
実施の形態3.
図12は、本発明の実施の形態3を示す回路ブロック図である。図において、図1〜図11と同等部分は、同一の符号を付して、説明を略する。
【0094】
図12においては、図9にくらべて起動判定部21が付加されている点が異なる。起動判定部21は、実施の形態2で説明した周波数の増加終了後に、強制通電状態で電動機1の回転子が回転しているか否かを判別する機能を有するものである。
【0095】
電動機1が回転しているか否かの判別は、起動判定部21にてローパスフィルタ5を通った電流座標変換器4により座標変換された電流Iγ、Iδ、および周波数設定器12よりの動作指令(信号)をもとにして次のように行う。実施の形態2で述べたように、電動機1の起動は、徐々に印加する電圧量を上昇させ、電圧印加量の設定が完了後に、周波数を増加させて加速し、加速終了した状態で電動機1を強制通電している状態にて行う。
【0096】
周波数の加速終了は、電流ベクトルの位相が電圧ベクトルの位相より進み位相になった時点で終了され、起動判定部21へ加速が終了したことが伝達(信号が送付)される。この信号が図12中では点線矢印で示されている。この時点での電圧、周波数の値で強制通電を行なった場合、電動機1の回転子が回転しているのであれば、電流の位相は進み状態を維持する。しかしながら、加速終了後の状態で、強制通電を行なっている場合に、電動機1の回転子が回転しないしていない際は、電流の位相が遅れ位相に戻る。
【0097】
従って、加速終了後の通電安定状態で、電流ベクトルの位相を検出すれば、回転しているか否かが判定できる。図13は、δ軸方向に電圧を印加した場合の回転角度、インバータ周波数、電流の波形を表した図である。図において、横軸は時間を表し、縦軸は回転角度、インバータ周波数、電流を表している。図において、δ軸上に電圧を印加しているので、電流位相が進みになる状態は、γ軸電流が負の極性となることを意味している。
【0098】
ここで、本実施の形態では、インバータ出力部2、電流検出器3、電流座標変換器4、ローパスフィルタ5、電圧生成器6、電圧座標変換器7、ゲイン10、積分器11、周波数設定器12、起動判定部21によって駆動装置(インバータ装置)52が構成されており、この駆動装置52により、永久磁石電動機1を所定の周波数で駆動する。
【0099】
図13は、加速終了後に、電動機1の回転子が回転していた場合の各波形であり、各波形は、上から、回転子の角度(位置センサとしてのエンコーダの信号)、インバータ周波数(強制的な回転磁界の周波数)、γ軸電流、電動機電流を表している。インバータ周波数の上昇の停止後(加速完了後)も、回転子角度を表す波形が変化し続けているため、電動機1は回転し続けていることが読み取れる。また、インバータ周波数の波形より加速完了した時点から周波数が一定になっており、この時点(周波数が一定値になった状態)で加速が完了したことを、図より読み取ることができる。この場合のγ軸電流は、ゼロ点よりも低い値のまま持続されているので、負の極性であることが分かる。
【0100】
図14はδ軸方向に電圧を印加した場合の回転角度、インバータ周波数、電流の波形を表した図である。図において、横軸は時間を表し、縦軸は回転角度、インバータ周波数、電流を表している。図14で表した各波形は、加速終了後に、電動機1の回転子が回転しなかった場合の波形を示す。インバータ周波数の上昇の停止後(加速完了後)に、回転子角度の波形が変化せずほぼ一定となっているため、電動機1は加速終了後に停止している(回転していない)ことが読み取れる。また、インバータ周波数の波形より周波数が一定になっており、図13と同様に加速完了であることも読み取ることができる。この場合のγ軸電流は、加速が完了した後に一度ゼロ点よりも低い値(負の極性)となって、その後、正の極性に戻っていることがわかる。
【0101】
図13、図14とも電動機1には電流(電動機電流)が流れているので、電流のみを検出しての直接の観測では、回転しているか否かの判定は難しいが、強制通電でのインバータ上に座標変換(γδ座標変換)したのちの電流からであれば、回転状態か否かの判定は、電圧ベクトルV1と電流ベクトルI1の位相差(図においてはγ軸電流の極性)から判定できる。
【0102】
以上説明したような電圧設定方法により起動時の印加電圧を設定し、周波数設定方法により加速完了の周波数をインバータ装置自身で自動設定することによって、強制通電にて電動機が追従して回転しているか否かの判定が容易に出き、起動の信頼性が大幅に向上する。
【0103】
したがって、本実施の形態では、周波数の上昇終了後に、永久磁石電動機1の電流を検出し、検出した電流ベクトルの位相が電圧ベクトルの位相よりも進んでいる場合は起動成功と判断し、検出した電流ベクトルの位相が電圧ベクトルの位相よりも遅れている場合は起動失敗と判断する起動判定部21を備えたので、強制通電にて電動機1が追従して回転しているか否かの判定が容易に出来、起動の信頼性向上に繋がる。さらには、瞬時電流により起動の判定が出来るので、起動時間の短縮化が図れる更なる効果を有する。
【0104】
また、本実施の形態では、起動時の負荷条件に応じた起動時の印加電圧及び加速完了周波数にインバータ装置52が自動で設定するので、如何なる負荷にも対応可能となり、起動時の負荷範囲の拡大に寄与する。また、電動機仕様に応じて設定していた起動時の印加電圧や周波数も自動的にインバータ装置自身で設定するので、仕様の異なる電動機であってもインバータ装置の標準化が実現でき、標準化によるコスト低減にも寄与できる。更には、瞬時電流により起動の判定が出来るので、起動時間の短縮化が図れる。
【0105】
また、上記に説明したように本実施の形態では、徐々に印加する電圧量を上昇させ、電圧印加量の設定が完了後に、周波数を増加させて加速し、加速終了した状態で電動機1の起動状態を判断する構成を取っているが、なにも印加電圧量の設定をインバータ装置自身に適値に設定する方法を取らなくとも、電流の位相が電圧の位相より遅れる所定の印加電圧量を与える構成としても、上記と同等効果を有することは言うまでもない。
【0106】
この場合、電圧印加量は、起動トルクや電動機仕様の変動に対し裕度は小さくなるが、上述の方法よりもシーケンスが短くなるので、短時間起動が実現できる。
【0107】
またさらに、上記にて説明した例では、正弦波駆動方式を前提に説明したが、何も正弦波駆動だけではなく、矩形波駆動に適用することが出来ることは言うまでもない。矩形波駆動に適用した場合でも、同等効果を有することは言うまでもない。
【0108】
以上のように、本実施の形態では、電圧設定手段6にて設定された設定電圧にて、電流の位相が電圧の位相より進むまで周波数を上昇させる周波数設定手段を備え、周波数設定手段により周波数を上昇させることによって加速して永久磁石電動機1を起動させるようにしたので、如何なる負荷条件であっても電動機を確実に加速させることが可能となる。さらに、如何なる仕様の電動機であっても、同一の起動方式を構成できるので、インバータを構成するプログラムの標準化が実現でき、プログラムの信頼性向上、起動性能の信頼性向上に繋がる。
【0109】
また、電圧設定手段6により設定された設定電圧にて、電動機電流の位相が、印加する電圧の位相より進むまで周波数を所定の周波数から徐々に上昇させて加速する周波数設定手段と、周波数設定手段による周波数の加速終了後に電流の位相が電圧の位相より遅れている場合に、再度電圧設定手段6により電圧設定を行い再起動させる再起動手段と、を備えたので、強制通電にて電動機が追従して回転しているか否かの判定が容易に出来、起動の信頼性向上に繋がる。また、強制通電にて回転が確保されなかった場合にも、再起動が可能となり、起動の信頼性が向上する。また、非常に低速の回転数にて起動状態を判別できるので、再起動の回数を増加でき、起動の信頼性を更に向上させることが出来る。
【0110】
また、電圧設定手段6により設定された設定電圧にて、電動機電流の位相が、印加する電圧の位相より進むまで周波数を所定の周波数から徐々に上昇させて加速する周波数設定手段と、周波数設定手段による周波数の加速終了後に電流の位相が電圧の位相より進み続けている場合に、永久磁石電動機の回転子位置に応じた駆動に切替えるようしたので、如何なる負荷条件であっても電動機を確実に起動させ、さらに加速させることが可能となり、起動時の負荷範囲の拡大に寄与する。さらに、強制通電にて電動機が追従して回転しているか否かの判定が容易に出来、起動の信頼性向上に繋がる。
【0111】
実施の形態4.
図15は、本発明の実施の形態4を示す回路ブロック図である。図において、図1〜図14と同等部分は、同一の符号を付して、説明を略する。図15は、電圧生成器6や周波数設定器12などの起動に関わる定数設定を行い、電動機1の起動制御する起動制御部22、電動機1が起動したか否かの判定を行う起動判定部21を有している。起動判定部21は、電流座標変換器4よりの座標変換された電流Iγ、Iδに基づいて電動機1が起動したか否かの判定を行う。また、起動制御部22は、実施の形態1ないし実施の形態3にて説明したような起動方法を行い、起動制御を行う。たとえば、電流座標変換器4よりの座標変換された電流Iγ、Iδ、および周波数指令finvより得られた角周波数ω*、および起動判定部21より得られる起動情報(信号)に基づいて電圧生成器6や周波数設定器12などの起動に関わる定数設定を行い、起動制御する。
【0112】
ここで、図15においては、周波数指令としてω*を与えている。この周波数指令ω*は、実施の形態1〜3では、周波数指令をHz(ヘルツ)で与え、Hzにて周波数設定器12により加速指示を行い、Hzをrad/s(ラジアン/秒)に単位変換するために2πを乗算している。しかし、本実施の形態では、周波数指令ω*は、rad/sにて与えるように構成している点が異なるが、図1〜図14と同等部分の構成、動作、作用、効果などは、図1〜図14と何ら変わるものではない。
【0113】
また、本実施の形態では、定常制御部23も有しており、この定常制御部23は、電流座標変換器4よりの座標変換された電流Iγ、Iδ、および周波数指令finvより得られた角周波数ω*などに基づいて、定常運転時に通常の回転子位置に応じた駆動(センサレス駆動やセンサ付き駆動のどちらの場合であってもよい。)にて電動機1を駆動する。また、起動判定部21よりの起動したか否かの判定情報に基づく切り替え指示(信号)に基づいて、起動制御から定常運転制御へ運転制御を切替える切替え部24も備えている。
【0114】
ここで、切替え部24には、起動制御部22にて演算された電圧情報(Vγδ)、座標変換に使用する位相角度(θm)、および定常制御部23にて演算された電圧情報(Vγδ)、座標変換に使用する位相角度(θm)が入力される。これらの2つ制御部22、23の電圧情報と位相情報のうち、一方の制御部の電圧情報と位相情報だけが切替え部24より出力され、インバータ出力部2から電動機1へ出力される。また、起動状態の場合は、起動制御部22の電圧情報と位相情報が切替え部24より出力され、インバータ出力部2から電動機1へ出力される。
【0115】
起動判定部21より起動完了の指示が切替え部24へ入力されると、切替え部24は、起動制御部22の電圧情報と位相情報の出力から定常制御部23の電圧情報と位相情報の出力へと切替える。この起動判定部21からの切替え指示の信号の流れを図中では点線矢印で示している。この切替え部24よりの電圧情報と位相情報の出力の切替えによって、電動機1の運転状態が切替えられ、停止などすることがなく、円滑な起動の切替えが行われる。
【0116】
ここで、本実施の形態では、インバータ出力部2、電流検出器3、電流座標変換器4、ローパスフィルタ5、電圧生成器6、電圧座標変換器7、ゲイン10、積分器11、周波数設定器12、起動判定部21、起動制御部22、定常制御部23、切替え部24によって駆動装置(インバータ装置)53が構成されており、この駆動装置53により、永久磁石電動機1を所定の周波数で駆動する。
【0117】
本実施の形態では、検出された電流もしくは電動機1へ印加する電圧の何れか少なくとも一方より演算されたγδ座標系上の電圧と、γδ座標系上の電圧により演算された位相角度と、により定常運転を指示する定常制御部23に切替える切替え部24を備え、起動判定部21が起動成功と判断した場合には、定常制御部23よりの指示による定常運転に切替えるようにしたので、強制通電にて回転が確保されている場合、起動から定常運転への円滑な切替えが実現できる更なる効果を有する。
【0118】
また、起動判定部21が起動成功と判断した場合に、座標変換手段4、7に使用している位相角度を電動機の回転子の位置を検出して得られた位相角度に切替えるようにしたので、回転子位置に応じた駆動方法、もしくは位置センサレス駆動での円滑な起動を実現できる。
【0119】
ここで、起動判定部21にて起動していないと判定された場合、再度、電圧設定から再起動を行うように制御される。再起動の指令は、起動判定部21から起動制御部22へ図15の点線矢印で示している。この動作の制御フローチャートを図16に示す。図16は本発明の実施の形態1を表す駆動装置の制御フローチャート図である。図16において、電圧設定を行うステップS−1からステップS−4の動作は、実施の形態1にて説明したのと同等の動作のため説明は省略する。また、周波数設定を行なうステップS−11〜ステップS−13の動作は、実施の形態2で説明したのと同等の動作のため説明は省略する。
【0120】
図において、S−21は電流位相が進み位相の状態を維持しているかどうかを判定する進み位相維持判定ステップ、S−22は進み位相維持判定ステップS−21にて進み位相を維持していると判定された場合に定常運転制御に切り替える定常運転切替ステップ、S−23は、ステップS−21にて遅れ位相を検出した場合に、再起動の指令を起動判定部21より出力させるための指示を出す再起動指令ステップである。
【0121】
ステップS−21で加速完了後の電流ベクトルの位相を確認し、電流位相が電圧位相より進み状態を維持し続けていれば、強制通電での回転が確保され、電動機は回転磁界の追従して動作しているので、ステップS−22にて定常制御部22へ切替えて、定常運転でのセンサレス駆動状態へ切替えて起動は完了する。
【0122】
しかしながら、S−21で加速完了後の電流ベクトルの位相を確認し、電流位相が電圧位相より遅れ状態であった場合、強制通電での回転ができず、電動機はロックして停止しているか、もしくは回転磁界の周波数よりも更に遅い周波数で円滑には動作していない不安定な状態となっている。
【0123】
そのため、ステップS−21にて遅れ位相を検出した場合、ステップS−23の再起動指令ステップにて、再起動の指令が起動判定部21より出力され、再度、ステップS−1よりやり直す。
【0124】
したがって、強制通電にて回転が確保されている場合は円滑に定常運転制御に切替えが実現でき、また強制通電にて回転が確保されなかった場合にも、再起動が可能となり、起動の信頼性が向上する。また、非常に低速の回転数にて起動状態を判別できるので、再起動の回数を増加でき、起動の信頼性を更に向上させることが出来る。
【0125】
また、ステップS−23にて再起動が行われる場合に、次回の再起動時には電圧設定量を、前回値より大きく与えるようにしてもよい。このように構成すると、起動しない状態の続く無限ループに陥りにくく、起動の信頼性を更に向上させることができる。
【0126】
以上のように、本実施の形態では、起動判定部21が起動失敗と判断した場合、再起動するように指示するので、強制通電にて回転が確保されなかった場合にも、再起動が可能となり、起動の信頼性が向上する。また、非常に低速の回転数にて起動状態を判別できるので、再起動の回数を増加でき、起動の信頼性を更に向上させることが出来る。
【0127】
また、起動判定部21が起動失敗と判断した場合に、再起動する際、起動失敗となった電圧値よりも大きな所定の電圧にて再起動させるようにしたので、再起動時の電圧設定量が、前回値より大きく与えられるように構成することによって、無限ループに陥りにくく、起動の信頼性を更に向上させることが可能である更なる効果を有する。
【0128】
また、図15における定常制御部23は、センサレス駆動の場合についてであったが、電動機1に位置センサを付加してセンサ駆動としても、同様の起動方法を適用できる。位置センサは、最初のパルスが入力されるまでは位置が不明であるため、本発明の電圧設定方法を適用すれば起動の信頼性が向上する同様の効果を有することは言うまでもない。さらに、電動機1に位置センサを付加してセンサ駆動の場合に本発明の起動方法を適用しても、定常制御部23においては位置センサ駆動によるセンサ駆動とすればよく、仕様の異なる電動機1であっても確実に起動でき、起動信頼性が向上できるなどの同等効果を有することは言うまでもない。
【0129】
また、冷凍サイクルを構成する圧縮機に搭載された電動機を駆動する場合、ある程度回転数が上昇した状態では、冷媒が循環し始め、起動時の負荷量が増大し、起動しにくい状態となる。そのため、従来は再起動待ちという圧縮機特有のシーケンスを用意する必要があり、このシーケンスにより3分から5分程度圧縮機を動作させず、負荷量が安定するまで再起動待ちを続けるようにしている。
【0130】
しかしながら、本実施の形態のように起動判定を行う制御の場合には、冷凍サイクルを構成する圧縮機に搭載される電動機を駆動する場合でも、再起動と判定する周波数が非常に低くできるため、冷媒が循環せず、起動トルクが高くならない状態で再起動が可能である。そのため、再起動待ちのシーケンスが不要、もしくは3〜5分よりも短い時間の再起動待ち時間となり、再起動のリトライ数を増加させることが出来る。これにより、起動の信頼性を更に向上させることが出来る。
【0131】
さらに、電動機1の仕様である電動機定数を同定する技術である電動機同定技術(自動チューニングと称す)に対しても、本実施の形態では、電動機の仕様が未知の場合に回転させなければ同定が困難な逆起電圧定数が、電動機1を起動させて回転状態を確保することで可能となるため、逆起電圧定数の同定が可能となる。したがって、本実施の形態の起動方法は、自動チューニング(自身で電動機定数などを同定する起動方法、駆動装置)に適した起動方法、駆動装置であるといえる。
【0132】
ここで、本発明の起動方法と自動チューニング技術とを融合させた場合において、必要な情報は、インバータ装置に接続される電動機1の過電流保護レベルと電動機の極数だけであり、本発明においてはこの2つの情報だけ入手できればインバータ装置に電動機1を接続しただけで、永久磁石電動機1を任意の回転数に正弦波にてセンサレス駆動することが可能となる。
【0133】
ここで、極数が未知である場合は、機械的な回転数は任意の値とはならないが、この場合には電気周波数(換言すると、インバータ周波数)を任意の周波数として、永久磁石電動機1を正弦波センサレス駆動することが可能であるため、過電流レベル情報のみ入手して設定できれば、極数が未知である場合でも任意のインバータ周波数にて電動機1を駆動することが可能となる。
【0134】
以上のように、本実施の形態では、駆動装置53にて永久磁石電動機1の電動機定数を同定するようにしたので、電動機1が回転しなければ同定が困難な逆起電圧定数が、電動機の仕様が未知でも、起動し回転状態を確保することが可能となるため、逆起電圧定数の同定が可能となる更なる効果を有する。従って、必要な情報がインバータ装置に接続される電動機1の過電流保護レベルと電動機の極数だけで、永久磁石電動機1を任意の回転数に正弦波にてセンサレス駆動することが可能となる。またさらに、極数が未知である場合は、機械的な回転数は任意の値とはならないが、電気周波数、換言すると、インバータ周波数を任意の周波数として、永久磁石電動機1を正弦波センサレス駆動することが可能となり、過電流レベルの設定のみで任意のインバータ周波数に電動機を駆動することが可能となる。
【0135】
希土類磁石を用いた電動機の場合には、常温での減磁電流が非常に大きいため、常温環境に設置される電動機であれば、過電流レベルの設定も不要であり、また、常温での温度環境でないとしても、サーミスタなどの温度センサの付加により過電流レベルの設定も不要となるので、希土類磁石を用いた電動機の場合には、極数および過電流保護レベルの情報が入手できなくても、電動機1を起動でき、また、電動機定数も同定でき、自動チューニングが可能となる。
【0136】
また、永久磁石電動機1に希土類磁石を用いたので、希土類磁石を用いることによって、減磁の影響を考慮しなくて良くなり大雑把な制御が可能となるので、CPUでの分解能を減らすことで、安いCPUが適用出来るようになる。また、電流の検出精度も低いものを使用できるようになり、安価な電流検出器を適用できる。
【0137】
また、正弦波駆動方式を前提に記述しているが、何も正弦波駆動だけではなく、矩形波駆動に適用することが出来ることは言うまでもない。矩形波駆動に適用した場合でも、同等効果を有することは言うまでもない。
【0138】
【発明の効果】
本発明によれば、電動機定数を必要としない起動シーケンスであるため、異なる電動機仕様によっても同一シーケンスにて実行可能となり、ソフトウェアの標準化による低価格化、及びソフトウェアの信頼性の向上に寄与する。さらに、起動に関わる電圧設定作業が軽減できるため、設計負荷軽減による低価格化が実現できる。また、瞬時電流値を用いて起動電圧を設定可能となるため、起動に要する時間の短縮化することが可能となる。また、如何なる負荷状態においても、起動可能な起動時の必要電圧量を設定することが可能となり、起動可能な範囲の拡大、起動に対する信頼性の向上が望め、起動時の負荷範囲の拡大に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示す回路ブロック図である。
【図2】本発明の時間に対する位相角度の変化を表した波形図である。
【図3】本発明の実施の形態1を説明するためのγδ軸とdq軸との関係を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態1を説明する電圧と電流のベクトル図である。
【図5】本発明の実施の形態1を説明する電圧と電流のベクトル図である。
【図6】本発明の実施の形態1を表す駆動装置の制御フローチャート図である。
【図7】本発明の実施の形態1における電流の遅れ位相の検出方法について説明するためのベクトル図である。
【図8】本発明の実施の形態1を表す駆動装置の制御フローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2を説明する回路ブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2を駆動装置の制御フローチャート図である。
【図11】本発明の実施の形態2を表すインバータ周波数と電流スカラー量、位相の関係を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態3を説明する回路ブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態における3δ軸方向に電圧を印加した場合の電流、インバータ周波数、回転角度の波形を表した図である。
【図14】本発明の実施の形態3におけるδ軸方向に電圧を印加した場合の電流、インバータ周波数、回転角度の波形を表した図である。
【図15】本発明の実施の形態4を説明する回路ブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態4を表す駆動装置の制御フローチャート図である。
【符号の説明】
1 電動機、2 インバータ出力部、3 電流検出器、4 電流座標変換器、5 ローパスフィルタ、6 電圧生成器、7 電圧座標変換器、10 ゲイン、11 積分器、12 周波数設定器、21 起動判定部、22 起動制御部、23 定常制御部、24 切替え部、50、51、52、53 駆動装置(インバータ装置)。

Claims (22)

  1. 永久磁石電動機に電圧を印加して所定の周波数にて駆動する電動機の駆動装置において、前記永久磁石電動機に流れる電流の位相が前記印加する電圧の位相より遅れ位相となるように前記電圧を設定する電圧設定手段を備え、前記電圧設定手段により得られた電圧を印加することにより前記永久磁石電動機を起動するようにしたことを特徴とする電動機の駆動装置。
  2. 前記電圧設定手段は、前記永久磁石電動機に流れる電流の位相が前記印加する電圧の位相より遅れ位相となるまで電圧を変化させることによって、前記永久磁石電動機を起動させるのに必要な電圧量を設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電動機の駆動装置。
  3. 前記電圧設定手段にて設定された設定電圧にて、前記電流の位相が前記電圧の位相より進むまで周波数を上昇させる周波数設定手段を備え、前記周波数設定手段により周波数を上昇させることによって加速して前記永久磁石電動機を起動させるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の永久磁石電動機の駆動装置。
  4. 前記電圧設定手段により設定された設定電圧にて、前記電動機電流の位相が、前記印加する電圧の位相より進むまで周波数を所定の周波数から徐々に上昇させて加速する周波数設定手段と、前記周波数設定手段による周波数の加速終了後に前記電流の位相が前記電圧の位相より遅れている場合に、再度前記電圧設定手段により電圧設定を行い再起動させる再起動手段と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の永久磁石電動機の駆動装置。
  5. 前記電圧設定手段により設定された設定電圧にて、前記電動機電流の位相が、前記印加する電圧の位相より進むまで周波数を所定の周波数から徐々に上昇させて加速する周波数設定手段と、前記周波数設定手段による周波数の加速終了後に前記電流の位相が前記電圧の位相より進み続けている場合に、前記永久磁石電動機の回転子位置に応じた駆動に切替えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の永久磁石電動機の駆動装置。
  6. 永久磁石電動機に電圧を印加して所定の周波数にて駆動する駆動装置において、前記永久磁石電動機に印加される周波数を積分して生成される位相角度の0度の方向をγ軸、このγ軸より回転方向に90度進んだ方向をδ軸、とするとき、前記永久磁石電動機に流れる電流をUVW座標系から前記γ軸およびδ軸より構成されるγδ座標系に変換する電流座標変換手段と、前記電流座標変換手段よりの電流ベクトルの出力に基づいて、前記γδ座標軸上の電圧ベクトルの位相を一定の状態で、前記電流ベクトルが前記電圧ベクトルより遅れ位相となる時点まで前記電圧ベクトルの大きさを変化させて、前記永久磁石電動機が起動するのに必要な電圧量を設定する電圧設定手段と、前記電圧設定手段により設定されたγδ座標軸上の設定電圧を前記永久磁石電動機に印加する電圧に変換する電圧座標変換手段と、を備えたことを特徴とする電動機の駆動装置。
  7. 前記γδ座標系のγ軸上あるいはδ軸上のいずれかに前記電圧ベクトルを出力し、前記γ軸あるいは前記δ軸のうち、前記電圧ベクトルの出力されていない方の座標軸における電流の極性により前記電流ベクトルの位相が前記電圧ベクトルの位相より遅れていることを検出するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の電動機の駆動装置。
  8. 前記γδ座標系のγ軸上あるいはδ軸上のいずれかに前記電圧ベクトルを出力し、前記γ軸あるいは前記δ軸のうち、前記電圧ベクトルの出力されていない方の座標軸における電流の極性が変化するまで、前記電圧ベクトルの大きさを増加させて前記永久磁石電動機の起動に必要な電圧量を設定する電圧設定手段を備えたことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電動機の駆動装置。
  9. 前記電圧ベクトルの出力されていない方の座標軸における電流の極性が変化するときの電圧である極性変化電圧を第1の所定電圧、前記永久磁石電動機に減磁電流が流れるときの電圧である減磁電圧を第2の所定電圧とするとき、第1の所定電圧以上で、かつ前記第2の所定電圧よりも小さな電圧範囲内となるまで、前記電圧ベクトルの大きさを増加させて前記永久磁石電動機の起動に必要な電圧量を設定する電圧設定手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載の電動機の駆動装置。
  10. 前記電流座標変換手段の出力であるγ軸電流とδ軸電流の比率が、予め設定された所定値の範囲内となるまで、前記電圧ベクトルの大きさを増加させて前記永久磁石電動機の起動に必要な電圧量を設定する電圧設定手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電動機の駆動装置。
  11. 前記γδ座標系において、前記電流ベクトルの前記電圧ベクトルに対する位相遅れが2度以上20度以下の範囲内となるまで前記電圧ベクトルの大きさを増加させて前記永久磁石電動機の起動に必要な電圧量を設定する電圧設定手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電動機の駆動装置。
  12. 前記電圧設定手段にて設定された電圧にて、前記座標変換手段に入力される電圧ベクトルの位相よりも、前記電流座標変換手段から出力される電流ベクトルの位相が進むまで周波数を上昇させて加速する周波数設定手段を備えたことを特徴とする請求項6ないし請求項11のうちの少なくとも1項に記載の電動機の駆動装置。
  13. 前記電圧設定手段にて設定された電圧にて、前記電圧ベクトルの出力されていない方の座標軸上の電流成分の1周期分の平均値の極性により前記電流ベクトルの位相が前記電圧ベクトルの位相よりも進んでいるかを判断することによって、前記電圧ベクトルの位相よりも、前記電流ベクトルの位相が進むまで前記永久磁石電動機に印加する周波数を上昇させて加速する周波数設定手段を備えたことを特徴とする請求項7ないし請求項11のうちの少なくとも1項に記載の電動機の駆動装置。
  14. 永久磁石電動機に電圧を印加して所定の周波数にて駆動する駆動装置において、前記永久磁石電動機に印加される周波数を積分して生成される位相角度の0度の方向をγ軸、このγ軸より回転方向に90度進んだ方向をδ軸、とするとき、前記永久磁石電動機に流れる電流をUVW座標系から前記γ軸およびδ軸より構成されるγδ座表系に変換する電流座標変換手段と、前記電流座標変換手段の出力に応じて、前記γδ座標軸上で一定の所定電圧の状態で、前記座標変換手段に入力される電圧ベクトルの位相よりも、前記電流座標変換手段から出力された電流ベクトルの位相が進むまで前記永久磁石電動機に印加する周波数を上昇させて加速する周波数設定手段と、を備えたことを特徴とする電動機の駆動装置。
  15. 前記周波数の上昇終了後に、前記永久磁石電動機の電流を検出し、検出した電流ベクトルの位相が電圧ベクトルの位相よりも進んでいる場合は起動成功と判断し、検出した電流ベクトルの位相が電圧ベクトルの位相よりも遅れている場合は起動失敗と判断する起動判定部を備えたことを特徴とする請求項12ないし請求項14のうちの少なくとも1項に記載の電動機の駆動装置。
  16. 前記検出された電流、もしくは前記永久磁石電動機へ印加する電圧の何れか少なくとも一方より演算されたγδ座標系上の電圧と、前記検出された電流もしくは前記演算された電圧のうちの少なくとも一方により演算された位相角度と、により定常運転を制御する定常制御部に切替える切替え部を備え、前記起動判定部が起動成功と判断した場合には、前記定常制御部よりの指示による定常運転に切替えるようにしたことを特徴とする請求項15に記載の電動機の駆動装置。
  17. 前記起動判定部が起動成功と判断した場合に、前記検出された電流もしくは前記永久磁石電動機へ印加する電圧のうちの少なくとも一方より演算されたγδ座標系上の電圧と、前記永久磁石電動機の回転子の位置を検出して得られた位相角度と、に基づいて定常運転制御に切替える切替え部を備えたことを特徴とする請求項15に記載の電動機の駆動装置。
  18. 前記起動判定部が起動失敗と判断した場合、再起動するように指示することを特徴とする請求項15に記載の電動機の駆動装置。
  19. 前記起動判定部が起動失敗と判断した場合に、再起動する際、起動失敗となった電圧値よりも大きな所定の電圧にて再起動させるようにしたことを特徴とする請求項18に記載の電動機の駆動装置。
  20. 前記永久磁石電動機の電動機定数を同定するようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項19の少なくとも1項に記載の電動機の駆動装置。
  21. 前記永久磁石電動機は、希土類磁石を用いたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項20の少なくとも1項に記載の電動機の駆動装置。
  22. 冷凍サイクルを構成する圧縮機に搭載される電動機を駆動するようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項21のうち少なくとも1項に記載の電動機の駆動装置。
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