JP2011200068A - モータ制御装置およびファン装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】慣性モーメントの大きな永久磁石モータであっても、短時間で確実に始動可能なモータ制御装置を提供する。
【解決手段】始動制御部26は、始動時の直流励磁においてファンモータ1の巻線1vに流れる電流Ivの変化に応じてロータ1rの揺動方向を判定する。そして、その判定した揺動方向が強制転流の回転方向と一致する時にロータ1rが所定の加速パターンに従って加速を開始するように巻線に通電する強制転流を開始する。
【選択図】図1

Description

本発明は、センサレスで永久磁石モータの始動および駆動を行うモータ制御装置およびそのモータ制御装置を備えたファン装置に関する。
ロータに永久磁石を備えた永久磁石モータは、その効率の優秀性から家電機器、産業機器、車載機器、情報機器などに使用されている。家電機器においては、例えばエアコンディショナ(以下、エアコンと称す)や冷蔵庫の圧縮機駆動用モータやエアコンの熱交換器の送風ファンなどに広く採用されている。また、モータ制御装置は、永久磁石モータの効率および制御性を一層高めるため、ロータに設けられた永久磁石の磁束方向成分(d軸)とこれに直交するトルク方向成分(q軸)とに電流を分離して独立に制御する所謂ベクトル制御を採用するようになっている。
さらに、高い信頼性を確保するため、室外や圧縮機内部などの高温または高圧の環境下に永久磁石モータが配置される場合には、ホールセンサなどの位置センサを用いずにロータの回転位置を検出するセンサレス駆動が採用されている。モータ制御装置は、d軸電流、q軸電流およびd軸電圧を用いて、或いはd軸電流、q軸電流、d軸電圧およびq軸電圧を用いてロータ位置を推定している。
このセンサレス駆動では、回転に伴い発生する永久磁石モータの誘起電圧に基づいてロータ位置を推定しているので、誘起電圧が発生しない始動の際は、例えば特許文献1に記載されているように、まずd軸電流Idをゼロから増加させ、q軸電流Iqをゼロにして位置決めを行い、その後、強制転流を行う制御が一般的である。
特開2006−129663号公報
上記始動方法は、電流の大きさに応じて出力トルクを制御でき、永久磁石モータの始動においては有効である。しかし、エアコンの室外側熱交換器の送風ファンモータのように慣性モーメントの大きな永久磁石モータの始動においては、ロータの振れが収束してロータが所定の位置に停止するのに長時間を要するため、収束を待ってから所定の加速パターンに従って加速を開始(強制転流を開始)すると、始動時間が長くなるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、慣性モーメントの大きな永久磁石モータであっても、短時間で確実に始動可能なモータ制御装置およびそのモータ制御装置を備えたファン装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載のモータ制御装置は、
ロータに永久磁石を備えた永久磁石モータの巻線電流を検出する電流検出手段と、
この検出した巻線電流を前記永久磁石の磁束方向成分であるd軸電流およびその直交方向成分であるq軸電流に変換する座標変換手段と、
前記永久磁石モータの誘起電圧に基づいて前記ロータの回転位置を推定する位置推定手段と、
目標d軸電流と検出したd軸電流とから目標d軸電圧を演算するとともに目標q軸電流と検出したq軸電流とから目標q軸電圧を演算する電流制御手段と、
目標d軸電圧および目標q軸電圧に基づいて前記永久磁石モータの巻線に対する通電を制御する通電制御手段と、
前記永久磁石モータの始動時に前記永久磁石モータの巻線に通電して前記ロータの位置決めを行うとともに前記電流検出手段により検出される巻線電流の変化に基づいて前記ロータの揺動方向を判定し、その判定した揺動方向が前記ロータの位置決めに続いて行われる強制転流の回転方向と一致するときに、前記ロータが所定の加速パターンに従って加速を開始するように前記巻線に通電する強制転流を開始する始動制御手段とを備えていることを特徴とする。
また、請求項5記載のファン装置は、
ファンと、
ロータに永久磁石を備えた前記ファンを回転駆動する永久磁石モータと、
上記モータ制御装置とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、始動失敗が低減するとともに、位置決め時におけるロータの揺動の収束を待たずに強転転流に移行できるので始動時間を短縮できる。
本発明の第1の実施形態を示すモータ制御システムの電気的構成図 始動制御におけるd軸電流、q軸電流および巻線電流を示す図 始動制御における各巻線電流を示す図 強制転流への切り替え原理を示す説明図 直流励磁における巻線電流とファンの回転角度との関係を示す図 始動制御における強制転流への移行タイミングを示す図 本発明の第3の実施形態を示す図6相当図 本発明の第4の実施形態を示す図6相当図 本発明の第5の実施形態を示す図6相当図
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図6を参照しながら説明する。
図1は、ファンモータを駆動するモータ制御システムの電気的構成を示している。図1に示すファンモータ1は、永久磁石モータからなるものであり、例えばエアコンの室外側熱交換器に送風するためのファン2を駆動するものである。
ファンモータ1のステータ1sには、三相の巻線1u、1v、1wが巻装されており、ロータ1rには永久磁石1mが配設されている。モータ制御装置3は、インバータ4を介してファンモータ1をセンサレスベクトル制御により駆動する。このモータ制御装置3は、ワンチップの半導体集積回路装置(IC)として構成されている。具体的には、高速演算可能なプロセッサを備え、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリから制御プログラムを順次読み出して実行するマイクロコンピュータシステムとして構成してもよいし、プロセッサを搭載せずに各機能回路(アナログ回路、論理回路など)の集合体として構成してもよい。
インバータ4は、IGBTやFETなどのスイッチング素子を3相ブリッジ接続してなる電圧形3相インバータとして構成されている。インバータ4とファンモータ1との間には、U相、V相、W相の巻線電流Iu、Iv、Iwを検出するためのホールCTからなる電流検出器5u、5v、5w(電流検出手段に相当)が設けられている。3相分の電流検出器5u〜5wのうち1相分については省略可能である。なお、電流検出手段として、電流検出器5u、5v、5wに代えて、例えば、インバータ4を構成する下アーム側のスイッチング素子とグランドとの間にシャント抵抗を配置するとともに、それらの端子電圧に基づいて電流を検出する構成を設けてもよい。
続いて、モータ制御装置3の具体的な構成を説明する。
A/D変換器6は、電流Iu、Iv、Iwを所定の分解能でA/D変換し、3相/2相変換器7は、3相の電流Iu、Iv、Iwを等価的に2相の電流Iα、Iβに変換する。また、回転座標変換器8(座標変換手段に相当)は、後述するロータ1rの回転位置θ(ロータ位置θ)を用いて、固定座標上の電流Iα、Iβを回転座標(dq座標)上の電流Id、Iqに回転座標変換する。
位置推定部9(位置推定手段に相当)は、後述する電圧指令Vd(必要に応じてさらに電圧指令Vq)と検出した電流Id、Iqを入力し、ファンモータ1の誘起電圧Ed(必要に応じてさらに誘起電圧Eq)を求めることによりロータ1rの回転位置θと回転速度ωを推定演算する。不揮発性メモリ(図示せず)には、予めファンモータ1の定数であるステータ巻線のインダクタンスLd、Lqと抵抗Rが記憶されている。以下に、位置推定部9が実行する2つの異なる推定演算例を示す。
[第1の推定演算例]
位置推定部9は、永久磁石1mの作る磁束によってステータ巻線に生ずるd軸誘起電圧Edを次の(1)式により計算する。ここで、pは微分演算子である。
Ed=Vd−R・Id−Ld・pId+ω・Lq・Iq …(1)
求めたd軸誘起電圧Edを比例積分器に入力し、次の(2)式で計算される値を推定した回転速度ωとする。ここで、G1、G2はゲイン定数である。
ω=−G1・Ed−G2・∫Ed・dt …(2)
回転位置θは、上記回転速度ωを積分器で積分して次の(3)式のように求める。
θ=∫ω・dt …(3)
[第2の推定演算例]
位置推定部9は、永久磁石1mの作る磁束によってステータ巻線に生ずるd軸誘起電圧Ed、q軸誘起電圧Eqを次の(4)式、(5)式により計算する。
Ed=Vd−R・Id−Ld・pId+ω・Lq・Iq …(4)
Eq=Vq−ω・Ld・Id−R・Iq−Lq・pIq …(5)
求めたd軸誘起電圧Edとq軸誘起電圧Eqを比例積分器に入力し、次の(6)式で計算される値を推定した回転速度ωとする。回転位置θは、上述した(3)式と同様に求める。
ω=G1・Eq−G2・Ed …(6)
速度制御部10は、後述する同期制御において用いられるもので、減算器11とPID制御器12とから構成されている。減算器11は、回転速度指令ωrefから推定による回転速度ωを減算して速度偏差Δωを出力し、PID制御器12は、その速度偏差Δωを入力してPID演算しq軸電流指令Iqrefを出力する。
スイッチ13、14、15、16は、後述するようにファンモータ1の始動制御において切り替えられる。スイッチ13、14は、それぞれ電流制御部17に入力するd軸電流指令Idref、q軸電流指令Iqrefを選択するものである。また、スイッチ15、16は、それぞれ回転座標変換器22に入力するd軸電圧指令Vd、q軸電圧指令Vqを選択するものである。
電流制御部17(電流制御手段に相当)は、減算器18、19とPID制御器20、21とから構成されている。減算器18は、d軸電流指令Idrefからd軸電流Idを減算してd軸電流偏差ΔIdを出力し、PID制御器20は、d軸電流偏差ΔIdを入力してPID演算によりd軸電圧指令Vdを出力する。同様に、減算器19は、q軸電流指令Iqrefからq軸電流Iqを減算してq軸電流偏差ΔIqを出力し、PID制御器21は、q軸電流偏差ΔIqを入力してPID演算によりq軸電圧指令Vqを出力する。
回転座標変換器22は、推定したロータ1rの回転位置θを用いて、回転座標上の電圧指令Vd、Vqを固定座標上の電圧指令Vα、Vβに回転座標変換する。3相/2相変換器23は、2相の電圧指令Vα、Vβを等価的に3相の電圧指令Vu、Vv、Vwに変換する。PWM形成回路24は、電圧指令Vu、Vv、Vwに基づいて、インバータ4を構成する6個のスイッチング素子に対するPWM信号を出力する。なお、空間ベクトル法により、6つの基本ベクトルと2つのゼロベクトルとを選択して実効的に電圧指令Vα、Vβと等価な電圧指令Vu、Vv、Vwの組み合わせを決定してもよい。これら回転座標変換器22、3相/2相変換器23およびPWM形成回路24により通電制御手段25が構成されている。
始動制御部26(始動制御手段に相当)は、上記スイッチ13、14、15、16を順次切り替えながら、ファンモータ1の始動を行う。始動制御部26には、A/D変換器6から出力されるU相の電流Iu、V相の電流Iv、W相の電流Iwが与えられている。なお、本実施形態においては、ファンモータ1、ファン2およびモータ制御装置3によりファン装置27が構成されている。
次に、本実施形態の作用について図2〜図6も参照しながら説明する。
図2は、ファンモータ1の始動制御におけるd軸電流Id、q軸電流IqおよびU相の電流Iuを示している。図3は、ファンモータ1の始動制御におけるU相の電流Iu、V相の電流IvおよびW相の電流Iwを示している。なお、図2において、始動制御が開始される時点より前の期間は制動制御が行われている。始動制御部26は、初めに所定の巻線に直流通電する直流励磁によりロータ1rを所定の位置に位置決めし(時刻t0〜t1)、その後、ロータ1rが所定の加速パターンに従って加速するように巻線1u、1v、1wに通電する強制転流を行う(時刻t1〜t2)。
強制転流の後半は、始動制御から同期制御への切り替えのための準備期間である。始動制御部26は、回転速度ωが所定の切換速度に達した時刻t2において、位置推定部9が出力する回転位置θに基づく同期制御に切り替えるとともに、回転速度指令ωrefと位置推定部9が出力する回転速度ωとに基づく速度フィードバック制御を開始する。なお、上記した準備期間は省略してもよい。
以下、始動制御についてより詳細に説明する。
始動制御部26は、直流励磁の期間、スイッチ15を「指定値」側に切り替えてd軸電圧指令Vdをゼロでない一定値に設定するとともに、スイッチ16を「0」側に切り替えてq軸電圧指令Vqをゼロに設定する。このとき、回転座標変換器8、22に与える回転位置θは一定値(例えば0)とする。これにより、ロータ1rは回転位置θ0(例えばN極がd軸に正対する位置)に向かって回転する。しかし、ファンモータ1には慣性モーメントの大きなファン2が取り付けられているので、ロータ1rは回転位置θ0では停止せずに行き過ぎ(オーバーシュート)が生じ、回転位置θ0を中心として振動が発生する。
従来の直流励磁では、励磁電流成分であるd軸電流Idをゼロから指定値にまで一定割合で増加させ、トルク電流成分であるq軸電流Iqをゼロに設定していたので、振動に対する制動トルクが発生しにくかった。これに対し、本実施形態のようにd軸電圧指令Vdを一定値に設定し、q軸電圧指令Vqをゼロに設定すると、制動トルクを発生させる向きのq軸電流が流れて制動作用が生じるので、回転位置θ0への整定時間が短くなるという効果が得られる。
さらに、始動制御部26は、始動時間を短縮するため、回転位置θ0への整定を待たずに強制転流に移行する。図4は、強制転流への切り替え原理を示している。直流励磁による停止位置である回転位置θ0はd軸方向に一致しており、図中の永久磁石は、ロータ1rに配設された永久磁石1mを模式的に示している。(a)に示すように永久磁石の揺動方向が強制転流の回転方向と一致する時に強制転流に移行すると、良好に始動できる。逆に、(b)に示すように永久磁石の揺動方向が強制転流の回転方向と反対の時に強制転流に移行すると、始動に失敗するおそれがある。
そこで、始動制御部26は、電流Ivの変化に基づいてロータ1rの揺動方向を判定する。図5は、直流励磁における電流Ivとファン2の回転角度との関係を概略的に示している。なお、図5における電流Ivの波形は、図3に示した電流Ivの波形を模式的に示している。ファン2が回転すると誘起電圧が発生して巻線1u〜1wに電流が流れるので、巻線電流とファン2の回転角度との間には特定の位相関係がある。本実施形態では、巻線1uから巻線1vおよび巻線1wのそれぞれへと電流が流れる状態における電流Ivと回転角度との関係に着目してロータ1rの揺動方向を判定する。すなわち、ファン2が順方向に回転すると電流Ivは増加し、ファン2が逆方向に回転すると電流Ivは減少するという関係を利用してロータ1rの揺動方向を判定する。
従って、始動制御部26は、強制転流により順方向に始動する場合には、電流Ivの変化率が正(波形の傾きが上昇方向)から負(波形の傾きが下降方向)に変化した時に直流励磁から強制転流に切り替えることにより、ファン2の揺動方向が順方向に一致した状態で順方向への加速を開始することができる。同様に、逆方向に始動する場合には、電流Ivの変化率が負(波形の傾きが下降方向)から正(波形の傾きが上昇方向)に変化した時に直流励磁から強制転流に切り替えればよい。
始動制御部26は、次のようにして電流Ivの変化率(波形の傾き)を判断している。なお、以下では、強制転流により順方向に始動する場合について説明するが、逆方向に始動する場合についても同様の考え方に基づいて行うことができる。例えば、所定の時点nに取得された電流Ivのデジタル値をIv(n)とし、その時点nよりも1サンプリングずつ前の各時点n−1、n−2、n−3にそれぞれ取得された電流Ivのデジタル値をIv(n-1)、Iv(n-2)、Iv(n-3)とする。そして、始動制御部26は、所定の時点nにおいて、下記(7)式および(8)式の条件をいずれも満たす場合に電流Ivの変化率が正から負に変化したタイミングであると判定する。つまり、始動制御部26は、2サンプリング前の時点から現時点までの間に電流Ivが増加から減少に転じた場合に、それら時点の間に電流Ivのピークがあると判定する。
v(n)−Iv(n-1)<0 …(7)
v(n-1)−Iv(n-2)>0 …(8)
始動制御部26は、上記(7)、(8)式の条件に加えて下記(9)式の条件をも満たす場合に電流Ivの変化率が正から負に変化したタイミングであると判定してもよい。つまり、始動制御部26は、3サンプリング前の時点から現時点までの間に電流Ivが増加から減少に転じた場合に、それら時点の間に電流Ivのピークがあると判定する。
v(n-2)−Iv(n-3)>0 …(9)
なお、必要に応じて、4サンプリング前、5サンプリング前の時点の結果を適用してもよい。サンプリング数を多くすることで、ノイズの影響を抑えることができる。
始動制御部26は、上記した各方法により電流Ivのピークがあると判定した期間はハイレベルとなり、それ以外の期間はロウレベルとなる順方向判定信号を生成する。そして、始動制御部26は、順方向判定信号の最初の立ち上がりに同期して強制転流へと移行する。図6は、直流励磁における巻線電流Iv、順方向判定信号を示している。この図6に示すように、本実施形態によれば、直流励磁が開始されてからかなり早い段階において強制転流に移行することが可能となる。
ただし、例えば、直流励磁の開始時点におけるロータ1rの回転位置が位置決めの回転位置θ0と等しかった場合など、直流励磁においてロータ1rがほとんど揺動しない場合、上記手法では強制転流に移行することができない。そこで、始動制御部26は、下記(10)式の条件を満たす状態が所定時間継続した場合には、上記した手法による判断結果に関係なく、強制転流に移行するようにしている。すなわち、始動制御部26は、所定の時点nにおける電流Ivの値Iv(n)と、その1サンプリング前の時点n−1における電流Ivの値Iv(n-1)とが一致する状態が所定時間継続した場合にも強制転流に移行する。
v(n-1)=Iv(n) …(10)
始動制御部26は、強制転流に移行すると、スイッチ15、16をそれぞれPID制御器20、21側に切り替える。また、スイッチ13を「指定値」側に切り替えて、直流励磁の終了時点でのd軸電流Idをd軸電流指令Idrefとして設定し、スイッチ14を「指定値」側に切り替えてq軸電流指令Iqrefをゼロに設定する。そして、回転位置θを所定の加速パターンに従って増加させる。
強制転流後半の準備期間では、d軸電流指令Idrefを一定の割合でゼロにまで低減し、q軸電流指令Iqrefを準備期間直前のd軸電流Idの値にまで一定の割合で増加させる。始動制御部26は、d軸電流指令Idrefがゼロになり、q軸電流指令Iqrefが準備期間直前のd軸電流Idに達した時点で、スイッチ13、14をそれぞれ「0」側、PID制御器12側に切り替えて同期制御に移行する。
以上説明したように、本実施形態によれば、始動時の直流励磁においてロータ1rの揺動方向を判定し、その判定した揺動方向が強制転流の回転方向と一致する時に強制転流を開始するので、始動失敗が低減する。また、従来は始動失敗を防止するためにロータ1rの揺動が収束するまで直流励磁を維持する必要があったが、本実施形態では揺動の収束を待たずに強制転流に移行できるので、始動に要する時間を短縮できる。特に、エアコンの室外側熱交換器に送風するためのファン2は慣性モーメントが大きく、風による回転力も作用するので、上記始動時間の短縮効果は非常に大きくなる。
直流励磁の期間は、d軸電流Idではなくd軸電圧Vdを一定に制御するので、ロータ1rの振動に応じて制動トルクが発生し、所定の停止位置への整定時間が短くなる。
ファン2が回転すると誘起電圧が発生してファンモータ1の巻線1u〜1wに電流が流れる。このため、電流Iu、Iv、Iwとファン2(ロータ1r)の回転角度との間には特定の位相関係がある。そこで、始動制御部26は、直流励磁において電流Ivの変化に応じてロータ1rの揺動方向を判定するようにした。この判定に用いる電流Ivは、電流検出器5uの検出値をA/D変換器6を介してデジタル値に変換したものであり、その間に何ら演算は行われていない。このため、演算による種々の誤差などが生じることなく、ロータ1rの揺動方向を精度よく判定することができる。
(第2の実施形態)
以下、第1の実施形態に対し、順方向判定信号の生成方法を変更した本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態の始動制御部26は、(7)式〜(9)式を用いて電流Ivのピークを判定して順方向判定信号を生成する方法に代えて、以下のように電流Ivの変化率が正であることを判定して順方向判定信号を生成する。すなわち、始動制御部26は、下記(11)式の条件を満たす場合に電流Ivの変化率が正であると判定する。つまり、始動制御部26は、1サンプリング前の時点から現時点までの間に電流Ivが増加している場合に、その時点における電流Ivの変化率を正であると判定する。
v(n)−Iv(n-1)>0 …(11)
このとき、電流Ivがその指令値(電流Ivの電流指令値)よりも小さいと、正常に強制転流に移行できない可能性がある。このため、始動制御部26は、上記(11)式の条件に加えて下記(12)式の条件をも満たす場合に順方向判定信号を生成する。
v(n)>電流Ivの電流指令値 …(12)
このような本実施形態によれば、ファン2が順方向に回転している(ファン2の回転速度の方向が順方向である)段階で強制転流に移行することができるため、始動失敗の可能性を一層低減させつつ、効率よく強制転流に移行させることが可能となる。
(第3の実施形態)
以下、第1および第2の実施形態に対し、強制転流への移行タイミングの判断方法を変更した本発明の第3の実施形態について図7を参照しながら説明する。
図7は、第1の実施形態における図6相当図である。始動制御部26は、直流励磁の開始時点から所定時間Taだけ経過した後にハイレベルとなる一定時間経過信号を生成する。本実施形態では、所定時間Taは、直流励磁において電流Ivが一定値に収束するために必要とされる時間に設定している。
始動制御部26は、一定時間経過信号がハイレベルである期間における順方向判定信号の最初の立ち上がりに同期して強制転流へと移行する。このため、本実施形態によれば、直流励磁における電流Ivの変化のうち、ロータ1rの揺動に起因した変化以外の変化が収束してからロータ1rの揺動方向の判定を行うことになる。従って、ロータ1rの揺動方向の判定精度が向上し、始動が失敗する可能性をさらに低減することができる。すなわち、本実施形態によれば、さらに確実な始動制御を行うことが可能となる。
(第4の実施形態)
以下、第1および第2の実施形態に対し、強制転流への移行タイミングの判断方法を変更した本発明の第4の実施形態について図8を参照しながら説明する。
図8は、第1の実施形態における図6相当図である。始動制御部26は、電流Ivが一度所定のしきい値電流Ithを下回った後、電流Ivがしきい値電流Ith以上になる期間だけハイレベルとなる電流振幅判定信号を生成する。このしきい値電流Ithは、直流励磁において電流Ivが収束すべき電流値に設定されている。
始動制御部26は、電流振幅判定信号がハイレベルである期間における順方向判定信号の最初の立ち上がりに同期して強制転流へと移行する。このため、本実施形態によっても、第3の実施形態と同様、直流励磁における電流Ivの変化のうち、ロータ1rの揺動に起因した変化以外の変化が収束してからロータ1rの揺動方向の判定を行うことになる。従って、本実施形態によっても、第3の実施形態と同様の作用および効果が得られる。
(第5の実施形態)
以下、第1および第2の実施形態に対し、強制転流への移行タイミングの判断方法を変更した本発明の第5の実施形態について図9を参照しながら説明する。
図9は、第1の実施形態における図6相当図である。始動制御部26は、第3の実施形態と同様、直流励磁の開始時点から所定時間Taだけ経過した後にハイレベルとなる一定時間経過信号を生成する。また、始動制御部26は、第4の実施形態と同様、電流Ivがしきい値電流Ith以上である期間だけハイレベルとなる電流振幅判定信号を生成する。
始動制御部26は、一定時間経過信号および電流振幅判定信号がいずれもハイレベルである期間における順方向判定信号の最初の立ち上がりに同期して強制転流へと移行する。このため、本実施形態によれば、より確実に、直流励磁における電流Ivの変化のうち、ロータ1rの揺動に起因した変化以外の変化が収束してからロータ1rの揺動方向の判定を行うことになる。従って、本実施形態によれば、第3、第4の実施形態に対し、ロータ1rの揺動方向の判定精度がさらに向上し、より一層確実な始動制御を行うことが可能となる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
位置推定部9は、永久磁石モータであるファンモータ1の誘起電圧に基づいてロータ1rの回転位置を推定するものであれば、上述した(1)式〜(6)式に示した推定方式に限られない。
始動制御部26による巻線電流Ivの変化率の判断方法は、上記した(7)式〜(10)式を用いた方法に限られない。例えば、数サンプリングの期間に電流Ivが減少し続けた場合に電流Ivの変化率が負であると判定してもよいし、数サンプリングの期間に電流Ivが増加し続けた場合に電流Ivの変化率が正であると判定してもよい。
強制転流への移行タイミングは、上記各実施形態にて挙げたものに限らずともよく、判定したロータ1rの揺動方向が強制転流の回転方向と一致するときに強制転流に移行するものであればよい。
第3および第5の実施形態における所定時間Ta、第4および第5の実施形態におけるしきい値電流Ithは、必要とされる揺動方向の判定精度に応じて適宜変更すればよい。
始動制御部26は、A/D変換器6から出力される電流Iu、電流Iv、電流Iwのデジタル値のうち、いずれかを用いてロータ1rの揺動方向を判定すればよい。すなわち、巻線1uから巻線1vおよび巻線1wのそれぞれへと電流が流れる状態において、電流Iwを用いて揺動方向を判定してもよい。また、巻線1vから巻線1uおよび巻線1wのそれぞれへと電流が流れる状態において、電流Iuまたは電流Iwを用いて揺動方向を判定してもよい。また、巻線1wから巻線1uおよび巻線1vのそれぞれへと電流が流れる状態において、電流Iuまたは電流Ivを用いて揺動方向を判定してもよい。また、揺動方向を判定する電流を1相分の電流で検出する場合は、対象とするいずれか1相分の電流を始動制御部26に入力する構成としてもよい。
モータ制御装置3は、エアコンの室外側熱交換器に送風するためのファン2を駆動するものに限らず、永久磁石モータに対して広く適用できる。特に、慣性モーメントの大きなモータ、風力などの外力が作用するモータであって、始動時に直流励磁を行ってもロータが所定の位置に停止しにくいモータに好適である。モータ制御装置3は、例えば、シーリングファンなどにも適用することができる。
直流励磁における巻線電流の変化のうち、ファン2(ロータ1r)の揺動に起因した変化分のみを抽出して出力するフィルタ回路を設け、始動制御部26は、そのフィルタ回路の出力に基づいてロータ1rの揺動方向を判定するようにしてもよい。このようにすれば、揺動方向の判定に不要な成分を除去した上でその判定を行うことができるので、揺動方向の判定精度が一層向上する。なお、上記フィルタ回路は、例えば、巻線電流の検出値から巻線電流の指令値(ロータ1rの揺動が全くないときの電流値)を差し引くような構成とすればよい。
図面中、1はファンモータ(永久磁石モータ)、1u、1v、1wは巻線、1mは永久磁石、1rはロータ、2はファン、3はモータ制御装置、5u、5v、5wは電流検出器(電流検出手段)、8は回転座標変換器(座標変換手段)、9は位置推定部(位置推定手段)、17は電流制御部(電流制御手段)、25は通電制御手段、26は始動制御部(始動制御手段)、27はファン装置を示す。

Claims (5)

  1. ロータに永久磁石を備えた永久磁石モータの巻線電流を検出する電流検出手段と、
    この検出した巻線電流を前記永久磁石の磁束方向成分であるd軸電流およびその直交方向成分であるq軸電流に変換する座標変換手段と、
    前記永久磁石モータの誘起電圧に基づいて前記ロータの回転位置を推定する位置推定手段と、
    目標d軸電流と検出したd軸電流とから目標d軸電圧を演算するとともに目標q軸電流と検出したq軸電流とから目標q軸電圧を演算する電流制御手段と、
    目標d軸電圧および目標q軸電圧に基づいて前記永久磁石モータの巻線に対する通電を制御する通電制御手段と、
    前記永久磁石モータの始動時に前記永久磁石モータの巻線に通電して前記ロータの位置決めを行うとともに前記電流検出手段により検出される巻線電流の変化に基づいて前記ロータの揺動方向を判定し、その判定した揺動方向が前記ロータの位置決めに続いて行われる強制転流の回転方向と一致するときに、前記ロータが所定の加速パターンに従って加速を開始するように前記巻線に通電する強制転流を開始する始動制御手段とを備えていることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記始動制御手段は、
    前記ロータの位置決めの開始時点から所定時間だけ経過した後、前記ロータの揺動方向の判定を行い、
    その判定結果に基づいて前記強制転流を開始することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記始動制御手段は、
    前記電流検出手段により検出される巻線電流の電流値が所定値以上になった後、前記ロータの揺動方向の判定を行い、
    その判定結果に基づいて前記強制転流を開始することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  4. 前記始動制御手段は、
    前記ロータの位置決めの開始時点から所定時間だけ経過した後で、且つ、前記電流検出手段により検出される巻線電流の電流値が所定値以上になった後、前記ロータの揺動方向の判定を行い、
    その判定結果に基づいて前記強制転流を開始することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  5. ファンと、
    ロータに永久磁石を備えた前記ファンを回転駆動する永久磁石モータと、
    請求項1ないし4のいずれかに記載のモータ制御装置とを備えていることを特徴とするファン装置。
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