JP5999770B2 - 分割型メカニカルシール - Google Patents
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Description
また、「自然割」と呼ばれる割面を有するものも知られている(例えば、特許文献3及び4参照。以下、「従来技術2」という。)。
さらに、図7に示すように、分割型のメカニカルシールにおいて、 回転シールリング50の分割面51及び52の一方の面51に溝53が設けられ、他方の面52には溝53に対向して突条54が設けられたものが知られている(例えば、特許文献5参照。以下、「従来技術3」という。)。
さらに、従来技術3の分割面に凹凸を設けたものは、分割面の嵌合を容易にすることを主とするものであり、半径方向のシール性が向上されるといっても、従来技術2の「自然割」と呼ばれる割面を有するものとほぼ同程度のものと考えられる。
また、本発明は、第2に、分割型のメカニカルシールのクランプ機構を小型化すると共に、組付け時における分割部材の位置を安定して固定することができる分割型メカニカルシールを提供することを目的としている。
この特徴によれば、従来技術のようなリーマボルトを用いて密封環をクランプする装置に比べて大幅に小型化が可能である。また、クランプ部材の内周面は、静止密封環または回転密封環の外周面と同様に、両端から内方に向かうにつれ軸心方向に傾斜する2つのテーパ面からなる略V字状に形成されため、静止密封環または回転密封環の位置固定が安定され、例えば、静止密封環または回転密封環をラッピング後に再度組立てる場合でも、安定したシール面状態を保持することができる。
この特徴によれば、クランプ力を安定させることができる。
(1)静止密封環または回転密封環の分割面が、回転軸の軸線方向と直交する方向からみて、外周部から内周側に向かって一定方向に傾斜する外周側傾斜面と、内周部から外周側に向かって外周側傾斜面の傾斜する側と同じ側に傾斜する内周側傾斜面とから構成され、外周側傾斜面と内周側傾斜面とは外周部と内周部との間において交叉するように設定されていることにより、静止密封環または前記回転密封環が内周側から圧力を受けて径が大きくなるように歪み、分割面において径方向のズレが発生しても、外周側傾斜面において追随できるので、隙間が生じることはなく、シール性を向上することができる。
本発明は、摺動面の内周から外周方向へ向かって漏れようとする流体をシールする形式であるアウトサイド形のメカニカルシールに適したものであるが、摺動面の外周から内周方向へ向かって漏れようとする流体をシールする形式であるインサイド形のメカニカルシールにも適用可能である。
以下においては、アウトサイド形のメカニカルシールの場合について説明する。
分割型メカニカルシール装置1は、ハウジング2の内周面3と回転軸4との間の被密封流体用流通路5をシールするために装着される。ハウジング2内のこの流通路5は、内部の高圧流体側(被密封流体側)と連通するように形成されている。
なお、静止密封環の分割数は、2分割に限定されることなく、3分割以上でもよい。
なお、静止密封環10及びクランプ部材16については、後に詳しく説明する。
なお、回転密封環の分割数は、2分割に限定されることなく、3分割以上でもよい。
また、クランプ部材35の側面には、二点鎖線で示すように、ドライブピン用係止穴38が形成されている。
なお、回転密封環20及びクランプ部材25については、後に詳しく説明する。
なお、本発明は、静止密封環10及び回転密封環30のいずれにも同様に適用できるものであり、並びに、静止密封環10用のクランプ部材16及び回転密封環30用のクランプ部材35のいずれにも同様に適用できるものであるが、以下においては、静止密封環10及びそのクランプ部材16を例にして説明する。また、図1と同じ符号は同じ部材を示しており、重複する説明は省略する。
静止密封環10の分割面25は、約180°間隔で点対称に2カ所設けられ、それぞれの分割面25は、回転軸4の軸線方向と直交する方向からみて、外周部から内周側に向かって一定方向(図2(a)では反時計方向)に傾斜する外周側傾斜面25aと、内周部から外周側に向かって外周側傾斜面25aの傾斜する側と同じ側に傾斜する内周側傾斜面25bとから構成され、そして、外周側傾斜面25aと内周側傾斜面25bとは外周部と内周部との間において交叉するように設定されている。分割面25は静止密封環10の幅全体にわたって設けられることはもちろんである。
なお、図2においては、静止密封環10が周方向において2分割された例を示しているが、これに限らず、3分割、4分割など、分割の数は適宜設定されればよい。
なお、傾斜角度θは、約45°に限らず、種々の値を取ることができ、また、外周側傾斜面25aの傾斜角度θ1とび内周側傾斜面25bの傾斜角度θ2とが異なってもよい。
なお、図2(b)に示すものでは、テーパ面15a、15bは、両端から回転軸の中心に向かって傾斜、すなわち、径が小さくなる方向に傾斜しているが、これに限らず、径が大きくなる方向に傾斜してもよい。また、第2外周面15が略V字状に形成されている理由については、後に、クランプ部材16のところで詳しく説明する。
図3(a)に示すように、静止密封環10が内周側から被密封流体により圧力p1を受けると、外周側が低圧であるため、外周部がクランプ部材16により締め付けられているとはいっても、静止密封環10は径が大きくなるように歪む。その際、左側の分割環10aと右側の分割環10bとの間の歪み量に差が出る場合がある。
図3(b)は、右側の分割環10bがより多く歪む場合を示すもので、分割面25においては、外周側傾斜面25aの面圧p2が高くなり、内周側傾斜面25bに面圧は作用しない。
逆に、図3(c)は、左側の分割環10aがより多く歪む場合を示すもので、分割面25においては、内周側傾斜面25bの面圧p3が高くなり、外周側傾斜面25aに面圧は作用しない。
そして、図3(b)の場合、面圧p2に基づく外周側傾斜面25aに沿う分力が外周側傾斜面25aの摩擦力より大きくなると、左側の分割環10aに対して右側の分割環10bが径方向にズレる。両者に径方向のズレが発生しても、外周側傾斜面25aにおいて追随できるので、隙間が生じることはない。
また、図3(c)の場合、面圧p3に基づく内周側傾斜面25bに沿う分力が内周側傾斜面25bの摩擦力より大きくなると、右側の分割環10bに対して左側の分割環10aが径方向にズレる。両者に径方向のズレが発生しても、内周側傾斜面25bにおいて追随できるので、隙間が生じることはない。
(a)に示す分割面25は、外周側傾斜面25aの傾斜角度θ1及び内周側傾斜面25bの傾斜角度θ2は、それぞれ、約45°である。
また、(b)に示す分割面25は、外周側傾斜面25aの傾斜角度θ1が約75°と大きく、内周側傾斜面25bの傾斜角度θ2は約45°である。この場合、外周側傾斜面25aに沿う分力を小さくすることができるのでズレが生じにくい。
さらに、(c)に示す分割面25は、外周側傾斜面25aの傾斜角度θ1及び内周側傾斜面25bの傾斜角度θ2は、それぞれ、約75°と大きい。この場合、外周側傾斜面25aの面積を大きくすることができるので隙間が生じにくい。
クランプ部材16は、静止密封環10の外周部に沿って配設され、静止密封環10を径方向に締め付けるもである。
図5(a)に示すように、クランプ部材16は静止密封環10と同じく周方向において2分割され、基端26を支点として回動自在な2つの分割片16a及び16bを備え、基端26にはピン17が設けられ、ピン17を支点として開閉自在なヒンジ構造に形成されている。基端26におけるヒンジ構造は、例えば、右側の分割片16bの端部に凹部を形成し、この凹部に、左側の分割片16aに形成された凸部が嵌合すると共に、これらの凹凸嵌合部にピン17が嵌入されるように構成される。
図5(a)では、弾性部材29としてスプリングワッシャーが用いられている。
また、図5(c)及び(d)では、弾性部材29としてスプリングが用いられ、図5(c)の場合、スプリングは分割片16bとボルト18の頭部との間に装着され、図5(d)の場合、スプリングは分割片16aと16bとの間に装着されている。弾性部材29としてスプリングを用いた場合、クランプ力が安定すると共に、スプリング強さを調整して分割片16a、16bの耐圧を調整することもできる。
クランプ部材16の2つの分割片16a及び16bは軸方向にズレが生じないように正確に結合される必要があるため、基端26を支点とするヒンジ構造及び締結部28は、精度よく形成される。
なお、図5(b)においては、テーパ面27a、27bは、静止密封環10の第2外周面15に合わせるように、両端から内方にいくにつれ回転軸の中心に向かって傾斜、すなわち、径の小さくなる方向に傾斜しているが、これに限らず、静止密封環10の第2外周面15が径の大きくなる方向に傾斜される場合は、径の大きくなる方向に傾斜されてもよい。
(1) 図6(a)に示すように、円周状に組立てられた静止密封環10と同一形状の円周リング45を用意する。
(2)円周リング45の側面に、略V字状の2つの分割面25、25をマーキングする。
(3)例えば、2つの分割面25、25の左側の部分を残す場合、2つの分割面25、25の右側に接する直線m1、m2を引き、その直線に沿って切断する。左側の部分を部品1とする。
(4)右側の余剰部分は廃却する。
(5)部品1ついて、図6(b)で示す、分割面25、25の右側のハッチング部45b、45c及び45dを除去する。
(6)上記(1)〜(5)を繰り返すことにより、所要数の部品1を製作する。
(7)部品1の分割面25、25のそれぞれの外周側傾斜面25a及び内周側傾斜面25bをV字特殊治具などを用いてラッピングする。
または、2つの部品1を図6(c)で示すように組合わせ、分割面25、25を摺り合わせにより仕上げる。
なお、2分割の場合は、右側の余剰部分は廃却されるが、3分割または4分割でもシール性が確保される場合は、2分割で出た余剰部分を3分割又は4分割の部品として活用することができる。
2 ハウジング
3 ハウジングの内周面
4 回転軸
5 被密封流体用流通路
6 ハウジングの端面
10 静止密封環
11 静止密封環の第1外周面
12 環状溝
13 第1Oリング
14 静止密封環の内周面
15 静止密封環の第2外周面
16 クランプ部材
17 ピン
18 ボルト
19 取付穴
20 コイルスプリング
25 分割面
25a 外周側傾斜面
25b 内周側傾斜面
26 クランプ部材の基端
27 クランプ部材の内周面
28 締結部
29 弾性部材
30 回転密封環
31 接合面
32 段部面
33 第2Oリング
34 回転密封環の外周面
35 クランプ部材
36 ピン
37 ボルト
38 ドライブピン用係止穴
40 締付リング
41 ボルト
42 環状凸部
43 ドライブピン
S1 静止密封環のシール面
S2 回転密封環のシール面
Claims (3)
- ハウジングと回転軸との間に形成された軸封部に装着されて、ハウジングと回転軸との間をシールするメカニカルシールにおいて、
静止密封環および回転密封環を備え、
前記静止密封環または前記回転密封環は周方向において分割された分割型の密封環であり、
前記静止密封環または前記回転密封環の分割面は、前記回転軸の軸線方向と直交する方向からみて、外周部から内周側に向かって一定方向に傾斜する外周側傾斜面と、内周部から外周側に向かって前記外周側傾斜面の傾斜する側と同じ側に傾斜する内周側傾斜面とから構成され、
前記外周側傾斜面と前記内周側傾斜面とは外周部と内周部との間において交叉するように設定されていることを特徴とする分割型メカニカルシール。 - 前記静止密封環または前記回転密封環の外周部に沿って配設され、前記静止密封環または前記回転密封環を径方向に締め付け可能なクランプ部材を備え、前記クランプ部材は前記静止密封環または前記回転密封環と同じく周方向において分割され、前記静止密封環または前記回転密封環の外周面及び前記クランプ部材の内周面は、前記回転軸の軸線方向の断面において傾斜する2つのテーパ面からなる略V字状に形成されることを特徴とする請求項1記載の分割型メカニカルシール。
- 前記クランプ部材は基端を支点として回動自在な2つの分割片を備え、前記分割片の締結部に弾性部材を配設し、前記弾性部材を介して前記締結部の締結が行われることを特徴とする請求項2記載の分割型メカニカルシール。
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