JP2010019373A - 分割型シール環 - Google Patents

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貴倫 佐々木
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Abstract

【課題】分割型シール環における複数の分割体のシール面を簡単かつ迅速に面一に合わせることができる分割型シール環を提供する。
【解決手段】分割型シール環16は、2つの分割体30,31からなり、2つの分割体30,31は連結具42によって相互に連結される。また、分割型シール環16は、2つの分割体30,31の突き合わせ面30a,31aを通るように当該2つの分割体30,31にわたって形成されたテーパー孔43と、テーパー孔43の内面に密着状態で挿入されるテーパーピン44と、テーパー孔43に挿入されたテーパーピン44を固定する固定具45とを備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、軸方向の一端面にシール面を有する分割型シール環、主として端面接触型のメカニカルシールとして用いられる分割型シール環に関する。
下記特許文献1には、端面接触型のメカニカルシールを備えた先行待機形ポンプが開示されている。このメカニカルシールは、先行待機形ポンプのポンプケーシングと、このポンプケーシングを貫通するポンプ軸との間をシールするために設けられており、ポンプケーシングに取り付けられた静止側シール環と、ポンプ軸に固定された回転側シール環とを備えている。静止側シール環と固定側シール環とは軸方向に並べて配置され、互いに対向するシール面同士が摺接することによって、ポンプケース外への水漏れを防止している。
特開2004−251376号公報
先行待機形ポンプは、揚水開始前に先行して気中運転することによって、急激な水位上昇にも対応可能とされており、このため、メカニカルシールは、潤滑状態で使用されるものと比べて摩耗等が生じやすくなる。したがって、この種の先行待機形ポンプに使用されるメカニカルシールは、部品交換の頻度が比較的高くなり、この交換作業を円滑に行えるようにすることが要求される。
この点、特許文献1に記載の技術では、静止側シール環や回転側シール環を周方向に2つ割構造とすることによって、ポンプへの組み付けや部品交換の作業性を向上しているが、回転側シール環については、2つ割された分割体を単にボルトによって連結するのみであるので、両分割体のシール面を面一に合わせ難く、当該シール面を面一に合わせるには相当の熟練や長い作業時間が必要であった。両分割体のシール面が面一でないと、当然にシール性が悪化し、水漏れやポンプ効率の低下の原因となる。
本発明は、このような実情に鑑み、分割型シール環における複数の分割体のシール面を面一に合わせた状態で、簡単かつ迅速に複数の分割体を精度よく連結することができる分割型シール環を提供することを目的とする。
本発明は、複数の分割体を環状に連結することによって構成され、かつ軸方向の一端面にシール面を有している分割型シール環であって、複数の分割体を相互に連結する連結具と、周方向に隣接する2つの分割体の合わせ面を通るように当該2つの分割体にわたって形成されたテーパー孔と、前記テーパー孔の内面に密着状態で挿入されるテーパーピンと、前記テーパー孔に挿入された前記テーパーピンを固定する固定具と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、周方向に隣接する2つの分割体を連結具によって連結するにあたり、テーパー孔にテーパーピンを挿入し、このテーパーピンを固定具によって固定することによって、両分割体の相対的な位置合わせ、特に、両分割体のシール面を面一の状態に合わせることができ、簡単かつ迅速に複数の分割体を精度よく連結することが可能となる。
上記構成において、前記テーパー孔は、当該2つの分割体を貫通するように形成され、前記テーパーピンの小径側端部には、前記テーパー孔の小径側開口から突出する雄ねじ部が形成され、前記固定具は、前記テーパー孔の小径側開口から突出する前記雄ねじ部に螺合する固定ナットによって構成されていることが好ましい。
この構成によれば、テーパー孔の大径側開口からテーパーピンを挿入し、雄ねじ部をテーパー孔の小径側開口から突出させるとともに、この雄ねじ部の突出部分にナットを螺合することによって、当該2つの分割体の相対的な位置合わせを行うことができ、同時に、両分割体を適切な相対位置で仮止めすることができる。したがって、その後の連結具による両分割体の連結作業を容易に行うことができ、分割型シール環の組み付け作業性を一層向上することが可能となる。
また、本発明は、当該2つの分割体のうち、前記テーパー孔の大径側が形成されている分割体に、当該テーパー孔の大径側に同軸心状に連通する雌ねじ孔が形成され、前記固定具は、前記雌ねじ孔に螺合されるとともに、前記テーパーピンの大径側端面を押さえる押さえネジによって構成されていてもよい。
この構成によって、テーパー孔の大径側開口からテーパーピンを挿入し、さらに雌ねじ孔に押さえネジを螺合し、テーパーピンの大径側端部を押さえネジで押さえることによって、当該2つの分割体の相対的な位置合わせを適切に行うことができる。
本発明によれば、分割型シール環における複数の分割体のシール面を面一に合わせて簡単かつ迅速に複数の分割体を精度よく連結することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る分割型シール環を使用したシール装置の断面図である。このシール装置12は、例えば、先行待機形ポンプにおいて、当該ポンプのポンプケース10と、ポンプ軸11との間をシールするために用いられる。
ポンプ軸11は、ポンプケース10の開口10aを貫通するように上下方向に向けて配置されている。ポンプケース10の開口10aの周りには、シールケース13が固定され、このシールケース13の中心孔には、Oリング19を介してスプリングリテーナ14が上下移動可能に挿入されている。スプリングリテーナ14は、シールケース13との間に介在しているスプリング17によって上方へ向けて付勢されている。
スプリングリテーナ14は、リテーナ本体14aと押さえ体14bとからなる。リテーナ本体14aは、下部側が円筒形に形成されていてシールケース13の中心孔に挿入され、ドライブピン20によってシールケース13に対する相対回転が規制されている。
押さえ体14bは、中央に静止側シール環15用の装着孔14b1を有する環状体であり、ボルト21によってリテーナ本体14aに連結されている。
押さえ体14bの装着孔14b1に嵌合された静止側シール環15は、上端面をシール面15aとする円環状体であり、周方向に複数の分割体から構成されている。そして、静止側シール環15は、複数の分割体を周方向の端面で突き合わせた状態で装着孔14b1に装入されることによって円環状を呈している。また、静止側シール環15の下面と、リテーナ本体14aの上面との間にはOリング22が介装されている。静止側シール環15は後述する回転側シール環16よりも摩耗度の高い材料、例えば回転側シール環16よりも軟質で自己潤滑性を有するカーボン等で構成されている。
回転側シール環16は、固定リング23を介してポンプ軸11に固定されている。固定リング23は周方向に2つの分割体を環状に連結することによって構成され、両分割体はポンプ軸11を包囲するように連結されるとともに固定ねじ25を締め付けることによってポンプ軸11に一体回転可能に固定されている。
回転側シール環16は、固定リング23の下側に配置されるとともにドライブピン24によって固定リング23に一体回転可能に連結されている。回転側シール環16の内周部には、ポンプ軸11との間をシールするOリング27が設けられている。回転側シール環16のシール面16aは、静止側シール環15よりも硬質な素材(セラミック等)によって形成され、静止側シール環15のシール面15aに当接している。
図2は回転側シール環16の正面図、図3は図2のIII矢示図、図4は図2のIV矢示図、図5は図2のV−V矢示断面図、図6は図3のVI−VI断面図、図7は図3のVII−VII断面図である。
図2に示すように、回転側シール環16は、周方向に2つの分割体30,31から構成されている。なお、本明細書では、便宜的に図2の左側に配置された分割体30を第1分割体30と呼び、右側に配置された分割体31を第2分割体31と呼ぶことにする。
第1,第2分割体30,31は、半円弧形状であり、互いに周方向の端面30a,31a同士を突き合わせた状態で六角穴付きの連結ボルト(連結具)42によって連結されている。具体的に、第1,第2分割体30,31には、互いに突き合わせた端面30a,31aを直交状に通るようにボルト孔41が形成され、このボルト孔41は、一方の分割体30,31を貫通している。
図2の下側のボルト孔41を断面で示す図6において、第1分割体30に形成されたボルト孔41は、有底状の雌ねじ41aとされ、第2分割体31に形成されたボルト孔41は、当該第2分割体31を貫通し、雌ねじが形成されていない挿通孔41bとされている。そして、連結ボルト42を第2分割体31側から挿通孔41bに挿入し、さらに雌ねじ41aに螺合することによって、第1,第2分割体30,31が連結されている。
なお、図2に示すように、上側のボルト孔41は、回転側シール環16の中心Oを基準として下側のボルト孔41と点対称の関係で設けられている。したがって、上側の連結ボルト42は、第1分割体30側からボルト孔41に挿入され、第2分割体31に螺合している。
図2及び図3に示すように、第1,第2分割体30,31には、連結ボルト42の頭部を収めるための凹部30c,31bが形成され、この凹部30c,31bによって連結ボルト42の頭部が第1,第2分割体30,31の外周面から突出しないように構成されている。
図2〜図4に示すように本実施形態の回転側シール環16には、分割体30,31の相対位置を所定に位置合わせするための位置合わせ手段46が設けられている。この位置合わせ手段46は、第1,第2分割体30,31の突き合わせ面(端面30a,31a)を直交状に通るように第1,第2分割体30,31にわたって形成されたテーパー孔43と、このテーパー孔43に挿入されるテーパーピン44と、テーパー孔43に挿入されたテーパーピン44を固定するための固定ナット(固定具)45とを備えている。
図2の下側のテーパー孔43を断面で示す図7において、当該テーパー孔43は、第1,第2分割体30,31を貫通しており、第1分割体30側が小径孔43a、第2分割体31側が大径孔43bとされている。
一方、テーパーピン44は、テーパー孔43の内面形状に適合した外面形状、すなわちテーパー孔43の内面と同一傾斜角度の外面を有する円錐形状に形成されており、テーパー孔43の内面に密着した状態で挿入可能とされている。
テーパーピン44の小径側の端部には雄ねじ部44aが形成されている。この雄ねじ部44aは、テーパーピン44と同軸心状であり、テーパーピン44のテーパー面の最小径よりも小径に形成されている。
テーパーピン44は、第2分割体31側からテーパー孔43内に挿入され、雄ねじ部44aは、第1分割体30の小径側開口から突出している。そして、テーパー孔43から突出する雄ねじ部44aには固定ナット45が螺合されている。
なお、図2に示すように、上側のテーパー孔43は、中心Oを基準として下側のテーパー孔43と点対称の関係で設けられている。したがって、上側のテーパーピン44は、第1分割体30側からテーパー孔43に挿入され、第2分割体31側で固定ナット45に螺合される。
また、第1,第2分割体30,31には、固定ナット45を収めるための凹部30b,31cが形成されており、この凹部30b,31cによって固定ナット45が第1,第2分割体30,31の外周面から突出しないように構成されている。また、図5に示すように、テーパー孔43は、回転側シール環16の軸方向に関してボルト孔41よりもシール面16aから離れた位置に配置され、回転側シール環16の径方向に関してボルト孔41よりも外側に配置されている。
以上の構成において、回転側シール環16をポンプ軸11に組み付けるには、分解された第1,第2分割体30,31によってポンプ軸11を包囲した状態で、第1,第2分割体30,31の周方向の端面30a,31aを突き合わせる。
そして、図7に示すように、テーパー孔43にテーパーピン44を挿入するとともに、雄ねじ部44aに固定ナット45を締結する。この固定ナット45を締め付けていくと、テーパーピン44はテーパー孔43の大径側から小径側へと引き込まれ、テーパー孔43の内面に強く密着する。この作用によって、第1分割体30の小径孔43aと、第2分割体31の大径孔43bと、テーパーピン44との軸心が一致し、第1,第2分割体30,31が適切な相対位置で位置合わせされ、特に、第1,第2分割体30,31のシール面16aが面一に合わせられる。その後、図6に示すように、ボルト孔41に連結ボルト42を挿入して螺合することにより、第1,第2分割体30,31が連結される。
以上のように、本実施形態の回転側シール環16は、テーパー孔43やテーパーピン44等を有する位置合わせ手段46を備えることによって、熟練や長い作業時間を要することなく第1,第2分割体30,31のシール面16aを精度よく面一に合わせ、第1,第2分割体30,31を簡単かつ迅速に連結することができる。また、テーパーピン44の雄ねじ部44aに固定ナット45を締め付けることによって、第1,第2分割体30,31を適切に位置合わせした状態で仮止めすることができるので、連結ボルト42の締結作業を簡単に行うことができる。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る分割型シール環(回転側シール環)の正面図であり、図9は、第2の実施形態に係る分割型シール環の位置合わせ手段の構成を示す断面図である。第2の実施形態は、位置合わせ手段46の構成が第1の実施形態と異なり、その他の構成は同様である。従って、以下、位置合わせ手段46の構成について詳細に説明する。
図8の下側のテーパー孔43を断面で示す図9において、テーパー孔43は、第1,第2分割体30,31を貫通するように形成されているが、第2分割体31側の大径孔43bには、雌ねじ孔47が同軸心状に連なっており、この雌ねじ孔47が第2分割体31の外面(凹部31b)で開口している。
そして、本実施形態のテーパーピン44は、第1の実施形態のような雄ねじ部44a(図7参照)を備えておらず、テーパー孔43内に挿入された状態で大径側の端部が雌ねじ孔47側へ突出するようになっている。
雌ねじ孔47には、ネジ穴を有するセットスクリュー(押さえネジ)48が螺合され、このセットスクリュー48は、テーパー孔43に挿入されたテーパーピン44の大径側端面を押さえることによって、テーパーピン44を固定している。また、セットスクリュー48を締め付けていくことによって、テーパー孔43の内面にテーパーピン44を強く密着させることができ、これにより、第1,第2分割体30,31の相対的な位置合わせが可能となり、特に第1,第2分割体30,31のシール面16aを面一に合わせることができる。
しかしながら、本実施形態の位置合わせ手段46は、第1の実施形態のように、第1,第2分割体30,31を位置合わせした状態で仮止めすることはできず、連結ボルト42を予め軽く締めておく必要があるため、作業性の点で第1の実施形態の方が有利であるといえる。
なお、第2の実施形態において、テーパー孔43の小径孔43aは有底状であってもよい。また、押さえネジ48は、頭付きであってもよい。
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、上記実施形態では、回転側シール環16に位置合わせ手段46を設けているが、静止側シール環15に位置合わせ手段46を設けてもよい。また、本発明の分割型シール環は、2つの分割体30,31からなるものに限らず、3つ以上の分割体からなるものであってもよい。さらに、本発明の分割型シール環は、先行待機形ポンプに限らず種々の用途に適用することができ、勿論、無潤滑環境下で使用され得る用途以外にも適用することができる。
本発明の第1の実施形態に係る分割型シール環(回転側シール環)を使用したシール装置の断面図である。 回転側シール環の正面図である。 図2のIII矢示図である。 図2のIV矢示図である。 図2のV−V矢示断面図である。 図3のVI−VI断面図である。 図3のVII−VII断面図であって、位置合わせ手段の構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る分割型シール環(回転側シール環)の正面図である。 第2の実施形態に係る分割型シール環における位置合わせ手段の構成を示す断面図である。
符号の説明
12 シール装置
16 回転側シール環(分割型シール環)
16a シール面
30 第1分割体
30a 第1分割体の周方向端面(突き合わせ面)
31 第2分割体
31a 第2分割体の周方向端面(突き合わせ面)
41 ボルト孔
42 連結ボルト
43 テーパー孔
44 テーパーピン
44a 雄ねじ部
45 固定ナット(固定具)
46 位置合わせ手段
47 雌ねじ孔
48 押さえネジ(固定具)

Claims (3)

  1. 複数の分割体を環状に連結することによって構成され、かつ軸方向の一端面にシール面を有している分割型シール環であって、
    複数の分割体を相互に連結する連結具と、
    周方向に隣接する2つの分割体の突き合わせ面を通るように当該2つの分割体にわたって形成されたテーパー孔と、
    前記テーパー孔の内面に密着状態で挿入されるテーパーピンと、
    前記テーパー孔に挿入された前記テーパーピンを固定する固定具と、を備えていることを特徴とする分割型シール環。
  2. 前記テーパー孔が、当該2つの分割体を貫通するように形成され、
    前記テーパーピンの小径側端部に、前記テーパー孔の小径側開口から突出する雄ねじ部が形成され、
    前記固定具が、前記テーパー孔の小径側開口から突出する前記雄ねじ部に螺合するナットからなる請求項1に記載の分割型シール環。
  3. 当該2つの分割体のうち、前記テーパー孔の大径側が形成されている分割体に、当該テーパー孔の大径側に同軸心状に連通する雌ねじ孔が形成され、
    前記固定具が、前記雌ねじ孔に螺合されるとともに、前記テーパーピンの大径側端面を押さえる押さえネジからなる請求項1に記載の分割型シール環。
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