JP5970657B2 - 生地の製造方法、及び、それによって製造される生地を用いたパン様食品の製造方法 - Google Patents
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大豆粉は、大豆を生のまま粉砕し、加熱せずに粉にしたものである。大豆粉を失活処理する場合は、大豆粉に湯及び酢を混ぜて放置することで、酵素の働きを抑えつつ大豆粉特有の匂いを低減することが可能である。また、大豆粉の失活処理を行う際に湯の温度が高い状態でバターを混ぜ、そのまま使用している。このように、大豆粉の失活処理を生地製造の工程の一部として取り入れることで、製造工程の簡素化に寄与できる。
増粘安定剤としてのペクチンは、植物由来の複合多糖類であり、一般的に増粘安定剤として広く用いられているものである。増粘安定剤としてペクチンを含むことで、本発明の食品素材を用いた生地を成形する際の成形性、特に生地同士の繋ぎ力を向上できる。ペクチンとしては、リンゴ、オレンジ、イチジク、プラム等の果物由来のものが好ましい。
「二糖類、多糖類、及び糖アルコールのうち少なくとも一種を含有する」とは、グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース等の単糖類を含有するものではなく、グルコースが複数結合してなるラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース等の二糖類、グリコーゲン、スターチ等の多糖類、及び/又は、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコールを含有することを示す。これにより、生地自体に甘味を与えるとともに、生地の保水力を高めてしっとりとした食感を与えることができる。
二糖類又は多糖類を含有する場合、生地を用いてパン様食品を製造する際、つまりイーストを混ぜて発酵させる工程において、イーストの栄養となるグルコースに分解されやすく生地が膨らみやすいという利点がある。
焙煎ふすま及び/又は焙煎ぬかを主成分とする食品素材を含有する生地を用いてパン様食品を製造する場合、生地の粘性が低く繋ぎ目の扱いが重要となるが、本発明のパン様食品の製造方法では、繋ぎ目を周方向に連続して設定することで、生地を焼成した後の形崩れを抑制することができる。例えば、立体的なドーナツ形状に成形する場合、棒状に伸ばした生地の両端を繋ぐ手法が一般的であるが、焼成時に生地が膨らんで繋ぎ目が外れて形が崩れてしまう可能性が少なくない。
焙煎ふすまは、小麦のぬか(穎果の表層部分)であるふすまを焙煎処理することで、殺菌及び失活したものである。焙煎ぬかは、小麦以外(米、燕麦、大麦など)のぬかを焙煎処理することで、殺菌及び失活したものである。小麦たんぱくは、グリアジンとグルテニンを主な構成成分とするものであり、一般的にグルテンと称されるものである。
大豆粉は、大豆を生のまま粉砕し、加熱せずに粉にしたものである。大豆粉を失活処理する場合は、大豆粉に湯及び酢を混ぜて放置することで、酵素の働きを抑えつつ大豆粉特有の匂いを低減することが可能である。また、本実施形態の食品素材を用いてパン様食品等の生地を製造する場合は、大豆粉の失活処理を行う際に湯の温度が高い状態でバターを混ぜ、そのまま使用することもできる。
なお、生地に高い成形性を必要としない場合は、増粘安定剤を使わない、若しくは、使用料を極力減らすことも可能である。
水溶性の食物繊維を含む添加物であればえんどうファイバーの代替として用いることができ、例えばシトラスファイバー、アップルファイバー等を使用できる。
イーストは、一般的なパン酵母として用いられるものである。トレハロースは、二糖類の一種であり、高い保水力を有する。イーストの発酵時に、トレハロースを分解して得られるグルコースがイーストの栄養となり、良好な発酵が行われる。エリスリトールは、天然の糖アルコールであり、甘味料として作用する。
塩は、生地に塩味を加えると同時に、小麦たんぱくを引き締めて生地の腰を強くするためのものである。バターは、生地に風味を加えると同時に、パン様食品をリッチにするものであり、製造後のパン様食品を冷凍保存する際に好適である。卵は、バターと同様に、生地に風味を加えると同時に、パン様食品をリッチにするものであり、製造後のパン様食品を冷凍保存する際に好適である。ステビアは、甘味料として作用する。
また、バターと同様に卵についても、湯の温度が冷めた状態で大豆粉に加えて撹拌しても良く、このようにして得られた失活処理後の大豆粉ミックスに対して、食品素材のその他の構成物及び生地のその他の構成物をミキシングすることで、大豆粉の失活処理工程を生地の製造工程の一部に取り入れることも可能である。
図4に示すように、まず、生地を球状に丸めて、上方からプレス機、手等でプレスして平たく押し延ばす。これにより、円盤状の生地が成形される。次に、生地の中央に穴を開け、外周側を引っ張りながら内側に向けて折り返す。若しくは、図5に示すように、生地の外周を引っ張りながら内側に折り返すことで生地の中央の厚みが略無くなる程度に薄くなり、中央に穴が開いたようにしても良い。
つまり、円盤状の生地の中央に穴、若しくは穴相当の薄肉部分を設け、外周に向けて引っ張ることで穴を拡張しつつ、内側に折り返して、拡張された穴の内周を外側に折り返すことで、生地の外周と穴の内周とを繋ぐように立体的に丸めている。これにより、立体的なドーナツ形状を得ている。
なお、焼成時の型崩れを確実に防止する方策として、立体的なドーナツ状に成形された生地の中央の空間に、耐熱性の部材を配置することで、その空間に向かう生地の変形を確実に防止することもできる。
実施例Bでは、えんどうファイバーを含まずに、ペクチンのみを用いて製造した。この場合、ペクチンに含まれる水溶性の食物繊維が生地の保水性を向上したと考えられる。逆に、実施例Dでは、ペクチンを含まずに、えんどうファイバーのみを用いて製造した。このように、増粘安定剤を含まない場合でも、本実施形態の生地の成形工程によれば、生地の繋ぎ目が円周方向に連続することで、繋ぎ目が剥がれにくいため、焼成後も型崩れすることがなかった。
実施例BからDでは、小麦ふすま、オーツ麦ふすま、及び、大豆粉を含んでいることで、しっとり、かつ、もちもちとした食感のふすまパンを得ることができた。
実施例Eでは、イーストを含まないパン様食品であるふすまマフィンを製造した。ふすまパンと同様に大豆粉を含むことで、しっとり、かつ、もちもちとした食感が得られた。
Claims (2)
- 焙煎ふすま及び焙煎ぬかのうちの少なくとも一種と、小麦たんぱくと、湯と酢を用いて失活処理を施した大豆粉と、増粘安定剤としてのペクチンと、水溶性の食物繊維と、イーストと、二糖類、多糖類、及び糖アルコールのうち少なくとも一種と、バターと、を含有する食品素材を用いた生地の製造方法であって、
前記バターは、前記大豆粉に失活処理を施す際に、前記湯の温度が高い内に当該大豆粉に加えられ、当該湯の温度で溶けた状態で混ぜられることを特徴とする生地の製造方法。 - 請求項1に記載の生地の製造方法によって製造される生地を用いてパン様食品を製造する方法であって、
前記生地を球状に丸めた後にプレスすることで円盤状に成形し、
円盤状に成形された生地の中央に穴を設け、生地の外周とその穴の内周とを繋ぐように立体的に丸めることで、生地を立体的なドーナツ形状に成形する工程を含むことを特徴とするパン様食品の製造方法。
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