JP5964613B2 - モータ駆動用インバータ回路の制御回路、および、当該制御回路を備えたインバータ装置 - Google Patents

モータ駆動用インバータ回路の制御回路、および、当該制御回路を備えたインバータ装置 Download PDF

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本発明は、モータ駆動用インバータ回路の制御回路、および、当該制御回路を備えたインバータ装置に関する。
従来、交流電力を用いる電動機(モータ)である交流モータ(例えば、誘導モータ、同期モータなど)を駆動するために、インバータが用いられている。
図17は、従来の一般的なモータ駆動用インバータ回路と制御回路を説明するためのブロック図である。
インバータ回路2は、直流電源1から入力される直流電圧をスイッチング素子(図示しない)のスイッチングにより交流電圧に変換し、モータ3に供給する。インバータ回路2はPWM制御型の三相インバータを備えており、モータ3は三相交流モータである。以下では3つの相をU相、V相およびW相とする。制御回路600は、電流センサ4が検出した電流信号Iと、回転速度/位置検出回路500が算出した角周波数ω0および位相θとを入力され、これに基づいてPWM信号を生成してインバータ回路2に出力する。なお、回転速度/位置検出回路500は、モータ3の回転子の回転速度および回転位置を検出し、これらから制御回路600の制御に用いられる角周波数ω0および位相θを算出する。インバータ回路2は、制御回路600から入力されるPWM信号に基づいてスイッチング素子のスイッチングを行う。
図18は、制御回路600の内部構成を説明するためのブロック図である。
三相/二相変換部61は、電流センサ4から入力された3つの電流信号Iu,Iv,Iwを、α軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβに変換するものである。三相/二相変換部61は、いわゆる三相/二相変換処理(αβ変換処理)を行うものであり、電流信号Iu,Iv,Iwを互いに直交するα軸成分とβ軸成分とにそれぞれ分解して、各軸成分をまとめることでα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβを生成する。
三相/二相変換部61で行われる変換処理は、下記(1)式に示す行列式で表される。
回転座標変換部62aは、三相/二相変換部61から入力されるα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβを、回転座標系のd軸電流信号Idおよびq軸電流信号Iqに変換するものである。回転座標系は、直交するd軸とq軸とを有し、モータ3の回転速度に対応した回転速度で同一の回転方向に回転する直交座標系である。回転座標系の反対概念として、回転しない座標系を静止座標系とする。回転座標変換部62aは、いわゆる回転座標変換処理(dq変換処理)を行うものであり、静止座標系のα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβを、回転速度/位置検出回路500(図17参照)が算出した位相θに基づいて、回転座標系のd軸電流信号Idおよびq軸電流信号Iqに変換する。
回転座標変換部62aで行われる変換処理は、下記(2)式に示す行列式で表される。
LPF62bおよびLPF62cは、ローパスフィルタであり、それぞれd軸電流信号Idおよびq軸電流信号Iqの直流成分だけを通過させる。回転座標変換処理によって、α軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβの基本波成分が、それぞれd軸電流信号Idおよびq軸電流信号Iqの直流成分に変換されている。PI制御部62dおよびPI制御部62eは、それぞれd軸電流信号Idおよびq軸電流信号Iqの直流成分とその目標値との偏差に基づいてPI制御(比例積分制御)を行い、補正値信号Xd,Xqを出力するものである。目標値として直流成分を用いることができるので、PI制御部62dおよびPI制御部62eは、精度のよい制御を行うことができる。
非干渉部62f、62gは、モータ3のインダクタンス(インバータ回路2がACリアクトルを備える場合はそのインダクタンスも加算したもの)によってd軸制御系とq軸制御系とが干渉してしまうことを抑制するためのものである。非干渉部62fは、回転速度/位相検出回路500が算出した角周波数ω0とモータ3のインダクタンスのd軸成分Ldとから誘導リアクタンスω0Ldを算出し、これをLPF62bより入力されるd軸電流信号Idの直流成分に乗算してd軸制御系干渉分として出力する。PI制御部62eより出力された補正値信号Xqは、非干渉部62fから出力されたd軸制御系干渉分を加算されることで、d軸制御系による干渉分が調整される。同様に、非干渉部62gは、角周波数ω0とモータ3のインダクタンスのq軸成分Lqとから誘導リアクタンスω0Lqを算出し、これをLPF62cより入力されるq軸電流信号Iqの直流成分に乗算してq軸制御系干渉分として出力する。PI制御部62dより出力された補正値信号Xdは、非干渉部62gから出力されたq軸制御系干渉分を減算されることで、d軸制御系による干渉分が調整される。
静止座標変換部62hは、PI制御部62dおよびPI制御部62eからそれぞれ出力され、干渉分を調整された補正値信号Xd,Xqを、静止座標系の2つの補正値信号Xα,Xβに変換するものであり、回転座標変換部62aとは逆の変換処理を行うものである。静止座標変換部62hは、いわゆる静止座標変換処理(逆dq変換処理)を行うものであり、回転座標系の補正値信号Xd,Xqを、位相θに基づいて、静止座標系の補正値信号Xα,Xβに変換する。
静止座標変換部62hで行われる変換処理は、下記(3)式に示す行列式で表される。
二相/三相変換部63は、静止座標変換部62hから入力される補正値信号Xα,Xβを、3つの補正値信号Xu,Xv,Xwに変換するものである。二相/三相変換部63は、いわゆる二相/三相変換処理(逆αβ変換処理)を行うものであり、三相/二相変換部61とは逆の変換処理を行うものである。
二相/三相変換部63で行われる変換処理は、下記(4)式に示す行列式で表される。
PWM信号生成部64は、二相/三相変換部63が出力した補正値信号Xu,Xv,Xwに基づいてPWM信号を生成して出力する。
「ACモータの高速運転に適した電流制御法の提案」、古谷真一,佐竹彰、電学論D,128巻12号,2008年 「高速用永久磁石同期モータの新ベクトル制御法式の検討」、戸張和明,遠藤常博,岩路善尚,伊藤佳樹、電学論D,129巻1号,2009年
交流モータは様々な分野に応用されており、近年、高出力化や運転速度範囲拡大などのための高速運転の要求が高まっている。交流モータを高速運転させるためには、電流制御の安定化が重要である。モータ3のインダクタンスによってd軸制御系とq軸制御系とが干渉してしまうと電流制御が不安定になってしまうので、上述したように、非干渉部62f、62gで干渉分を算出して調整することで干渉を抑制している。
しかしながら、モータ3のインダクタンスを正確に把握することは困難である。したがって、モータ3が高速化して角周波数ω0が大きくなると、非干渉部62f、62gで算出される干渉分の誤差が大きくなる。これにより、非干渉処理が不安定になり、制御回路600による制御が不安定になる。
また、回転座標変換部62aおよび静止座標変換部62hが非線形時変処理を行うので、線形制御理論を用いて制御系を設計することができない。したがって、高速応答性と安定性を両立させる制御設計が困難であった。
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、安定した制御を行うことができる、モータ駆動用インバータ回路の制御回路を提供することをその目的としている。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面によって提供される制御回路は、モータを駆動するためのインバータ回路の制御回路であって前記インバータ回路の出力に基づく信号を第1の信号と第2の信号に変換する二相変換手段と、前記第1の信号および前記第2の信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号および第2の偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、前記第1の偏差信号および前記第2の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号および第2の補正値信号を生成する制御手段と、前記第1の補正値信号または前記第2の補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段とを備えており、前記制御手段は、前記第1および第2の偏差信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数F(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換するのと同様の処理を行うものであり、前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記第1の補正値信号を生成し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理することで前記第2の補正値信号を生成し、前記第1の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
であることを特徴とする。
本発明の第2の側面によって提供される制御回路は、モータを駆動するためのインバータ回路の制御回路であって、前記インバータ回路の出力に基づく信号とそれぞれの目標値との偏差である偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、前記偏差信号を第1の偏差信号および第2の偏差信号に変換する二相変換手段と、前記第1の偏差信号および前記第2の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号および第2の補正値信号を生成する制御手段と、前記第1の補正値信号または前記第2の補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段とを備えており、前記制御手段は、前記第1および第2の偏差信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数F(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換するのと同様の処理を行うものであり、前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記第1の補正値信号を生成し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理することで前記第2の補正値信号を生成し、前記第1の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
であることを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御手段は、前記第1の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、前記第1の偏差信号を第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、前記第2の伝達関数および前記第3の伝達関数は、それぞれ、
である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記インバータ回路は三相インバータを備えており、前記二相変換手段は、前記インバータ回路の三相の出力に基づく3つの信号を前記第1の信号と前記第2の信号に変換するものであり、前記第1の補正値信号と前記第2の補正値信号とを3つの補正値信号に変換する二相三相変換手段をさらに備え、前記PWM信号生成手段は、前記3つの補正値信号に基づいて前記PWM信号を生成する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記インバータ回路は単相インバータを備えており、前記二相変換手段は、前記インバータ回路の単相の出力に基づく信号を前記第1の信号とし、前記第1の信号の位相を90度遅らせた信号を前記第2の信号として生成する。
本発明の第3の側面によって提供される制御回路は、モータを駆動するためのインバータ回路の制御回路であって、前記インバータ回路の三相の出力に基づく3つの信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号、第2の偏差信号、および第3の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号、第2の補正値信号、および第3の補正値信号を生成する制御手段と、前記3つの補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段とを備えており、前記制御手段は、前記第1ないし第3の偏差信号から変換された2つの信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数F(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換し、変換後の2つの信号を第1ないし第3の補正値信号に変換するのと同様の処理を行うものであり、前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第3の補正値信号を生成し、前記第1の伝達関数および前記第2の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、それぞれ、
であることを特徴とする。
本発明の第4の側面によって提供される制御回路は、モータを駆動するためのインバータ回路の制御回路であって、前記インバータ回路の三相の出力に基づく3つの信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号、第2の偏差信号、および第3の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号、第2の補正値信号、および第3の補正値信号を生成する制御手段と、前記3つの補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段とを備えており、前記制御手段は、前記第1ないし第3の偏差信号から変換された2つの信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数F(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換し、変換後の2つの信号を第1ないし第3の補正値信号に変換するのと同様の処理を行うものであり、前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を第3の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、前記第1の偏差信号を前記第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第3の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第3の補正値信号を生成し、前記第1ないし第3の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、それぞれ、
であることを特徴とする。
本発明の第5の側面によって提供される制御回路は、モータを駆動するためのインバータ回路の制御回路であって、前記インバータ回路の単相の出力に基づく信号と目標値との偏差である偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、前記偏差信号に含まれる基本波成分をゼロに制御するための補正値信号を生成する制御手段と、前記補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段とを備えており、前記制御手段は、前記偏差信号と、前記偏差信号の位相を90度遅らせた信号とに対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数F(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換するのと同様の処理を行うものであり、前記偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記補正値信号を生成し、前記第1の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
であることを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記伝達関数F(s)が、F(s)=KI/s(但し、KIは積分ゲイン)である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記伝達関数F(s)が、F(s)=KP+KI/s(但し、KPおよびKIは、それぞれ比例ゲインおよび積分ゲイン)である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記伝達関数F(s)が、F(s)=KP+KI/s+KD・s(但し、KP、KIおよびKDは、それぞれ比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲイン)である。
本発明の第1の側面によって提供される制御回路の好ましい実施の形態においては、前記第1の信号および前記第2の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号および第2の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号および前記第2の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号および前記第2の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備え、前記高調波補償手段は、前記第1および第2の信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f’(t)をもつ一入力一出力伝達関数F’(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換することで前記第1および第2の高調波補償信号を生成するのと同様の処理を行うものであり、前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理することで前記第1の高調波補償信号を生成し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理することで、前記第2の高調波補償信号を生成し、前記第4の伝達関数は、前記記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとし、n次高調波を抑制する場合、
である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記高調波補償手段は、前記第1の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、前記第1の信号を第6の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、前記第5の伝達関数および前記第6の伝達関数は、n次高調波(n=3k+1:k=1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
であり、n次高調波(n=3k+2:k=0,1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
である。
本発明の第3または第4の側面によって提供される制御回路の好ましい実施の形態においては、前記3つの信号である第1の信号、第2の信号、および第3の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号、第2の高調波補償信号、および第3の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号ないし前記第3の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号ないし前記第3の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備えており、前記高調波補償手段は、前記第1ないし第3の信号から変換された2つの信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f’(t)をもつ一入力一出力伝達関数F’(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換し、変換後の2つの信号を第1ないし第3の高調波補正値信号に変換するのと同様の処理を行うものであり、前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第3の高調波補償信号を生成し、前記第4の伝達関数および前記第5の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとし、n次高調波を抑制する場合、それぞれ、
である。
本発明の第3または第4の側面によって提供される制御回路の好ましい実施の形態においては、前記3つの信号である第1の信号、第2の信号、および第3の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号、第2の高調波補償信号、および第3の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号ないし前記第3の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号ないし前記第3の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備えており、前記高調波補償手段は、前記第1ないし第3の信号から変換された2つの信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f’(t)をもつ一入力一出力伝達関数F’(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換し、変換後の2つの信号を第1ないし第3の高調波補正値信号に変換するのと同様の処理を行うものであり、前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を第6の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、前記第1の信号を前記第6の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第6の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第3の高調波補償信号を生成し、前記第4の伝達関数ないし前記第6の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとし、n次高調波(n=3k+1:k=1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
であり、n次高調波(n=3k+2:k=0,1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記高調波補償手段は、前記第1の信号および前記第2の信号に代えて、前記第1の偏差信号および前記第2の偏差信号を用いる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記高調波補償手段は、前記第1の信号ないし前記第3の信号に代えて、前記第1の偏差信号ないし前記第3の偏差信号を用いる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記3つの信号は、出力電流を検出した信号である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記3つの信号は、出力電圧を検出した信号である。
本発明の好ましい実施の形態においては、制御系の設計が、ロバスト制御設計を用いて行われている。
本発明の好ましい実施の形態においては、制御系の設計が、H∞ループ整形法を用いて行われている。
本発明の第6の側面によって提供されるインバータ装置は、インバータ回路と、本発明の第1ないし第5の側面によって提供される制御回路とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、第1の偏差信号および第2の偏差信号をそれぞれ第1の伝達関数G1(s)によって信号処理することで、制御を行って第1の補正値信号および第2の補正値信号を生成している。第1の伝達関数G1(s)による信号処理は、回転座標変換を行ってから所定の制御処理を行って生成された補正値信号を静止座標変換するのと同様の処理である。また、第1の伝達関数G1(s)による信号処理は、線形性および時不変性を有する。したがって、線形制御理論に基づいた設計法を用いることができ、高速応答性と安定性を両立させる制御設計を行うことができる。また、静止座標系で制御を行っているので、インダクタンスによる制御の干渉を防止することができる。これにより、モータを高速運転する場合にでも、安定した制御を行うことができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明するためのブロック線図である。 回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明するためのブロック線図であり、行列で表したものである。 行列の計算を説明するためのブロック線図である。 回転座標変換を行ってからPI制御を行った後に静止座標変換を行う処理を示すブロック線図である。 回転座標変換を行ってからI制御を行った後に静止座標変換を行う処理を示すブロック線図である。 第1実施形態に係るモータ駆動用のインバータ装置を説明するためのブロック図である。 行列GIの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。 正相分の信号と逆相分の信号を説明するための図である。 第2実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。 第3実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。 行列GPIの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。 第4実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。 第5実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。 第6実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。 第7実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。 第8実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。 従来の一般的なモータ駆動用インバータ回路と制御回路を説明するためのブロック図である。 制御回路の内部構成を説明するためのブロック図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図18に示す制御回路600では、回転座標系で制御を行っているので、d軸制御系とq軸制御系との干渉が問題となる。静止座標系で制御を行うようにすれば、インダクタンスによる制御の干渉は生じない。本発明は、回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の簡単な処理に置き換えることで、制御回路600で行う制御と同様の制御を静止座標系で行うものである。
まず、回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明する。
図1(a)は、回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を説明するための図である。当該処理では、まず、信号αおよびβが、回転座標変換によって、信号dおよびqに変換される。信号dおよびqに対して、それぞれ所定の伝達関数F(s)で表される処理が行われ、信号d’およびq’が出力される。次に、信号d’およびq’が静止座標変換によって、信号α’およびβ’に変換される。図1(a)に示す非線形時変の処理を、図1(b)に示す線形時不変の伝達関数の行列Gを用いた処理に変換する。
図1(a)に示す回転座標変換は下記(5)式の行列式で表され、静止座標変換は下記(6)式の行列式で表される。
したがって、図1(a)に示す処理を、行列を用いて、図2(a)のように表すことができる。図2(a)に示す3つの行列の積を計算し、算出された行列を線形時不変の行列にすることで、図1(b)に示す行列Gを算出することができる。このとき、静止座標変換および回転座標変換の行列を行列の積に変換したうえで、算出を行う。
回転座標変換の行列は、下記(7)式に示す右辺の行列の積に変換することができる。
但し、jは虚数単位であり、exp()は自然対数の底eの指数関数であり、
である。なお、T-1は、Tの逆行列である。
となり、オイラーの公式より、exp(jθ)=cosθ+jsinθ、exp(−jθ)=cosθ−jsinθを代入して計算すると、
であることが、確認できる。
また、静止座標変換の行列は、下記(8)式に示す右辺の行列の積に変換することができる。当該行列の積の中央の行列は線形時不変の行列である。
但し、jは虚数単位であり、exp()は自然対数の底eの指数関数であり、
である。なお、T-1は、Tの逆行列である。
となり、オイラーの公式より、exp(jθ)=cosθ+jsinθ、exp(−jθ)=cosθ−jsinθを代入して計算すると、
であることが、確認できる。
上記(7)式および(8)式を用いて、図2(a)に示す3つの行列の積を計算して、行列Gを算出すると、下記(9)式のように計算される。
上記(9)式の中央の3つの行列の1行1列目の要素に注目し、これをブロック線図で表すと、図3に示すブロック線図になる。図3に示すブロック線図の入出力特性を計算すると、
となる。ただし、F(s)はインパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数である。
ここで、θ(t)=ω0tとすると、θ(t)−θ(τ)=ω0t−ω0τ=ω0(t−τ)=θ(t−τ)となるので、図3に示すブロック線図の入出力特性は、インパルス応答f(t)exp(−jω0t)を持つ線形時不変系のものに等しい。インパルス応答f(t)exp(−jω0t)をラプラス変換すると、伝達関数F(s+jω0)が得られる。また、図3に示すブロック線図のexp(jθ(t))とexp(−jθ(t))とを入れ換えた場合の入出力特性は、伝達関数F(s−jω0)の入出力特性になる。
したがって、上記(9)式からさらに計算を進めると、
と計算される。
これにより、図2(a)に示す処理を、図2(b)に示す処理に変換することができる。図2(b)に示す処理は、回転座標変換を行ってから所定の伝達関数F(s)で表される処理を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理であって、当該処理のシステムは線形時不変のシステムである。
PI制御(比例積分制御)コントローラの伝達関数は、比例ゲインおよび積分ゲインをそれぞれKPおよびKIとすると、F(s)=KP+KI/sで表される。したがって、図4に示す処理、すなわち、回転座標変換を行ってからPI制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列GPIは、上記(10)式を用いて、下記(11)式のように算出される。
また、I制御(積分制御)コントローラの伝達関数は、積分ゲインをKIとすると、F(s)=KI/sで表される。したがって、図5に示す処理、すなわち、回転座標変換を行ってからI制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列GIは、上記(10)式を用いて、下記(12)式のように算出される。
以下に、上記(12)式の伝達関数の行列GIで表される処理を行う電流コントローラをモータ駆動用インバータ回路の制御回路に適用した場合を、本発明の第1実施形態として説明する。
図6は、第1実施形態に係るインバータ装置を説明するためのブロック図である。
同図に示すように、インバータ装置は、インバータ回路2および制御回路6を備えており、直流電源1が出力する直流電力を交流電力に変換してモータ3に供給する。インバータ回路2の出力ラインには電流センサ4が設置されており、電流センサ4はモータ3の各相のモータ巻線に流れる電流を検出する。制御回路6は、電流センサ4が検出した電流信号が目標値に一致するように制御を行う。モータ3には回転速度検出回路5が設置されており、モータ3の回転子の回転速度を検出して角周波数ω0を算出する。
直流電源1は、直流電力を出力するものであり、例えば、電力系統が供給する交流電力をコンバータや整流器で直流電力に変換して出力するものである。なお、蓄電池、燃料電池、電気二重層コンデンサ、リチウムイオン電池、または、太陽電池を備えるものであってもよい。
インバータ回路2は、直流電源1から入力される直流電圧を交流電圧に変換して出力するものである。インバータ回路2は、図示しない3組6個のスイッチング素子を備えたPWM制御型の三相インバータを備えており、制御回路6から入力されるPWM信号に基づいて、各スイッチング素子のオンとオフとを切り替えることで、直流電源1から入力される直流電圧を交流電圧に変換する。
モータ3は、三相交流電力を用いる電動機であり、例えば、三相誘導モータや三相同期モータである。電流センサ4は、インバータ回路2から出力される各相の交流電流(すなわち、モータ3の各相のモータ巻線に流れる電流)を検出するものである。検出された電流信号I(Iu,Iv,Iw)は、制御回路6に入力される。回転速度検出回路5は、エンコーダなどでモータ3の回転子の回転速度を検出し、検出した回転速度に滑り角速度を加算して角周波数ω0を算出する。算出された角周波数ω0は、制御回路6に入力される。なお、回転速度検出回路5がモータ3の回転子の回転速度を検出して制御回路6に出力し、制御回路6が角周波数ω0を算出するようにしてもよい。
制御回路6は、インバータ回路2を制御するものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御回路6は、電流センサ4から入力される電流信号I、および、回転速度検出回路5から入力される角周波数ω0に基づいて、PWM信号を生成してインバータ回路2に出力する。制御回路6は、電流センサ4が検出した電流信号が目標値に一致するように、インバータ回路2が出力する出力電圧の波形を指令するための指令値信号を生成し、当該指令値信号に基づいて生成されるパルス信号をPWM信号として出力する。インバータ回路2は、入力されるPWM信号に基づいて各スイッチング素子のオンとオフとを切り替えることで、指令値信号に対応した波形の交流電圧を出力する。制御回路6は、指令値信号の波形を変化させてインバータ回路2の出力電圧の波形を変化させることで、出力電流をフィードバック制御している。
制御回路6は、三相/二相変換部61、電流コントローラ62、二相/三相変換部63、およびPWM信号生成部64を備えている。
三相/二相変換部61は、図18に示す三相/二相変換部61と同じものであり、電流センサ4より入力される3つの電流信号Iu,Iv,Iwを、α軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβに変換するものである。三相/二相変換部61で行われる変換処理は、上記(1)式に示す行列式で表される。
電流コントローラ62は、三相/二相変換部61より出力されるα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβとそれぞれの目標値との偏差を入力され、電流制御のための補正値信号Xα,Xβを生成するものである。電流コントローラ62は、上記(12)式の伝達関数の行列GIで表される処理を行う。つまり、α軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβとそれぞれの目標値との偏差をそれぞれΔIαおよびΔIβとすると、下記(13)式に示す処理を行っている。角周波数ω0は回転速度検出回路5から入力され、積分ゲインKIはあらかじめ設計されている。また、電流コントローラ62は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
本実施形態において、α軸電流目標値およびβ軸電流目標値には、d軸電流目標値およびq軸電流目標値を静止座標変換したものが用いられる。なお、三相の電流目標値が与えられる場合は、当該目標値を三相/二相変換して、α軸電流目標値およびβ軸電流目標値とすればよい。また、3つの電流信号Iu,Iv,Iwと三相の電流目標値とのそれぞれの偏差を先に算出し、この3つの偏差信号を三相/二相変換して、電流コントローラ62に入力するようにしてもよい。また、α軸電流目標値およびβ軸電流目標値が直接与えられる場合は、当該目標値をそのまま用いればよい。
図7は、行列GIの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。同図(a)は行列GIの1行1列要素(以下では、「(1,1)要素」と記載する。他の要素についても同様に記載する。)および(2,2)要素の伝達関数を示しており、同図(b)は行列GIの(1,2)要素の伝達関数を示しており、同図(c)は行列GIの(2,1)要素の伝達関数を示している。同図は、中心周波数が60Hzの場合(すなわち、角周波数ω0=120πの場合)のものであり、積分ゲインKIを「0.1」,「1」,「10」,「100」とした場合を示している。
同図(a),(b)および(c)が示す振幅特性は、いずれも、中心周波数にピークがあり、積分ゲインKIが大きくなると、振幅特性が大きくなっている。また、同図(a)が示す位相特性は、中心周波数で0度になる。つまり、行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号を位相を変化させることなく通過させる。同図(b)が示す位相特性は、中心周波数で90度になる。つまり、行列GIの(1,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度進めて通過させる。一方、同図(c)が示す位相特性は、中心周波数で−90度になる。つまり、行列GIの(2,1)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度遅らせて通過させる。
本実施形態において、電流コントローラ62は、周波数重みに伝達関数の行列GIを用いて、線形制御理論の1つであるH∞ループ整形法によって設計される。電流コントローラ62で行われる処理は、伝達関数の行列GIで示されるので、線形時不変の処理である。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計を行うことができる。
電流コントローラ62には、出力電流が正弦波目標値に追従すること、および、高速応答を実現させるために高速に電流目標値に追従すること(速応性)が、設計仕様として求められている。システムの出力がある目標値に完全追従するには、閉ループ系が目標発生器と同じ極を持ち、かつ、閉ループ系が漸近安定でなければならない(内部モデル原理)。正弦波目標値の極は±jωoであり、行列GIの各要素の伝達関数に含まれる1/(s2+ω0 2)の項の極も±jωoである。したがって、閉ループ系と目標発生器の極は同じである。また、H∞ループ整形法を用いれば、閉ループ系が漸近安定になるコントローラを設計することができる。したがって、速応性の条件を満たすようにH∞ループ整形法を用いて設計を行うことで、設計仕様に適合し最も安定な制御系を容易に設計することができる。
なお、制御系の設計に用いる設計方法はこれに限られず、その他の線形制御理論を用いることもできる。例えば、ループ整形法、最適制御、H∞制御、混合感度問題などを用いて設計するようにしてもよい。
図6に戻って、二相/三相変換部63は、図18に示す二相/三相変換部63と同じものであり、電流コントローラ62から入力される補正値信号Xα,Xβを、3つの補正値信号Xu,Xv,Xwに変換するものである。二相/三相変換部63で行われる変換処理は、上記(4)式に示す行列式で表される。補正値信号Xu,Xv,Xwは、PWM信号生成部64に入力される。
PWM信号生成部64は、入力される補正値信号Xu,Xv,Xwに基づいて指令値信号X’u,X’v,X’wを生成し、指令値信号X’u,X’v,X’wと所定の周波数(例えば、4kHz)の三角波信号として生成されたキャリア信号とに基づいて、三角波比較法によりPWM信号Pu,Pv,Pwを生成する。三角波比較法では、指令値信号X’u,X’v,X’wとキャリア信号とがそれぞれ比較され、例えば、指令値信号X’uがキャリア信号より大きい場合にハイレベルとなり、小さい場合にローレベルとなるパルス信号がPWM信号Puとして生成される。生成されたPWM信号Pu,Pv,Pwおよびこれを反転させた信号が、インバータ回路2に出力される。
本実施形態において、制御回路6は回転座標変換および静止座標変換を行うことなく静止座標系で制御を行っているので、インダクタンスによる制御の干渉が生じない。したがって、モータ3を高速運転した場合でも、安定した制御を行うことができる。また、上述したように、伝達関数の行列GIは、回転座標変換を行ってからI制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列である。したがって、伝達関数の行列GIで表される処理を行う電流コントローラ62は、図18に示す回転座標変換部62a、静止座標変換部62h、およびI制御処理(図18におけるPI制御部62dおよびPI制御部62eが行うPI制御処理に対応する。)と等価の処理を行っている。また、図7の各ボード線図が示すように、行列GIの各要素の伝達関数の振幅特性は、中心周波数でピークを形成している。つまり、電流コントローラ62は、中心周波数成分だけがハイゲインになっている。したがって、図18に示すLPF62bおよび62cを設ける必要がない。また、インダクタンスによる制御の干渉が生じないので、図18に示す非干渉部62f、62gを設ける必要がない。
また、電流コントローラ62で行われる処理は、伝達関数の行列GIで示されるので、線形時不変の処理である。また、制御回路6には非線形時変処理である回転座標変換処理および静止座標変換処理が含まれておらず、電流制御システム全体が線形時不変システムになっている。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。したがって、高速応答性と安定性を両立させる制御設計を行うことができるので、高速応答性を有しつつ安定した制御を行うことができる。このように、上記(12)式に示す伝達関数の行列GIを用いることで、回転座標変換を行ってからI制御を行った後に静止座標変換を行う非線形の処理を、線形時不変の多入出力系へ帰着させることができ、これによりシステム解析や制御系設計が容易になる。
なお、本実施形態においては、電流コントローラ62で上記(13)式に示す処理を行っているが、行列GIの各要素の積分ゲインKIに要素毎に異なる値を用いるようにしてもよい。すなわち、各要素である伝達関数毎に異なる積分ゲインKIを設計して用いるようにしてもよい。例えば、α軸成分の速応性を向上させたり、安定性を高めたりするなどの付加特性を与えるように設計することもできる。また、(1,2)要素と(2,1)要素の積分ゲインKIを「0」に設計して、正相分、逆相分の両方を制御するという付加特性を与えることもできる。正相分、逆相分の両方を制御する場合については、後述する。なお、要素毎に異なる積分ゲインKIを設計した場合でも、各要素である伝達関数の位相特性は変化しない。したがって、(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数は中心周波数の信号を位相を変化させることなく通過させ、(1,2)要素の伝達関数は中心周波数の信号の位相を90度進めて通過させ、(2,1)要素の伝達関数は中心周波数の信号の位相を90度遅らせて通過させることができる。
上記第1実施形態においては、電流信号Iu,Iv,Iwの基本波成分の制御を行う場合について説明したが、これに限られない。電流信号Iu,Iv,Iwには基本波成分(正相分)の信号の他に、逆相分の信号が重畳されている。この逆相分の制御のみを行うようにしてもよい。
図8は、正相分の信号と逆相分の信号を説明するための図である。同図(a)は正相分の信号を示しており、同図(b)は逆相分の信号を示している。
同図(a)において、電流信号Iu,Iv,Iwの正相分を破線矢印のベクトルu,v,wで示している。ベクトルu,v,wは互いに120度ずつ向きが異なっており、時計回りの順番で並んで角周波数ω0で反時計回りの方向に回転している。電流信号Iu,Iv,Iwの正相分を三相/二相変換したα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβの正相分は、実線矢印のベクトルα,βで示される。ベクトルα,βは、時計回りの順番で90度向きが異なっており、角周波数ω0で反時計回りの方向に回転している。
つまり、三相/二相変換部61(図6参照)から出力されるα軸電流信号Iαの正相分は、β軸電流信号Iβの正相分より90度位相が進んでいる。したがって、目標値との偏差ΔIαの正相分も偏差ΔIβの正相分より90度位相が進んでいる。偏差ΔIαに行列GIの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行うと、正相分の位相は変化しない(図7(a)参照)。また、偏差ΔIβに行列GIの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行うと、正相分の位相が90度進む(図7(b)参照)。したがって、両者の位相が偏差ΔIαの正相分と同じ位相になるので、両者を加算することで強め合うことになる。一方、偏差ΔIαに行列GIの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行うと、正相分の位相が90度遅れる(図7(c)参照)。また、偏差ΔIβに行列GIの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行うと、正相分の位相は変化しない。したがって、両者の位相が偏差ΔIβの正相分と同じ位相になるので、両者を加算することで強め合うことになる。
逆相分は相順が正相分とは逆方向になっている成分である。図8(b)において、電流信号Iu,Iv,Iwの逆相分を破線矢印のベクトルu,v,wで示している。ベクトルu,v,wは互いに120度ずつ向きが異なっており、反時計回りの順番で並んで角周波数ω0で反時計回りの方向に回転している。電流信号Iu,Iv,Iwの逆相分を三相/二相変換したα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβの逆相分は、実線矢印のベクトルα,βで示される。ベクトルα,βは、反時計回りの順番で90度向きが異なっており、角周波数ω0で反時計回りの方向に回転している。
つまり、三相/二相変換部61から出力されるα軸電流信号Iαの逆相分は、β軸電流信号Iβの逆相分より90度位相が遅れている。偏差ΔIαに行列GIの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行うと、逆相分の位相は変化しない。また、偏差ΔIβに行列GIの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行うと、逆相分の位相が90度進む。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。一方、偏差ΔIαに行列GIの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行うと、逆相分の位相が90度遅れる。また、偏差ΔIβに行列GIの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行うと、逆相分の位相は変化しない。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。したがって、電流コントローラ62は、正相分の制御を行ない、逆相分の制御は行なわない。
伝達関数の行列GIの(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた場合、上記とは逆に、正相分が打ち消しあって、逆相成分が強めあうことになる。したがって、第1実施形態において逆相分の制御を行う場合には、伝達関数の行列GIの(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた行列を用いればよい。
次に、正相分、逆相分の両方の制御を行なう場合について説明する。
行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数に示す処理は、正相分および逆相分の位相を変化させずに通過させる(図7(a)参照)。したがって、上記(12)式に示す行列GIの(1,2)要素および(2,1)要素を「0」にした行列を用いると、正相分、逆相分の両方の制御を行なうことができる。以下に、正相分、逆相分の両方の制御を行なう場合を、第2実施形態として説明する。
図9は、第2実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。同図において、図6に示す制御回路6と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図9に示す制御回路6’は、電流コントローラ62に代えて、α軸電流コントローラ62’aおよびβ軸電流コントローラ62’bを設けている点で、第1実施形態に係る制御回路6(図6参照)と異なる。
α軸電流コントローラ62’aは、三相/二相変換部61より出力されるα軸電流信号Iαと目標値との偏差ΔIαを入力され、電流制御のための補正値信号Xαを生成するものである。α軸電流コントローラ62’aは、行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素である伝達関数KI・s/(s2+ω0 2)で表される処理を行う。また、α軸電流コントローラ62’aは、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
β軸電流コントローラ62’bは、三相/二相変換部61より出力されるβ軸電流信号Iβと目標値との偏差ΔIβを入力され、電流制御のための補正値信号Xβを生成するものである。β軸電流コントローラ62’bは、行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素である伝達関数KI・s/(s2+ω0 2)で表される処理を行う。また、β軸電流コントローラ62’bは、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、α軸電流コントローラ62’aおよびβ軸電流コントローラ62’bの伝達関数KI・s/(s2+ω0 2)において、積分ゲインKIにそれぞれ異なる値を用いるようにしてもよい。すなわち、α軸電流コントローラ62’aとβ軸電流コントローラ62’bとで、それぞれ個別に積分ゲインKIを設計して用いるようにしてもよい。例えば、α軸成分の速応性を向上させたり、安定性を高めたりするなどの付加特性を与えるように設計することもできる。
上記第1および第2実施形態においては、3つの電流信号Iu,Iv,Iwをα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβに変換して制御する場合について説明したが、これに限られない。例えば、3つの電流信号Iu,Iv,Iwを用いて直接制御するようにしてもよい。以下に、この場合の実施形態を第3実施形態として説明する。
図10は、第3実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。同図において、図6に示す制御回路6と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図10に示す制御回路6”は、三相/二相変換部61および二相/三相変換部63を備えておらず、電流コントローラ62”が3つの電流信号Iu,Iv,Iwを用いて直接制御を行う点で、第1実施形態に係る制御回路6(図6参照)と異なる。
三相/二相変換および二相/三相変換は、上記(1)式および(4)式で表されるので、三相/二相変換を行ってから伝達関数の行列Gで表される処理を行った後に二相/三相変換を行う処理は、下記(14)式に示す伝達関数の行列G’で表される。
したがって、電流コントローラ62”が行う処理を表す伝達関数の行列G’Iは、下記(15)式で表される。
電流コントローラ62”は、電流センサ4より出力される3つの電流信号Iu,Iv,Iwとそれぞれの目標値との偏差を入力され、電流制御のための補正値信号Xu,Xv,Xwを生成するものである。電流コントローラ62”は、上記(15)式の伝達関数の行列G’Iで表される処理を行う。つまり、電流信号Iu,Iv,Iwとそれぞれの目標値との偏差をそれぞれΔIu,ΔIv,ΔIwとすると、下記(16)式に示す処理を行っている。角周波数ω0は回転速度検出回路5から入力され、積分ゲインKIはあらかじめ設計されている。また、電流コントローラ62”は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
本実施形態において、電流信号Iu,Iv,Iwの目標値には、d軸電流目標値およびq軸電流目標値を静止座標変換してさらに二相/三相変換したものが用いられる。なお、三相の電流目標値が直接与えられる場合は、当該目標値をそのまま用いればよい。また、α軸電流目標値およびβ軸電流目標値が与えられる場合は、二相/三相変換したものを用いればよい。
本実施形態において、制御回路6”は回転座標変換および静止座標変換を行うことなく静止座標系で制御を行っているので、インダクタンスによる制御の干渉が生じない。したがって、モータ3を高速運転した場合でも、安定した制御を行うことができる。また、伝達関数の行列G’Iで表される処理を行う電流コントローラ62”は、図18に示す三相/二相変換部61、二相/三相変換部63、回転座標変換部62a、静止座標変換部62h、およびI制御処理(図18におけるPI制御部62dおよびPI制御部62eが行うPI制御処理に対応する。)と等価の処理を行っている。また、電流コントローラ62”で行われる処理は、伝達関数の行列G’Iで示されるので、線形時不変の処理である。したがって、電流制御システム全体が線形時不変システムになっているので、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。したがって、高速応答性と安定性を両立させる制御設計を行うことができるので、高速応答性を有しつつ安定した制御を行うことができる。
第3実施形態において、逆相分の制御を行う場合には、伝達関数の行列G’Iの要素の内、GI12(s)、GI23(s)およびGI31(s)と、GI13(s)、GI21(s)およびGI32(s)とを入れ換えた行列(すなわち、行列G’Iの転置行列)を用いればよい。
次に、第3実施形態において、正相分、逆相分の両方の制御を行う場合について説明する。
上記(14)式において、行列Gの(1,2)要素と(2,1)要素とを「0」にした場合を考えると、下記(17)式に示す伝達関数の行列G”が算出できる。
したがって、正相分、逆相分の両方の制御を行う場合に、電流コントローラ62”が行う処理を表す伝達関数の行列G”Iは、下記(18)式で表される。
上記第1ないし第3実施形態においては、電流コントローラ62(α軸電流コントローラ62’a、β軸電流コントローラ62’b、電流コントローラ62”)がI制御に代わる制御を行う場合について説明したがこれに限られない。例えば、PI制御に代わる制御を行うようにしてもよい。第1実施形態において、電流コントローラ62がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、上記(11)式に示される伝達関数の行列GPIを用いればよい。
図11は、行列GPIの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。同図(a)は行列GPIの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数を示しており、同図(b)は行列GPIの(1,2)要素の伝達関数を示しており、同図(c)は行列GPIの(2,1)要素の伝達関数を示している。同図は、中心周波数が60Hzの場合のものであり、積分ゲインKIを1に固定して、比例ゲインKPを「0.1」,「1」,「10」,「100」とした場合を示している。
同図(a)が示す振幅特性は中心周波数にピークがあり、比例ゲインKPが大きくなると、中心周波数以外の振幅特性が大きくなっている。また、位相特性は、中心周波数で0度になる。つまり、行列GPIの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号を位相を変化させることなく通過させる。
同図(b)および(c)が示す振幅特性も、中心周波数にピークがある。また、振幅特性および位相特性は、比例ゲインKPに関係なく一定である。また、同図(b)が示す位相特性は、中心周波数で90度になる。つまり、行列GPIの(1,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度進めて通過させる。一方、同図(c)が示す位相特性は、中心周波数で−90度になる。つまり、行列GPIの(2,1)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度遅らせて通過させる。
第2実施形態において、α軸電流コントローラ62’aおよびβ軸電流コントローラ62’bがPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、上記(11)式に示される伝達関数の行列GPIの(1,1)要素および(2,2)要素である伝達関数(KP・s2+KI・s+KP・ω0 2)/(s2+ω0 2)を用いればよい。
第3実施形態において、電流コントローラ62”がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、下記(19)式に示される伝達関数の行列G’PIを用いればよい。
また、第3実施形態で正相分、逆相分の両方の制御を行う場合において、電流コントローラ62”がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、下記(20)式に示される伝達関数の行列G”PIを用いればよい。
PI制御に代わる制御を行う場合、比例ゲインKPを調整することにより、過渡時のダンピング効果を付加することができるというメリットがあるが、モデル化誤差の影響を受けやすくなるというデメリットがある。逆に、I制御に代わる制御を行う場合、過渡時のダンピング効果を付加することができないというデメリットがあるが、モデル化誤差の影響を受けにくくなるというメリットがある。
なお、電流コントローラ62(α軸電流コントローラ62’a、β軸電流コントローラ62’b、電流コントローラ62”)がI制御およびPI制御以外の制御に代わる制御を行うようにしてもよい。上記(10)式において、伝達関数F(s)を各制御の伝達関数とすることで、回転座標変換を行ってから当該制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列を算出することができる。したがって、PID制御(伝達関数は、比例ゲインをKP、積分ゲインをKI、微分ゲインをKDとすると、F(s)=KP+KI/s+KD・sで表される。)に代わる制御を行うようにすることができるし、D制御(微分制御:伝達関数は、微分ゲインをKDとすると、F(s)=KD・sで表される。)、P制御(比例制御:伝達関数は、比例ゲインをKPとすると、F(s)=KPで表される。)、PD制御、ID制御などに代わる制御を行うようにすることができる。
上記第1ないし第3実施形態においては、出力電流を制御する場合について説明したが、これに限られない。例えば、出力電圧を制御するようにしてもよい。この場合は、電流センサ4(図6参照)に代えて電圧センサを設けて、当該電圧センサから入力される電圧信号に基づいてPWM信号を生成するようにすればよい。
次に、高調波を補償する構成を設けた場合について説明する。
インバータでモータ駆動を行う場合、モータに流れる電流に高調波成分が含まれる場合がある。高調波成分は、PWM信号生成時のデッドタイムの付加、電流センサの不平衡やオフセット、直流電源から出力される直流電圧の揺れ、モータの構造などが原因となって発生する。モータ駆動において高調波成分が含まれていると、過電流や騒音の発生、制御性能の低下などが生じるので、高調波成分を抑制する必要がある。インバータ回路の制御回路に高調波成分を抑制するための高調波補償コントローラを設けた場合について、第4実施形態として以下に説明する。
まず、高調波成分の制御を行う方法について説明する。
上記(10)式に示す伝達関数の行列Gは、基本波成分を制御するためのものである。n次高調波は基本波の角周波数をn倍した角周波数の成分である。n次高調波の正相分を三相/二相変換した場合、α軸信号がβ軸信号より位相が進む場合と遅れる場合とがある。n=3k+1(k=1,2,…)の場合、n次高調波の正相分信号の相の順番は、基本波の正相分信号の相の順番に一致する。すなわち、基本波の正相分のU,V,W相の信号をそれぞれ、Vu=Vcosθ、Vv=Vcos(θ−2π/3)、Vw=Vcos(θ−4π/3)とすると、例えば7次高調波の正相分のU,V,W相の信号はそれぞれ、Vu7=V7cos7θ、Vv7=V7cos(7θ−14π/3)=V7cos(7θ−2π/3)、Vw7=V7cos(7θ−28π/3)=V7cos(7θ−4π/3)となる。この場合、相の順番が基本波の正相分信号の相の順番に一致し、図8(a)と同様に、α軸信号の位相がβ軸信号の位相より90度進む。したがってn次高調波(n=3k+1)の正相分を制御する場合の伝達関数の行列は、上記(10)式においてω0をn・ω0とした下記(21)式に示す伝達関数の行列Gnとなる。一方、n=3k+2(k=0,1,2,…)の場合、n次高調波の正相分信号の相の順番は、基本波の逆相分信号の相の順番に一致する。すなわち、基本波の正相分のU,V,W相の信号Vu,Vv,Vwを上記の様にすると、例えば5次高調波の正相分のU,V,W相の信号はそれぞれ、Vu5=V5cos5θ、Vv5=V5cos(5θ−10π/3)=V5cos(5θ−4π/3)、Vw5=V5cos(5θ−20π/3)=V5cos(5θ−2π/3)となる。この場合、相の順番が基本波の逆相分信号の相の順番に一致し、図8(b)と同様に、α軸信号の位相がβ軸信号の位相より90度遅れる。したがってn次高調波(n=3k+2)の正相分を制御する場合の伝達関数の行列は、上記(10)式においてω0をn・ω0とし、(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた下記(21’)式に示す伝達関数の行列Gnとなる。
また、n次高調波(n=3k+1)の正相分をI制御するための伝達関数の行列GInは、上記(12)式においてω0をn・ω0として、下記(22)式のように算出される。一方、n次高調波(n=3k+2)の正相分をI制御するための伝達関数の行列GInは、上記(12)式においてω0をn・ω0とし、(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えて、下記(22’)式のように算出される。下記(22)式および(22’)式は、上記(21)式および(21’)式において、F(s)=KI/sとして算出することもできる。第4実施形態に係る高調波補償コントローラは、下記(22)式および(22’)式の伝達関数の行列GInで表される処理を行う。
図12は、第4実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。同図において、図6に示す制御回路6と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図12に示す制御回路7は、高調波補償コントローラ8を備えている点で、第1実施形態に係る制御回路6(図6参照)と異なる。
高調波補償コントローラ8は、高調波成分を抑制するためのものであり、三相/二相変換部61より出力されるα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβを入力され、高調波抑制制御のための高調波補償信号Yα,Yβを生成するものである。インバータ回路2からモータ3に流れる電流には、5次、7次、11次の高調波の正相分が多く含まれるので、高調波補償コントローラ8は、5次高調波の正相分を抑制するための5次高調波補償部81、7次高調波の正相分を抑制するための7次高調波補償部82、および11次高調波の正相分を抑制するための11次高調波補償部83を備えている。
5次高調波補償部81は、5次高調波の正相分を抑制するためのものである。5次高調波補償部81は、上記(22’)式の伝達関数の行列GInにおいて、n=5とした5次高調波の正相分を制御するための伝達関数の行列GI5に表される処理を行う。つまり、5次高調波補償部81は、下記(23)式に示す処理を行って、5次高調波補償信号Yα5,Yβ5を出力する。角周波数ω0は回転速度検出回路5から入力され、積分ゲインKI5はあらかじめ設計されている。また、5次高調波補償部81は、安定余裕を最大化する処理も行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。
本実施形態において、5次高調波補償部81は、周波数重みに伝達関数の行列GI5を用いて、線形制御理論の1つであるH∞ループ整形法によって設計される。5次高調波補償部81で行われる処理は、伝達関数の行列GI5で示されるので、線形時不変の処理である。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計を行うことができる。
なお、制御系の設計に用いる設計方法はこれに限られず、その他の線形制御理論を用いることもできる。例えば、ループ整形法、最適制御、H∞制御、混合感度問題などを用いて設計するようにしてもよい。また、位相の遅延分から調整するための位相θ5をあらかじめ算出して設定するようにしてもよい。例えば、制御対象で位相が90度遅延する場合であれば、180度位相を遅延させるために、θ5=−90度として設定してもよい。この場合、上記(23)式に位相θ5に基づく回転変換行列を追加することになる。
7次高調波補償部82は、7次高調波の正相分を抑制するためのものである。7次高調波補償部82は、上記(22)式の伝達関数の行列GInにおいて、n=7とした7次高調波の正相分を制御するための伝達関数の行列GI7に表される処理を行う。つまり、7次高調波補償部82は、下記(24)式に示す処理を行って、7次高調波補償信号Yα7,Yβ7を出力する。角周波数ω0は回転速度検出回路5から入力され、積分ゲインKI7はあらかじめ設計されている。また、7次高調波補償部82は、安定余裕を最大化する処理も行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。7次高調波補償部82も、5次高調波補償部81と同様の方法で設計される。
11次高調波補償部83は、11次高調波の正相分を抑制するためのものである。11次高調波補償部83は、上記(22’)式の伝達関数の行列GInにおいて、n=11とした11次高調波の正相分を制御するための伝達関数の行列GI11に表される処理を行う。つまり、11次高調波補償部83は、下記(25)式に示す処理を行って、11次高調波補償信号Yα11,Yβ11を出力する。角周波数ω0は回転速度検出回路5から入力され、積分ゲインKI11はあらかじめ設計されている。また、11次高調波補償部83は、安定余裕を最大化する処理も行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。11次高調波補償部83も、5次高調波補償部81と同様の方法で設計される。
5次高調波補償部81が出力した5次高調波補償信号Yα5,Yβ5、7次高調波補償部82が出力した7次高調波補償信号Yα7,Yβ7、および、11次高調波補償部83が出力した11次高調波補償信号Yα11,Yβ11がそれぞれ加算されて、高調波補償信号Yα,Yβとして高調波補償コントローラ8から出力される。なお、本実施形態では、高調波補償コントローラ8が、5次高調波補償部81、7次高調波補償部82、および11次高調波補償部83を備えている場合について説明したが、これに限られない。高調波補償コントローラ8は、抑制する必要がある高調波の次数に応じて設計すればよい。例えば、5次高調波のみを抑制したい場合は、5次高調波補償部81のみを備えていればよい。また、さらに13次高調波も抑制したい場合には、上記(22)式の伝達関数の行列GInにおいて、n=13とした伝達関数の行列GI13に表される処理を行う13次高調波補償部をさらに備えるようにすればよい。
高調波補償コントローラ8から出力される高調波補償信号Yα,Yβは、電流コントローラ62から出力される補正値信号Xα,Xβに加算される。二相/三相変換部63には、高調波補償信号Yα,Yβを加算された補正値信号Xα,Xβが入力される。
本実施形態においては、高調波補償コントローラ8によって、インバータ回路2からモータ3に流れる電流から高調波成分を抑制することができる。また、本実施形態において、5次高調波補償部81は、回転座標変換および静止座標変換を行うことなく、静止座標系で制御を行っている。伝達関数の行列GI5は、回転座標変換を行ってからI制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列である。また、5次高調波補償部81で行われる処理は、伝達関数の行列GI5で示されるので、線形時不変の処理である。また、5次高調波補償の制御ループには非線形時変処理である回転座標変換処理および静止座標変換処理が含まれていないので、線形時不変システムになっている。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。7次高調波補償部82および11次高調波補償部83も、5次高調波補償部81と同様であり、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。
なお、上記実施形態においては、伝達関数の行列の各要素の積分ゲインが同一である場合について説明したが、要素毎に異なる値を用いるようにしてもよい。例えば、α軸成分の速応性を向上させたり、安定性を高めたりするなどの付加特性を与えるように設計することもできる。また、(1,2)要素と(2,1)要素の積分ゲインKIを「0」に設計して、正相分、逆相分の両方を制御するという付加特性を与えることもできる。正相分、逆相分の両方を制御する場合については、後述する。
また、上記実施形態においては、5次高調波補償部81、7次高調波補償部82、11次高調波補償部83をそれぞれ個別に設計する場合について説明したが、これに限られない。積分ゲインを共通にするようにして、5次高調波補償部81、7次高調波補償部82、11次高調波補償部83を一度に設計するようにしてもよい。
上記実施形態においては、各高調波の正相分を制御する場合について説明したが、これに限られない。各高調波の逆相分を制御するようにしてもよい。この場合は、正相分を制御する場合に用いられた伝達関数の行列GInの(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた行列を用いればよい。また、正相分、逆相分の両方の制御を行う場合は、正相分を制御する場合に用いられた伝達関数の行列GInの(1,2)要素と(2,1)要素を「0」にした行列を用いればよい。
上記第4実施形態においては、3つの電流信号Iu,Iv,Iwをα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβに変換して制御する場合について説明したが、これに限られない。例えば、3つの電流信号Iu,Iv,Iwを用いて直接制御するようにしてもよい。以下に、この場合の実施形態を第5実施形態として説明する。
図13は、第5実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。同図において、第4実施形態に係る制御回路7(図12参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図13に示す制御回路7’は、三相/二相変換部61および二相/三相変換部63を備えておらず、電流コントローラ62”、5次高調波補償部81’、7次高調波補償部82’、および11次高調波補償部83’が3つの電流信号Iu,Iv,Iwを用いて直接制御を行う点で、第4実施形態に係る制御回路7(図12参照)と異なる。なお、電流コントローラ62”は、第3実施形態に係るものと共通する(図10参照)。
三相/二相変換および二相/三相変換は、上記(1)式および(4)式で表されるので、三相/二相変換を行ってから伝達関数の行列Gnで表される処理を行った後に二相/三相変換を行う処理は、下記(26)式に示す伝達関数の行列G’ nで表される。
したがって、三相/二相変換を行ってから伝達関数の行列GInで表される処理を行った後に二相/三相変換を行う処理は、下記(27)式に示す伝達関数の行列G’Inで表される。
5次高調波補償部81’は、電流センサ4より出力される3つの電流信号Iu,Iv,Iwを入力され、5次高調波の正相分を抑制するための5次高調波補償信号Yu5,Yv5,Yw5を生成するものであり、下記(28)式に示す処理を行っている。なお、伝達関数の行列G’I5は、上記(27)式の伝達関数の行列G’Inにおいて、n=5としたものである。また、5次高調波補償部81’は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。
本実施形態において、5次高調波補償部81’は、周波数重みに伝達関数の行列G’I5を用いて、線形制御理論の1つであるH∞ループ整形法によって設計される。5次高調波補償部81’で行われる処理は、伝達関数の行列G’I5で示されるので、線形時不変の処理である。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計を行うことができる。5次高調波補償部81’は、第4実施形態に係る5次高調波補償部81と同様にして設計される。なお、その他の線形制御理論を用いて設計してもよい。
7次高調波補償部82’は、電流センサ4より出力される3つの電流信号Iu,Iv,Iwを入力され、7次高調波の正相分を抑制するための7次高調波補償信号Yu7,Yv7,Yw7を生成するものであり、下記(29)式に示す処理を行っている。なお、伝達関数の行列G’I7は、上記(27)式の伝達関数の行列G’Inにおいて、n=7としたものである。また、7次高調波補償部82’は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。7次高調波補償部82’も、5次高調波補償部81’と同様の方法で設計される。
11次高調波補償部83’は、電流センサ4より出力される3つの電流信号Iu,Iv,Iwを入力され、11次高調波の正相分を抑制するための11次高調波補償信号Yu11,Yv11,Yw11を生成するものであり、下記(30)式に示す処理を行っている。なお、伝達関数の行列G’I11は、上記(27)式の伝達関数の行列G’Inにおいて、n=11としたものである。また、11次高調波補償部83’は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。11次高調波補償部83’も、5次高調波補償部81’と同様の方法で設計される。
5次高調波補償部81’が出力した5次高調波補償信号Yu5,Yv5,Yw5、7次高調波補償部82’が出力した7次高調波補償信号Yu7,Yv7,Yw7、および、11次高調波補償部83’が出力した11次高調波補償信号Yu11,Yv11,Yw11がそれぞれ加算されて、高調波補償信号Yu,Yv,Ywとして高調波補償コントローラ8’から出力され、電流コントローラ62”が出力した補正値信号Xu,Xv,Xwにそれぞれ加算される。PWM信号生成部64には、高調波補償信号Yu,Yv,Ywが加算された補正値信号Xu,Xv,Xwが入力される。なお、高調波補償コントローラ8’は、抑制する必要がある高調波の次数に応じて設計すればよい。例えば、5次高調波のみを抑制したい場合は5次高調波補償部81’のみを備えていればよく、さらに13次高調波も抑制したい場合には、上記(27)式の伝達関数の行列G’Inにおいて、n=13とした伝達関数の行列G’I13に表される処理を行う13次高調波補償部をさらに備えるようにすればよい。
5次高調波補償部81’で行われる処理は、伝達関数の行列G’I5で示されるので、線形時不変の処理である。また、5次高調波補償の制御ループには非線形時変処理である回転座標変換処理および静止座標変換処理が含まれていないので、線形時不変システムになっている。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。7次高調波補償部82’および11次高調波補償部83’についても同様である。
第5実施形態において、各高調波の逆相分を制御する場合は、正相分を制御する場合に用いられた伝達関数の行列G’Inの要素の内、GIn12(s)、GIn23(s)およびGIn31(s)と、GIn13(s)、GIn21(s)およびGIn32(s)とを入れ換えた行列(すなわち、行列G’Inの転置行列)を用いればよい。また、正相分、逆相分の両方の制御を行うようにしてもよい。以下に、第5実施形態において、5次高調波補償部81’、7次高調波補償部82’、および11次高調波補償部83’が、正相分、逆相分の両方の制御を行う場合について説明する。
上記(26)式において、行列Gnの(1,2)要素と(2,1)要素とを「0」にした場合を考えると、下記(31)式に示す伝達関数の行列G”nが算出できる。
したがって、5次高調波補償部81’が正相分、逆相分の両方の制御を行う場合は、下記(32)式の伝達関数の行列G”Inにおいて、n=5とした行列G”I5を用いるようにすればよい。同様に、7次高調波補償部82’が正相分、逆相分の両方の制御を行う場合は、下記(32)式の伝達関数の行列G”Inにおいて、n=7とした行列G”I7を用いるようにすればよく、11次高調波補償部83’が正相分、逆相分の両方の制御を行う場合は、下記(32)式の伝達関数の行列G”Inにおいて、n=11とした行列G’I11を用いるようにすればよい。
上記第4ないし第5実施形態においては、5次高調波補償部81(81’)、7次高調波補償部82(82’)、および11次高調波補償部83(83’)がI制御に代わる制御を行う場合について説明したがこれに限られない。例えば、PI制御に代わる制御を行うようにしてもよい。第4実施形態において、5次高調波補償部81、7次高調波補償部82、および11次高調波補償部83がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、n=3k+1(k=1,2,…)の場合、上記(11)式においてω0をn・ω0として、下記(33)式のように算出される伝達関数の行列GPInを用いればよい。また、n=3k+2(k=0,1,2,…)の場合、上記(11)式においてω0をn・ω0とし、(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えて、下記(33’)式のように算出される伝達関数の行列GPInを用いればよい。なお、下記(33)式および(33’)式は、上記(21)式および(21’)式において、F(s)=KP+KI/sとして算出することもできる。
5次高調波補償部81がPI制御に代わる制御を行うようにする場合、上記(33’)式においてn=5とした行列GPI5を用いればよく、7次高調波補償部82がPI制御に代わる制御を行うようにする場合、上記(33)式においてn=7とした行列GPI7を用いればよく、11次高調波補償部83がPI制御に代わる制御を行うようにする場合、上記(33’)式においてn=11とした行列GPI11を用いればよい。また、正相分、逆相分の両方の制御を行う場合は、上記(33)式および(33’)式に示される伝達関数の行列GPInの(1,2)要素および(2,1)要素を「0」にした行列を用いればよい。
第5実施形態において、5次高調波補償部81’、7次高調波補償部82’、および11次高調波補償部83’がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、下記(34)式に示される伝達関数の行列G’PInを用いればよい。
第5実施形態で各高調波の逆相分を制御する場合において、5次高調波補償部81’、7次高調波補償部82’、および11次高調波補償部83’がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、上記(34)式に示す伝達関数の行列G’PInの要素の内、GPIn12(s)、GPIn23(s)およびGPIn31(s)と、GPIn13(s)、GPIn21(s)およびGPIn32(s)とを入れ換えた行列(すなわち、行列G’PInの転置行列)を用いればよい。また、第5実施形態で正相分、逆相分の両方の制御を行う場合において、5次高調波補償部81’、7次高調波補償部82’、および11次高調波補償部83’がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、下記(35)式に示される伝達関数の行列G”PInを用いればよい。
PI制御に代わる制御を行う場合、比例ゲインKPを調整することにより、過渡時のダンピング効果を付加することができるというメリットがあるが、モデル化誤差の影響を受けやすくなるというデメリットがある。逆に、I制御に代わる制御を行う場合、過渡時のダンピング効果を付加することができないというデメリットがあるが、モデル化誤差の影響を受けにくくなるというメリットがある。
なお、5次高調波補償部81(81’)、7次高調波補償部82(82’)、および11次高調波補償部83(83’)がI制御およびPI制御以外の制御に代わる制御を行うようにしてもよい。上記(21)、(21’)式において、伝達関数F(s)を各制御の伝達関数とすることで、回転座標変換を行ってから当該制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列を算出することができる。したがって、PID制御(伝達関数は、比例ゲインをKP、積分ゲインをKI、微分ゲインをKDとすると、F(s)=KP+KI/s+KD・sで表される。)に代わる制御を行うようにすることができるし、D制御(微分制御:伝達関数は、微分ゲインをKDとすると、F(s)=KD・sで表される。)、P制御(比例制御:伝達関数は、比例ゲインをKPとすると、F(s)=KPで表される。)、PD制御、ID制御などに代わる制御を行うようにすることができる。
次に、トルクリプルを補償する方法について説明する。
モータのトルク制御においては、発生トルクの品質が重要視される。高調波と同様に、PWM信号生成時のデッドタイムの付加、電流センサの不平衡やオフセット、直流電源から出力される直流電圧の揺れ、モータの構造などが原因となって、トルクに脈動が生じる。このトルクの周期リプルを除去する方法として、トルク指令値に対応した電流目標値にトルクリプルを補償する適切な補償信号(以下では、「トルクリプル補償信号」とする。)を重畳する方法がある。トルクリプル補償信号は、一般的に5,7,11次などの高調波成分である。したがって、第4実施形態において高調波を補償する代わりに、トルクリプル補償信号に追従する制御を行えばよい。高調波補償コントローラに代えてトルクリプル補償コントローラを設けた場合について、第6実施形態として以下に説明する。
図14は、第6実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。同図において、図12に示す制御回路7と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図14に示す制御回路7”は、トルクリプル補償コントローラ8”(実質的には第4実施形態の高調波補償コントローラ8と同じである。)にα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβを入力する代わりに、α軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβとそれぞれの目標値との偏差を入力する点で、第4実施形態に係る制御回路7(図12参照)と異なる。
トルクリプル補償コントローラ8”は、トルクリプル補償信号に追従する制御を行うためのものであり、三相/二相変換部61より出力されるα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβとα軸電流目標値およびβ軸電流目標値との偏差ΔIα,ΔIβを入力され、トルクリプル補償制御のための補償信号Yα,Yβを生成するものである。α軸電流目標値およびβ軸電流目標値には、トルクリプル補償信号が重畳されている。
5次高調波補償部81、7次高調波補償部82、および11次高調波補償部83には、α軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβとα軸電流目標値およびβ軸電流目標値との偏差ΔIα,ΔIβがそれぞれ入力されるが、各高調波補償部81,82,83は振幅特性(図7参照)からそれぞれ対応する高調波成分のみを制御する。したがって、例えば、5次高調波補償部81においては、α軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβに含まれる5次高調波成分が、α軸電流目標値およびβ軸電流目標値に重畳されているトルクリプル補償信号の5次高調波成分に追従するように制御される。
第6実施形態においては、インバータ回路2からモータ3に流れる電流をトルクリプル補償信号が重畳された電流目標値に追従させることで、トルクの周期リプルを除去することができる。
3つの電流信号Iu,Iv,Iwを用いて直接制御する場合は、第5実施形態(図13参照)において、5次高調波補償部81’、7次高調波補償部82’、および11次高調波補償部83’に、電流信号Iu,Iv,Iwを入力する代わりに、電流信号Iu,Iv,Iwとそれぞれの目標値との偏差を入力するようにすればよい。
上記第1ないし第6実施形態においては、三相交流モータを駆動する場合について説明したが、これに限られない。本発明は、単相交流モータを駆動する場合にも適用することができる。
本発明を単相に適用する方法の1つとして、電流センサが検出した電流信号から位相をπ/2(90度)遅らせた信号を生成して用いる方法がある。この場合について、第7実施形態として以下に説明する。
図15は、第7実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。同図において、第1実施形態に係る制御回路6(図6参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図15に示すインバータ装置は、インバータ回路2’が図示しない2組4個のスイッチング素子を備えたPWM制御型の単相インバータを備えている点と、モータ3’が単相交流電力を用いる単相モータである点で、第1実施形態に係るインバータ装置と異なる。また、図15に示す制御回路9は、三相/二相変換部61および二相/三相変換部63を備えておらず、位相遅延部65を備えている点で、第1実施形態に係る制御回路6(図6参照)と異なる。
位相遅延部65は、電流センサ4が検出した単相の電流信号を入力され、当該電流信号(α軸電流信号Iα)とα軸電流信号Iαの位相をπ/2遅らせたβ軸電流信号Iβとを出力する。位相遅延部65は、入力された信号の位相をπ/2だけ遅らせるヒルベルト変換を行っている。理想的なヒルベルト変換は、下記(36)式に示す伝達関数H(ω)で表される。なお、ωSは標本化角周波数であり、jは虚数単位である。つまり、ヒルベルト変換とは、振幅特性は周波数によらず一定で、位相特性は正負の周波数領域でπ/2遅らせるフィルタ処理である。理想的なヒルベルト変換を実現することはできないので、例えばFIR(Finite impulse response)フィルタとして近似的に実現している。
なお、位相遅延部65はこれに限られず、入力された信号の位相をπ/2遅らせた信号を生成することができればよい。例えば、出願人が出願している特願2011−231445号に記載の複素係数フィルタを用いたり、同じく特願2012−030234号に記載の下記(37)式の伝達関数GF(s)に示す処理を行うフィルタを用いるようにしてもよい。
F(s)=T・ω0/{(T・s+1)2+(T・ω02} ・・・ (37)
ω0 :回転速度検出回路5が算出した角周波数
T :時定数
電流コントローラ62は、位相遅延部65より出力されるα軸電流信号Iα(電流センサ4が検出した単相の電流信号)およびβ軸電流信号Iβ(α軸電流信号Iαの位相をπ/2遅らせた信号)とそれぞれの目標値との偏差ΔIα,ΔIβを入力され、上記(13)式に示す処理を行って、電流制御のための補正値信号Xα,Xβを生成する。PWM信号生成部64’は、電流コントローラ62より出力される補正値信号Xα(または、補正値信号Xβ)に基づいて指令値信号を生成し、キャリア信号と比較することでPWM信号を生成する。また、PWM信号生成部64’は、指令値信号を反転させた信号とキャリア信号との比較によりPWM信号を生成する。また、PWM信号生成部64’は、生成された2つのPWM信号を反転させた信号も生成し、これら4つの信号をインバータ回路2’に出力する。なお、α軸電流信号Iαとα軸電流目標値との偏差ΔIαを先に算出し、この偏差信号を位相遅延部65に入力して位相をπ/2遅らせた信号を生成し、これらを電流コントローラ62に入力するようにしてもよい。
第7実施形態においては、三相の電流信号から三相二相変換でα軸電流信号Iαおよびβ軸電流信号Iβを生成する代わりに、単相の電流信号(α軸電流信号Iα)の位相をπ/2遅らせることでβ軸電流信号Iβを生成することで、第1実施形態に係る三相の電流制御の処理方法を適用することができる。また、第7実施形態においても、第1実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。第2,4,6実施形態においても同様にして、単相交流モータを駆動する場合に適用することができる。
また、本発明を単相に適用するもう1つの方法として、単相の電流信号のみを用いて処理を行う方法がある。
上記第2実施形態(図9参照)において説明したように、正相分、逆相分の両方の制御を行なう場合、上記(12)式に示す行列GIの(1,2)要素および(2,1)要素を「0」にした行列を用いればよい。単相システムの場合、α軸電流信号にのみ処理を行えばよいので、位相を90度遅らせたβ軸電流信号を生成しなくてもよい。以下に、単相の電流信号のみを用いて処理を行う場合について、第8実施形態として説明する。
図16は、第8実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。同図において、第7実施形態に係る制御回路9(図15参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図16に示す制御回路9’は、電流コントローラ62に代えて第2実施形態に係るα軸電流コントローラ62’a(図9参照)を備えている点と、位相遅延部65を備えていない点で、第7実施形態に係る制御回路9(図15参照)と異なる。
α軸電流コントローラ62’aには、単相用の電流センサ4が検出した単相の電流信号(α軸電流信号)とα軸電流目標値との偏差が入力される。α軸電流コントローラ62’aは、行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素である伝達関数KI・s/(s2+ω0 2)で表される処理を行って、補正値信号XαをPWM信号生成部64’に出力する。
第8実施形態においても、第2実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。第4,6実施形態においても同様して、単相交流モータを駆動する場合に適用することができる。
本発明に係るモータ駆動用インバータ回路の制御回路、および、当該制御回路を備えたインバータ装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るモータ駆動用インバータ回路の制御回路、および、当該制御回路を備えたインバータ装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
1 直流電源
2,2’ インバータ回路
3,3’ モータ
4 電流センサ
5 回転速度検出回路
6,6’,6”,7,7’,7”,9,9’ 制御回路
61 三相/二相変換部(二相変換手段)
62,62” 電流コントローラ(制御手段)
62’a α軸電流コントローラ(制御手段)
62’b β軸電流コントローラ(制御手段)
63 二相/三相変換部
64,64’ PWM信号生成部
65 位相遅延部(二相変換手段)
8,8’ 高調波補償コントローラ
8” トルクリプル補償コントローラ
81,81’ 5次高調波補償部
82,82’ 7次高調波補償部
83,83’ 11次高調波補償部

Claims (22)

  1. モータを駆動するためのインバータ回路の制御回路であって、
    前記インバータ回路の出力に基づく信号を第1の信号と第2の信号に変換する二相変換手段と、
    前記第1の信号および前記第2の信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号および第2の偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、
    前記第1の偏差信号および前記第2の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号および第2の補正値信号を生成する制御手段と、
    前記第1の補正値信号または前記第2の補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    を備えており、
    前記制御手段は、
    前記第1および第2の偏差信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数F(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換するのと同様の処理を行うものであり、
    前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記第1の補正値信号を生成し、
    前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理することで前記第2の補正値信号を生成し、
    前記第1の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
    である、
    ことを特徴とする制御回路。
  2. モータを駆動するためのインバータ回路の制御回路であって、
    前記インバータ回路の出力に基づく信号とそれぞれの目標値との偏差である偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、
    前記偏差信号を第1の偏差信号および第2の偏差信号に変換する二相変換手段と、
    前記第1の偏差信号および前記第2の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号および第2の補正値信号を生成する制御手段と、
    前記第1の補正値信号または前記第2の補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    を備えており、
    前記制御手段は、
    前記第1および第2の偏差信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数F(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換するのと同様の処理を行うものであり、
    前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記第1の補正値信号を生成し、
    前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理することで前記第2の補正値信号を生成し、
    前記第1の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
    である、
    ことを特徴とする制御回路。
  3. 前記制御手段は、
    前記第1の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、
    前記第1の偏差信号を第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、
    前記第2の伝達関数および前記第3の伝達関数は、それぞれ、
    である、
    請求項1または2に記載の制御回路。
  4. 前記インバータ回路は三相インバータを備えており、
    前記二相変換手段は、前記インバータ回路の三相の出力に基づく3つの信号を前記第1の信号と前記第2の信号に変換するものであり、
    前記第1の補正値信号と前記第2の補正値信号とを3つの補正値信号に変換する二相三相変換手段をさらに備え、
    前記PWM信号生成手段は、前記3つの補正値信号に基づいて前記PWM信号を生成する、
    請求項1ないし3のいずれかに記載の制御回路。
  5. 前記インバータ回路は単相インバータを備えており、
    前記二相変換手段は、前記インバータ回路の単相の出力に基づく信号を前記第1の信号とし、前記第1の信号の位相を90度遅らせた信号を前記第2の信号として生成する、
    請求項1ないし3のいずれかに記載の制御回路。
  6. モータを駆動するためのインバータ回路の制御回路であって、
    前記インバータ回路の三相の出力に基づく3つの信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号、第2の偏差信号、および第3の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号、第2の補正値信号、および第3の補正値信号を生成する制御手段と、
    前記3つの補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    を備えており、
    前記制御手段は、
    前記第1ないし第3の偏差信号から変換された2つの信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数F(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換し、変換後の2つの信号を第1ないし第3の補正値信号に変換するのと同様の処理を行うものであり、
    前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、
    前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、
    前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第3の補正値信号を生成し、
    前記第1の伝達関数および前記第2の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、それぞれ、
    である、
    ことを特徴とする制御回路。
  7. モータを駆動するためのインバータ回路の制御回路であって、
    前記インバータ回路の三相の出力に基づく3つの信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号、第2の偏差信号、および第3の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号、第2の補正値信号、および第3の補正値信号を生成する制御手段と、
    前記3つの補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    を備えており、
    前記制御手段は、
    前記第1ないし第3の偏差信号から変換された2つの信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数F(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換し、変換後の2つの信号を第1ないし第3の補正値信号に変換するのと同様の処理を行うものであり、
    前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を第3の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、
    前記第1の偏差信号を前記第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、
    前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第3の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第3の補正値信号を生成し、
    前記第1ないし第3の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、それぞれ、
    である、
    ことを特徴とする制御回路。
  8. モータを駆動するためのインバータ回路の制御回路であって、
    前記インバータ回路の単相の出力に基づく信号と目標値との偏差である偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、
    前記偏差信号に含まれる基本波成分をゼロに制御するための補正値信号を生成する制御手段と、
    前記補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    を備えており、
    前記制御手段は、
    前記偏差信号と、前記偏差信号の位相を90度遅らせた信号とに対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数F(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換するのと同様の処理を行うものであり、
    前記偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記補正値信号を生成し、
    前記第1の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
    である、
    ことを特徴とする制御回路。
  9. 記伝達関数F(s)が、F(s)=KI/s(但し、KIは積分ゲイン)である、請求項1ないし8のいずれかに記載の制御回路。
  10. 記伝達関数F(s)が、F(s)=KP+KI/s(但し、KPおよびKIは、それぞれ比例ゲインおよび積分ゲイン)である、請求項1ないし8のいずれかに記載の制御回路。
  11. 記伝達関数F(s)が、F(s)=KP+KI/s+KD・s(但し、KP、KIおよびKDは、それぞれ比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲイン)である、請求項1ないし8のいずれかに記載の制御回路。
  12. 前記第1の信号および前記第2の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号および第2の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号および前記第2の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号および前記第2の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備え、
    前記高調波補償手段は、
    前記第1および第2の信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f’(t)をもつ一入力一出力伝達関数F’(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換することで前記第1および第2の高調波補償信号を生成するのと同様の処理を行うものであり、
    前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理することで前記第1の高調波補償信号を生成し、
    前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理することで、前記第2の高調波補償信号を生成し、
    前記第4の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとし、n次高調波を抑制する場合、
    である、
    請求項1に記載の制御回路。
  13. 前記高調波補償手段は、
    前記第1の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、
    前記第1の信号を第6の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、
    前記第5の伝達関数および前記第6の伝達関数は、
    n次高調波(n=3k+1:k=1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
    であり、
    n次高調波(n=3k+2:k=0,1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
    である、
    請求項12に記載の制御回路。
  14. 前記3つの信号である第1の信号、第2の信号、および第3の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号、第2の高調波補償信号、および第3の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号ないし前記第3の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号ないし前記第3の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備えており、
    前記高調波補償手段は、
    前記第1ないし第3の信号から変換された2つの信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f’(t)をもつ一入力一出力伝達関数F’(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換し、変換後の2つの信号を第1ないし第3の高調波補正値信号に変換するのと同様の処理を行うものであり、
    前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、
    前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、
    前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第3の高調波補償信号を生成し、
    前記第4の伝達関数および前記第5の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとし、n次高調波を抑制する場合、それぞれ、
    である、
    請求項6または7に記載の制御回路。
  15. 前記3つの信号である第1の信号、第2の信号、および第3の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号、第2の高調波補償信号、および第3の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号ないし前記第3の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号ないし前記第3の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備えており、
    前記高調波補償手段は、
    前記第1ないし第3の信号から変換された2つの信号に対して回転座標変換を行ってから、インパルス応答f’(t)をもつ一入力一出力伝達関数F’(s)で表される制御処理を行って、生成された信号を静止座標変換し、変換後の2つの信号を第1ないし第3の高調波補正値信号に変換するのと同様の処理を行うものであり、
    前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を第6の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、
    前記第1の信号を前記第6の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、
    前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第6の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第3の高調波補償信号を生成し、
    前記第4の伝達関数ないし前記第6の伝達関数は、前記モータの回転速度に応じた角周波数をω0、虚数単位をjとし、
    n次高調波(n=3k+1:k=1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
    であり、
    n次高調波(n=3k+2:k=0,1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
    である、
    請求項6または7に記載の制御回路。
  16. 前記高調波補償手段は、前記第1の信号および前記第2の信号に代えて、前記第1の偏差信号および前記第2の偏差信号を用いる、請求項12または13に記載の制御回路。
  17. 前記高調波補償手段は、前記第1の信号ないし前記第3の信号に代えて、前記第1の偏差信号ないし前記第3の偏差信号を用いる、請求項14または15に記載の制御回路。
  18. 前記出力に基づく信号は、出力電流を検出した信号である、請求項1ないし17のいずれかに記載の制御回路。
  19. 前記出力に基づく信号は、出力電圧を検出した信号である、請求項1ないし17のいずれかに記載の制御回路。
  20. 制御系の設計が、ロバスト制御設計を用いて行われている、請求項1ないし19のいずれかに記載の制御回路。
  21. 制御系の設計が、H∞ループ整形法を用いて行われている、請求項20に記載の制御回路。
  22. インバータ回路と、請求項1ないし21のいずれかに記載の制御回路とを備えていることを特徴とするインバータ装置。
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