JP5962177B2 - シアン含有排水の処理方法および処理剤 - Google Patents

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本発明は、シアン含有排水を銅、還元剤等の無機薬剤を含む処理剤との反応によりシアンの不溶性塩を生成させ、これを凝集分離して除去する処理方法および処理剤に関するものである。
製鉄所のコークス製造工程から排出されるガス液(安水)や、金属めっき工場、化学工場などから排出されるシアン含有排水は、遊離シアンのほか錯体シアンを含有している。このようなシアン含有排水は、シアンを除去して無害化する処理が行われている。一般的なシアン処理としては、アルカリおよび遊離塩素を反応させて分解するアルカリ塩素法が知られているが、この方法は遊離シアンの分解については有効であるが、鉄シアンなどの錯体を形成しているシアンは除去できない。
フェロシアンイオン、フェリシアンイオンなどの鉄シアン錯体含有水を処理する方法として、鉄塩(II)を添加して鉄シアン錯体と反応させる紺青法が知られている。この方法では、弱酸性(pH4〜6)で不溶性の鉄シアン錯塩を沈殿させ、その後高アルカリ(pH9〜12)で過剰の鉄塩(II)および共存重金属を水酸化物として沈殿させる。しかし紺青法においては、不溶性鉄シアン錯体が生成する領域は弱酸性であるため、鉄シアン錯体をpH4〜6で沈殿させる第1の工程と、過剰の鉄塩(II)および共存重金属をpH9〜12で沈殿させる第2の工程の2段階処理が必要である。
特許文献1(特開昭63−39693(特公平2−48315))には、還元剤存在下に銅塩を添加し、各種シアンの不溶性塩を生成させる還元銅塩法が適用されている。この方法は全シアン法とも呼ばれ、遊離シアンおよび各種錯シアンを含む全シアンを処理できるとされているが、シアン錯体の種類によっては満足できない場合がある。特許文献では、代表的な反応式として次の(1)〜(3)式が示されている。
Cu+CN→CuCN↓ ・・・(1)
4Cu+Zn(CN) 2−→4CuCN↓+Zn2+・・・(2)
Cu+Ag(CN) →4CuAg(CN)↓・・・(3)
特許文献2(特開平1−30693(特許2580610))には、鉄シアン錯体含有水に鉄(II)塩と銅塩とを還元剤の存在下に反応させて不溶性塩を生成させる方法が示されている。この方法は特に鉄シアン錯体含有水に対して効果的に処理することができる。特許文献2では還元剤の存在により、銅(II)は銅(I)に還元され、フェリシアンイオンはフェロシアンイオンに還元され、代表的な反応式として次の式が示されている。
xCu2++yFe2++zFe(CN) 4−→FeCu〔Fe(CN)↓・・・(4)
特許文献1および2の方法では、銅塩等を還元剤の存在下にシアンと反応させ不溶性塩を生成させて分離するが、シアンの除去率が必ずしも十分であるとはいえない。これらの方法において生成する不溶性塩は固液分離性が良好ではなく、鉄塩(III)等の無機凝集剤やポリアクリルアミド等の有機高分子凝集剤などを添加して凝集分離しているが、凝集効果が不十分で、シアン除去効果が劣ることがあり、また凝集剤の使用量が多く必要になる。
また特許文献3(特開平4−341393)には、鉄シアノ錯イオンを含有する水溶液に、マグネシウム、マンガンまたはニッケルのイオンとアルミニウムイオンとを作用させて鉄シアノ錯イオンを層状複水酸化物として沈殿させ、これを分離、除去するようにした水溶液中の鉄シアノ錯イオンの除去方法が示されている。しかし銅に関する記述はない。
特許文献4(特開2000−202461)には、重金属錯体を含む排水に、マグネシウム化合物を重金属錯体との反応当量以上添加し、さらに鉄および/またはアルミニウム化合物を50〜5000mg/l添加し、pH5.5〜9.5で固液分離するようにした重金属錯体含有排液の処理方法が示されている。ここで処理対象とする排水は、重金属およびキレート剤を重金属錯体として含む排水である。重金属としては、銅が示されているが、キレート剤としてはグルコン酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸などの有機酸、またはトリエタノールアミンなどのアミン類などが示されているが、シアン錯体については記載がない。
特開昭63−39693(特公平2−48315) 特開平1−30693(特許2580610) 特開平4−341393 特開2000−202461
本発明の課題は、反応により生成するシアンの不溶性塩の凝集効果を向上させて、凝集分離によるシアン除去率を向上させることができ、シアンの除去率が高く、凝集剤添加量を低減でき、銅由来の汚泥発生量も低減できるシアン含有排水の処理方法および処理剤を得ることである。
本発明は次のシアン含有排水の処理方法および処理剤である。
(1) シアン含有排水に銅化合物およびマグネシウム化合物を添加し、還元剤の存在下に反応させ、シアンの不溶性塩を生成させて分離する方法であって、
前記銅化合物は、前記還元剤の存在下に銅(I)イオンになる化合物であり、
前記銅化合物とマグネシウム化合物の比率はCuとMgの重量比で95:5〜60:40であり、
前記還元剤は、前記銅化合物を銅(I)イオンに還元するものであり、
前記還元剤の量は、添加する2価の銅イオンを1価に還元できる量であり、
前記反応時のpHは4〜11である
ことを特徴とするシアン含有排水の処理方法。
(2) 不溶性塩を生成させた後に、凝集剤を添加して凝集分離する上記(1)記載の方法。
(3) 凝集剤は無機凝集剤および有機高分子凝集剤である上記(2)記載の方法。
(4) 上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシアン含有排水の処理方法に用いる処理剤であって、
銅化合物およびマグネシウム化合物を含み、
前記銅化合物とマグネシウム化合物の比率はCuとMgの重量比で95:5〜60:40である
ことを特徴とするシアン含有排水の処理剤。
(5) 銅化合物、マグネシウム化合物および還元剤を含み、
前記還元剤の量は、添加する2価の銅イオンを1価に還元できる量である上記(4)記載の処理剤。
本発明において、処理対象となるシアン含有排水は、遊離シアン、錯体シアン等のシアンを含有している排水である。錯体シアンとしてはシアンの金属錯体があり、フェロシアンイオン、フェリシアンイオンなどの鉄シアン錯体、その他の金属錯体が含まれていてもよい。このようなシアン含有排水は、製鉄所のコークス製造工程から排出されるガス液(安水)や、金属めっき工場、化学工場などから排出されるシアン含有排水があげられる。シアン含有排水は、鉄等の金属や、有機酸等のキレート剤その他の不純物を含んでいてもよい。鉄等の金属は錯体シアンとして含まれているものが一般的である。有機酸等のキレート剤は金属を不溶化するものとして含まれている場合がある。
銅化合物は還元剤の存在下に銅(I)イオンを生成するものであり、一般的には水溶性の塩が用いられる。このような銅化合物としては、銅(I)の化合物でも、銅(II)の化合物でもよいが、一般に銅(I)の化合物は難溶性で入手が困難であるため、銅(II)の化合物を還元剤とともに用い、銅(I)の化合物に還元して、シアンや錯体シアンと反応させるのが好ましい。このような銅(II)の化合物としては、水溶性の硫酸銅(II)、塩化銅(II)、硝酸銅(II)などの2価の銅塩が利用可能である。
本発明においてマグネシウム化合物は、水中でマグネシウムイオンを生成するものであり、一般的には水溶性の塩が用いられる。このようなマグネシウム化合物としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム,硝酸マグネシウムなどの水溶性の塩が好ましいが、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなども利用可能である。
還元剤としては、2価の銅イオンを1価に還元できる還元剤が用いられるが、さらにフェリシアンイオンをフェロシアンイオンに還元できる還元剤が好ましい。このような還元剤としては亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩など、水溶性の塩が好ましい。還元剤として第1鉄塩を用いることもできるが、汚泥量が増大するので、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩など他の還元剤を同時に添加して反応させることができる。
本発明のシアン含有排水の処理剤は、銅化合物およびマグネシウム化合物を含む薬剤であり、特に銅化合物、マグネシウム化合物および還元剤を含む薬剤が好ましい。銅化合物とマグネシウム化合物の比率は、処理対象であるシアン含有排水のシアンの形態、組成等に応じて変わるが、一般的にはCuとMgの重量比で95:5〜60:40、好ましくはである94:6〜6535とすることができる。還元剤の量は、添加する2価の銅イオンを1価に還元できる量であるが、シアン含有排水中にフェリシアンイオンを含む場合は、これをフェロシアンイオンに還元できる量とするのが好ましい。
銅化合物とマグネシウム化合物は上記の比率で配合して1剤とすることができるが、別々に製剤とし、現場で添加してもよい。還元剤はこれらと配合して1剤としてもよいが、還元剤としての活性を維持するためには、別々に製剤とし、現場で添加するのが好ましい。これらの処理剤は水溶液で添加されるため、水溶液製剤とすることができるが、固形製剤とし、現場で水溶液を調製して添加することもできる。
本発明のシアン含有排水の処理剤には、上記の薬剤成分のほかに、シアン除去反応および後処理に必要な他の薬剤を併用することができる。シアン除去反応に必要な他の薬剤としては、酸、アルカリ等のpH調整剤があげられるが、反応を促進するための促進剤を併用してもよい。シアンを十分に除去するためには、銅化合物が過剰に添加される場合があるが、この過剰に添加された銅を除去するために、キレート系の重金属捕集剤を添加することができる。この重金属捕集剤としては、ジチオカルバミン酸基を有する化合物等があげられる。
後処理に必要な他の薬剤としては、凝集剤、pH調整剤などがあげられる。凝集剤は排水中のシアンと銅およびマグネシウムの反応により生成する不溶性の析出物や、前記過剰の銅と重金属捕集剤の反応生成物を凝集分離するための凝集剤であり、無機凝集剤および有機高分子凝集剤が用いられる。無機凝集剤は上記不溶性の析出物等の凝集のほか、残留するシアン錯体をも凝集させるのに適した塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)等の鉄塩系凝集剤が好ましいが、PAC等のアルミニウム塩系凝集剤なども用いることができる。有機高分子凝集剤としては、上記無機凝集剤により凝集した凝集物をフロック化して分離するのに適した凝集剤として、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとアクリル酸(ナトリウム)との共重合物、ポリアクリルアミド部分加水分解物などがあげられる。
本発明のシアン含有排水の処理方法では、シアン含有排水に上記本発明の処理剤を添加し、攪拌混合することにより、銅化合物およびマグネシウム化合物を還元剤の存在下にシアンと反応させ、シアンの不溶性塩を生成させて分離する。上記本発明の処理剤を添加し、攪拌混合することにより、添加された銅化合物から生成する2価の銅イオンは1価に還元され、また原水中に含まれるフェリシアンイオンはフェロシアンイオンに還元される。このような状態で原水中に含まれるシアンと銅およびマグネシウムが反応してシアンの不溶性塩が生成するため、その不溶性塩を分離することにより、シアンは高除去率で除去される。
銅化合物の添加量は、排水中のシアン含量に対して当量以上であるが、シアン除去率を高くするためには、過剰量を添加するのが好ましく、一般的にはシアン含量に対して1.05〜1.5当量、好ましくは1.1〜1.3当量添加するのが好ましい。過剰添加の場合、残留する銅を除去するために、pH調整または反応後に前記重金属捕集剤を添加するが、その添加量も上記と同程度の過剰添加とすることができる。
マグネシウム化合物の添加量は、前記組成物の銅化合物とマグネシウム化合物の比率で決まる量とされるが、排水の組成やキレート性有機酸の量等により変化させることができる。還元剤の添加量は前記銅化合物およびフェリシアンイオンの還元に必要な量である。反応時のpHは4〜11、好ましくは7〜9.5とされ、原水がこの範囲を外れる場合は、酸またはアルカリからなるpH調整剤の添加によりpH調整することができる。
本発明におけるシアン除去反応の機構は明らかではないが、前記特許文献1および2の方法において、マグネシウムの存在が大きく係っていることが考えられる。すなわち原水中に含まれるシアンと銅およびマグネシウムの反応は、原水中に含まれるシアンの形態により異なり、銅との反応で不溶性塩を生成する遊離シアンや易分離性のシアン錯体のように、特許文献1の反応により不溶性化するものがあると考えられるが、特許文献1の反応では不溶性化が困難なシアン錯体などは、銅とマグネシウムが関与する特許文献2に類似の反応により不溶性化するものもあると考えられる。
このほか特許文献1の反応におけるシアン化銅(CuCN)の不溶化物生成時に、Mg塩が混在すると、有機酸によるキレートを防止することにより、不溶化物の分離効果が向上することが考えられる。すなわちシアン処理の場合、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸等の錯体を形成する有機酸が混在することが多いが、これらが存在すると凝集効果が悪化して、シアン除去率が悪化する。例えば、無機凝集剤として塩化鉄(III)を使用する場合、有機酸が存在すると、水酸化鉄(III)の沈殿物の形成が阻害され、沈殿効果が悪化する。ここでマグネシウム塩が存在すると、マグネシウムイオンが有機酸と反応して錯体を形成し、無機凝集剤の鉄の沈殿が良好に行われると考えられる。また同様に、銅がキレート剤に消費されることも防止することが考えられる。
本発明では、シアン含有排水に銅化合物およびマグネシウム化合物を、還元剤の存在下に反応させることによりシアンの不溶性塩を生成させるが、この反応により生成する不溶性塩は微細で分離が困難である。また前記重金属捕集剤を添加して過剰の銅を捕捉して生成する錯体を除去する必要がある。このため本発明では、上記の反応後、凝集剤添加により凝集分離を行うのが好ましい。凝集分離は、前記鉄塩系凝集剤などの無機凝集剤とpH調整剤を添加して攪拌混合することにより凝集させ、さらに有機高分子凝集剤を添加して攪拌混合することによりフロックを形成し、フロックを沈降分離、ろ過分離等により固液分離する。
凝集剤の添加濃度は、鉄塩等の無機凝集剤は100〜2000mg/L、好ましくは200〜500mg/L、有機高分子凝集剤は0.5〜5mg/L、好ましくは1〜2mg/L程度である。無機凝集剤添加後pH5〜11、好ましくは7〜9.5になるようにpH調整剤を添加して、攪拌強度は攪拌翼の外周速度で1〜5m/sec、好ましくは1〜3m/secで強攪拌し、さらに有機高分子凝集剤を添加して、攪拌翼の外周速度で0.3〜1m/sec、好ましくは0.5〜0.8m/secで緩速攪拌することにより、固液分離に適したフロックが形成される。
形成されたフロックの固液分離により、原水中で析出したシアン不溶化物は除去されるが、前記銅との反応により不溶化しないで残留する銅その他の重金属イオン、鉄(II)イオン、シアン錯体等も無機凝集剤の成分である鉄(III)イオン等と反応して不溶化と同時に凝集され除去される。これにより銅その他の重金属イオンやシアン含量の少ない処理水が得られる。
本発明によれば、シアン含有排水に銅化合物およびマグネシウム化合物を、還元剤の存在下に反応させ、シアンの不溶性塩を生成させて分離するようにしたので、反応により生成するシアンの不溶性塩の凝集効果を向上させて、凝集分離によるシアン除去率を向上させることができ、これによりシアンの除去率を高くし、凝集剤添加量を低減させることができ、銅由来の汚泥発生量も低減できる。
実施形態のシアン含有排水の処理方法を示すフロー図である。
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。図1において、1は反応槽、2は凝集槽、3は沈降分離槽、4はろ過分離槽である。反応槽1および凝集槽2内には攪拌機5、6が設けられ、それぞれモータM1、M2で回転するように連結している。沈降分離槽3の底部にはレーキ7が設けられ、モータM3で回転するように連結している。
図1の装置によるシアン含有排水の処理方法は次のように行われる。まず反応槽1に、被処理水導入路L1から被処理水であるシアン含有排水を導入し、還元剤供給路L2から還元剤を供給し、処理剤供給路L3から銅化合物とマグネシウム化合物を含む処理剤を供給し、pH調整剤供給路L4からpH調整剤を供給し、攪拌機5で攪拌混合してpH調整、還元、反応を行う。
これにより銅化合物は還元剤により還元され、遊離シアンおよびシアン錯体は処理剤の銅化合物およびマグネシウム化合物と反応し、効率的にシアンの不溶性塩を生成する。銅を過剰添加した場合には、反応液を移送路L5から凝集槽2へ移送する過程で、重金属捕集剤供給路L6から重金属捕集剤を供給して反応させることにより、残留する銅を錯体として不溶化させる。
凝集槽2では無機凝集剤供給路L7から無機凝集剤を供給し、pH調整剤供給路L8からpH調整剤を供給し、攪拌機6で急速攪拌してpH調整し、凝集反応を行う。これにより析出する無機凝集剤の析出物は、反応槽1で生成したシアンの不溶化物、および重金属捕集剤により不溶化した銅錯体を抱き込んで析出するとともに、なお残留する銅イオンやシアン錯体と反応して不溶化させて析出する。
凝集槽2の凝集反応液を移送路L9から沈降分離槽3へ移送する過程で、有機高分子凝集剤供給路L10から有機高分子凝集剤を供給して緩速攪拌し、フロックを形成させる。フロックを形成凝集反応液は沈降分離槽3で沈降分離を受ける。沈降分離槽3の底部に沈降したフロックはレーキ7で集められ、汚泥排出路L11から外部に排出される。沈降分離槽3の分離液は移送路L12からろ過分離槽4に移送され、ろ材層8を通過する過程で、残留する微細な析出物がろ過分離され、処理水は処理水路L13から外部に排出される。これにより、シアンは高除去率で除去され、銅その他の重金属イオンやシアン含量の少ない処理水が得られる。
上記の処理では、シアン含有排水に銅化合物およびマグネシウム化合物を、還元剤の存在下に反応させ、シアンの不溶性塩を生成させて分離することにより、反応により生成するシアンの不溶性塩の凝集効果が向上するとともに、凝集分離によるシアン除去率が向上し、これにより少ない凝集剤添加量でシアンの除去率を高くすることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。実施例で処理対象とした被処理水は、製鉄所の安水処理排水(pH6.5、濁度300度、シアン:10mg/L、T−Cu:0.1mg/L以下)である。実施例で添加した還元剤は重亜硫酸ナトリウム、銅化合物は硫酸銅、マグネシウム化合物は塩化マグネシウム、無機凝集剤は塩化鉄(III)、有機高分子凝集剤はアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとの共重合物、pH調整剤は水酸化ナトリウムである。
〔実施例1〜2〕:
図1の装置(ただしろ過分離槽は省略)において、被処理水を反応槽1に導入し、銅化合物とマグネシウム化合物を含む処理剤、還元剤およびpH調整剤を供給し、攪拌機5で攪拌混合してpH調整、還元、反応を行った。反応液を凝集槽2へ移送し、無機凝集剤およびpH調整剤を供給し、攪拌機6で急速攪拌して凝集反応を行った。凝集槽2の凝集反応液を沈降分離槽3へ移送する過程で、有機高分子凝集剤を供給して緩速攪拌し、フロックを形成した凝集反応液を沈降分離槽3で沈降分離した。結果を表1に示す。
〔比較例1〜2〕:
実施例1〜2において、還元剤、銅化合物、マグネシウム化合物のいずれかを添加しないで同様の試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005962177
上記の結果より、硫酸銅の添加量が少なくてもシアン除去効果が同等以上に良好で、コストが低減でき、銅由来の汚泥発生量も低減して有効である
遊離シアン、シアン錯体等のシアン含有排水を、銅、還元剤等の無機薬剤を含む処理剤と反応させ、生成するシアンの不溶性析出物を凝集分離して除去する処理方法および処理剤に利用可能である。
1: 反応槽、2: 凝集槽、3: 沈降分離槽、4: ろ過分離槽、5,6:攪拌機、7: レーキ、8: ろ材層、
M1,M2,M3: モータ、L1: 被処理水導入路、L2: 還元剤供給路、L3: 処理剤供給路、L4,L8: pH調整剤供給路、L5,L9,L12: 移送路、L6: 重金属捕集剤供給路、L7: 無機凝集剤供給路、L10: 有機高分子凝集剤供給路、L11: 汚泥排出路、L13: 処理水路。

Claims (5)

  1. シアン含有排水に銅化合物およびマグネシウム化合物を添加し、還元剤の存在下に反応させ、シアンの不溶性塩を生成させて分離する方法であって、
    前記銅化合物は、前記還元剤の存在下に銅(I)イオンになる化合物であり、
    前記銅化合物とマグネシウム化合物の比率はCuとMgの重量比で95:5〜60:40であり、
    前記還元剤は、前記銅化合物を銅(I)イオンに還元するものであり、
    前記還元剤の量は、添加する2価の銅イオンを1価に還元できる量であり、
    前記反応時のpHは4〜11である
    ことを特徴とするシアン含有排水の処理方法。
  2. 不溶性塩を生成させた後に、凝集剤を添加して凝集分離する請求項1記載の方法。
  3. 凝集剤は無機凝集剤および有機高分子凝集剤である請求項2記載の方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のシアン含有排水の処理方法に用いる処理剤であって、
    銅化合物およびマグネシウム化合物を含み、
    前記銅化合物とマグネシウム化合物の比率はCuとMgの重量比で95:5〜60:40である
    ことを特徴とするシアン含有排水の処理剤。
  5. 銅化合物、マグネシウム化合物および還元剤を含み、
    前記還元剤の量は、添加する2価の銅イオンを1価に還元できる量である請求項記載の処理剤。
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