JP2007260586A - コークス炉で発生する廃水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コークス炉においてコークスを製造する際に発生する廃水である安水中のシアンを処理する際に、スラッジの発生量を従来よりも減少させて、多量の安水を処理する場合であってもスラッジの発生量の増加を抑制できる、コークス炉で発生する廃水の処理方法を提供すること。
【解決手段】コークス炉において発生する、シアンを含有する廃水を処理する際に、前記廃水に第二鉄塩と、第一鉄塩とを添加して沈殿物を形成させて、該沈殿物をスラッジとして回収することでシアンを除去することを特徴とする、コークス炉で発生する廃水の処理方法を用いる。さらに、高分子凝集材を添加して沈殿物を形成させることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】コークス炉において発生する、シアンを含有する廃水を処理する際に、前記廃水に第二鉄塩と、第一鉄塩とを添加して沈殿物を形成させて、該沈殿物をスラッジとして回収することでシアンを除去することを特徴とする、コークス炉で発生する廃水の処理方法を用いる。さらに、高分子凝集材を添加して沈殿物を形成させることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、コークス炉で発生するシアンを含有する廃水の処理方法に関する。
化学工場、メッキ工場、コークス工場等では、シアン含有廃水が排出される。シアン含有廃水の処理方法としては、処理すべき廃水を塩基性として、活性塩素によってシアンイオンを酸化分解する方法であるアルカリ塩素法や、排水をオートクレーブ中で加圧加熱して加水分解させる熱加水分解法、有機薬剤を添加する方法、シアノ錯体を鉄塩あるいは亜鉛の塩として沈殿分離させる方法である紺青法、亜鉛白法等が知られている。アルカリ塩素法は最もよく知られている方法であるが、遊離シアンと銅、亜鉛のシアノ錯体は分解処理できるものの、難分解性の鉄、コバルト、金の錯体は分解できない。また、紺青法と亜鉛白法はシアノ錯体を鉄塩あるいは亜鉛の塩として沈殿分離させる方法でほとんどのシアノ錯体を処理でき設備費も比較的低廉であるが、分離されたスラッジは錯シアンを多量に含む産業廃棄物であり、発生量も多いことから、スラッジ処理コストが高くなる。
鉄シアン錯体を含有する廃水処理方法として、鉄シアン錯体含有水に第一塩化鉄を加えた後にアルカリを添加してpH7〜8とし、その後第二鉄塩を添加してpH6.5〜7.3としてシアン鉄化合物を沈殿分離する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では煩雑なpHの調整が必要である。
また、シアン含有廃水に銅塩および還元剤を添加することで難溶性シアン化合物を生成させ、分離する処理方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。遊離シアンおよびシアン錯体の両方を、簡単な操作で処理することができる。しかし過剰に銅塩が添加されると排水が着色され、下流設備の腐食が促進される恐れがある。
さらに、鉄シアン錯体化合物を含有するシアン廃水に、予めアルカリ剤と酸化剤とを添加し、pHをアルカリ性に調整した後、紫外線〜可視光線を照射して、鉄シアン錯体化合物の分解により解離した鉄イオンから生成する水酸化物等の沈殿物を廃水中から随時分離除去しながら、遊離シアンの酸化処理を行なう廃水処理方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、非常に処理が煩雑であり、コスト高である。
特公昭56−51835号公報
特公平2−48315号公報
特開平10−57974号公報
コークス炉で発生する、コークス炉ガスを冷却洗浄した廃水である安水には、アンモニア、フェノール、シアン等が含まれており、活性汚泥等を用いた浄化処理が行なわれている。安水中のシアンの処理は、通常、鉄の塩化物とアルカリ剤を添加して、発生するスラッジを沈殿池で沈殿除去することで行なっている。
しかし、処理が必要な安水の量が多くなった場合、単に処理能力を増強することで対応すると、発生するスラッジの量も増加して、その処理コストが増加するという問題がある。鉄の塩化物を高濃度で使用する処理を行なう場合であってもシアンの除去率は低く、添加する鉄量の分スラッジが増加し、発生するスラッジ量に見合った効果は得られない。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、コークス炉においてコークスを製造する際に発生する廃水である安水中のシアンを処理する際に、スラッジの発生量を従来よりも減少させて、多量の安水を処理する場合であってもスラッジの発生量の増加を抑制できる、コークス炉で発生する廃水の処理方法を提供することにある。
コークス炉での廃水処理において、安水中に含まれるシアンは、遊離シアンとして存在すると考えられて処理されていたが、本発明者等の検討の結果、鉄との錯体であるという事実が見出された。シアンが鉄との錯体として安水中に存在する理由は明らかではないが、コークス炉の配管等に使用されている鉄が原因と推測される。遊離シアンと異なり、シアン錯体は酸化剤を用いて処理することが困難である。本発明はこのような新規な知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
(1)コークス炉において発生する、シアンを含有する廃水を処理する際に、前記廃水に第二鉄塩と、第一鉄塩とを添加して沈殿物を形成させて、該沈殿物をスラッジとして回収することでシアンを除去することを特徴とする、コークス炉で発生する廃水の処理方法。
(2)さらに、高分子凝集材を添加して沈殿物を形成させることを特徴とする、(1)に記載のコークス炉で発生する廃水の処理方法。
(1)コークス炉において発生する、シアンを含有する廃水を処理する際に、前記廃水に第二鉄塩と、第一鉄塩とを添加して沈殿物を形成させて、該沈殿物をスラッジとして回収することでシアンを除去することを特徴とする、コークス炉で発生する廃水の処理方法。
(2)さらに、高分子凝集材を添加して沈殿物を形成させることを特徴とする、(1)に記載のコークス炉で発生する廃水の処理方法。
本発明によれば、廃水処理で発生するスラッジ量を低減させながら、安水中のシアンの除去効果が向上する。このため、安水の処理コストを削減でき、コークスの製造コストを削減できる。
本発明では、石炭を乾留してコークスを製造するコークス炉において発生する、シアンを含有する廃水である安水に、3価の鉄イオンを発生させる第二鉄塩と、2価の鉄イオンを発生させる第一鉄塩とを添加して、シアンを難溶融性塩として共沈させて、スラッジとして回収することで処理を行なう。第二鉄塩と第一鉄塩との添加により、鉄塩の添加量を減少させながら、シアンを効率的に除去し、スラッジの発生量を減少させることができる。
第二鉄塩を添加後に第一鉄塩を添加しても、第一鉄塩を添加後に第二鉄塩を添加してもよく、第二鉄塩と第一鉄塩とは、安水に同時添加することもできる。第一鉄塩としては塩化第一鉄を、第二鉄塩としては塩化第二鉄を用いることが好ましい。
第二鉄塩または第一鉄塩を単独に添加する場合であっても、ある程度の処理効果は得られるが、両者の添加により単独では得られない処理効果を得ることができる。鉄シアン錯塩と鉄塩とを反応させて、難溶融性塩を生成させるには、以下の(a)〜(c)の反応が知られている。
2Fe(CN)6 3-+3Fe2+ → Fe3[Fe(CN)6]2↓・・・(a)
3Fe(CN)6 4-+4Fe3+ → Fe4[Fe(CN)6]3↓・・・(b)
Fe(CN)6 4-+2Fe2+ → Fe2[Fe(CN)6]↓ ・・・(c)
フェリシアン(Fe(CN)6 3-)、フェロシアン(Fe(CN)6 4-)に対して、第一鉄塩(Fe2+を発生)と第二鉄塩(Fe3+を発生)を添加することで、より反応性が高まり、処理効率が増加する。
2Fe(CN)6 3-+3Fe2+ → Fe3[Fe(CN)6]2↓・・・(a)
3Fe(CN)6 4-+4Fe3+ → Fe4[Fe(CN)6]3↓・・・(b)
Fe(CN)6 4-+2Fe2+ → Fe2[Fe(CN)6]↓ ・・・(c)
フェリシアン(Fe(CN)6 3-)、フェロシアン(Fe(CN)6 4-)に対して、第一鉄塩(Fe2+を発生)と第二鉄塩(Fe3+を発生)を添加することで、より反応性が高まり、処理効率が増加する。
次に、本発明の具体的な実施形態について説明する。
本発明の第一の実施形態を、図1を用いて説明する。図1において、1は反応槽であり、2は沈降分離槽である。コークス炉で発生した安水Aに、反応槽1において第一鉄塩Bと第二鉄塩Cとを添加し、pHを6程度に調整して混合する。その後、沈降分離槽2において発生したスラッジの沈降分離を行ない、シアン濃度の低下した処理水Dを得る。反応槽1において高分子凝集材をさらに添加することで、第二鉄塩の使用量を大幅に低減させることができる。高分子凝集材としては、アニオン系高分子凝集剤を使用することが好ましい。
本発明の第二の実施形態を、図2を用いて説明する。図2において、1は反応槽であり、2は沈降分離槽、3はシアン計である。コークス炉で発生した安水Aに、第二鉄塩Cと第一鉄塩Bとを添加し、苛性ソーダEを添加して反応槽1においてpHを6程度に調整して混合する。さらに高分子凝集材Fを添加し、pH6を継続する。その後、沈降分離槽2において発生したスラッジの沈降分離を行ない、シアン濃度の低下した処理水Dを得る。シアン濃度はシアン計3で測定する。
安水の処理試験を行なった。安水のpHは6〜7、全シアン量(T−CN)は2.25mg/L、シアンイオン量は0.2mg/Lであり、大部分は安定である鉄シアン錯体として存在していた。ここで、全シアン量(T−CN)の数値はシアンが分子状で固定されているか否かを問わず、分子状の場合でも分子中のCN分の数値として算出したものである。安水1Lをビーカーに採り、第一鉄塩としてFeCl2、第二鉄塩としてFeCl3を用い、表1に示す濃度で変化させて添加し、苛性ソーダでpHを調整後に、アニオン系高分子凝集材を添加して、苛性ソーダ、もしくは硫酸を用いて調整後にpHを測定した。その後1時間静置して、静置後の上水を採取し、表1に示す試験No.1〜8についてT−CNを測定した。また、沈殿物を分離して、発生したスラッジ量を測定した。測定結果を、表1に併せて示す。
No.1、2は比較例であり、No.1は鉄塩を全く添加しない場合、すなわちシアン除去処理を行なわない場合であり、No.2は第一鉄塩のみで処理を行なった従来の処理の場合である。No.2に比較して、No.3〜8においては、シアン除去効率が大幅に向上しており、第一鉄塩、および第二鉄塩を添加することにより、鉄塩の添加量を半分程度に減少させても、安水のシアン濃度を0.1〜0.3mg/Lと、十分に低下させることができた。鉄塩の添加量の減少に伴い、No.2に比較して、No.3〜8においてはスラッジの発生量も60〜70mass%減少させることができた。
1 反応槽
2 沈降分離槽
3 シアン計
A 安水
B 第一鉄塩
C 第二鉄塩
D 処理水
E 苛性ソーダ
F 高分子凝集材
2 沈降分離槽
3 シアン計
A 安水
B 第一鉄塩
C 第二鉄塩
D 処理水
E 苛性ソーダ
F 高分子凝集材
Claims (2)
- コークス炉において発生する、シアンを含有する廃水を処理する際に、前記廃水に第二鉄塩と、第一鉄塩とを添加して沈殿物を形成させて、該沈殿物をスラッジとして回収することでシアンを除去することを特徴とする、コークス炉で発生する廃水の処理方法。
- さらに、高分子凝集材を添加して沈殿物を形成させることを特徴とする、請求項1に記載のコークス炉で発生する廃水の処理方法。
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JP2006090507A JP2007260586A (ja) | 2006-03-29 | 2006-03-29 | コークス炉で発生する廃水の処理方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013147128A1 (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-03 | 栗田工業株式会社 | シアン含有排水の処理方法 |
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2006
- 2006-03-29 JP JP2006090507A patent/JP2007260586A/ja active Pending
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