JP2014012880A - 無電解銅めっき廃液を処理する方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無電解銅めっき廃液を従来よりも簡単な設備で容易に処理する方法および装置を提供する。
【解決手段】 還元剤及びキレート剤を含有する無電解銅めっき廃液を処理する方法において、当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去する前に、当該廃液に存在する還元剤のホルムアルデヒドを銅イオンでギ酸に酸化するとともに銅を析出させる。
【選択図】図1
【解決手段】 還元剤及びキレート剤を含有する無電解銅めっき廃液を処理する方法において、当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去する前に、当該廃液に存在する還元剤のホルムアルデヒドを銅イオンでギ酸に酸化するとともに銅を析出させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、無電解銅めっき廃液を処理して銅を分離回収する方法及びこれに用いる装置に関し、さらに詳細には無電解銅めっき廃液中のキレート剤を回収及び分解により除去するとともに、金属を回収する方法及び装置に関するものである。
プリント配線板の製造プロセスにおける、スルーホール銅めっきや基板上の導体部分のパターンの形成に無電解銅めっきが用いられている。無電解銅めっきは、液中の銅イオンを還元剤で還元し金属銅として析出させる。
しかし、めっきとともに液中に還元剤のホルムアルデヒドが酸化されて生成したギ酸ソーダや、硫酸ソーダが蓄積する。そのため、無電解銅めっき液中に蓄積するギ酸、硫酸ソーダ等の塩濃度を管理し、一定量に達すると廃棄して新しい液に更新する必要がある。
しかし、めっきとともに液中に還元剤のホルムアルデヒドが酸化されて生成したギ酸ソーダや、硫酸ソーダが蓄積する。そのため、無電解銅めっき液中に蓄積するギ酸、硫酸ソーダ等の塩濃度を管理し、一定量に達すると廃棄して新しい液に更新する必要がある。
従来から、水中に含まれる金属イオンを除去する方法としては、水中に水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム等のアルカリ性物質を添加して、重金属水酸化物として沈殿させる方法が知られている。
しかし、無電解銅めっき廃液のように、液中にロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)やEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含む廃液は、アルカリ性でも安定で、通常の排水処理のようにアルカリ物質を添加しても沈殿させることができない。
このため、無電解銅めっき廃液を処理する処理技術として、例えば下記特許文献1〜7が提案されている。
しかし、無電解銅めっき廃液のように、液中にロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)やEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含む廃液は、アルカリ性でも安定で、通常の排水処理のようにアルカリ物質を添加しても沈殿させることができない。
このため、無電解銅めっき廃液を処理する処理技術として、例えば下記特許文献1〜7が提案されている。
特許文献1〜3には、触媒を用いて無電解銅めっき廃液中の銅イオンを金属銅として回収する方法が提案されており、特許文献1には、無電解銅めっき廃液にPdを加えることにより銅を析出させ、析出した銅をろ別除去し、ろ液中に硫酸を加えてEDTAを析出させたあと、残存する金属を凝集させ、分離する方法が提案されている。
特許文献2には、金属イオンを析出させるための触媒になる金属を付着した濾材を装填した濾過器に、無電解銅めっき廃液を循環させて銅を回収する方法が提案されている。特許文献3には、表面に銀を担持した繊維状チタン酸アルカリに無電解めっき廃液を接触させて無電解銅めっき廃液から金属を回収する方法が提案されている。
特許文献2には、金属イオンを析出させるための触媒になる金属を付着した濾材を装填した濾過器に、無電解銅めっき廃液を循環させて銅を回収する方法が提案されている。特許文献3には、表面に銀を担持した繊維状チタン酸アルカリに無電解めっき廃液を接触させて無電解銅めっき廃液から金属を回収する方法が提案されている。
また、特許文献4には、銅を回収した廃液をpH2以下に下げ、キレート剤を晶析させ、濾過後の廃液を減圧蒸留器で蒸留し、気化したギ酸を回収する方法が提案されている。
特許文献5には、無電解銅めっき廃液を電解処理によって処理した後、凝集処理、光酸化処理及びオゾン処理を施す方法が提案されている。
特許文献6には、光酸化による低沸点有機化合物をカルボン酸に酸化する酸化工程と、そのカルボン酸を塩にする工程と濃縮蒸留工程を有する処理方法が提案されている。
特許文献7には、電解槽で、キレート剤を含有する無電解銅めっき廃液を電解処理する際に、陽極でキレート剤を電解酸化すると共に、銅イオンを陰極側に金属銅として析出する方法が提案されている。
特許文献5には、無電解銅めっき廃液を電解処理によって処理した後、凝集処理、光酸化処理及びオゾン処理を施す方法が提案されている。
特許文献6には、光酸化による低沸点有機化合物をカルボン酸に酸化する酸化工程と、そのカルボン酸を塩にする工程と濃縮蒸留工程を有する処理方法が提案されている。
特許文献7には、電解槽で、キレート剤を含有する無電解銅めっき廃液を電解処理する際に、陽極でキレート剤を電解酸化すると共に、銅イオンを陰極側に金属銅として析出する方法が提案されている。
前掲の無電解銅めっき廃液の処理方法によれば、無電解銅めっき廃液中の銅イオンを金属銅として回収しつつ、含有する有機化合物も処理して、処理水を河川等に放流可能とすることができる。
しかし、これらの方法では、高価な設備の導入や、ランニングコストが高く、産業廃棄物の処分費用よりも高額であったり、操作が繁雑などの欠点があったりして、現状ではほとんど利用されていない。
このため、いぜん廃液処理業者に引き取ってもらっているのが一般的であり、引き取った廃液処理業者は、大量のアルカリを加えた後、固化するなどして、いまだに埋め立て処分している。
しかし、これらの方法では、高価な設備の導入や、ランニングコストが高く、産業廃棄物の処分費用よりも高額であったり、操作が繁雑などの欠点があったりして、現状ではほとんど利用されていない。
このため、いぜん廃液処理業者に引き取ってもらっているのが一般的であり、引き取った廃液処理業者は、大量のアルカリを加えた後、固化するなどして、いまだに埋め立て処分している。
そこで、本発明の目的は、無電解銅めっき廃液を従来よりも簡単な設備で容易に処理する方法、及び処理装置を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。無電解銅めっき廃液の処理を困難としているものは、無電解銅めっき液中の銅イオンを安定化させるために配合された、銅イオンと結合して錯体を形成するキレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸やロッシェル塩)が存在するためである。
そこで、まずキレート剤を効率良く分解除去する方法について検討した。
そこで、まずキレート剤を効率良く分解除去する方法について検討した。
水処理の分野でキレート剤などの有機物を分解する方法としては、オゾン酸化、湿式酸化、フェントン酸化、UV酸化、過酸化水素酸化、及びこれらの併用法等種々の化学酸化法がある。
これらの酸化法は、前掲の無電解銅めっき廃液の処理に関する先行特許でも示したように、無電解銅めっき廃液の処理法として検討されてきた。しかし、処理コストが高いなどの理由で実施されていないのが現状である。
これらの酸化法は、前掲の無電解銅めっき廃液の処理に関する先行特許でも示したように、無電解銅めっき廃液の処理法として検討されてきた。しかし、処理コストが高いなどの理由で実施されていないのが現状である。
そこで、種々の化学酸化のうちでも比較的コストが掛からないフェントン酸化に注目した。フェントン酸化とは、二価の鉄イオンと過酸化水素との反応で生成するヒドロキシラジカルが酸化種として働く。ヒドロキシラジカルは、酸化力が非常に強く、ほとんどすべての有機化合物を酸化分解することができる。
本発明では、無電解銅めっき廃液をフェントン酸化で処理するに際し、さらなるコスト削減を目指し、フェントン酸化のコストを下げる方法として、次の二つを検討した。
第一は、一般的なフェントン酸化は、二価の鉄イオンと過酸化水素との反応でヒドロキシラジカルを生成するが、本願発明では、鉄の代わりにめっき廃液中に存在する銅を触媒として用いることを試みた。
第一は、一般的なフェントン酸化は、二価の鉄イオンと過酸化水素との反応でヒドロキシラジカルを生成するが、本願発明では、鉄の代わりにめっき廃液中に存在する銅を触媒として用いることを試みた。
もう一つのコスト削減方法として、過酸化水素の使用量を減らすことを試みた。無電解銅めっき廃液には、主要成分としてロッシェル塩やEDTAなどのキレート剤と、ギ酸、ホルムアルデヒドが含まれているが、下記に示すように、ギ酸1モルを分解するのに必要な過酸化水素は1モルだが、ホルムアルデヒド1モル分解するのには過酸化水素2モル、ロッシェル塩1モル分解するのには過酸化水素5モル必要で、EDTA1モル分解するのには過酸化水素16モルが必要である。
HCOOH + H2O2 → 2H2O + CO2
HCHO + 2H2O2 → 3H2O + CO2
C4H6O6 + 5H2O2 → 4CO2 + 8H2O
C10H16N2O8 + 16H2O2 → 5CO2 + 24H2O + 2NO3
HCOOH + H2O2 → 2H2O + CO2
HCHO + 2H2O2 → 3H2O + CO2
C4H6O6 + 5H2O2 → 4CO2 + 8H2O
C10H16N2O8 + 16H2O2 → 5CO2 + 24H2O + 2NO3
そこで、本発明では、ホルムアルデヒドと、ロッシェル塩やEDTAを分解する際の過酸化水素の使用量を削減することを検討した。
フェントン酸化におけるホルムアルデヒドの分解時の過酸化水素消費量を減らす方法として、フェントン酸化する前に、あらかじめ無電解銅めっき廃液中のホルムアルデヒドをギ酸に酸化してしまうこととした。その方法としては、無電解の銅めっきがされる際の主反応である、ホルムアルデヒドによる銅の還元を促進させて、めっきするのではなく、金属銅として析出させることとした。これによって、銅は金属銅として回収できて、かつホルムアルデヒドがギ酸に変換できるため、フェントン酸化における過酸化水素の消費量を削減することができる。
フェントン酸化におけるホルムアルデヒドの分解時の過酸化水素消費量を減らす方法として、フェントン酸化する前に、あらかじめ無電解銅めっき廃液中のホルムアルデヒドをギ酸に酸化してしまうこととした。その方法としては、無電解の銅めっきがされる際の主反応である、ホルムアルデヒドによる銅の還元を促進させて、めっきするのではなく、金属銅として析出させることとした。これによって、銅は金属銅として回収できて、かつホルムアルデヒドがギ酸に変換できるため、フェントン酸化における過酸化水素の消費量を削減することができる。
また、フェントン酸化における過酸化水素消費量を削減する方法として、めっき廃液に酸性物質を添加し、酸性にすることによって、ロッシェル塩やEDTAを析出させ、これらを回収することとした。これによって、フェントン酸化における過酸化水素の消費量を削減することができる。
さらに、フェントン酸化における過酸化水素消費量を削減する方法として、めっき廃液に多価金属化合物を添加し、めっき廃液を酸性にすることによって、キレート剤の金属塩を析出させ、これらを回収することとした。これによって、フェントン酸化における過酸化水素の消費量を削減することができる。
本発明では、廃液中のキレート剤を沈殿として除去するとともに、フェントン酸化による分解でほほ完全に除去することにより、廃液中の銅を水酸化物としてだけでなく、酸化物として回収することができる。酸化物にすると、水酸化物に比べ含水率が低く、しかも脱水性が良いため、処理の操作性が向上するだけでなく、スラッジの銅含有率が向上させることができ、より高価な値段で山元還元できる。
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]還元剤及びキレート剤を含有する無電解銅めっき廃液を処理する方法において、当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去する前に、当該廃液に存在する還元剤のホルムアルデヒドを銅イオンでギ酸に酸化するとともに銅を析出させることを特徴とする無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[2]前記酸化処理が、フェントン酸化である[1]に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[3]前記廃液に存在するホルムアルデヒドを銅でギ酸に酸化するとともに銅を析出させる際に、前記方法において析出した銅をあらかじめ存在させておくことを特徴とする[1]又は[2]に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[4]前記廃液に存在するホルムアルデヒドを銅でギ酸に酸化するとともに銅を析出させる際に、当該廃液を加温することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[5]当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去する前に、当該廃液に酸性物質を添加して酸性にして当該廃液中に存在するキレート剤を沈殿除去することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[6]前記酸性物質が銅エッチング廃液であることを特徴とする[5]に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[7]当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去した後、廃液中に残存する金属を酸化物沈殿として、固液分離することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[8]無電解銅めっき廃液を入れて、ホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに銅を析出させる反応槽、前記の析出した銅を分離する固液分離装置、銅めっき廃液中のキレート剤を析出させる反応槽、析出したキレート剤を分離する固液分離装置、フェントン酸化を行う反応槽、及びフェントン処理水中の金属を沈殿させる反応槽を備えることを特徴とする無電解銅めっき廃液の処理装置。
[9][8]に記載の無電解銅めっき廃液の処理装置において、前記のホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに銅を析出させるのに用いられる反応槽が、前記のフェントン酸化を行う反応槽を兼ねており、前記の銅めっき廃液中のキレート剤を析出させる反応槽が、前記のフェントン処理水中の金属を沈殿させる反応槽を兼ねていることを特徴とするバッチ型の無電解銅めっき廃液の処理装置。
[1]還元剤及びキレート剤を含有する無電解銅めっき廃液を処理する方法において、当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去する前に、当該廃液に存在する還元剤のホルムアルデヒドを銅イオンでギ酸に酸化するとともに銅を析出させることを特徴とする無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[2]前記酸化処理が、フェントン酸化である[1]に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[3]前記廃液に存在するホルムアルデヒドを銅でギ酸に酸化するとともに銅を析出させる際に、前記方法において析出した銅をあらかじめ存在させておくことを特徴とする[1]又は[2]に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[4]前記廃液に存在するホルムアルデヒドを銅でギ酸に酸化するとともに銅を析出させる際に、当該廃液を加温することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[5]当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去する前に、当該廃液に酸性物質を添加して酸性にして当該廃液中に存在するキレート剤を沈殿除去することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[6]前記酸性物質が銅エッチング廃液であることを特徴とする[5]に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[7]当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去した後、廃液中に残存する金属を酸化物沈殿として、固液分離することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
[8]無電解銅めっき廃液を入れて、ホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに銅を析出させる反応槽、前記の析出した銅を分離する固液分離装置、銅めっき廃液中のキレート剤を析出させる反応槽、析出したキレート剤を分離する固液分離装置、フェントン酸化を行う反応槽、及びフェントン処理水中の金属を沈殿させる反応槽を備えることを特徴とする無電解銅めっき廃液の処理装置。
[9][8]に記載の無電解銅めっき廃液の処理装置において、前記のホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに銅を析出させるのに用いられる反応槽が、前記のフェントン酸化を行う反応槽を兼ねており、前記の銅めっき廃液中のキレート剤を析出させる反応槽が、前記のフェントン処理水中の金属を沈殿させる反応槽を兼ねていることを特徴とするバッチ型の無電解銅めっき廃液の処理装置。
本発明によれば、無電解銅めっき廃液中に残存するホルムアルデヒドを、廃液中に存在する銅によってギ酸に酸化でき、廃液をそのままフェントン酸化するのに比べ、過酸化水素の消費量を低減できる。さらに、酸性物質もしくは多価金属化合物を添加することにより、めっき廃液中のロッシェル塩やEDTAなどのキレート剤を回収することにより、廃液をそのままフェントン酸化するのに比べ、過酸化水素の消費量を低減できる。この際、酸性物質もしくは多価金属化合物として、銅エッチング廃液を利用することができ、銅エッチング廃液の同時処理が可能になる。
このような前処理を行うことによって、銅を金属銅や銅塩として回収できるだけでなく、フェントン酸化でホルムアルデヒドを酸化する必要はなくなり、しかも分解しなければならないキレート剤の量が減るため、そのままフェントン酸化する場合に比べ、低められた過酸化水素の添加で無電解銅めっき廃液中の有機化合物を分解除去することができる。
また、本発明におけるフェントン酸化は鉄を触媒として用いるのではなく、銅を触媒として用いるので、フェントン酸化後、鉄を含まない銅のみのスラッジとして回収できる。
その上、本発明では、キレート剤を完全に除去できるので、無電解銅めっき廃液中に残存する銅を水酸化物ではなく含水率の低い酸化銅として回収できる。これによって、スラッジの発生を減らせるだけでなく、スラッジ中の銅含有量も高まるので、より高価な銅資源として再利用が可能になる。
すなわち、本発明では、無電解銅めっき廃液と銅エッチング廃液の処理ができて、両廃液からの銅を、金属銅、銅塩、酸化銅として回収でき、これらはいずれも有価で引き取られ再利用することが可能となる。
このような前処理を行うことによって、銅を金属銅や銅塩として回収できるだけでなく、フェントン酸化でホルムアルデヒドを酸化する必要はなくなり、しかも分解しなければならないキレート剤の量が減るため、そのままフェントン酸化する場合に比べ、低められた過酸化水素の添加で無電解銅めっき廃液中の有機化合物を分解除去することができる。
また、本発明におけるフェントン酸化は鉄を触媒として用いるのではなく、銅を触媒として用いるので、フェントン酸化後、鉄を含まない銅のみのスラッジとして回収できる。
その上、本発明では、キレート剤を完全に除去できるので、無電解銅めっき廃液中に残存する銅を水酸化物ではなく含水率の低い酸化銅として回収できる。これによって、スラッジの発生を減らせるだけでなく、スラッジ中の銅含有量も高まるので、より高価な銅資源として再利用が可能になる。
すなわち、本発明では、無電解銅めっき廃液と銅エッチング廃液の処理ができて、両廃液からの銅を、金属銅、銅塩、酸化銅として回収でき、これらはいずれも有価で引き取られ再利用することが可能となる。
以下、本発明について、詳しく説明する。
本発明は、還元剤及びキレート剤を含有する無電解銅めっき廃液を処理する方法において、当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去する前に、当該廃液に存在する還元剤のホルムアルデヒドを銅イオンでギ酸に酸化するとともに銅を析出させることを特徴とするものである。
すなわち、無電解銅めっき廃液中のホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに、その時析出する銅を金属銅として回収する工程、廃液中に存在するEDTAやロッシェル塩を回収する工程、過酸化水素を加えて廃液中に残存する有機化合物をフェントン酸化で分解除去する工程からなることを特徴とする無電解銅めっき廃液を処理する方法である。
本発明は、還元剤及びキレート剤を含有する無電解銅めっき廃液を処理する方法において、当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去する前に、当該廃液に存在する還元剤のホルムアルデヒドを銅イオンでギ酸に酸化するとともに銅を析出させることを特徴とするものである。
すなわち、無電解銅めっき廃液中のホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに、その時析出する銅を金属銅として回収する工程、廃液中に存在するEDTAやロッシェル塩を回収する工程、過酸化水素を加えて廃液中に残存する有機化合物をフェントン酸化で分解除去する工程からなることを特徴とする無電解銅めっき廃液を処理する方法である。
無電解銅めっき廃液を処理する方法において、フェントン酸化の前に当該廃液に存在する銅でホルムアルデヒドをギ酸に酸化する。その際に、本発明で回収された銅を存在させておいたりすることにより、室温でこの反応を行うことができるが、廃液を加温して反応を行っても良い。
また、フェントン酸化の前に当該廃液に酸性物質を添加して酸性にして当該廃液中に存在するキレート剤を沈殿除去することができるが、このとき酸性物質として、銅エッチング廃液を用いることができる。
本発明では、無電解銅めっき廃液(以下、単に廃液とも言う)を酸化処理する前に、当該廃液中に存在する銅を利用してホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに、銅を析出させるが、このときの好ましいアルカリ条件とは、pH9以上であるが、より好ましくはpH10以上で、特に好ましくはpH11以上である。
本発明では、当該廃液のpHを上記の好ましい条件にするために、必要に応じて、アルカリ性物質を加えることができる。
前記アルカリ物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム等が用いられる。アルカリ物質は単独で用いても併用して用いてもかまわない。本発明では水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
前記アルカリ物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム等が用いられる。アルカリ物質は単独で用いても併用して用いてもかまわない。本発明では水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
ホルムアルデヒドを還元剤とする無電解銅めっきの化学反応は、下記のように2モルのホルムアルデヒドが1モルの銅を還元して銅めっきする反応である。
Cu2++2HCHO+4OH- → Cu+2HCOO+H2+2H2O
本発明では、銅めっきするのではなく、単に銅を析出させるだけのため、化学量論量よりも少ない銅の量でホルムアルデヒドを酸化することができる。
Cu2++2HCHO+4OH- → Cu+2HCOO+H2+2H2O
本発明では、銅めっきするのではなく、単に銅を析出させるだけのため、化学量論量よりも少ない銅の量でホルムアルデヒドを酸化することができる。
廃液中に存在する銅の量としては特に限定されないが、少なすぎると酸化されずに残るホルムアルデヒドの量が多くなり、多すぎると銅のスラッジが増えるため、残存するホルムアルデヒドのモル比に対して銅は、0.05〜10、より好ましくは0.05〜5、さらに好ましくは0.1〜4である。
廃液中に存在する銅の量が少ない場合は、銅化合物を添加しても良い。添加する銅化合物としては、2価の銅化合物であれば特に限定されなく、硫酸銅、塩化第二銅、硝酸第二銅等が用いられる。銅化合物は単独で用いても併用して用いてもかまわない。
本発明において、室温で、廃液に存在する銅を利用してホルムアルデヒドをギ酸に酸化させる際には、廃液中に本反応で生成する銅析出物を添加しておく。添加する量は特に限定されないが、その量は多い方が反応は促進される。銅の析出物を添加することによって、廃液を加温しなくても室温で十分にこの反応は進む。
本発明では、廃液に存在する銅を利用してホルムアルデヒドをギ酸に酸化させる際に、廃液を加温してもよく、加温した場合には、廃液中に本反応で生成する銅析出物を添加せずとも反応を進めることができる。このときの加温温度は、室温以上から100℃未満が好ましく、より好ましくは30℃から90℃未満、特に好ましくは50℃〜80℃である。
前記ホルムアルデヒドをギ酸に酸化させる工程終了後の銅析出物を含む廃液は固液分離される。この場合の固液分離法としては、慣用の方法、例えば、ろ過分離、遠心分離、沈降分離等が挙げられるほか、膜分離、フィルタなども挙げられ、いずれの方法でも行うことができる。
本発明では、廃液に酸性物質を添加し、酸性にすることにより、廃液からEDTAやロッシェル塩を酸型として、あるいは多価金属化合物と酸性物質を添加することにより金属塩として析出させることができる。
本発明では、キレート剤がロッシェル塩からなるめっき廃液では、ロッシェル塩の酸型である酒石酸として回収しても良いが、多価金属化合物を添加して酒石酸の金属塩として回収することができる。この様な目的で使用される多価金属化合物としては、カルシウム化合物を用いるのが一般的であるが、本発明では銅化合物を用い酒石酸銅として回収するのが好ましい。
前記で添加する銅化合物としては、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅等の銅化学物でも良いし、銅エッチング廃液などの銅溶液を添加してもよい。本発明では、処理コストの低減からも銅エッチング廃液を添加するのが好ましい。
また、本発明では、キレート剤がEDTAからなるめっき廃液では、めっき廃液に酸性物質を添加し、EDTAの酸型として回収するのが好ましい。
前記酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が挙げられるが、本発明では硫酸を用いるのが好ましい。さらには、銅エッチング廃液のような酸性の廃液でもかまわない。
前記酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が挙げられるが、本発明では硫酸を用いるのが好ましい。さらには、銅エッチング廃液のような酸性の廃液でもかまわない。
本発明では、当該廃液中に存在する銅を利用してホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに、銅を析出させる工程と、廃液に酸性物質を添加し、酸性にすることにより、廃液からEDTAやロッシェル塩を酸あるいは金属塩として析出させる工程の順序は特に規定されず、どちらを先に行ってもかまわないが、銅めっき廃液はアルカリ性なので、銅を利用してホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに、銅を析出させる工程を先に行うのが好ましい。
前記で、廃液中に存在する銅を利用してホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに、銅を析出させる工程を先に行い、銅を回収した場合、廃液中の銅はほとんど回収される。このため、ロッシェル塩からなるめっき廃液で、ロッシェル塩を回収する場合は、酸型として回収する場合は酸性物質を添加することでよいが、銅塩として回収する場合には、銅化合物を加えて、廃液に酸性物質を添加し、酸性にする。
前記キレート剤の沈殿物は工程終了後、固液分離される。この場合の固液分離法としては、慣用の方法、例えば、ろ過分離、遠心分離、沈降分離等が挙げられるほか、膜分離、フィルタなども挙げられ、いずれの方法でも行うことができる。
本発明では、廃液中のホルムアルデヒドがギ酸に酸化され、キレート剤の大部分が除去された後、廃液中に残存するCOD成分をさらに低減させるために、化学酸化処理が行なわれる。この場合の残存するCOD成分はギ酸と沈殿しないで溶存するキレート剤、およびめっき液に添加されている安定剤や光沢剤等の添加剤である。
前記化学酸化処理には、オゾン酸化、湿式酸化、フェントン酸化、UV酸化、過酸化水素酸化、及びこれらの併用法等、種々の方法があるが、本発明では比較的コストが掛からないフェントン酸化が好ましい。フェントン酸化とは、二価の鉄イオンなどの金属イオンと過酸化水素とが反応して生成するヒドロキシラジカルが酸化種として働く。ヒドロキシラジカルは、酸化力が非常に強く、ほとんどすべての有機化合物を酸化することができる。
本発明では、キレート剤がロッシェル塩からなるめっき廃液では、フェントン酸化は鉄を触媒とするフェントン酸化でも良いが、フェントン酸化後に触媒をスラッジとして回収する際、銅だけを含有するスラッジとして回収できるため、銅を触媒とするフェントン酸化を行うのが好ましい。その際、廃液中に充分な銅が残存している場合は、過酸化水素のみを添加すればよいし、銅の濃度が十分でないときは、銅と過酸化水素を添加すればよい。
前記銅フェントン酸化における銅の量は、廃液中に存在するCOD成分の内主要成分であるギ酸に対し、モル比で0.01〜30が好ましく、より好ましくは0.02〜20で、さらに好ましくは0.05〜15である。
前記銅フェントン酸化における過酸化水素の量は、廃液中に存在するCOD成分の内主要成分であるギ酸に対し、モル比で0.5〜50が好ましく、より好ましくは0.5〜25で、さらに好ましくは1〜10である。
本発明では、キレート剤がEDTAからなるめっき廃液では、フェントン酸化は鉄を触媒とするフェントン酸化で行うのが好ましい。
前記鉄フェントン酸化における鉄の量は、廃液中に存在するCOD成分の内主要成分であるギ酸に対し、モル比で0.01〜10が好ましく、より好ましくは0.02〜2で、さらに好ましくは0.05〜1である。
前記鉄フェントン酸化における過酸化水素の量は、廃液中に存在するCOD成分の内主要成分であるギ酸に対し、モル比で0.5〜50が好ましく、より好ましくは0.5〜25で、さらに好ましくは1〜15である。
本発明では、キレート剤がロッシェル塩からなら廃液では、廃液中のキレート剤を沈殿として除去するとともに、フェントン酸化による分解でほほ完全に除去することにより、廃液中の銅を水酸化物としてだけでなく、酸化物として回収することができる。酸化物にすると、水酸化物に比べ含水率が低く、しかも脱水性が良いため、処理の操作性が向上するだけでなく、スラッジの銅含有率が向上させることができ、より高価な値段で山元還元できる。
酸化物として回収するには、水酸化銅(II)を60〜70℃に加熱するか、水と沸騰しても、脱水して酸化物すなわち酸化銅(II)に変換することができる。または、特開2002−292373号公報に開示されている薬剤、すなわち次亜塩素酸ソーダ水溶液に、炭酸ナトリウムを加えて溶解させた薬剤によってもいいが、本発明では、室温で酸化物に変換できる特開2002−292373号公報に開示されている薬剤によるのが好ましい。
本発明では、キレート剤がEDTAからなら廃液では、廃液中のキレート剤を沈殿として除去するとともに、フェントン酸化による分解でほほ完全に除去することにより、廃液中の鉄を水酸化物の沈殿として除去されるが、水酸化物としてだけでなく、酸化物であるフェライトとして回収することができる。酸化物にすると、水酸化物に比べ含水率が低く、しかも脱水性が良いため、処理の操作性が向上する。
酸化物であるフェライトとして回収するには、フェントン酸化後の処理水中の鉄はほとんどが3価の鉄であるので、特開2010−12444号公報に開示されている方法、すなわち、亜硫酸ナトリウム等の還元剤を添加し、少なくとも一部を1価の鉄に変換させる方法によればよい。
本発明においては、酸化物沈殿として沈殿させるには、凝集剤を併用するのが好ましい。この場合の凝集剤は、フロックの凝集に用いられているものであればよく、このようなものには、ポリアクリルアミドのカチオン化変性物、ポリアクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ポリメタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ポリエチレンイミン、キトサン等のカチオン性有機系凝集剤、ポリアクリルアミド等のノニオン性有機系凝集剤、ポリアクリル酸、アクリルアミドとアクリル酸との共重合体及びその塩等のアニオン性有機系凝集剤が包含される。凝集剤は、通常、被処理水に対し、薬剤の添加後に加えればよい。
本発明の処理を施した後の銅や鉄の沈殿を含む被処理水は、固液分離処理される。この場合の固液分離方法としては、慣用の方法、例えば、濾過分離、遠心分離、沈降分離等が挙げられほか、膜分離、フィルタなども挙げられ、いずれの方法でも行うことができる。
本発明に係る無電解銅めっき廃液の処理装置の一例を図1に示す。図1に示す処理装置は、無電解銅めっき廃液を連続処理する装置である。
この処理装置では、pH調整装置7aと攪拌機8aを備えた還元剤のホルムアルデヒドをギ酸に酸化させる反応槽1が含まれ、銅めっき廃液は、廃液導入ライン15から反応槽1に送られ、廃液中の銅によってホルムアルデヒドがギ酸に酸化され、それに伴い銅が析出される。
この処理装置では、pH調整装置7aと攪拌機8aを備えた還元剤のホルムアルデヒドをギ酸に酸化させる反応槽1が含まれ、銅めっき廃液は、廃液導入ライン15から反応槽1に送られ、廃液中の銅によってホルムアルデヒドがギ酸に酸化され、それに伴い銅が析出される。
反応槽1の材質としては、特に限定されないが、無電解銅めっき液で容易にめっきされないものが好ましい。この様な材質として、ガラスライニング材料、カーボン材などが好ましいが、チタンやステンレス材でもかまわない。さらには、塩ビ等のプラスチック製品でもかまわない。
廃液中の銅によってホルムアルデヒドがギ酸に酸化されためっき廃液は、析出した銅とともに、ポンプ6aで吸い上げられ、固液分離装置5aで固液分離され、析出した銅は回収される。
銅が回収された廃液は、キレート剤を析出させるため、pH調整装置7bと攪拌機8b、および銅エッチング廃液添加装置9を備えた反応槽2に送られる。
反応槽2で析出した銅塩を含む廃液は、ポンプ6bで吸い上げられ、固液分離装置5bで固液分離され、析出したキレート剤の銅塩は回収される。
キレート剤が回収された廃液は、廃液中に存在するキレート剤やギ酸、安定剤等の有機化合物を分解するため、pH調整装置7cと攪拌機8c、および過酸化水素添加装置10を備えた反応槽3に送られフェントン酸化される。
フェントン酸化された処理水はポンプ6cによりpH調整装置7dと攪拌機8d、及び酸化物沈殿生成剤添加装置11を備えた反応槽4に送られ、酸化物沈殿が生成される。
酸化物沈殿を含む処理された廃液は、ポンプ6dで吸い上げられ、固液分離装置5cで固液分離され、放流ライン20から排水処理系に放流される。
本発明に係る無電解銅めっき廃液の処理装置のもう一つ例を図2に示す。図2に示す処理装置は、無電解銅めっき廃液をバッチ処理する装置であり、反応槽21と反応槽22を備えている。
反応槽21は、前記のホルムアルデヒドがギ酸を酸化し銅を成出させる反応槽と、前記のフェントン酸化槽を兼ねており、廃液中の銅によってホルムアルデヒドがギ酸に酸化させる反応と、フェントン酸化の両方を行うため、pH調整装置7aと攪拌機8aに加え、過酸化水素添加装置10を備えている。
反応槽22は、前記のキレート剤析出させる反応槽と、前記の酸化物沈殿生成槽を兼ねており、キレート剤を銅塩として沈殿させる反応とフェントン酸化後の銅を酸化物に変換させる反応を行うため、pH調整装置7bと攪拌機8bに加え、銅エッチング廃液添加装置9、及び酸化物沈殿生成剤添加装置11を備えている。
反応槽21の材質としては、特に限定されないが、無電解銅めっき液で容易にめっきされないものが好ましい。この様な材質として、ガラスライニング材料、カーボン剤などが好ましいが、チタンやステンレス材でもかまわない。さらには、塩ビ等のプラスチック製品でもかまわない。
銅めっき廃液は、廃液導入ライン15から反応槽21に送られ、廃液中の銅によってホルムアルデヒドがギ酸に酸化され、それに伴い銅が析出される。
廃液中の銅によってホルムアルデヒドがギ酸に酸化されためっき廃液は、析出した銅とともに、全量ポンプ6aで吸い上げられ、固液分離装置5aで固液分離され、析出した銅は回収される。銅が回収された廃液は、キレート剤を析出させるため、pH調整装置7bと攪拌機8b、および銅エッチング廃液添加装置9を備えた反応槽22に送られる。
廃液中の銅によってホルムアルデヒドがギ酸に酸化されためっき廃液は、析出した銅とともに、全量ポンプ6aで吸い上げられ、固液分離装置5aで固液分離され、析出した銅は回収される。銅が回収された廃液は、キレート剤を析出させるため、pH調整装置7bと攪拌機8b、および銅エッチング廃液添加装置9を備えた反応槽22に送られる。
析出した銅塩を含む廃液はポンプ6bで吸い上げられ、固液分離装置5bで固液分離され、析出した銅塩は回収されたのち、廃液中に存在するキレート剤やギ酸、安定剤等の有機化合物を分解するため、バルブ12を経由してフェントン酸化するために反応槽21に送られる。
銅フェントン酸化された廃液は、ポンプ6aによりpH調整装置7bと攪拌機8bと、酸化物沈殿生成剤添加装置11を備えた反応槽22に送られ、酸化物沈殿が生成される。
銅の酸化物沈殿を含む廃液はポンプ6bで吸い上げられ、固液分離装置5bで固液分離され、銅は回収され、処理水はバルブ12を経由して、放流ライン20から排水処理系に放流される。
表2からホルムアルデヒドは、ほぼ完全に消失していることが分かる。この反応では大分部分はギ酸に酸化されているが、一部は分解してCO2に変換されているものと思われる。廃液中の銅は、赤色沈殿として析出したため、廃液の色は銅の色が消えほとんど無色であった。
(実施例2)
表1の廃液100mLを300mLのビーカーに取り、本反応で生成する赤色フロックを加えpHを12.0に維持しながら、室温で1時間反応させた。1時間反応後、35mMの銅を加え、pHを12.0に維持しながら、室温でさらに1時間反応させた。反応後の廃液の組成は表3の通りであった。
表1の廃液100mLを300mLのビーカーに取り、本反応で生成する赤色フロックを加えpHを12.0に維持しながら、室温で1時間反応させた。1時間反応後、35mMの銅を加え、pHを12.0に維持しながら、室温でさらに1時間反応させた。反応後の廃液の組成は表3の通りであった。
表3から室温でも、本反応で生成する赤色のフロック存在させることにより、ホルムアルデヒドの酸化がおこり、銅を赤色フロックとして回収できることが分かる。実施例1及び2の赤色フロック中の銅の含有量は絶乾重量で91%以上であった。廃液中の銅は、赤色沈殿として析出したため、廃液の色は銅の色が消えほとんど無色であった。
(実施例3)
実施例1でホルムアルデヒドを処理した廃液に100mLに銅エッチング廃液(Cu:47,010ppm、pH:0.2)を45mL加えpHを2.5に調整し、1時間放置した。生成した酒石酸銅の沈殿を除去した後の廃液の組成を表4に示す。
実施例1でホルムアルデヒドを処理した廃液に100mLに銅エッチング廃液(Cu:47,010ppm、pH:0.2)を45mL加えpHを2.5に調整し、1時間放置した。生成した酒石酸銅の沈殿を除去した後の廃液の組成を表4に示す。
表4より、銅エッチング廃液を加えて、pHを酸性にすることにより、ロッシェル塩を回収できることが分かる。
表5の結果から、408mMのH2O2でCODが2,000ppm以下まで処理されていることが分かる。
(実施例5)
実施例4の処理液に、特開2002−292373号公報に示されている薬剤、すなわち次亜塩素酸ソーダ水溶液(工業用)(有効塩素量12%)1リットルに、炭酸ナトリウム36gを加えて溶解させた薬剤を10mM添加したところ、銅は酸化物沈殿として沈殿した。この酸化物沈殿の含水率は60%以下で、銅の含有量は絶乾重量に対し60%以上であった。
実施例4の処理液に、特開2002−292373号公報に示されている薬剤、すなわち次亜塩素酸ソーダ水溶液(工業用)(有効塩素量12%)1リットルに、炭酸ナトリウム36gを加えて溶解させた薬剤を10mM添加したところ、銅は酸化物沈殿として沈殿した。この酸化物沈殿の含水率は60%以下で、銅の含有量は絶乾重量に対し60%以上であった。
実施例4の結果との比較から明らかなように、ホルムアルデヒドをギ酸に酸化して、さらにロッシェル塩を酒石酸銅として除去する前処理を行った場合と比べて、3倍以上の過酸化水素を加えて処理してもCOD,TOCの除去率が低いことが分かる。すなわち、前処理を行うことにより過酸化水素の量を1/3以下に減らすことが可能である。
また、過酸化水素1430mM加えて処理した処理水に、特開2002−292373号公報に示されている薬剤、すなわち次亜塩素酸ソーダ水溶液(工業用)(有効塩素量12%)1リットルに、炭酸ナトリウム36gを加えて溶解させた薬剤を10mM添加しても、銅を酸化物沈殿として沈殿させることができなかった。
(実施例6)
EDTAをキレート剤として含む無電解銅めっき廃液100mLを300mLのビーカーに取り、pH12.5に調整し、先の本反応で得られた銅析出物を加えて、室温で1時間反応させた結果を表7に示す。
EDTAをキレート剤として含む無電解銅めっき廃液100mLを300mLのビーカーに取り、pH12.5に調整し、先の本反応で得られた銅析出物を加えて、室温で1時間反応させた結果を表7に示す。
表7から明らかなようにホルムアルデヒドは、ほぼ完全にギ酸に酸化されていることが分かる。廃液中の銅は、赤色沈殿として析出したため、廃液の色は銅の色が消えほとんど無色であった。
表8から明らかなように、廃液を酸性にすることにより約半分のEDTAが廃液から除去できた。
(実施例8)
実施例6で、ホルムアルデヒドをギ酸に酸化し、実施例7でEDTAを除去した廃液中に残る有機物の除去に、フェントン酸化を検討した。実施例7の処理液100mLを300mLのビーカーに取り、pH3に調整し、硫酸第一鉄を20mMになるよう加え、所定量の過酸化水素を加えてフェントン酸化した。その結果を表9に示す。
実施例6で、ホルムアルデヒドをギ酸に酸化し、実施例7でEDTAを除去した廃液中に残る有機物の除去に、フェントン酸化を検討した。実施例7の処理液100mLを300mLのビーカーに取り、pH3に調整し、硫酸第一鉄を20mMになるよう加え、所定量の過酸化水素を加えてフェントン酸化した。その結果を表9に示す。
表9の結果から、フェントン酸化をすることにより、TOCを4000ppm以下まで下げることができることが分かる。
(実施例9)
実施例8の処理液100mLに、特開2010−12444号公報で開示されている方法、すなわち亜硫酸ナトリウム31.5mgを添加し、1分攪拌した後、水酸化ナトリウムでpH10に調整した。30分攪拌した後、高分子凝集剤ダイヤフロックAP517Cを1mg/L添加したところ、鉄は含水率60%以下の脱水性のよい酸化物沈殿として沈殿した。
実施例8の処理液100mLに、特開2010−12444号公報で開示されている方法、すなわち亜硫酸ナトリウム31.5mgを添加し、1分攪拌した後、水酸化ナトリウムでpH10に調整した。30分攪拌した後、高分子凝集剤ダイヤフロックAP517Cを1mg/L添加したところ、鉄は含水率60%以下の脱水性のよい酸化物沈殿として沈殿した。
(比較例2)
EDTAを含む無電解銅めっき廃液100mLを300mLのビーカーに取り、pH3に調整し、硫酸第一鉄を20mMになるように加えたのち、所定量の過酸化水素を加えて、フェントン酸化したときの結果を表10に示す。
EDTAを含む無電解銅めっき廃液100mLを300mLのビーカーに取り、pH3に調整し、硫酸第一鉄を20mMになるように加えたのち、所定量の過酸化水素を加えて、フェントン酸化したときの結果を表10に示す。
表9と表10の比較から、ホルムアルデヒドをギ酸に酸化して、EDTAを沈殿として除く前処理を行った方が、少ない過酸化水素量で、無電解銅めっき廃液を処理できることが分かる。
1 :ホルムアルデヒドを酸化し銅を析出させる反応槽
2 :キレート剤を析出させる反応槽
3 :フェントン酸化槽
4 :酸化物沈殿生成槽
5a〜c:固液分離装置
6a〜d:ポンプ
7a〜d:pH調整装置
8a〜d:攪拌機
9 :銅エッチング廃液添加装置
10:過酸化水素添加装置
11:酸化物沈殿生成剤添加装置
12:バルブ
15:廃液導入ライン
20:放流ライン
21:ホルムアルデヒドを酸化し銅を析出させる反応槽兼フェントン酸化槽
22:キレート剤を析出させる反応槽兼酸化物沈殿生成槽
2 :キレート剤を析出させる反応槽
3 :フェントン酸化槽
4 :酸化物沈殿生成槽
5a〜c:固液分離装置
6a〜d:ポンプ
7a〜d:pH調整装置
8a〜d:攪拌機
9 :銅エッチング廃液添加装置
10:過酸化水素添加装置
11:酸化物沈殿生成剤添加装置
12:バルブ
15:廃液導入ライン
20:放流ライン
21:ホルムアルデヒドを酸化し銅を析出させる反応槽兼フェントン酸化槽
22:キレート剤を析出させる反応槽兼酸化物沈殿生成槽
Claims (9)
- 還元剤及びキレート剤を含有する無電解銅めっき廃液を処理する方法において、当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去する前に、当該廃液に存在する還元剤のホルムアルデヒドを銅イオンでギ酸に酸化するとともに銅を析出させることを特徴とする無電解銅めっき廃液を処理する方法。
- 前記酸化処理が、フェントン酸化である請求項1に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
- 前記廃液に存在するホルムアルデヒドを銅でギ酸に酸化するとともに銅を析出させる際に、前記方法において析出した銅をあらかじめ存在させておくことを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
- 前記廃液に存在するホルムアルデヒドを銅でギ酸に酸化するとともに銅を析出させる際に、当該廃液を加温することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
- 当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去する前に、当該廃液に酸性物質を添加して酸性にして当該廃液中に存在するキレート剤を沈殿除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
- 前記酸性物質が銅エッチング廃液であることを特徴とする請求項5に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
- 当該廃液に含有されている有機化合物を酸化処理により分解除去した後、廃液中に残存する金属を酸化物沈殿として、固液分離することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の無電解銅めっき廃液を処理する方法。
- 無電解銅めっき廃液を入れて、ホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに銅を析出させる反応槽、前記の析出した銅を分離する固液分離装置、銅めっき廃液中のキレート剤を析出させる反応槽、析出したキレート剤を分離する固液分離装置、フェントン酸化を行う反応槽、及びフェントン処理水中の金属を沈殿させる反応槽を備えることを特徴とする無電解銅めっき廃液の処理装置。
- 請求項8に記載の無電解銅めっき廃液の処理装置において、前記のホルムアルデヒドをギ酸に酸化するとともに銅を析出させるのに用いられる反応槽が、前記のフェントン酸化を行う反応槽を兼ねており、前記の銅めっき廃液中のキレート剤を析出させる反応槽が、前記のフェントン処理水中の金属を沈殿させる反応槽を兼ねていることを特徴とするバッチ型の無電解銅めっき廃液の処理装置。
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JP2012151482A JP2014012880A (ja) | 2012-07-05 | 2012-07-05 | 無電解銅めっき廃液を処理する方法およびその装置 |
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CN106219804A (zh) * | 2016-08-12 | 2016-12-14 | 星特殊化学品(新加坡)有限公司 | 化学沉铜废液的回收处理方法 |
CN111099713A (zh) * | 2020-03-12 | 2020-05-05 | 李靖 | 一种铁基催化剂循环利用的芬顿反应方法 |
CN111499086A (zh) * | 2020-04-17 | 2020-08-07 | 生态环境部华南环境科学研究所 | 一种化学镀铜废液的在线资源化处理方法 |
JP7441056B2 (ja) | 2019-08-07 | 2024-02-29 | イビデン株式会社 | 銅めっき廃液からの銅析出法およびそれを用いた銅分離回収装置 |
-
2012
- 2012-07-05 JP JP2012151482A patent/JP2014012880A/ja active Pending
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