JP2002030352A - 金属含有排水からの有価金属の回収方法 - Google Patents

金属含有排水からの有価金属の回収方法

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JP2002030352A
JP2002030352A JP2000209847A JP2000209847A JP2002030352A JP 2002030352 A JP2002030352 A JP 2002030352A JP 2000209847 A JP2000209847 A JP 2000209847A JP 2000209847 A JP2000209847 A JP 2000209847A JP 2002030352 A JP2002030352 A JP 2002030352A
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wastewater
valuable metals
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JP2000209847A
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Osamu Miki
理 三木
Toshiro Kato
敏朗 加藤
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属含有排水を効率的かつ安定して処理すると
ともに、有価金属を回収しスラッジの発生量を削減す
る。 【解決手段】pHをアルカリ剤により3〜5に維持しながら化
学酸化剤を用いて2価鉄を3価鉄に酸化するとともに排
水中の有機物を酸化分解し、鉄の水酸化物を形成させ鉄
の水酸化物を回収した後、pHをアルカリ剤により8〜10
に調整して他の金属の水酸化物を形成・回収する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属含有排水を効
率的かつ安定して処理するとともに、金属含有排水に含
まれる有価金属を回収・再利用することにより、スラッ
ジの発生量を削減する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属含有排水には、鉱山排水、化学工場
排水、製練所排水、製鉄所排水、メッキ工場排水、ごみ
焼却場排水などがある。この中で、例えば、メッキ工場
排水は、pHが2〜3と低く、メッキの種類にもよる
が、鉄(二価)の他に、ニッケル、亜鉛、錫、クロム、
銅などの金属イオンを含有している場合が多い。これら
の金属イオンは、有害金属として排水規制の適用を受け
るため、排水中から規制値まで除去する必要がある。し
かし、金属として分離回収できれば、資源としての価値
が生じる可能性がある。さらに、メッキ工場排水等には
界面活性剤やメッキ浴添加剤等の有機物が含まれる場合
があり、これがCOD(化学的酸素要求量)として検出され
るため、COD処理が必要とされる場合がある。
【0003】以下に、従来の金属含有排水の処理方法に
ついて説明する。
【0004】従来から広く用いられている金属含有排水
の代表的な処理法は、中和凝集沈殿法である。この方法
は、排水のpHを水酸化カルシウム等のアルカリ剤によ
り上昇させ、排水中の金属イオンを水酸化物とした後、
沈殿池等で沈殿させて水中から金属を除去するものであ
る。
【0005】この方法は以下のような課題がある。
【0006】1)金属水酸化物のフロックは、微細であ
り、沈殿池での沈殿分離が安定しない。これを防ぐため
に、アルカリ剤に加え、高分子凝集剤を投入する必要が
ある。
【0007】2)発生するスラッシ゛は各種金属の混合物で
あるため、再利用が困難であり、大半が埋め立てなど廃
棄処分されている。
【0008】3)メッキ排水の中和剤としては、通常、
消石灰(Ca(OH)2 )が用いられている。これは、
消石灰は、水酸化ナトリウムよりも安価で、水に対する
溶解度も比較的大きく、反応性に富むためである。しか
し、発生するスラッシ゛は含水率が99%と高く、脱水機処
理をおこなっても70〜80%にしか低下しない。ま
た、未溶解のカルシウム成分が大量に含まれる。このた
め、沈殿物の容積が大きく、保管・運搬・廃棄処分費が
増加する。
【0009】4)中和凝集沈殿法単独では、排水中の有
機物削減の効果をほとんど期待できない。このため、CO
Dとして計測される有機物を除去する必要がある場合が
ある。
【0010】この他、金属含有排水の処理方法として
は、中和凝集沈殿法のほかに、硫化物沈殿法、イオン交
換樹脂法、キレ−ト樹脂法、膜分離法(RO),溶媒抽
出法、生物濃縮法、活性炭吸着法などがある。以下に簡
単にその特徴を述べる。
【0011】1)硫化物沈殿法:排水に硫化ソ−ダ(N
2 S)を注入し、重金属を硫化物として沈殿させる方
法である。水酸化物と硫化物の溶解度積を比較すると、
硫化物の方が非常に低く、より低濃度の金属を得ること
ができる。一方で、硫化物沈殿法は、生成沈殿物の分離
が難しい点(コロイド化しやすい)や安全性(硫化ソ−
ダは酸性物質との接触により、有害な硫化水素ガスが容
易に発生)の観点から使用実績は少ない。また、沈殿物
は、各種金属の混合物であることは、中和凝集沈殿法と
同様で廃棄処分せざるを得ない。
【0012】2)イオン交換樹脂法:イオン交換樹脂法
は純水の製造に広く用いられている。排水処理に適用す
る場合、陽イオン交換樹脂および/または陰イオン交換
樹脂に金属イオンを吸着させることになるが、排水処理
のように排水中のイオン濃度がかなり高い場合、樹脂の
吸着・再生が繁雑となる課題がある。また、金属成分
も、陽イオン、陰イオン以外の選択的分離は原理上困難
である。
【0013】3)キレ−ト樹脂法:キレ−ト樹脂法は、
特定の金属に特に選択性の強い樹脂(架橋構造を有する
高分子に金属イオンと錯体を形成するキレ−ト形成基を
導入した樹脂)を用いるもので、排水中から特定の重金
属イオンを極めて低濃度まで除去できる。ごみ焼却場排
水中の水銀の除去などに用いられている。やはり、排水
中のイオン濃度が高い場合、樹脂の吸着・再生が繁雑と
なる課題がある 4)膜法:膜法は、逆浸透膜(RO:Reverse Osmosi
s)が海水の淡水化や工場排水の再利用などで広く用い
られている。浸透圧を利用し、溶媒のみを膜を介して移
動させ、清澄な処理水を得ることができる。一方で、同
時に塩類が濃縮した液が発生する。また、膜の繁雑な洗
浄や事前処理および高圧力が必要である。なお、イオン
の選択的な分離・濃縮は困難である。
【0014】5)生物濃縮法:生物濃縮法は、特定の重
金属イオンを微生物に摂取させ、微生物の体内に特定の
重金属を濃縮させる方法であるが、研究段階である。
【0015】6)また、重金属を含有したスラッジから
重金属イオンを回収する方法として、バクテリアリ−チ
ングや溶媒抽出方法が提案されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】現在までに知見されて
いる金属含有排水の処理方法は、以下のような課題を有
している。
【0017】まず、中和凝集沈殿法および硫化物沈殿法
であるが、先に述べたように、発生するスラッジは、排
水に含まれている各種金属の混合物である。このため、
発生したスラッシ゛の再利用は極めて困難な状況にある。こ
のため、現状では発生したスラッシ゛の大半が埋め立て処分
されている。また、発生したスラッシ゛は非溶解の消石灰を
含むため、固形物量が増大する課題がある。さらに、発
生したスラッシ゛は、一般に含水率が70〜80%と極めて高い
ため、体積量も増大する。これらの結果、スラッシ゛の発生
量が増大することによる処分コストが増大する課題があ
る。なお、CODとして計測される有機物の除去には対し
て効果がほとんどない。
【0018】次に、イオン交換樹脂法の課題について述
べる。イオン交換樹脂は、従来から火力発電用のボイラ
ー給水や半導体用の超純水製造等に広く用いられてい
る。処理対象とする原水は、イオン濃度が1000mg/
l以下のものである。イオン濃度が高い排水等への適用は
困難である。また、イオン交換樹脂の再生液は、各種重金
属イオンの混合物であるため、再利用が困難である。さ
らに、操作が繁雑(前処理、脱着)であり、排水処理用
としてはコストが高くなる。また、長時間使用すると、
イオン交換樹脂が金属水酸化物、有機物、バクテリア等で
汚染され、通常の樹脂の再生操作では回復が困難とな
る。キレ−ト樹脂法についてもイオン交換樹脂法と同様の
課題を有しており、有価金属の回収を目指した排水処理
への適用は困難であると考えられる。
【0019】さらに、膜法であるが、逆浸透膜(RO
膜:Reverse Osmosis)が、海水の淡水
化等、塩類濃度が1000〜10000mg/l程度の
原水を対象に広く用いられている。また、メッキ排水の
再利用に適用された場合もある。(例えば、逆浸透法に
よるメッキ排水の再利用、和田洋六、PPM,16−2
7,1986)排水処理にROを用いると、重金属ばか
りでなく無機イオン等も原水から除去できるため、膜透過
水を工業用水として再利用できる利点がある。しかし、
同時に少量の濃縮液が発生する。この濃縮液は、重金属
イオンばかりでなく、各種の無機イオンも含有しているため、
再利用が困難である。また、ROは、膜径が極めて小さ
く、高圧力(1〜6MPa)が必要であり、排水処理のラ
ンニングコストが増大する課題がある。また、メッキ排
水処理に関しては、UF膜(UF:Ultra Filt
ration),MF膜(MF:Micron Fil
tration)は、単独ではほとんど用いられていな
い(例えば、排水処理における限外ろ過膜・精密ろ過膜
の利用 排水処理への適用事例−メッキ排水、光上義
道、水質汚濁研究、10、3、153−154、198
7)。1例として米国でメッキ排水処理に関して、高分
子凝集剤とUF膜を組み合わせた検討事例があるが、実用
化には至っていない。UF膜の透過水量が小さいことが
要因と考えられる。
【0020】最後に生物濃縮法であるが、生物による重
金属取り込み速度がまだ小さく不安定であり、現段階で
は実用化は困難である。さらに、生物体内に濃縮された
重金属を分離・回収する課題があると思われる。
【0021】このように、現在の知見されている方法
は、金属含有排水から、規制値以下まで金属を水中から
除去するか、あるいは、処理水を有効利用するかの視点
から構築されており、排水から有価金属資源を回収して
再利用することにより、発生スラッシ゛を削減しようとする
視点が欠けている。現在、結局のところ、金属含有排水
処理は、中和凝集沈殿法が最も広く用いられており、発
生するスラッジは有価金属を含有しているにかかわら
ず、埋め立て廃棄されている。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、金属含有排水を処理するに際し、水質を浄化する
とともに、有価金属回収を同時に計れ、スラッシ゛発生量を
格段に削減するプロセスを開発することにあり、特許請
求の範囲に記載の通りの次の(1)〜(9)にある。 (1)金属含有排水を処理するに際し、pHをアルカリ剤によ
り3〜5に維持しながら化学酸化剤を用いて2価鉄を3
価鉄に酸化するとともに排水中の有機物を酸化分解し、
鉄の水酸化物を形成させ鉄の水酸化物を回収することを
特徴とする金属含有排水からの有価金属の回収方法。 (2)前記(1)の方法により鉄を除去した後、pHをアルカリ剤
により8〜10に調整して他の金属の水酸化物を形成・
回収することを特徴とする金属含有排水からの有価金属
の回収方法。 (3)金属の水酸化物を回収する方法として、膜分離装置
を用いることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の金
属含有排水からの有価金属の回収方法。 (4)膜分離装置として、セラミックスを素材とする膜を
用いることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載
の金属含有排水からの有価金属の回収方法。 (5)0.1μm以上の孔径を有する膜分離装置を用いる
ことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属
含有排水からの有価金属の回収方法。 (6)化学酸化剤として過酸化水素を用いることを特徴と
する前記(1)〜(5)のいずれかに記載の金属含有排水から
の有価金属の回収方法。 (7)化学酸化剤と紫外線及び/または光触媒とを併用す
ることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の金
属含有排水からの有価金属の回収方法。 (8)pHをアルカリ剤により調整する際に、高分子凝集剤ま
たは液体キレート剤を投入することを特徴とする前記(1)〜
(7)のいずれかに記載の金属含有排水からの有価金属の
回収方法。 (9) 化学酸化剤を酸化還元電位(ORP)が+550mV(銀/
塩化銀基準)以上になるように添加することをを特徴と
する前記(1)〜(8)のいずれかに記載の金属含有排水から
の有価金属の回収方法。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の作用を詳細に説明
する。
【0024】本発明者らは、化学酸化方法により、ま
ず、事前に2価鉄を3価鉄に酸化し回収するとともに、C
OD成分となる有機物を酸化し除去すれば、排水中の有
価金属の回収が容易となることを発案し、さらに、有価
金属の回収方法として膜分離方法を適用することによ
り、有価金属種毎の分離回収に成功したものである。こ
の方法によれば、処理水の水質を排水規制値以下にでき
るとともに、金属含有排水から有価金属を分離回収・再
利用できるのである。以下、金属含有排水として鉄とニ
ッケル、亜鉛を含むメッキ工場排水を例に取り説明す
る。
【0025】まず、前段の化学酸化方法について説明す
る。
【0026】メッキ工場排水等の金属含有排水は、通
常、pHが2〜3と低く、含まれる鉄は2価鉄である。
2価鉄はpHが低いと溶解度が高い。このため、鉄のみ
を事前に分離回収するためには、まず、低pH領域で2
価鉄を3価鉄まで酸化する必要がある。金属含有排水に
含まれている2価鉄を3価鉄まで酸化する方法として,
オゾン、塩素、過マンガン酸カリウム、過酸化水素など
の化学酸化剤を用いて酸化する方法が考えられるが、本
発明者らは、金属含有排水を処理するに際し、pHをアル
カリ剤により3〜5に維持しながら、化学酸化剤を添加す
れば、2価鉄を3価鉄に酸化するとともに鉄の水酸化物
を形成・回収でき、また、同時に排水中のCOD源とな
る有機物も削減できることを見いだした。化学酸化法を
このような目的で金属含有排水に用いた事例は見あたら
ない。
【0027】ここでは以下のような反応が進行する。以
下に化学酸化剤として過酸化水素やオゾンを用いてFe2+
を酸化する事例を示す。
【0028】 2Fe2+ + H2O2 + 2H+ → 2Fe3+ + 2H2O (過酸化水素) 2Fe2+ + O3 + 2H+ → 2Fe3+ + H2O + O2 (オソ゛ン) 化学酸化剤の中でも、反応速度が早いこと、処理水への
残留が無いこと、処理コストの点から過酸化水素が最も
望ましい。過酸化水素の場合、Fe2+の1モルを酸化する
ため、0.5モルの過酸化水素が必要である。したがっ
て、1gのFe2+を酸化するため、過酸化水素として0.
3g、30%過酸化水素液が約1g必要となる。
【0029】この化学酸化反応はpHが低い程進行しや
すい傾向があるが、pHが3未満であると、酸化反応の
結果生じた3価鉄が溶解した状態で存在しやすいため、
pHを3以上とすることが望ましい。また、pHが5を
超えると他の金属イオンが水酸化物として生成しやすく
なる。したがって、2価鉄を酸化し、3価鉄の水酸化物
を回収するpHの制御範囲を3〜5とすることが望まし
い。
【0030】排水中の溶解性有機物は以下の2つの反応
により除去される。 1)3価鉄と溶解性有機物の凝集・沈殿除去 2)2価鉄と酸化剤との反応により発生するOHラジカル
による有機物の酸化分解有機物の凝集反応及び酸化分解
反応もpHに依存性があり、最適な凝集及び酸化分解の
ためのpH制御範囲としてやはり3〜5に維持すること
が望ましい。特に、pHが3未満または5をこえると凝
集性能の低下が大きく除去性能が悪化する。
【0031】さらに、排水中に難分解性の有機物が多く
含まれ、溶解性有機物の除去促進を計る必要性が高い場
合、紫外線及び/または光触媒を併用することが望まし
い。OHラジカル発生量が増大し、難分解の溶解性有機物
の酸化分解を促進することができる。
【0032】また、処理水中に二価鉄や過酸化水素が残
留すると、CODとして計測されるため、処理水中の酸化
還元電位(ORP)を+550mV(銀/塩化銀基準)以上に維持で
きるように、化学酸化剤の添加量を制御してもかまわな
い。酸化還元電位が+550mV(銀/塩化銀基準)以上あれ
ば、2価鉄は3価鉄まで99%以上酸化されている。
【0033】さらに、鉄及び有機物を除去した後、アル
カリ剤によりpHを8〜10とすると亜鉛、ニッケル等
の有価金属の水酸化物の沈殿が生じるのでこれを回収す
ればよい。この制御pHは、コスト、要求処理水質等か
ら金属溶解度曲線を用いて決定すればよく、両性金属の
場合、一般にpHが10を超えると再溶解が生ずる場合が
ある。また、pHが8未満であれば一般に溶解度が高
い。このため、pHが8〜10程度であることが望まし
い。ただし、両性金属、例えば、亜鉛や鉛を完全に除去
したい場合、pHを12以上とし、回収物から除去する場
合もある。
【0034】続いて、膜による金属水酸化物の回収方法
を説明する。
【0035】発明者らは、鉄やニッケル、亜鉛の金属水
酸化物のフロックの大きさを測定したところ、金属の種
類にもよるが、大半が0.1μm 〜50μmの範囲にあ
ることを見いだした。この水酸化物は、このままでは、
沈殿池等による沈降分離操作で除去するのは困難であ
り、膜分離で除去することが考えられる。しかし、膜分
離プロセスを適用する場合、以下の点が重要である。 1)膜が金属水酸化物に対して所定の分離性能を継続し
て得られること 2)膜の透過水量が大きく、経年劣化が小さいこと 3)膜の運転圧力が小さく、経年劣化が小さいこと 4)膜が目詰まりしにくく、再生が容易なこと 5)膜の使用pH範囲が広く、高水温の使用が可能であ
ること これらのことから、膜は、所定の分離性能が得られる範
囲で排水量を確保するため、極力、孔径の大きな膜を使
用する必要があることがわかる。しかし、従来検討され
てきたRO膜やUF膜は、透過水量が極めて小さく、排
水処理への適用は難しい。
【0036】しかし、pH調整後の金属水酸化物の大き
さから、金属水酸化物の分離には、径が0.1μm以
上、1μm以下の膜であれば99〜100%分離できることが
わかった。また、径が最大10μmであっても、多くの水
酸化物が細孔通過時に付着除去されるため、90〜100%
の分離が可能である。
【0037】pH調整を行った金属含有排水を膜に透過
させることにより、膜透過液と金属水酸化物の濃縮液が
得られる。例えば、ニッケル、亜鉛を主とするメッキ排
水の場合、濃縮液には、ニッケルと亜鉛の水酸化物が高
濃度で濃縮される。一方、膜透過液にはニッケルイオ
ン、亜鉛イオンがほとんど含まれていないため、このま
ま放流が可能である。
【0038】次に、高分子凝集剤によるフロック形成促
進について述べる。高分子凝集剤としては、水中の金属
イオンと選択的に反応し、水に不溶性の金属フロックを
形成するものが望ましい。重金属選択捕集用の高分子凝
集剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルア
ルコ−ル、ポリエチルエネミンなどがある。フロックの
大きさは、50μm以上となる。この結果、使用する膜
としては、50μmの孔径があればよい。 高分子凝集剤
の代わりに、ある程度、重金属の選択除去能力のある液
体キレート剤を用いてもよい。液体キレート剤を用いても金属の
選択的吸着・凝集が困難な場合には、液体キレート剤から金
属脱着時のpHを変えることで金属イオンの選択的な回
収が可能となる場合がある。
【0039】本プロセスに用いる膜の材質であるが、p
Hが3〜10程度に維持されるため、耐酸性・耐アルカ
リ性のあることが必須条件である。また、排水の水温が
20℃〜40℃であるため、耐熱性があること、さら
に、耐磨耗性があることも要求される。膜の材質とし
て、メタル系としてステンレス繊維、無機系として、セ
ラミックス、ガラス繊維、有機高分子系としてポリスル
ホン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリビニルア
ルコ−ル、ポリアクリロニトリルなどがある。このう
ち、セラミックスは、耐酸性、耐磨耗性、耐熱性の点で
優れており、メッキ排水等に用いる膜の材質として最適
である。セラミックスの材料としては、シリカ−アルミ
ナ系の粘土が主体であることが望ましいが、これに発電
所の副産物であるフライアッシュや製鐵所の副産物であ
る高炉スラグ、転炉スラグを混合してもかまわない。次
に本発明の実施例を説明する。
【0040】
【実施例】本発明の方法を製鉄所から発生するメッキ排
水の処理に適用した例について説明する。プロセスフロ
−を図1に示す。プロセスは、事前鉄酸化槽(2)、膜
分離槽A(3),膜分離槽B(4)からなっている。膜
分離槽A(3)及び膜分離槽B(4)は、pH計(7)
で制御されている。散気管に供給されるフ゛ロア(8)によ
りセラミックス膜(5)は外部から常時洗浄されてい
る。表1に槽の機能をまとめて示す。
【0041】
【表1】
【0042】まず、金属を含有する排水を事前鉄酸化槽
(2)での滞留時間(HRT)が30分になるように供
給する。1mol/lのNaOH溶液(13)によって、pH
を3.5に調整し、過酸化水素(11)を事前鉄酸化槽
(2)のORPが+550mVになるように添加した。
【0043】さらに、膜分離槽A(3)では、1mol/l
のNaOH溶液(13)によって、pHを4に調整し、攪
拌しながら、鉄の水酸化物を生成させた。膜としては、
孔径が1μmのシリカ−アルミナ系セラミックス膜
(5)を用いた。透過水量は20m/日で運転した。
【0044】続いて、膜分離槽B(4)では、1mol/l
のNaOH溶液(13)によって、pHを10に調整し、
攪拌しながら、ニッケル及び亜鉛の水酸化物を生成させ
た。膜としては、孔径が1μmのシリカ−アルミナ系セ
ラミックス膜(5)を用いた。透過水量は20m/日で
運転した。表2に排水及び透過水の平均水質を示す。
【0045】排水は鉄(平均200mg/l)、亜鉛
(平均84mg/l)、ニッケル(平均49mg/l)
が主体である。膜分離槽A(3)によって、排水中の鉄
が平均99%除去された。亜鉛、ニッケルは膜分離槽B
(4) によって、ほぼ完全に除去された。TOC(総炭素濃
度)で表示される有機物も95%以上除去できた。この
結果から、金属水酸化物及び有機物は、事前酸化と粒径
1ミクロンのセラミックス膜分離でほぼ完全に除去でき
るものと考えられる。
【0046】
【表2】
【0047】さらに、膜分離槽A(3)及び膜分離槽B
(4)において、濃縮したスラッシ゛を乾燥した後の成分分
析の平均値を表3に示す。
【0048】膜分離槽A(3)において、鉄(平均45
%)を主体としたスラッシ゛(9)が得られた。亜鉛、ニッケル
はほとんど含まれていない。膜分離槽B(4)におい
て、亜鉛(平均30%)、ニッケル(平均15%)を主
体とたスラッシ゛(10)が得られた。鉄はほとんど含まれてい
ない。
【0049】
【表3】
【0050】本法により、メッキ排水中の金属成分は、
分離回収されるため再利用が可能となり、再利用の結
果、スラッジとして処分される量は、ほぼ皆無となっ
た。また、メッキ排水中のCOD源となる有機物も化学
酸化法により、90−100%除去され、水質上の問題も生
じなかった。
【0051】
【発明の効果】本発明により、金属含有排水を効率的か
つ安定して処理するとともに、金属含有排水から有価金
属を分離回収して再利用することでき、また、スラッジ
の発生量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理フロー。
【符号の説明】
(1)排水タンク (2)事前鉄酸化槽 (3)膜分離槽A (4)膜分離槽B (5)セラミック膜 (6)ORP計 (7)pH計 (8)ブロア (9)鉄系スラッジ (10)ニッケル・亜鉛系スラッジ (11)化学酸化剤 (12)処理水槽 (13)アルカリ剤(NaOH)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/72 C02F 1/72 101 101 C22B 7/00 G C22B 3/24 3/00 Q // C22B 7/00 L Fターム(参考) 4D006 MA22 MB11 MC01 MC02 MC22 MC23 MC33 MC39 MC62 PA04 PB08 PB27 PC22 4D037 AA14 AB08 BA18 CA03 CA12 CA14 4D038 AA08 AB87 BA04 BB13 BB16 4D050 AA13 AB55 AB56 AB58 BB02 BB09 BB11 BC04 BC09 BD06 CA07 CA09 CA13 4K001 AA08 AA09 AA10 AA19 AA24 AA30 BA21 CA02 DB23 DB36 JA03 JA10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属含有排水を処理するに際し、pHを
    アルカリ剤により3〜5に維持しながら化学酸化剤を用いて
    2価鉄を3価鉄に酸化するとともに排水中の有機物を酸
    化分解し、鉄の水酸化物を形成させ鉄の水酸化物を回収
    することを特徴とする金属含有排水からの有価金属の回
    収方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法により鉄を除去した後、
    pHをアルカリ剤により8〜10に調整して他の金属の水酸
    化物を形成・回収することを特徴とする金属含有排水か
    らの有価金属の回収方法。
  3. 【請求項3】 金属の水酸化物を回収する方法として、
    膜分離装置を用いることを特徴とする請求項1または2
    に記載の金属含有排水からの有価金属の回収方法。
  4. 【請求項4】 膜分離装置として、セラミックスを素材
    とする膜を用いることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の金属含有排水からの有価金属の回収方法。
  5. 【請求項5】 0.1μm以上の孔径を有する膜分離装
    置を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の金属含有排水からの有価金属の回収方法。
  6. 【請求項6】 化学酸化剤として過酸化水素を用いるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属含
    有排水からの有価金属の回収方法。
  7. 【請求項7】 化学酸化剤と紫外線及び/または光触媒
    とを併用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    に記載の金属含有排水からの有価金属の回収方法。
  8. 【請求項8】 pHをアルカリ剤により調整する際に、高分
    子凝集剤または液体キレート剤を投入することを特徴とする
    請求項1〜7のいずれかに記載の金属含有排水からの有
    価金属の回収方法。
  9. 【請求項9】 化学酸化剤を酸化還元電位(ORP)が+550
    mV(銀/塩化銀基準)以上になるように添加すること
    を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の金属含有
    排水からの有価金属の回収方法。
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